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日本語文法:新文法への道3

2014/10/20(月)

(5)新しい文法では助動詞:品詞を教えていない

 日本語教育の分野で「新しい文法」という言い方は1980年代から始まっているらしく、経済成長期の国策として留学生受け入れ拡大を目指したところから研究が進んできた経緯がある。
〇書籍でいうと
・吉川武時:『日本語文法入門』:アルク:1989年6月20日
・小島剛一:『再構築した日本語文法』ひつじ書房:2012年8月1日
は時代の幅があるけれど、どちらも「助動詞」という概念を品詞区分に入れず動詞活用で説明する。
・両書とも動詞活用で五段活用表や一段活用表を記載しないが、なぜか動詞活用形式の違いを五段型・一段型と呼んでいる。
〇膠着語の「動詞」と「助動詞」の結合方法には「語尾活用=語幹+接辞」や「音便変化」、「直接続」、「名詞化・形容詞化接続」などいろいろな形態がある。
〇外国人留学生に対してなら、「動詞語幹+接辞」を音素解析(ローマ字つづり)で解説できるはずだろう。日本語教育者側に音素解析の方法で育った教育者がいなっかたのだろうか。
〇文法で法則化できるものを個別説明だけに絞り込むのは正しくないだろう。
〇文法が分かれば成人が持つ言語能力で自ら言語操作をしはじめれる。理解が確実に深まります。

(6)まず、動詞態の教え方

 助動詞全体の教え方をどうしたらいいのかは後回しにしますが、動詞態の教え方を考察したい。
〇小島本では、
・日本語文法には他言語のような能動態と受動態の対立関係は存在しないという。受動態を情動相(と疑似受動態)のみに限定した見方をしている。(情動:直接受身、間接受身などでの影響を受益感情・迷惑感情として表すこと)
〇吉川本では、
・使役形の受身形には長形と短形があり、
・長形:kak・ase・rareru:「書かせられる」
・短形:kak・asareru:「書かされる」
(長形から中間のerを除いたもの)
との説明がある。(「書かす」は辞典にない形態だというのが、文法学者・教育者の視点らしい)
・このローマ字つづりの中に、態の接辞:asu/eru/aru/のすべて揃っているのに気づいていない。
 (短形のローマ字つづりで見れば3つの接辞が直結です)
〇「態の双対環」方式で説明すればすべて解説できることですね。
・能動態/可能態(eru)/結果態(aru)/受動態(ar・eru)
・強制態(asu)/強制可能態(as・eru)/強制結果態(as・aru)/強制受動態(as・ar・eru)
・使役態(=強制可能態:as・eru)/使役可能態(as・e・r・eru)/使役結果態(as・e・r・aru)/使役受動態(as・e・r・ar・eru)
〇使役態自身が強制態より長形になって始まっているからで、可能態、受動態で接合される「eru」接辞が関与している。
〇さらに「eru」接辞は、小島本で受動態を情動相に絞り込ませた張本人(の接辞)だと推測する。
また、「ら抜き言葉」、「さ入れ言葉」、「れたす言葉」のすべての原因の元だが、悪いのが「eru」接辞ではない。正しい使い方を曲解する人間、文法学者、マスコミに問題があるだろう。

〇「態の双対環」方式の考え方で動詞態を教えることが大事だと思う。
・「態の双対環」が思考実験の失敗物と言われる時代がくるかもしれないが、一つだけ確実なことがある。
・「態の接辞」は語彙的態(自他対応を生成する接辞)を文法的態の接辞に採用しているから深層の文法則が遵守されているはずだということ。
・さらに後押し論拠をあげると、「態の双対環」の双対関係には
①能動態-受動態:動作と被動作との対立関係
②可能態-結果態:動作開始と動作結果を示す対立関係
③能動態・可能態(実行が共通)-結果態・受動態(結果が共通):実行と結果の対立関係
④能動態・結果態(動作陳述)-可能態・受動態(動作授受の情動):動作陳述と動作情動の対立関係
という4つの相互対立関係が成り立つ。
・従来の文法では、能動態-受動態の対立関係を示すことがあるが、可能態-結果態の対立関係をはっきりと指摘することはなかった。
・これらの相互対立関係は強制態の双対環でも成り立つだろう。
 (使役態、可能態を頭にした「双対環」では、接辞の並び順が変わって情動だらけになります。相互対立関係が成り立たないかもしれない)
〇④の対立関係は以前から予感していたものだが、小島本が堂々と受動態を情動相に絞り混んだ決意を見て、思考実験でも可能態と受動態(eru接辞が付くから)に情動感情が働くと見なすことに自信がついた。
 ④の可能態、受動態の情動という意味は「動作に対する心理的な反応、感情を含んだ表現ができる形態だ」と言うこと。(eru接辞が「已然形+る」であるから進行中の心理を表すのに都合がいいのかもしれない)
小島本では①の対立関係も認めない立場をとるが、思考実験では①から④までのすべての対立・双対関係を認めるものです。これも深層文法に則るものだと思います。
(次回へ続く)

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