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2013年10月

日本語文法:「ら抜き」「さ入れ」言葉の存在証明

2013/10/26(土)

(1)「ら抜き言葉」の存在証明

(参照:日本語動詞:態の双対性図表)
Photo

 思考実験中の図表を示しました。
日本語の自・他動詞は「自発的な行為を表す態(ボイス)系統」と、「相手の傍らに立ち、相手に行為を強制する態(ボイス)系統」が鏡像関係のように双対になっています。
○日本語文法用語での「自発」は「自然発生的」の意味で使うため、人間の自発行動に関して残念ながら使えない。 自発の代わりに「能動」を使います。
○双対の態を「能動系統/強制系統/二重強制系統」と呼びましょう。
○「ら抜き言葉」とは、能動系統での「可能態表現」のことですから、態の双対を認知する視点からすれば正統な用法です。
○受動態から「ら抜き」したわけではなく、本来的に存在する「可能態」なのです。
○「可能」を表現する「可能態」を「可能表現」に限定して使うことにはまったく支障はありません。
○これで「ら抜き言葉」の存在証明が成立します。

(2)「使役態」は「強制系統での可能態」なのだ

 「使役態」は能動系統ではなく、強制系統から派生します。
○使役態=動詞語幹+強制可能接辞 の合成造語なのです。
○「接辞」用法の正確な定義を理解していませんが、無難な用法は語幹を核にして必要最小限の接辞を付加して機能を得るのがよいだろう。
○つまり、「使役受動態」を派生させる合成造語の方法について実験してみる。
○強制系統で図表にした方法は
「強制受動態」=動詞語幹+強制受動接辞(-(R/S)as・ar・er-)の合成造語です。
 強制(as)+結果(ar)+可能(er)=強制受動接辞
として派生したもの。
 これが「使役受動態」を合成する接辞であると思考した。
○能動系統の受動接辞は(-(R/S)ar・er-)で、
 結果(ar)+可能(er)=受動接辞という論理合成で生れます。
○一方、「立たせ・られる」のような強制系統の使役態と能動系統の受動接辞とを安易に合成造語する方法は認められるのだろうか?(現状の日本語文法では安易に認めているが)
○「可能+受動」←「可能+結果+可能」のような(無意味で)安易な「継ぎはぎ合成」が適用されると、
・強制系統:立たせ・られる/飲ませ・られる/落ちさせ・られる/落させ・られる
が派生される。(当方には違和感あり)
・能動系統:立て・られる/飲め・られる/落ちれ・られる/落せ・られる
の派生は、これまた不思議な造語となる。
(立て・られる:意味が変り、語幹:建てるの受動態になったから耳慣れた合成と感じるだけ)
○つまり、「使役受動態」の合成は、使役態+受動接辞の方法ではなく、
「使役受動態」=動詞語幹+強制受動接辞=強制態+結果接辞+可能接辞として合成造語するのが論理的であろう。
○関東圏では、「立たせられる/飲ませられる」が比較的使われ、全国的には「立たされる/飲まされる」の論理的な用法が使われているのだろうか。

 「接辞用法」の重要性が実感できました。
○動詞「立つ」の動詞語幹「tat-」と強制動詞語幹「tat・as-」を見抜いた文語体隆盛時の文法は現代に到達できず、明治維新の文化大変革期に軽んじられてしまったのだろうか。
 中途半端な文法では、使役態語幹「tataser-」を能動系統に混入させ、これに受動接辞を連結させた使役受動態「tat・as・er・ar・eru」を生み出してしまった。

(3)「さ入れ言葉」の存在証明

 「さ入れ」を理解するには、二重強制系統の存在を感得していただくことが近道です。
日本語文法の世界で「態の双対図表」は認知されていないようですから、近道のはじめに「強制」を再考してみよう。
○自・他動詞の「強制態」とは
・「強制態」=直接、相手の傍らに立ち、相手に動作を強制的にさせる行為を表す。
・「使役態」=人を介して動作をさせること。
(相手に直接動作させてもよし、相手を介して別人に動作強制させてもよし。強制態よりもゆるい強制力である)
2つの態の意味の違いを思考実験で感得しました。
○二重強制系統では、
・「二重強制態」=相手を介して特定人物を強制動作させること。
・「強制使役態」=人を介して特定人物を強制動作させること。
(命令者→受命者→被・実・行為者の存在形式であることを示す)
(許可者→要望者→被・実・行為者の存在形式であることを示す)
○二段階の強制態/二段階の使役態でなければ、明確に「命令・受命・実行為者の動作構造」を表現できないわけです。
○「二段階の使役態」は見かけ上「さ入れ言葉」に見えますが、「命令・受命・実行為の構造」が明確に想起される場合に使用すれば、正しい「さ入れ表現」です。
(二段階使役態=強制使役態。例:立たさせる/飲まさせる/休まさせる/読まさせる)
○そのために「強制使役態」があるのです。
これが「さ入れ言葉」の存在証明です。

○用語を整理し、二重強制態/二重使役態(=二重強制可能態)とします。
・二重強制態:例:立たさす/飲まさす/休まさす/読まさす(残念ながら文字入力変換が効きません)
・二重使役態:例:立たさせる/飲まさせる/休まさせる/読まさせる(入力変換が効きます!)
(現状の学校文法では強制態を扱うが、二重強制態はまったく扱っていないらしい。それでも二重使役態は扱うのだろうか?)

○「動詞の態双対環」模式表記:(思考実験の結論として追記挿入)

    能動態   ・・・・・   強制態     ・・・・・・・   二重強制態
   /   \         /   \(使役態)   二重 /   \二重
 結果態  可能態  強制結果態 強制可能態    強制結果態 強制可能態
   \   /         \   /             \   /
    受動態   ・・・・・  強制受動態   ・・・・・・   二重強制受動態

日本語動詞:態の双対図表(後半)

2013/10/18(金)
 追記:最後尾に⑩表:強制結果態もあり!を載せました。

2013/10/16(水)

(1)日本語の全動詞に対応する態の双対図表

 前回の態双対図表に追加するため、多数の動詞に対する態双対図表数を小分けして載せます。
(⑤表参照)
5

○⑤表の2つは再掲です。動詞語幹が子音終りなので、態接辞R/Sが現れません。
○3つ目の(あがる/あげる)では、母音語幹ですからR/S接辞が現れます。
○他動詞:あげる:能動態で(R)から始まり、強制態で(S)に変ります。
 表枠上に(他:R/S)と略記しました。
(⑥表参照)
6

○⑥表1つ目:無対他動詞(見る:食べる)これも(他:R/S)。
2つ目:(落ちる/落す)これは自動詞能動態(R)接辞が強制態で(S)接辞に変ります。
(自:R/S)と略記。
3つ目:(煮える/煮る)自動詞煮える:の強制態(煮えさす)もあり得るとは思いますが、無意志物に煮える動作を強制するのはかわいそうで。でも強いて言えば(自、他:R/S)かもしれません。
(⑦表参照)
7

○⑦表の1、2:(自:R/S)
 他動詞能動態が「す音」である場合、強制態でも「S」が継続します。
○3つ目:(他:R/S)
 自動詞固まる:は水でも人でも物でも固定する意味で、強制態「R」接辞が違和感なしなのですね。
(⑧表参照)
8

○⑧表の1つ目:(見る:聞く)
 「R」音能動態の見るは強制態で「S」接辞に変ります。
 「見える、見せる、聞える」が派生してきません。古語「見ゆ、聞こゆ」などからなのか、分りません。
○3つ目:(蒸す)自他両用の動詞なのでしょうか?
 他動詞能動態「す」音語尾で始まって、強制態では「S」接辞と「R」接辞の両方が成立するようです。(他:S/S・R)なのか?、または(自:(R?)/R、他:S/S)なのか?

(2)日本語動詞:「ある」と「する」の二重らせん

 動詞の態双対図表をよく見ると、態を表す接辞には「ある-aR-」と「する-aS-」が組み込まれています。
(⑨表参照)
9

 ⑨表で「立たされる」「飲まされる」の文法的な裏づけ説明ができたつもりですが、どうでしょうか。
○今回の前半、後半「態の双対図表」の多数の図表により、
○自動詞/他動詞ともに態が
○能動態→結果態→可能態→受動態→強制態→使役態→強制受動態→強制使役態→二重強制態の順で、
○双対関係に組み上がっている。のを見ていただきました。
○受動態は結果態(+aru)と可能態(+eru)の接辞合成でできている。
○使役態は強制態(+asu)と可能態(+eru)の接辞合成でできている。
・今回の思考実験は、これまでの考察内容を分りやすく再構成するのに大いに役立ちました。

○「動詞の態双対環」模式表記:(思考実験の結論として追記挿入)

    能動態   ・・・・・   強制態     ・・・・・・・   二重強制態
   /   \         /   \(使役態)   二重 /   \二重
 結果態  可能態  強制結果態 強制可能態    強制結果態 強制可能態
   \   /         \   /             \   /
    受動態   ・・・・・  強制受動態   ・・・・・・   二重強制受動態

 英語文法の影響がつよいのか、動詞を能動/受動/使役の三態でしか見ないのは間違いの元です。
結果態:単独には新聞の見出しなどで見ることがある。
可能態:「ら抜き」ではなく、立派な独立態として使いましょう。
受動態:結果態+可能態の合成=(動作の結果に到達可能になる)。
強制態:相手の傍らに立ち、相手に動作を強制する意味です。重要な態です。
    正しい「さ入れ」の言語運用をしたいものです。
使役態:強制態+可能態=(強制行為を可能にさせる)。人を介して強制させることを含みます。
 これらの態を日本語話者は使いこなしています。先人の智恵に感謝です。
しかし、日本語文法上では明確な態構成が示されていないか、明確な教育指導に組み込まれていない。
だから、「ら抜き言葉」とか「さ入れ言葉」とかの誤解が生じます。
秀才はだれも「立たされ坊主」になったことがないのかもしれない。

(3)追記:強制結果態もあり!

 思考実験でうっかり忘れていましたが、日本語の動詞は自動詞/他動詞の態双対というだけでなく、態の能動系統と強制系統が基本的に鏡像関係:双対関係になる。ということも図表に入れておくべきでした。
(⑩表参照)
10

⑩表のように、能動態→結果態→可能態→受動態/強制態→強制結果態→強制可能態(使役態)→強制受動態という重なり合う構成になっています。
このことは、日本語文法(なるべく最少の規則)を教えるときの鍵の一つになりますね。

日本語動詞:態の双対図表

2013/10/18(金)
 追記:別投稿:態の双対図表(後半)の最後尾に⑩表:強制結果態もあり!を載せました。
そちらも合わせてご覧のほど、よろしくお願いします。

○「動詞の態双対環」模式表記:(思考実験の結論として追記挿入)

    能動態   ・・・・・   強制態     ・・・・・・・   二重強制態
   /   \         /   \(使役態)   二重 /   \二重
 結果態  可能態  強制結果態 強制可能態    強制結果態 強制可能態
   \   /         \   /             \   /
    受動態   ・・・・・  強制受動態   ・・・・・・   二重強制受動態

2013/10/15(火)
 借り出し図書、
『日本語は敬語があって主語がない 「地上の視点」の日本文化論』金谷武洋:光文社新書:2010年9月20日
を読んで、再考しています。
金谷本に曰く
○「ら抜き言葉」には合理的な理由があり、許容できる用法だ。
○一方、「さつき(さ入れ)言葉」には、使役と使役受身の二つで誤用?がある。
 しかし将来的に誤用がなくなれば「さつき言葉」指摘もなくなるだろう。 と吟味不足?の記載があります。
(思考実験子としては、通常の二者間使役では「せる/させる」、三者間使役では「させる/ささせる」となると明確に指摘してほしかった。つまり、三者間使役の場面では「さ入れ」が正しい表現だと解析されるのを期待していました)

 この「ら抜き言葉」、「さ入れ言葉」の問題解決には、受動態と使役態の深読みが必要です。 

(1)日本語の動詞:態の双対性

 再考中に独創的な「態の双対図表」が浮んできた。
日本語の動詞は
・一つの語幹から自動詞/他動詞に派生するものが多い。(無対動詞、両用動詞もあるが)
・自動詞/他動詞の態が双対構造になっている。
・双対構造は自動詞/他動詞を創造する「二重らせん」かもしれない。(大袈裟!)
まず、自他共通の母音語幹の動詞例を図表化しました。
(①表参照)
1

重要な点は、
○態の制定:能動/結果/可能/受動/強制/使役を自動詞/他動詞系統軸と双対に並べたこと。
○自他動詞の態双対図表が破綻なく成立つ条件は、「共通語幹+る/+す」の相対動詞の場合です。
◎態双対図表が「意味論的にねじれ」を起し、途中で(R)→(S)変更させるケースがあります。
 それは最後に説明します。
○今回は図表の態名称や双対性を習熟してほしい。
○「ら抜き」は「可能態の活用」で、可能表現での使用は合理的です。
○「さ入れ」は「使役態の誤用」で発生します。
○「先生、わたしを渡ら(さ)せてください」は誤用で①表にはありません。

(2)態双対の延長図表

 使役態の方向で動詞活用を延長するとは、
・「使役の受動」、「使役の使役」、「二重使役の受動」表現をすることです。
(②表参照/③表比較)
23

○単純に「使役接辞」「受動接辞」を連結した内容です。
○「らせらせ」、「させさせ」が耳障りです。

 先人の昔からの智恵だと推測しますが、
・「強制の受動」、「強制の使役」、「強制の強制の受動」を活用する表現で接辞を短縮化したのです。(③表参照/②表比較)

○これなら少し「ささ」が耳障りですが、我慢できそうです。
○「先生、わたしに子どもを休まさせてください」は、正しい「さ入り」用法です。
○すでに世の中に広まっているはずですが、文法家には認知されていないのが残念でなりません。

(3)日本語の動詞:態の双対図表

 延長分を含めた態の双対図表を最後に添付します。(④表参照)
4

 金谷本で指摘された動詞の例で、休む(無対自動詞)と飲む(無対他動詞)をはめ込んだものです。
○この場合、子音語幹であり、動作動詞ですから「破綻する態表現」はありません。

(4)日本語の全動詞に対応する態の双対図表

 図表数が多くなるので、次回で説明します。
要点:
○態の後半:強制態を含む後半は、「動作をさせる」ことを意味します。
○そのため自動詞、他動詞でも態=「ある:(R)」から始まるケースでも、後半はすべて「する:(S)」の接辞に変えないと意味が通らない場合があります。
○そうすれば、全動詞の態双対図表ができます。

日本語文法:動詞の態(ボイス)は多軸構成

2014/6/10(火)
 新しい思考実験を重ねた結果の図を作り直しました。
日本語動詞:「態の双対多重環」図

2013/10/29(火)
 日本語の自・他動詞ともに態(ボイス)は「自発能動系統/動作強制系統」が鏡像関係、双対性があるとの考察に思い至りました。
どうぞ、日本語文法:ら抜き・さ入れ言葉の存在証明日本語動詞:態の双対図表(後半)日本語動詞:態の双対図表 をご参照してください。

○「動詞の態双対環」模式表記:(思考実験の結論として追記挿入)

    能動態   ・・・・・   強制態     ・・・・・・・   二重強制態
   /   \         /   \(使役態)   二重 /   \二重
 結果態  可能態  強制結果態 強制可能態    強制結果態 強制可能態
   \   /         \   /             \   /
    受動態   ・・・・・  強制受動態   ・・・・・・   二重強制受動態

2013/10/06(日)

 日本語動詞の態について思考実験してきました。
基礎は
『日本語文法の謎を解く--「ある」日本語と「する」英語』金谷武洋:ちくま新書:2003年1月20日
の金谷本ですが、思考は脇道へ外れてきています。
ここで整理しておきましょう。

(1)動詞の態(ボイス)は多軸構成

 思考実験では、能動態/使役態の両方に受動態が並行的に双対すると考えました。さらに今は能動態を中心軸にして使役態、受動態などが多軸的に連結する構成を提起したい。(添付図参照)

Photo_4

(2)態(ボイス)を盆栽型図表で理解する

 補語と述語の関係を表形式で書き出してみました。
思考実験では「登場人・物」とか「補述演算」と表現してきたことをすべて図表化してあります。(添付図参照)

Photo

(3)盆栽型図表の説明

 図表の左側に補語(格助詞枠)が、右側に述語が並んでいます。
例文1行目:雨が降る。
例文2行目:(私)が雨に降られる。
という「文の解析法」を示しています。
記号の説明:態を理解するための鍵です。
①「が格の補語」は、行為者/被行為者のどちらの場合にも使われます。
②「に格の補語」は、行為者/被行為者のどちらの場合にも使われます。 態の思考解釈では「行為/被行為」を識別区分けする方法がよいですね。
③他動詞・受身の文:被行為物が「が格補語・まれ/を格補語・普通」のどちらも文法的です。
④他動詞・使役:「に格被の補語」のみ。
④自動詞・使役:「に格被補語」、「を格補語」のどちらも文法的。
 (無意志物の場合は「を格補語」のみ。自動詞・使役→他動詞・能動の語感が強まるからか)
⑤述語が形容詞、願望助動詞などの場合、「が格被補語」「を格補語」のどちらも文法的。
 述語活用が性情・状態を想定させるなら「が格被補語」を使い、動作・行為を想起させるなら「を格補語」を使う。
⑥自動詞(変わる)でも「が格被補語」、「を格補語」を使う場合がある。(状態の説明:変わる/終る/間違う)
他動詞(双対:変える)の場合は「を格補語」を使う。(行為の説明:変える/終える/間違える)
⑦建つ/建てる(双対動詞)などの場合、他動詞受身の表現(被行為表現)よりも自動詞能動の表現(物の状態表現)が好まれる。 特に語源:たつ=建つ、立つと同義だから、状態表現に向いた語感を持ちます。
 (建設→建つ、という派生を想起する外国語母語者には理解しにくい語感問題ですが)
⑧他動詞(休ます←休ませる)の使役は⑨二重使役に相当。
 (甲が「乙に丙を⑧休ませる」ように⑨させる)二重使役で現れる「させる表現」は正しい使い方です。
 (二重使役で必要な「さ入れ」なのです)
・授受態(~て+やりもらい表現)の学習も大事ですね。

 「態の盆栽型図表」の方法を参考にして多くの例文を比較検証していくのも、文法学習法になると思いますが、どうでしょうか。

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