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2015年2月

日本語文法:動詞の原形語幹とは3

2015/02/28(土)

(5)最新の日本語学が近づいてきます

 図書館で見つけた本を読んで感心しました。
国広哲弥:『日本語学を斬る』:研究社:2015年1月30日初版
東大名誉教授で意味論を専門に研究なさった方で、
>はしがきに「多少おこがましくはありますが、私しか言っていないと思
 われる考えをとにかく集めてみようということです。そうして出来上が
 ったのが本書です。」とある。
序章・言語観、第一章・日本語音素体系:動詞の活用体系を分析するのに
ローマ字正書法が必要、第二章・動詞形態論:動詞に活用体系は存在しな
い、が目に留まります。第八章、あとがきに代えて、と続きます。<

 国広哲弥本の第二章が動詞の活用に関係する部分です。
>動詞の語幹を母音語幹、子音語幹で区別する方法は、アメリカ構造言語
 学者のバーナード・ブロックが調査研究したもので、太平洋戦争中に米
 国政府の要請で進められたのが最初らしい。やはり日本人の「仮名の呪
 縛」を打ち破るのはローマ字解析(音素解析)だった。<
○国広本では動詞の原形「る形」と「た形」の活用に関して、
 岡田英俊(1987)「日本語の自動詞・他動詞の音韻分析」、『東大言語学論集
 87』の説明を引いています。端折りすぎで間違いの反論の手掛かりにもで
 きませんが。
・一目で分かる部分は国広作例の考えで、
・kak+rare・ru→kak+are・ru「書かれる」
・kak+re・ru→kak+e・ru「書ける」
(国広、岡田:る形の接辞の場合、子音語幹につなぐには後続接辞の頭文字を
落とすのが規則という)
○書ける:可能形の説明には驚かされた。国広本は、書k+(ra抜き)re・ru→
 書k+(r落とし)e・ruで可能形:書けるが生成されると言う。
 これを「ラ抜き形」と呼ばれる。(世評に気がついたという感じで、無策?)
・世間の「ら抜き言葉」に言及していないから、むちゃくちゃ過ぎて、本気の
 話なのかどうかにわかに信じれません。(信じれない:信じようにも確証が
 ない。信じられない:まゆつばには、はなから信じられない)
例文の直後に(付記)がある。
>脱稿後に清瀬義三郎則府著『日本語文法体系新論』:ひつじ書房:2013、を
 入手し、(中略)、子音語幹、母音語幹の区分は同じ、語幹と助動詞の接続の
 方向が我々と全く逆ですので、本文の記述変更は必要ない、と記述あり。<
 と言うことは、本気の話なのだ。
○国広本で記述のある清瀬義三郎則府本の例文は、
・連結子音 kak-(s落とし)aseru、 mi-saseru
・連結母音 kak-anai、 mi-(a落とし)nai
 の2例だけです。
○清瀬本の考え方は理解できますし、思考実験でつい2、3カ月前まで清
 瀬風に語幹と接辞の間に挿入子音/挿入母音をはさむことを考えていま
 した。今は態の接辞に対しては*動詞原形語幹に接合することに気づき、
 すっきりしています。
<★追記:2015年末~2016年始めに、思考が進展して「動詞原形語幹」の
 表現をやめて、一般化した語幹+「挿入音素」と呼ぶことにしました。
 「挿入音素」なら助動詞を含めて他接辞の接続にも対応できるからです>

 国広本、清瀬本ともに従前の動詞活用表から距離を取って、動詞形態を
見直そうとしています。すばらしいです。
ただし、態の接辞については日本語で特徴となる「自他対応・自他交替の
原点」を見失わないでほしいですね。
・可能態には、動作可能の意味と自他交替による意味とが常に共存してい
 ます。
・受動態には、結果態の自他交替と結果の2つと、可能態の2つの意味が
 ないまぜになっています。
・自他交替の接辞:aru、asu、eru、をきちんと理解しておかないと応用が
 利きません。
 (動詞の態が変わると意味が多面化することにもっと注意する必要があ
 ります)
★子音語幹、母音語幹の区別も大切ですが、動詞原形(辞書形)語幹の考
 え方を採用すると、すべての動詞を子音語幹で扱える。
・未然形に接続するという呪縛から自由になれます。
・態の接辞を本来の姿で接合できます。足したり、引いたりの必要はあり
 ません。
★態動詞は原形(終止形・辞書形)の語幹であつかうべきです。
・思考実験では、書k・areru、と表記して、書k・are(ru)とは表記しない
 ように留意しています。
 つまり、「書かれる」となった受動態動詞の原形語幹は「書かれr+」
 となって、次の態につながります。
ダメ例ですが、「書かれ(r→s)aser+arer+arer+arer+arer+are・た」
などと冗談が言えます。
・この冗談の最後:+are(r落とし)+た、の操作を正確に定義することも課題
 になりますね。
○国広本で「た形」解説部分に内容の飛びがあるようで、一部欠落したと
 思われる。
・思考するに、母音語幹動詞は語尾子音を受け入れやすいから、
 ・見る、見(r→s)asu、見た、食べる、食べ(r→s)asu、
  食べた、と変わり身が早い。
 ・子音語幹動詞は、読む、読ます、読m+?+た/だ、書く、書かす、
  書k+?+た、となり、「た形の?法則」を分かりやすく作らなけれ
  ばならない。(音便法則あり)
○冗談で態の連鎖を記述したが、
>国広本第八章展望のなかに記されている「動詞活用体系が姿を消した
 代わりに出てきたのは、動詞の語幹に続く「助動詞の連鎖」です。
 助動詞の順序には一定の制約があり、流れ図(flow chart)の形で記述す
 ることができます。
 図例のなかで「サセ+ラレ」は許されるが、「*ラレ+サセ」は許され
 ないことが示してあります。・・・」<

に対して、反論の意味もあり、書かれさせ・・・と記述しました。
・以前、「打たれさせる」、「見られさせる」の例を記述したと思う。
・流れ図の着想を進めるためにも広く検証がなされるといいですね。

<★追記:2016年11月、清瀬義三郎則府:『日本語文法新論-派生文法序説
 -』:桜楓社:1989年2月、を読みはじめて理解できたのは、膠着語に活用
 はなく、単語に接辞が連結・派生していくことで意味や構文を作り出すの
 だということ。派生文法体系の骨格が出来上がっている。
 国広本も同方向を目差しているが、「助動詞の連鎖」でとまっているようだ。>

日本語文法:動詞の原形語幹とは2

2015/02/26(木)

(3)なぜ学校文法は「態の助動詞を未然形に接続する」と間違えたのか?

〇まず、間違いを誘発した要因を推察したい。その誘因は現在でも多くの人に無意識下で「未然形接続だ」と思い込ませているはずだから。
①多くの助動詞が未然形接続なので、「態の接辞」も同じだろうと考えてきた。
②五段活用と一段活用とでは、態の接辞構造が違うことを不審に思わなかった。
・受動態:五段には:れる、一段には:られる、
・使役態:五段には:せる、一段には:させる、
 (れる/られる、せる/させる、違いの真相を不問にした?なぜか?)
 この①②の2点を不審に思わず100年以上も続けてきたのは、
③本来の受動態接辞:areru→「aれる」、使役態接辞:aseru→「aせる」であったから、五段未然形の活用語尾「あ」に「a」が流用されたことに誰も気づかなかった。
 未然形ではなく終止形に接続すると明記すれば、本来の「aれる、aせる」が見えてきます。
④一段未然形には、終止形に相当する「r+」、「s+」を付加させて、受動態:「r+aれる」、使役態:「s+aせる」を接続するとした。これでは未然形に接続するではなく、終止形に接続すると明記すべきです。
 と言うことに誰も気づかなかったからです。
⑤能動系から強制系へ態を変換するとき、(r→s)交替の現象がある、と以前記述しました。
・この(r→s)交替現象を起こすのは、母音語幹動詞が終止形になるときに付け足した「r」が「s」に交替する場合がほとんど、大部分です。
例:つまり、一段動詞で(r→s)交替が起きる。強制態接辞:asu、使役態接辞:aseru
・見る、着る、来る、食べる、忘れる、離れる、などが(r→s)交替して、
・見さす、着さす、来さす、食べさす、忘れさす、離れさす、(~r→s+asu)で強制態になる。
・もっとも、五段動詞で、蒸す:五段、→蒸らす:五段、という(s→r)交替現象あり。
 理由は、蒸らす:自分が物を蒸すという他動詞の強調です。蒸さす:相手に動作を強制する意味になり、使用頻度が少ないのでしょう。

(4)可能動詞が誕生したときも「終止形接続」に気づかなかった

 可能態接辞:eruは、五段活用動詞:子音語幹動詞の語幹に接続して可能動詞を生成する。
江戸期に生まれた可能動詞は少しずつ広がり、徐々に一段活用動詞:母音語幹動詞に対しても、その原形(終止形)語幹:子音語幹に接続する方法で使われてきた。
だが残念ながら、「動詞の原形・終止形に可能接辞を接合する」という法則が象牙の塔の暗黙知にまで浸透してこなかった。
それゆえ、学校文法では、可能動詞による可能態を「態の助動詞」と認めず、受動態の(結果)可能だけを正当化しています。
〇つまり、読める、書ける、飲める、は可能動詞であり、
・見れる、着れる、来れる、食べれる、忘れれる、離れれる、などは
 見られる、着られる、来られる、食べられる、忘れられる、離れられる、とすべきだという。
〇見れる、と、見られる、との意味は大違いであり、一つに収れんさせる理由が得心できません。
〇読める、と、読まれる、が別々の意味があるから併存しているのと同じ理由で、見れると見られるが別々に併存する価値があるのです。
〇「見れる」は「見られる」の「ら」を抜いたものではありません。「見r+eru」による語彙生成の文法則から生まれた正当な動詞です。可能動詞が生まれた文法則とまったく同じです。

 態の接辞が誕生した経緯を推察すると、自動詞・他動詞の対応派生:自他対応とか使役交替とかの名称、を作り出す接辞機能が根源にあり、その接辞をそのまま態の接辞:助動詞として流用したものです。
自他対応接辞は、文字どおり動詞語幹に「接辞」を接続して、自動詞から他動詞へ、他動詞から自動詞へ転換させる機能をもつものです。当然、未然形ではなく動詞原形語幹に接続させます。
 可能態接辞:eruを自他交替を含めてくわしく考察しよう。
〇見r+eru=見れる:自・自発(自他交替) 、または、他・見ることができる(交替でなく他・可能)
「努力のあとが見れる:結果が見れる状態になっている」の意味でも使われる。
〇読m+eru=読める:自・性状(自他交替)、または、他・読むことができる(可能)
「この字が読める:字が欠損していないから読める状態にある」の意味でも使われる。
〇食べr+eru=食べれる:自・性状(自他交替)、または、他・食べることができる(可能)
「もう食べれますよ:料理が食べれる状態になっている」の意味でも使われる。
〇立t+eru=立てる:他・物を縦にする(自他交替)、または、自・自分の足で立つことができる(可能)
★このように、可能態動詞は単に動作可能の意味だけでなく、同時に自他交替する意味を併せ持つものです。
★可能態接辞:eru、と、受動態接辞:areruは、それぞれ接辞が違いますから、意味するところが異なります。両者を区別して使いたいですね。
★見る、読む、食べるの他動詞が可能態により自動詞的な側面を持つという現象は、暗黙知になっているかどうか定かではありません。日本語の動詞が自動詞・他動詞へ相互に交替できる「接辞機能が備わっている」ことをもう一度、公開知・形式知に整理できるとよいのだが。

日本語文法:動詞の原形語幹とは

2015/02/23(月)

(1)国語辞典の動詞語幹表記に?

 動詞態を思考実験している間に、学校文法や国語辞典での動詞語幹の決め方に矛盾を感じることが多くなり、別の方法で語幹を決めてきました。
〇学校文法、国語辞典では、動詞の活用形を考慮して、
・動詞語幹+活用語尾+助動詞
 の構成で語幹を決めている。
〇例えば未然形活用に対して、
・切る→切:語幹+ら:活用語尾+ない:助動詞
・着る→着?+φ?+ない:助動詞
 辞典には、着るに対して、語幹と語尾に区分できないと記述あり。
 なんとも恣意的な決め方です。辞典の見出し語:着る、の語幹を切り出せないのは、ひらがな解析しか考えにないからです。
〇もっとも、動詞活用に対しての語幹だから、未然形との整合で活用語尾なし「:φ」も一計かも。
 終止/連体形以降では活用語尾が追加されるのだから。
・正確にローマ字解析をして、
 着る→着‐る(語幹:ki)一段動詞 (活用語尾:φと表記)
 切る→切・る(語幹:kir)五段動詞
 のように工夫した表記にすべきでしょう。
〇しかし、このローマ字解析で求める動詞語幹は、すべての助動詞を接合するのに有効とは限りません。
〇特に「態の接辞」に対しては効力がありません。

(2)態接辞(助動詞)は未然形接続ではなく、原形(終止形)語幹に付く

 態動詞を生成するには、純粋に動詞原形語幹を求める必要があります。
一段活用の動詞も終止形、連体形以降では活用語尾「:る」が追加されるので、語幹の構造が子音語幹に変わります。
(★後日追記:一段活用・母音語幹に[挿入音素:r]を付加する、使役系には[挿入音素:s]を付加する)
〇「態の接辞」へつなぐためには、純粋に動詞原形態から語幹を求めてください。
・動詞原形:切る、着る→語幹:kir、(五段、一段[r]付加:→子音語幹)
・動詞原形:付ける、漬ける→語幹:tuker、(一段[r]付加、一段[r]付加:→子音語幹)
・動詞原形:変える、帰る→語幹:kaer、(一段[r]付加、五段:→子音語幹)
と言う(子音)語幹形態になります。
〇切る・着る、のように五段動詞でも一段動詞であっても関係なく、動詞原形が同形態なら同じ形の子音語幹になります。
・「態の双対環」操作してみると、(原形態:u/可能態:eru/結果態:aru/受動態:areru)
・切る、着る/切れる、着れる/切らる、着らる/切られる、着られる
・付ける、漬ける/付けれる、漬けれる/付けらる、漬けらる/付けられる、漬けられる
・変える、帰る/変えれる、帰れる/変えらる、帰らる/変えられる、帰られる
 と完全に並行します。

また、世情で「ら抜き言葉」とやり玉に上がる(世情の半数は容認派ですが)
〇見る、食べる、(一段)や(受動・)強制態(:asu)派生させた態動詞の、見られさす、食べさす、(五段)を確認しよう。
・動詞原形:見る→語幹:mir、(一段[r]付加:→子音語幹)
・動詞原形:食べる→語幹:taber、(一段[r]付加:→子音語幹)
・態動詞原形:見られさす→語幹:見られ(r→s)as、(五段、受動強制態:→子音語幹)
・態動詞原形:食べさす→語幹:食べ(r→s)as、(五段、強制態:→子音語幹)
 (r→s)交替は強制態への転換で必要な「語幹交換の法則」によるものです。
(態接合が動詞原形語幹で行う証拠でもあります)
〇「態の双対環」操作をおこなってみると、
・見る、食べる/見れる、食べれる/見らる、食べらる/見られる、食べられる
・見られさす、食べさす/見られさせる、食べさせる/見られささる、食べささる/見られさされる、食べさされる
 と完全に並行した形態で生成できます。
〇このように複雑な態動詞であっても、順次語幹を更新し新原形の語幹に次の態接辞を接合していく文法則により紛れずに続けていけます。
・この簡潔で強力な「態接合の文法法則」を古希を過ぎて初めて感得することができました。
・金谷武洋本:主語はいらない~百年の誤謬を正す~のごとく、100年の誤謬がまかり通るのですから、正すのは一歩一歩ですね。

自作SDダイアグラム:新型

2015/02/19(木)

 久しぶりにSD手帳関連の工作をしました。
〇今までの自作ダイアグラム:クリアホルダー素材で工作、には欠点があり、8穴付近で左右リフィルページに重なり合いが生じており、ページをめくりにくい状態でした。
〇これを改善するため、8穴とじひもの部分を「SDストックバインダー」と同等の構造にして、
・8穴ひもと背裏との間隙を保持できる構造にしました。
・クリアホルダーの折り目部分を活かして、片側の折り返し12mm幅で8穴幅用に残します。(表紙、裏表紙の2枚)
・背幅は控えめに8mm程度にします。40~50枚のリフィルが綴じれればOKでしょう。
〇でき上がりを写真で見てください。
Sd
〇リフィルめくりが格段にやりやすくなりました。左右のリフィルの隙間が十分に確保できています。
〇外側の手帳カバーは市販品を流用で、その内側に今回の工作物を差し込んでいます。


日本語文法:「ら抜き言葉」推進:虎の巻

2015/02/15(日)

 日本語文法:「ら抜き言葉」推進派の見方 、日本語文法:「ら抜き言葉」推進派の見方2、で、すべての動詞態について「推進派の見方」を開陳してみました。
いくぶん理屈ぽっく感じられたかもしれませんが、こじつけではなく論理の筋が通っているなと感じていただけたらうれしいですね。
 日本語の動詞態を新しい視点で見直されたわけですが、もしも「動詞原形語幹方式の推進派」になろうと決意なさるならば、孤立無援を覚悟しておく必要があります。まず自己の思考実験能力を高めるための「虎の巻」を準備しましょう。
①音素解析のため、ローマ字つづりを使います。ヘボン式でなく、訓令式を使うとよい。
 長文のローマ字文を書くわけではなく、動詞態の部分を表記して検討するだけです。
②態接辞の語源と意味を知ること。(今回は簡略的に記述します)
③「態の双対環」操作で態生成を試行すること。
この3つが「動詞原形語幹方式」の「虎の巻」です。

(1)「態の接辞」を救出する

 態の接辞として、学校文法では受動態と使役態を明示してあり、未然形に接続する助動詞として扱います。(未然形に接続するのは間違いです)
国語辞典の付録にある助動詞活用表を見ると、態の接辞要素が解ります。
・文語体 受動:「る/らる」(ru/raru)、使役:「す/さす」(su/sasu)
・口語体 受動:「れる/られる」(reru/rareru)、使役:「せる/させる」(seru/saseru)
〇動詞原形語幹方式の視点により、誤解の海に沈む接辞を救出・修正していくと、
・国語辞典の受動:「る」は本来「ある」とすべきの「あ」が未然形の「あ」に取られた解釈になっています。また、「らる:r・aru」の「r」は本来、動詞原形語幹側に預けるべきですから、これも「ある」とすべきです。
・つまり本来の接辞は「ある:aru」の形態であり、意味も明確になり、さらに1本化できるのです。
同様の救出・修正を施していくと、
〇「動詞原形語幹方式」の態の接辞は、きれいな形態が現われます。
・結果態:「ある(aru)」、文語体受動を修正し改名する。
・強制態:「あす(asu)」、文語体使役を修正し改名する。
・受動態:「あれる(ar・eru)」、口語体受動を修正し再命名する。(結果態と可能態の合成)
・使役態:「あせる(as・eru)」、口語体使役を修正し再命名する。(強制態と可能態の合成)
・可能態:「える(eru)」、口語体への変換で活躍する接辞であり正式に命名する。
・最後に原形態:「う(u)」、原形語幹に付加して動詞原形を作る接辞。
〇各態の接辞は1本化できるし、意味音素が明確に保存されるので分かりやすい。
(態の接辞を辞典付属の助動詞表から掘り出しました。本来は自他対応接辞からの拾い上げがよいのですが、辞典付録を信用する人も多いでしょうから善しとします)

(2)「態の双対環」を操作する

 動詞態の働きや派生を解りやすく体験できるように表記法を工夫しました。
①能動態と受動態の対立関係(動作のやり、とり、の対立)
②可能態と結果態の対立関係(動作の開始意図、動作の結果状態の対立)
この2つの対立関係を縦・横に配置して環状構造と見立てたものが「態の双対環」です。
自他対応接辞:態の双対環演習図新 を参照:
〇「態の双対環」を操作するとは、1行表記で態動詞を配列して、「態の双対派生」を確認する手法です。
〇原形態+u/可能態+eru/結果態+aru/受動態+areru、と1行書きで表記する。
〇例:「態の双対:1行書き」
・休m+u/休める/休まる/休まれる、
・休m+asu/休ませる/休まさる/休まされる、
・休まs+eru/休ませれる/休ませらる/休ませられる、
・食べr+u/食べれる/食べらる/食べられる、
・食べ(r→s)asu/食べさせる/食べささる/食べさされる、
・食べさs+eru/食べさせれる/食べさせらる/食べさせられる、
〇「態の双対:1行書き」ならば速攻で態の形態を調べられる。
(r→s)交替確認などにはローマ字つづりにすると判りやすい。
(動詞語尾音の(r)と(s)、(aru)と(asu)で表す対立関係:自力動詞と他力動詞の対立関係の根強さには感服します。 ある、するの対立、なる、なすの対立概念の深層に、r/s交替原理があるのでしょう)
〇演習:「態の双対:1行書き」を使って、動詞「見る」の態活用を試してみてください。動詞「見える」、「見せる」へたどりつけるでしょうか。(解答は参照図内にあり)

 虎の巻の役目として肝心な奥義を指摘しておくべきですね。
〇休める/休まれる、食べれる/食べられる、の可能態/受動態可能の対立関係に対して悟りを開いておかなくてはいけません。
〇すべての動詞が可能態と受動態を持つのが当たり前です。これを得心できないならば、理由を開示してもらいましょう。
〇休める/食べれる、は動詞原形語幹+可能接辞:eruという文法則により統一的に生まれたものです。
〇休まれる/食べられる、は動詞原形語幹+受動接辞:areruという文法則により統一的に生まれたものです。
〇「態の双対:1行書き」で分かるように、受動態=結果態+可能態の合体です。動作結果に意味の重点があります。(習慣的、繰り返し、多勢で、規則で、の可能も意味します:多の可能)
 一方、休める/食べれる、は動作可能の意思、意図の表出に意味の重点があります。
 (目前の動作可能、一回限りの動作可能、個別の動作可能を意味します:個の可能)
 だから、受動態が可能態を肩代わりすれば良いのではなく、どちらも必要な態動詞です。
〇「態の双対環」としては、原形態・結果態/可能態・受動態の対立関係(動作客体概念/動作主体概念)や、原形態・可能態/結果態・受動態の対立関係(動作/結果)も意味のうえで概念対立構造と見なせると考えるが、深入りしないことにします。

日本語文法:「ら抜き言葉」推進派の見方2

2015/02/13(金)

 前回、日本語文法:「ら抜き言葉」推進派の見方 で、すべての動詞が可能態と受動態を派生できると述べました。
その骨子は、五段活用、一段活用、変格活用のすべての動詞に対して適用できる法則として、「態の接辞は動詞原形語幹に接続する」ことを提起しました。
①動詞原形語幹を求めれば、子音語尾にすべて共通化できます。
②態接辞は各態ごとに1つの形態に特定できます。
(未然形つなぎでは、「れる/られる」の2本立て、「せる/させる」の2本立てでした)

 今回は「さ入れ言葉」、「れたす言葉」について、どう見るかを記述します。

(3)「さ入れ言葉」は二重強制態を意味します

〇「歌わさせていただきます」と言った人が歌い出したら、用法を間違えた「さ入れ言葉」です。
〇もし、弟子の新人を促して歌わせ始めたら、正しい用法の二重強制・二重使役態です。
 聞き手に許可を求める言い回しで弟子に歌わせるという構図です。
 強制系で注意したいのは、強制態接辞:+asu、と強制可能態=使役態接辞:+as・eruの2系統の接辞があります。学校文法では使役態にしぼって教えているようです。
〇学校文法では使役態接辞を「せる/させる」2本立てで説明しますから、
・未然形つなぎでは、「歌わ+せる/+させる」の二者択一を迫られていると勘違いして、間違えたら「歌わさせる」になる。
 ・歌わさせる=歌w・as・as・eru:二重にasuが付加された二重使役態です。
・単純に「さ」が挟まっただけに見えても、二重使役態の構造に大化けしてしまいます。
・文法学者も二重使役態だと面倒見よく教えてくれません。音素解析でローマ字つづりを使うことを極端に避ける風潮がありますからね。

 一方、「動詞原形語幹つなぎ」ならば、接辞は1本立てです。
・強制態では、歌わす=歌w・asu、の1本立て、
・使役態なら、歌わせる=歌w・as・eru の1本立てです。
 間違えるような誘因がなにもありません。
(冗談ですが)意識的に多重使役で、
・歌わさささせる=歌w・as・as・as・as・eru:四重にasuを付加して四重使役態も派生させれるのです。(~させれる:s・as・er・eru:さ行変格動詞の使役可能態です)

 もちろん四重強制態を推進しようとは思いませんが、次の例はあり得ます。
〇動詞原形語幹が「s」で終わる語彙の強制系、使役系には注意が必要です。
・探さす=探s・asu:強制態
・探ささす=探s・as・asu:二重強制態です。
・探ささされる=探s・as・as・areru:二重強制受動態です。
・探ささせられる=探s・as・as・er・areru:二重使役受動態です。
・食べささされる=食べs・as・as・areru:二重強制受動態です。
・食べささせられる=食べs・as・as・er・areru:二重使役受動態です。
〇確実な強制態、使役態を使うには、
・歌w~:動詞原形語幹まで発音してから、+asu:強制態、または+as・eru:使役態をつなぐ。
・または、歌w・as~:動詞原形語幹まで発音してから、+eruをつなぐ。
という方法で慎重を期すとよいですね。
 二重強制態、二重使役態を応用する場面は誰でも多いはずですから、十分慣れておく必要があります。
〇児童の病気休みを親が学校教師に許可を願い出るなどの三者関係での許可要請・指示出しの場合です。
・「先生、今日は〇〇を休まさせてください」と親が電話連絡するのは正しい二重使役態です。
・自分の休み願いに「休まさせてください」と二重使役態を使ってはいけません。

(4)「れたす言葉」:二重可能態は蛇足ですから、止めるが善し

〇例・行k・eru→行ける:可能態動詞をさらに、
・行けれる=行けr・eruと二重可能態にすること。
 これも見掛けは「れ」が挿入されただけのようですが、二重可能の蛇足形態になっています。
〇二重可能、二重結果、二重受動は動作の意味が成立しないので、使わず我慢しましょう。
 練習すべきは二重強制、二重使役ですね。

 ただし、注意すべきは、
〇動詞原形構造が~eruの語彙に対する扱いです。
・いれる、忘れる、:能動的動詞なので、
・いれれる、忘れれる:正常な可能態です。
一方、
・はいる→はいれる:可能態、取る→取れる:可能態、自発態で、能動性が低くなるので、
・?はいれれる:蛇足二重可能でダメ、?取れれる:意味不明になる。

〇可能態としてOKの動詞であれば、動詞活用させて、
・いれれる→いれれれば:入れることができればと仮定形活用するのもOKです。
・忘れれる→忘れれれば:忘れることができればと仮定形活用するのもOKです。
〇態の接辞を正しく使うと「れれれ」、「さささ」が連続する言葉も生成されます。
・気にせず使いこなすには、順に動詞原形語尾の子音を口で言うつもりになって接続していくとよい。
 ・いれr・れr・れば、忘れr・れr・れば、食べさs・さs・さr・れる と言う訓練ができているといいのですが、どうでしょう。

 この「れれれ」、「さささ」の連続が起きる理由も分かりますよね。
「動詞原形語幹に接続する」という日本語の動詞生成の原理が利いているからです。

日本語文法:「ら抜き言葉」推進派の見方

2015/02/10(火)

(1)可能態と受動態はすべての動詞から派生できます

 現代の日本語文法が正しく説明しきれていないため、「食べれる、見れる、来れる」などの言葉を「ら抜き言葉」と呼んで使用しないように注意している人がいます。
学校文法でも「食べられる、見られる、来られる」と「ら入れ」を勧めますが、これでは受動態の形態になってしまいます。
〇「読める、書ける、探せる」は可能動詞であり、
 「読まれる、書かれる、探される」は受動態ですから、可能態と受動態が揃っています。
 (五段活用・子音語幹動詞)
〇同様に、「食べれる、見れる、来れる」を可能動詞、可能態とし、
 「食べられる、見られる、来られる」を受動態と認めれば釣り合いが取れます。
 (一段活用・母音語幹動詞)
〇これで何の問題も起きませんし、きちんと対応が取れるのです。
〇可能態の「~できる」の意味は、目前の動作ができる、できる意思がある、です。
(言わば、「個の可能」です)
〇受動態の可能は、結果可能:「~やり抜くことができる、だれでも繰り返しできる、習慣的にできる、規則としてできる」という意味です。
(言わば、「多の可能」です)(また、結果可能の他にも、受身、尊敬、自発などの意味がある)
〇これだけ意味が違いますから、すべての動詞で可能態と受動態の両方を派生する必要があり、本来の日本語は対応できるように進化してきたのです。
〇学校文法、多くの文法学者は「個と多の可能の違い」に無頓着です。意味の違いを解説していません。

(2)態接辞の助動詞は動詞の原形(終止形)に接続すべきです

 動詞態は、動詞活用(未然、連用、終止、連体、仮定、命令)ではありません。
ですから、未然形に接続すると定義するのは間違いです。
〇学校文法、教材、国語辞典のすべてが他の助動詞と区別せず、未然形に付けると間違いを記述してあります。
〇態は新しい態動詞を生成するもので、動詞原形(終止形)の語幹に接続するものです。
 江戸時代に始まったという可能動詞は、可能態を新しい動詞生成と見たわけです。
 受動態も受動動詞と見なしてよいわけです。
〇動詞原形の語幹を求めれば、読m、書k、探s、と子音語尾で終わります。
・同様に、食べr、見r、来rも原形語幹では子音語尾で終わります。
・これに可能接辞:+eruを接続したものが、
 ・読める、書ける、探せる
 ・食べれる、見れる、来れる
  となり、同等の可能動詞になります。
・また、受動態接辞:+areruを接続すれば、
 ・読まれる、書かれる、探される
 ・食べられる、見られる、来られる
  となり、同等の受動動詞になります。
〇また、強制態接辞:+(r/s)asuを接続すれば、
 ・読ます、書かす、探さす
 ・食べ(r→s)asu=食べさす、見(r→s)asu=見さす、来(r→s)asu=来さす
  となり、同等の強制動詞になります。
〇強制系(r/s)記号は、r:自力動詞、s:強制他力動詞への交替を発揮させるもので、
 場合によっては、蒸(s→r)asuのように反転交替もあります。
 文語体の受動態接辞:aru、強制態接辞:asuが共に「あ」始まりだったから、未然形の語尾「あ」と重なり、未然形接続の誤解が生まれたのでしょう。
・可能態接辞:eruは未然形につながるとは言い難いから、狭い範囲の可能動詞として使われ始めてきたのでしょう。
(未然形につなぐという概念が動詞語彙の生成に関する仕組み:例・自他対応動詞の生成、に合っていない。(r/s)交替現象があること自体が動詞原形接続の証拠であると言える)
〇態の接辞は動詞の原形語幹につながるのだと文法則を正せば解決することです。

 最後に態の接辞としてもう一つ説明が必要なことがあります。
〇文語体の受動態接辞:+aruは口語体の結果態接辞として明示すべきです。
・日本語の受動態が、
 ・動詞原形+「ある:結果態」+「える:可能態」で構成されている重要な態接辞だからです。
 ・読m+ar・eru→読まれる
 ・食べr+ar・eru→食べられる
・西欧語の受動態が、
 ・「ある:助動詞」+動詞過去分詞で構成されるのと同等です。
・日本語の受動態は動詞原形ですから、時制に自由度があり、未来の結果予測も表現できます。
 また、受動態が結果可能の意味を感じさせるのは「eru」があるからでしょうね。

 「さ入れ言葉」、「れたす言葉」については、日本語文法:「ら抜き言葉」推進派の見方2 に述べます。

日本語文法:動詞原形語幹+態の接辞3

2015/02/06(金)

(2)態動詞の使い方

 態変化させた動詞を一括して態動詞と総称する。態によっては使い方や発音のしやすさに難易がありそうです。
〇なかでも可能動詞・可能態については使い方が難しいようですね。
・結果動詞は直接使うことは少ないかもしれませんが、結果動詞活用形として使っているはずです。
・例:「そんなこと言われても困るよ」、「忙しいのに電話がかかってきて、すっかり予定が変わってしまった」
〇受動動詞の使い方には抵抗が少ないようで、言い間違いが社会的な問題にならないようです。
〇それに比べ、可能動詞には「ら抜き言葉」だの「さ入れ言葉」、「れたす言葉」などの論争が絶えません。
 思考実験の当ブログでは、可能態に「ら」が最初から付かないので「ら抜き問題」は存在しません。
 むしろ「ら付け言葉」を峻別します。可能動詞「食べれる」と言うべきときに「食べられる」を使わないように提唱します。

〇4、5日前、イスラムテロ集団による日本人人質殺害の報道がありましたが、安倍晋三首相が報道記者の囲み会見で表明した短い談話のなかに、『テロ集団には、償わさせる』という文節があった。空耳ではないはずだ。
・これは政治家の「さ入れ言葉」です。武装主義を重んじる安倍首相の軽はずみな表明です。償う:金品で罪、過失を埋め合わすと国語辞典にあります。こんな軽い言葉を、しかも「さ入れ言葉」で表明して恥じることのない総理大臣にはうんざりします。
(償わせる:テロ集団に償わすの意味で、手段も考慮しないで言葉が独り歩き。償わさせる:二段階使役だから、他国に頼んで償わせるの意味になってしまう。そのために人道支援金を払うという文脈か)

 「さ入れ言葉」が起きてしまう誘因には、2つ要因があるだろう。
①使役動詞を使い慣れていない。
・能動系動詞→強制系動詞(r/s交替)→可能態接辞付加(使役系動詞)を思い浮かべてから発言するとすれば、それだけで頭がフル回転してしまう。
 ・償う→償わす→償わせる が手順を踏んだ使役動詞の作り方の一つです。
・この手順で注意すべきは、未然形で考えず、終止形でつないでいく心づもりが大事です。
 ・償u→償わsu→償わs+eru
 ・償w→償w+aseru と一気に変換でもよいです。
 ・償w+asu:強制態をそのまま使うこともOKですから、これになじんでおくのもよいですね。
・未然形のつなぎを考えていると、償わ・せる、償わ・させる の択一問題になってしまい、安全選択で、償わ・させるを間違って選ぶのかも知れません。

②使役態が強制可能態であり、可能態の意味に惑わされる。
・おそらく強制態をもっと使い、使役態は控えるという風潮ができれば「さ入れ言葉」は少なくなるだろう。
 ・償わす:自分が行動して、相手に償いを実行するように仕向ける。
 ・償わせる:(強制可能態=使役態)自分の行動で相手に償いを実行させる。
 ・償わさす:自分が命じて仲介者を行動させ、第三者に償いを行わす。(二重強制)
 ・償わさせる:(二重強制可能態=二重使役態)仲介者任せに第三者を償わせる。
〇本来、償わす・償わせるがほとんど同一の意味なのだが、可能態が付加された使役態は、償わすことが可能だという意味合いが付きまとう。 
・特に、未然形つなぎで考える人にとって「償わ~」で接辞を探し始めるかもしれない。
これは「償う」の未然形・打消し「償わない」の影響だが、「償う+せる」では通じないので「償う+させる」の意味で「償わ+させる」と言い抜けてしまう、と推測します。
・あるいは「償わす」の未然形:「償わさ」に無理やり「+(s)eru」をつないだとも推測できるかどうか、疑問ですが。
(いずれにしろそれでは二重強制可能態なのです。償w・as・as・eru:二重強制になっていると指摘してくれる文法学者がほとんどいないのですね。)


〇態動詞を作り出すときは、未然形ではなく、動詞原形語幹で考えて「償わs+eru」の形態を一人一人が作り出すことを求められます。
〇「さ入れ誘発の①②要因ともに可能態を避けて強制態らしくさせよう」との思いが二重強制態にしているのでしょう。
〇逆に「れたす言葉の誘因は二重可能態を作り出す間違いをしている」わけです。
・可能態接辞は、~することができるという性状を表現するだけでなく、~できるから取りかかる意思を表明するときにも使いたいという深層心理があるから複雑になります。
(可能態の接辞が動詞活用の已然形・既然形に由来しているから、態派生でなく動詞活用的に感じてしまう側面もあるのかもしれません)

 動詞原形語幹に態接辞を付加する方式は、基本接辞を変形させることなく常に一定の形態で使えます。
態の接辞を組み合わせて使えますし、形態も一定に保たれます。

★能動系動詞の原形語幹に付加する態接辞いろいろ。
原形態:+u   例:読m+u/食べr+u/償w+u
可能態:+eru 例:読める/食べれる/償える
結果態:+aru 例:読まる/食べらる/償わる
受動態:+areru 例:読まれる/食べられる/償われる

強制態:+(r/s)asu 例:読ます/食べ(r/s)+asu/償わす
強制可能態:+(r/s)aseru 例:読ませる/食べさせる/償わせる
強制結果態:+(r/s)asaru 例:読まさる/食べささる/償わさる
強制受動態:+(r/s)asareru 例:読まされる/食べさされる/償わされる

使役態:+(r/s)aseru  例:読ませる/食べさせる/償わせる
使役可能態:+(r/s)asereru 例:読ませれる/食べさせれる/償わせれる
使役結果態:+(r/s)aseraru 例:読ませらる/食べさせらる/償わせらる
使役受動態:+(r/s)aserareru 例:読ませられる/食べさせられる/償わせられる

受動強制態:+aresasu  例:打たれさす/食べられさす/償われさす
受動使役態:+aresaseru 例:打たれさせる/食べられさせる/償われさせる

日本語文法:動詞原形語幹+態の接辞2

2015/02/04(水)

 日本語の動詞態を新しい視点から解き明かしてみたい。
〇思考実験の成果と覚しき新しい動詞態は、「動詞終止形(原形)語幹に「態の接辞」を接続して派生させる」ものです。
・原形(終止形)語幹であれば、すべての動詞を子音語幹の形態で扱えます。
・態接辞の形態も意味も明白になります。
・動詞を能動系、強制系、使役系の3種類に区分します。態接辞は基本4つだけで各系統の動詞に接続できます。
〇以上の説明をまとめた図表を作成しました。(図表参照)
Photo

(1)なぜ動詞原形語幹に態接辞を接合するのか

 なぜ動詞の未然形に助動詞として態の接辞を接合しないで、動詞の辞書形・原形に接続するのか。
①動詞活用に必要な助動詞ならば、動詞語幹につなぐことを想定すればよいわけです。
 動詞活用とは、未然・連用・終止・連体・仮定・命令へのつながり方ですから、変化しない部分が語幹というわけです。
(もちろん、子音語幹の動詞は辞書形語幹も同一形態ですから、差異がありません。母音語幹の動詞では原形語幹にすると最後の語尾子音が残ります)
②動詞の態活用は動詞活用ではなく、「態変化した動詞」を作り出すことです。
〇つまり、学校文法や国語辞典が明記している未然形に接続する助動詞という考え方は間違いなのです。
・江戸時代に読める、書ける、泳げるなど子音語幹動詞に+eru接辞を付加して可能動詞を作ったと言う。可能態になった動詞を可能動詞と呼ぶように「態変化した動詞」と認識すべきことなのですね。
・便宜上、可能態と呼んでいる「食べれる」、「見れる」、「来れる」なども正当な可能動詞なのです。
・また、結果態の「休まる」、「食べらる」、「見らる」などは結果動詞です。
・受動態の「休まれる」、「食べられる」、「見られる」は受動動詞です。
〇態変化した新しい動詞を作り出すために動詞原形と組み合わせるのだと気づいたのですが、さらに力強い文法学者の記述にも気づきました。
 時枝誠記本:『国語学原論(上)』:岩波文庫:2007年3月16日第一刷
〇第2篇:各論:第3章:文法論310頁に
・辞より除外すべき受身可能使役敬譲の助動詞 という節項がある。
・論旨:「態の接辞」は他の助動詞と違い、詞(の中に、動詞の中に)入れる扱い方にすべきだ。
つまり、一体となった動詞として扱うべきだという考え方です。
--以前の記事を一部引用---
日本語文法:日本語をどう見るか6 から抜き出し:
 金田一春彦:『日本語 新版(下)』に「文法の単位」の項目がある。
〇述語文節の例文:「行かせたから」に対して
・松下文法:「行かせたから」全体で一語。
・山田文法:「行かせた+から」と切り、二語。
・時枝文法:「行かせ+た+から」と切り、三語。
・学校文法(大槻文法、橋本文法):「行か+せ+た+から」と切り、四語。
金田一としては山田の案がいい、と言う。(現代語に限る。もし平安朝時代なら:行かせ+たるより、と言ったから時枝文法は古典には適うのだが、という)
---引用終り---
〇「態変化した動詞」を思考実験により実感したので、時枝文法の慧眼に驚くばかりです。
時枝文法は現代語にも適うのだ。

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