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態文法:[挿入音素]で古語時代を振り返る

2018/11/08(木)

 日本語の原初時代を想像しつつ現代との結合を辿ってみる。その手掛りに
[挿入音素]を観察対象にしてみよう。

     16.[挿入音素]とは:その2
     〇動詞派生=動詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞語幹、、、
      のように、語幹末と接辞語頭の間に[挿入音素]を挟み込む。
     ・[挿入音素]構造条件:動詞語幹:Dの子音末/母音末に合わせて調音
      挿入の必要性の有無を決めるのは、後続する接辞の語頭音による。
     ①D[連結母音b/無音]子音s語頭のS接辞:Ds[b]sS/Db[]sS
     ②D[無音/連結子音x]母音b語頭のS接辞:Ds[]bS/Db[x]bS
     ★原初時代に[挿入音素]の法則はすでに始まっていたかもしれない。
      開音節の単語が多かった時期には、Db[]sS、Db[x]bSの形態が溢れて
      いたか。しかし、動詞語幹については子音語幹:Dsが大勢を占める状態
      が始まったから、Ds[b]sS、Ds[]bSも必要な法則になったろう。
     〇かな記録が始まる上代では、文法則の成文化文書がないから暗黙知と
      して普及していたのだろう。

     17.動詞派生を一般形式で表記する:その2
     〇[挿入音素]を採用して動詞派生を一般形式で表記する利点は、上代か
      ら現代までに変遷してきた様子を検証できることです。
-動詞活用形の文法則を成文化したのが江戸期であり、上代の暗黙知である文法
 則をおおよそ正確に採録考察できたのだが、未然形の解釈に問題を残したと思
 う。(現代国語文法もそのまま誤解釈を引き継いで問題を見過している)
-まず、未然形の変遷で合理的に移行を果せた例:(未然から将然への変化)
・推量・願望の接辞:muの連結:D[a/・]mu:書かむ、食べむ、の変化を考察。
 D[a/・]m→D[a/・]n→D[a/?]u→D[・/y]au→D[・/y]ou:書こう、食べ
 ようとなり、接辞が子音語頭:muから母音語頭:au→ouへ変化するのに合せ、
 [挿入音素]の形態も[a/・]→[・/y]に変化している。
-江戸期?に失敗した例:(未然形での仮定は消滅)
・未然(仮定)の条件法:D[a/・]ba:書かば、食べば?、不具合なので、試しに、
 D[・/r]a[+]ba:書かば、食べらば?、としても浸透せず、接辞:abaは意味が
 不明確で無理な形態だった。
・一方、已然の確定条件法:D[・/r]e[+]ba:書けば、食べれば、は已然接辞:eが
 しっかりとした意味を持っているから、汎用的に成立する。
-江戸期?以降、大失敗し続ける例:(態接辞は未然形接続ではない)
・国語学、学校文法では、受動態接辞:る/らる(文語)、れる/られる(口語)と
 異形態で示すのが通例であり、使役態接辞:す/さす(文語)、せる/させる
 (口語)でも異形態で示す。(かな分析の方法では異形態を生み出すしかない)
     〇態の派生を一般形式で表記すれば、異形態はなくなり統一される。
     ・結果態:D[・/r]ar[]u:書かる、食べらる:接辞はarで統一。
     ・受動態:D[・/r]ar[]e[r]u:書かれる、食べられる:接辞はareで統一。
     ・強制態:D[・/s]as[]u:書かす、食べさす:接辞はasで統一。
     ・使役態:D[・/s]as[]e[r]u:書かせる、食べさせる:接辞はaseで統一。
     ★態の派生が未然形と無関係であることが明確に判ります。
     ・態接辞は事然:終止形(基本形)に連結とするのがふさわしい。

     18.[挿入音素]の[・/y]と[・/k]の由来
     〇明確な由来を見付けてはいないのだが、古語時代の接辞のなかに痕跡
      がありそうだ。
-上代での造語接辞には、-a始まりの接辞が多かった。未然形と見まがう。
・例:ar受動、as使役、←態接辞で汎用あり。 古語時代での造語用で、af継続、
 ay可能・自発、ak動名詞化(ク語法)などがあった。推測であるが、ay、akが名
 残りとして[挿入音素]の[・/y]と[・/k]の形で生き延びているのか。
     〇将然:意向・勧奨:D[・/y]ou:書こう、食べよう、でしか登場しない。
      (推定:D[・/r]u[・/y]ou?→D[・/r]u[+]youda:こじつけか)
     〇ク語法の接辞:ak、は汎用的ではないが、現代でも健在である。
     ・古語:散らく:tir[・/r]ak[]u:散り敷く状態→散らかる、散らかす:
      tir[・/r]ak[]ar[]u、tir[・/r]ak[]as[]u、を派生。
     ・古語:遊ばかす:asob[・/r]ak[]as[]u:遊ばす(強制・律他)を避けて、
      対他の他動詞化(無律)する接辞として使用した。
     ・古語:わらはかし:warah[・/r]ak[]as[i/・]Ø:笑わす(律他)のうえを
      目指して対他(無律)他動詞化の笑わかす→現代の笑かす:wara[k]as
      []u:のような使い方。(寝かす、だまかす、など 強制・律他を避けて、
      対他(無律)他動詞化を意図して現代でも使われる。 あまやかす、おび
      やかす、やらかす、ずらかる、などにも接辞:akが含まれている)
     ★[挿入音素]の[・/k]は、接辞:akの「k」ではないかと推測する。
     ・形容詞が用言として形状動詞化するために選択する構造は、
      形状動詞の構造=形容詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞、、、
      を想定してみた。 おそらく60~70%以上の確率で形状動詞も[挿入音
      素]を持つと法則化するほうが合理的ではなかろうか。
     〇形容詞語幹:K、で一般形式表示すると、語幹はすべて母音末であり、
     ・形状動詞の派生=K[・/k]i→haya[k]i、tanosi[k]i、samu[k]i、など
      [挿入音素]は連結子音[k]だけが使われる。
     ・現代口語では用言活用でのイ音便があり、早い、楽しい、寒い、なので
      形状動詞の派生=K[k0]i→haya[k0]i、tanosi[k0]i、samu[k0]i、と
      表記する。
     〇形状動詞の活用形を基本枠組みで示す。
・未然:打消:K[k]u[+]na[k0]i、K[k]ar[a/・]zu、
      →早くない、早からず、 (接辞:ない、もイ音便で[k0]i無音)
 将然:意向勧奨:K[k]ar[・/y]ou→早かろう、楽しかろう、寒かろう、
・正然:連用:K[k]u(Ø、[+]te、)→早く、早くて、寒く、寒くて、
・事然:終止・連体:K[k0]i→早い、楽しい、寒い、
(事然:完了:K[k]ar[i/・]ta→K[k]a(r[i]=Q)ta:早かった、楽しかった、
 寒かった:イ音便でrita=促音:Q+taに調音転化する)
・已然:連用:K[k]ar[]e[+]Ø、→早かれ、楽しかれ、寒かれ、:対句で使用。
     仮定:K[k]ere[+]ba→早ければ、楽しければ、寒ければ、
・已然:命令::K[k]ar[]e[+]Ø、)→早かれ、楽しかれ、寒かれ:願望程度?
     〇形容詞型の助動詞も活用形に形状動詞化の[k]を付加する。
     ・打消:ない:na[k0]i、希望:たい:ta[k0]i、推定:らしい:rasi[k0]i。
     〇強制動詞由来の形容詞も[k]を付加(無律化)してから形状動詞化する
      と考えると[挿入音素:k]の役割が理由付けできる。
     ・望ましい:nozom[]as[i/・]Ø[k0]i、
     ・疑わしい:utagaw[]as[i/・]Ø[k0]i、など。

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