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日本語文法:『曲がり角の日本語』水谷静夫5

2014/05/19(月)

 水谷本シリーズの初回、2回目にふれた「格助詞の重なりやゆらぎ」について、別の視点から思考実験してシリーズ完了にしよう。

(8)補語の役割:格助詞

○水谷本では、「~が~が~述語」、「~に~に~述語」、「~を~を~述語」など同一格助詞つきの補語が重なる文があるという。
・格助詞付きの補語が重なり説明が詳細になることはよいことだろう。
・反対に最近、会話文では「格助詞なし/副助詞まかせ」の補語(「~とか~とか~述語」)で済ませる若者が多いという。

○思考実験からの例文:格助詞がどれでも通用する構文。
・英語(が/を/に/で)読める。
・英語(副助詞:は/も/なら/とか/・)読める。
・コンニャク(が/*を/*に/で/は/なら)太らない。
・仕事(が/を/に/は/も)変わる。
○それぞれがどんな場面で成り立つ文なのかを想像させて説明させる訓練もおもしろいかもしれない。
○しかし、文法規則として統一的な説明ができないこと:語感を教える難しさを考えると、日本語学習の上級レベルまで待つべきか。

(9)態変化による補語の交代:格助詞の意味の交代

○水谷本の引用例:
・**
  司馬遼太郎『坂の上の雲』文春文庫1288頁:
  ** 旧藩が鳴雪に期待していたのはその士大夫(したいふ)としての素養や精神をもって書生たちを感化せしめることであり **
・簡略化:
①「旧藩が鳴雪に書生たちを感化させる」
・この文の態を変えて、鳴雪を主役化してみる。
②「鳴雪が旧藩に書生たちを感化さされる(感化させられる)」
○「~が格補語」の交代で、①は動作主を、②では被動作主を意味している。
○「~に格補語」も①では被動作主、②では動作主に接続している。
○①の述語:「感化させる」→動作主の視点で見た行為。
 ②の述語:「感化さされる(感化させられる)」→被動作主の視点で見た行為。
○現代の日本語では、動作主/被動作主の2者間行為の「補語述語の態表現」を上記のように正確におこなえる。

○問題は「3者間行為の補語述語の態表現」です。
③「書生たちが(旧藩が内命する)鳴雪に感化さ(さ)れる(感化さ(せら)れる)」が正式(カッコ内を省略しない)な表現方法でしょう。
○③の述語:間接的な被動作者から見た行為。(内命まで見抜いた表現です)
○通常、書生たちは内命まで見抜けないので、「単に鳴雪に感化される」と思うかもしれない。
 水谷本でも見抜けていないから「さもありなん」です。
○「3者間の態表現」の課題は、受動態に変換するときの格助詞をどうするか、述語をどうするか です。
 構文上の主役が「書生たち」に代わると、本来の動作主「旧藩」を表す「格助詞」が怪しくなります。
③-2「書生たちが(旧藩の期待通りに)鳴雪に感化させられる」と意図的に動作主の行為を示すとか、
・旧藩が内命する→鳴雪に のように「動作主を連体修飾句にする」とか、
「旧藩による鳴雪に」のように「~による接続助詞」を専用使用するとか、知恵をだす必要があります。
 また、述語にも工夫が要ります。
・強制さされる被動作主には→(鳴雪が)「感化さされる」を述語とし、(強制受動態)
・結果を受ける間接被動作者には→(書生たちが)「感化させられる」を述語とする。(使役受動態)
 という区別が定着すると分かりやすい。
(「強制態」をよく使う関西人の知恵を借りたいですね。司馬遼太郎も関西人でしたから、用例があるでしょうか)

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