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日本語文法:自他対応接辞と動詞態2

2015/01/06(火)

(1)動詞態を思考実験するための三原則:①

 前回に記した「動詞態を思考実験するための三原則」の①自他対応接辞が動詞語幹と結合して動詞態を形成する、と言う視点は、突き詰めて考えると、新しい動詞が生み出されるということです。
日本語文法:動詞語幹と態接辞の接合法の連載で示すように、すべての態接辞の表記を動詞基本形(辞書形)となるように構成しています。
・能動:休む/可能:休める/結果:休まる/受動:休まれる(どれも辞書見出し語になる資格あり)
・強制:休ます/強制可能:休ませる/強制結果:休まさる/強制受動:休まされる(どれも辞書見出し語になる資格あり)
・使役・強制可能:休ませる/使役可能:休ませれる/使役結果:休ませらる/使役受動:休ませられる(どれも辞書見出し語になる資格あり)
〇この「動詞態を含めて派生した動詞基本形だ」との考え方は、時枝文法の述語文節区切りと合致します。
 日本語文法:日本語をどう見るか7
・助動詞のなかでも、態接辞は動詞語幹と密接に結合しており、専用の「動詞態一覧表」を作成して辞書の付録にも優遇配置すべきものでしょう。
・可能態(eru/reru/seru)と結果態(aru/raru/saru)、受動態(areru/rareru/sareru)はそれぞれ別枠にして説明すべきだろう。
(本来別枠にすべき「れる」と「られる」を同一視して一緒枠にしたまま文法化したのが間違いの始まりです)
・強制態(asu/rasu/sasu)と使役態(aseru/raseru/saseru)はそれぞれ別枠にして説明すべきだろう。

 なお、態以外の助動詞でも、動詞語幹と密結合するものがあります。
〇打消の接辞:+(a)nai:休m・anai、食べ・naiや
〇ます、たい・たがるの接辞:+(i)masu、(i)tai・(i)tagaru:休mimasu、休m・itai、食べ・masu、食べ・tai
〇動詞中止形:+(i)φ:休m・iφ、読m・iφ、書k・iφ、考え・φ、食べ・φ(動名詞の形式、連用形)
などのように
密結合の助動詞があるので、その他の疎結合の助動詞と扱いを調整しながら助動詞一覧表(動詞態の一覧表とは別表)を作成するべきです。

(2)動詞態を思考実験するための三原則:②

②動詞態の意味解釈は文中の補語(登場人・物)との関係で左右されるから、場面情景と意味を併記して考察すべき、ということ。

・寺村本の記述文法では、補語と動詞態との関係について詳述しているが、肝心の受動態に関しては主に直接受け身、間接受け身の分析にとどまり、尊敬、自発、(結果)可能の用法にはほとんど触れていない。
なぜ受動態が多義性を持つのかにも言及していない。
 「態の双対環」思考実験では受動態のなかにある結果態接辞「aru/raru/ saru: ある・らる・さる」に気づいたところから急展開できた経緯があります。
 日本語文法:結果態の謎2
例:休むという動作に対して、
〇「休む」の受動態→動詞の動作(休む)+結果(ある)+可能(える)=休m・ar・ eru=休まれる。
・意味:(休む動作)があって、その(動作結果が存在する状態)に(なっています)。という原理で構成されているのです。
・休まれる:おじいさんは夜9時には休まれます。(習慣的可能動作、尊敬:能動)
・休まれる:昨夜はゆっくり休まれましたか?(結果可能動作、尊敬:能動)
・休まれる:急に休まれると、予定が狂ってしまうよ。(間接受身:受け身)
・休まれない:心配で心配で、休まれないだろう。(結果不可能・不可抗力的結果不可能:能動)

 このように日本語の受動態は能動的意味にも、受け身的意味にも使われる特徴があります。
〇非常に分析的に客観的に「動作の結果がそこにある」という把握をして「その状況が周囲に対して如何なる影響を生じているか」を陳述する文章を作ります。
〇注目すべきは、西欧語を含めて多くの言語で「動作の結果がそこにある」式の表現手法が受身語法に使われているのです。さらに東南アジア系の言語では、この表現を受身語法(直接受身、間接受身)だけでなく、能動的語法(尊敬、習慣的可能、結果可能)にも活用しているわけです。
〇日本語の受動態・結果態の要素接辞「ある」は、それ自身が時制概念を含まない。英語などでは過去分詞(動作をしてしまった結果を示す)で表現するので時制でも制約が生じます。日本語の結果態、受動態は時制の点でも自由です。
〇通常、日本語の受身語法では直接受身でも間接受身でも、主格補語には被動作者が表現されて、目的語は「を格補語」のままで残ります。 当然、自動詞からも受動態が自由に作れます。


 蛇足になりますが、可能態は、
・休める/読める/書ける と同列に
・食べれる/見れる/来れる を認める方向が論理的で、何の混乱も起きません。
むしろ、休める/読めると同列に、食べられる/見られる/来られる や、さらに休まれる/読まれる の3形態が同じ範疇ですと言い出す文法のほうが混乱を招いているのです。可能態と受動態は意味が違います。

〇どなたでも「態の双対環」方式を一度操作していただけば、たくさんの動詞が合理的に生み出されることを実感されると思います。
・「態の双対環」を操作して、自由に態変化動詞を生み出して、使える動詞か、使えない動詞かを思考実験してみられたらいかがでしょうか。

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