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態文法:動詞二段活用が可能態も派生した

2017/01/28(土)

 前回の終わり部分に記載した動詞活用の一般式を推敲すると、二段活用の効用
が身に染みて分かってきました。
〇動詞語幹(子音/母音):D、挿入音素:[][r][s]、機能接辞:ar/as/er、
・文語体の受動態:ar付き動詞の二段活用の一般式。
(古語のつもりで活用:未然/連用/終止/連体/已然/命令)
 ・読まる、見らる:D[r]ar[](e/e/u/uru/ure/eyo)
  【未然、連用には活用語尾に「e」が付加される】
・文語体の使役態:as付き動詞の二段活用(強制態相当)の一般式。
 ・読ます、見さす:D[s]as[](e/e/u/uru/ure/eyo)
  【未然、連用には活用語尾に「e」が付加される】
・文語体の二段活用は、受動態:D[r]are[r]、使役態:D[s]ase[r]を派生させる
 大きな役目を果した。文語でも「読まる、見らる」表記より「読まれ、見られ」表
 記のほうが馴染やすいはずだ。
〇新派生の「読まれ、見られ」を原動詞に使えば、一段活用で口語体表記できる。
・口語体の受動態:are[r]付き動詞の一段活用の一般式。
(現代語の活用:未然/連用/終止/連体/仮定/命令)
 ・読まれる、見られる:D[r]are[r](-/-/u/u/e/o)
  【未然、連用では[r]を引き去る意味で、-記号を表記】
・口語体の使役態:[s]ase[r]付き動詞の一段活用の一般式。
 ・読ませる、見させる:D[s]ase[r](-/-/u/u/e/o)
  【未然、連用では[r]を引き去る意味で、-記号を表記】

〇文語時代の二段活用は後に一段活用に収れんする。二段活用には自他交替機能
 の「eru」接辞を生み出す功績があったと思う。
・江戸時代までの動詞は、四段活用と二段活用を併用することがあったはずで、
例:立つ:D[]u:D[](a/i/u/u/e/e)←四段活用:立つ自動詞のまま。
 ・立つ:D[]u:D[](e/e/u/uru/ure/ero)←二段活用:立てる派生の芽。
例:割る:D[]u:D[](a/i/u/u/e/e)←四段活用:割る他動詞のまま。
 ・割る:D[]u:D[](e/e/u/uru/ure/ero)←二段活用:割れる派生の芽。
このように、二段活用は自他交替の機能を果していたはずです。
時代を経て、立つ/立てる、割る/割れる、が自動詞、他動詞として独立してきた
ので、立つ、割るは四段活用、立てる、割れるは一段活用に整理収束したのだろう。
(未然、連用の「立て、割れ」:D[]e、か、連体の立つる、割るる、か、どちらが現在
 の「立てる」、「割れる」につながったのか、または両方の影響か、定かでない)
まず、これが二段活用の大きな効用の一番目です。

二番目は功罪半ばするのだが、古来より受動態:D[r]ar[]、使役態:D[s]as[]に
対しては、二段活用に限った使用を指定したこと。(功罪の功の部分)
〇態を扱う場面で二段活用を使用するのは当然で、態が表現できるからです。
例:立つ→立たる:D[r]ar[](e/e/u/uru/ure/ero)←立たれ派生の芽。
 ・立つ→立たす:D[s]as[](e/e/u/uru/ure/ero)←立たせ派生の芽。
 ・立たす→立たさる:D[s]as[]ar[](e/e/u/uru/ure/ero)←立たされ派生の芽。
〇江戸時代までは、「ar」や「as」、「asar」の付いた態動詞に対しては二段活用を
 させることにより「日常不便無く受動態、使役態が使えた」のです。
・立たる:D[r]ar[](a/i/u/u/e/e)←四段ならひどいことになります。
・立たす:D[s]as[](a/i/u/u/e/e)←強制態は四段でも様になるか。
〇問題は、態接辞が付かない原形態:「立つ、割る」などの動詞に対しての文法的
 指定が不十分だったのです。(功罪の罪の部分)
・本来、原形態では四段活用と二段活用を併用しつつ、自他交替の機能を果した
 わけですから、
 ・原形態:D[r]u→:D[](a/i/u/u/e/e)←四段(子音語幹)。
 ・原形態:D[r]u→:D[r](e/e/u/uru/ure/ero)←二段活用【可能態の芽
  を子音、母音語幹ともに派生可能です】
〇可能態の芽をはっきりさせるには、二段活用のたとえば連用形を引き出せば、
・D[r]e→立て、割れ、読め、見れ、書け、走れ、食べれ、などを得る。
 これに「る」が付加すると、「立てる、割れる、読める、見れる、書ける、走れる、
 食べれる、」となり、動作可能の意味合いになる。新動詞が生まれるのです。
【いわゆる子音語幹動詞だけでなく、母音語幹動詞も可能態へ派生できる、と言
 う文法的考察を記述した】

 明治時代には、二段活用が一段活用へ整理(新動詞が派生)され、学校文法も
一応の役割を果しているが、
・子音語幹動詞の可能形:D[]e[r]u:「立てる、割れる、読める、書ける、走れる、
 許せる、渡せる、移せる、探せる、動かせる、」は可能動詞と認定したが、
・母音語幹動詞の可能形:D[r]e[r]u:「見れる、食べれる、来れる、見せれる、出
 れる、」などを可能態と認定しないでいる。
・本来はどちらも正式に「可能態」として認定されるべき論理的な形態です。
 一般式→D[r]e[r]u:により可能態動詞を記述でき、子音・母音語幹ともに含み
 ます。(二段活用の自他交替で派生したD[r]e[r]u:可能態動詞を認めて一段動
 詞に組み入れることで、一段活用化へ移行してきたのです。その基本原則を見
 失った迷路で立往生なのです)
〇江戸時代のまま時間が止った状態にいるようですが、遅々としているけれど、
 旧来文法もしぶといけれど、すこしずつ可能態全体に光が当ってきています。
〇「態の双対環」方式では、「態の双対環」鏡像図に示すように能動系、強制系、使
 役系の3つの「双対環」には必ず可能態があります。子音語幹・母音語幹の区別な
 く可能態動詞を定義し、かつ、「可能付加の軸」上に相似的配置で実在してあり
 ます。

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