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態文法:音素解析の効用を今に悟る

態文法:音素解析の効用を今に悟る
2018/11/24(土)
     
 前回の23節:原動詞が古語?ならば、死語?ですか、の設問に回答します。
前回の自他交替の図を見直しながらお読みください。
     問1.自他交替の③形式:立つ-立てる、④形式:割る-割れるのように、
      なぜ、已然連用(可能・完遂)接辞:e[r]u、は、③他動詞化となったり、
      ④自動詞化となったり、と両方向の機能を持つのか?
     問2.②形式:始まる-始める、求まる-求める、など、一番多い自他交替
      形式です。 しかし、②形式:結果(ar)-可能(e[r]u)の対向関係に
      対する認識度が、世間では想像以上に低いのです。 なぜか?
     (当態文法では、②形式を「求む-求める-求まる-求まれる」のように、
      「双対環」に組入れるほどに重要視する自他交替・態派生の構造です)
-国語学、学校文法ともに問1、問2に対して明確な答えを出していないように
 思う。「立てる」が他動詞と自動詞可能の二義、「割れる」が自動詞自発と他動詞
 可能の二義を持つことを説明しても、なぜ二義が生じるのかを説明しない。
     
     24.ローマ字解析の真価を活かす
      文法解釈に音素解析:ローマ字つづりを用いるのは動詞派生の機能接辞
      を正確に切り出すためですが、切出し後の検証方法が多くの場合、旧来
      と変らないから、成果が上りません。
     〇正確な接辞切出しで効果を発揮させるには、接辞の見掛け上の多義的
      事例に惑わされずに、それらを1つに収れんさせる得る深層の共通意義
      を探求・発見することです。
     
     25.可能態の解析に真価を活かす
     〇問1の場合、D[・/r]e:基本活用枠組の「已然形」と同一形態です。
      已然形が独立動詞化して、D[・/r]e[r]uとなるのです。この意味を考
      えることが接辞:e[r]uの真の姿を捉えることになります。
     ★已然=既に然る、が独立動詞化するとは、すなわち「動作がすでに完遂
      の域に達した状態だ」ということを強く表現する意味になる。
     →接辞:e[r]uが「動作を完遂する」の意味だと感得すれば、自動詞にも他
      動詞にも連結して「動作を完遂する」=主体の可能態となり、また、動作
      が対他、対物に向かうなら、対他や対物が受ける「動作が完遂する」こと
      を意味する。
     〇つまり、「ガラスが割れる」は主体の割る動作が完遂したから描写でき
      る事象であり、自発現象ではなく物理条件に適った結果である。
      (可能態の動作原理=動作律仕方を「互律=相互に律し合う」と定義した
      のは、動作完遂には主体・客体・対象物・周囲条件の相互律が不可欠だか
      らで、動作完遂のためなら客体にさせる動作にも手助けをします)
     ・「ピアノが弾ける」→主体もピアノも音楽法則に則る動作が完遂できる
      という互律動作を意味します。
     ・「入場券を見せる」→相手に入場券を見易いように提示する、という互律
      動作を意味します。
      (自他交替⑪形式:古語:見る-見す→見せる。同様例:乗せる、着せる、
       似せる、浴びせる。相互に手助けしながらの動作が描写できます)
     ・「互律」解釈は当態文法の特徴です。
     
     26.結果態(受動態)の解析に真価を活かす
     〇問2の場合、まず、結果接辞:ar、について考察しましょう。
      (前回:結果:arと完遂:e[r]uの意味は近いが交替がある、など短い説明
      をしました)
     〇結果接辞:arは、自他交替では①形式:つかまる-つかむ、②形式:休ま
      る-休める、重なる-重ねる、などの有対自動詞に使われる。
     →接辞:ar[]uは、自他交替ではDs[・]ar[]u、態派生でD[・/r]ar[]uの
      形態で使われる。 (現代口語の受動態では:D[・/r]ar[]e[r]uの形態
      で使われる)
     ★結果接辞:arの意味は「動作(の結果)がある」です。
      文字通り「ある、有る、生る、在る」の意味です。本動詞の「ある:存在」と
      補助動詞「~てある」と分別する必要もなく、結果・結果物あり、です。
     ・当態文法では、「結果がある」→結果が(登場人・物の)事態を律する、と
      解釈します。
     ★結果態(受動態も)の動作原理=動作律仕方を「果律(受動態:果互律)」
      と定義しました。 結果事態が登場人・物の反応を律する構図です。
     〇果律とは「動作結果による事象」が関与する主体・客体・対象物・周囲条
      件に対して「働き掛け:事態への対応を迫る」をする、という意味です。
     ・主体が動作結果を言及→書かる、書かれる、食べらる、食べられる:
      (動作実績の可能、習慣)←動作結果が有る、という意味。
     ・客体が動作結果を言及→立たる、立たれる、立たさる、立たされる:
      (動作結果の受身:間接受身・直接受身)←動作結果が在る、という意味。
     ・対象物が動作結果を言及→盗まる、盗まれる、偲ばる、偲ばれる:
      (動作結果の受身:直接受身・情景受身)←動作結果がある、の意味。
     ・他者が主体へ動作結果を敬語言及→~なさる、~なされる:
      (動作結果の美称化、尊敬表現)←動作結果があらる、あられるの意。
     〇動作結果に態応する意味であるから、自動詞にも他動詞にも結果態、
      受動態の形態が通用する。
     
     27.結果態と可能態の対向性解析に真価を活かす
     〇ローマ字つづりでの音素解析で接辞:ar[]uとe[r]uの「切出し」が正確
      にできた、と上述しました。
     ・次に両接辞の深層の意味をそれぞれ「掘り起す」こともできた。
     〇次に可能態と結果態の有意差が自他交替・態の対向関係を「引き起す」
      ことを解析したい。
     ★可能態:D[・/r]e[r]u:は、「動作を完遂する、成就する」という目標・
      実行行動を表現する。 主体と対象物の相互律で未遂/完遂が決まる。
      (已然形独立動詞:D[・/r]e[r]uも同形態であり、能動性がより強い)
     ★結果態:D[・/r]ar[]u:は、「動作結果が起す事態に直面する」という
      反応行動を表現する。関与する登場人・物がすべて構文主体になれる。
     〇可能・結果ともに「動作の完遂-結果」という近似した動作相:アスペク
      トに焦点が向いているが、実行志向(能動性)-反応志向(受身・所動性)
      という対向関係があり、自他交替の対向関係であると同時に、態構造と
      しても強い対向関係を認識できるのです。
     ★「態の双対環」では、原動詞態-受動態の対向軸に直交させて、可能態-
      結果態の対向軸を追加配置した構造により、態派生を漏れなく盛り込ん
      でいます。
      (当態文法では「態の三系四態」として、能動系・強制系・使役系の三系に
      それぞれ「態の双対環」を想定する。これで態派生の総体を把握するよう
      提起しています)
     
     28.「ら抜き」偏見の氷解に真価を活かす
(つづく)

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