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日本語動詞:自他ともに「を格補語」をとる

2014/09/22(月)

(1)自動詞も「を格補語」をとります

 前回の自他対応解析表で自動詞構文、他動詞構文でも「を格補語」ができる例を見ましたが、少し掘り下げて考察します。
 世の中のおそらく多くの言語では、自動詞でも他動詞でも「を格補語構文」を持つものが存在しているのではないでしょうか。
日本語も自・他動詞ともに「を格補語」を使って構文を作ります。
〇他動詞が動作の対象を目的語として「を格補語」を使って構文をつくります。
〇自動詞は本来の意味が「自然の状態」表現や「自分の行為が他におよばない動作」を表現するものですから、「動作の目的語」としては限定的になります。
・「自分に向かう再帰的な動作対象」を示すくらいなのかもしれません。
・とは言え、自動詞では「目的語」機能以外に、別の機能:関与対象にも「を格補語」を活用しています。

(2)が格・に格・を格の三主要補語

 構文のなかで主要な役割をはたす登場人物は「が格・に格・を格」の補語で表します。
 他にも主要格助詞に「と、へ、で」がありますが、ここでは考察の対象外とします。
〇主要格補語の機能を略記する。
・が格補語:動作主(能動文)/被動作主(受動文)を表す。
・に格補語:被動作主(能動文)/動作主(受動文)を表す。
・を格補語:①動作対象を表す、②動作時空(場所、時間、起点)を表す、③動作状況を表す。
〇が格/に格:は能動文の場合と受動文の場合で動作主/被動作主の立場(格の付け替え)が逆転します。
〇一方、日本語では受動文で目的語:「を格補語」を主格にする構文は多くありません。
・「足が踏まれた」よりも「足を踏まれた」と表現するほうが多いでしょう。
 インターネット上で「を格補語」に関する資料類を検索して読み比べてみましたが、専門的な文献では自動詞の意味分類、機能分類に主力が向いているので簡潔な文法から離れすぎています。

(3)日本語構文の3段階

 そこで視点を変えてみましょう。日常会話や文章の中で使う文型・構文は本来なら機能と意味合いが決まっているでしょう。
 少し結論を急ぐと、構文の形式には次の3種:判断措定文・結果状態文・動作叙述文の3つがあると考察する。
(当然、自動詞/他動詞の両方に適用できるものです。)
①判断措定文型:A君が仕事が変わる。寝ているとき口があく。(象が鼻が長い・英語がわかる)
②結果状態文型:A君が仕事を変わる。口をあいてください。(完了形、結果態を使う)
③動作叙述文型:A君が仕事を変える(他)。口をあける(他)。

 たとえば、
・「君を好きだ③型」とは言わずに、「君が好きだ①型」を選んで使う理由は、①型には本人の判断を伴って言い切る機能があるからだろう。
・「仕事を変わる②型」は「変わる/変える」自他対応形式の結果態:変わるですから、動作結果の状態を表現しています。さらに「変わった」と完了形になれば、結果状態への転換が明確になります。
・「口をあいて②型」は「あく/あける」自他対応の結果態:あかるが流通していれば、「口をあかってください②型」が存在するでしょうね。
 歯科医が患者に口をあいた状態になるように促すときの構文です。
・「口をあける③型」は歯科で患者自身が自分の口をあける動作の表現です。
〇「仕事を変わる②型」と「仕事を変える③型」とは、ちょうど動詞の動作相:アスペクトが変わった程度の差しかない構文です。
・「仕事を」変わる/変えるの「を格補語」は①動作対象と言えるし、短文構成の場合では軽い意味での④関与対象を表すものかもしれない。

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