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日本語文法:動詞の原形語幹とは2

2015/02/26(木)

(3)なぜ学校文法は「態の助動詞を未然形に接続する」と間違えたのか?

〇まず、間違いを誘発した要因を推察したい。その誘因は現在でも多くの人に無意識下で「未然形接続だ」と思い込ませているはずだから。
①多くの助動詞が未然形接続なので、「態の接辞」も同じだろうと考えてきた。
②五段活用と一段活用とでは、態の接辞構造が違うことを不審に思わなかった。
・受動態:五段には:れる、一段には:られる、
・使役態:五段には:せる、一段には:させる、
 (れる/られる、せる/させる、違いの真相を不問にした?なぜか?)
 この①②の2点を不審に思わず100年以上も続けてきたのは、
③本来の受動態接辞:areru→「aれる」、使役態接辞:aseru→「aせる」であったから、五段未然形の活用語尾「あ」に「a」が流用されたことに誰も気づかなかった。
 未然形ではなく終止形に接続すると明記すれば、本来の「aれる、aせる」が見えてきます。
④一段未然形には、終止形に相当する「r+」、「s+」を付加させて、受動態:「r+aれる」、使役態:「s+aせる」を接続するとした。これでは未然形に接続するではなく、終止形に接続すると明記すべきです。
 と言うことに誰も気づかなかったからです。
⑤能動系から強制系へ態を変換するとき、(r→s)交替の現象がある、と以前記述しました。
・この(r→s)交替現象を起こすのは、母音語幹動詞が終止形になるときに付け足した「r」が「s」に交替する場合がほとんど、大部分です。
例:つまり、一段動詞で(r→s)交替が起きる。強制態接辞:asu、使役態接辞:aseru
・見る、着る、来る、食べる、忘れる、離れる、などが(r→s)交替して、
・見さす、着さす、来さす、食べさす、忘れさす、離れさす、(~r→s+asu)で強制態になる。
・もっとも、五段動詞で、蒸す:五段、→蒸らす:五段、という(s→r)交替現象あり。
 理由は、蒸らす:自分が物を蒸すという他動詞の強調です。蒸さす:相手に動作を強制する意味になり、使用頻度が少ないのでしょう。

(4)可能動詞が誕生したときも「終止形接続」に気づかなかった

 可能態接辞:eruは、五段活用動詞:子音語幹動詞の語幹に接続して可能動詞を生成する。
江戸期に生まれた可能動詞は少しずつ広がり、徐々に一段活用動詞:母音語幹動詞に対しても、その原形(終止形)語幹:子音語幹に接続する方法で使われてきた。
だが残念ながら、「動詞の原形・終止形に可能接辞を接合する」という法則が象牙の塔の暗黙知にまで浸透してこなかった。
それゆえ、学校文法では、可能動詞による可能態を「態の助動詞」と認めず、受動態の(結果)可能だけを正当化しています。
〇つまり、読める、書ける、飲める、は可能動詞であり、
・見れる、着れる、来れる、食べれる、忘れれる、離れれる、などは
 見られる、着られる、来られる、食べられる、忘れられる、離れられる、とすべきだという。
〇見れる、と、見られる、との意味は大違いであり、一つに収れんさせる理由が得心できません。
〇読める、と、読まれる、が別々の意味があるから併存しているのと同じ理由で、見れると見られるが別々に併存する価値があるのです。
〇「見れる」は「見られる」の「ら」を抜いたものではありません。「見r+eru」による語彙生成の文法則から生まれた正当な動詞です。可能動詞が生まれた文法則とまったく同じです。

 態の接辞が誕生した経緯を推察すると、自動詞・他動詞の対応派生:自他対応とか使役交替とかの名称、を作り出す接辞機能が根源にあり、その接辞をそのまま態の接辞:助動詞として流用したものです。
自他対応接辞は、文字どおり動詞語幹に「接辞」を接続して、自動詞から他動詞へ、他動詞から自動詞へ転換させる機能をもつものです。当然、未然形ではなく動詞原形語幹に接続させます。
 可能態接辞:eruを自他交替を含めてくわしく考察しよう。
〇見r+eru=見れる:自・自発(自他交替) 、または、他・見ることができる(交替でなく他・可能)
「努力のあとが見れる:結果が見れる状態になっている」の意味でも使われる。
〇読m+eru=読める:自・性状(自他交替)、または、他・読むことができる(可能)
「この字が読める:字が欠損していないから読める状態にある」の意味でも使われる。
〇食べr+eru=食べれる:自・性状(自他交替)、または、他・食べることができる(可能)
「もう食べれますよ:料理が食べれる状態になっている」の意味でも使われる。
〇立t+eru=立てる:他・物を縦にする(自他交替)、または、自・自分の足で立つことができる(可能)
★このように、可能態動詞は単に動作可能の意味だけでなく、同時に自他交替する意味を併せ持つものです。
★可能態接辞:eru、と、受動態接辞:areruは、それぞれ接辞が違いますから、意味するところが異なります。両者を区別して使いたいですね。
★見る、読む、食べるの他動詞が可能態により自動詞的な側面を持つという現象は、暗黙知になっているかどうか定かではありません。日本語の動詞が自動詞・他動詞へ相互に交替できる「接辞機能が備わっている」ことをもう一度、公開知・形式知に整理できるとよいのだが。

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