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2017年5月

態文法:繋辞、断定辞に[挿入音素]なし

2017/05/29(月)

 さて、「態の双対環」文法で提起した[挿入音素]を全部並べてみよう。
->当ブログ既出の[挿入音素]を引用再掲すると、
★動詞、形状動詞に対応する[挿入音素]が機能接辞と同源的完全一致するのを
 見出せます。
・結果態接辞:-ar-:  ・・・・  挿入音素:[r]:自律動作(自他動詞ともに適用)
・強制態接辞:-as-:  ・・・・  挿入音素:[s]:律他動作(強制、使役に適用)
・古語可能接辞:-ay-: ・・・  挿入音素:[y]:互律動作(前望、意向に適用)
・古語ク語法接辞:-ak-: ・・ 挿入音素:[k]:無律様態(形状動詞、無律動詞)
〇他に母音[挿入音素]には[a]、[i]があり、[i]音便表記の[I][Q][N][¥]を定
 義した。
<-引用おわり。

★形容名詞:KM、名詞:Mは母音語幹であり、[挿入音素]は新たに必要としない。
・(形容)名詞単語に「格助辞+機能接辞(繋辞・断定辞)」が付属する形式で派生し
 て構文化する。両者共にほぼ同様の形態で表される。
・形容名詞用法:KM:(代入例:きれい、元気、愉快)と併行して
・名詞用法:M:(代入例:学校、地震、夢)を共通式で派生させことができる。
〇共通一般式表記:
 KM/M[]d(e=Ø)ar[]ou←きれい/学校・だろう、
 KM/M[]de,ni,d(e=Ø)a(r=[Q])ta←きれい/学校・で、に、だった。
・KM[]n(i=Ø)a(r=Ø),←きれい・な:【形容名詞の連体形】
・M[]no,←学校・の:【名詞の連体形様】、後続に名詞が必要となる。
★KM/M[]nano・da,nano・ga←きれい/学校・なのだ、なのが、(なの=形式
 名詞化する。つまり、「なの」形式では、KM/M共通となる)
(動詞:D、形状動詞:Kも連体形:D[r]u,K[k=Ø]iに直接noda付加して、
 走る・のだ、速い・のだ、と断定文を作れる)
 KM/M[]de・areba,n(i=Ø)areba←きれい/学校・であれば、なれば、
 KM/M[]de・na[k=Ø]i←きれい/学校・でない、
 KM/M[]des[]u,-des[i]ta,-des・[y]ou.←きれい/学校・です、でした、
 でしょう、
〇以上のように、形容名詞と名詞の用法には共通性があり、連体形に差があるの
 みです。

 さて、繋辞・断定辞について整理しておこう。
〇「です・ます調」とか「常体・敬体」とかの名称ではなく、
①断定調詞:~(の)だ、(なの)だ、(の)だった、、、
②説明調詞:~です、(の)です、(なの)です、(なの)でした、、、
③率先調詞:~(し)ます、(~にし)ます、(~にし)ました、、、(動作動詞系)
と少し軽い気持で区別すると、若者の発話意図を誘導できるのでは?
 それで、構文形式:動詞文・形状動詞文・形容名詞文・名詞文のどれにでも、
①~③の調詞を付けて発話することが多いのですから。
〇ついでに将来を遠謀深慮するつもりで、日本語の構文が10年、20年先に
 どんな変化をしているか考えます。
一つ目の予測は、「構文はすべて終止形止めで終るだけ」か、
二つ目の予測は、「構文はすべて①~③のどれかを付加して終る」か、
三つ目の予測は、「構文は、終止形止めか、①~③調詞付けで終るかの混在」か、
(現在は、三つ目の予測と似た状況にいる)
★書く・だ/書く・のです/書き・ます:20年後には広まっているかな。
★早い・だ/早い・です/早く・します:20年後には広まっているかな。
★元気・だ/元気・なのです/元気・にします:現在進行中。
★ウナギ・だ/ウナギ・なのです/ウナギ・にします:現在進行中。

 繋辞は「甲が乙だ」と甲乙を等価な物として表現するわけではない。
関係のある側面を説明するだけで、嘘もあれば、本当もある。繋辞には等価にす
る力もないし、発話の中で甲乙の対向構文を断定・措定するだけなのです。
つまり、繋辞の機能は断定調詞、説明調詞に包含されるものと解釈してよい。
〇「太郎は、明日大阪へ行く予定だ」の意味が、「太郎は(100%)、予定だ」と分析
 する人はいないだろう。太郎を構成する僅か1%が「予定」かもしれない。
 大阪の関係者にとっては「太郎は予定」が70%かもしれない。
 しかし、「太郎が予定そのものである」とは誰も考えない。(だが誤解する言語学
 者も少数は存在する。繋辞が等価能力に満ち溢れている?と見るのか?)
〇普通人には「~予定がある」「~予定にします」「~予定なのだ」などの調詞語彙
 には調子を合せて「断定/説明/率先/有無」を見分ける理解力があります。
 「象は鼻が長い」→「象は長い鼻だ」、「象は鼻だ」、文脈を辿れば皆同じ意味だ。
〇「太郎は予定が明日大阪へ行くだ」、「次、君は名前が何というのかね」、「ぼくは
 ウナギにするよ」、「彼は母親が教師です」、「日本語は会話が意外に簡単です」、
・これらの例で「~は~が」で切って、「~は~だ」とした構文が会話の場では頻繁
 に現れる。「太郎は予定だ」、「君は名前だ」、「ぼくはウナギだ」、「彼は母親だ」、
 「日本語は会話だ」のような簡略構文が現れても、居合せている人には十分理解
 できる。
★「~だ」:断定調詞は、「~は~」を一括りの構文だと「断定する」機能を果す。
 会話の場で既に繰り返し語られる主要部分を省略しても支障がない。
 場の文脈に依存する形式となるが、日本語の構文法はそれを許容します。
・もちろん、会話の場に登場していない部分を抜き落し、いきなり簡略構文を発
 話するのはご法度で、聞き手には何も思い浮ばず、理解できないでしょう。

態文法:「ク語法」を現代的に解釈する

2017/05/20(土)

 さて、「態の双対環」文法で考察した「ク語法」の意味・解釈の方法を詳細に説明
しよう。
->まず前回の肝心部分を再掲する、
★機能接辞と挿入音素との同源的完全一致の姿を発見できたのです。
・結果態接辞:-ar-:  ・・・・  挿入音素:[r]:自律動作(自他動詞ともに適用)
・強制態接辞:-as-:  ・・・・  挿入音素:[s]:律他動作(強制、使役に適用)
・古語可能接辞:-ay-: ・・・  挿入音素:[y]:互律動作(前望、意向に適用)
・古語ク語法接辞:-ak-: ・・ 挿入音素:[k]:無律様態(形状動詞、無律動詞)
〇D[y]oo:書こう、見よう:主体相互に自律動作を呼びかける用途に適する。
〇K[k]a(r=[Q])ta:美しかった、強かった:無律(意思なし)の動詞化。
〇D[r]ak[]u:曰く、すべからく、老いらく:無律無意思での動作様態。
 ・笑わす:他が意識して笑うように仕向ける。に対して無律状態を想定した上
 ・笑かす:wara・k・asu←waraw・ak・asu:無意識の笑いを仕掛ける。
 ・たぶらかす:←tabur・ak・asu←tabur・aku←taburu:たぶるを無律化。
 ・思惑:←omow・aku←omou:思うを無律化。
<-引用おわり。

 今回は、古語ク語法接辞(以下=無律接辞と呼称する):-ak-と挿入音素:[k]
に絞り込んで考察を述べる。
★まず、自律・律他・互律・無律という言葉を聞き分けることができますか。
・「律他」は「他を律する」の意味で造語したもので、精確には「他が自律動作とし
 て指示された動作をする」という意味を表します。
・「互律動作」はお互に自律動作を勧める表現、動作意思を起させる表現の意味で
 造語しました。
・「無律」は、自律・律他・互律などの動作意図から離れた「動作事象・形態性状」を
 「(用言を)体言化した概念」として表現する意味で造語しました。
つまり、動作の意図、意思が自分にあるのか、他にあるのか、何処にもないのかを
表現する概念を、この四種類の「律」で表すものです。
〇当ブログ「態の双対環」文法では、自律(能動)・律他(強制)の概念を基礎にして
 さらに互律(使役、可能)・無律(形状、所動)の概念もその延長線上に並べること
 も考えてきました。

★解りやすく単語例で検討すると、
例:笑う:warau←自、他(自律)
 笑わす:waraw[]as[]u←他(強制:律他):主体は仕向ける、他が自律で笑う。
 (つまり、笑うのは他の自律意識・判断により成否が決る)
 笑わく:waraw[]ak[]u←(体言化:無律):笑いの概念化。
 笑わかす:waraw[]ak[]as[]u←他動詞:対他に(無意識での)笑いを引き出す。
 笑かす:wara・k・as[]u←省略化他動詞:対他に(無意識での)笑いを引き出す。
 (つまり、連結した接辞:-ak・as-は、無律(無制御・無情化)+律他=自律(他動
  詞)に相当することになる)

例:×赤ちゃんを寝さす、と言わず、〇赤ちゃんを寝かすと言う。
 寝る:neru:自(自律)
 寝さす:ne[s]as[]u:←他(強制:律他)主体は仕向ける、他が自律で寝る。
 寝かす:ne[k]as[]u:←他動詞(自律)主体が対他に眠るように行動する。
 (つまり、[k]asuは、無律(無情化・無制御)+律他=自律(他動詞)となる)
・寝さす:赤ちゃんが自律行為で寝るように仕向ける。(主体は仕向けるだけ)
・寝かす:主体が赤ちゃんに寝る行為を与える、誘導する。自律他動詞化。
・寝かせる:ne[k]as[]e[r]u:←無律+律他+已然状態=互律に近い他動詞。
 (可能態接辞:e[r]uは「寝る」から「眠る」に掛る事象進行を内包しますので、
 主体と赤ちゃんが協同動作として寝る状態を為していると解釈します)
脇道に逸れるが、可能表現が「互律」に近い意味合いを含むことを補足する。
・寝させる:ne[s]as[]e[r]u:←寝さす:強制律他の動作に可能態接辞:e[r]u
 が付加すると、その進行状態(已然状態)に主体が関わる意味が加わり、他と
 主体との「互律動作」の意味合いを感じさせます。
 (強制態よりも使役態のほうが柔らかな表現に感じるのは互律的意味合いに
 よるものと思う)

例:「だまされる」と「だまかされる」とで被害者後悔意識が強いのはどっち?
・だます:damas[]u:←他動詞(能動・主体自律):dam[]as[]uが見え隠れ。
 (dam[]asuの意味が涌いて来るので被害者の自律行為が邪推される)
・だまかす:dama・k・as[]u、dama[s→k]as[]u、damas[]ak・as[]u。
 (dam[]ak・as[]uなら被害者の自律性がなく、主体の自律的だまし行為)
被害者が「だまされた」と感じるほうが後悔感や自責の念が強い。
「だまかされた」と感じるとき、後悔感よりも(犯人憎し?)の感じが強い。
〇本来、「だます」は能動他動詞であるから、主体が対他に直接動作する意味
 だが、dam[]asuの-as-が強制態を想起させるので、対他がdam-動作を
 自律的に行うという「誤誘導」があるのだろう。その誤誘導を避ける手立てが
 「だまかす」なのです。この意味合いの違いを「だまかされなければ」免許皆伝
 でしょう。

態文法:発見!挿入音素と機能接辞の同源性

2017/05/17(水)

 もう一つ大きな発見ができました。
最近、態文法:形状動詞の派生と挿入音素、で記述したように、
挿入音素の考え方を整理しています。
〇そこで、発見しました。簡略的に記載する。
->記事引用:態文法:形状動詞の派生と挿入音素、(下地を記述)
 「態の双対環」文法で、子音の[挿入音素]に採用したものは、
  [r]:自律動作を意味する動作接辞に前置させる。(自他動詞ともに適用)
  [s]:律他動作を意味する動作接辞に前置させる。(強制、使役に適用)
  [y]:自分他人ともに動作を促す接辞に前置させる。(前望、意向に適用)
  [k]:有情他者に対し忖度しない動作表現にするため接辞に前置させる。
  (例:寝[k]as[]u/騙す・騙[k]as[]u/笑わす・笑[k]as[]u/はぐる・はぐら
   す・はぐら[k]as[]u/散らす・散ら[k]as[]u・散ら[k]ar[]u、など結果状
   態のみを求める如きの動作)などがある。
  他に音便表記の[I][Q][N][¥]、母音の[a][i]の[挿入音素]を定義した。
<-引用おわり

★機能接辞と挿入音素との同源的完全一致の姿を発見できたのです。
・結果態接辞:-ar-:  ・・・・  挿入音素:[r]:自律動作(自他動詞ともに適用)
・強制態接辞:-as-:  ・・・・  挿入音素:[s]:律他動作(強制、使役に適用)
・古語可能接辞:-ay-: ・・・  挿入音素:[y]:互律動作(前望、意向に適用)
・古語ク語法接辞:-ak-: ・・ 挿入音素:[k]:無律様態(形状動詞、無律動詞)
〇D[y]oo:書こう、見よう:主体相互に自律動作を呼びかける用途に適する。
〇K[k]a(r=[Q])ta:美しかった、強かった:無律(意思なし)の動詞化。
〇D[r]ak[]u:曰く、すべからく、老いらく:無律無意思での動作様態。
 ・笑わす:他が意識して笑うように仕向ける。に対して無律状態を想定した上
 ・笑かす:wara・k・asu←waraw・ak・asu:無意識の笑いを仕掛ける。
 ・たぶらかす:←tabur・ak・asu←tabur・aku←taburu:たぶるを無律化。
 ・思惑:←omow・aku←omou:思うを無律化。

★現代では、挿入音素:[y]は[y]ooの形態でしか使われないようだが、
 ・探そう:sagas[yØ]oo、渡そう:watas[yØ]oo、写そう:utus[yØ]oo、
 ・例外で、でしょう:des[y]oo、ましょう:mas[y]oo、に対しては発音識別が
  優先されている。(出そう、増そうと区別できる)
★挿入音素:[k]には、形状動詞化(ク活用)や動名詞化(ク語法)の機能接辞とし
 て古来より研究対象になっていたが、明解な解釈ができないでいた。
〇当ブログ「態の双対環」文法では、すべての用言が接辞で派生すると徹底して
 考えた。しかも、基本方程式に「語幹+[挿入音素]+接辞」を据えたので、適切な
 挿入音素を設定すれば一般式(子音語幹/母音語幹どちらにも対応する式)表現
 が可能となります。
〇形状動詞の一般式=「形容詞語幹+[k]+接辞」となるはずだと考えて、思考実
 験した。その上で、挿入音素:[k]とク語法接辞:-ak-の意味が深層でつながっ
 ているのだと見通すことができた。
★用言を使い動作などを表現する際に、動作の意図や対向方向を組み入れた発話
 であると理解しやすい。
 ・子音語幹用言では、[子音の挿入音素]を発話しないから機能接辞のみにより
  動作の律仕方を感じとることになる。
 ・母音語幹用言では、[挿入音素:r/s/y/k]の一つが発話で選択され、機能接
  辞と組み合されて動作の律仕方を感じとる。
〇律仕方とは、
 ・[r]:自律動作→動作主体自身が意図し制御する動作。自動詞と他動詞。
 ・[s]:律他動作→主体が対他へ自律動作を指示する行為。対物なら主体の他動詞。
 ・[y]:互律動作→主体または対他に共に自律動作を呼びかける行為。
 ・[k]:無律動作→動作制御のない事象状態(形容詞動詞化など)を派生する。
  特に、D[k]as[]uの形式で「対他の自律を無律化する」意図を含んだ誘導他動
  詞が派生できる。
  (笑かす:wara[k]asu←waraw・ak・asu←waraw・asu←warau)
〇機能接辞や[挿入音素]で動作・行為の律仕方を表現する言語は世界中に各種存
 在するのではないだろうか。日本語もそういう機能を持った言語である。

態文法:可能態の謎が解けた!?

2017/05/04(木)

 「態の双対環」文法と名付けて思考実験を続けてきました。少し整理します。
2年前に今泉喜一『日本語構造伝達文法』の自主研究会に飛入り参加して、実験状
況を披露する機会をいただいた。
態文法に限定した仮説的な思考結果を数回にわたり発表できましたが、研究会員
に対して新文法の優位性を論証するだけの力量がありませんでした。
先生からは「仮説思考を全体まで進めたら、逆に全体から思考検証し直して見る
ことが大切です」との示唆をいただいた。
 この示唆は「二分合体思考法」に通じるものですから、その後の一年間は態全体
に考察を進めて、昨年秋に『日本語動詞 態文法を再生する』にまとめあげ出版す
ることができました。
今年になってからは、「逆に全体から思考検証し直して見る」ことが多くなりま
した。折返し点と言うか検証期と言うか、思考の端緒が「演繹的視点」になって来
たかもしれません。

1.帰納的視点か? 演繹的視点か?

  拙著『態文法を再生する』で問題点として上げた用語例では、
〇「す」語尾の動詞のあつかい:他動詞と使役態動詞を峻別できるか?
 という設問で思考実験している。
例:動詞の終止形によって判断しているだけでよいのか?
・動かす:対物自律動作、 ・動かせる:対物自律可能態
・任す:対他自律動作、  ・任せる:対他委譲動作、
・償わす:対他強制動作、 ・償わせる:対他交渉動作、
・果す:対事自律動作、  ・果せる:対事自律可能態、
・輝かす:対物自律動作、 ・輝かせる:対物自律可能態?
・なびかす:対他物強制動作、・なびかせる:対他物誘導動作、
以上のような例を考察したあと、結論的には自己の自律動作を明確にするなら、
「す」動詞を使い、「せる」動詞での表現は控えたほうがよいとした。
〇上例では、根源動詞:Dに接辞:as[]uが付加され、D[]as[]uとなった動詞に、
 さらに、機能接辞:e[r]uが付加してD[]ase[r]uと派生した動詞です。
・この機能接辞を可能態接辞:e[r]uと命名して、自他交替、可能態、自発態の機
 能を発揮する動詞へ派生するものと定義した。
★この種類の動詞発話に関して、さらにその用法で設問したことは、
・発話「責任を果して、、、」をTV画面の字幕では「責任を果せて、、、」に代わる
 ことが多い。こと。
・「目を輝かして、、、」も「目を輝かせて、、、」で表現することが多い。
〇「果せて」、「輝かせて」は、他動・可能動詞の「連用形用法」だと解釈するしか
 ない現状では、単純他動詞の「果して」、「輝かして」を使用するほうがよいと
 割り切った考え方を記述していた。
(可能態使用を提起する立場からすると逆説になるが、発話者の感覚を尊重し、
 相当苦労して可能にさせたのだと連想できるなら、可能態を使うのがよいとい
 う判断です)

2.可能態:e[r]uを演繹的に考える

 前項の設問は、「任す/任せる」などの強制態:as[]uと使役態:ase[r]uの使い
分けに関わることではあるが、問題の根本には已然形に関連する多くの要素が潜
在する。
・現在の学校文法でも動詞已然形の概念を「仮定形」としてしか表現しない。
★当ブログは2017年1月、態文法カテゴリーを立てました。
・それ以前は日本語文法カテゴリーで、2014年9月日本語文法:可能態の謎を解く
 の中で、正に直感的な感性で可能態の謎を正しく解いていたわけですが、確信
 的に論証しきるほどの力量にありませんでした。
 今年になって、態文法:動詞活用形はアスペクト並び、に図表を載せて、
・動詞活用形式:未然・連用・終止・連体・仮定(已然)・命令の並び順が動作相:アス
 ペクトの基本構造を表現するのだと提起した。

★アスペクト並びと見做す利点は十分にあるのだが、仮説の「仮定形=已然形」
が条件提示のみで文構造に届かない。(仮定形の已然力が弱いのに気づいた)
〇「イチゴを売る」構文で思考実験:売る=ur[]u、D=ur。
・イチゴを売る:他動詞終止形、(×イチゴが売る)、 一般式:D[r]u、
・イチゴを売れば、:仮定形、 (×イチゴが売れば)、一般式:D[r]eba、
・イチゴを/が売れて、:可能・自発連用形、 一般式:D[r]e[r=Ø]te、
・イチゴを/が売れる :可能自発終止形、 一般式:D[r]e[r]u、
・イチゴを/が売れれば、:可能自発仮定形、一般式:D[r]e[r]eba、
・イチゴを/が売れた :可能自発完了形、 一般式:D[r]e[r=Ø]ta、
★仮定接辞:ebaは、「e」音を持つから暗黙のうちに已然を想定したが、已然を
 言い切るまでの力はなく、すこぶる弱い確定条件だと判明しました。
・それに比べ、可能接辞:e[r]u、これを基にした已然連用形:ete、完了形:eta、
 可能仮定形:e[r]eba、には「態を替える」力量があるわけです。
・別に蛇足ですが、
 イチゴを/が売っている:他動詞連用形+アスペクト助動詞:いる、
 のように助動詞でアスペクト構文にする方法もあります。
〇「イチゴを食べる」構文で母音語幹を実験:食べる=tabe[r]u、D=tabe。
・イチゴを食べて、:連用形、 (×イチゴが食べて)、一般式:D[i=Ø]te、
・イチゴを食べれば、:仮定形、 (×イチゴが食べれば)、一般式:D[r]eba、
・イチゴを/が食べれて、:可能連用形、 一般式:D[r]e[r=Ø]te、
・イチゴを/が食べれれば、:可能仮定形、一般式:D[r]e[r]eba、
・イチゴを/が食べれた :可能完了形、 一般式:D[r]e[r=Ø]ta、
★やはり、瞬間動作に仮定接辞:ebaを付加するだけでは、已然感が非常に弱い。
〇だが、吟味して欲しいことは、動詞(子音語幹、母音語幹)に可能態接辞を付加
 する表現方法は、何らの語幹による差や不安定要素もないし、早く正式文法に
 組み入れるべきものだということです。

★可能態接辞:e[r]u、または、-e-と記す文法書もありますが、意味は何か。
 何故、「強い已然力」を発揮するのでしょう。
・可能態接辞:e[r]uを付加した一般式:D[r]e[r]uの意味は、能動已然の働きで
 動作:Dの「ように成る」または「ように為す」の同時二義を有しているが、発話
 の文脈がどちらか一義に決める。
・売れる:(彼でも)売ることが可能/物が売れる(性状)の択一。
・食べれる:(好物なら)食べることが可能/栄養があり食べれる(性状)の択一。
(動作としても可能で、性状としても可能の意味を包含しているので、強い已然
 力を発揮するのだろう)

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