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日本語文法:『曲がり角の日本語』水谷静夫2

2014/05/08(木)
(4)「曲がり角の日本語文法」

 水谷本での動詞の態接辞に関する記述が先進的な内容に見えたが、読み通してみると非常に中途半端な領域にとどまっていると感じる。
そのさきを乗り越えて、曲がったところに真の日本語文法があるのではないか。
○動詞「つなぐ」:最近では自動詞「つながる」と他動詞「つなげる」が普通に使われる、と述べている。
○tunag・aru/tunag・eruの「aru」と「eru」を接辞とみなしている。が、
○ただ、自動詞/他動詞の対を生成する接辞とみているようだが、「動詞の態の双対性」につながる重要性に気づいていないようです。その先に進んで「態の接辞の全体像」を展開してほしい。
・ローマ字解析を続けて、全体像をきちんと解説していただきたっかった。
○受動態:tunag・ar・eruの接辞構成に対する言及がない。
○受動態:tunag・e(r)・ar・eruの接辞構成「ar・eru」に対する言及もない。
○強制態:tunag・asu
・使役態:tunag・as・eruの接辞構成:
○強制態の接辞:「asu」、
・使役態(強制可能態)接辞:「as・eru」を説明していない。

 この動詞態の接辞は自動詞/他動詞の対を生み出す、また、能動/可能/結果/受動/強制/使役を生み出す「打ち出の小槌」といえる。
「態の双対環」方式による打ち出の小槌:
・能動:tunaguつなぐ/可能:tunag・eruつなげる/結果:tunag・aruつながる/受動:tunag・ar・eruつながれる。
・強制:つながす/強制可能(使役):つながせる/強制結果:つながせらる/強制受動:つながせられる。
(打ち出の小槌から動詞が次々に生まれ出る)
・能動(可能):つなげる/再可能:つなげれる/結果:つなげらる/受動:つなげられる。
・能動(使役):つながせる/可能(使役):つながせれる/結果(使役):つながせらる/受動(使役):つながせられる。

○水谷本では指摘がないが、各接辞の頭部には(r/s)を付けて構成し、動詞語幹が母音終わりのとき、rかsをつけて接辞する。
○母音語幹:食べる
・tabe(r)eru:可能
・tabe(r)ar・eru:受動(動作の結果に到達可能であるの意)
・tabe(s)asu:強制
・tabe(s)as・eru:使役
○能動系母音語幹には(r)をつけ、強制系を表現するときには(s)を接辞先行させる。これも伝承文法だろう。
○強制系での動詞表現のこまやかさには、
・例 寝る:
・ne(k)asu:乳児など無意思の相手を寝させる。
・ne(s)asu:相手の意思を勘案しつつ強制する。
・ne(r)asu:相手の意思で寝るにまかす。
のように、3通りの表現で区別できると考えてよいかもしれない。
○能動系/強制系への渡り交差でR/S(:られる/される、らす/さす などの違い)の選択・飛び移りを考察している著作には、佐久間鼎、金谷武洋がある。
 手前味噌になるが「態の双対環」方式の動詞態接辞をしっかり身につけ終わっていれば、「曲がり角の日本語」を乗り切れるだろう。
○学習者に動詞を一つ例示して、
・「態の双対環」方式の打ち出の小槌を振る練習をさせる。
・あっと言う間にたくさんの動詞態が生成されて驚くと同時に、「態の双対環」文法則も身についてしまうかもしれない。
○日本語母語話者の場合、日常会話の語彙の中で受動、使役の関連性を見つけているだけでは、文法則のレベルで身についていないから、たとえば「ら抜き/さ入れ」言葉を納得できないでいる。
本来、正しく使えば合理的な用法なのだから、「打ち出の小槌」として見直してほしい。

(5)「打ち出の小槌」の得失

 日本語の動詞が「打ち出の小槌」の利得を借りて、「態の変幻自在」を生み出した。
○自動詞/他動詞の対関係が発達したり、受動態・強制態が発達した。
○その影響を受けて日本語の構文は大きく変わったのではないか。
(伝承文法が根づく頃、いつか?)
○前回の最後尾に記した「格助詞のゆらぎ」は、変幻自在の動詞態方式が遠因かもしれない。
○例文
・英語(が/を/に/で)読める。
・英語(副助詞:は/も/なら/とか/・)読める。
・コンニャク(が/*を/*に/で/は/なら)太らない。
・仕事(が/を/に/は/も)変わる。
○これらは、英語-読める、コンニャク-太らない、仕事-変わる という語順の構造が決め手になり、格助詞がつなぎの添え物的になっている。
・もちろん格助詞が「補述演算」での意味解釈に重要な役割をはたしてはいる。
(以下、次回につづく)

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