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日本語動詞:先人の智恵:「態の生成」

2013/11/24(日)

(1)先人の智恵から「態の生成」を学ぶ

 前回、前々回から図1~図4で動詞の「態の双対多重環」を考察してきました。
今回は、図1にもどって考えを整理したい。
図1に改善を追加した図1改をのせます。
Photo

原図では、自動詞と他動詞の対関係を示したものでした。
図1改では、実際に対になる動詞の例を拾い出して「佐久間鼎:相対図」で検証してみました。
(動詞例は金谷本や中島文雄本:「日本語の構造」から引用しました)
○文語体から口語体への転換時代はどんな様子だったのでしょう。
○やはり一定の「文法則」をもって整理したでしょうが、実際に一語一語を試行錯誤する人もいたのだろう。
・動詞例をしっかり見るとわかるように、自他の対を構成するために「短い音素接辞」が挿入されています。
 図例の対動詞では、その「挿入接辞」をかっこ付きで示したので、接辞を取り外せば根源の動詞が見えるよう工夫しました。
・さらにじっくり挿入接辞を見つめていると、その「接辞の意味・機能」がどういうものか判ってきます。
・自他対構成の重要な接辞:「-aru」、「-eru」、「-asu」の3つです。

○実態調査で「自他動詞の相対図」を作成した図であるため、残念ながら「態に対する法則性」が説明されていない。
○そこで思考実験して、勝手に命名した「態接辞」を図1改の右下欄に記述しました。
○「結果態」や「強制態」は重要な接辞だと思い、独自に命名し、提案したものです。
○受動態/使役態は金谷本による示唆から生まれたかもしれない。
その結果、
・受動態=結果態+可能態の合成、
・使役態=強制態+可能態の合成
という姿が想定できます。
(前回、前々回に図3、図4で態双対多重環として紹介したもの)

(2)強烈な印象の「強制態」

 口語体の全国的な普及は転換時代の以前からはじまっていて、方言との兼合いもあり、一律的な法則ではなく、いろいろな表現の仕方があったのだろう。
なかでも、強烈な印象を与える「強制態」については、方言ごとに取入れ方が違っていたのではないだろうか。
○図1改に示した動詞例は自動詞/他動詞の対関係・対生成の方法です。
・洗濯物が「乾く:自動詞」 と
・洗濯物を「乾かす:他動詞化」 と
・洗濯物を後輩に「乾かさす:他動詞強制化」と
の3例文を比べれば、「相手」を強制動作させる最後の文は強烈な印象になります。
・生徒が「立つ:自動詞」と
・生徒を「立たす:強制動作化」と
比べれば、「立たす」文が「相手」に強制的に動作させるので、強烈な意志が伝わります。

○「乾かす」が他動詞・能動態だとすれば、「乾かさす」、「立たす」は他動詞・強制能動態と見るべきでしょう。(全国的な世間文法)
○東京文法としては「乾かさせる」、「立たせる」(強制可能態=使役態)のほうを能動扱いしたいようだ。
(強烈さをいくぶん「和らがさす:二重強制!」ためにでしょうか)
○いずれにしろ、(自発)能動態は行為者自身が行う動作を表現しますが、「強制能動態」は行為者自身の意志として「相手」に行動・動作をさせることを表明します。
・この違いを「強制態」という名称でしっかり文法化することを望んでいます。
○現状の日本語文法では、動詞の未然形に接辞する方式で
・使役接辞「+せる/+させる」のみが助動詞一覧に採用されています。(口語助動詞)
・強制態:「+(r/s)asu:+す/+さす」が一覧にありません。(文語助動詞の使役・尊敬の接辞として一覧表にあり)
・また、文語助動詞一覧表には、文語受動態:(受動・自発・可能・尊敬)「+る/らる」が載っています。
(これは思考実験で「結果態:+(r/s)aru」と命名したものです)
 以上を整理すると、
○口語受動態=文語受動態+口語可能態=「-(r)ar・eru:れる/られる」
○口語使役態=文語使役態+口語可能態=「-(s)as・eru:せる/させる」
という態接辞を組み合せた構成で口語文体を作り上げたのですね。
(「結果態=文語受動態」、「強制態=文語使役態」ということ)
○単純な方法ですが、派生根拠がはっきりした「態の構成法」であると今更ながら感心します。

 学校文法で「態の構成法」を十分に解説していないため、世上で「ら抜き言葉」とか「さ入れ言葉」とかで議論が空回りしています。「大衆は愚にして賢なり」と言いますが、派生根拠がはっきりしているので、もう少し「ら抜き、さ入れ」の正しさを認める人が目立ってもよいのに。
現在のところ、ネット上でお見うけした方が一人います。「飲まされた」は、文語使役態(強制態)の活用で正しく派生したものだと的を得た指摘をされていた。
○追記すると「飲ま・さ・れ・た」=強制受動態(強制態+結果態+可能態)という態の構成です。
 (音素表記すると「飲m+as+ar+e(ru)←ta」です)

世上での議論空回りの原因の第一は
・「強制態:-(r/s)asu」
・「結果態:-(r/s)aru」
・「可能態:-(r/s)eru」の3つの「小さな接辞」に(文法家が)気づいていないからでしょう。
この3つは、動詞を生み出す重要な遺伝子要素です。
○自・他動詞の対を生み出す接辞ですが、実際には「態も生み出す接辞」になっているわけです。
○結果態=文語受動態、強制態=文語使役態ですから、本来ならば「態の接辞」としてもっと理解が深まっていてもいいはずだが。

○「態の双対多重環図」は遺伝子要素を解りやすく構成図にしたものです。
・態の双対環の作図概念:
・能動態と受動態は「行為」と「被行為」の双対関係です。(能動態←・→受動態:必ず双対で存在)
・能動態の「行為」が実際に「可能」か、「動作する」段階を「可能態」が表現する。
・可能態と結果態は「動作」と「行為後の結果」の対応関係です。(可能態←・→結果態:必ず双対で存在)
・受動態は「行為の結果、変化の結果」に「到達可能な動作」を表現する。(受動態←結果態+可能態)
を表現した「環状の動詞態相関図」です。
・強制系統も能動系と相似の「環状の強制動詞態相関図」になります。

○「動詞の態双対環」模式表記:

    能動態   ・・・・・   強制態     ・・・・・・・   二重強制態
   /   \         /   \(使役態)   二重 /   \二重
 結果態  可能態  強制結果態 強制可能態    強制結果態 強制可能態
   \   /         \   /             \   /
    受動態   ・・・・・  強制受動態   ・・・・・・   二重強制受動態

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