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2013年6月

日本語の文型:多段使役の意味

2013/06/27(木)

 ネット上に「二重使役」に関して考察したブログがあるのを発見しました。
使役文を二重にできるのか :NihongoParkBlog(日本語教師、教材関連のサイトのようです)
○この例は、命令者の立場からの二重使役の文章です。
○「さ入れ言葉」で話題になっているのは、受命者が命令者に使役行為をさせてもらいたいと許可・容認をお願いする場合の二重使役文です。
○もちろん、どちらの場合にも、二重使役の表現が必要でしょう。
これから少しづつ定着していくとよいですね。

2013/06/26(水)

(1)使役の使役とは(重要)

 使役形の意味を思考すると、
①1段の使役形:強制動作/行為の容認。
・行為者が自身で相手を強制/容認する動作。
②2段の使役形:相手を使役する動作。
・行為者は命じるだけで、受命者が自分を(他者を)強制動作させる。
③3段の使役形:受命者が他者を
強制/介護する動作。
・制度的な、組織的な介助、介護の動作。(思考実験)

というように、多段の使役形態があり得るのだろう。

 残念ながら現状の日本語文法では、1段の使役形しか考察していないようです。
しかし、日常生活のなかで「2段の使役形」の使用例が現れてきたようですから、間違いなく定着していくでしょう。
○現状の日本語文法家を含めて、2段使役形の存在を認知しておりません。
・「2段使役形」を認知できずに、誤解しています。つまり、『1段使役形で表現すべきところを、間違えて「さ入れ言葉」を使っている』と見なしてしまいます。
・つまり「使役の使役形」(2段使役形)という概念が認知されていないのです。
・「1段使役形」での「登場人物」は命令者=実行為者、被強制動作者です。
 思考実験では、
○「2段使役形」での「登場人物」は命令者、受命者(使役者、実行為者)(、被強制動作者)です。
・階層化組織のなかの上下関係を考慮すれば、2段使役形の表現が出てくるのは必然でしょう。
○「3段使役形」での「登場人物」は命令者、受命・介助者、実行為者・被介護者です。
・多段使役形とは、どれだけ段数が増えようとも「登場人物=命令者+・・・+実行為者+被強制動作者」を忠実に表現できるという言語運用法則を反映したものでしょう。
・生来の日本語話者ならば暗黙のうちに、自分が命令・許可者の立場でないときに使役行為をさせてもらおうとすれば、「2段使役形」を使った言回しになるだろう。
という結論に至りました。
○ですから、「さ入れ言葉」の指摘自体が誤解なのです。
○「多段受動形」はあり得ないが「多段使役形」や「多段使役形+受動形」は日常的にあり得ます。

(2)盆栽型文型と登場人物

 述語を「盆」に見立てると、盆上の補語が「登場人・物」です。
○日本語会話では、毎回毎回、すべての「登場人物」を言い表しませんが、述語活用がきちんと表現・解釈されていれば、隠れた登場人物も推測できます。
○述語の多段活用の例は、
・「多段使役形」や「多段使役+受動形」の他、「~させて・ください」、「~して・やろう」などの「行為の授受表現」も該当します。
○日本語学習者にとっても、この文法ルールを合理的に理解できたら負担軽減に役立ちます。

 以前の投稿内容と重複してきましたので、ひとまずこれで打ち切りとします。

日本語の文型:盆栽型述語の多層活用

2013/06/24(月)

(1)『認知文法』は「虫の目」視点に立ってあるか?

 ここで「立ってある」との表現を意図的に使いました。擬人化して「視点に立つ」と言うなら、「立っているか」と活用するのがよいでしょう。
聞きかじりの知識でしか話せないため、継続相の「立っている」とはいいにくい。
ロナルドWラネカーが認知文法に従来と違う新しい立場に立ったらしいと理解しました。
文章構文のなかで、語られる場面に登場するモノたちに対する焦点の当て方、それを語る話者の認識を意味解釈に投影させる解析手法は進歩である。
だからと言って『認知文法』が「神の目」視点でもなく「虫の目』視点でもなく、期待どうりに公平性を保証するものであるのかはわからない。

(2)日本語の文型:「盆栽型」を再検証

 当方の文法解釈に用いる道具立て(構文概念、文型解釈)としては、「盆栽型文型:金谷武洋」を援用している。
日本語の文型は、すべての「登場人・物」が補語であり、対等に「述語」に結合して意味を表現する。
いけ花のように補語を1本1本、「盆:述語」に差して文を作るので「盆栽型」という。
(もちろん「盆栽型」=「虫の目視点の結果」というわけではない)
○以前の思考実験で、「盆栽型」を発展させて「熊手型:複文構造の想定」という名称を提起したことがありました。
 (盆栽型の連体修飾節が次の盆栽への補語になるから)
○思考実験を繰り返すうちに、
(当ブログの日本語文法カテゴリー内)
・日本語文法:「する」と「やる」の区別、
・日本語の基本文型(最後尾のボイス活用俯瞰図表の夢)、
・日本語の動詞:「さ入れ言葉」を解剖する
の3投稿の考察文章に流れているものが構文把握の肝心だと気づいた。
○つまり、単文構成の「盆栽型」にしても、「盆:述部」の構造を広く展開して俯瞰できるような活用図表があればよいのになと思う。

(3)述語の多層活用

 『日本人のための日本語文法入門』原沢伊都夫:講談社現代新書:2012年9月20日
には、日本語文の構成を説明し、特に述語の構成内容を詳しく解説している。
○思考実験する。
・述部(=動詞、い-形容詞、な-形容詞、名詞)の活用で構成される。
・述部の活用とは、
 =述語語幹に接続(膠着)して
 +述語活用(動詞活用、形容詞活用、名詞・形容動詞活用)
 +助動詞活用(態・ボイス=使役/受動)
 +助動詞活用(否定=ない)
 +助動詞活用(テンス=完了/未完了)
 +助動詞活用(アスペクト=直前/開始/進行/結果)
 +助動詞活用(ムード=推量/希望/伝聞)
 +終助詞(ムード?=か?/ね/さ/わ)
○述語活用、助動詞活用ともに
・述語活用=未然形/連用形/終止形/連体形/仮定形/命令形
・助動詞活用=未然形/連用形/終止形/連体形/仮定形/命令形
の活用形式があるので、後続接続(膠着)させる法則に慣れる必要がある。
(述語活用表や助動詞活用表は辞典の後尾に付録されている。規則性があるので心強い)
○助動詞活用は述語活用形の未然形に連結するものが多いが、連用形、終止形、連体形などに連結するものもある。

(4)使役/受動の動詞(文語の生き残り)

 日本語文法では、動詞の能動/受動/使役の活用に注目して考察してきた。
○すべての自動詞が能動形/受動形に活用されうること。
○すべての他動詞が能動形/受動形/使役形に活用されうること。
○他動詞に文語系使役語幹が生き残り、現在でも口語表現のなかに数多く使われていること。
○例に示すように、文語形使役語幹を使うほうが簡明な表現で済むからでしょう。
例:
・(休ませる)休ます:受動:休まさ+れる/再使役:休まさ+せる。
・(打たせる)打たす:受動:打たさ+れる/再使役:打たさ+せる。
・(立たせる)立たす:受動:立たさ+れる/再使役:立たさ+せる。
・(書かせる)書かす:受動:書かさ+れる/再使役:書かさ+せる。
・(驚かせる)驚かす:受動:驚かさ+れる/再使役:驚かさ+せる。
・(食べさせる)食べさす:受動:食べささ+れる/再使役:食べささ+せる。
・(避けさせる)避けさす:受動:避けささ+れる/再使役:避けささ+せる。
(再使役形の事例は少ないかもしれないが、受動形の使用例は多いと思う)

(次回に続く)

日本語文法:「する」と「やる」の区別

2013/06/20(木)

(1)「する」/「やる」の違いは?

 前回、読書中だった図書を読み終えた。
『日本語を「外」から見る ~留学生たちと解く日本語の謎~』
佐々木瑞枝:小学館:2010年2月6日

留学生の会話:
〇「日光へ旅行をやりました」
 というやり取りのあとで、「する/やる」談義がはじまった。
・「する」と「やる」の使い分けを合理的に納得させる教授法・文例が書かれて
 ある。
・最少ルールで文法則を説明できるといいですね。

〇佐々木本では、
①「する」:自分の意思で行う=意志動詞。
 (旅行する、洗濯する、発表する、スタートする)
②また、状態変化(自動詞的)の表現動詞。
 (上達する、合格する、成功する)
 これらを「やる」に置き換えできない。

③「やる」:基本は授受動詞。(物や行為をやらせる、やらされる関係)
 (餌をやる、一杯やりましょう)
 これらを「する」に置き換えできない。
④両方使える:共同動作。
 (PTA活動をする/やる、留学生祭りをする/やる、会議をする/やる、
  試合をする/やる)

(2)寝も「やらず」に考えて、二晩「する」と、ようやくわかった
  (↑国語辞典の用例を応用しました)

 当方も幾晩か寝ながら考えて、最少ルールにたどりついた(かも)。
〇辞典には
・「する」:サ変他動詞:行う、なす:サ変自動詞(自然):(音がする、3千円も
 する、五年もすると)。
・「やる」:五段他動詞:行かせる、遣わせる、相手の利益として与える。
 (使いをやる、金をやる、(飲食)一杯やる、書いてやる)

<ここから思考実験をすすめる。
・「やる」の原意には、行為や物の授受をする動作や、使役的動作(行かせる、
 遣わす)が想起され、行為者以外に相手が存在するのだと推測できる。
・この使役感覚が変化して、話者自身が「やらされる」と思い込んで、『すぐ
 宿題をやるから、おやつ、ちょうだい!』などと言うかもしれない。
・何度も「やりなさい!」「やりなさい!」と言われていると、相手は「やります
 !」と応答してしまう。
・自分が使役の請負をしたつもりになって、「やる」、「やります!」という言い
 方がでてきたと推測したわけです。
・つまり、義務感や責任感をもって(成果を期待して)行う=「やる」の意味が
 拡張されたのか。
(「やらされる」感じが薄まり、「する」と同義に近づいた理由なのでしょう)
・「やる」=自分をしてやらせるという再帰的動詞なのかもしれない。>

(3)「やる」の原意を大切に

 「やる」(=授受動詞、使役動詞)を使う場面での「登場人物」を想定すること
が大事です。
〇登場するのは、
①行為者、②被行為者(使い、受け手)、③使命・餌・課題(明確な目標)
 の3つです。
 この情景を必ず思い浮べることができれば、「やる」が仕事や課題を仕上げ
る、あるいは、相手に「ものをやる」とか推測できるのではないか。
〇行為者、被行為者がともに「やる」、「やりましょう」と言いうる。どちらが
 話者であっても成立する言回しと受け止められたのではないか。
〇さらに重要な点は、③やるべき事柄が①行為者、②被行為者ともに「理解
 しあえる明確な内容」だということ。
〇この2つの条件で、「やる」表現が「共同で、グループで、特定目的のために
 行動する」意味にも活用しやすくなったのだろう。

 話が飛躍するが、
・たとえば、不正行為や犯罪行為が発覚した際には、『なんでそんなことを
 したのか?』ではなく、『なんでそんなことをやったのか?』を追求する。
・「双方が理解しうる説明」、「納得がいく説明』が必要だからだろう。
・念のために「する」場面の登場人物について考察しておくと、
 ①行為者、②動作目的、の二者(補語)があれば十分な状況説明になる。
 だから、行為者だけの「する」説明では、うその理屈で動作を言い繕うかも
 しれない。

 ネット上の「する/やる」区別に関する書込みを調べてみると、文例として
佐々木本に近いものが多い。
・「やる」を考察した書込みに、「再帰動詞」を指摘するものも、「登場人物」分
 析のようなものも見当らない。

(次回に続く)

日本語文法:存在表現「ある」と「いる」

2013/06/17(月)

(1)「いる/ある」区別表現をすること自体が独特な文法則

『生きた日本語を教えるくふう ~日本語教師をめざす人へ~』
 佐々木瑞枝:小学館:2003年11月1日 ・・・読了。
『日本語を「外」から見る ~留学生たちと解く日本語の謎~』
 佐々木瑞枝:小学館:2010年2月6日 ・・・読書中。

 読了した上記の前書は、外国人留学生に日本語を教える際の具体的な方
法論を述べている。英国人留学生(日本の高校で英語教師を担当)からの
的を得た質問についてのエピソード:
留学生曰く:
〇日本語の「いる」と「ある」の使い分けで、『日本人はバスに対しても
 「いる」と言うことがありますね』と日本人の高校教師に聞いたら、
 『絶対にそんなことは言わない』という。
そして翌日『よく考えてみたら、言いますね』と肯定する。
〇『外国人を惑わさないように日本人全員、もう一度日本語をやり直せば
 いい』と皮肉の批判あり。
日本語修得に熱心なあまりの愚痴でしょう。

 日本人ならだれでも「バスがいる」をじっくり考えれば、あり得る表現だ
と気づくはずですね。即答できるか、一晩寝てから返答するかの差がある
としても。日本語教師だとしたら、即答できるほうがよいでしょう。

(2)日本語の立ち位置(2)

 日本人ならば自然に「いる/ある」を区別して表現している。
すべて「ある」でしか表現しない外国人に「区別があること」、正しく
「区別して使うこと」を法則として説明することが求められる。
★追記:2016/02/06(土)
 山口明穂:『日本語の論理~言葉に現れる思想~』
 :大修館書店:2004年2月1日初版 を読んで考えた。
〇第5章に「ある」と「いる」の違い という章立てがあり、詳しい解釈
 を得られる。だが、まず存在の「ある/ない」についてを見ておこう。
・第一章抜粋>「意味と語形:形式と論理」の節で、「ある」と「ない」
 に対して解説がある。
 ある:動詞、ない:形容詞という品詞の違いでの対応関係について日本
 語の論理を展開している。
・存在の「ある」は古くは「あり、をり、はべり、いまそがり」など存在
 を表す「ら変の活用語」で言い切り形が「い音」で終わり、(存在の表
 現形式は)通常の動詞が「う音」で終るのとは違っていた。
 形の上では「い音」で終る形容詞に似た側面がある。(古くは弱いなが
 らも形容詞的な近似要素があったのだ)
〇「いる」は古くは「ゐる:すわる、動きをとめる」を意味する動詞であ
 る。もともと存在を表す動詞でない。<第一章抜粋終わり。
という要点理解をすることができた。「いる」にも解説があった。

 さて、山口本第5章では、
★肝心の「ある」と「いる」の意味の違いを
 (有情/無情、生物/無生物の区別に関わらない)
・「ある」:時間が経ってもそこにある存在、
・「いる」:時間が経てば移動していく存在、という時空間での把握判断
 を素早く行って発話するものだという。
・・・納得。
★追記終わり

(アスペクト追記:2015/12/4)
〇動詞のアスペクトにも
・「~ている/~てある」形式でよく使われる。
・「いる/ある」表現は重要な文法則であるのは間違いない。
(ここでは2、3の例文だけ示します)
・「窓を開けている」他動詞・動作進行相、
・「窓が開けてある」他動詞・動作完了、意図的な開放保持。
・「窓が開いている」自動詞・変化進行相または、状態完了相も表す。
〇西日本では、「~ておる、短縮形で~とる、連用形に接続して~よる」
 を使うことが多い。
・「ドアが閉まりよる」自動詞・動作進行相、
・「ドアが閉まっとる」自動詞・動作完了相
 (閉まr・i・y・oru)、(閉ま・tte-oru、閉ま・ttoru)
・「~てある/~である」からは短縮形「~たる/~だる」ができ、これの完了
 形「~たった/~だった」が派生できる。
 「~だった」は広く使われているようだが、「~たった」がよく使われている
 のは関西語でしょうか、
「そんなこと、何度も教えたったろー?」:教える動作完了相を強調する言い
方ですね。
東京語では「~てる/でる」の形で「~ている、てある、でいる、である」の両
方を肩代りするような使い方もありそうです。「閉ってる、読んでる、閉って
た、読んでた」などと言うことがあります。

「い抜き言葉」ですが合理的です。
「いる」の「い」には、そのうちに居なくなるという深層意識が伝わってくる。
だから、進行形には適するが、完了形には「ある」の「あ」がほしくなる。
妥協の産物が「い抜き言葉」なのでしょう。

(次回に続く)

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