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日本語文法:動詞語幹と態接辞の接合法

2014/07/13(日)

 語幹と接辞(活用語尾)の重要な文法則の一つ:「態の接辞」を整理します。
現代文法(学校文法)の盲点を指摘する前に、原点たるべき伝承文法の深層を提示してみます。

(1)「動詞態の接辞」を深く理解する

 「態の接辞」を理解するための重要事項は次の3つです。
①動詞語幹の種類
②態の接辞の種類
③動詞語幹と態接辞との接合法則

 まず、①から解説すると、
①動詞語幹の種類:3種類(VⅠ/VⅡ/VⅢ)
 ・VⅠ:子音語幹:休むyasum‐/書くkak‐/立つtat‐/飲むnom‐
 (いわゆる五段活用動詞の語幹)
 ・VⅡ:母音語幹:考えるkangae‐/食べるtabe‐/伸びるnobi‐
 (いわゆる下一段、上一段活用動詞の語幹)
 ・VⅢ:不規則動詞語幹:来るk‐/するs‐ などごくわずかです。

 つぎに②の説明です。(参考図:日本語動詞:「態の双対多重環」図)
②態の接辞の種類:4種類×2組(3組)
 ・能動態接辞:+(r/s)u
 ・可能態接辞:+(r/s)eru
 ・結果態接辞:+(r/s)aru
 ・受動態接辞:+(r/s)ar・eru
○相似的な構成ですが、強制系(相手にやらせる動詞態です)があります。
 ・強制態接辞:+(s/r)asu
 ・強制可能態接辞:+(s/r)as・eru (使役態接辞と等価です)
 ・強制結果態接辞:+(s/r)as・aru
 ・強制受動態接辞:+(s/r)as・ar・eru

(二段階の強制系もありえます)
(二重強制態接辞:+(s/r)as・asu です。その4種類は各自練習してみてください)

つぎに③の説明です。
③動詞語幹と態接辞との接合法則:
・態接辞の表記法:
(接合子音、または接合母音)+態接辞本体 で表記します。
○態の接辞本体は、すべて母音始まりですから、(接合子音)が必要です。
 ・VⅠ:子音語幹動詞との接合:態接辞本体と直接つながります。(接合子音)を外してつなぎます。
 ・VⅡ:母音語幹動詞との接合:(接合子音)をはさんで態接辞本体とつなげます。
○(r/s)や(s/r)の接合子音が必要か、不要かの判断は日本語母語者ならば無意識にしているはずでしょう。
 VⅡ:母音語幹動詞では、
○食べる:tabe+(r)u←(r)必要
○食べさす:tabe+(s)asu←(s)必要
のように、必ず接合子音をはさみます。
さらに挿入する接合子音が能動系(r)と強制系(s)で最適な意味に選択されるのが普通です。
一方、VⅠ:子音語幹動詞では
○休む:yasum+u←(r/s)不要
○休ます:yasum+asu←(r/s)不要
態の接辞本体が直接つなげられます。

 この③動詞語幹と態の接辞との接合法則の重要な点をもう一度書き留めておきます。
○態接辞に(r/s)付加した表記の意味は、
・すべての動詞語幹(VⅠ/VⅡ)にそれぞれの態接辞をつけて活用できることを示しています。
○例:「可能態」もすべての動詞に付けれるのです。(可能動詞だけを想定するでは片手落ちです)
・休める:yasum+eru
・食べれる:tabe+(r)eru
・伸びれる:nobi+(r)eru
すべての動詞が同じ原則で「可能態表現」をとれます。
(ら抜き言葉ではなく、正しい「可能態」の表現です。ら抜き言葉という言葉自身が間違いです)
○例:「受動態」もすべての動詞に付けれるのです。
・休まれる:yasum+ar・eru
・食べられる:tabe+(r)ar・eru
・伸びられる:nobi+(r)ar・eru

 「受動態」と「可能態」とが言い表す可能の意味は同じものではありません。
○「可能態」の可能:今、動作が可能だ、動作の開始が可能だということを表現する。
○「受動態」の可能:「受動態」=「結果態」+「可能態」の合成表現の構造ですから、「動作した結果の状態、影響」を明確に表現するものです。
・食べれる:今、目の前にあるものを食べることができる。
・食べられる:食べた結果、(毒ではなく)くり返し食べることができる。(毎日つつがなく)食べて行けてます。(誰でも通念的に)食べてよいものです。

○このような「可能態」と「受動態」の意味の違いを明確に感じ取る感性を持った方々も多いのですが、学校文法や国語学者、文法学者のなかでは感性が途絶してしまったようです。
(生得の感性を忘れずに大人に成っていれば、休める/休まれる:で大きな違いを感じると同様に、食べれる/食べられる:で大きな違いを感じ取れるはずです。「食べれる」と「食べられる」は等価ではありません。まったく意味範囲が違うものなのに、不幸にして文法学者に混同されてしまうとは、「食べれる」が非難されてしまうとは、、)

 いま、思考実験を続けてきた結果として、「結果態」の重要さを内包している「受動態」が表現する意味の広さを実感できましたから、個人的には確実に語り継ぎ、深層の伝承文法を絶やさないようにしたいと思い入れています。
○「結果態」、「強制態」も確実に語り継ぐ必要性が高まっていると感じます。
・「結果態」=文語受動表現、「強制態」=文語使役表現を担ってきたものですし、自他動詞の単語そのものにたくさん組み込まれています。忘れ去るには忍びなさ過ぎますし、現に伝承文法として根づいているはずです。

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