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日本語動詞:「使役交替」有対動詞

2014/06/15(日)

 国立国語研究所のwebページに6月10日付けで「お知らせ」記事が出ている。
~『使役交替言語地図』 (The World Atlas of Transitivity Pairs (WATP)) を公開しました。~

早速、中身を閲覧してみました。
○冒頭に:
>引用記事:はじまり
「使役交替言語地図」とは
「使役交替言語地図」 (The World Atlas of Transitivity Pairs (WATP)) は、世界の言語の形態的関連のある有対動詞を収集した地理類型論的なデータベースです。形態的関連のある有対動詞は、使役交替に参与し、例えば、日本語の自動詞「開く」と他動詞「開ける」では、「ドアが開いた」、「太郎がドアを開けた」のようにペアとなって現れます。40名以上の研究者から提供された約50言語のデータは、研究目的でダウンロードして利用することができます。
○データの分析法:
 使役交替動詞対データの作成にあたっては、Haspelmath (1993) で提案された31の動詞対と、
以下の表に示す5つの形式的関係のタイプに基づいて分析しています。
Photo
 Haspelmath (1993) の付録に挙がっている21言語のデータは、上記の5分類によって分析されていますが、なかには、上記のいずれの派生型にも分類できないデータもわずかながら存在します。他動性プロジェクトでは、各言語の専門家であるプロジェクトメンバーが、担当言語の有対動詞の形式的な関係を分析し、上記の5分類では分析できないペアを「O(Others:その他)」として分類しています。また、同じ言語でも研究者によって分析が異なる場合があることから、Haspelmath (1993) で採取された言語と重複する言語についてもデータを採取しています。
「使役交替言語地図」に収録されている使役交替動詞対データは以下の3つです。各言語のデータは、データダウンロードからダウンロードできます( (b)については対応予定 )。
(a)他動性プロジェクトの共同研究者から提供を受けたデータ
(b)Martin Haspelmath氏から提供を受けた Haspelmath (1993) の付録に挙がっている21言語のデータ
(c)Bernard Comrie氏から提供を受けたスウェーデン語、ツェズ語、マルタ語のデータ
>引用記事:抜き出しおわり

 以上の内容を閲覧して、研究内容の方向性を理解することができました。
当方も興味をひかれるものですし、データチャートを閲覧して各国言語でも自動詞・他動詞の有対構成が存在することが分かりました。(動詞の効率的使用につながる)
また、北京語のように「自他同形型」の多い言語も動詞効率性の観点で言えば同じ方向であるとも言える。

 思考実験中の「態の双対環」方式の導入を経験した視点からみて感じるところを個条的に書き出すと、
①「使役交替動詞」という分析法の選択軸:動詞全体を自動詞化/他動詞化の二分軸で分類するのは正しいだろうか?
 この二分法は、④に述べる「一本の連続線に動詞対を並べる」と同様の調査手法であり、新鮮味がなく、単に言語観の違いを調べるのに役立つだけと思われる。
②「自動詞/他動詞相互間への派生有無」を(派生接辞の)有標か無標かで判断するのは、論理的で便利ではあるが、接辞自身が深層意義により多様に使い回されることが多いことに配慮できない。
③「使役交替」の分析で各国言語を広く調べた後、「各言語固有の接辞」について各国語の研究が必要で、「自動詞の使役化→他動詞化」や「他動詞の受動態化→自動詞化」などの文法機能が存在する場合、注意深く整理すべきだろう。
④日本語文法では「自動詞・他動詞の有対性」が古くから論じられてきた。「自然発生的な人為の及ばない方向」と「使役のように人為的な動作の方向」を両極に持つ一本の連続線にすべての動詞が並ぶ姿を思い描いてきたようだ。残念ながら「一本の連続線」だけでは文法成果を見いだせていない。
具体的な成果は、①、④の動詞仮説では言語運用ルール:活用できる文法としての答えを出せないと思う。


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