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日本語文法:結果態の謎

2014/10/08(水)

(1)受動態(可能・尊敬・自発・受身)の多義性を解消すべき

 インターネット検索して見つけた書籍:『再構築した日本語文法』小島剛一:ひつじ書房:2012年8月1日
を注文して読んでいます。
小島本では日本語文法の全体を西欧語、ロシア語、トルコ語などの文法と比較して共通性と特異性を明確にして詳細に再構築した文法書です。
日本語の特異な側面は、従来の文法用語ではなく、随所に新しく造語した用語で説明しています。
たとえば、結果態、受動態と言わずに、結果相、情動相を造語して説明しています。
〇例文:他言語で能動文、受動文で表すものを、
・能動・完了形:昭夫君が黒板に何かを書いた。(他言語・能動文)
・能動・結果相:黒板に何かが書いてある。(他言語・受動文)
・日本語の情動相(受動態)はこんな場面では使わない。
(疑似受動態)黒板に何かが書かれてある。(小島本では不正と判定:情動表現がいらない場面だから)
・情動相(受身表現)は、可能・尊敬・自発・受身のうち、もっぱら受身のみを表す。
・さらに受身表現の本質は、「制御できない他者の行為や状態推移に起因する迷惑または喜悦など」の情動の表現です。と非常に狭義的に定義したものです。
〇つまり、日本語の受身表現がそれだけ特異的な側面があり、他言語からの学習者にはこの点を明確に教え込む必要があるという。
〇同時に日本人の文法として腹を決める必要がある。
・可能の表現は、「ら抜き可能形」を含めた可能態専用の形態に分離するべきだ。(ら抜きはよい変化方向)
・尊敬の表現は、受動態でなく専用の尊敬語彙を使うこと。(次節で思考実験する)
・自発の表現は、責任逃れ・言い逃れのために使う場面が多いので、整理すべきだ。
・他言語の受動態を情動相(日本語の受身形)で翻訳するのは間違いだ。(これの解消も難儀なものだ)
〇小島本「再構築した日本語文法」の特徴的な部分です。

(2)結果態動詞は能動?受動?

 思考実験します。
〇「態の双対環」方式では、
・能動系:能動態/可能態/結果態/受動態の双対環
・強制系:強制態/強制可能態(使役態)/強制結果態/強制受動態の双対環 を想定します。
〇受動態は、受身だけでなく尊敬相、結果論的可能を表現するものと想定します。

 まず、結果態について考察します。(2016年:挿入音素[r][s]を接辞側から外し動詞語幹へ
付加する方式に変更)
・結果態接辞:「ある:aru」 文語体での受動態助動詞に相当。
・強制結果態接辞:「あす:as・aru」 です。
〇小島本で「尊敬のための動詞」として例記したもの、
・行かれる→いらっしゃる、おいでになる
・来られる→いらっしゃる、おいでになる、お見えになる
・言われる→おっしゃる
・される→なさる
〇これを「態の双対環」方式で考察すると、
・(行って、来て、そこに)居る→居らす(強制態・尊敬表現でもある)→居らさる(強制結果態)→いらっしゃる(音便変化)
・(仰せになる)仰す(能動で流通したか疑問)→仰さる(結果態)→おっしゃる(音便変化)
・(なる→なす)→なさる(結果態・関西で:なはる、~はる)
〇このように尊敬で使う結果態の動詞は能動性の表現として解釈できます。
〇文語体・口語体の転換時期では音便変化の助けを借りて徐々に定着していったのかもしれない。
〇結果態から受動態への変化も(結果態)なさる→なされ+る(已然形+る)との変化で形成されたのだろう。
・たから、受動態を情動相だけに限定するのは日本語の実態と離れ過ぎるのではないか。
〇日本語の動詞の深層文法に迫るのは、自他対応の接辞機能と態の接辞機能を融合させた考え方が根源的解決法になるのではなかろうか。

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