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日本語文法:使役・受動の「補述演算」

2013/09/03(火)

(1)使役・受動の「格助詞:~に」の補述演算(思考実験)

 受動文、使役文の補語と述語の整合性を思考実験して、小さな発見をしました。
○受動文例:
・雨に降られる。(←雨が降る)
・猫にサンマを食べられる。(←猫がサンマを食べる)
○使役文例:
・先生が学生に本を読ませる。(←学生が本を読む)
①親が子どもにお使いに行かせる。(意味←子どもがお使いに行く気になるようにさせる)
②親が子どもをお使いに行かせる。(←子どもがお使いに行く)

 注目点は、自動詞の使役構文の場合、
①の「子どもに」:~に格助詞付き構文と、
②の「子どもを」:~を格助詞付き構文の二通りがある。
・他動詞の使役、受動文では「~に格助詞」構文しかない。
○なぜ、自動詞の使役文では、~に格助詞と~を格助詞の二通りがあるのだろう。

(2)自動詞の使役=他動詞化の意味もある

 自動詞に使役接辞をつなげて他動詞をつくりだすことがある。
・行く→行かせる(自動詞使役)
(行かす→行かさせる:他動詞使役)
・行く(ik+u)→行かす(ik+asu)使役接辞で他動詞化できる。
そうすると、
①変:親が子どもにお使いに行かす。(少し変か?)
②改:親が子どもをお使いに行かす。
○他動詞「行かす」を使う場合には、「~に格助詞構文」よりも「~を格助詞構文」がひったりする。
○これが自動詞の使役文で、~にと~をの格助詞構文ができる理由だろう。
○使役・受動の構文における正統な格助詞は「~に格助詞」だと学習する方が、最少文法にかなう。

 ただし、行為動詞の自発性を考慮すると、自動詞使役文が醸し出す「やる気の表現」が残念なことに他動詞化するとなくなってしまう。
②改の受動形:子どもが親にお使いに行かされる。
①変の受動形:子どもが親からお使いに行かされる。
(親と子の補語入れ換り関係が少しゆるい感じがする)
○自動詞表現では、
①の使役受動形:子どもが親にお使いに行かせられる。
○①使役文も①使役受動文も味わいのある文章ですね。行為自動詞の効用が感じられる。

(3)無意志の相手には「~を格助詞」使役構文(他動詞化)になる

 反対の例文もある。
○馬の耳に念仏を聞かせる。(←馬の耳が念仏を聞く)
(ダメ→馬の耳を念仏を聞かせる)
・「聞かせる:誰に何を」の2つの補語を同時に要求するからでしょう。

 通常は、自動詞の使役形を他動詞のように使って、
○馬がたてがみをなびかせて走る。(ダメ→馬がたてがみになびかせて走る)
○青年が瞳を輝かせて入ってくる。(ダメ→青年が瞳に輝かせて入ってくる)
○つまり無意志物が受ける状態、情景を他動詞的に表現するのが順当なのだろう。
 「なびかす/輝かす」を文語形他動詞と見なして、「連用形+~て接辞」=連節形=連文形に活用させると、「なびかし+て/輝かし+て」の構文もありえるだろう。
○馬がたてがみを「なびかして」走る。
○青年が瞳を「輝かして」入ってくる。
別の見方として、「已然形+~て接辞」=已然連文形の活用を想定すると、
○馬がたてがみを「なびかせ+て」走る。
○青年が瞳を「輝かせ+て」入ってくる。となる。
○已然形の使い方の詳しい知識がないので、見当違いの思考かもしれません。
・文語体の係り結びや仮定法的な使い方ではありません。
・単なる順接連文形式です。
○ただ、文構造で「見比べれ+ば」、自動詞での使役形「なびか+せる/輝か+せる」に近似してくる。

 しかし、本来の他動詞の場合の
○猫が鈴を鳴らして入ってくる。
に対しては
○猫が鈴を「鳴らせ+て」入ってくる。という構文を好んだりしないだろう。
○この理由がはっきりできれば、解決に近づくのかも。

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