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態文法:態の全体像を把握する

2017/06/03(土)

 さて、「態の双対環」文法で提起した「態の全体像」を把握し直してみよう。
->当ブログ既出の[挿入音素]を引用再掲すると、
★態の機能接辞と[挿入音素]との対応関係が同源的に完全一致する。
①結果態接辞:-ar-:  ・・・・  挿入音素:[r]:自律動作(自他動詞ともに適用)
②強制態接辞:-as-:  ・・・・  挿入音素:[s]:律他動作(強制、使役に適用)
③古語可能接辞:-ay-: ・・・  挿入音素:[y]:互律動作(前望、意向に適用)
③現代可能態接辞:-e-:意味的に互律(挿入音素は[r]自律が多い)
④古語ク語法接辞:-ak-: ・・ 挿入音素:[k]:無律概念(形状動詞、無律動詞)
 (形状動詞:[k]ar-、動詞:-ak・as[]u:無律概念+強制で自律他動詞化)
〇他に母音[挿入音素]には[a]、[i]があり、[i]音便表記の[I][Q][N][¥]を定
 義した。
<-引用おわり。

 動作の律しかたを識別することは、態を精確に識別することにも通じるので、
整理しておこう。
★動作主体から見た「能動・律しかた」を①~④で示してある。
 (まず基本として動作主体の能動・律しかたを解説する。受け身側の所動・律し
 かたは後段で述べる)
★子音挿入音素が顕在化するのは、母音語幹の動詞に①~④の機能接辞が連結す
 るときだけです。(挿入音素[r]、[s]は分かりやすいが、[y]、[k]には馴染がな
 いでしょうね。)

・③の[y]は、例:見[y]oo、はじめ[y]oo、届け[y]ooなど自律的な前望、意向と
 同時に、聞き手を含めてお互に自律的同調的な行動呼びかけの動作として使わ
 れることを考慮した「互律」概念を表すものです。
・③現代可能態接辞:-e-:誕生経緯は諸説あるが、書k[i]ari→書k・eri(已然)
 →書k[]e[r]u:(子音語幹動詞)の変遷が理解しやすい。
 母音語幹動詞では、見[r]e[r]u、はじめ[r]e[r]u、届け[r]e[r]uとなるべきと
 当ブログでは新論提起している。
(可能態は必須機能だから挿入音素[r]を挟んで、全動詞と連結すべきです。
 一般式:動詞語幹+[r]+e[r]uにより、書ける、見れる、が派生できます)
・③「互律動作」とは、自律・同調的動作であり、「人と物との互律動作」も含む。
 例:割る(人の自律動作)→割れる(人と物の互律動作)→人:割るをなす状態、
 物:自然に割れる(自発)、割るになる状態を表す。
 (割れる:状態動詞に近づき、所動相とみてよい)

・④無律接辞:-ak-、挿入音素:[k]については、珍しい提起ですから、くわしく
 解説する。(挿入音素:[k]の形式で提起するのは今の所、独自説です)
★古代より、自律、律他の動作識別に対して敏感な感性があったと推測できる。
・自律他動詞:自律動作として対他に動作を加える。(書く、読む:直接行為)
・律他(自他)動詞:対他に自律動作をするように仕向ける。動作内容は他の自律
 動作により左右される。(書かす、読ます:動作内容は相手次第)
★律他自律転換他動詞:動作を無律化したうえで他動詞化する(無律他動詞)方法
 が考案されていたのです。
・対他の自律動作に任せた仕向けでは、動作内容が保証できないので、無律化動
 作として内容概念を固定化してそれを他動詞化すると、明確な動作指示ができ
 る。
例:散る:自律自動詞(花が散る)、散らす:tir[]as[]u:律他他動詞(風が花を散ら
 す)、散らく:tir[]ak[]u:散るという情景概念、散り重なった状態概念。
 ・散らかす:tir[]ak[]as[]u:自律他動詞(部屋を、オモチャを、散らかす)。
 (普通なら散らすでは、「部屋を散らす」と言えない)
 ・散らかる:tir[]ak[]ar[]u:所動・自動詞(部屋が、オモチャが、散らかる)。
例:おびえる:自律自動詞、おびえらす?おびえさす?対他の自律動作でおびえる
 とは、おびえの様態が不鮮明だ。おびやく:obiy[]ak[]u:おびえる概念化。
 ・おびやかす:obiy[]ak[]as[]u:自律他動詞(彼を、経営を、おびやかす)
 (おびやく概念の感じ方を説明しにくいが、おびやかす:他動詞化になると明確
 に感じられる)
〇同類に、あまえる→あまやく→あまやかす、など思いつく。また、変形類似には
 ・寝さす:ne[s]as[]u→寝かす:ne[k]as[]u、
 ・だます:?dam[]as[]u→だまかす:?dam[]ak[]as[]u、?dama[k]as[]u、
 などが実在する。

★④無律接辞は上記のように、強制接辞と連結することで律他性を無効にし、
 (直接行為の)自律の他動詞化する用法が多いようです。
・無律化の用途は限定的なので、特定動詞を生成するだけに利用されてきたのだ
 ろう。生成した動詞も単純に他動詞(または自動詞)として解釈できるから、特
 別な派生系統として区別しなくてよい。
〇従来の研究では「ク語法派生による名詞化」を拾い上げて解釈することが多か
 った。ここでは一歩踏み込んで、名詞化=無律化、状態概念化の仕掛けに態接辞
 を後続させた「動詞化派生」をくわしく説明した。
・また既に、形状動詞の挿入音素:[k]への利用(無律状態の利用)をすでに提起し
 ている。

 (次回へつづく)能動/所動の律仕方一覧を作成したい。

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