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日本語動詞:動詞を生み出す「態の双対性」2

2013/11/11(月)

(1)「態の双対性」は自動詞・他動詞ともに適用可能

 態の双対性を要約して再述すると、
①動詞の態は
・能動系統:能動態-結果態-可能態-受動態
・強制系統:強制態-強制結果態-強制可能態(使役態)-強制受動態
という双対の構成である。
②態接辞も規則的な双対構造をしており、
・能動態:+(R/S)u---強制態:+(R/S)asu
 結果態:+(R/S)aru---強制結果態:+(R/S)as・aru
 可能態:+(R/S)eru---強制可能態(使役態):+(R/S)as・eru
 受動態:+(R/S)ar・eru---強制受動態:+(R/S)as・ar・eru
で表される。
③この「態接辞の双対性」は、自動詞、他動詞の別なく適用可能なものです。
④原理的には二重、三重に強制態の表現をしなければならないこともあり得ることで、その場合、強制接辞の「・as」を「as・as」、「as・as・as」と二重、三重にすれば表現できる。
⑤1つの動詞語幹から「態の双対性」によって自動詞・他動詞が対で派生できることも多い。

○「動詞の態双対環」模式表記:(思考実験の結論として追記挿入)

    能動態   ・・・・・   強制態     ・・・・・・・   二重強制態
   /   \         /   \(使役態)   二重 /   \二重
 結果態  可能態  強制結果態 強制可能態    強制結果態 強制可能態
   \   /         \   /             \   /
    受動態   ・・・・・  強制受動態   ・・・・・・   二重強制受動態

(2)自動詞と他動詞の識別方法

 日本語の動詞には、
○自動詞/他動詞が双対で対応するもの
○自動詞/他動詞が同形なもの
○自動詞/他動詞が無対なもの
があり、学習者には双対動詞を効率的に覚える技術としても身につけてほしい。
 双対の動詞例:
○乾く:kawak-
・能動系:乾く/乾かる/乾ける/乾かれる。
・強制系:乾かす/乾かさる/乾かせる/乾かされる。
・乾く:自動詞、乾かす:他動詞
 という自他対構成になります。
・「乾かす」が他動詞と見なされるのは、強制を受ける対象が「人」でなく「物」であることが多いからです。
・「物」に強制動作させるとは「人」が「物」に動作を加えることですから、他動詞の機能になります。
・同じ理由で、「乾かせる」は接辞上では使役態(強制可能態)なのですが、語感的には「他動詞での可能態」にしか受け取れません。
(この感覚を学習者に伝えるのも一苦労かもしれません)
 動詞の意味は、接辞だけで識別するものではなく、動作と人・物との関わりで接辞の意味も決るものです。
・もし「乾かす」の使役を表現したいなら、二重強制系統の強制態「乾かさす」、強制使役態「乾かさせる」とする必要があります。
・このように「二重強制系の態活用」も珍しいものではありません。 従来の文法では強制系に対する着眼が弱くて、日本語が持っている「動詞生成の法則」を十分に説明しきれていないでしょう。
 双対の動詞例:
○わかる/分ける←(古語)分く
・自動詞:わかる(wak・aru)←結果態から昇格。
・他動詞:分ける(wak・eru)←可能態から昇格。
・「結果態:ar」は動作が行われた結果や変化した後の状態を表す接辞。(自他どちらの動詞語幹に接辞してもよい)
・「可能態:er」は動作することが可能であること。また可能だから動作行為をすることを表す接辞。(自他どちらの動詞語幹に接辞してもよい)

 自・他動詞の識別方法に完全無欠の法則はありませんが、各自が「態の双対表」に態を書き込んで確認する訓練をしてみることを勧めたい。
「態の双対性」を感得し、思わぬ発見や疑問解消と巡り会えるかも知れません。なにより自分の頭の中で思考実験する場合の道具にもなります。

(3)「態の双対性」が「虫の目視点」を支えている

 日本語での「対話の場の視点」は、話者・聞手・相手に近くおかれて、やり取りされる「動作・行為」は能動態/受動態/使役態の他、結果態/可能態/強制受動態などで表現されます。
○これだけ態をふんだんに使うので、毎回、人称代名詞など使わなくても意味が通じます。
○また逆に、日本語では関係代名詞文を使わず、連体修飾文を使うことで、「受動態/使役態への変換」が必要になるという文法上の要請が発生します。
○印欧語では関係代名詞文を使うことで、主文の「人」と関係文の「人」が別々の視点で動詞態を使って表現できます。(聞手は別々の視点に対応した見方を強いられます。鳥瞰的に二人の別々の動きを見るように)
・例文①:女は、男が殴ったので、(男に)復讐した。(~は~が文型を複文形に悪用?)
○日本語では「主文の人の視点で見て、行われた行為動詞の態を決めて」、「関係の人を修飾」します。
(聞手に提示されるのは、二者間の行為動詞に対して主文者の見方、立場の説明です)
・例文②:女は殴られた男に復讐した。(女の視点からの動作表現に統一されている)
・例文③ダメ:女は殴った男に復讐した。(女の視点から「殴った/復讐した」では、矛盾する)
○それだけ、「動詞の態」は重要な印象を与えます。

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