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日本語文法:日本語をどう見るか5

2014/12/05(金)

(10)日本語の格助詞をどう評価するか

 「日本語をどう見るか」初回に記述したなかで、3冊の関連本が共通して日本語の特徴をあげたもの、それが「テニヲハ」の効用です。また、前回の受動態の曖昧さも補語述語の「辞」の使い方が大きく影響します。
〇日本語文の語順は補語につける「テニヲハ」格助詞のおかげで比較的自由に選べます。
・ここでは格助詞の詳細な説明をしきれませんから、考察の範囲をしぼっておきます。
〇受動態で「受け身」と「尊敬」を同時に表現する場合、どうすればいいかを考えたい。
 基本的には、「受け身」表現を優先できちんと伝わる必要があります。
・受動態が多義的であるように、「テニヲハ」も多義です。 
・例文1:甲さんが乙さんに依頼されたのですか? (依頼したのは誰ですか?)
 通常では話の前後の脈絡から、甲乙どちらが依頼したのかはわかるはずです。例文だけを読んだ人は考えすぎると判断に迷います。ひょっとすると、乙に依頼されたのか?と思い始めます。
・例文2:甲さんが乙さんにご依頼なさったんですか? (受動態をやめれば、すっきりする。結果態:なさるで尊敬を表す)
〇もし例文1が、甲が依頼を受けた「受け身」文として表現したいならば、どうしますか。
・例文1改:甲さんが乙さんから依頼されたのですか? (明らかに受け身表現だとわかる)
〇例文1を甲が依頼した「尊敬」文として表現したいならば、
・例文1別改:甲さんが乙さんへ依頼(な)されたのですか? (明らかに依頼したと分かる)
この例のように、格助詞をうまく選択すれば解決しますね。

 格助詞選択の法則を思考実験してみました。
〇例文で使っている「辞」を調べる。文法的に通常、動作主になりうる「辞」を能動2、通常、被動作主になる「辞」を被動2と印を付ける。
・なお「が、に、される」などの「辞」は多義なので、/の右に1単位の被動・能動を付記して、動作方向が反対側への意味合いも含んでいることを明示しました。
・~が:→→/←(能動2/被動1)
・~に:←←/→(被動2/能動1) 別表記:後段で「~に:↓↓/↑ (被動2/能動1)」を提起。
・~を:←←  (被動2)
・~から:→→ (能動2)
・~へ:←←  (被動2)
・~される:←←/→(被動2/能動1)
・~なさる:→→(能動2)
・例文1:甲さんが(→→/?←)乙さんに(←←/?→)依頼された(←←/?→)のですか?
 (疑問文だから余計に誤解を生じやすい)
・例文2:甲さんが(→→/←)乙さんに(←←/→)ご依頼なさった(◎→→)のですか?
 (誤解の余地なし)
・例文1改:甲さんが(→→/〇←)乙さんから(◎→→)依頼された(〇←←/×→)のですか?
 (方向性が確実になり受け身表現だとわかる)
・例文1別改:甲さんが(〇→→/←)乙さんへ(◎←←)依頼(な)された(←←/〇→)のですか?
 (方向性が確実なので明らかに尊敬形だとわかる)

 例文1のなかにある3つの「辞:~が、~に、~される」がそろいも揃って「動作の両方向性」を持っているから、意味の方向性が曖昧になるわけですね。
〇特に「~に」は「その場所にいる」、「その人に託す」とかでは、そこからの動作方向が確定しにくいので要注意ですね。(~によって、~に対して、~に関して、~のために、のように意味を補強したりするが完璧ではない)
・~に:↓↓/↑ (被動2/能動1) =辞「~に」は、目標の位置を言明するだけで、そこでの動作の実際方向を表すわけではないと言う概念を記号化しておこう。
・本来は、「~に」と表現する場合に、構文全体を想定して「~へ」方向か、「~から」方向かを考えて辞を選ぶという習慣づけの学習が必要なのですが、できていないかもしれません。
・東京弁を話す人は「~から/~へ」をもっと活用すべきなのでしょうね。

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