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日本語の文型:述語の態(ボイス)表現図

2013/07/23(火)

(1)態(ボイス)の多段活用

  日本語の文型:盆栽型述語の多層活用日本語の文型:多段使役の意味の思考実験で、
述語の多段活用を考察しました。
多段活用を目で見て把握しやすいように図形(文字記号)で表現してみよう。
以前考察した日本語文の構図:文型記号を再考する
で提案した文字記号を思い出して応用する。

 思考実験の文例:二重使役の例
①母が子にねこにえさを食べさせさせる。(=食べささせる)

盆栽型の分析方法で、文の構造を見直す。「登場人・物」ごとに述語を吟味する。
・母が 食べ>:させ>:させる>:。(略式表現:母->>>)
・>:子が 食べ>:させ>:(させ>:られ<:)る。(略式表現:>子->>(><))
(>子-は、自発行為でなく誘発行為・被使役行為をあらわす)
(また(><)は使役受身の表現です。子の登場役割が主役でなければ相殺してよい)
・>:ねこが 食べ>:(させ>:られ<:)る。(略式表現:>ねこ->(><))
・えさが (食べ>:られる<:)。(略式表現:えさ-(><))
○登場人物を略式表現でつなぎ合せると、
・母->>>/>子->>(><)/>ねこ->(><)/えさ-(><)。
という情景になる。
○母->>>/>子->>の関係では、>数が同数で相殺される。
○子->>/>ねこ->の関係では、>数が同数で相殺される。
○ねこ->/えさ-(><)の関係では、>数は同数で相殺されるが、<(受身形)が残る。つまり餌は食べられてしまうわけです。
○母/子/ねこ段階での述語関係に整合性があり、二重使役形が正しい用法であると思います。
○母-使役→子-使役→ねこの二段階使役が正しく表現されている。
○そこで最初の文例にもどって、略式表現の助けを借りてみる。
①=母が-子に-ねこに-えさを-食べ>させ>させる>。
①変種=母が-子に-ねこに-えさを-食べ>させ>なさい>と言う>。
(させる=~しなさいと言う)

(2)盆栽型述語の多段活用の姿

 以上、各登場人物ごとの述語活用の分析をしてみた。
表面上は、
①母が-子に-ねこに-えさを-食べ>させ>させる>。
と「母」からの視点だけで記述された文章でも、全登場人物の行為を漏れなく言い表しているわけです。
態(ボイス)表現が「助動詞活用」により簡単にできるという日本語文法の大きな利点ですね。

 思考実験の文例:二重使役の例
②母が子を休まさせてくださいと担任教師に連絡する。
○「登場人・物」ごとに述語を吟味する。
・母が 休>:まさ>:せ>:て}:ください<:と連絡する>:。
(略式表現:母->>>}<、>)
・>:子が 休む>:。
(略式表現:>子->)
・>:担任教師が 連絡>:される<:。
(略式表現:>担任教師-><)
○登場人物を略式表現でつなぎ合せると、
・母->>>}<、>/>子->/>担任教師-><。
または、
・母->>(>子->)>}<、>/>担任教師-><。
○(さ)せ+て+ください を >}< で表現したが、再帰的な使役表現なのだろう。
日本語的再帰表現といえるかもしれない。(代行使役、下請け使役にもつながる)
・許可をいただければ、使役行為そのものは自分がやります:
・(拡大解釈して、)みなさんがOKならば、行為をやらせていただきます:
もちろん、むやみに代行使役や下請け使役の表現が増えるのは困りますが。

(3)二段使役形がなければ

 この場合、もしも一段使役形でしか言えないならば
③母が子を休ま>:せ>:たい>:と担任教師に連絡する>:。
のような、一方的な母親の願望を表明する表現になってしまいます。
○「登場人・物」ごとに述語を吟味すると、
・母->>>、>。
・>子->。
・担任教師-><。
○つなぎ合せると、
・母->>(>子->)>、>/担任教師-><。
(母と担任教師の間に使役・許可・要請関係が表現できない)
○だから
③母が子を休ま>:せ>:たい>:と担任教師に「お願い電話をする」。
と明示的に許可要請を表現するほうが安定で安心な文章になる。

(4)登場人物と述語の活用図式

 述語の活用図式として、文字記号を使用したり、登場人・物と述語の関係を並列的に並べたりする方法は、以前にも投稿してきました。
今回、ボイスにしぼりこんで考察したことで、新しい発見、新しい思考の切口になりました。
自分では意識していなかった「共通思考法」に気がつきました。

(以下次回)

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