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2018年4月

態文法:日本語を研究するための道具3続

2018/04/30(月)

 今回は、道具③の後半部分:
〇日本語研究の道具③:態動詞の派生を[挿入音素]を用いて一般形式表記する。
済:(能動系、強制系、使役系の三系四態動詞を相似的共通形式で見える化する)
後半:(三系四態の態接辞がそれぞれ持つ独自の機能、意味を見える化する)
の道具を記述したい。
→★態接辞の機能と意味を再検証する:態表現とは、動作事象に関わる登場人・
 物が如何に動作を律するのかを示すこと。態接辞がその表現道具である。
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→★態接辞と動作律仕方の双対関係:表裏一体。
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→態表現は、動作事象に態応して登場人・物が如何なる律仕方をするかを叙述す
 るから、文脈の中の登場人物を思い浮べる習慣が必要である。
〇自律動作:主体自らの意思、意図で動作する。(自動詞、他動詞で区別せず)
〇律他動作:主体自らは指示し、他者に服従自律動作をさす。(指示の強弱:強要
 ・許可・容認・放任、服従の強弱:服命・下請け・要請・要望、などは文脈判断)
〇使役動作:律他動作と同時に(可能・互律)完遂のため必要なら手助けする。
★なお、強制態の強制可能態は一般形式:D[・/s]as[・]e[r]uであり、使役態と
 同一形態:D[・/s]as‐e[r]u、になる。両者は機能・意味が同じである。
〇互律動作(状態動詞):主体・客体・自然界が矛盾せずに完遂・成就できる動作で
 あること。(動作完遂を目指すので、当事者の力だけでなく物理法則、自然法則
 、事理・人理に則った行動であることが互律動作の必要条件である)
例:「花子はピアノが弾ける」→花子もピアノも音楽法則の適った動作ができる。
 「これは難しくて読めないね」→読み手と文体との不適合の動作だ。
★なお、「読む:自律/読める:互律」の対応関係は、可能態・可能動詞の文法問題
 に関わることで、上記の「強制可能態=使役態」とも同根の現象だ。
 (考察は後段で行うこととする。「双対環」を見慣れてくると、問題解決も早い
 はずだと感じる)
〇果律動作(状態動詞):動作の結果(状態、成果物)が生じる事象を表す。
〇果互律動作(状態動詞):動作結果が在る(有る、生る、ある)事態が主体・客体
 ・対象・各種法則に関わる様子を表す。(未来洞察で動作結果があるも含める)
模式的な例:動作の律仕方を明示すると、おのずから態動作が判るはず。
 ・主体@果互律=実行実績ありの可能、・第三者発話なら主体への尊敬対話。
 ・客体@果互律=受身(直接、間接)、・対象@果互律=受身、自発、習慣。
 ・主体@律他果互律=指示実績の可能、・第三者発話なら主体への尊敬対話。
 ・客体@律他果互律=服従自律の受け実績あり、・対象@律他果互律=受身。

→★最後に〇使役動作、〇互律動作の説明記述のなかで、文法問題として残した
 事項について考察する。
〇可能態の成立ちと扱い方の認知度、文法解釈が学問的にも分散化してる。
・現状の動詞活用:(未然、命令を除き、)連用・終止・連体・已然仮定を並べる。
 動詞活用:書いて、書く、書く、書けて/食べて、食べる、食べる、食べれて、
 一般形式表記:D[i/・]te、D[・/r]u、D[・/r]u、D[・/r]e[・]te、
→★已然仮定の「書けて、食べれて」から独立動詞化して、可能動詞:「書ける、
 食べれる」が派生したと推測する。 五段(四段)動詞、一段動詞からも同時に
 新しい可能動詞(一段)が生まれる。 可能動詞は所動・状態動詞に変化する。
・連用形「書いて、食べて」は動作進行相を表し、已然形「書けて、食べれて」は動作
 完遂相を表す。
〇一方、律他系の動詞の場合:任す(律他性強い)、渡す(律他性弱い、他動詞)
 動詞活用:任して、任す、任す、任せて/渡して、渡す、渡す、渡せて、
 一般形式表記:D[i/・]te、D[・/r]u、D[・/r]u、D[・/r]e[・]te、
→★任して/任せて、を比較しても可能表現を感じない、律他・律他手助けの意
 味合いがつよい。(所動・状態動詞に変化しない)
 渡して/渡せて、の比較では、「渡せて」に可能の意味合いが十分感じられる。
 「任せる」、「渡せる」と独立動詞化したとき、「任せる」は使役動詞的に活用し、
 「渡せる」は可能動詞的に活用される。
・この差は、原動詞:任す、が表す動作構造が律他的:指示し相手に自律動作を求
 める、であり、一方の原動詞:渡す、が他動詞であり:対象を移動さす、だけで完
 結する動作だからだ。
★文法学の諸説では、可能態を五段活用動詞でしか認めないのが主流だ。本来、
 必須の機能ならば、五段・一段とも並行して派生するのが常道だが、明解な理由
 付けの学説がない。 また、連用と已然の解釈学説も明確でない。 「任して」の
 表現には精雅さがないから、「任せて」表現が望ましい的な感覚論をいう風潮が
 ある。 ほとんど(帰納と演繹の合同演習が収れんしない)論理的な学説がない
 ようだ。
 「任せて」を使う場合には、任しただけでなく、完遂のために手助けをした論拠
 を示せるような語り口であってほしい。
 やはり、なにを以て統一的な判断道具するのかが大きな課題だ。

態文法:日本語を研究するための道具3

2018/04/25(水)

 今回は、道具③:態動詞の派生に対する道具を記述したい。
3つ目の道具を加え、すべて並べると次のようになる。
①日本語研究の道具①:音素分析に「ローマ字解析」を用いる。(音素の見える化)
②日本語研究の道具②:動詞派生を[挿入音素:連結母音/連結子音]を用いて
  一般形式表記する。(四段活用・一段活用を共通形式で見える化する)
③日本語研究の道具③:態動詞の派生を[挿入音素]を用いて一般形式表記する。
  (能動系、強制系、使役系の三系四態動詞を相似的共通形式で見える化する)
  (また、三系四態の態接辞がそれぞれ持つ独自の機能、意味を見える化する)

→★まず、道具③の三系四態の態派生を一般形式で一覧してみよう。
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→★態派生の道具③:原動詞と受動態の対向関係と、可能態と結果態の対向関係
 を直交させた「態の双対環」構成で三系四態の態動詞を相似表記できる。
<「態の双対環」表記:三系四態の図>
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〇態派生の一般形式:能動・強制・使役の各系が四態を持つように構成してあるの
 で、系相互間での行って来いの派生連結が少なくなる。 まれではあるが、実際
 に飛び移り例文を見た記憶がある。 例:「滝に打たれ・させられる」では、
〇ut[・]ar‐e:能動受動→→[・/s]as‐e[r]ar‐e[r]u:使役受動へと飛び移って
 でき上がる形態だ。
〇不規則動詞の来る/する、は、古語の終止形:く/す、に直接[r]uを付加して
 連体形:くる/する、の独立動詞化した歴史をそのまま残して、現代の終止形
 になってるのだと再確認した。 ただし、態派生の場合、来る:の語幹=Ko、
 する:の語幹=S、と見なした扱い方が態派生に最適な形態になる。
★態接辞は助動詞の一種であるが、[挿入音素]を挟んで動詞語幹と密結合して
 機能を発揮する。(動詞未然形に連結するのではない)
→★態接辞の基本種別:接辞ごとに特定固有の機能・意味合いがある。
 可能態接辞:‐e‐:「動作の順当な成就、完遂」を表す:自他交替、実行可能、自発。
 結果態接辞:‐ar‐:「動作による結果事象」を表す:文語での結果態、受動態。
 受動態接辞:‐ar‐e‐:「動作による結果事態」を表す:実績、受身、自発、尊敬。
 強制態接辞:‐as‐:「動作を指示し他者にやらす」を表す:強制、許可、放任。
  (文語での使役態、尊敬、などを表す)
 使役態接辞:‐as‐e‐:「動作を他者にやらせ、必要なら介助する」:使役、許容。
〇文語時代での可能接辞:‐e‐:や、結果接辞:‐ar‐:、強制接辞:‐as‐:、は、自他交替
 接辞としても活用された。
例:休む→yasum[]e[r]u、D[]ar[]u、D[]as[]u。
・おわる:ow[]ar[]u、D[]e[r]u、D[]ar[]as[]u、D[]e[s]as[]u。
 (自他交替と態とが交錯するところもあります)
(つづく:接辞ごとの特定固有の機能・意味合いの説明を次回します)

態文法:日本語を研究するための道具2

2018/04/20(金)

 当ブログは2017年、新たに「態文法カテゴリー」を立てて、動詞活用を一般形式
(ローマ字つづり)で表記し始めた。
(実際は、その2、3年前から[挿入音素]形式を試行してるが)
★日本語研究の道具2:「ローマ字解析」による「派生文法:連結音素」の手法。
〇前回の道具①:ローマ字解析、を上手に使いこなすために、
〇道具②:派生文法(動詞語幹+連結母音/連結子音+機能接辞)を取り入れる。
 動詞語幹と接辞を連結する際の音節調整に「単母音/単子音」を挟み込む方法を
 文法規則化するべきだ、と提起する下記の研究書籍に感銘を受けた。
・清瀬義三郎則府が1969年『連結子音と連結母音と~日本語動詞無活用論~』
 (PDF入手可能か)を講演した。米国。
・『日本語文法新論-派生文法序説』:清瀬義三郎則府:桜楓社:1989年
・『日本語文法体系新論―派生文法の原理と動詞体系の歴史』:清瀬義三郎則府
 :ひつじ書房:2013年12月
→★当ブログでは、清瀬原案を汎用化するため「一般形式化」する工夫を採用し
 た。
・一般形式:語幹末尾音+[挿入音素:連結母音/連結子音]+接辞語頭音の連結状
 態を明確に選択しやすく表示し、汎用的に意味のある派生ができる、という法
 則性を感得できるようにした。
★動詞語幹:D(=子音末、母音末)+[挿入音素(=連結母音/連結子音)]+機能接
 辞(=子音頭接辞/母音頭接辞)、が規則動詞の表記に適用できる。
実例:動詞活用の大部分は規則的で、次の①、②の一般形式で表せる。
 四段・一段を共用の一般形式で示す。 (語例:書く、話す、見る、食べる)
①一般形式:(未然、連用、終止・連体、已然仮定、命令)の表示。
 D[a/・]na‐i、D[i/・]mas‐u、D[・/r]u、D[・/r]u、D[・/r]e+ba、
 D[・/r]e【[y]o】(=四段活用)/D[・/r]【e[y]】o(=一段活用)。
また、古語、文語での二段活用の一般形式(上/下共用)を表記すれば、
(語例:落つ:ot-、投ぐ:nag-を思い浮べて一般形式を確認してください)
②(上/下)二段活用:D[(i/e)]z‐u、D[(i/e)]te、D[(・/・)]u、
 D[・/・]u[r/r]u、D[・/・]u[r/r]e+ba、D[(i/e)]+yo、で示せる。

→★態文法:二段活用から一段活用へで一般形式を二段活用表現に適用して
 大きな発見をしたことに触れた。
〇二段活用の「連体形」は、終止形に「る」を付加して再動詞概念化したもの。
 (例:D[・/・]u+[r/r]u→おつ+る/なぐ+る、で口語動詞的になる)
〇二段活用の「連用形」に「る」を付加して動詞概念化すると一段活用へ移行可。
 (例:D[(i/e)]+[r]u→おち+る/なげ+る、など母音語幹動詞になる)
→★つぎに、今回また発見したことは、
〇古語の完了・過去表現の助動詞「つ」は、口語のおち+た/なげ+た、の「た」語源
 で二段活用すると、「て、て、つ、つる、つれ、てよ」と古語辞典に記述がある。
・現代の学習現場では、「た形、て形の活用」と見なした扱いが行われるが、
〇四段・一段でも使える完了接辞:teを一般形式で示すと、(語例:話す、見る)
 D[i/・]te[+]na‐i、 D[i/・]te[+]mas‐u、D[i/・]te[r]u、D[i/・]te[r]u、
 D[i/・]te[r]e+ba、D[i/・]te[r]【e[y]】o、という形式が一部では使われて
 いる。(二段活用から一段活用への変遷の流れに乗ったと推定した)
〇つまり、完了接辞:teの連用形、D[i/・]teに「る」を付加して動詞概念化する
 という文法則を応用することが論理的で、便利であるし、理屈を言える。
★整理して述べると、現代の「て形」助動詞は下一段活用形で使われているはず
 だから、「て、て、てる、てる、てれ、てろ」という形態が存在するだろう。
・「二段活用から一段活用へ移行するのに、2、3世紀遅れてきただけです」
 (話してる、見てる、書いてる、読んでる、話してろ、見てろ、書いてれば、
 読んでれば、など自然な使い心地だし、正当化する理屈も立つ)
 
★前回の道具1で紹介した
『複数の日本語~方言からはじめる言語学~』:工藤真由美、八亀裕美:講談社
選書メチエ:2008年11月10日
のなかで、動作進行形/完了形の区別表現が西日本の方言では可能だが、標準
語ではできない(進行相と結果相が同形)、という記述がある。

→★当ブログは出来立ての論理によって、標準語の結果相を新提案したい。
実例:方言と標準語のアスペクト相の違い:動作進行形と動作完遂結果。
・愛媛宇和島:--完成----進行相-----------結果相-----
 非過去:----する---しよる:s[i](y)oru----しとる:s[i]t【e】oru
  過去:----した---しよった:s[i](y)otta---しとった:s[i]t【e】otta
標準語:関東:-完成----進行相(結果相)-----★結果相(新提案)--
 非過去:---する----している:s[i]te‐iru---★してる:s[i]te‐ru
  過去:----した---していた:s[i]te‐ita----★してた:s[i]te‐ta

→★標準語の「結果相(新提案)」の中身について説明する。
 (無意識に使う言葉で、動作済の状態を表現する)
〇D[i/・]te[r]u:二段活用の連用形に「る」を付加して独立動詞化する手法で、
 話してる、見てる、書いてる、読んでる、閉ってる、立ってる、開いてる、怒って
 る、笑ってる、落ちてる、曲ってる、食べてる、考えてる、などと汎用的に動作完
 遂の状態を表現できる。(動作が完遂して結果状態にあることを表現)
〇四段・一段活用の已然形:D[・/r]e、に「る」を付加して独立動詞化する手法が
 、話せる、見れる、書ける、読める、閉める、立てる、開ける、怒れる、笑える、落
 ちれる、曲れる、食べれる、考えれる、などの可能動詞(自他交替もある)を生み
 出した。(これと同じ論理で完了接辞:[i/・]teを独立動詞化してるわけだ)
★現代の日本語学者は、上記二項の独立動詞化の手法を認めないか、気づいてい
 ないか、反対するか、の反応を示す。残念ながら賛成者はいないようだ。
 (しかし、多くの人は日常的に使うはずだ。「そんなこと俺だって考えてたよ」、
 「心配ないよ、毎日しっかり食べてるから、」、「何話してたんだい?」)
〇古語から現代語への変遷で、二段活用から一段活用へ移行する重要な転換法則
 を忘れずに、あるいは無頓着にならないように常に思い起したい。
・古語二段活用の連体形は、終止形:D[・]uに[r]uを直結して独立動詞化した。
・古語二段活用の連用形:D[(i/e)]に[r]uを直結して独立動詞化して一段活用
 へ向かった。
・現代でも、短縮語の語尾に「る」を直結して独立動詞化する方法が意識的に使わ
 れるのは、この転換法則に由来するかもしれない。
・いずれにしろ一段活用が二段活用に先祖返りすることはないから、一段活用化
 を済ませた独立動詞に対しては十分な存在権、生存権を認めるべきだろう。

態文法:日本語を研究するための道具1

2018/04/15(日)

 最近通読した本:
『重力とは何か~アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る~』:大栗
博司:幻冬舎新書:2012年5月30日第一刷、6月20日第三刷、に感銘を受けた。
宇宙を創り出す巨大時空の法則と素粒子の振舞いを支配する極小時空の法則が
連続一体の統合理論で説明・解釈できるようにするべきだという方向へ世界の
物理学者が先陣争いをしながら研究を進めている状況が、よく分る。
もちろん正確な方程式理論を自分では十分に理解できないが、重力と加速度、質
量とエネルギー、粒子の粒と波、時空の収縮と膨張など、対向性の対概念が統一
理論で説明できる時代がまもなくやってくるような研究の動きを感じられた。
 さて、物理学の世界で考察の道具として用いられるのは、動作原理を数式で表
現する方法だろう。数式の論理で説明すれば、直接、世界的な理解につながる。
当然ながら、動作原理の探求には、観測道具に望遠鏡(光学、電波)、実験道具に巨
大円形素粒子加速器や巨大重力波検出器などの巨大観測装置が建設され、それを
活用して新しい発見、理論の検証に努力してこそ、数式表現の信憑性が保証される。
一方、日本語の研究に対する考察道具は何だろうか。

 最近図書館で拾い読みした本:
・『複数の日本語~方言からはじめる言語学~』:工藤真由美、八亀裕美:講談社
 選書メチエ:2008年11月10日と、
・『しっくりこない日本語』:北原保雄:小学館新書:2017年8月6日初版、で
共通して気になったことがある。
両著書共に、いわゆる「ら抜き」、「れ足す」、「さ入れ」言葉に関する記述を選んで
読んでみたわけだが、日本語考察の道具に「音節解析:かな解析」を基本にしてい
るから、考察の精度が落ちるので曖昧な説明に終始すると感じた。
 日本語も世界の言語の一つであり、言語解析を行うには「音素:ローマ字解析」
が不可欠であり、特に音素数が1、2音の短い接辞(助動詞)を膠着させて動詞活用
(派生)形態にする言語方式なのだから、機能を正しく解釈するには「ローマ字解
析」が必須道具であるはずだ。
→★「ローマ字解析」を考察道具に用いれば、態接辞など音素の短い接辞を確実に
 切り出せる。(一般形式=動詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]統語接辞)
〇文語:受動接辞:ar、使役接辞:as
・書かる:kak[・]ar[・]u、書かす:kak[・]as[・]u (子音末動詞)
・食べらる:tabe[r]ar[・]u、食べさす:tabe[s]as[・]u (母音末動詞)
→結果態一般形式:D[・/r]ar[・]u (口語:結果態と命名する)
→強制態一般形式:D[・/s]as[・]u (口語:強制態と命名する)
〇口語:受動:are、使役:ase
・書かれる:kak[・]ar[・]e[r]u、書かせる:kak[・]as[・]e[r]u (子音末動詞)
・食べられる:tabe[r]ar[・]e[r]u、食べさせる:tabe[s]as[・]e[r]u、(母音末
 動詞)
→受動態一般形式:D[・/r]ar[・]e[r]u (口語:受動態=結果+可能)
→使役態一般形式:D[・/s]as[・]e[r]u (口語:使役態=強制+可能)
〇口語:可能態接辞:e、(可能動詞、自他交替接辞)
・書ける:kak[・]e[r]u、食べれる:tabe[r]e[r]u (子音末、母音末動詞)
→可能態一般形式:D[・/r]e[r]u (口語:可能態と命名する)
★当ブログ提唱の「ローマ字解析法」を用いて、態動詞を派生させれば、態接辞が
 正確に規定できるし、動詞活用表の「未然形」に態接辞を連結させるのではない
 ことが分るはずである。

 一方、「かな解析:音節解析」を考察道具にすると、態接辞のとらえ方が異形態
(五段活用/一段活用の別により)となって正しい接辞を切り出せない。
〇口語:受動:れる/られる、使役:せる/させる (未然形に連結と見なす)
・書か・れる、   書か・せる (子音末動詞)
・食べ・られる、 食べ・させる (母音末動詞)
〇口語:可能:eる/れる([r]eる)、(←★便宜的:已然形に「る」を連結と見なす)
・書け・る(子音末動詞)、食べ・れる(母音末動詞) :(なぜか「れる」を認めない)
→「かな解析」で「ら抜き」と命名したのは、「食べ・ら・れる」から「ら」を抜いたと
 の見立てが由来らしい。 だが、その見立て自体が的外れだろう。
★食べ[r]ar[・]e[r]u、のar[・]を抜いた「ar抜き」と見立てるのが妥当だ。
 「動作+ある」とは、動作結果(状態、成果)があることを端的に表現する。
 つまり「かな解析」では合成する音素を分解表示する性能が低くすぎて、本当の
 姿を切り出せない限界があり、「ar抜き」を感じとれない。
・食べ[r]e[r]u:食べる動作を完遂するという意味で、「動作可能態」である。
・食べ[r]ar[・]e[r]u:食べる「動作の結果」があるという意味で、「実績の行為、
 行為結果物」を意味する。あるいは、未来に「食べれる」動作を想定し、「食べる
 動作の完遂結果を出せる」と予測して「絶対食べられる」ということも可能だ。
・書ける、書かれるの両単語が必要であると同様、本来は、食べれる、食べられる
 の両単語が必要なのだ。

 上記の両書籍には、共通語や方言での「ら抜き、さ入れ、れ足す」言葉を「かな解
析」の立場で専門的な解説をするのだが、学校文法で習う範囲を越える視点がな
い。
・特に文意をこじらせるのは、「文法は守るべき規範ではない」とか、「音節を取り
 出し分析しても意味がない」、「文法は体系的なものであり、文法的な形は他の
 形との関係のなかで存在する」という曖昧な態度記述があることだ。
・また、専門家同志がする対談形式の文法談義で、「読ま・せていただく」を「読ま
 ・さ・せていただく」という「さ入れ」言葉の風潮を取り上げての考察が、
〇「せて」だけでは使役の意味合いが弱いので、へりくだる意味で「させて」にな
 ったのだと思う、と解説する。
→すこぶる情緒的な感覚を元にした考察であり、呆れてしまう。
→★読ませて:yom[・]as[・]e+te、と、読まさせて:yom[・]as[・]as[・]e+te、
 の態構成の違い(二重強制、強制+使役になる)に対する指摘も忠告もなしに、
 単にへりくだりの意味合いだというのには、とても同調できない。
 少なくとも、二重使役の形式で「上司から代読を命じられ、今ここで皆様のお許
 しをいただき、読ま・さ・せていただきます」という二重代読のへりくだりだと
 する解釈説明ならば、なんとか納得できるだろう。
 (ただ、「させていただく」の乱発には少々うんざりします)
→★異形態の態接辞を便宜的な言い方で少しでも改善表記すると、
〇口語:受動:aれる/られる、(便宜的な言い方:未然形に連結)
〇口語:使役:aせる/させる、(便宜的な言い方:未然形に連結)
〇口語:可能:eる/れる([r]eる)、(便宜的な言い方:已然形に「る」を連結)
・五段活用につながる「かな接辞」は、「れる、せる、る」だ。(a/e音が無表示)
・一段活用につながる「かな接辞」は、「られる、させる、れる」であり、この方が
 意味を捉えたり、伝えたりしやすいだろう。だからといって、
〇「られる、させる、れる」の方を重用し、
・「ら入れ重用:ら抜きを嫌う裏返しとして「ら付」を重用する」とか、
・「さ入れ重用」、「れ足す重用」を勧めたり、容認したり、は筋違いだろう。
→★態の一般形式:つぎの3式を基本に据えて考察の道具にしてほしい。
・使役:D[・/s]as[・]e[r]u、
・受動:D[・/r]ar[・]e[r]u、
・可能:D[・/r]e[r]u 。(口語では、3態の語尾は已然動詞化:e[r]uが付く)
★態の語尾を已然動詞化する理由は、一段活用型にする方が意味安定・弱変化に
 できるからだと推測する。

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