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日本語動詞:動詞態の双対環を操作-8

2014/09/02(火)

 動詞態の双対環を操作する のまとめを記載します。
日本語動詞:動詞態の双対環を操作-1
(1)寺村本の例文を題材にして
寺村本:『日本語のシンタクスと意味 第1巻』寺村秀夫:くろしお出版:1982年11月10日第1刷/2005年1月20日第17刷
「第1巻」の第3章:態 の冒頭部分にある例文を題材にして「態の双対環」を使う練習をしてみよう。
①太郎が浜辺で亀をつかまえた。(つかまえた:能動態・他動詞)
②亀が浜辺で太郎につかまえられた。(つかまえられた:受動態・他動詞)
③亀が浜辺で太郎につかまった。(つかまる:自動詞)
・「つかまえる」と「つかまる」の対応は一方を元に規則的に他を派生できる対応ではない。と明記してある。
〇「規則的に態を派生する」法則を前提にしていることが分かります。 第3章:態 の節立てが
・態-a.文法的「態」-①受動態②可能態③自発態④使役態
  ↘-b.語彙的「態」-⑤(同一語根から分かれた)自動詞・他動詞の対立
 という順序で著述されてある。
(語彙的態と文法的態に関わる接辞がほぼ共通であることに言及がない。残念ですね)
(2)「つかまる」と「つかむ」の態
〇「つかまえる」と「つかまる」は語彙が別なので、解説が出てくるのは語彙的「態」の節になります。
〇「態の双対環」方式になじまれた方々なら、
・能動つかむ→可能つかめる→結果つかまる→受動つかまれる の派生関係にすぐ気づかれるでしょう。
・能動つかまる→可能つかまれる→?結果つかまらる→?受動つかまられる(幼児の何気ない動作)
・能動つかまえる→可能つかまえれる→結果つかまえらる→受動つかまえられる
 語彙が別であることには、納得できますね。
〇「つかまる」の意味が「つかむ動作の結果」を表すと同時に、文語体時代の受動「つかまる:つかまれる」の意味を残しているからなのだろうか。

日本語動詞:動詞態の双対環を操作-2
(1)寺村本の例文を題材にして:(受動態・可能態)
〇寺村本では「接辞」という用語を使わずに、~の形(受身の形)と表現している。(接辞は当方の記載法)
寺村本:受動態の形
態の接辞を動詞語幹につなげる手順が解説され、動詞V語幹の種別分けが示されている。
・V1:語幹が子音で終る動詞(五段活用動詞)
語幹+are(ru) 例:sinu→sin・are・ru
・V2:語幹が母音(i,e)で終る動詞(上、下一段活用動詞)
語幹+rare(ru) 例:sodateru→sodate・rare・ru
・V3:不規則動詞(サ行、カ行変格活用動詞)
suru→s・are(ru)
kuru→ko・rare(ru)
(2)寺村動詞態の残念な結果
〇寺村本では、動詞語幹のグループを3つに分けた。
・V1類:子音語幹、V2類:母音語幹、V3類:不規則動詞(か行、さ行不規則活用)
・この視点は素晴らしいのだが、それに接合する「受動態の接辞」に対して洞察が足りないのではなかろうか。
〇受動態の形をV1~V3語幹にあわせてローマ字つづりで示しているだけ。
〇「態の双対環」方式を提起する立場からみると、
・基本文法として「V1~V3語幹のどれにも対応できる接辞表記」にすべきだと助言したい。
 つまり、受動態の接辞=(r/s)ar・eru とすべきでしょう。
・(r/s):母音語幹にはrかsをはさみます。子音語幹にはrもsもはさまない。
・aru:動作結果の状態を表します。深層含意は文語体での受動態を表す接辞です。
・eru:可能態、自発態などへ転換する接辞。
〇寺村本では「態の形態」で折角ローマ字つづりを使いながら、深層分析ができていないはなぜでしょうか。
・態の章の節立てですでに錯誤があり、文法的態を先行説明して語彙的態を後回しにしたことが間違いを呼んだかもしれない。

日本語動詞:動詞態の双対環を操作-3
(1)寺村本の例文を題材にして:(受動態・可能態)つづき
〇寺村本の受動態:子音語幹+are(ru)/母音語幹+rare(ru)と解説する。
〇「態の双対環」では、受動態の接辞=(r/s)ar・eru に集約して考え、さらにaru:結果態+eru:可能態の合成で接辞ができたものと解釈する。
(2)「つかまれる」と「つかまれる」に有意差ありか?
〇寺村本では、「つかむ/つかまれる:受動態」と「つかまる/つかまれる:可能態」を比べている。形態として可能態もありうるが、通常は受動態と解釈されると限定している。
〇「態の双対環」としては、同形になったとしても、受動態も可能態もそれぞれ混同されず話されていると見なします。(つかまる自身が二義の語ですから、二義に対する生得の感性があるはずです。さらに「態の双対環」で根拠をつかめれば鬼に金棒です)

日本語動詞:動詞態の双対環を操作-4
(1)寺村本の例文を題材にして:(受動態・可能態)つづき
(2)寺村本が見落したもの
〇寺村本の「態の解説」には、文法的「態」と語彙的「態」を考察してあり、両者の関連も大事との指摘がありますが、直接的に関連を証拠立てるような考察がまったくありません。
・語彙的「態」の解説で、自動詞・他動詞の双対生成の接辞において、「aru/eru」接辞の組み合せで「自・他の対」になっている動詞が一番多い。とありますが、この2つが合成された受動態:「ar(u)+eru」にはその合成に気づいていません。
〇意味の深階層で語彙的「態の接辞」と文法的「態の接辞」が密接に結びついていることを見逃しています。
(3)態の接辞自身の意味
寺村本では、動詞態を「接辞の意味」から解析する視点がよわいと思います。
○例文:可能態でも、受動態でも表現できる場合、
・どうしても行けない/どうしても行かれない
・そんなに一度に飲めない/そんなに一度に飲まれない と、両用される。
○とくに、成句では、
・泣くに泣かれぬ気持だった
・止むに止まれぬ気持から・・・
・言うに言われぬ苦しみを・・・ のように、受動形が固定している。
〇また、思考の動詞では、
・「思える」よりも、「思われる/思い出される/考えられる/信じられる」など「受動形」が多く用いられる。
○残念ながらその理由は説明なし。
(寺村本は可能態と受動態の意味の差がどれほど大きいのか理解できていないのでしょう)

 以上、まとめ追記したことがらを、以下の「態の双対環」操作で具体的に指摘しています。
日本語動詞:動詞態の双対環を操作-5
(1)寺村本の例文を題材にして:(受動態・可能態)つづき
(2)態の接辞:文法的「態」と語彙的「態」を解明する
(3)「態の接辞の意味」一覧表

日本語動詞:動詞態の双対環を操作-6
(1)動詞態の接辞:文法的「態」と語彙的「態」の連係を解明する(つづき)
(2)各接辞冒頭にある「+(r/s)」の用法
(3)r/sの意味は重要です

日本語動詞:動詞態の双対環を操作-7
(1)動詞態の接辞:文法的「態」と語彙的「態」の連係を解明する(つづき)
(2)関西語の+(r/s)接辞
(3)態の全体構成を習熟するには

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