« 態文法:「動詞活用形の構造」-2 | トップページ | 態文法:動詞派生の共通構造 »

態文法:「動詞活用形の構造」-3

態文法:「動詞活用形の構造」-3
2019/04/05(金)
 7.未然形:D[a/-]は、単独では意味を持たない
  未然形の構造を一般形式表記するとD[a/-]であり、後続する機能接辞には、
  na[k0]i、zu、mai、などの子音語頭接辞が用いられる。
 ・未然(未だ然らず)と同類の将然形(これから然る:意向・勧奨)は、古語
  時代にはD[a/-]mu:書かむ、見む、で、やはり子音始まりの接辞であった。
  (現代語ではD[-/y]ou:書こう、見よう 母音語頭接辞に構造が変化してる)
     
→未然形:D[a/-]は、不動作・未動作を意味する機能接辞と連結する、と限定
  して使用するのがよい。(使役や受動の接辞が連結するのではない)
  もっとも、反語的な表現で「やらまいか!:yar[a/-]mai[+]ka!」と呼びかけ
  ることもあるが、「やらずにおれるか、やろうじゃないか!」に通じる勧奨
  発言であり、不動作の意向を翻意させる発言と考えられる。
 ・未然形中止法:D[a/-]Ø←独立では意味が成立しない。
  旧来、未然形[a/-]の「a」音だけに着目して、未然まがいの造語派生があっ
  た。
 例:住まば都:住むなら都を選べ:?sum[a/-]0[+]ba、?sum[-/r]a[+]ba、
  住めば都:住んで暮せばそこが都:sum[-/r]e[+]ba、
 ・住まば:住むことを前提条件に場所を選ぶなら、都がよい。
 (前提条件の未然形態:[a/-]0[+]baは、子音語幹動詞にしか適用できない。
  見ば、食べば、来ば、が定着していない))
 (事象然の形態:[-/r]a[+]baの例:見らば、食べらば、来らば、が定着すれ
  ば、「a」単音が前提の仮定接辞と言えるのだが、容認度がまだ低いか)
 ・住めば:住まっている(確定条件)なら、そこが都と感じる。
 (已然形:[-/r]e[+]baならば、子音末・母音末語幹ともに一般形式で適用可
  能である)
 〇未然形は不安定で独立し難く、「a」音に頼るだけの構造になる。
 (古語時代に「あ」音始まりの接辞を意図的に用いて、連用・已然の「い」
  音、「え」音と区別する風潮があったかもしれないが、それを「未然形」
  の役割だと捉えていたのかは定かでない。江戸期の解釈上の錯誤かもしれ
  ない)
 〇已然形は動作完遂を意味する安定した機能接辞です。
  それに関連する例をあげます。
 (詳細は既述・態文法:未然形はあるのか?2を参照)
 例:古語の助動詞で「継続」を表す:あふ(四段活用)についての考察です。
 ・合う:au,awu,ahu,afu、の意味に由来する接尾辞と辞典説明がある。
  用例は(子音末動詞の未然形に接続と辞典に説明あるが、語幹連結だろう)
 ・D[]af[]u:tatak[]afu:叩かふ→戦う、katar[]afu:語らふ、
  tir[]afu:散らふ、sum[]afu:住まふ、などの「継続、反復動作」の新造語が
  生み出された。
 ・母音末動詞の未然形?に連結すると(連用中止法と動詞:afuの複合)
  mi[+]afu:見合ふ、tabe[+]afu:食べ合ふ、k[i/-]0[+]afu:来合ふ?などの
  複合語が生み出される。(この接辞は汎用性が高くないようだ) 
 (汎用性が高い接辞ならば、D[-/r]af[]uの形態で、見らう、食べらう、の
  方式の形態もありうるはずだが、定着してない)
〇この接辞:au,awu,ahu,afuの未然形に関わる考察は、ここまでとします。
★この接辞の已然形が重要な意義をもっているので、最後に触れておきます。
     
 8.敢えて已然形を体験する
 (既述・態文法:未然形はあるのか?2に参照事項あり)
  古語辞典に「敢えて」が「合ふ、合へて」と同根との説明を発見したとき
 「敢えて」が已然形の意味を完全に具現化した言葉であると直観したのです。
 ・合ふ:あはない、あひて、あふ、あふ、あへて、あへ:四段活用。
 ・敢ふ:あへない、あへて、あふ、あふる、あふれて、あへよ:二段活用。
  (合へて:四段・已然形、敢へて:二段・連用形)
 〇同根動詞の四段・已然形が分家的独立化して、二段・連用形の異段同形
  構造を創り出す活用方式です。歴史的に二段活用が一段活用へ変移する
  前の長い先駆けの二段活用の構造だったのです。
  もっとも、敢ふは一段動詞に変移しても、活用幅は広がらなかった。
 ・敢える:あえない、あえて、あえる、あえる、あえれて、あえろ:一段。
  となっても、使用範囲が狭く「敢えなく、敢えて、」などの副詞的用法に
  留まるが、それでよいのでしょう。→すべての(動作)動詞の已然形が
  本質的に「合へて、敢へて、合えて、敢えて」の意味を包含してるから
  です。
 〇古語辞典での意味説明を比べてみる。
 ・合へ:①合わせる②(動きに、相手に)合わせる、了承する③和える。
 ・敢へ:事の成行き、相手・対象の動き・要求に合わせる→転じて、ことを
  全うし、堪えきる意。①(事態に対処し)どうにか持ちこたえる②こらえ
  きる③(連用形に続いて)~しきれる、すっかり~する。
 〇現代国語辞典での意味説明は、躍動感がまったく感じられない。
 ・合う:①一つになる②集まる③一致・適合する④釣り合う、調和する。
 ・敢えて:(副詞)①しいて、おしきって、わざわざ、
 ・敢えず:①こらえられない②~しきれない(古語用例として掲載)
→★古語「敢へ」の持っている意味が、動詞の已然形が表す意味と完全に一致
  する。
 ・形態に対して思考実験:連用形+敢えて=已然形、を検証してみる。
 例:D[i/-]0[+]afe[i/-]te=D[-/r]e[i/-]te :一般形式表記。
 ・書き敢えて:kak[i]ae[]te→kak[]ee[]te→kak[]e[]te:書けて、
 ・食べ敢えて:tabe[+]ae[]te→tabe[-/r]ae[]te→tabe[r]e[]te:食べれて、
 どちらも強引な変形を必要とするので、構造上の起源を求めるには無理があ
 る。
→〇ただし、已然形の意味は「敢へ」の意味と共通する。
 ・敢える:動作への向き合い→相手、対象、事態に合わせて(難しい周囲条
  件であっても)、動作開始へ踏み出して(条件を乗り越え、相互に助け合
  い)すっかり完遂・成就させる。
 ・書ける、食べれる:が可能動詞である所以は、「強いて完遂しきる」との
  意味を包含した形態(已然形+[r]uの独立動詞の形態)であるからです。
 ・可能動詞、可能態:D[-/r]e[r]u、使役態:D[-/s]as[]e[r]u、受動態:
  D[-/r]ar[]e[r]u、などe[r]uが付属する派生動詞は、主体・客体・対象・
  自然法則が相互に好循環の動きに合わせて動作を全うする、そう言う状態
  を意味します。
 例:「これを書く、書かす、書かる、食べる、食べさす、食べらる」よりも
  「これを書ける、書かせる、書かれる、食べれる、食べさせる、食べられ
  る」と聴いたほうが、動作内容への関心度が高くなり、周囲状況・相互の
  関与状態(互律)がすごく気になってくるはずです。
 

« 態文法:「動詞活用形の構造」-2 | トップページ | 態文法:動詞派生の共通構造 »

日本語文法」カテゴリの記事

態文法」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 態文法:「動詞活用形の構造」-2 | トップページ | 態文法:動詞派生の共通構造 »

最近のトラックバック

無料ブログはココログ