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日本語文法:自他対応接辞と動詞態6

2015/01/18(日)

(7)「態の双対環」表記の改善

 3回目の「態の双対環」図表での修正追記したことから、今回は工夫しました。
〇思考実験三原則を「態の双対環」横書表記の形式で有効に視覚化してみた。
例:(補語:人:A、B。物:Z、Y。自他交替対↓、↑。態派生不可:×。不適:?)
・AがZを↓取る・↓取れる・取らる・取られる:他動詞
・Zが↑取れる・?取れれる・?取れらる・?取れられる:自発自動詞(離され自然に取れるの意味)
 (4型)動詞は、割れる、破れる、焼ける、など、物が破壊される方向へ状態変化することを表す自発態の自動詞です。人が破壊的動作をすることを表すのが割る、破る、焼くなど他動詞側になるわけです。
〇そこで受動態の場合の構文例を、
・AがZを・取られる:で考察すると、取る・が・あれるですから、尊敬でも、結果可能でも解釈できます。
・AがBにZを・取られる:と言うなら、Bによる取る・が・あれるで受け身の意味合いが確定します。
・Aが罰金を・取られる、と具体的な補語が決まれば受身らしくなります。
〇日本語の受動態が被動作者を主格補語にした構文を作ることが多いのも、この表現方法があるからでしょうね。
 (6型)動詞も倒れる/倒す:自他対応ですが、
・A/Zが↓倒れる・倒れれる・倒れらる・倒れられる:自動詞・いくぶん自発的
・A/ZがZ/Bを・に↑倒す・倒せる・倒さる・倒される:他動詞

 また、能動系と強制系、使役系の併行状態を思考実験表記してみよう。
・AがZをNと・呼ぶ・呼べる・呼ばる・呼ばれる:他動詞
・AがZをNと・呼ばす・↓呼ばせる・呼ばさる・呼ばされる:強制他動詞
・AがZをNと↑呼ばせる・呼ばせれる・呼ばせらる・呼ばせられる:使役他動詞
〇この例は補語を拡張して「N:名詞」を表記しました。そこで、「K:形容詞」や「KN:形容名詞、形容動詞」、「D:動詞」、「H:副詞」など品詞を定義しておくと、日本語の基本文型を表現するのに便利になります。
→『国際文法感覚で作った新日本語文法 N記号体系』西村肇:インターネットHP情報による「品詞記号」をヒントにしたもの。
・基本文型への応用はまだ何もありませんので範囲外としておきます。
〇もう一度、AがZをNと、に戻ります。
・能動系と強制系、使役系ともに受動態の構文を考察する。
・AがZをNと・呼ばれる/呼ばされる/呼ばせられる、の構文は受身であれば補語の格変化が必要になります。
→AにZがNと・呼ばれる:
・BがAにZをNと・呼ばされる:
・BがAにZをNと・呼ばせられる:
このように強制系、使役系では動作を自分でするのではなく、相手・仲介者にやらせる構図ですから、補語関係(登場人・物)が膨らんできます。
・日本語の会話の場では、すでに話題になった事態について既知の補語を省略することがありますから、述語文節が焦点を当てている補語(登場人・物)を頭の中に共有しておく必要があります。また、逆に「ぼくはウナギだ」のように述語文節が明確ならば省略・短縮してしまう場合もあります。

 さて、各動作系の受動態接辞を比べて見てください。
・能動系受動態:(r/s)areru だが、ひらがな形態では、
 ①子音語幹t+aれる:立たれる
 ②子音語幹s+aれる:逃がされる
 ③母音語幹e+raれる:逃げられる
の3種類があるように見える。
・強制系受動態:(r/s)asareru
 ④子音語幹t+aされる:立たされる
 ⑤母音語幹e+saされる:考えさされる
の2種類があるように見える。
・使役系受動態:(r/s)aserareru
 ⑥子音語幹t+aせられる:立たせられる
 ⑦母音語幹e+saせられる:考えさせられる
の2種類があるように見える。
 各系で受動態接辞の原理は一つですが、子音語幹と母音語幹に対応する方法が選択肢になっています。母音語幹に対しては(r/s)のどちらかを選択して挟み込みます。
特に、強制受動態(~aされる/~さされる)と使役受動態(~aせられる/させられる)との意味の違いには、思考実験を試みています。以前に「受動態の多面性-4、-5」で取り上げていますがすっきりした解釈ではありません。「日本語文法『曲がり角の日本語』水谷静夫7」でも取り上げて少し進んだ考察を述べました。
 今回はここまでにします。
〇表記法を工夫した「態の双対環」方式で、考える道具の説得力が少しは増したでしょうか。

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