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日本語文法:新文法への道

2014/10/13(月)

(1)助動詞を品詞扱いしない文法?

〇前回ふれた小島本:『再構築した日本語文法』は日本語文法の全体を西欧語、ロシア語、トルコ語などの文法と比較して共通性と特異性を明確にして詳細に再構築した文法書ですが、
・特異性が強調されるあまり日本語母語者にとっては馴染めない部分があります。とくに受動態を情動相(受身の感情表現)しか認めない立場には共感できません。
・日本語の「やりもらい表現」は授受動詞だけでなく、動詞態による「能動・受動・使役:行為のやりもらい表現」が重要な役割をはたしているからです。
〇また、別の書籍『日本語文法入門』吉川武時:アルク:1989年6月20日 も助動詞を品詞分けしないで動詞活用と一体化して説明する文法入門書です。
・どちらの書籍も可能態「ら抜き」を誤用と説明していますが、「ら」を入れた受動態の可能表現を使うと意味が違ってしまうことを見過ごしています。(受動態の可能は動作結果の可能状態に重点がある表現です)

(2)国際文法感覚で作った新しい日本語文法

 インターネット検索で見つけたホームページに
「国際文法感覚で作った新しい日本語文法」西村肇(東大名誉教授)がある。
〇西村ネット情報で研究成果の詳細な説明がなされていますから、すばらしい成果を垣間見れます。残念ながら書籍化までに至っていないようです。
・国際文法感覚とはなにか
 中国語(孤立語)、英語(屈折語:孤立語に近い)だけなく、フランス語(屈折語:動詞態変化)およびロシア語(屈折語:名詞格変化)の特徴がある文法感覚が日本語(膠着語)解析に役に立つはずです。
・人間共通の文法心理には、名詞の格と動詞の態は言語・時代が変わっても残り続け、孤立語、屈折語、膠着語であっても共通して文章解釈の要にいるはずだというのが基本的な考えです。と西村資料にある。
〇ホームページ上の研究結果の説明を読んでみると、研究手法が独創的なもので「N記号体系」を使い日本文を記号化して構文の形態と意味の区切りをくり返し解析・試行錯誤して品詞区分を確定したとのこと。
 研究結果を引用して思考実験できるほどに読み込めてないから、感想だけ記します。
〇動詞の分析では語尾「る」の動詞全数をあつかい、一段活用になる「~いる」動詞、「~える」動詞との動詞活用を比べている。
「ある、おる、うる」動詞の規則性に「いる」動詞は近い活用形態だが、「える」動詞だけは違った傾向にあるとのこと。
〇「非る動詞」では「く」動詞と「す」動詞の合計が「る」動詞全体と同数程度になると言及がある。
〇残念ながら、「う、つ、ぬ、ふ、む、ゆ」語尾動詞については研究経過の言及がない。
〇動詞活用表の研究結果では、直接法(現在/過去)、仮定法・将来/現在/過去、動名詞・形容動詞(連体修飾)に対して「歩く/話す/走る/食べる」で一覧表を作成してある、
・直接法:終止/否定/中断/接続形/可能/可能否定/継続完了の各形態を示している。
〇可能形には、「ら抜き」言葉の正当性を認め、首尾一貫を原則にするならばそれが明らかに正しい、と明言なさる。賛成です。
〇助動詞の分析では、断言/想像/推定/措定/比較/希望/可能/蓋然/当為/使役/丁寧などを記号化してあるが、受動・受身の記号化がない。
・動詞記号Dにアポストロフィ、「する」動詞記号Zにアポストロフィをつけることで「受動を表現」させているが、深い解析につながっていないようです。
〇助動詞の中でも「動詞の自他対応の検証」と「動詞態の検証」は相互に連係させて解析しなければならないものだと再確認しました。
(少し西村研究の成果に気落ちしますが、文法がもっと日本語の読み書きに役立つべきだという考え方には大賛成です)

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