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態文法:解説1:派生一般式

2017/08/13(日)

 膠着語である日本語の動詞(などの用言)は、動詞「語幹」に「機能接尾辞」を順次
「連結していく」ことで新しい意味を「派生」する。
〇「派生」の実態を模式的に表現すると、
 動詞語幹:D+[挿入音素]+機能接辞語幹+[挿入音素]+機能接辞語幹+[挿入
 音素]+文法統語接辞、というように一次派生、二次派生と連続派生することも
 多い。
以下の実例で[挿入音素]と「接辞」が必ず同数で対応していることを示す。
([挿入音素]の解説は後述するが、まず、各語幹の間に[挿入音素]や無音[]挿入
音素が必ず配置されるのを確認してほしい)
実例:「立たされる」→正確に音素把握するため「ローマ字つづり」で表記する。
 TAT[]as[]ar[]e[r]u. :[挿入音素]4つと、機能接辞:as/ar/e/u の4つ
 が、動詞語幹:D→TATに連結した構造だ。
実例:「立たせられる」→TAT[]as[]e[r]ar[]e[r]u :[挿入音素]が5つ、接辞が
 5つ、連結している。
実例:「見させる」→MI[s]as[]e[r]u :[挿入音素]3つ、接辞が3つの連結構造だ。

 もう一つ、別の構文接続として、助動詞との文法的な結合がある。
〇「複合」による連結もある(たとえば連用・連体修飾)。[+]で表記する。
実例:「飲みたくない」→NOM[i]ta[k]u[+]na[k=0]i :[挿入音素]3つ、[+]
 「複合」が1つ、接辞が4つ、 の連結構造だ。
 (飲みたく[+]ない:連用修飾を[+]で表記し、「複合」と命名する。無音で調音
 効力なしだが、文法的結合力の強い連結子とみる)
実例:「飲まないらしかった」→NOM[a]na[k=0]i[+]rasi[k]a(r=0[Q])ta.
 :[挿入音素]4つ、[+]1つ、接辞5つ、の連結構造。
(らしかった:rasi[k]a(r=0[Q])ta←[k]ar[i]taのイ音便表現に相当する。
 イ音便については別途説明する予定)

〇[挿入音素]の役割は、前段語幹の末尾音素と後段接辞の語頭音素が衝突(子音
 +子音や、母音+母音)しないように、子音[挿入音素:母音]子音、母音[挿入音
 素:子音]母音のように補完挿入し発音しやすくする。
・通常、後続の機能接辞の語頭音が母音であるか、子音であるかにより、[挿入音
 素:子音であるか/母音であるか]の必要性が確定する。
・また、前段語幹が子音末であるか、母音末であるかにより、[挿入音素:母音か/
 子音か]が必要の場合と、無音[]形態で直接連結できる場合とが半々でおきる。
〇[挿入音素]の「一般式」表記として、[左:連結母音/右:連結子音]形式を定め
 ておき、[i/・]、[a/・]、[・/r]、[・/s]、のように片方が必ず無音[・]で直結す
 ることを定義しておく。
実例:動詞派生の一般式:動詞語幹:D+[挿入音素]+機能接辞
 強制受動態:D[・/s]as[]ar[]e[r]u←D[・/s]as[・]ar[・]e[r]u.
・TAT[・/s]as[]ar[]e[r]u. :立たされる。[挿入音素:・]
・MI[・/s]as[]ar[]e[r]u. :見さされる。[挿入音素:s]
(学校文法で説く解釈:未然形に「される/さされる」が接続する、は見当違い。
あくまでも、動詞語幹に+[]asareru/+[s]asareru、が接続する構造である)
 助動詞「たい」派生:D[i/・]ta[k=0]i, D[i/・]ta[k]ar[・/y]oo.
・NOM[i/・]ta[k=0]i. :飲みたい。[挿入音素:i]、最後の-i-は統語接辞。
・TABE[i/・]ta[k]ar[・/y]oo. :食べたかろう。[2回とも挿入音素:・]

〇[挿入音素:k]を簡単に説明する。
・動詞に付く例:寝かせる→NE[k]ase[r]u,笑かす→WARA[k]as[]uなど
 相手の自律動作を期待せず(無律化)、主体が自律他動詞として相手に動作を生
 じさせる。(動作の律仕方:自律、律他、互律、果律、無律など別稿で解説予定)
・形容詞に[挿入音素:k]が付いて形状動詞を派生する:
 名詞や動詞由来の形容詞に対して、[挿入音素:k]を接辞に先行前置することで
 (無律化)動作意図を消し去り、性状などの属性表現の派生にあてる。
〇形状動詞の派生一般式:形容詞語幹:K+[挿入音素:k]+ar系接辞。
 形容詞や助動詞:ない、たい、らしい、などの派生にも[挿入音素]を規定すると
 膠着語の派生原則に適うからである。
・助動詞派生一般式:D[i/・]na[k=0]i,D[i/・]ta[k=0]i,[+]rasi[k=0]i.
・形状動詞の基本形派生一般式:K[k=0]i, :接辞-i-で終止形、連体形を表す。
〇一般式の[k=0]iの部分は、助動詞、形状動詞とも同一形態で変化する。
 [k]u:未然連用、[k]ereba:仮定、[k]a(r=0[Q])ta:完了形、[k]ar[]oo:
 前望形。
・形容詞の語幹は、つよ、はや、たか、のぞまし、などすべて母音終わりだから、
 [挿入音素]に[・/k]でなく、[k]を表記するだけでよい。 もし後続の接辞が
 子音始まりなら、[]や[・/k]の表記が必要だが、接辞も母音始まりである。

〇「派生一般式」の利点は、用言の語幹と機能接辞の語幹を連結するために、必ず
 [挿入音素]を前置挿入しなければならない、という法則を目に見える形式で示
 せることだ。また、語幹の末尾や接辞語頭の音素形態を正確に明示できる。
・学校文法での「ひらがな解析」では、語幹区切りや接辞語頭区切りが「不正確」な
 表記だから、接辞の意味解釈にも歯切れが悪く、精彩がない。(正確さもない)
(学校文法が不正確なため、その悪影響が日常の言語生活に支障を来たすとすれ
ば、「ら抜き言葉、さ入れ言葉、れ足す言葉」など態動詞派生での言い間違い、聞き
間違い、解釈間違いの混乱である。態動詞については稿を改めて述べる)

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