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日本語文法:動詞語幹と態接辞の接合法3

2014/07/17(木)

(3)「動詞態の接辞接合法」の原理を貫く

 前節(前回)の「ら抜き言葉」部分で、
○態の接辞接合法の原理を忠実に貫けば、「ら抜き言葉」こそ正しい「可能態」表現です と記述しました。
 新書判の文法書やネット上での「ら抜き言葉」の騒ぎが起きる?のを見るにつけて、いつも感じることは「態接辞の接合法の基本原理」を思い出してほしいという ことです。
○可能態を表現するときの基本原理は、動詞語幹に可能態接辞:+(r/s)eru を付加することです。
・VⅠ子音語幹:書ける・読める・飲める:語幹+eru(原理:子音語幹には接合子音がいらない) 
・VⅡ母音語幹:着れる・食べれる・伸びれる:語幹+(r)eru(原理:母音語幹には接合子音をはさむ)
この基本原理は突飛なことでなく、他の態接辞と同様の接合法です。

 ところが、学校文法では誤った伝統のもとで、母音語幹の動詞には無理やりに
・VⅡ母音語幹:語幹+(r)ar・eru 受動態接辞を付けさせる。
だから、着られる・食べられる・伸びられる が可能態に代用されてしまいます。
○受動態で代用する「可能」は、正式な可能態:着れる・食べれる・伸びれる とは意味が大きく違います。
○大事な生得の感性で「着れる・食べれる・伸びれる」としゃべっていた小学生も、学校文法で感性を曲げられてしまいます。
○着れる:は、着る前にできそうだというときの言葉です。
○着られる:は、着終わった結果、できた状態をいうときの言葉です。
○通常の可能態は、動作開始の時点での可能性を表現するものです。
○受動態が表現する「可能」は、広く誰もが繰り返し実行をして結果を出せるという意味を含んでいます。
ですから、学校文法も罪作りなことを長年繰り返しているんです。
可能態生成の基本原理を忠実に貫いていればいいだけなのに、残念ですね。

 上記の例は、学校文法が母音語幹VⅡグループの動詞に対して行う「可能態」の誤用教育なのですが、これを正しい教育に直すには、どうしますか?
・可能態:着れる、食べれる、伸びれる(基本原理に適う)
・受動態:着られる、食べられる、伸びられる(基本原理にかなう:「可能態」と等価ではありません)
と正しく考察できるようにしたいですね。
 言葉の使い方が巧みなのは、関西人です。関西語から例を引きましょう。
○VⅠグループ子音語幹の動詞の可能態:書ける、読める、飲めるの言語運用法がすばらしい。
○この可能態の打消し形:書けへん、読めへん、飲めへんは通常使わずに、受動態の打消し形:書かれへん、読まれへん、飲まれへんを使うと言います。
①「熱うて飲まへん/飲めへん」ではなくて、
②「熱うて飲まれへん」と言うのが普通だそうです。すばらしいですね。
東京語では思いつかない用法ですが、関西人の真意が分かれば納得できます。
①「(ワイは)熱うて飲まへん/飲めへん」では、意図的に動作しないように解釈されそうです。
②「(このスープは)熱うて飲まれへん」のように受動態で表現すれば、物事の状態に依る不可能であり、不作為な・不本意な不可能を表現できるからです。
(作為/不作為の感覚を補語を立てなくても表現しているのです)
東京語で言うなら、
②「(このスープは)熱くて飲まれないよ」ですが、現代人は「熱くて飲めないよ」と作為の不可能表現のほうがよいと思うのかもしれません。(子供の頃には不本意な不可能を受動態打消し形で表現していたはずですが)
○関西人には「可能態」と「受動態」の意味の違いを生得の感性として身につけ、伝承し続ける環境にあるのでしょう。

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