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日本語文法:自他対応接辞と動詞態

2014/12/27(土)

 この日本語文法カテゴリーでは、動詞態について思考実験してきましたが、既読記事の主旨を整理しつつ、何が独自的で新規な主張なのかをまとめてみます。
〇基本的には、
日本語動詞:文法的「態」と語彙的「態」
に記述した内容が思考実験の成果です。
〇寺村本での用語:「語彙的態」は、文法の世界で完全に定着した用語ではないらしい。別の学者では、別の語彙の単語と組み合わせて態を変化させることも『語彙的態』と見なしたりしている。
〇そこで誤解を避けるため代わりの用語として「自他対応接辞」:一つの動詞語幹から派生する自動詞・他動詞『対』対応関係を表す接辞:を今後の記述で使います。

日本語動詞:自他対応解析表
 既読記事での思考実験は、金谷武洋本や寺村本の内容により啓発されて当方なりに思考したものです。
〇金谷本、寺村本の両者ともに、「自他対応の仕組みが文法的態に反映されているはずだ」という語り口は明白なのですが、実際の動詞態の説明の中に自他対応接辞の形態を直接的に引き写そうという姿勢が感じられません。
(自他対応接辞と動詞態を関連付ける明確な説明がありません)

〇そこで、思考実験で考えた考察の指針・原則は以下の3項目です。
①自他対応を作り出す接辞が直接そのまま文法的な動詞態に使われていると推測する。
 つまり 自他対応で派生した動詞がそのまま文章に使える動詞であるという当たり前のことを明確にする。 
 だから、自他対応接辞の形態をそのまま動詞態に使って説明すべきだ。あるいは、動詞態の形態の中から、自他対応の接辞を明示して見せるべきだろう。
②動詞態の意味解釈は、文中の「主格が人」であるか、「物・自然が主格」であるかによって意味が変化するので、解釈を併記して明示すべきである。もちろん、文中の「対象が人」であるか、「対象が物」であるかによっても解釈が変わるので注意すべきである。(主格、対象格、目的格など補語との関係も要注意)
③結果として「態接辞の体系」を完成させるためには、自他対応接辞の意味、態として使うときの接辞の意味を明確にして検証に耐え得る定義にすること。
(態接辞の意味一覧表:→日本語動詞:動詞態の双対環を操作-5

〇思考実験中の「態の双対環」方式は、上記3項目を実現しようと考察した結果が詰まっています。
・浅学の実験子には表面的な考察に留まるしかありませんが、例えば②項目に関して、
・自他対応:割れる(割r・eru)/割る、では派生した「割れる」の「eru」接辞を『可能態』と見なして汎用的に動詞態として使うのが「態の双対環」方式の立ち位置です。
・太郎が瓦を割る/太郎は瓦が割れる(可能態・他動詞)/瓦が割れる(自発態・自動詞)
・自他対応:立つ/立てる(立t・eru)、の「eru」接辞も同様に『可能態』として見なせるだろう。
・太郎が立つ/赤ちゃんが立てる(可能態:自動詞)/太郎が掲示板を立てる(能動態・他動詞)/太郎が一人で掲示板を立てれる(立て・(r)eru)かな(可能態・他動詞)
〇接辞「eru」を『可能態』と見なすのは以上のような汎用性があるからで、形態も「eru」のままを明記する。(eruは下一段活用だから、~e~が語幹になるが、可能態:eruと必ず表記して説明するべきだ)
のような論理思考をしました。

(2016年追記:能動系(r)、強制・使役系(s)を一括で(r/s)と表記したが、近年は別表記に変更)
〇さらに接辞が汎用的に使える形態を詳しく説明すると、
・可能態接辞:(r/s)eru という形態になります。
・動詞語幹が子音の場合は「eru」のままで接合できますが、母音語幹の動詞に対しては、「reru」か「seru」の形態で使用します。(母音語幹に対して「rareru」をいきなり使うのは間違いです。当然のこと、意味が違います)
・母音語幹の例は、立てれる:立て・(r)eru をすでに記しましたが、
 食べ・reru/見・reru/助け・reru/逃げ・reru/変え・reru/生き・reru/出・reruなどがあります。(ら抜きではなく、ら無しの正しい可能表現です)
〇蛇足ですが、生き・(r)ar・eru/出・(r)ar・eruは受動態=結果可能態です。意味は、生きれて、生きれて、生きれて、生き抜いた結果が「生きられる」/出れると判断して出るために努力した成果が「出られる」です。
(この意味の違いを学校文法で教えられていないのですから残念ですね)
・結果態接辞:(r/s)aru
・受動態接辞:(r/s)ar・eru ←結果+可能が原意です。
〇自他対応接辞を眺めていると遠い昔の日本語の働きが見えてくるようです。

 本来ならば動詞態を調べるには、補語(主格や対象格、目的格など)と動詞変化の相互関係を考察し、比較することが必要だが、当方の手では深い検討ができてはいない。

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