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日本語文法:「ら抜き言葉」推進派の見方2

2015/02/13(金)

 前回、日本語文法:「ら抜き言葉」推進派の見方 で、すべての動詞が可能態と受動態を派生できると述べました。
その骨子は、五段活用、一段活用、変格活用のすべての動詞に対して適用できる法則として、「態の接辞は動詞原形語幹に接続する」ことを提起しました。
①動詞原形語幹を求めれば、子音語尾にすべて共通化できます。
②態接辞は各態ごとに1つの形態に特定できます。
(未然形つなぎでは、「れる/られる」の2本立て、「せる/させる」の2本立てでした)

 今回は「さ入れ言葉」、「れたす言葉」について、どう見るかを記述します。

(3)「さ入れ言葉」は二重強制態を意味します

〇「歌わさせていただきます」と言った人が歌い出したら、用法を間違えた「さ入れ言葉」です。
〇もし、弟子の新人を促して歌わせ始めたら、正しい用法の二重強制・二重使役態です。
 聞き手に許可を求める言い回しで弟子に歌わせるという構図です。
 強制系で注意したいのは、強制態接辞:+asu、と強制可能態=使役態接辞:+as・eruの2系統の接辞があります。学校文法では使役態にしぼって教えているようです。
〇学校文法では使役態接辞を「せる/させる」2本立てで説明しますから、
・未然形つなぎでは、「歌わ+せる/+させる」の二者択一を迫られていると勘違いして、間違えたら「歌わさせる」になる。
 ・歌わさせる=歌w・as・as・eru:二重にasuが付加された二重使役態です。
・単純に「さ」が挟まっただけに見えても、二重使役態の構造に大化けしてしまいます。
・文法学者も二重使役態だと面倒見よく教えてくれません。音素解析でローマ字つづりを使うことを極端に避ける風潮がありますからね。

 一方、「動詞原形語幹つなぎ」ならば、接辞は1本立てです。
・強制態では、歌わす=歌w・asu、の1本立て、
・使役態なら、歌わせる=歌w・as・eru の1本立てです。
 間違えるような誘因がなにもありません。
(冗談ですが)意識的に多重使役で、
・歌わさささせる=歌w・as・as・as・as・eru:四重にasuを付加して四重使役態も派生させれるのです。(~させれる:s・as・er・eru:さ行変格動詞の使役可能態です)

 もちろん四重強制態を推進しようとは思いませんが、次の例はあり得ます。
〇動詞原形語幹が「s」で終わる語彙の強制系、使役系には注意が必要です。
・探さす=探s・asu:強制態
・探ささす=探s・as・asu:二重強制態です。
・探ささされる=探s・as・as・areru:二重強制受動態です。
・探ささせられる=探s・as・as・er・areru:二重使役受動態です。
・食べささされる=食べs・as・as・areru:二重強制受動態です。
・食べささせられる=食べs・as・as・er・areru:二重使役受動態です。
〇確実な強制態、使役態を使うには、
・歌w~:動詞原形語幹まで発音してから、+asu:強制態、または+as・eru:使役態をつなぐ。
・または、歌w・as~:動詞原形語幹まで発音してから、+eruをつなぐ。
という方法で慎重を期すとよいですね。
 二重強制態、二重使役態を応用する場面は誰でも多いはずですから、十分慣れておく必要があります。
〇児童の病気休みを親が学校教師に許可を願い出るなどの三者関係での許可要請・指示出しの場合です。
・「先生、今日は〇〇を休まさせてください」と親が電話連絡するのは正しい二重使役態です。
・自分の休み願いに「休まさせてください」と二重使役態を使ってはいけません。

(4)「れたす言葉」:二重可能態は蛇足ですから、止めるが善し

〇例・行k・eru→行ける:可能態動詞をさらに、
・行けれる=行けr・eruと二重可能態にすること。
 これも見掛けは「れ」が挿入されただけのようですが、二重可能の蛇足形態になっています。
〇二重可能、二重結果、二重受動は動作の意味が成立しないので、使わず我慢しましょう。
 練習すべきは二重強制、二重使役ですね。

 ただし、注意すべきは、
〇動詞原形構造が~eruの語彙に対する扱いです。
・いれる、忘れる、:能動的動詞なので、
・いれれる、忘れれる:正常な可能態です。
一方、
・はいる→はいれる:可能態、取る→取れる:可能態、自発態で、能動性が低くなるので、
・?はいれれる:蛇足二重可能でダメ、?取れれる:意味不明になる。

〇可能態としてOKの動詞であれば、動詞活用させて、
・いれれる→いれれれば:入れることができればと仮定形活用するのもOKです。
・忘れれる→忘れれれば:忘れることができればと仮定形活用するのもOKです。
〇態の接辞を正しく使うと「れれれ」、「さささ」が連続する言葉も生成されます。
・気にせず使いこなすには、順に動詞原形語尾の子音を口で言うつもりになって接続していくとよい。
 ・いれr・れr・れば、忘れr・れr・れば、食べさs・さs・さr・れる と言う訓練ができているといいのですが、どうでしょう。

 この「れれれ」、「さささ」の連続が起きる理由も分かりますよね。
「動詞原形語幹に接続する」という日本語の動詞生成の原理が利いているからです。

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