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態文法:動詞活用形から巣立つ独立動詞1

2018/06/21(木)

 動詞活用形の概念は、国語文法(学校文法、音節・かな分析)の伝統的な動詞分析
方法であり、簡明な文法法則で動詞構造や意味を説明できる。
だが、動詞構造を「かな単位」でしか分析しない簡易な文法では、動詞語幹の切出
しも便宜的・方便的な工夫により変則的な動詞活用表を編み出すしかなかった。
(問題は便宜的、方便的、変則的な文法に満足するばかりで、不満だと誰も感じ
ない状態に陥ってること)
 正確な音素構造に分解する方法は、動詞活用形を「ローマ字つづり」で書き下せ
ば、最小の「音素単位」で分析できる時代なのだから、それにふさわしい文法則を
工夫して国語文法を補強していくべきだろう。
(問題は「音素分析」による新法則で学校文法の何を補強するのかに懸っている)

<音素分析:当ブログ態文法>
 学校文法に欠落する視点に対して、音素分析で見つけた新法則で補強すべき項
目を列挙する。
①動詞活用形から巣立って独立動詞になる仕組み、機序について説明すべき。
②「活用形は動作相:アスペクトを表す」と正確に説明すべき。
③動詞の態派生について正確で清雅な説明をすべき。
という、抽象的な表現ではあるが、日本語の動詞活用の根幹に関わる法則を提起
したい。
 この3項目については思考実験の形式でブログ記事に投稿してきたが、今後は
きちんと整理した態文法の基本にしたい。古語時代と現代を何度も往復し、文法
を平準化するという感覚で、先行研究の国語文法と音素文法を相互補完させたい
と思う。

1. 動詞活用形から巣立つ独立動詞

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 動詞活用形について記述する。(動詞活用変遷の図表参照)
動詞の活用には、古代より四段活用、(三段活用、)二段活用、一段活用があって、
〇四段活用:動詞語幹が子音末であり、古代から現代まで安定な形式を保つ。
 かな分析:活用語尾音が「あ、い、う、う、え、え」と母音交替する型式という。
 音素分析:「a、i、」は[挿入音素]、「u、e、」は機能接辞である。安定な形式。
・終止形、連体形を中心に連用形(進行相)と已然形(完遂相)が母音交替で実現。
(三段活用:現在では「来る、する」の不規則動詞2つ程度。ここでは省略)
〇二段活用:語幹は子音末だが、特定の母音交替しか通用せず、語幹に、i音また
 は、e音を付加した音節形態にして活用する。
・連体形は終止形に「る」を付加して独立した動詞形を派生し、已然形にも適用さ
 せる。独特な形態だが、古語時代から始まる法則で、簡略動詞:サボ「る」、けち
 「る」、ググ「る」などの生成原理につながるもの。
・近世に近づき終止形が連体形と同一化し始めると、連用形に「る」付加した独立
 動詞形を終止形にする動きが始まる。

〇一段活用:二段動詞の語幹にi音、e音を組み入れた母音語幹動詞が急速に定着
 して一段活用化が進んだ。
・最下段の規則活用表に四段/一段を共通形式で示す。[挿入音素]で段差を吸収
 するから、已然形、命令形(省略音あり)まで、段差なしの同じ接辞形態になる。
・一段活用では、終止形以後に[r]が挿入されるのは母音語幹に「る」付加で独立
 動詞化するからだ。
 (かな分析:終止形以後「る」を付加する並び形式を接辞添加の型式という)
・また、已然形に「る」付加で独立動詞化するのが「可能動詞」であり、四段/一段
 ともに本質的に正当な可能動詞、可能態である。
 (国語文法は四段動詞の可能態しか認めない。100年の遅れ?)
・已然形は、「すでに然る、つまり完遂努力を(想定)すること」が基本の意義だか
 ら、書け「る」、落ちれ「る」、投げれ「る」の意味は「動作を完遂できる」であり、
 何も異議が出るはずがない。一段活用動詞も可能態、可能動詞になる。
(現代口語では已然形を仮定形と呼ぶが、基本原理は何も変っていない。
 古語時代からの已然概念を見失ってはもったいない)

〇規則活用の已然形:D[・/r]e[r]uの接辞:e=可能態接辞:e-である。
 次の動詞はすべて接辞:e-を含み、深層で「動作を完遂する」という共通の意味
 ・機能を持っている。
例:集める、かぶせる、受ける、立てる、割れる、逃げる、倒れる、通れる、通せる
 、見れる、見せる、着れる、着せる、乗れる、乗せる、任せる、果せる、寝れる、寝
 せる、、、
・「立てる、割れる」など自他交替で自→他/他→自の両反転があり不思議に感じ
 る時期を早く通過してほしい。共通の「動作を完遂する」を経由しての自他交替
 があるだけだと強く感じてほしい。
・可能態動詞の動作律仕方を「互律動作」と命名する理由は、動作を完遂する途上
 で主体と他者、対象との相互間で動作共有の瞬間・兆しが生じるからである。
(原形が古語の、集む、受く、逃ぐ、などもあるから、それを考慮に入れると分か
りやすい。古代から日本人は動作共有の瞬間を共感しながら已然形を使ってきた
はずだ。だから、対人他動詞の可能態:見せる、着せる、乗せる、任せる、寝せる、
などをじっくり吟味すると他者との動作共有の感じを体得できるだろう)

(つづく)

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