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日本語構造伝達文法12年版を独習する2

2015/03/21(土)

今泉喜一:『日本語構造伝達文法12年版』ネットPDF本を読書中。
・態の後には「テンス・アスペクト」が詳細に時空モデルによる解説がある。
・少し歯が立たない感じなので、態の整理に関連して自動詞/他動詞の対応について思考実験しておきたい。

(3)ヲ格補語をとる有対自動詞

 自動詞、他動詞、態のそのものが内包している「アスペクト感覚」を研究した成果実績がどの程度効果を発揮して文法整理に貢献できているのだろうか。
〇「ヲ格補語をとる有対自動詞」については諸説あって、
①「移動のヲ格補語」(公園を歩く、家を出る)。
②「状況のヲ格補語」(お忙しい中を、雨の中を、)。
③「継続する事柄のヲ格補語」(話を終わる、仕事を変わる)。
④「変化する身体部位のヲ格補語」(口をあく、しっぽをたれる)
など、ヲ格補語の類別仕分けが記述されている。
 ①、②は、おおかたの認知があり異論がないようですが、③、④には評価の揺れがあるようです。特に④例に上がる2語には「再帰的他動詞とか、垂れるは古代他動詞だった」と見る説もあるらしい。
当webnoteでは以前に投稿した(標記投稿では「結果状態」文型としていた)
日本語動詞:自他ともに「を格補語」をとる に述べたように、
③を支持して、③(④を含めて)「動作結果の受容体のヲ格補語」を掲げます。
〇動作結果の状態を穏やかな表現にする方法で、聞き手に安心感を与えます。
・口をあける/口があく/口をあく←自動詞のヲ格補語:結果受容体。
・釣り糸をたらす/釣り糸がたれる/釣り糸をたれる←自動詞のヲ格補語:結果受容体。
・仕事を変える/仕事が変わる/仕事を変わる←自動詞のヲ格補語:結果受容体。
また、「仕事を、会社を休む」と言えても、「×会社が休む」とは言えないので、自動詞の意味を吟味する必要があります。(長期休業を予定している会社ならば言えるかも知れない)

(4)「動作結果の受容体のヲ格補語」とは

 他動詞の目的語とは、動作の対象体を指しますから、動作を受ける受容体です。
〇「仕事(AからBへ)を変える」の場合:「仕事Aを変える」の意味が優勢でしょう。
 あるいは変える動作を続けないとBへいけません。
 自動詞での「動作結果の受容体」では、
〇「仕事を変わる」の場合:「仕事Aを変わり、もう仕事Bに変わっている」の意味が出てきます。
〇「(閉じたAから開いたBへ)口をあく」:「口Bをあく」の意味でしょう。

 動作主が自分で動作するのでも、他動詞表現よりも自動詞表現のほうが、動作の印象が穏やかになりますし、「動作の結果」がきちんと表現できるのです。
〇「お茶が入りました」←「×お茶を入れました」
・「ドアが閉まります」←「×ドアを閉めます」
・「日程が決まりました」←「×日程を決めました」
のように「動作結果」を表明することが好まれます。
他動詞を使うと「動作陳述が目立つ」ので避ける慣習が根づいています。

〇他動詞の動作対象:目的語が意味するものは「動作受容体」です。
〇「動作結果の受容体」は動作を受けた結果の受容体ですから、動作受容体と同一とは限りません。なんらかの変化があることを含んでいます。
・「お湯を沸かす」:他動詞でも動作受容体(水)を動作結果受容体(お湯)にして表現するのが普通です。
 (日本人の場合、,水とお湯は区別して話しますからね)
そう考えれば、変化状態を表現する自動詞の場合、「動作結果受容体をヲ格補語」にする表現も自然ですよね。

 日本語は「ある」、「なる」動詞を多用する背景には、いちいちの動作を言い合うのではなく、動作結果で表現する気風があるからでしょう。
〇そのためには、文法としても「動作結果」の表現法を確実に説明することが大事です。
・残念ながら、「動作結果受容体」の用語も今回の新造語です。
(ネット検索で自動詞ヲ格補語の論文など調べても:③「継続する事柄のヲ格補語」用語が結果受容に相当する見解を述べています)
〇改めて、自・他動詞に共通した「ヲ格補語の種別」を整理すると、
①「移動のヲ格補語」(公園を歩く、家を出る)。
②「状況のヲ格補語」(お忙しい中を、雨の中を、~のところを)、
 「時のヲ格補語」も②に組み入れる(夏休みを、冬休みを、別荘で過ごす)。
③「動作結果受容体のヲ格補語」(動作の結果陳述に焦点をおく表現として自・他動詞でヲ格補語をとる)。
 (自動詞:能動的動作を意味する動詞で、結果に関与する度合いが強いほどヲ格補語が適する)
④「動作受容体のヲ格補語」(通常の他動詞に対する目的語補語に相当)。

〇動詞態の文法でも、受動態=結果態:aru+可能態:eru=ar・eruであり、結果態:aruを含む接辞だと提言するのは、当webnoteブログだけのようです。
・可能動詞に使われる可能態接辞:eruは「することができる」であり、できた結果を言及していません。
・受動態の食べられるは、食べr+ar・eruであり、結果態:aruを含んでいるので、食べる結果を表現しています。
・ついでながら、食べれる「ら抜き言葉」と世上で言われていますが、食べr(ar抜き)+eru:結果抜きです。食べれるは結果態を除いた可能態だけの正真正銘の可能態なのです。
(今泉本で「ら抜き」に触れるのは一行のみで、残念ながら食べ+(ra抜き)r・e・の構造で把握されている)
〇「結果」の形態がいろいろですが、日本語の特徴なのですから、確実に文法で継承してほしいですね。

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