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日本語動詞:寺村文法の動詞態

2014/01/23(木)

(1)寺村秀夫の動詞態

 動詞態の復習をしてきましたが、いまいち得心がいかない心境なので専門書を調べてみようと決心しました。
○もっと早く読むべき本でしたが、近くの図書館にはなく今回ネット注文しました。
○『日本語のシンタクスと意味 第1巻』寺村秀夫:くろしお出版:1982年11月10日第1刷/2005年1月20日第17刷
と第2、3巻をあわせて購入しました。
○現時点で「第1巻」の第3章:態 の部分を通し読みしたところです。

 寺村研究の一端にふれたばかりですが、概要を抜き出してみます。
・第3章の節立てとして冒頭に
     /文法的「態」:受動態/可能態/自発態/使役態
・第3章:態{
     \語彙的「態」:(同一語根から分れた)自動詞・他動詞の対立
 が示される。
・末尾節の「まとめ」には「態の全体像」が2つの図表で示されてある。
 くしくも「受動態・可能態・自発態・自動詞・他動詞・使役態」の連続線上に並ぶ動詞機能の図表です。
・一つは「本居春庭の自他動詞の態+補足」、他の一つは「日本語の態の体系:受動態・自動詞・他動詞・使役態(ローマ字表記)」です。
○この図表を見て、
・金谷本が提起する「態の連続線」考察は原初的には寺村文法の考え方の流れをつなぐものだ。
・本居春庭、佐久間鼎などの研究もベースになっているのだ。
と気づきました。
・「日本語の態の体系:(動詞をローマ字書き)」の図表からは、大きな得心(落胆も)を得ました。次節に記述します。
○寺村本は「構文と意味」を系統立てて説明したもので、氏は生れが関西ですから「強制態:さす/使役態:させる」についてのこだわり解説があるだろうと期待していたが、ほとんどありません。
 残念至極ですね。
○また、寺村本の受動態は「受身:直接、間接」だけを意味していると区別しながら、受動態形式が可能態にも使われていることに寛容で、逆に「ら抜き」可能態(母音語幹の動詞も子音語幹の動詞と同じ可能態接辞:+(r/s)eru を付加する合理的な形態)を「乱れ」と見ることにも寛容なので、結局のところ、「態」の境界はなだらかに連続しているとし、本質的な整理がされていない。

(2)「強制態・使役態」で思考停止?
 寺村本での「態のまとめ図表」を見ていると、思考範囲が「強制態・使役態(=強制可能態)」までしか届いていない。
・「強制結果態・強制受動態」への言及がない。
(使役態が強制可能態に相当するとの言及もない)
・「強制受動態」、「使役受動態」の存在や両者併存の適否にも言及がない。
・寺村本での「態」解釈の範囲設定が文法的「態」と語彙的「態」の両面であるから、さすがに周到で抜かりはない。
○語彙的「態」(自他の対立)の説明で、
・化ける←・→化かす(他動詞化) と
・化ける←・→化けさせる(使役化) との違いを解説している。
その部分で解説がほしいのは、
・化ける←・→化けさす(強制態)←・→化けさせる(使役態)という段階を踏んだ思考です。
・「化けさす」(強制態)という劇的な態変換がなければ、「化けさせる」(使役態)へ移行できないはずですから。
・「化ける」→「化かす」の「+asu接辞」も言語の深階層では強制態接辞と同じ概念で生成されたものでしょう。
・「化ける」の「+eru接辞」も同様に言語の深階層では可能態接辞と同じ概念で生成されたものでしょう。
・「見つかる」と「見つける」の自他の対から、「+aru接辞」が結果態接辞であると見なせるでしょう。
○つまり、思考停止させずに自動詞・他動詞の双対生成を仔細に、大胆に分析すれば「動詞態の基本接辞」がすべて見つかるのになぁと感じている。

(3)思考停止させずに大胆に「動詞態の基本接辞」を提言する

 前回の日本語動詞:受動態の多面性-4に記述したように、
最新考察に置き直して図示すると、日本語動詞「態の双対環」基本図、のような提言となる。

○「態の双対環」に取り上げた態の接辞:①~③は、文法的「態」の範疇としても適合するし、自動詞・他動詞のペア生成に関与する語彙的「態」の範疇にも適合しており、日本語の深階層で概念を共有していると思う。
○日本語の動詞は、印欧語などより格段に、自動詞・他動詞が双対(語根同一で語尾の接辞で自・他を区別する)となるものが多いから、語彙的「態」のルールが確立していると実感する。
○日本語学習者にも「態の双対環」で日本語の動詞態になじむ機会を増やすと効果があるだろう。


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