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2016年12月

態文法:受動態と使役態の違い(2)

2016/12/21(水)

(3)動作には、「r:自律動作」と「s:律他動作」がある:

 前提条件:復習を兼ねて動作区分の論理を整理:
〇動詞を動作動詞/事象動詞に分ける。
〇動作動詞を自律動作動詞/律他動作動詞に分ける。
〇律他動作とは、指示して相手に自律動作をさせること。当然、相手が有情
 の人、生き物であることを想定する。(動作の軽重により強制、許可、容認
 、放任などで相手に自律動作を行わせる)
・対象が無情物なら他動詞扱いで主体がなすべき自律動作である。
〇態派生して事象動詞に変化しても派生元の動詞性を残すこともあり得る。
〇事象動詞は「事態、事象、出来事の発生状態、変化の状態を表現する」動詞
 で、態動詞原形態以外のすべての動詞形態を指す。
・少し乱暴な区分けだが、名称は暫定扱いです。
 (言語学では、構文構造に対して「事象叙述/属性叙述」と区分けする
 専門術語がある)
・事象動詞は事象も属性も含み、動作動詞だけを別とする。

〇自律動作:動作主が自主的に行なう動作をいう。
〇律他動作:他者に自律動作を行わせる行為をいう。
・動詞活用の命令形:D[r]e(/o)も「他に動作を命じる」形態なので律他動
 作に相当する。命令形は即実行を迫るような猶予のない律他動作を指示す
 るので、間投詞的な使い方になる。このため、構文構造に関わりにくい。

(4)受動態と使役態の鏡像関係:

・受動:D[r]ar[]e[r]u:の形態と
・使役:D[s]as[]e[r]u:の形態を比べると、
 異なる要素は、挿入音素[r]と[s]、接辞「ar」と「as」の部分です。
〇ここでは、接辞:「ar」と「as」の「r」と「s」の関係を考察しよう。
・受動「ar:ある」は存在動詞の意味を内包した接辞で、「D動作結果がある」
 という所動的、事象動詞的な意味を表現する。
 構文構造としては、事象現場に登場する主体、客体、目的物などの誰を主語
 扱いしても成立つ文章が作成できる。
・受動態を受け身と捉えると、その反対動作が強制、使役の「他に自律動作を
 させる」態動詞となる。
・強制「as:あす」、使役「aseru:あせる」の形態は、「ある/さす」、「なる/
 なす」の対比が示すように、「ar/as」の「r→s」交替で動作態を事象性から
 対極的な律他性へと派生させたものだろう。
・結果態:ar[]u→強制態:as[]u、(文語での受動と使役の関係)
 受動態:ar[]e[r]u→使役態:as[]e[r]u、(口語はともにe[r]uを付加)
・可能態:e[r]uは、文語体の連体形「u[r]u」や已然形「-[r]e-」に由来する
 のか定かでないが、意味として「~になる/になす」の両義が感得できる。
 このため、自他動詞、自律・律他動詞の現代口語化に重宝されたのだろう。

 自律動作と律他動作が鏡像関係にある「態の双対環」全体図を示す。
Photo
 鏡像関係図を見て、補足説明をします。
〇各「双対環」で文章の主語が使える態動詞は、
①動作主体なら:(動作軸の)原形態、可能態、(受動軸の)結果態、受動態。
②客体(被動作体)が主語なら:(受動軸の)結果態、受動態。
③事象主体が主語なら:(可能軸の)可能態、受動態、(受動軸の)結果態、
 受動態。(原形態以外の態すべて)
・原形態は動作主体のみが使えます。また、動作主体はすべての態を使えます。
・結果態、受動態は、主語を選ばず使える態ですが、動作Dの意味合いが違い
 ます。(受動態の多義性である理由です)
以上。


態文法:受動態と使役態の違い(1)

2016/12/19(月)

 日本語の動詞派生は規則的に合成できます。
基本規則:考察の利便のため、動詞形態を一般化表記する。(再掲)
〇動詞語幹:D、挿入音素:[][r][s][x]、態接辞:ar、as、erなど。
・動詞語幹:hanas/kak(子音語幹)/mi/tabe(母音語幹)をDで表示。
例:D[r]u:→話す、書く、見る、食べる:動作終止形、連体形。
例:D[r]e[r]u:→話せる、書ける、見れる、食べれる:可能態。
例:D[r]ar[]e[r]u:→話される、書かれる、見られる、食べられる:受動態。
例:D[s]as[]e[r]u:→話させる、書かせる、見させる、食べさせる:使役態。

(1)動作動詞と事象動詞の違いに着目:

 「態の双対環」態文法では、自動詞・他動詞の区別を重要視しないで能動系
動詞として一括りで扱うことが多い。たしかに、動詞語尾音が「る:ru」と
「す:su」で自他交替する動詞群があるけれども、自他の識別法則にするほど
の規則性や重要性はないと判断するからです。
〇注目すべきは、挿入音素として記述する[r]、[s]と、受動態接辞、使役態
 接辞に記述するar[]、as[]の「r」、「s」が重要な意味を持っている。
・結果態接辞:ar[]、強制態接辞:as[]、の接辞語尾音の「r」と「s」です。
・挿入音素[r]と接辞語尾「r」は同質の意味を持ち、[s]と「s」も同質の意味を
 持つと想定する理由を記述していきたい。
〇最初に、人為動作による態を考察するまえに、「事象や事態、出来事を描写、
 表現する態動詞」:事象動詞から説明する。

(2)事象動詞(所動詞)の概念:

〇文法書のなかには、自他動詞の比較対象の例で「ある」と「する」の対比で
 説明するものがある。「態の双対環」では、次のように定義する。
・「ある:物の存在、状態」を表現するので、「事象動詞:所動的」であり、
 事象、事態、出来事で生じた動作の状態を描写表現する動詞です。
・「する:自他の能動動作」を表現するので、「動作動詞:能動的」とみる。
 作為をもって行う動作動詞:自他動詞、強制・使役動詞などを総称する。
〇すべての動詞を「動作動詞」と「事象動詞」に二分して眺めてみよう。
 もちろん、動作性と事象性:所動性を併せ持つ動詞もあるでしょう。
 実際に両性の混合率が気になるかもしれませんが、二分合体で問題解決
 できる場合が多いのです。
〇事例を考える:
・結果態接辞:「ar」は、動詞と連結して能動性を残すこともあるが、多くは
 事象動詞性を持つように変化する。
・可能態「er」、受動態「arer」も同様に事象動詞性が優勢になります。
・「×英語が話す」とは言わないが、「英語が話せる」、「英語が話される」と言
 えるのは、「話す」の可能態、受動態が事象動詞化したからです。
 「彼は英語が/を話せる」のように事象性のほか、能動性も残っています。
〇原動詞が最初から事象動詞である例:雨が降る、家がある、お金が要る、
 などがあります。「態の双対環」では、能動系、強制系、使役系の各系の原形
 態動詞だけには、能動性があると見ますが、可能態、結果態、受動態の動詞
 は事象性(所動性)が発生していると見なします。
〇事象性へ変化した態動詞:「話せる:可能態」に対して、再度、「?話せれる
 :二重可能態」や「?話せられる:可能受動態」などと発言しても意味が通じ
 ません。
・使役系原形態:「ase[r]u」は、強制系可能態:「as[]e[r]u」と同形です。
 能動性が強いので、(例外的に)使役系「双対環」が成立し、「話させれる
 :使役可能」、「話させられる:使役受動態」の意味はしっかり分かります。
 ただし、可能態が付加されると、動作動詞性が薄れてきます。
・「果す」「任す」など「as付きの他動詞」ですが、「果せる」「任せる」になると
 可能態か使役態かと迷う感覚が出てきます。
〇用例としても「果せてよかった」「任せて安心した」などが気になります。
 動作動詞の表現「果してよかった」「任して安心した」のほうが心に響く。
 「果せて」「任せて」は事象動詞になった感じがして少し日和見表現に思う
 のですが、どうでしょうか。

 動詞の態が替わると表現する立場が変ると言うことが、「事象動詞」の概念
を使うことで理解しやすいのです。
・「本が分かる」事象動詞です。「本が読む」とは言えません。「本が読める」、
 「本が読まれる」事象動詞になっています。
・「本が読まされる」事象表現です。「太郎が本を読まされる」太郎に対する事
 象表現ですが、使役動詞は強制力が強いので「太郎は本が読まされる」とは
 言いにくいようです。
・通常の動作動詞なら、「彼は納豆が食べられる」両者に対し事象表現が言え
 ます。
(つづく)

態文法:可能態と受動態の違い

2016/12/17(土)

 日本語の動詞派生は規則的に合成できます。
基本規則:考察の利便のため、動詞形態を一般化表記する。
〇動詞語幹:D、挿入音素:[][r][s][x]、態接辞:ar、as、erなど。
・動詞語幹:hanas/kak(子音語幹)/mi/tabe(母音語幹)をDで表示。
例:D[r]u:→話す、書く、見る、食べる:動作終止形、連体形。
例:D[r]e[r]u:→話せる、書ける、見れる、食べれる:可能態。
例:D[r]ar[]e[r]u:→話される、書かれる、見られる、食べられる:受動態。
例:D[s]as[]e[r]u:→話させる、書かせる、見させる、食べさせる:使役態。
〇打消し表現の場合:否定接辞は→(助動詞)ない:nai。
例:D[a]nai:→話さない、書かない、見ない、食べない:動作打消し。
例:D[r]e[]nai:→話せない、書けない、見れない、食べれない:可能打消し。
例:D[r]ar[]e[]nai:→話されない、書かれない、見られない、食べられない:受動打消し。
例:D[s]as[]e[]nai:→話させない、書かせない、見させない、食べさせない:使役打消し。
〇敬体終了の表現の場合:敬体接辞は→(助動詞)ます:masu。
例:D[i]masu:→話します、書きます、見ます、食べます:敬体終了。
例:D[r]e[]masu:→話せます、書けます、見れます、食べれます:可能敬体終了。
例:D[r]ar[]e[]masu:→話されます、書かれます、見られます、食べられます:受動敬体終了。
例:D[s]as[]e[]masu:→話させます、書かせます、見させます、食べさせます:使役敬体終了。

 このように規則性がある動詞派生の文法則がまだ正式に認められないでい
るが、可能態の「話せる、書ける、見れる、食べれる、」が正当だと認める時代
は間もなく来るでしょう。(妄信的な反対者もいるでしょうが)
その時代には、単に「可能態」を認めるだけでなく、上記の一般化表記が示す
「動詞派生の構成法」を含めて共通理解されるようになってほしい。
その共通理解が存在する期待の種子が今でも見れます。(見られますと結果
で言える日が来ることを念じます)

 期待の種子とは「ら抜き言葉」は「ar抜き結果抜き」可能で記述した、
文化庁が9月発表の「国語に関する世論調査」の「ら抜き言葉」調査結果の解
釈でも考察したように、世論で「可能態」を認める傾向が強まったと同時に、
依然として「受動態」表現のほうを選ぶ率が高い言葉もあります。
〇期待の種子:世論調査5項目:全体平均(平成28年2月~3月調査)
(1)こんなにたくさんは:食べられない(60.8%)/食べれない(32%)
(2)朝5時に:来られますか(45.4%)/来れますか(44.1%)
(3)彼が来るなんて:考えられない(88.6%)/考えれない(7.8%)
(4)今年の初日の出が:見られた(44.6%)/見れた(48.4%)
(5)早く:出られる?(44.3%)/出れる?(45.1%)
〇項目4、5:「可能態」が初めて過半数となった。また、項目3:全世代ともに
 圧倒的に「考えられない:受動態」を選ぶ。
・一般大衆が持つこの言語感覚が期待の種子だ。つまり、「可能態」と「受動態
 の結果可能」の意味の差をはっきりと感じとっているのです。
(日本語学者や教育者には残念ながら「考えれる/考えられる」、「考えれな
い/考えられない」の意味差が見えていない。「ら抜き」は間違いだという
見方しかできていないからか。あるいは、受動態の本当の意味を理解できて
いないからでしょうか)

・可能態:D[r]e[r]u:→食べれる、来れる、考えれる、
・受動態:D[r]ar[]e[r]u:→食べられる、来られる、考えられる、
〇可能態は「ら抜き」ではなく、受動態から「ar[]抜き」した形態なのです。
 つまり「ある:結果がある」のある抜き:→結果に到達する前の意図として
 の「意気込みでの動作可能」を表現するのです。
〇まじめに「結果まで見通して可能かどうか」を表現するのが受動態です。
 (1)~(3)の設問文に対して動作・事態の「結果まで見込んで」返事をする
 立場が受動態を選ばせるのでしょう。共感できます。

〇「考えれない」とは、「動作意図として「考える」こともできない」、極端に言
 えば、「傍若無人か、余程の痛苦で意識が制御不能になっている」のか、「思
 考停止の状態か」、という異常事態で、はじめて「考えれない」に合致するの
 だろう。
・一方、「考えられない」は考えて結果(考察結果)をきちんと提示できる状態
 に達してないことを表現する場合と、または、想定(考えた結果)に反して、
 事態の結果が大違いとなったときに発話する場合がある。
・設問(3)は想定外の事態に対しての「考えられない」ですね。全世代が「結果
 の食い違い」を見抜いています。共感します。
〇対する(4)、(5)の設問文では、動作結果の状態に深刻さがないと推測す
 るので、気楽に「取っかかりの動作可能」の可能態を選べるのでしょう。
 (意思先行や意欲先行の可能表現をすることは元気の発露で良い場面も
  あるはずです)

〇可能態は子音語幹、母音語幹に関わらず使用可能です。(挿入音素が連結
 のつなぎ役を果します)
・動作を実行できる場面で個人の意思表明として「可能態」で表現することが
 多いわけです。あくまでも個人の意欲、能力、行動、または個々の事象に対
 する可能を表す態動詞です。(個の可能を意味する)
・大勢のまえで「可能態」を吹聴するのは、個人的な自慢話か大ボラ吹きでし
 ょう。(公の場で「可能態」を使うべき条件がないから使わないのです)
〇他方の受動態の結果可能は、「結果を見通し、考慮した可能」、「実際の結果
 で可能」なことを意味します。(公の場で活動結果の議論では受動態を使う
 のは当然のことでしょう)
・「食べられるキノコ」は食べた結果が問題なかった、つまり個人の可能だけ
 でなく誰でも可能だということで、大勢のまえでも「受動態」で話せます。
 (多の可能を意味する)

 だから、意味の違いを見極めて両方の可能形式を使い分けて、併存すべき
ものでしょう。(世論調査でも併存している状態が分かります)

ちょっとこれ、なに商法なんですか

2016/12/13(火)

 先日の日曜日の午前中、電話がかかってきた。相手の声は男性50~60代か?
「東京の広報堂の××と申します。・・・〇〇社からご出版なさったご本を読ませて
いただき感銘しました。・・・△△新聞の・」
 「広報堂?どなたと言いましたか?」
「東京の広報堂の××です」
 「さんずいの××ですか」
「そうです。△△新聞の特集ページで22名様枠で紹介記事を掲載させてい
ただきたいと思いまして、〇×先生のご本を広くご紹介できればと・・・」
 「先生ではないよ!」
「失礼しました。・・〇×様のご本の紹介を8cm×9.5cmの大きさで・・・」
 「・・・(内心:実際には実物の本を読んでいないと分かる)・・・」
「くわしく記事をコピーライターが作成しまして掲載します。20万ほどですが、
掲載後にお願いすることに・・・」
 「それはお断りだね。まあ2~3,000-ならともかく・・・」
「・・はあ。」
 「はっは、は、は、」
「はあ、は、はあ、h」
ということで電話を切った。

 後味のよくない電話であったので、「広報堂」をネット検索してみた。
やはり、実在の広報堂という会社があり、「44名枠で24万」勧誘話での被害?電話
の例もあるようだ。電話ばなしは何が本当か突き止めにくい。
電話の話は相手のペースに乗らずに、ときどき混ぜっ返すように「後戻り」させる
と、自分が冷静に成れて作戦が立てやすくなる。

態文法:態接辞の意味を理解する(8)

2016/12/10(土)

9.有情動詞、事象動詞の可能態派生:

 自他交替の有対自他動詞D[r]を直接可能態:eruを派生させると、どうな
るか思考実験してみた結果は、当然ながら、単一「双対環」から派生する③、
④型で重なりが生じるほかは、すんなり可能態が有効となる。
以下、まとめてみる。
(原理)可能態D[r]e[r]uは、Dになる/Dをなす、の両義を派生する。
・事象動詞→D[r]e[r]u→自・?可能態/→③他・原形態。
・自動詞→D[r]e[r]u→自・可能態(③?)/→③他・原形態。
・他動詞→D[r]e[r]u→④自・自発態/→他・可能態。
〇「届く」、「開く:あく」などを事象動詞と見なすと、可能態派生で意思動作
 に感じられ、他動詞性が優勢になる。
反対に、他動詞の可能態派生では、
・「彼は英語が話せる」、「彼女はピアノでジャズが弾ける」のように
 「話せる」、「弾ける」が有情動詞・事象動詞の可能態になったと解釈できま
 す。話す、弾くが元から有情・他動詞なので意思の可能態が優勢です。
 しかし、「英語が話せる」、「ジャズが弾ける」と表現するのは、事象動詞の
 感覚で文章を理解する習慣があるからでしょう。
・事象動詞の概念を導入すると理解しやすいのは、おそらく、日本語に自動
 詞の使用が多い上に、「自然の成行きを表現する」という解釈にも適用しや
 すいからかもしれない。

〇自他交替の範囲を使役系まで広げて考察する。
・強制動詞:D[s]as[]u:→D[s]as[]e[r]u→使役動詞(=強制動詞の可能
 態)、この派生は自他交替の有対自他動詞の一覧表では扱われないが、使役
 交替=自他交替の広義範囲にある。
・強制態は「相手にD動作をさす」ことをする意思動詞であり、口頭指示だけ
 でも成立します。
・使役態は「相手にD動作をさすようになる/なす」意思動詞です。
 「相手にD動作をさせる:D[s]aseru」の形態には、as+erが連結している。
 つまり、相手に「さす:as」だけでなく、主体も「なる/なす:er」動作をする
 ことを示唆するもので、手助けや介助、気遣いが含まれる。
 残念ながら、使役態を介助動詞だと指摘する人がほかにいませんね。
・強制受動態:D[s]as[]ar[]eru:泣かされる←?「泣かす人の実績可能」
 (「as」でD動作が相手に押しやられた感が残るので、受け身印象が強い)
・使役受動態:D[s]ase[r]ar[]eru:泣かせられる←「泣かす人の実績可能」
 (「aser」なら相手に押しやると同時に泣かす人の自律動作分を意識できる
 から、その自律結果としての感覚が生じる。その意味差が重要です)

10.態接辞を連結する:

★標識音素:「r:自律動作」、「s:律他動作」
〇態接辞が持つ音素、as、ar、er、の語尾音素「s」、「r」には意味が潜んでい
 ます。(もちろん事象動詞もありますが、態接辞は法則化できます)
・「s」:相手に自律動作をさせる意味の接辞。(律他動作と造語)
・「r」:自律動作を表現する意味の接辞。
 (事象動詞などを含めると主体の動作と限定しないほうがよい)
★つぎに態接辞の付け外しの練習をする。
〇現代口語では、使役態、受動態に「+える:eru」可能接辞がつく。
・話させる:D[s]as[]e[r]u:→強制「as」を外して相手の自律に任すと、
 話せる:D[r]e[r]u:相手自身の可能態の表現になる。
・来させる:D[s]as[]e[r]u:→強制「as」を外して相手の自律に任すと、
 来れる:D[r]e[r]u:相手自身の可能態の表現になる。
・話される:D[r]ar[]e[r]u:→結果「ar」を外して主体の意図に任すと、
 話せる:D[r]e[r]u:主体自身の可能態の表現になる。
 (注:「su」語尾動詞の受動態では可能表現に感じれないことから、可能態
 が始まったと推測する:渡される→渡せる、回される→回せる、、、)
・来られる:D[r]ar[]e[r]u:→結果「ar」を外して主体の意図に任すと、
 来れる:D[r]e[r]u:主体自身の可能態の表現になる。
〇可能態は使役、受動から「as抜き、ar抜き」して誕生したわけではない。
 古来より自他交替で機能する接辞であり、動詞語幹+挿入音素の概念で
 「来れる、見れる、食べれる、調べれる、話させれる」などと派生できる。
・だから、一般形式をD[r]e[r]uと表記するのです。
 「ら抜き言葉」の禁忌は根拠のない幻想だと早く気づいてほしいですね。
★つぎに接辞だけの組み合せで練習する。
・強制:「as」→相手に動作をさす。(指示、許可、容認、放任でも成立つ)
・使役:「as」+「er」→「相手に動作をさす」・を「なす:er:自律動作」、の意味
 になるから、「[s]aseru」には許可だけでなく、自律動作:手助け、介助、準
 備などを協同して実行してもよい。
・結果:「ar」→動作(の結果)が「ある」ことを意味する。自律、律他、事象の
 どの動作でも「ある」とみる。(文語では「ある」で受動態を表現した)
・受動:「ar」+「er」→「動作(の結果)がある」・に「なす:er:自律動作」、
 「動作結果を有する」の意味は、動作主の「D[r]areru:」=動作結果を成せ
 る、結果可能、実績可能ということ。
 また、受身では「動作(の結果)がある」・に「なる:er:自律動作」、「動作結
 果がある:在る」に「なる」という意味から受け身表現になる。
 また、事象動詞として「動作(の結果)がある:生じる」・に「なる」で、感傷や
 懐古の情が思い出されることを表現する。

★このように、日本語の態構造は、動詞語幹Dと挿入音素[][r][s]を組み合
 せて態接辞と連結する基本法則で成立している。
 基本の態接辞も原形「u」、強制「as」、結果「ar」、可能「er」の4種類であり
 これらを元に能動系、強制系、使役系の3つの態動詞集団を構成できる。
(「態の双対環」方式は、可能態、結果態、強制態を正確に解釈して「双対環」
の形式で採用・反映してある)
〇受動と使役の鏡像関係、その中心に可能態があるというような態構造。
 まだ、十分に描ききれていない「態の双対環」態文法だが、思考実験し続け
 ながら開示していきたい。

態文法:態接辞の意味を理解する(7)

2016/12/07(水)

7.態接辞で派生する:

 動詞機能を派生させる方法は、次のように一般化表現することができる。
★動詞派生の方程式基本=「動詞語幹+挿入音素+機能接辞」
・派生を連続するには、機能接辞も語幹化して次のようにつながる。
〇動詞派生方程式=「動詞語幹+挿入音素+機能接辞語幹+挿入音素+機能接
 辞語幹+挿入音素+機能接辞語幹・・・」であり、最後は統語接辞で終結する。
★「態の双対環」方式の個々の態全景を記号的表記で再掲する。
(動詞語幹:D、挿入音素[][r][s][x]、態接辞・u/eru/aru/asuなど)
〇能動系:D[r]:+u原形態/+eru可能態/+aru結果態/+areru受動態
〇強制系:D[s]as[]:+u原形態/+eru可能態/+aru結果態/+areru受動態
〇使役系:D[s]ase[r]:+u原形態/+eru可能態/+aru結果態/+areru受動態
★「四態て形列記法」:日常的に使っている態の基本4つを「て形連節形」で
 まとめて列記すると、
①原形態て形:D[i]te:例:任して、書いて、読んで、食べて(要:音便法則)
②可能態て形:D[r]e[]te:任せて、書けて、読めて、食べれて、
③受動態て形:D[r]ar[]e[]te:任されて、書かれて、読まれて、食べられて、
④使役態て形:D[s]as[]e[]te:任させて、書かせて、読ませて、食べさせて、
この実際的な文節形式でも態を学習できる。
・なお、挿入音素の使い方は「態の双対環」で提唱する考え方に基づくもので
 語幹相互の連結の際に必要な音素を表記するもの。
・D[x]のDには子音/母音語幹どちらも配置できるから後続の接辞頭部音
 素との見合わせで挿入音素の要否を決めて連結します。
・接合が確定している、e[]te、ar[]e[]te、などは挿入音素[]なしで省略で
 きるが、語幹区切を明示するために挿入音素記号を残してある。

 さて、前回後半に記述した「四態て形列記法」:による自他交替動詞群の思
考実験は、交替形式の①~④までだったので、今回は⑤~⑪までを考察する。
★「四態て形列記法」:自他交替形式⑤~⑪
⑤増える:増えて、増えれて、増えられて、増えさせて、
⑤増やす:増やして、増やせて、増やされて、増やさせて、
 ⑥倒れる:倒れて、倒れれて、倒れられて、倒れさせて、
 ⑥倒す:倒して、倒せて、倒されて、倒させて、
⑦動く:動いて、動けて、動かれて、動かせて、
⑦動かす:動かして、動かせて、動かされて、動かさせて、
 ⑧生きる:生きて、生きれて、生きられて、生きさせて、
 ⑧生かす:生かして、生かせて、生かされて、生かさせて、
⑨落ちる:落ちて、落ちれて、落ちられて、落ちさせて、
⑨落す:落して、落せて、落されて、落させて、
 ⑩残る:残って、残れて、残られて、残らせて、
 ⑩残す:残して、残せて、残されて、残させて、
⑪乗る:乗って、乗れて、乗られて、乗らせて、
⑪乗せる:乗せて、乗せれて、乗せられて、乗せさせて、
やはり、⑤~⑪では自他で別「双対環」をなす構造なので、自他動詞の「て形
連節」が重なることがありません。

〇自他が同一「双対環」に収まる構造は、①~④交替形式であり、このうち、
 ②形式は自動詞:結果態、他動詞:可能態の対向軸にあるため、「て形」連節
 形での重なりが生じない。
・同一「双対環」で自他が隣接態である①、③、④は、原形態と可能態、原形態
 と結果態、で自・他動詞として使われる構造です。
 「四態て形列記法」で、原形態→可能態→受動(結果)態→使役態の順番で、
 「て形」派生していけば、自他の隣接同形が発生するわけです。

8.有情動詞と事象動詞に二分合体する:

〇可能態接辞「える:eru」の機能として、可能機能と自他交替機能の重畳が
 あるのは、③、④型の自他組み合せだけだが、それ以外の⑤~⑪交替型では
 自動詞/他動詞の「双対環」が別々であるから、「可能て形」は可能態機能だ
 けで解釈できそうだ。
〇「える」接辞が連用形、已然形、命令形などとの混合的な意味合いを持って
 いる(と推定する)ので、
・意思動詞ならば「他動的、律他的な動作を加える:asu近似的」ことを示す、
 意思動詞で動作者や事態を主体に表現する場合には、「可能状態」を示す、
・無意思動詞ならば「事象、事態が変化する状態:aru近似的」を示す、
という意味表現になるのだろう。(と考慮していましたが、)
 だが、動詞を使う立場からすると、もっと分かりやすい区分法がほしい。
★動詞の種類分けに迷わないように、(厳密でなくてよい)
・自動詞:有情の者が行う動作。(有情動詞)
・他動詞:有情の者が行う動作。(有情動詞)
・使役動詞:有情の者が他の有情者にさせる動作。(有情動詞)
・事象動詞:事態、事象が主語になる動作、状態を表す動詞。(事象動詞)
の4つに分けて動詞の意味を見極めるのがよい。(有情と事象で二分合体)

例:③型の動詞:「届く」の場合、(事象動詞だと見抜けるとよい)
これを「四態て形列記法」で考察すると、
・届いて→届けて→届かれて→届かせて、で可能て形が「届けて」になり、
 有情動詞・他動詞:届ける→届けて、と競合する。(下に例文作例)
〇「大事な作品が無事に届けて安心しました」:事象動詞可能態。(出品者談)
〇「大事な作品を無事に届けられて安堵しました」:他動詞受動態・結果可能。(運送者談)
という事象表現で収まっていれば問題ないが、
文章構造のなかに、人物が入ってくると混乱が生じる。
〇「出品者は大事な作品が/を無事に届けて安心しました」
 →事象動詞構文に有情者が入り込んでしまうと、有情者の動作を感じる
 ようになる可能性が高いでしょう。文意が変化してしまいます。
〇「出品者は大事な作品が無事に届いて安心しました」
 →「届いて」のほうが、はるかに事象動作の意味が安定です。
そこで現代語の「態の双対環」方式としては
・事象動詞的「届いて」と有情動詞的「届けて」を見極めて使い分けることを
 推奨したいのです。
(つづく)

態文法:態接辞「える:可能」の意味(6)

2016/12/03(土)

6.態接辞「える:可能」の意味

 「態の双対環」方式で能動系、強制系、使役系の「可能態」と「受動態」を簡略
再掲する。
(動詞語幹:D、挿入音素[][r][s][x]、態接辞・u/eru/aru/asuなど)
〇能動系:D[r]eru:可能態/D[r]areru:受動態
〇強制系:D[s]as[]eru:可能態/D[s]as[]areru:受動態
〇使役系:D[s]ase[r]eru:可能態/D[s]ase[r]areru受動態
★この中で、可能態の解釈に欠かせない態の形態は、
〇能動系の可能態と受動態、強制系の可能態=使役態の3つです。
 以下、可能態、受動態、使役態を簡単に記述します。
・可能態:D[r]eru、←可能態の意味を考えるために工夫します。
・受動態:D[r]areru、←またの名を「ar付き可能態」なのです。
・使役態:D[s]as[]eru、←またの名を「as付き可能態」なのです。
この接辞の派生状態を分析して意味を感じてみたい。
〇可能態=受動態-結果態(ar)、つまり受動の「ar抜きの可能態」、
〇可能態=使役態-強制態(as)、つまり使役の「as抜きの可能態」であり、
 可能態はこの両方「ar/as抜きの可能態」に近い意味を持っています。
〇つまり、可能態:D[r]eruは、受動態:D[r](ar)eruの(ar)がない状態
 の(本人が結果を目指してD[r]eruを行う)自律動作を表現します。
・また、可能態:D[s→r]eruは、使役態:D[r→s](as)eruの(as)がない
 状態の(本人が強制されてD[r]eruを成り代って行う)自律動作を表現し
 ます。
・今まで可能態の意味:「~になる」、「~になす」の両方の意味があると解釈
 していたことをこれで証明したい。

★実際の動詞で試してみよう。(結果ar/強制as)をカッコでくくる。
・つかまれる:tukam(ar)eru:自律動作→つかめる:tukameru(可能)
・つかませる:tukam(as)eru:律他動作→つかめる:tukameru(可能)
・立たれる:tat(ar)eru:自律動作→立てる:tateru、(可能表現)
・立たせる:tat(as)eru:律他動作→立てる:tateru、(他動詞化)
・届かれる:todok(ar)eru:自律→届ける:todokeru(受身→他動詞化)
・届かせる:todok(as)eru:律他→届ける:todokeru(他動詞化)
・届けられる:todoke[r](ar)eru:自律→届けれる:todoke[r]eru(可能)
・届けさせる:todoke[r→s](as)eru:律他→届けれる:todoke[s→r]eru(可能)
(母音語幹動詞の挿入音素[r→s]交替は、また[s→r]eru復元が必要です)
・取られる:tor(ar)eru:自律動作→取れる:toreru、(自発態)
・取らせる:tor(as)eru:律他動作→取れる:toreru、(可能)
・流される:nagas(ar)eru:自律動作→流せる:nagaseru:(可能)
・流させる:nagas(as)eru:律他動作→流せる:nagaseru:(可能)
・流れられる:nagare[r](ar)eru:自律→流れれる:nagare[r]eru(可能)
・流れさせる:nagare[r→s](as)eru:律他→流れれる:nagare[s→r]eru(可能)
・生きられる:iki[r](ar)eru:自律→生きれる:iki[r]eru(可能)
・生きさせる:iki[r→s](as)eru:律他→生きれる:iki[s→r]eru(可能)
(母音語幹動詞の挿入音素[r→s]交替は、また[s→r]eru復元が必要です)
・歩かれる:aruk(ar)eru:自律→歩ける:arukeru、(可能)
・歩かせる:aruk(as)eru:律他→歩ける:arukeru、(可能)
・見られる:mi[r](ar)eru:自律→見れる:mi[r]eru、(可能)
・見させる:mi[r→s](as)eru:律他→見れる:mi[s→r]eru(可能)
・食べられる:tabe[r](ar)eru:自律→食べれる:tabe[r]eru(可能)
・食べさせる:tabe[r→s](as)eru:律他→食べれる:tabe[s→r]eru(可能)
(母音語幹動詞の挿入音素[r→s]交替は、また[s→r]eru復元が必要です)

〇「える:eru」を可能態接辞だと呼ぶことに疑問はありませんね。
〇受動態と使役態の関係も鏡に写る鏡像関係にあることが分かります。
・食べられる:tabe[r](ar)eru:→食べさせる:tabe[r→s](ar→s)eru:
 のように、挿入音素の[r→s]交替、接辞の(r→s)交替で受動態と使役態が
 きれいに入れ替ります。
★使役・受動の結合で鏡像が虚像になり、可能態の誘導ができますね。
・D[r→s](as・ar)eru→D[s→r]eruで、(as・ar)が打ち消されれば可能態。
例:歩かされる:歩k[](asar)eru:と思わずに、歩ける:歩k[]eru:と思え。
・立たされる:立t[](asar)eru:前に、立てる:立t[]eru:ので。
★受動・使役の結合で鏡像が虚像になり、可能態の誘導ができます。
・D[r](ar・as)eru→D[r]eruで、(ar・as)が打ち消されれば可能態。
例:始める:始m[]eru:とは、始まらせる:始m[](aras)eru:ことである。
・上らせる:あg[](aras)eru:とは、上げる:あg[]eru:ことです。
(自・他交替で、閉まる/閉める、あたる/あてる、変わる/変える、など
 「ある/える:aru/eru」形式がいちばんに多いのも納得です)

 さて、可能態「える:eru」の発生にはもう一つの由来があると思う。
・可能態の接辞が「える」だが、「得る」という明確な意味を持っていない。
 動詞活用の下二段活用が一段活用に収れんしていく江戸期の段階で、連体
 形「[r]uru」語尾などが変化し、終止形と同形になるとか、「て形連節形」や
 「連用形、已然形」の変遷から「える:eru」が生まれたと思われます。
★「て形連節形」を段階分けして考察すると、(↓四態て形列記法と命名)
・書いて、走って、見て、食べて、:D[i]te、原態形連結、
・書けて、走れて、見れて、食べれて、:D[r]ete、可能形連結、
・書かれて、走られて、見られて、食べられて、:D[r]ar[]ete、受動形連結、
・書かせて、走らせて、見させて、食べさせて、:D[s]as[]ete、使役形連結
などが広く使われているから、本来は活用段「-え-」段として正式に已然形
や将然形の名称で残すべきだった。
〇文法的には「-e-」形態で可能接辞と説明する書籍が多い。
 已然形、将然形には直接「できる」の意味はないだろうが、動作には取りか
 かっている意味と「~て:完了辞」があるから、動作を進めている意味を表
 すことに間違いはない。
・eru、ete、eta、emasu、などの形態で連結して使われますが、「態の双対
 環」方式では、「e」単独でなく「eru」または「e[r]u」の形式で表記します。
 「う~、える、ある、あれる」や、「ある、あす、える」の語呂合せもあり、また
 態の各接辞を原形態で正確に示したいと考えるからです。

追実験:「態の双対環」の隣接態で自他を表現する動詞を追試する。
自/他①aru/u:隣接、②aru/eru:対向、③u/eru:隣接④eru/u:隣接
★隣接性があり、「て形連節形」の段階分けで、競合が出現する。
 (文脈で判断できる。説明用に「四態て形列記法」が分かりやすいかも)
①自:つかまって、(つかまれて)、つかまられて、つかまらせて、↓隣接関係
①他:つかんで、つかめて、(つかまれて)、つかませて、↑隣接関係
②自:始まって、始まれて、始まられて、始まらせて、↓対向関係ありOK。
②他:始めて、始めれて、始められて、始めさせて、↑対向関係ありOK。
③自:届いて、(届けて)、届かれて、届かせて、↓隣接関係
③他:(届けて)、届けれて、届けられて、届けさせて↑隣接関係
③自:進んで、(進めて)、進まれて、進ませて、↓隣接関係
③他:(進めて)、進めれて、進められて、進めさせて、↑隣接関係
④自:(割れて)、割れれて、割れられて、割れさせて、↓隣接関係
④他:割って、(割れて)、割られて、割らせて、↑隣接関係
この思考実験もおもしろい結果ですね。

態文法:態接辞「あす:強制」の意味(5)

2016/12/01(木)

5.態接辞「あす:強制」の意味

 前回の後尾部分に示した「態の双対環」全景を簡略再掲する。
(動詞語幹:D、挿入音素[][r][s][x]、態接辞・u/eru/aru/asuなど)
〇自律動詞の態動詞集団を能動系「態の双対環」でまとめます。
 能動系:D[r]:+u原形態/+eru可能態/+aru結果態/+areru受動態
〇強制動詞の態動詞集団を強制系「態の双対環」でまとめます。
 強制系:D[s]as[]:+u原形態/+eru可能態/+aru結果態/+areru受動態
〇使役動詞の態動詞集団を使役系「態の双対環」でまとめます。
 使役系:D[s]ase[r]:+u原形態/+eru可能態/+aru結果態/+areru受動態

 強制態の接辞「あす:asu」は、「他に動作をさす:[s]asu」という意味で、
・強制系:D[s]as[]:が強制系の原形態で、最初に態派生させます。
 その後の可能態、結果態、受動態への派生形態は能動系と同一です。
・「他に動作をさす:[s]asu」→強制態と、その可能態が次の使役形態となる
・「他に動作をさせる:[s]ase[r]u」→使役態、の意味の差異についても考察
 したい。

★実のところ、強制態、使役態のほかに、もう一つ似た態?があるのです。
 「使役態から「as」を除いた形態:[s]e[r]u」がつく派生動詞があります。
例:見る:見[r]u→見せる:見[s]e[r]u、同様に、着せる、似せる、乗せる、
  浴びせる、など。
→おそらく、「する」動詞の「態の双対環」でいうところの、
・する/せる/さる/される、の「せる」可能態もしくは、する活用の連用形
 が動詞母音語幹Dと挿入音素なしで結合する特異変化によって派生してき
 たものか。
★さらに、実は、「受動態[r]are[r]uから「ar」を除いた形態:[r]e[r]u」
 がつく派生形態というのが、おなじみの問題児:可能態です。
・もっとも、「態の双対環」文法では「可能態」をまったく正当にあつかいます
 し、まったく問題児としていません。
★この受動態-結果態=[r]可能態、の深層と、使役態-強制態=[s]可能態
 の深層がどんな相互関係の中でつながっているのだろうか。
 時は江戸後期、明治維新の大変革期であったから、国語学も十分な研究整
 理がなされないまま、西欧文法に飲み込まれたのだろうか。
・可能態が動詞活用の「て形連節形」や「連用形、已然形」の変遷から生まれた
 と思われますが、他動詞・強制動詞・使役動詞の使い方整理のためにも正し
 い解析がほしい。
★受動「ar」と強制「as」に含まれる(r)と(s)は、音素交替させると、態派生
 した動詞にあっても受動・強制が入れ替ります。
例:見[r→s]eru:見れる→見せる、考え[r→s]eru:考えれる→×考えせる
 考え[r→s]a(r→s)eru:考えられる→考えさせる、
 書k[]a(r→s)eru:書かれる→書かせる、
〇以上の4つ星事項は重要な事柄ですが、研究の方向性が見えていない。
 ここでは、思考実験中ですから、考察の及ぶ範囲での解釈をしたい。

 さて、本題にもどります。
〇強制系原形態:D[s]as[]uは「相手に動作Dをさす:[s]asu」の意味です
 から、本人はD動作をせずに、相手が自律動作でDをするように強制する。
・「動く」の他動詞:動k[]asuは対物動作では本人が「動かす動作」をします。
 動かす:が対人動作ならば、本人が指示して「他が自律動作として動く」
 有り様を見定めるだけです。(指示された時だけ、他が「他律動作する」のを
 だれも望まないはずです。相手の自律動作を指示します)
・強制態の基本的な意味構造:
 本人は直接動作に関わらず、相手が自律動作Dを行うことを指示、許可、
 容認、放任、すること。(本人の関与程度は動作Dの内容の軽重に因る)
(相手に動作Dをさすために、本人が別動作Dxを行うことがある。
 例:赤ちゃんを笑わすために「いない、いない、ばあ」をする)

 次に、使役態を考察します。
〇使役系原形態:D[s]ase[r]uは「相手に動作Dをさせる:[s]ase[r]u」の
 意味ですが、強制態との違いに「協同で動作Dをする」こともある。
・「相手に自律動作でD動作をするように本人が指示する。動作の難易により
 本人が相手の動作Dを介助、手助けすることを含む」
 (本人の関与程度は動作Dの内容の軽重に因る)
・使役態=強制態+可能態の態接辞合成により構成され、意味も複合化しま
 す。
〇次の例で強制態と使役態の意味の違いを感じとれますか。
・強制態:書かす、立たす、遊ばす、飲ます、泣かす、:asu接辞・強制態。
 (ごまかす):asu付きだが、他動詞ですから本人動作となる。
・使役態:書かせる、立たせる、遊ばせる、飲ませる、泣かせる、:aseru使役態。
 (ごまかせる):aseru付きだが、他動詞可能態ですから本人動作可能。
★強制態には、「asu」の「s:律他動詞」があり、他へ動作を指示するだけ。
★使役態には、「aseru」の「s:律他動詞」のあとに「r:自律動詞」の標識が
 つきます。他への動作指示だけでなく、本人への自律動作を含みます。
〇この「s」「r」の語尾音素には律他、自律の意味が埋め込まれています。
 日本語の動詞体系の深層にある意味構造を感じとれるようになってほしい
 です。そのことは、「見せる:見seru」接辞が教えてくれたことです。
★「見せる:見seru」には「s:律他動詞」+「r:自律動詞」の標識2つが付いてい
 ます。見せる/見さす/見させる、とでどんな意味の違いがあるのか、感覚
 としてつかんでいます。それを解説すると上記のようになります。あるい
 は、さらに上に記した4つ星事項につながります。
・「見せる」の動作には、相手に「見る動作をさせる:s動作」ため、本人が「見せ
 る物を提示するために何らかの動作をする:r動作」の2つが必要です。
 それが「seru」のなかに示されて在るのです。
 「着せる、乗せる」にも相手と本人との同時動作を促すように「s」と「r」が付
 いています。(単なる他動詞と見なしてもよいが、深読みで理解が深まる)

・次回には、可能態「える:eru」に向かいます。「r」可能態、「s」可能態にどれ
 ほど迫れるだろうか。

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