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再読「日本語の構造」:中島文雄

2012/07/27(金)
 『日本語の構造-英語との対比-』:中島文雄:

(1)助詞の種類
中島本での「助詞の分類」は
1.連体助詞:「の/と」など。体言と体言とを関係づける。
2.格助詞:「が/に/を」など。体言に添って用言に対する関係を示す。
3.副助詞:「は/も/や/だけ」など。体言と用言との結びつきについて、
  その意味に対する話し手の感情や心的態度を示す。
4.接続助詞:「(し)て/(する)が/と/なら(ば)/けれど(も)」など。
  述語(句)と述語(句)との関係を示す。
5.終助詞、間投助詞:「か/ね/よ」など。発話の内容についての話し手の感情や
  聞手への訴えの気持を表す。

(2)「がは/をは/見えない助詞」のこと
 中島本でも「は」と「が」の関係についてていねいな説明がある。
なかでも、格助詞と副助詞の組み合せで言及しているのは、
○「がは→は」、「をは/をば→は」となることが多いとのこと。
○また会話では、「君、何 買ったんだ?」というように、格助詞が省略されることを
分析するうえで「見えない助詞」と表現している。

(3)「Jumpシステム」教授法との異同は
『目から鱗の日本語文法~新しい日本語教授法JUMPsystemによる~』
:鈴木明、櫻田淳一郎:文進印刷株式会社:2010年5月13日発行
に述べられる「助詞」は、
○『Particle(助詞)と日本語の文構造』の章にあり、
○助詞を正しく、かつ論理的に理解するための工夫が込められてある。
○助詞を4種類に分類。
(中島本の助詞分類は5種類。『目から鱗』本は、中島分類の1と4を同類にしたような区分か)
○追加で、見えない助詞「φ」:「明日(φ)必ず来てくれ」など
「見えない助詞」を付けて表現する名詞類の意味・構造も説明している。
○(名詞)に(助詞)をくっつけることで(文節)ができる:文構造の包括的な法則が説明される。

 さらに重要な法則:
(主助詞:「が/を/に/へ/で/と」)に(副助詞:「は/も/だけ/しか」)を
組み合せる場合の合体法則」を見通しよく説明する部分は、圧巻です。

○(主助詞)は(副助詞)と結合する際の振舞いに差があり、3種類に分類できる。
○1類:(削除):「がは→は/がだけ→だけ」、「をは→は/をしか→しか」
○2類:(削除/保持):「には→は、には」「にも→も、にも」
○3類:(保持):「では→では」「とも→とも」「(φ)も→(φ)も」
 文節を構成する際に重要な(主助詞:格助詞)の「が」や「を」(:1類の主助詞)に対して、(副助詞)をくっつけるときには、「がは」、「がも」、「をは」、「をも」でなく、どちらも「は」、「も」だけでよい。

 Jumpシステムは、外国人向けの「最少ルールの日本語文法教授法」を目指している。だから論理的なルール化を編み出して説明するわけだ。
中島本が日本語を解析的に文法説明するところとの違いがある。


2012/07/22(日)
 今回も
『目から鱗の日本語文法~新しい日本語教授法JUMPsystemによる~』:鈴木明、櫻田淳一郎:文進印刷株式会社:2010年5月13日発行
に関わる感想を書き留めます。

(1)日本語の曖昧性
 たまたま、上記の本の直前に読んだ本が
『日本語の構造-英語との対比-』:中島文雄:岩波新書:1987年
でした。
日本人英語学者が英語との対比で著作した文法書ですから、内容の随所に「対比すれば日本語はあいまいな表現だ」という指摘が出てきます。

○本の装丁帯の表側には、
 「犬が嫌いな猫」-ドチラがドチラを嫌っている?
日本語のあいまいさ、面白さ
と言う宣伝文句が載っている。
本文の項節「修飾語句+名詞」のなかで、以下の説明がある。
○日本語では、活用語の連体形が終止形を同化してしまったので、文は活用語の終止・連体形で終っている。すなわち述語句はそのまま名詞の修飾語になれる性質をもつ。日本語に関係代名詞が不要なわけである。
○「猫の犬が嫌いなコト」文が基礎にあり、「犬がきらいな猫/猫のきらいな犬」ができるが、どちらがどちらを嫌っているのかはっきりしない。
○日本語の曖昧性に言及してさらにすすむと、以前のブログ項目:
行為反転の述語修飾句:
で記述した「女はなぐられた男に復讐した」のくだりになる。

 いま冷静に読み返して、この本の学問上の価値が分りかけた感じです。

(2)日本語の文構造
 中島本では、日本語文の構造を変形生成文法の手法から解説したものですが、素人でもじっくり読めば分ってきます。
○日本語の基礎的な文(4種)
1.動詞文:「(もう)寝る(よ)」(副詞)動詞(終助詞)
2.形容詞文:「(ずいぶん)寒い(ね)」(副詞)形容詞(終助詞)
3.形容名詞文:「(ずいぶん)静かだ(ね)」(副詞)形容名詞+だ(終助詞)
4.名詞文:「(また)雨だ(ね)」(副詞)名詞+だ(終助詞)
 がなりたつので、基本規則として「日本語の文=述語文」を認めるのがよい。
○日本語文法は述語文(4種)から出発し、次いでこれを補足する要素を追加していく方向をとる。
○基本文法としては、述語(自動詞/他動詞・形容詞・形容名詞+だ・名詞+だ)の意味が要求する補語(「名詞+格助詞」)を含んだ文構造を導き出すことが必要だ。
○補語を含む文型例文として
1.「雨が降る/山が見える/頭痛がする/・/・/犬が好きだ」
2.「京都に行く/規則に従う」
3.「論文を書く/コーヒーをいれる」
4.「太郎が二郎に英語を教える/二郎が太郎に英語を教わる」
などをあげている。

(3)日本語文は盆栽型?熊手型?
 記述(ほぼ引用)が長くなったので、今回のまとめにはいります。
金谷武洋著:『日本語文法の謎を解く』:ちくま新書:2003年1月20日
によると、
○基礎は述語文で文構造がなりたつ。
○必要な補語を先行させ、最後尾の述語(盆に見立てる)に差し込む盆栽型の構造。
と述べている。

 わたしも、単文構造を盆栽型に見立てることには共感する。
だが、
○「単文(連用形述語、)/(~し+て)+次の述語・文」
○「単文(連体形述語)+名詞(+次の述語・文)」
など単文が連結規則により複文構造へ活用できることを考慮すると、
何段かの盆栽が重なる姿を想像しなければならないが、つらいと思う。
仮に、飾り熊手を盆栽に差し込むみたいなものかもしれない。

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