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日本語文法:存在表現「ある」と「いる」

2013/06/17(月)

(1)「いる/ある」区別表現をすること自体が独特な文法則

『生きた日本語を教えるくふう ~日本語教師をめざす人へ~』
 佐々木瑞枝:小学館:2003年11月1日 ・・・読了。
『日本語を「外」から見る ~留学生たちと解く日本語の謎~』
 佐々木瑞枝:小学館:2010年2月6日 ・・・読書中。

 読了した上記の前書は、外国人留学生に日本語を教える際の具体的な方
法論を述べている。英国人留学生(日本の高校で英語教師を担当)からの
的を得た質問についてのエピソード:
留学生曰く:
〇日本語の「いる」と「ある」の使い分けで、『日本人はバスに対しても
 「いる」と言うことがありますね』と日本人の高校教師に聞いたら、
 『絶対にそんなことは言わない』という。
そして翌日『よく考えてみたら、言いますね』と肯定する。
〇『外国人を惑わさないように日本人全員、もう一度日本語をやり直せば
 いい』と皮肉の批判あり。
日本語修得に熱心なあまりの愚痴でしょう。

 日本人ならだれでも「バスがいる」をじっくり考えれば、あり得る表現だ
と気づくはずですね。即答できるか、一晩寝てから返答するかの差がある
としても。日本語教師だとしたら、即答できるほうがよいでしょう。

(2)日本語の立ち位置(2)

 日本人ならば自然に「いる/ある」を区別して表現している。
すべて「ある」でしか表現しない外国人に「区別があること」、正しく
「区別して使うこと」を法則として説明することが求められる。
★追記:2016/02/06(土)
 山口明穂:『日本語の論理~言葉に現れる思想~』
 :大修館書店:2004年2月1日初版 を読んで考えた。
〇第5章に「ある」と「いる」の違い という章立てがあり、詳しい解釈
 を得られる。だが、まず存在の「ある/ない」についてを見ておこう。
・第一章抜粋>「意味と語形:形式と論理」の節で、「ある」と「ない」
 に対して解説がある。
 ある:動詞、ない:形容詞という品詞の違いでの対応関係について日本
 語の論理を展開している。
・存在の「ある」は古くは「あり、をり、はべり、いまそがり」など存在
 を表す「ら変の活用語」で言い切り形が「い音」で終わり、(存在の表
 現形式は)通常の動詞が「う音」で終るのとは違っていた。
 形の上では「い音」で終る形容詞に似た側面がある。(古くは弱いなが
 らも形容詞的な近似要素があったのだ)
〇「いる」は古くは「ゐる:すわる、動きをとめる」を意味する動詞であ
 る。もともと存在を表す動詞でない。<第一章抜粋終わり。
という要点理解をすることができた。「いる」にも解説があった。

 さて、山口本第5章では、
★肝心の「ある」と「いる」の意味の違いを
 (有情/無情、生物/無生物の区別に関わらない)
・「ある」:時間が経ってもそこにある存在、
・「いる」:時間が経てば移動していく存在、という時空間での把握判断
 を素早く行って発話するものだという。
・・・納得。
★追記終わり

(アスペクト追記:2015/12/4)
〇動詞のアスペクトにも
・「~ている/~てある」形式でよく使われる。
・「いる/ある」表現は重要な文法則であるのは間違いない。
(ここでは2、3の例文だけ示します)
・「窓を開けている」他動詞・動作進行相、
・「窓が開けてある」他動詞・動作完了、意図的な開放保持。
・「窓が開いている」自動詞・変化進行相または、状態完了相も表す。
〇西日本では、「~ておる、短縮形で~とる、連用形に接続して~よる」
 を使うことが多い。
・「ドアが閉まりよる」自動詞・動作進行相、
・「ドアが閉まっとる」自動詞・動作完了相
 (閉まr・i・y・oru)、(閉ま・tte-oru、閉ま・ttoru)
・「~てある/~である」からは短縮形「~たる/~だる」ができ、これの完了
 形「~たった/~だった」が派生できる。
 「~だった」は広く使われているようだが、「~たった」がよく使われている
 のは関西語でしょうか、
「そんなこと、何度も教えたったろー?」:教える動作完了相を強調する言い
方ですね。
東京語では「~てる/でる」の形で「~ている、てある、でいる、である」の両
方を肩代りするような使い方もありそうです。「閉ってる、読んでる、閉って
た、読んでた」などと言うことがあります。

「い抜き言葉」ですが合理的です。
「いる」の「い」には、そのうちに居なくなるという深層意識が伝わってくる。
だから、進行形には適するが、完了形には「ある」の「あ」がほしくなる。
妥協の産物が「い抜き言葉」なのでしょう。

(次回に続く)

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