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2019/03/24

態文法:「動詞活用形の構造」-2

態文法:「動詞活用形の構造」-2
2019/03/24(日)
 動詞活用形の基本枠組を「動作の採否・進行・事象・完遂の局面を並び順で
示している」と解釈する。素直に「アスペクト概念の並び順」なのだと教育す
るのがよいですね。(教育の場で動作・不動作・完遂・結果の表現方法を学ぶ
ことは、日本人、外国人留学生ともに必要なことです)
     
 5.動作進捗を表現する基本枠組
 ★動詞活用の基本枠組:D(未然、連用、終止、連体、已然、命令)は、
  動詞:Dの動作進行の状況を表現するもので、特に未然、正然連用、已然
  連用は動作表現に直結しています。
①未然形=未だ然らず:まだ動作に至らず=動作の打消・打消推量に限定。
 D[a/・](na[k0]i:否定、zu:打消、mai:打消推量)など、
 ・子音語頭の打消用接辞と連結して「不動作」を表現する。
②正然連用形=正に然る:正に動作中=動作着手中を表現する。
 D[i/・](Ø:中止法、te[]:連用法、D'[]:補助動詞連用法、)など、
 ・読みØ書きØ、読んでから、読み・始める、など動作中を詳細に表現する。
③已然連用形=既に然る:動作の完遂成就を表現する。
 D[・/r]e([+]ba:完遂仮定法、[i/・]te[]:完遂連用法、[r]u:完遂可能法)
 ・已然連用形の深層意義は、「動作完遂して」を表すことです。
 (仮定法専用ではなく、完遂仮定、完遂連用、完遂可能、完遂命令、などの
  根源になる「完遂成就する」という動作概念を持っています。そのため、
  動作対象の人や物に対して「動作完遂、成就に向け」手助けする配慮行動
  も内包しています)
→未然形:D[a/・]、正然連用形:D[i/・]、已然連用形:D[・/r]e、の形態で
 共通項として( )外に括り出しました。この共通形態を「音素解析による
 活用形」と見做してもよいかもしれない。(語幹も[挿入音素]も正確に識
 別できる)
 ・未然、正然連用は[挿入音素]の[a/・]、[i/・]で活用形を形成?しますが
 ・已然連用は[・/r]e、のように機能接辞:eを持ち、汎用的に大活躍します。
     
 ★なお、古語時代の動詞活用を体感するには、二段活用の構造についても調
  べる必要があります。
④二段活用の終止、連体、已然:D([]u、[]u[r]u、[]u[r]e、):一般形式表記。
 この連体形の構造を[]u[r]uと解釈するか、[]ur[]uと解釈するか、定説はあり
 ません。(構造的には「ur」を接辞に見立てたいが、その意味は曖昧です)
  
  当ブログでは、終止形に[r]uが連結する構造と解釈して、
→★上式の共通項を括り出し、D[]u(-、[r]u、[r]e、)と解釈できるので、
 ・共通項:D[]uを「仮語幹に見立てる」ことで、連体、已然を派生させたと
  推測。 また、上下二段活用の前段:未然、正然連用、の構造が似たよう
  な解釈で(仮語幹→上二段=D([i])、下二段=D([e])と見做し)一般形式
  表記できる。
 ・つまり、上下二段活用を重畳した一般形式表記は、
 ★D([i/e])([]、[]、)、D[]u(-、[r]u、[r]e、)と、正に仮語幹が二段階の活用
  形式で表される。
→★歴史的時間経過でD([i/e])が上下それぞれの語幹に組込まれ、全形共通に
 ・D(i/e)([]、[]、[r]u、[r]u、[r]e、)と上下一段活用が収れんしたのです。
     
〇本来、[]u[r]uの形態自体には「動作事象化」を表現する以外、強い機能はな
 かった。 二段形態が江戸期に近づくまで存続できたのは、D(i/e)[]の連用
 形が奉る文、候文と連結して機能したからだろう。(D(i/e)[]奉る、給る、)
 江戸期前後にD(i/e)[r]uの便利さに気づいたから一気に一段化が進んだと
 推測する。(D[]u[r]uは原初発生したのに、D(i/e)[r]uは遅咲き過ぎる!)
・特にD(e)[r]uの構造は、e[r]u:已然完遂、可能完遂にも通じる機能があると
 気づいた人も多かったはずだ。
(江戸期には、わざわざ「読むる:yom[]u[r]u」と書いて、読めるの先駆を試
 行した例文があり、可能動詞を求める時代背景に適合していたはずです)
     
 6.自他交替接辞から学ぶこと:ここでも、e[r]uが重要です。
  古語時代の二段活用動詞が長く続いた理由の一つには、自動詞と他動詞の
  交替派生を順次行っていたからなのでしょう。
 〇それが判った上で、動詞活用させるための接辞(助動詞)を調べよう。
  まず、自他交替動詞を派生する方法を想像してみる。
 →古代、動詞語幹は子音末が多かったから、D[・]母音語頭接辞の構造で密結
  合する派生であった。
 〇自他交替で対峙する接辞形式には12種類あり、簡単に例示する。
  (注:i[r]u、e[r]uは、二段活用の古語時代では[r]uが連結しない連用形
   止りだったことを意識して表記した)
 ①aru/u:つかまる/つかむ、②aru/e[r]u:上がる/上げる、
 ③u/e[r]u:立つ/立てる、④e[r]u/u:取れる/取る、
 ⑤e[r]u/asu:出る/出す、⑥re[r]u/su:倒れる/倒す、
 ⑦u/asu:減る/減らす、⑧i[r]u/asu:伸びる/伸ばす、
 ⑨i[r]u/osu:起きる/起こす、⑩ru/su:起こる/起こす、
 ⑪ru/se[r]u:乗る/乗せる、⑫e[r]u/ayu:見える/見ゆ、、、。
 ・自動詞になる接尾辞:aru-e[r]u-i[r]u-oru-re[r]u-ru-u、(「r」音が多い)
 ・他動詞になる接尾辞:asu-e[r]u-osu-se[r]u-su-u、(「s」音が多い)
 ・中でも自他両用になる接尾辞:e[r]u→国語文法や学校文法では両用する
  理由を説明していないように思う。
 (古語時代人は理由を知っていたはずです)
     
→自他交替接辞の中に、態接辞として汎用的に使用する接辞が含まれる。
 〇結果態接辞:ar[]u、強制態接辞:as[]u、可能態接辞:e[r]、e[s]、の
  3つと、
 〇受動態接辞:ar[]e[r]、ar[]e[s]、使役態接辞:as[]e[r]、as[]e[s]、の
  2つが態派生形として活躍する。(e[s]は後続に強制・使役が付く場合に
  現れる)
→★この可能態:e[r]、e[s]、が自他両用へ交替する理由について、当ブログ
  の態文法カテゴリーの中では詳しい説明を何度か/も試みている。
 〇可能態接辞:e、は、已然形:D[・/r]eの接辞:e、と同じもので、同一
  意義を持つと解釈できます。
 ・他動詞:「取る」の動作が進行し完遂すると「物が/を-取れる」:自動
  詞交替/他動詞・可能動詞になる。(二義的だが、動作完遂の側面では
  合致する動詞)
 ・自動詞:「立つ」を「自分が/物を-立つように」動作完遂すると「自分
  が/物を-立てる」:自動詞・可能動詞/他動詞交替になる。
  (二義的だが、動作完遂の側面では合致する動詞)
 〇つまり、可能態接辞:e=已然形:D[・/r]eの接辞:e、は、
  ①「動作完遂、成就するために尽力する」が根源の意味です。
  ②その尽力は、対自・対人・対物に対し相互好循環に働くように注力され
   る。(もし相対悪循環ならば、完遂成就できないはず)
  ③その尽力は、e[r]uの事象化形態に近づくと「動作可能:可能動詞、可能
   態」の意味が強まってくる。
→二段活用の古語時代は、e[r]uでなく、正然連用[e/・]だけで[r]uはつかず、
  ④使役態連用:D[・/s]as[e/・]teは、命じた動作が完遂するように相手
   と相互好循環となるように助力、助言、尽力する意味です。
  ⑤受動態連用:D[・/r]ar[e/・]teは、動作結果:D[・/r]arを正然連用で
   使うと得られる。つまり、動作結果がある事態になってその動作に関与
   する対自、対他、対物の相互循環反応を描写する。
→このように、正然連用[e/・]を使用する時代が長く続いた反面、[e]音を語幹
  に組み入れて、使役終止:as[]u→ase[r]u、受動終止:ar[]u→are[r]u、と
  言えるようになったのは、室町・江戸期に一段化が進んだ時期からなので
  す。
 ★[挿入音素]の[e/・](正然連用)、D[・/r]e(已然連用)、語幹組入・自他
  交替動詞:D[]e[r]u(已然完遂)、可能態接辞:e(完遂・互律:相互助
  勢・反応)、これらの「e」音はすべて同じ深層意義を持ち、動作を完遂
  ・成就するように尽力する、助力する、配慮する、忖度する、事態反応す
  る、という心情描写に使います。「e」音の解釈はローマ字による音素解
  析で検証しやすくなりますが、音節単位の「かな解析文法」では全体検証
  の見通しが利かないでしょう。
     
 古語時代の二段活用を追体験しながらの検証で、
〇動詞派生の一般形式の法則=動詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]
 接辞語幹・・・だけを頼りに見つめ直しました。
・この法則で十分正確に、現代文法とも整合する解釈ができることを確認でき
 ました。 [挿入音素]:[e/・]は不規則動詞「する」の未然・連用形にしか
 残っていないが、往時は下二段活用の動詞として長い間、広く活躍していた
 のです。
(つづく)

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