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日本語動詞の態拡張5

2015/08/14(金)

(10)態拡張の本筋:

 「態の双対環」方式には帰納的な考察結果が含まれています。
①動詞態を原形態-受動態、可能態-結果態の2組の対向概念で直交させた「双対環」を導入した。
・動詞例:書くを簡略一行表記で「双対環」表現すると、能動系「書く・書ける・書かる・書かれる」です。
②能動系「双対環」に対する文法的な鏡像関係となる強制系:「双対環」、使役系:「双対環」を相似的に並置させる。(下に簡略一行表記を記述する)
・強制系「書かす・書かせる・書かさる・書かされる」、
・使役系「書かせる・書かせれる・書かせらる・書かせられる」
・二重強制系「書かさす・書かさせる・書かささる・書かさされる」:現実世界でありうる事態の態系です。
(孫請強制:部長に命じられた課長から課員が始末書・調査報告書を書かさされる情景が見えてきます)
〇以上の方法で動詞態をとらえることを「態の双対環」は提起します。
・簡単・確実に動詞態を派生させたり、態活用の正誤を見極めるために使えます。

 「態の双対環」方式の発想の原点には、
・自他交替の機能接辞として重要な役割を果している「可能態-結果態の対向軸」を正当に評価しようとしていることです。
〇その発想の効能は、可能態、結果態を正しく理解すると同時に、受動態も深く理解できるようになります。
・受動態とは(結果洞察、結果としての)×(受身、可能、自発、尊敬)という深層の意味を持っていることを示したいのです。
・原形態と可能態は動詞の動作、動作意向の概念表出であり、
・結果態と受動態は動作の結果反映、結果反応、結果洞察を表出する態表現です。

★受動態:ar・er‐の構造は結果態:ar‐と可能態:er‐の接辞合成による態ですから、動作結果の受身だけでなく、動作結果の可能性に関した表現にも使われます。これは日本語の受動態の大きな特徴ですし、さらに大きな自由度を受動態が持っています。
・西欧語の受動態が「be動詞+動詞過去分詞」の形式をとるのに対して、
 日本語の受動態は「動詞原形+arer‐」形式です。時制に関して制約がありません。
・つまり、動作結果として意識対象にできる時制は、過去・現在・未来のすべてに可能なのです。
(残念ながら学校文法では全く見過しています)

〇確かに、日常会話では脈々と「結果としての受動態」が活用されています。
・実例:結果を推測して可否を表現する。
・「このスープは熱つうて飲まれへん」:舌、喉のやけどを(結果を見越して)避けるために、「飲まれない」と言う。
 (単純に動作意図として飲めないと言うよりも深い意味があります)
・「あっ、財布を盗られたか?」:自分の身に降りかかった結果としての受身表現です。
 (この文型を間接受身などと分類しないで、本当は直接受身としたいですね)
・「このキノコは食べられます」:食べてよい種類のキノコであることを表現しています。
 (1回限りの受身動作の表現ではなく、受動態の結果表現が果すべき機能の一つ:繰り返しの動作結果や、世間的公認・習慣的動作の結果に対する可否を見込んだ表現です)
-「このキノコは食べれますよ」:(ちょうど焼けましたから、今)食べる動作ができますよ。
 (食べた結果についての言及ではありません)
・「この本は読まれましたか?」:読んだ結果についての感想などを期待した敬体表現です。
 (単純可能態の「読めましたか?」とは意味が違います)
・「どうしても行かれないんだ」:越えられない事情があって行き着けない予測を表現している。
 (行けないという意思の表現でなく、不可抗力の無念さや人為では不可能だと結果予測して語っている)
・「朝4時に起きられるかな」:直近での動作結果(早朝出発)の可否推測、自分に関わる受身表現と解釈してもよいですね。
-「朝4時に起きれるかな」:目が覚めるか、覚めないかを心配している表現です。

★日本語の受動態は:動作が行われて、結果がどう「ある」か、どう「なる」かを表現する文形式です。
・自動詞でも他動詞でも受動態を作り出せるのは、どちらも動作結果があり、かつ対向視点から結果表現をする習慣があるからです。
・所動詞のように動作性がなくなると、(二重受動態は存在しないように)さらに結果態や受動態へ態活用しても意味を成しません。(動作結果からさらに動作結果を出させようにも意味が成り立ちません)
・「態の双対環」方式で原形態→可能態→結果態→受動態の連続操作に慣れてくれば、受動態が動作結果に対する反映表現だと段々感じられるはずです。


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