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日本語動詞の態拡張2

2015/07/06(月)

(5)「態の双対環」の真価とは

(図参照)自他対応接辞:態の双対環演習図新
〇この図には「2つの意味」が組合わされています。
①有対の自動詞・他動詞を四角枠線で囲んで「自他対応状態」の種類を明示してあります。
②四角枠線内の各動詞を「態の双対環方式で態活用させる」とどうなるかを明示してあります。
・自他対応させるための接辞が「文法的な態の接辞」にも利用されているのだと説明したいからです。
・「態の双対環」視点で態操作をすれば、自動詞であれ、他動詞であれ、原形動詞から可能態、結果態、受動態を生み出せるのです。
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〇さらに、図から得られる「態の双対環」の真価を探ります。
③自他対応(1)型~(4)型の自・他動詞は、1つの「態の双対環」から派生しています。
(①自他交替と②態活用とが1つに重畳縮退したとも言える)

④自他対応(5)型~(11)型の自・他動詞は、自動詞用・他動詞用の別々の「態の双対環」を形成しています。
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〇5型~11型の「態の双対環」で現れる「可能態、結果態」は自他交替に無関係な純粋な可能、結果を表現することを意味します。
〇1型~4型の可能態、結果態は「自他交替の機能」と純粋な交替なしの「可能態」、「結果態」のそれぞれ2つの意味を持ちます。特に2型~4型の動詞は可能態接辞で新たな態動詞を生み出しますが、意味・語感が3者相互で異なっています。
・また、2型の自他交替動詞の数は一番多いので、教師としても1型~4型動詞は「態の双対環」演習で慣れておくのがよいでしょう。

〇図には、無対の自動詞、他動詞、両用動詞が含まれていませんが、図の下部囲い記事に「食べる」などに対して「態の双対環で態活用」を演習してあります。
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★「態の双対環」は子音語幹、母音語幹動詞の「ar抜き可能態」を並行して認めます。「食べれる、見れる、来れる」などを可能態と見なし「双対環」を構成します。
★「(ar抜き)可能態」:読める、行ける、書ける、食べれる、見れる、来れる、などを公平に認定すると同時に、「受動態の結果可能」:読まれる、行かれる、書かれる、食べられる、見られる、来られる、などが表現する可能の意味は、「実行した結果の到達可能」であることを理解しておくべきでしょう。
★能動系だけでなく、強制系、使役系の「態の双対環」も相似形で態活用を適用できます。

 日本語教育の現場で「態の双対環」を教材に使うには、図の真価①~④までを理解できる段階だと判断したあとで公開するとよい。学習者の知識整理に有効な文法則として残るでしょう。

(6)態動詞の自他動詞性

 「態の双対環」方式で派生した態動詞はどんな動詞性を持つのだろうか?
〇まず概念的に考察すると、
・構文上の要請(文法上の要請)で動詞の態を選択する必要があります。
例:目が輝く→青年が目を輝かせて話し始める。
(青年が「目が輝いて」話し始める、とは言わずに、主文側の青年による使役態「輝かせる」へ変換して表現します:他動詞化)
〇単文構成の場合、
・動詞原形の自動詞性/他動詞性が元になります。
・自他対応12種類のうち、1型~4型では、自他交替する態動詞はその部分で自他性が交替反転する。
(深層では原形の態変化部分の意味も重畳していますが、動作意図性が弱い動詞は原意が薄れ自他交替が優勢になります)
★日本語学習者に対しては、1型~2型の可能接辞は他動詞化への交替機能が強いと教える、3型~4型の可能接辞が自他交替機能と可能・自発を表すと教える、それが「双対環」一つで自他生成する分かりにくいところを明確にする道です。
・5型~11型動詞対は自他交替なしの「態の双対環」ですから、可能態、結果態、受動態すべてが「原形の動詞性」を引き継ぎながら「状態性を表す自動詞的な機能」も果たします。
・強制系、使役系の「態の双対環」では、可能態、結果態、受動態すべてが「原形の強制動詞性」を引き継ぎながら「状態性を表す自動詞的な機能」も果たします。

〇思考実験がこれ以上深まりませんが、要約すると、動詞原形の動詞性は態接辞の接合で構文上の機能変化(態変化)があっても、深層の動詞性が完全に払拭されるわけではないということです。
具体例:「状態性を表す自動詞的な機能」
・目があく/財布が盗まれる/仕事がおわる/君が好きだ:判断措定の構文。
具体例:原形の動詞性を活かした表現
・目をあく/財布を盗まれる/仕事をおわる/?君を好きだ:動詞が動詞性を表す叙述には寛容性があるから、自動詞が「を格」と結合することも当然あります。
潜在主格が心情を語る形式としては、目をあける/仕事をおえる/財布が盗まれるよりも、主格者による自動詞表現のほうが優れています。
〇「財布を盗まれる」という「を格」と接合する受動態構文は日本語などの特長です。
・「君を好きだと言う」なら、表現の不自然さがいくぶん少なくなるように感じるのは、動詞の叙述性が強くなるからかもしれない。
・逆に「君が好きだと言う」構文では、意味反転か多義文になってしまいます。

★自他動詞性について考察しましたが、明確な結論を記述できずにいます。しかし、「態の双対環」を提唱する視点については説明することができます。
①日本語動詞の意図性:人為を超えた力、受動、自然の力、自発、可能、自動詞、他動詞、強制(人為性強い)、使役、のような一直線上に配列しているとの認識では正確な把握はできない。
(すべての動詞が受動態になるが、一直線では説明が不可能になってしまうのです)
②「態の双対環」視点の日本語動詞の意図性:は、
・自然の意図、自己の意図により「みずから為す」動詞:能動(自動詞+他動詞)系と、
・自然の意図、自己の意図により「他者に為させる」動詞:強制・使役系との2分類であると提唱する。
③能動系「態の双対環」は、動詞原形(自・他動詞)態/可能態/結果態/受動態の「双対環」を持つ。
④強制系・使役系「態の双対環」は動詞原形((自・他動詞)+強制態接辞または使役態接辞)態/可能態/結果態/受動態の「双対環」を持つ。
 この視点で日本語の動詞、態動詞を考察すると、理解が早いのではなかろうか。
学校文法でも動詞の態については、受動態、使役態にしか注目していない理由がここに潜んでいます。
・能動系と「強制・使役系」が重要であり、どちらの系にも「受動態」が重要だからです。
本来は「態の双対環」の視点が重要なのではないだろうか。

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