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日本語動詞:動詞態の双対環を操作-3

2014/01/28(火)

(1)寺村本の例文を題材にして:(受動態・可能態)つづき

 寺村本:『日本語のシンタクスと意味 第1巻』の第3章:態:受動態・可能態の節にある解説、例文を題材にして「態の双対環」を使う練習をしてみよう。

 前回、寺村本:受動態(受身)の接辞解説を引用した。本では図解でも記述があった。
○模式表記で引用する。
・Xが←[Yに V1・are・(ru)]
・Xが←[Yに V2・rare・(ru)]
・(Y:Vの動作・変化・出来事の主体)
・(X:[YがV~する]ことによって影響を受ける主体)
 と受身概念を解説されてある。
○また、可能態の形態について
・Xに←[Yが V1・e・(ru)]
・Xに←[Yが V2・rare・(ru)]
・(Y:V~することが可能・不可能かの事柄主体)
・(X:[YをV~する]ことが可能か、能力がある者)
 と解説されてある。
○つまり、受動態接辞を
・「are・ru」、「rare・ru」との区切りで考察している。
○可能態接辞を「e・ru」との区切りで考察している。
・これが大失敗だと感じます。
 (are:では接辞自身の意味が不明です。e:では接辞自身の意味が不明です)

○「態の双対環」方式では、受動態接辞を
・「ar・eru」、「rar・eru」、「sar・eru」と区切り、
・結果態接辞:「aru」と可能態接辞:「eru」とを合成したものと解釈しました。
・当然、可能態でも「eru」、「reru」、「seru」が接辞であると解釈しました。
(可能態と受動態の「・eru」要素が共通なのが明確になります)
以上が前回の概要です。

(2)「つかまれる」と「つかまれる」に有意差ありか?

○「態の双対環」方式で思考実験してみましょう。
・動詞「つかむ」の双対環
 能:つかむ/可:つかめる/結:つかまる/受:つかまれる
・動詞「つかまる」の双対環
 能:つかまる/可:つかまれる/結:つかまらる/受:つかまられる
○さて、
・「つかむ」の受動態:「つかまれる」と
・「つかまる」の可能態:「つかまれる」と
 同一の形態ですが、有意差があるのだろうか?

○まず、寺村本では、
・「つかまる」の例文や解釈が3か所ほどに記載されていますが、すっきりしない説明です。
・受動:「つかまれる」がふつうで、受動態で可能表現できる。と説明する。(理由の説明がない)
○可能態をとれない動詞の例:
①(雨が)降る/やむ、(人、物が)落ちる、かぶさる、きまる、広まる、消える
②ふさがる、つかまる、またがる、つながる
③あく、かたむく
を記載している。
・説明に、②の動詞に(e・ru)をつけられるが、可能形でなく受身の形と解釈される、とある。
・③の動詞は「(戸を)あける」、「(コップを)かたむける」と他動詞化と解釈される、とある。

○「態の双対環」方式では、当然ながら両者の意味の違いを感得できます。
・能:「つかまる」の可能態:「つかまれる」は受身の意味を含まないのです。
・可能態:「しっかりつかまって(結果として)体を安定することが可能であること」を表現する。
 (純粋に「結果+可能」の意味です。日本語話者なら受身と区別して話しているはず)
・受:「つかまれる」は受身を表し、「腕をつかまれる」ことを表現する。
 (「結果(文語受動)+可能=受動態」の意味です)
・③の動詞:1回の可能態接辞の付加では、「あける」、「かたむける」(自・他動詞の双対生成機能がはたらき)であり、
 2回目の可能接辞で「あけれる」、「かたむけれる」という正式(ら無し)の可能態表現にできるのです。
・一度も「結果態」を経由しないで可能態が生成される場合には、「ら無し」は正しい可能態表現だというのが「双対環」方式の解釈です。
・このように説明根拠を(誰でも)明快に示せるのが「態の双対環」方式の利点です。

○なお、可能態表現とは「動作(開始すること)が可能だ」ということを表します。
 (読める/書ける/開けれる/傾けれる:可能だから行為をしますの意味)
・一方、受動態で表す可能表現は、
 本来「動作し終って結果が出た段階で異常なく無事に達成できる」ことを意味します。
  「くり返しおこなっても問題ありません」という規範・世間常識として「可能です」の意味です。
・「おれはこの魚を食べれるよ」は個人の食事開始の言葉です。
・「この魚は(汚染がない、食用魚だから)食べられます」は行政のお墨付・規範として発表する言葉です。
・受動態=結果+可能の原意があり、結果を得たうえでの可能判断の意味だからです。

 次回も受動態・可能態のつづきを予定します。

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