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態文法:「何段何行の動詞活用」の功罪

2017/01/08(日)

 現在の学校文法、国語辞典では、動詞活用(派生)を「ひらがな解析」した結果の
「五段何行/上・下一段何行」活用などと表現する。
これは歴史的には「ひらがなの制約のなかで、巧みに工夫した一覧表現」である
が、「ひらがな解析」では子音と母音の間を分断して表記することができないか
ら、正確な語幹を明示できない。
・動詞語幹も態接辞語幹も両方共に不正確な「妥協的な表現」となり、不正確な状
 態:「語幹と活用語尾」が混在御免で「何段何行形式」が出来上がったもの。
・例:見る、着る、には動詞語幹がなく、「み」、「き」が活用語尾に回される。
 例:読まれる:語幹「よ」活用語尾「ま」態接辞「れる」、
 例:食べられる:語幹「た」活用語尾「べ」態接辞「られる」、
 のように、語幹が不正、受動態接辞が「れる/られる」の異形態となる。

〇一方、現代の「ローマ字表記による音素解析」で動詞活用を解釈する立場では、
「動詞語幹:子音語幹/母音語幹」や、「態の接辞:あれる:areru(受動態)、あせる
:aseru(使役態)」など明確に共通要素部分を示すことができる。
・例:読まれる:語幹「よm」、挿入音素[]、態接辞「areru:あれる」、
 例:食べられる:語幹「たべ」、挿入音素[r]、態接辞「areru:あれる」、
 のように、語幹が正確、受動態接辞が「areru:あれる」で共通形態となる。
・挿入音素[x]は、語幹と接辞の連結で音素調和(音素衝突の回避)をとるために
 配置されるもので、
・動詞活用を表現する一般式として、動詞語幹:D、挿入音素[]、とすると、
 受動態:D[r]areru:→応用すると、読m[]areru、食べ[r]areru、
 使役態:D[s]aseru:→応用すると、読m[]aseru、食べ[s]aseru、
のように、語幹の子音/母音を[挿入音素]で調和させて、正確な態接辞に連結す
る派生構造であることが明白となる。
・学校文法では定義できなかった可能態も、一般式で正当に表現できる。
 可能態:D[r]eru:→応用すると、読m[]eru、食べ[r]eru、
正式な態形態として導入するのに何の支障もない。(可能態接辞:える:eru)

〇だから、「ローマ字つづりによる音素解析」に基づく「子音語幹/母音語幹」の動
 詞体系をうまく生かした教育法へ改善していく必要があるだろう。
〇教育法を改善しなければ、「何段何行の動詞活用」功罪の罪の面がなくならな
 い。

 文化庁が行う「国語に関する世論調査」は、「ら抜き言葉」、「さ入れ言葉」に関す
るものが含まれ、正に「ひらがな解析の動詞活用の功罪」の影響を調べているよ
うな感じがします。今回の調査で初めて「ら抜き言葉」が半数越えした項目もあ
り、功罪の悪い面にも負けずに「一般大衆の語感」が頑張っているなあと納得し
ました。
〇朝日新聞2016年12月7日(水)夕刊で、”あのとき、それから”欄に、>この文化
 庁9月発表の「世論調査」で「ら抜き言葉」がついに多数派になったと話題になっ
 た<要約引用、とあり、記事の後尾に>作家の川上弘美さんがエッセー「なまな
 かなもの」で、・・・母親から「東京の人間の使うものじゃありません」と刷り込ま
 れて、長い間葛藤があったそうだ。しかし、SMAPの曲「夜空ノムコウ」を歌うう
 ちに、「あれからぼくたちは 何かを信じてこれたかなぁ」という歌詞は、ら抜き
 でなければならないと確信し、禁忌を克服したという。こんな風に、ら抜き言葉
 とつき合えたならと思う。(記者署名)<要約引用。
〇「金を積まれても、ら抜き言葉は使わない」と公言する作家もいるなかで、川上
 さんはすごいなと思い、エッセイーを読んでみた。
 内容は母親の刷込み事情をくわしいく描写するが、肝心の「ら抜き」解釈の筋道
 は直接説明がなく感性が馴染んできたかららしい表現に止っている。
 これでは禁忌が蘇る可能性もあるかもしれません。

(次回へつづく)

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