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日本語文法:『曲がり角の日本語』水谷静夫3

2014/05/12(月)

(6)戻って「さ入れ言葉」を再度究明する

 水谷本の「さ入れ言葉」に対する解説が説明不足だと指摘しました。
○解説では最近の傾向として「行かせる」を「行かさせる」と言う人がふえてきたと分析する。
・将来は動詞の未然形に「させる」をつけた形に統一される可能性が大きい。と記述している。
 (第4章180頁)
○だが、これは大きな間違いだ。(「行かす」と「行かさす」で違いが分かるはず)
・「行かさせる=行k・as・as・eru」は、「-as・asu」と強制が2回くり返す「二重強制可能態」です。
 決して一段の使役態と混用してはいけません。
・この重大な混乱の危機を見逃してはいけないのです。(国語学者でも二重使役を想像できないらしい)
○使役態生成での大原則:
・動詞語幹に:+(r/s)as・eru:の使役接辞をつける。
・「行く」の語根は、「ik-」だから、
ik+as・eru:「行かせる」 でよい。
○動詞の未然形につなげる接辞:ひらがなで表す場合でも、受動:「れる/られる」、使役:「せる/させる」のように2通りで示します。
・これは動詞語幹の子音/母音(一段活用/五段活用)との接続を考慮した法則によるものです。
・音素表現で接辞を表せば、「+(r/s)ar・eru」、「+(r/s)as・eru」を意味するものです。
・本来の動詞生成の法則が音素合成によるものですから、使役接辞だけ「ひらがな合成」で良しとするわけにはいきません。
○日本語の動詞生成の原初の時代から、音素合成により語彙が産み出されてきた。
例:休む:
・yasum・u/yasum・eru/yasum・aru/yasum・ar・eru
/yasum・asu/yasum・as・eru/yasum・as・aru/yasum・as・ar・eru/
例:食べる:
・tabe・(r)u/tabe・(r)eru/tabe・(r)aru/tabe・(r)ar・eru
/tabe・(s)asu/tabe・(s)as・eru/tabe・(s)as・er・ar・eru/
○これらの接辞音素の構造を共通の法則として文法化するべきではないでしょうか。
(これを方式化したのが「態の双対環」です)

 水谷本の記述を読み返しながら、国語学者の使役態への理解の薄さが非常に気にかかります。
 (第1章18頁:これについては次回に投稿する)
が、当方の説明も不足気味かと感じます。
気を鎮めて整理して記述し直します。
○自他動詞のすべてが「強制態:歩かす、読ます、など」に変換でき、その動作を相手にやらせる意味(もしくは他動詞に)に転換できます。(「強制態」は強力な動詞表現なのに、残念ながら東京語では隠れた存在になっているようです)
○強制や使役を二重化して使うことがあります。こういう用法を日本語学者や学校文法が認識していないことが残念です。
○二重使役は、3者間での強制・使役の動作を表す言語表現です。発話の状況から2通りの事例があります。
①二段命令型の強制・使役:(もし一段使役で言うと意味が通じない)
例:母親が子に犬を散歩さ・させる。(散歩させ・させる)
②受命要請型の強制・使役:(中間役が要請と使役の二役をする。一段使役でも辛うじて意味は通じる?)
例:教師に母が子供を休ま・させたいと連絡する。(同義:休ま・させて・ください)
(上位者から許可や許容を受けて、使役に当たる動作をするための依頼表現です)
・これらは、最上位者の視点で「物事を把握する」ための表現と言える。
・社会構造の階層化が進みはじめた労働環境の裾広がりでは、受命要請型の二重使役表現(正しい「さ入れ言葉」)が増えるのは自然の成り行きか。
○正しい「さ入れ言葉」を理解したら、間違った「さ入れ言葉」を峻別できると思います。

○使役形を本当に理解するためには、強制態の練習が欠かせない。
・「強制態接辞:-(r/s)asu」の練習:
「行かす、来さす、歩かす、読ます、書かす、立たす、驚かす、休ます、働かす、食べさす、片付けさす、歌わす、走らす、習わす、寝かす、寝さす、聞かす、しゃべらす、考えさす、思わす、泣かす、笑わす、泳がす、流す、正す、打たす、疑わす、うそ付かす、、、」すべての動詞が強制態を作れます。
○関西弁では「強制態」をよく使うようです。
・推測ですが、関西では「笑わす/笑かす」が両用されているようです。「寝さす/寝かす」の用例から類推すると、「笑かす」:相手の意図に関係なく無意識でも、無理やりにでも笑わせてしまう(技術)を意味しているのだろう。

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