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態文法:態接辞「ある:結果」の意味(4続)

2016/11/29(火)

4.態接辞「ある:結果」の意味:つづき

③本題の結果態接辞:「ある:aru」について
 結果態接辞:「ある」が「結果」態と名付けられる必然性を納得できたでしょ
うか。(「態の双対環」文法での名称ですが)
〇結果態「ある」の原意は単語「ある」にあるから、国語辞典で調べよう。
・ある→有る、所有する:動作(結果)を持つ=結果可能、経験・実績可能の意
・ある→行われる、起こる:事象がおこる=現象、自発、懐旧の念がわくの類
・ある→在る、存在する:動作(結果)が在る=動作が及ぶ・受身、受動の意
・ある→(漢語)動詞について敬意を表す:動作(結果)を表敬発話するの意
・ある→(である)肯定的判断を表す、(複合辞として断定、措定する)
・ある→(てある)動作完了して結果がある、(複合辞として結果相を表す)
このように、「ある」が持っている多面的な意味が動詞本体の動作と合成さ
れて、結果態として表現される。

〇動作結果(動作遂行)があると表現する形態なので、自動詞、他動詞、強制
 動詞、使役動詞に対してもそれぞれの「結果態」を派生することができる。
〇文語体では「結果態」が「受動」態を意味していたので、古来より受動表現
 は自他動詞の区別なしに使われたのだろう。
・多面的な表現:受身、結果可能、自発、尊敬の表現に使われていた。
〇口語体、現代語では受動態接辞:「ある+える=あれる:areru」を付加して
 受動態を派生する。
・受動態の成り立ちが西欧語とは異なるが、学校文法では文語体の受動接辞
 を「る」、「らる」、口語体の受動接辞「れる」、「られる」という形態でしか説
 明していない。これでは、「ある」、「あれる」が見えないし、意味にもたどり
 着けない。
〇接辞「ある」が把握できれば、素人流儀でも結果態の意味構造が比較できる。
・「動作+有る」→「動作+have」→「have+動作過去分詞」:英語の動作完了
 形に近似するが、結果態は時制が過去・現在・未来に通じ、意味も結果、経
 験、実績、習慣があることを表現する。
・「動作+在る」→「動作+be」→「be+動作過去分詞」:英語の受身、受動形に
 近似するが、結果態は時制が過去・現在・未来に通じ、意味も広く、事象が
 おこることや、懐古の念がわくとか、動作を受ける人が主格になれば、受身
 形を表現する。

〇当「態の双対環」文法では、
・自動詞、他動詞を一括りにして「自律動詞」と位置付けます。
 自律的に自分が行う動作動詞のこと。
・強制動詞、使役動詞に対しては「律他動詞」と位置づけます。
 他者に対して、他者自身が自律動作を行なうように強制すること。
 ただし、使役動詞には、他者の自律動作を介助する、手を貸すことも含まれ
 る。
という大きな枠で解釈します。
・自律動詞、律他動詞の別に関係なく、どちらにも動作の結果はありますか
 ら、結果態接辞「ある」を接続させて受動態の元を派生できます。
 これが、日本語の受動態の成り立ちです。どんな動作動詞でも動作結果(動
 作の遂行)があることを言明する手段が結果態です。

★「態の双対環」の全体を概観するため、記号を用いた文字列で表記してみ
 よう。
(動詞語幹:D、挿入音素[][r][s][x]、態接辞・u/eru/aru/asuなど)

〇自律動詞の態動詞集団を能動系「態の双対環」でまとめます。
 能動系:D[r]:+u原形態/+eru可能態/+aru結果態/+areru受動態
例:書k[]u/書k[]eru/書k[]aru/書k[]areru、(子音語幹動詞)
  考え[r]u/考え[r]eru/考え[r]aru/考え[r]areru、(母音語幹)
〇強制動詞の態動詞集団を強制系「態の双対環」でまとめます。
 強制系:D[s]as[]:+u原形態/+eru可能態/+aru結果態/+areru受動態
例:書k[]as[]u/書k[]as[]eru/書k[]as[]aru/書k[]as[]areru、
  考え[s]as[]u/考え[s]as[]eru/考え[s]as[]aru/考え[s]as[]areru、
〇使役動詞の態動詞集団を使役系「態の双対環」でまとめます。
 使役系:D[s]ase[r]:+u原形態/+eru可能態/+aru結果態/+areru受動態
例:書k[]ase[r]u/書k[]ase[r]eru/書k[]ase[r]aru/書k[]ase[r]areru、
  考え[s]ase[r]u/考え[s]ase[r]eru/考え[s]ase[r]aru/考え[s]ase[r]areru、

〇挿入音素[r][s]は、r:自律動作、s:律他動作に対応した意味を表します。
〇律他動詞は原動詞から律他派生したあと二段目の接続ですから、二段語幹
 の表記法になります。
〇態接辞が共通して各態系に使われ、areru/aseruが受動態、使役態へ合
 成接辞として使われる。

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