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態文法:形状動詞の派生と挿入音素

2017/04/06(木)

1.形容詞と形状動詞:(清瀬本:派生文法)
 清瀬本では、日本語の形容詞を形状の叙述語・用言として使うので、形状動詞と
呼んでいる。
->文語では、(i)ku、(s)i、(i)ki、(i)kereなどの連結母音、連結子音があった。
  :高く/高し/高き/高けれ、(ク活用)
  :楽しく/楽し/楽しき/楽しけれ(シク活用)
->口語では、語幹がすべて母音語尾なので連結音素なしで接辞がつながる。
  :終止・連体形の形状動詞接尾辞:-i:非完了/-katta:完了/-karoo:前望
  :連用形形成の接尾辞:-ku:非完了順接/-kute:完了順接/-kereba:非
   完了条件/-kattara:完了条件/-ito:開放条件/-kutemo:譲歩、など
->形容詞を動詞化する形状動詞接尾辞は、打消し接辞-(a)na-iの-iや、希望
  接尾辞の-(i)ta-iの-iなどに必ず接尾して動詞化を果す。
<-
〇ここで、疑問に感じることがある。
 文語で、「高し:taka(s)i/高き:taka(k)i」のごとくに、形容詞母音語幹に連結
 子音(s)、(k)を配すると考えるべきだろう。なぜ、母音語尾に母音語頭の-i:接
 辞を配すると考察したのだろうか。派生文法則の通例から外れてしまう。
〇文語で「高し/高き」と記述し、口語で「高い」と(k)が音便化した記述になった
 のであろう。それなら、派生文法の理念に適合する。つまり「連結子音:(k)」を
 想定したほうが法則に合うはずだが。

2.『日本語構造伝達文法』の形容詞(今泉本)
★今泉喜一『日本語のしくみ(1) -日本語構造伝達文法 s-』:揺籃社:2015年
 12月24日発行 によると、
->形容詞の活用表:形容詞語幹例:高い:taka.k-/楽しい:tanosi.k-
  :高い:taka.k-Øi=i/高く:taka.k-u/高ければ:taka.k-ereba
  :楽しい:tanosi.k-Øi=i/楽しく:tanosi.k-u/楽しければ:tanosi.k-ereba
  :高かった:taka.k-a(r=[Q])ta/高かろう:taka.k-ar-ou
  (今泉本の音便記述法はもっと精密で厳格なので、簡略のため「双対環」文法で
   表記)
->形容詞は名詞、動詞からの派生によるところが多く、
  赤:aka.k-、眠い:nemu.k-などと「複合語の語幹表現のように」なっている。
<-

3.「態の双対環」文法の形状動詞と挿入音素
 当ブログの文法では、形状動詞においても挿入音素を用いることを規定する。
確かに形容詞は母音語幹が圧倒的に多いが、動詞化するために、-kiや-ku、
-katta、など、「k」音素付きの接尾辞が使われる。
〇機能接辞はそれ自身で固有の意味を有しているはずだが、「ki」「ku」「katta」
 には、なにかの意味を見出せるのだろうか。
 (文語時代も「k」そのものに意味を与えていたのだろうか)
->形状動詞化のための挿入音素[k]:
  形容詞語幹例:高い→taka-/楽しい→tanosi-
  :高い:taka[k=Øi]i/高かった:taka[k]a(r=[Q])ta
  /高かろう:taka[k]ar[]ou。
  :ない:[a]na[k=Øi]i/なかった:na[k]a(r=[Q])ta
  /なかろう:na[k]ar[]ou。
 もちろん、語幹として:taka.k-、na.k-、を採用しても用法記述に支障は起き
 ないが、統一的な動詞用法の一般式に馴染ますために、
★形状動詞派生一般式=【形状語幹・[挿入音素]】+機能接辞 と定義する。
 形状動詞語幹:Kとすると、
 K[k]u・na[k=Øi]i/K[k]ute/K[k=Øi]i/K[k=Øi]i-/K[k]ereba.
 例1:よ[k]unai/良[k]ute/良[k=Øi]i/良[k]ereba.
 例2:苦し[k=Øi]inara/苦し[k]ar[]oo[]tomo/苦し[k]a(r=[Q])ta.
 が一般式による派生(活用)表記です。
->「態の双対環」文法で、子音の[挿入音素]に採用したものは、
  [r]:自律動作を意味する動作接辞に前置させる。(自他動詞ともに適用)
  [s]:律他動作を意味する動作接辞に前置させる。(強制、使役に適用)
  [y]:自分他人ともに動作を促す接辞に前置させる。(前望、意向に適用)
  [k]:有情他者に対し忖度しない動作表現にするため接辞に前置させる。
  (例:寝[k]as[]u/騙す・騙[k]as[]u/笑わす・笑[k]as[]u/はぐる・はぐら
   す・はぐら[k]as[]u/散らす・散ら[k]as[]u/散ら[k]ar[]u、など結果状
   態のみを求める如きの動作)などがある。
  他に音便表記の[I][Q][N][¥]、母音の[a][i]の[挿入音素]を定義した。
->[y]は、自律[r]と律他[s]の両方を併せ持つような意図を表現できる。
  [k]は、逆に自律[r]、律他[s]ともに斟酌しないで結果状態を表現する。
->まさに形状動詞の[挿入音素]には[k]がぴったり適役だろう。
  [k]:形容詞の状態表現を動詞化する接辞に前置させる。(形状動詞に適用)
  古語、文語での「き、けり、」の意味は過去の事象を表現することだから、結果
  状態に対する表現に当てるには[k]音が適しているのだろう。
<-
 古来からの智恵が[k]音に詰っていると数年来感じていたが、今ようやく仮説を
説明できるようになった。

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