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日本語動詞:「態の双対環」で蘇る伝承文法5

2014/03/03(月)

(1)「学校文法」が失ったもの

 「学校文法」で失ってしまったものを「態の双対環」で取り戻せたらなあと思いめぐらしています。
「学校文法」で受動態、使役態しか習っていない世代が「態の双対環」方式になじむのに時間がかかりますね。
 そこで、今回のシリーズでは、可能態、結果態、強制態に焦点をあてて、「学校文法」の落し物を拾い直してみたい。
最後の仕上げには、受動態、使役態について考察します。

(2)「使役態」の怪

 前回の「強制態」で記述したように、
・「使役態」は強制態+可能態の合成だと解釈しました。
・「強制態」の出自が文語体の使役態に相当します。
○「態の双対環」方式では、強制系統の「強制態の双対環」を提案しました。
・能動系統の「態の双対環」と相似の「双対環」ですが、直接の接続はありません。
○「学校文法」や寺村本では「強制する」という用語が出て来ますが、「強制態」という概念は出て来ません。
・使役態が合成(強制+可能)であることも深く追跡されていません。

(3)「態の双対環」使役態接辞:+(r/s)as・eru

 「態の双対環」方式では、使役態を(法則として)明示します。
・子音語幹、母音語幹を問わずにすべての動詞を使役態にできます。(形態として可能)
・例:「強制態の双対環」
・強制:休m・asu/使役:休m・as・eru/強結:休m・as・aru/強受:休m・as・ar・eru
・強制:調べ・(s)asu/使役:調べ・(s)as・eru/強結:調べ・(s)as・aru/強受:調べ・(s)as・ar・eru
・例:「二重強制態の双対環」
・二重強制:休m・as・asu/二重使役:休m・as・as・eru/二重強結:休m・as・as・aru/二重強受:休m・as・as・ar・eru

(4)使役態の意味

 使役態(接辞:+(r/s)as・eru)は、強制態と同様に動作を相手にやらせるという行為を意味しますが、「強制行為者」が仲介・受命者に対して「強制を代行させる」場合も含みます。
・動作の強制・使役、動作の許可、動作の放任なども含みます。
・「目を輝・かせて~」など自動詞を構文上の要請で使役態(他動詞化)にすることもあります。

(5)強制受動態と使役受動態の違い

 両者の違いは、前回の後半に追記した説明に示しました。ご参照ください。
(くり返しを避けて、補足だけ記述します)
○「態の双対環」方式では、
・受動態は、自分や他人が行った行為での「動作の結果状態:達成、未達成」を認識して、どう「反応することが可能」か、という構造をしていると解釈します。または、単に「動作の結果状態」に「なるのを開始します」という構造だと解釈します。
・ですから、「結果態」生成がうまくいかないと受動態がしっくりしません。
○「結果態」をうまく生成できるのは、使役受動態よりも強制受動態のほうが勝れていると感じます。
(個人的な感性ですが、次の例で思考実験してみました)

○語彙的「態」の考察です。
・動詞語幹に~s・eruがつく動詞例:かぶせるの場合、
・文語段階では、「かぶる/かぶす」の自他相対だったかも。
○能動:かぶせる/可能:かぶせれる/結果:かぶせらる/受動:かぶせられる
・文語能動:かぶす/可能:かぶせる/結果:かぶさる/受動:かぶされる
両者の「結果態」:かぶせらる/かぶさる を比べると、文語結果態のほうがはるかに結果到達を感じます。
これは「かぶ(s)eru」という音素構成によるものですが、(s)音素が特別な文法力をもっているのでしょう。
(「かぶ(s-)」の段階で「かぶ・す」の存在が想起され、「かぶ(s)e・(r)aru」の(s)音素と(r)音素がぶつかり合うのかもしれません)
○(s)の付かない例:重ねる、終える、受ける。
・結果態:重ねらる、終えらる、受けらる。
・受動態:重ねられる/終えられる/受けられる。
・どれも結果到達の感じが十分あります。
(重ねらるの場合:かさne・(r)aru: かさね以外に重複単語は想起されません)

○語彙の階層でも、(s)音素と(r)音素が態接辞として同時配列されることに「大きな抵抗」があるようです。
・もちろん、「かぶせる/かぶす」が完全同義か、「かぶせらる/かぶさる」が完全同義かどうかを考証するわけではありません。(s)/(r)同時配列する場合の聞取り感覚の問題です。
・自他相対の語彙では、動詞語幹+aru:自動詞(結果状態)/+eru:他動詞(行為動作)の音素組み合せが一番多い。おそらく、「かぶ(s)e・(r)aru」→「かぶ(s)aru」や「重ねらる」→「重なる」も伝承文法として定着していただろう。(行為の結果と結果状態との対応関係)

○使役受動態の接辞構成が(強制+可能)+(結果+可能)ですから、「強制を開始してその結果の状態が開始になる」という解釈になります。(「態の双対環」方式では推奨しない接辞構成です)
・強制受動態の接辞構成は(強制+結果+可能)であり、「強制の結果の状態が開始になる」という解釈でしょう。
○強制態では語幹に(s)音素が必ず付きますから、使役態を直接的に受動態接辞付きにせずに、強制受動態に転換する方法がよいと思います。
・強制態、使役態の場合は、「泣・か・せ・られる:使役受動」と「泣・か・される:強制受動」が同義に近いことが要求されます。
・さらに重要なのは、一語のなかでの「話しの視点」を比べると、使役受動はふらついていますが、強制受動はふらつきません。日本語では一つの文中で視点をふらつかせないのが原則ですから。
○「一語のなかで視点がふらつく」というのは、「泣かせ:強制性」+「られる:能動性」の合成状態を考察してのことですが、あくまでも行為者(仲介)側の視点です。「視点は一定で、視線がふらつく」という?べきでした。

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