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日本語動詞:動詞態の双対環を操作-1

2014/01/24(金)

(1)寺村本の例文を題材にして

寺村本:『日本語のシンタクスと意味 第1巻』寺村秀夫:くろしお出版:1982年11月10日第1刷/2005年1月20日第17刷
「第1巻」の第3章:態 の冒頭部分にある例文を題材にして「態の双対環」を使う練習をしてみよう。

○寺村本の例文:(カナ文をひらがな文に変えた)
①太郎が浜辺で亀をつかまえた。
②亀が浜辺で太郎につかまえられた。
  (②は受身文:つかまえ「られ」た:「られ」文法的な態の形態素)
③亀が浜辺で太郎につかまった。
  (③は規則的な派生ではない。語彙的な検討が必要)

○「態の双対環」の操作で検討する。
(寺村式:まず「態の接辞」を抜き出しているので、同様に)
態の接辞は3+(2:合成接辞)ですから、比較的簡単に初学者でも抜き出し操作をこなせるでしょう。
○動詞:つかまえる(辞書形):
・能動:①つかまえる/可能:つかまえ「れる」/結果:つかまえ「らる」/受動:②つかまえ「られる」
・同じ双対環のなかに①、②の述語動詞が含まれています。(同一の動詞語根です)
○動詞:つかまる(辞書形):
2つの解釈ができます。
・能動:③つかまる/可能:つかま「れる」/結果:つかま「らる」/受動:つかま「られる」

○能動:「つか「まる」」は結果態接辞を含んでいるので、試しに接辞を外して、
語根「つかむ」の双対環を作ってみます。
・能動:つかむ/可能:つか「める」/結果:③つか「まる」/受動:つかま「れる」
・2つの双対環をよく見ると、
可能:つかま「れる」が他方の受動:つかま「れる」と同形になっています。
・一方、受動態:つかま「られる」/つかま「れる」は両者の間では微妙にニュアンスが異なります。
 (つかまられる:長時間つかまれ続けるような感じ)
・この2つの双対環は語彙的「態」としての関係性があるわけですね。
 (余力があれば、「つか「める」」、「つか「ます」」などの双対環を作ってみると楽しいかも)

(2)「つかまる」と「つかむ」の態

寺村本で「解答」が記述されるのは、語彙的「態」:動詞の自他の類型の節になったところです。
○「解答」を読むまでもなく、おそらく「態の双対環」操作をした後ならば自力で判断ができるかもしれません。
○もし、日本語学習者が双対環操作をしたあとで質問に来たとしたら、日本語教師が「双対環」で解説しやすいでしょう。
○寺村本:辞書(学研国語大辞典)
・「つかまる」(自)
①とらえられる、ひきとめられる。(受身表現)
②手でにぎって、また、しっかりととりすがって体をささえる。
・「つかむ」(他)
①物を手でしっかりと握り持つ。
②自分のものにする。手に入れる。
③(正体・要点などを)心にとらえる。
 -と字引したあとで、15行程度の解説をして、「つかまる」が持つ受身表現を指摘している。
・だが寺村本の残念なところは、「つかまる」活用例を挙げて
 「あの枝につかまろう」、「私の手につかまれ」などは別の動詞と見るべきだと記述している。
 (動作主体の意志性がつよく出すぎているとの理由で別動詞にしなければいけないのか?理解し難い感じがする)

○「態の双対環」方式の立場では、
・「つかまる」(自):結果態と命名する。
①結果態:つかむ動作をした結果により体勢が安定していること。
②(文語体での受動態を継承):つかむ動作(被動作)を「身に受けて」(受動態)逃げれない状態であること。
・「つかむ」(他):能動態で辞書通り。
○寺村本でも「つかまる」が動作を受けた結果に重きをおく表現であり、多くの類例動詞があるとの記述です。
・「態の双対環」では、これを「結果態」と名付けて「文法則にすべき」だと提起したのです。
○結果態が文語体起源とは言え、いまでも日常的に使います。
・車内放送で、「ドアが/しまり/ます」、「手すりやつり革に/おつかまり/ください」と毎日使われています。

<参考>日本語動詞「態の双対環」基本図


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