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態文法:解説6:そこで探査用「双対環」を

2017/08/28(月)

 今回は解説のしめくくりとして、次の2点に触れておきたい。
・強制系、使役系の「態の双対環」2組両方を常に併記するのは何故か?
・能動系にも対になる別組の「双対環」があるのか?
(「態の双対環」考察の背景事象をふりかえり、自問自答する)
★「動詞派生」の順序は、動詞の自他選択、態形態選択、相形態選択、助動詞選択、
 統語選択、接続選択、とつづく。このうち、自他・態・相選択が基本的な機能接辞
 による派生であり、自他交替と相派生の中間にある「態派生」は、言語変化の歴
 史のなかで両者との兼合いで影響を受け合ってきただろう。
〇特に相形態の変化(動詞二段活用から一段化)は、自他の有対・無対動詞の新旧
 交替を加速し、已然・可能態の強力化?・普遍化、相形態の終止・連体同形化など
 の広範囲にわたって影響した。平安期から江戸期にわたる自然発生的な言語社
 会実験だったろう。

 「態の双対環」文法を考え始めたきっかけは、受動態の多義性を解明する方法を
探し求めたことだった。
①「態動詞を幅広く把握する」には、能動-受動の対向区間の中間に、可能態(已
 然相)・結果態(文語受動)を並べるべきだと思いついた。
②通常、能動を中心に「受動-能動-使役」の鏡像模式設定するが、使役にも使役
 受動態があるから、一直線でなく、平面で考えるべきだ。
③「能動-可能-結果-受動」、「強制-可能-結果-受動」、「使役-可能-結果-受動」
 3系で4態が相似的な双対形式(能動-受動の対と可能-結果の対が直交する)
 に見立てる構造図へとたどりついた。(簡略的には一行文字列表記する)
④3系4態が「相似的な双対形式」だということを目に見えるようにする。
 (因数分解の要領で一般式にする)
→能動原動詞語幹:Dとして、一般化:D(原形態-可能態-結果態-受動態)
★一般式:D([・/r]u、[・/r]e[r]u、[・/r]ar[]u、[・/r]ar[]e[r]u)
→強制派生語幹:D[s]as→これを新語幹:Dとして、
 一般式:D([・/r]u、[・/r]e[r]u、[・/r]ar[]u、[・/r]ar[]e[r]u)、または
 派生:D[s]as([・/r]u、[・/r]e[r]u、[・/r]ar[]u、[・/r]ar[]e[r]u)、
→使役派生語幹:D[s]as[]e→これを新語幹:Dとして、
 一般式:D([・/r]u、[・/r]e[r]u、[・/r]ar[]u、[・/r]ar[]e[r]u)、または
 派生:D[s]as[]e([・/r]u、[・/r]e[r]u、[・/r]ar[]u、[・/r]ar[]e[r]u)、
〇このように「原形態」概念を導入すると、一次派生、二次派生の語幹に対しても
 相似形式で「双対環」を操作できる。
★これを標準「双対環」と定義する。
→一般式:D[・/r]u、D[・/r]e[r]u、D[・/r]ar[]u、D[・/r]ar[]e[r]u、
→一般式:D([・/r]u、[・/r]e[r]u、[・/r]ar[]u、[・/r]ar[]e[r]u)←Dが各
 項に掛る形式である。
⑤すべての原動詞:Dに対して、強制態、使役態が例外なしに成立する。
・強制態接辞-as-が強い律他動詞性(他者を動かす)を持ち、D動作をやらす。
・使役態接辞-as[]e-は律他動詞性に併せて、手助けの互律でD動作をやらせる。
 使役態=強制可能態でも十分に動作性が残る動詞である。
〇「態の双対環」文法で「強制(文語使役)」と「使役(強制可能)」の並立を採用する
 理由は、現代口語の中で両系統ともに使われること、また、態動詞を幅広く把握
 できることだ。(教育現場で強制系の除外化をしないでほしい)

 さて、2件目の課題は、・能動系にも対になる別組があるのか? だ。
⑥能動系原動詞には「自動詞に属する」か「他動詞に属する」かの違いがある。
 はじめから自動詞/他動詞と別々(機能接辞を持つ)の動詞であれば、それぞれ
 を「態の双対環」に適用して「3系4態の「双対環」形式に書き出せる。
・つまり、能動系動詞は3組の「双対環」を派生できるのが、普通なのだ。
⑦「対になる別組の「双対環」を派生できるか」とは、一次派生(強制接辞-as-)、
 二次派生(使役接辞-as[]e-)のような機能接辞が他にもあるのか、という意味
 でもある。また、態接辞を重ねて二重可能態(れ足す言葉)や二重使役態(さ入れ
 言葉)などの使い方に関わることか。
〇現代語で新たな態接辞は現れていないし、態の律仕方に追加すべき「律の在り
 方」を新しく提案するものはない。
〇「態接辞の二重化」は正当な使用法である場合と不都合な誤用とがある。
→正当な使用法:立てる、進める、上げる、など他動詞(自律動作)扱いができる
 動詞(主体・対物の互律だが自律優勢で実現する)であれば、
正当例:立てれる、進めれる、上げれる:形態的には互律互律だが、自律互律の感
 覚で意味を理解できる。(二重化後は自律性は弱くなり、性状属性表現になる)
→不都合を招く:行ける、割れる、書ける、など可能動詞(自発動詞も含む)は互律
 動作で主体自律は弱く、事象条件の都合性が優勢である。(二重可能化↓ダメ)
誤用例:行けれる、割れれる、書けれる:形態どおりの互律互律が感じられ、意味
 が不安定で収れんしない。

 以上、「態の双対環」と「態動詞の律仕方」を解説してきた。
標準「双対環」の使い方の実例を付記しておきたい。
実例:古い単語に対して若い世代が意味を理解できない事例
 (実体験)今回の解説連載では、述語を終止形で締めることを試している。
 記事を推敲するうちに、「~操作で正しい語幹が求まる。」と書き下して、ふと考
 えた。動詞「求まる」はパソコン漢字変換で失敗する、若者に通用するのか?と。
 ネット検索してみたら、やはり「求まる」を質疑応答する記事がけっこう並ぶ。
 質問者が自分の疑問をネット質問する前に、自分で探査するための探査用「双
 対環」を使えるとよいと思う。
・標準「双対環」が探査用に使える。
→「求まる」:MOTOM・aruだから、-aru-接辞を捨て、語幹:MOTOMにたどり
 着けば、標準「双対環」:MOTOM[]u-MOTOM[]e[r]u-MOTOM[]ar[]u-
 MOTOM[]ar[]e[r]u-、求む-求める-求まる-求まれる、を書き出せる。
 他動詞:「求める」、自動詞:「求まる」(結果態の感じ)が納得できるだろう。
→古い単語の例をもう一つ、
 「受く」(下二段から下一段化でお蔵入りした原動詞)を漢字変換してみた。
 UK[]u-UK[]e[r]u-UK[]ar[]u-UK[]ar[]e[r]u、
 受く-受ける-受かる-受かれる、のうち、「受ける/受かる」だけが漢字変換で
 きた。(これは有対の他・自動詞の扱いで漢字変換登録済みだからだろう)

★標準「双対環」は態や派生接辞の付け外し操作ができる方にとっては探査用、
 あるいは説明用「双対環」になる。また、機能接辞を見つけ出す操作を正しく
 できるようになれば、昔の原動詞の姿を見れて、江戸期の壮大な言語社会実験
 に対する実感が湧いてくるかもしれない。

解説完了

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