カテゴリー「日本語文法」の100件の記事

態文法:「動詞活用形の構造」-1

態文法:「動詞活用形の構造」-1
2019/03/12(火)
 4.「動詞活用形の構造」:一般形式表記で新発見
  動詞活用は、動詞派生と同様に機能接辞と密結合することで実現するので、
 〇動詞活用=動詞派生=動詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞語幹・・・
  という構成法により生成されます。
 ・動詞活用・派生の基本概念を述べれば、
  動詞語幹:Dを先頭に、[挿入音素]の連結器を介して第一接辞:自他交替接辞
  、次に[挿入音素]を介して第二接辞:態接辞がつながる。
  次に[挿入音素]を介して第三接辞:アスペクトや時制接辞などが順次つなが
  っていき、詳しい描写が可能になる。
 →活用の構成要素としては、
 ①動詞語幹:D、(自他交替接辞を組み込んだ状態の動詞語幹を含める)
 ②[挿入音素]:6種類=[a/・]、[・/y]、[i/・]、[・/r]、[・/s]、[・/k]。
  なお、不規則動詞「する」では、連結母音に[a/・]、[i/・]ほかに、[e/・]も
  継続してる。(古語時代は多用されたが、現代は限定的な使用にとどまる)
 (注:「~してる」と併せて[e/・]について後段に補足説明する)
 ③機能接辞語幹:S、(使役・受動、打消、意向・推量、完了、希望、推定・断定、伝聞
  、丁寧などの固有機能を有する助動詞が揃っている) 以上の3要素がある。
 →「かな文法」の最大の欠陥は、派生後の動詞形態から①動詞語幹や、②[挿入音
  素]、③接辞語幹の各要素を正しく区分できず識別できないことです。
  例:使役、受動の接辞は、母音語頭の「あす:as、あせ:as[]e」と「ある:ar、あれ
  :ar[]e」が本来の形態です。ところが、現状の「かな解析文法」では、接辞語頭
  の「a」を挿入音素:[a/・]に繰り込んでしまい、未然形接続だと取り違えた。
  江戸期からの間違いが時を止めたように今も続いています。
 ★使役はD[・/s]as[]e[r]u、受動はD[・/r]ar[]e[r]u、で区分するのが、当
  態文法ブログが推奨する一般形式表記です。
     
  音素解析の効果を活かした視点から、態文法:「動詞活用形」の概念を更新により
 『動詞活用基本枠組』を既に提起しました。
 →要約引用しながら、現代の規則動詞(四段・一段)活用と古語時代の二段活用
  を比較しながら、活用の変遷を追体験してみよう。
 〇現代の四段・一段活用の一般形式表記:動詞語幹:Dを()外に括り出す。
 ・D([a/・]na[k0]i、[・/y]ou、[i/・]te、[・/r]u、[・/r]u、[・/r]e、
  [・/r]e【yo】/【ey】o)、この式一つで、規則動詞すべてを表現できる。
     ★現代語の「動詞活用形:未然、連用、~」は、動詞の動作進行局面を表現
      するための派生並びなのだと理解することが大切です。
      だから、未然・将然はまだ動作に取りかかる前の局面を意味し、
      正然・連用は動作進行中を意味し、
      事然・終止、連体は動作事象を出来事として描写し、
      已然・連用は動作事象の完遂成就を意味している。
      已然・命令は動作事象の完遂成就を目指して命令する。
 〇古語・二段活用の一般形式表記:(なお古語・四段活用は現代に継承される)
 例:古語「落つ:ot[]u」、の場合、
  ・二段:ot([i/・]zu、[i/・]te、[]u、[]u[r]u、[]u[r]e、[i/・]yo、)
 例:古語「投ぐ:nag[]u」、の場合、
  ・二段:nag([e/・]zu、[e/・]te、[]u、[]u[r]u、[]u[r]e、[e/・]yo、)
 →便宜的ながら、「落つ/投ぐ」を重畳して一般形式化してみよう。
 例:ot/nag([i/e]zu、[i/e]te、[]u、[]u[r]u、[]u[r]e、[i/e]yo、)
     ★古語時代の「二段活用形」を追体験して判ることは、
     ①二段動詞が動き出す局面を表現できる[挿入音素]は、[i/・]、[e/・]の
      2つだけ。
      (現代語では、この[i]、[e]を動詞語幹に取り込んで、母音幹動詞の一段
      活用になって収れんした。何世紀も二段活用が続いたが)
     ②動詞語幹から直接已然形(ot[]e、nag[]eは不適)を派生できないので
      新たに終止形態に[r]uを付加して、連体形(D[]u[r]u)を生み出した。
      続けて絶対に必須の已然形(D[]u[r]e)を派生した。
      (終止形を温存する代りに大胆にも[r]uを直付け:事象化した)
     ③命令形は正然・連用を流用する→動作に取りかかることを命じる。
      (現代語の命令形は已然・連用の流れにあり→動作完遂を命じる)
     ④二段から一段活用に変移するには、ot/nag[i/e]*[r]u、のような
      大胆な独立化の大波が起きる必要があった。(鎌倉~江戸期)
     ・[i/・]、[e/・]は正然・連用形に付き、独立動詞化する際には、
      oti[r]u、nage[r]u、のように母音末語幹の動詞に変化した。
     ★四段活用を見ると判るように、[i]音は正然・連用形の[挿入音素]であ
      るが、「e」音は已然連用形の機能接辞である。 母音末語幹に組み入れ
      られても当然のこと、「i」音:正然/「e」音:已然、という意味感覚の差を
      感じてほしい。(正然:正に動作中、已然:既に完遂成就、というように
      意味の差を強調して覚えておくとよい)
     ・「e」音語幹末の動詞は、已然:完遂成就の意味を内包するから、動作完遂
      できる意味で使える。つまり可能動詞、可能態の出現です。
      (見れる、来れる、食べれる、覚えれる、なども立派な可能動詞である)
 〇古語・二段活用の完了助動詞「つ:tu」の一段化「てる:te[r]u」と、不規則動詞
  「す:s[]u」の独立化:「せる:se[r]u」が一段活用化した状態を検証してみる。
 例:D[i/・]te([a/・]na[k0]i、[i/・]te、[・/r]u、[・/r]e、[・/r]o、)
   書いて/食べて(ない、て、る、れ、ろ、)、これは既に通用している。
 例:称[+]se([a/・]na[k0]i、[i/・]te、[・/r]u、[・/r]e、[・/r]o、)
   称せ(ない、て、る、れ、ろ、)→相性がよい漢語動詞もあるが、
  ・満足[+]se([a/・]na[k0]i、[i/・]te、[・/r]u、[・/r]e、[・/r]o、)
   満足せ(ない、て、る、れ、ろ、)→満足でき(ない、て、る、れ、ろ、)、を意味
   するのだが、「せ」が有する完遂成就の根源的意味合いが感じにくいし、不規
   則性が強すぎる。(文語でも定着しているのは「せず、せる」だけか)
  ・「称せ→×称でき」、「満足せ→〇満足でき」、「証明せ→〇証明でき」の差は、
   すでに「称す」、「称せる:可能態」が独立動詞になっており、「称[+]せ」でな
   いからだと推測できる。
   「せる:やり遂げることができる」の意味が強固に浸透・確立しないと汎用の
   可能動詞にはなれないのだろう。
     
★『動詞活用基本枠組』での活用形並び順を「アスペクト並び」だと解釈する利点
 は大きく、まだ語り尽せていない。 次回に未然の[a/・]音を検証する。
     

態文法:「態派生の構造」再発見

態文法:「態派生の構造」再発見
2019/03/01(金)
 3.「態派生の構造」:一般形式表記で新発見
  前回、形容詞の語幹はすべて母音末であると記したが、古語時代の動詞語幹は
 逆に子音末の単語が多かった。
 〇子音語幹の動詞は通常、四段活用となるものが多いが、古語時代には動詞自
  体の自動詞/他動詞の分立化や態派生の確立化が試行錯誤の段階であった。
  子音語幹動詞でも自他分立が未然連用で起きても、終止形にまで及ばず「二段
  活用」にとどまる状態が何百年も続いたことになる。(二段活用が斯くも長引
  いた理由は、連用+奉り文・給る文・候文・たり/なり文の工夫と、終止+[r]u
  =連体、終止+[r]e=已然、の工夫による終止形の温存だったと思う)
 ・動詞派生で接辞を並べる順序は、自他区別の接辞、態の区別接辞をまず配置し
  て登場人・物の動きに見合う動作表現に近づける。完了動作か未完了動作かの
  「時制表現の接辞」はそのあとに連結する。 国語辞典付録解説の「助動詞活用
  一覧表」で最初の枠には、「使役、受動」接辞を配置することが多い理由はこの
  ためです。
 〇「態派生の構造」:一般形式表記・・・「態の双対環」表現
 ★態派生の順序1=態の三系から一つ選択:
 →①能動系:D[・/r]、・・・自他動詞の区別不問。終止原形(統語接辞:uは後続)
 →②強制系:D[・/s]as[]、・・・強制態接辞:as[]連結。
 →③使役系:D[・/s]as[]e[r]、・・・使役態接辞:as[]e[r]連結。
 ★態派生の順序2=態の四態から一つを選択:
 →④系原形:-のままか、
 →⑤系に可能態:e[r]を付加するか、
 →⑥系に結果態:ar[]を付加するか、
 →⑦系に受動態:ar[]e[r]を付加するか、どれかを選択する。
 ★順序3=組み上げ:「態の双対環」(三系四態)一般形式表記
  ①能動系:D[・/r](④-、⑤er[]、⑥ar[]、⑦ar[]e[r])u、
  ②強制系:D[・/s]as[](④-、⑤er[]、⑥ar[]、⑦ar[]e[r])u、
  ③使役系:D[・/s]as[]e[r](④-、⑤er[]、⑥ar[]、⑦ar[]e[r])u、
(態派生:三系四態は、すべての態動詞の構造を明示できること、未然形に接続
 するのではないこと、「かな解析の異形態接辞」が「音素解析:ローマ字つづり」
 の明解な一般形式表記化により同一形態接辞の構造へと解き明かせること、を
 示しています)
     
 〇「態の双対環」三系四態により日本語のすべての動作動詞のすべての態表現
  を派生させることができます。(子音末・母音末、自動詞・他動詞、規則動詞・
  不規則動詞を含めて、すべてに適用できます。当然、見れる、来れる、食べれる
  など「ら抜き」も正規の態として認める新文法です)
 →不規則動詞も基本的に態派生は規則動詞と同一構造です。
 ・例:不規則動詞:来る・する、の三系四態を示します。 不規則動詞なので、態派
  生の語幹は、来る→ko、する→s、とします。
  ①能動系:ko[・/r](④-、⑤er[]、⑥ar[]、⑦ar[]e[r])u:
   → 原形×こる、来れる、来らる、来られる。
  ①能動系:s[・/r](④-、⑤er[]、⑥ar[]、⑦ar[]e[r])u:
   → 原形×す、せる、さる、される。
  ②強制系:ko[・/s]as[](④-、⑤er[]、⑥ar[]、⑦ar[]e[r])u:
   → 来さす、来させる、来ささる、来さされる。
  ②強制系:s[・/s]as[](④-、⑤er[]、⑥ar[]、⑦ar[]e[r])u:
   → さす、させる、ささる、さされる。
  ③使役系:ko[・/s]as[]e[r](④-、⑤er[]、⑥ar[]、⑦ar[]e[r])u:
   → 来させる、来させれる、来させらる、来させられる。
  ③使役系:s[・/s]as[]e[r](④-、⑤er[]、⑥ar[]、⑦ar[]e[r])u:
   → させる、させれる、させらる、させられる。
(態派生の構造は規則的に一般形式での表記ができます。 何度も言いますが、
すべての動作動詞に対して「態の三系四態」の一般形式表記が可能であり、通用
する態動詞を派生することができます)
     
 態派生を一般形式で検証していると、新発見することがあります。
少し横道へ入ります。
 古語の助動詞:しむ:使役の一種で古い形を考察した。
『岩波古語辞典補訂版』:大野晋・佐竹昭広・前田金五郎:1990年2月8日補訂版
によると、「す」「さす」よりも前に成立した助動詞で奈良時代に「~させる」の使
役表現に用いられた。また、「しめ給ふ」「しめ奉る」の形で動作尊称の意を表すに
も用いられ、中世以後は文章語の書簡などで長く使われた、と解説がある。
〇動詞の未然形に接続すると解説にあるが、態接辞が未然形に連結するはずが
 ないと思っていた。
・古語「~む」は、書かむ/見む:D[a/・]muの形態で推量・意向・勧奨を表現した
 もので、D[a/・]n→→D[・/y]au→D[・/y]ou:書こう/見よう:に現代では
 変化してきた。「ましじ、まじ、まほし」などの「m」音はこの推量の「m」に由来す
 るのだろう。
〇古語「~しむ」は、「知らしむ、申さしめ給へ」と使われており、新文法の一般形
 式で表記すれば、D[・/s]as[i/・]m[]u、:使役の一種と解しても通用する。
・D[a/・]m[]u:書かむ/見む、は発話者の意向・勧奨を表すが、使役場面では、
 D[・/s]as[a/・]m[]u:書かさむ/見ささむ、の形態のままだと、発令者の意
 向か、受命者への勧奨、動作者への尊敬表現か、曖昧であるから、相手へ働きか
 けがはっきりする:D[・/s]as[i/・]m[]u、書かしむ/見さしむの形態を選ん
 だのであろう。 と考えると、奈良時代から使役接辞の用法を正しく試行してい
 たのだと感心する。
     
・ただし残念ながら、漢語動詞への応用が一般形式構造から外れてしまう。
 不規則動詞の「す」に「しむ」を連結すると、使役態構造が弱まる。
例:「せしむ、感化せしむ、充足せしめん、興隆せしむる、退散せしめん、」などの
 S[e/・]s[i/・]m[]u、の形態は、「す」の未然「せず」である:S[e/・]z[]uの
 S[e/・]を使用したものであり、不規則動詞の本領発揮です。
〇不規則動詞の慣用として「せず」だけは活かすとしても、使役態になりきれな
 い「せしむ」は、現代語でぴたりの言葉:「させる」を使うのが最適です。
 ・「させる」と「される」は裏表の関係、鏡像関係にあり、「される」が慣用されるの
 だから、「せしむ」にこだわらずに「させる」で良いだろう。
 規則派生に該当する「書かしむ、見さしむ、」自体が使われない現代なのに、変則
 を自覚もせずに「せしむ」だけを残す必要性は低い。
〇「感化させる、充足させよう、興隆させる、退散させよう、」が現代風です。
・「講ぜしむ、信ぜしむ、」などは「講ざせる、信ざせる、」よりも「講じ[+]させる、
 信じ[+]させる、」のほうが分かりやすい。
〇これで態派生の構造に例外なしと公言もできますからね。
 (意味もなく「可能態」を忌避する人の何と多いことか。奈良時代から続く試行
 錯誤も理に適う方向だった。 態派生の構造に例外なしの心意気を示そうでは
 ないか。)
     
(次回は「動詞活用形の構造」を再発見します)

態文法:[挿入音素]の構造

態文法:[挿入音素]の構造
2019/02/24(日)
 2.[挿入音素]の構造:一般形式表記を目指して
  日本語の単語は密結合する場合、子音連続や母音連続を避ける特徴があり、
 特に動詞派生では、動詞語幹[挿入音素]接辞語幹のように語幹の間に[挿入
 音素]が挟まる構成で、発声しやすい音節化を実現させている。
 ・[挿入音素]の構造は、連結時の子音や母音の同種音連続を避けるために、「単
  音素の挿入」が必要であると同時に、異種音連結の場合には直接連結でよいの
  で、「無音挿入」でなければならない。
 ①[挿入音素]の構造1=[連結母音/無音]→子音語頭の接辞と連結するため。
  (現在は①[a/・]、②[i/・]、の2種類を使う)
 ②[挿入音素]の構造2=[無音/連結子音]→母音語頭の接辞と連結するため。
  (現在は③[・/r]、④[・/s]、⑤[・/y]、⑥[・/k]、4種類を使う)
     
〇このように[挿入音素]を規定するのは、動詞語幹の末尾音が子音の場合と母
 音の場合の両方に対応した一般形式表記にしたいからである。
 (簡略的に動詞活用形、受動態、使役態の派生を一般形式表記する)
 例:D[a/・]na[k0]i→書k[a]ない/食べ[]ない、
    :子音語頭の接辞:na[k0]i(打消)。
  :D[・/y]ou→書k[]おう/食べ[y]おう、
    :母音語頭の接辞:ou(意向、勧奨)。
  :D[i/・]mas[]u→書k[i]ます/食べ[]ます、
    :子音語頭の接辞:mas[]u(動作敬体)。
  :D[・/r]u→書k[]う/食べ[r]う、
    :母音語頭の接辞:u(動詞標識接辞)。
  :D[・/r]e[i/・]tara→書k[]e[]たら/食べ[r]e[]たら、
    :母音接辞:e(已然連用、完遂可能の意味)、
    :子音語頭の接辞:tara(完了想定の接辞)。
  :D[・/r]ar[・/r]e[・/r]u→書k[]ar[]e[r]u/食べ[r]ar[]e[r]u、
    :母音語頭の接辞:ar(動作結果があるの意味)、e(已然連用、完遂可能
     の意味)。
  :D[・/s]as[・/r]e[・/r]u→書k[]as[]e[r]u/食べ[s]as[]e[r]u、
    :母音語頭の接辞:as(動作をやらすの意味)、e(已然連用、完遂可能の
     意味)。
  (注:後段2例のar、e、are、as、ase、は態の接辞であり、詳しくは「態の構造」
  で解説する)
     
 6種類の[挿入音素]の使用例を掲載したが、動詞語幹が子音末/母音末の両方
に対応した[挿入音素]構造になっていることに注目してほしい。
その構造により、連結する各機能接辞が動詞語幹末の子音/母音に関係なく、
同一形態で表記できる利点を確認してほしい。
     
 なお、[挿入音素]の⑥[・/k]の例について追加説明します。(当文法の独創)
 例:形容詞派生のための[挿入音素]として規定する。(動詞派生も別途説明)
  :楽しい→tanosi[・/k0]i→tanosi[k0]i、
  :早い→haya[・/k0]i→haya[k0]i、
  :ない→na[・/k0]i→na[k0]i、らしい→rasi[・/k0]i→rasi[k0]i
  :望ましい→nozomasi[・/k0]i→nozomasi[k0]i、
 〇形容詞語幹:K=常に母音末語幹であり、上例のように終止形の一般形式は
  K[k0]i、の一本式で表記できる。(現代はイ音便により[k=0]i、kが無音化)
  もっとも、形容詞の活用形式が「し・く活用」と「かり活用」の二本立てで、
 例:「し・く活用」:語幹=Kで一般形式表記。(形容詞・副詞的運用である)
  :K(-、[k]u、[s0]i、[k0]i、[k]ere[+]ba、-):連用、終止、連体、仮定。
  ・早(-、く、い、い、ければ、-):古語では[s]i、[k]i、現代ではs、k発音せず。
 例:「かり活用」:語幹=Kで一般形式表記。(形状動詞的運用である)
  :K([k]ar[a]、[k]ar[]ou、[k]ar[i]、-、[k]ar[]u、[k]ar[]e、[k]ar
   []e):打消、意向推量、連用、連体、已然、命令。
  ・早(から、かろう、かり、-、かる、かれ、かれ):補完的に連用、終止、仮定は
   「く活用」から借用する使い方になっている。
  (注:[s0]i、[k0]i、の形容詞標識接辞:「i」音と、[k]ar[i]、の[挿入音素の「i」
   音]の扱い方では解釈に違いがある。それでよいと思ってる)
 〇形容詞派生の「く活用」では、K[k]u単独で副詞的な連用修飾が使いやすい、
  :楽しく:tanosi[k]u、早く:haya[k]u、~[+]らしく:rasi[k]u、など。
  :楽しくて:tanosi[k]u[i/・]te、と解釈するよりも、:tanosi[k]u[+]te、と
  解釈するほうが応用が広いように思う。楽しくなる、楽しくない:K[k]u[+]
  nar[]u、K[k]u[+]na[k0]i、などと連用修飾の規則を援用できる。
 〇また、「かり活用」の由来も、楽しく[+]あり:K[k]u[+]ar[i]の母音縮約に
  よって、K[k]ar[i]に転換して「かり活用」が併立したと解釈しうる。
 〇文語時代の早し:K[s]iの[s]には、動詞的意味合いがありそうだが、一般形式
  になれなかった。楽しし、悲しし:~si[s]iの終止形を頑張り通せずに、[s]iを
  放棄して、楽し、悲しの形態で終止形としたのです。
     
 以上、[挿入音素]の[・/k]について形容詞派生での用法を説明しました。
この[・/k]は動詞派生でも特定の場面で使われますが、詳しくは[挿入音素]全
体の意味の解説で触れたいので、ここでは割愛します。
〇形容詞派生=形容詞語幹[挿入音素]接辞語幹・・・の密結合の法則に従った
 派生構造であることを提起しました。
     
(次回は「態の構造」を再発見します)

態文法:「動詞の構造」再発見

態文法:「動詞の構造」再発見
2019/02/20(水)
 日本語の動詞の構造を「ローマ字分析:音素分析」によって見直すと、活用・派生
がどんな規則で発生しているのか明確に発見できます。
現状の学校文法が「かな分析:音節分析」で動詞活用を説明するのは、方便的な解
釈にとどまります。正確な説明を可能にするには、「kana分析:音素分析」が必要
です。なぜなら、日本語は単語・接辞を順次つなげて、意味をつなぐことで文章を
構成する膠着語ですが、子音と子音の連結や、母音と母音の連結を避ける目的で
連結用に「単音素:k,a,n,a,表記が必須」を挟み込む特徴的な法則があるのです。
この法則により、「かな表記」が可能になっているのです。
 古語時代から現代に至るまで日本語の叡智として、「連結音素の法則」を作り上
げてきたはずですが、忘却したかのように「かな表記」にもっぱら依拠した文法
論が流通しています。
日常の文章表記には「かな漢字」を使うとしても、文法説明(特に動詞語幹の密な
連結構造の説明)には、「連結音素の法則」を援用すべきだと思います。
     
 では、ローマ字つづりによる「kana分析:音素分析」で、動詞構造の再発見へ進
みましょう。
 1. 単語の膠着方法:疎結合と密結合
 ①緩やかな疎結合=[複合]:[+]→名詞の連結など:小学校[+]前、バス[+]停
  、小[+]雨=ko[+s]ame、酒[+]屋=sak[e→a+]ya、など(発声容易化のた
 め)の音素挿入や母音交替が起きる場合もあるが、それぞれ自立する単語どう
 しが緩やかに結合して意味を重ね合わせること。
     
 ②語幹と語幹の密結合=[派生]→[挿入音素]を介在させ、密な結合として意味
 を重ね合わせること。 まず、動詞[派生]の概念を一般形式で表記する。
 ・動詞派生=動詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞
 語幹・・・のように、接辞(助動詞)を密に連結させて意味を深めていく。
 ・[挿入音素]=[連結母音/無音]、または[無音/連結子音]の構成で、6種あり
  ①[a/・]②[i/・]③[・/r]④[・/s]⑤[・/y]⑥[・/k]が使われる。
 (古語時代の上下二段活用では②[i/・]②’[e/・]が使われたが、江戸期までに
  語幹に組み入れられ一段活用動詞になっている)
 〇派生の概念化をさらに進めるため、単語品詞を略号で表記する。
  動詞語幹=D、接辞語幹=S、形容詞語幹=K、名詞=M、名容詞=My:形容動詞
  で表記すると、
 ・動詞派生=D[挿入音素]S1[挿入音素]S2[挿入音素]S3・・・一般形式、
 例:立たせられる、立たされる、の違いは?:→tat[・/s]as[・/r]e[・/r]ar[・
 /r]e[・/r]u、tat[・/s]as[・/r]ar[・/r]e[・/r]u、→tat[]as[]e[r]ar[]
 e[r]u、tat[]as[]ar[]e[r]u、→tat[]ase[r]are[r]u、tat[]as[]are[r]u、
 (立たせるは誘導して立たす、立たすは口頭指示だけのように感じる)
 例:食べさせられる、食べさされる、の違いは?:→tabe[・/s]as[・/r]e
 [・/r]ar[・/r]e[・/r]u、tabe[・/s]as[・/r]ar[・/r]e[・/r]u、→tabe
 [s]as[]e[r]ar[]e[r]u、tabe[s]as[]ar[]e[r]u、→tabe[s]ase[r]are[r]
 u、tabe[s]as[]are[r]u、(食べさせるは食べれるように手助けする、食べさす
 は口頭指示だけ)
 ★2例を一般形式で示すと、
   D[・/s]as(e[r])are[r]u、の一本で表記できる。
     
 ・動詞派生(連用形)=D1[挿入音素]S1[+]D2[挿入音素]S2・・・補助動詞D2と
 [+]疎結合する。
 例:落していなければ:→otos[i/・]te[+]i[a/・]na[k]ere[+]ba、→otos
 [i]te[+]i[]na[k]ere[+]ba、
 例:おぼえておかなければ:→oboe[i/・]te[+]ok[a/・]na[k]ere[+]ba→
 oboe[]te[+]ok[a]na[k]ere[+]ba、
 ★2例を一般形式で示すと、
   D1[i/・]te[+]D2[a/・]na[k]ere[+]ba、の一本で表記できる。
     
 ・動詞派生(連体形)=D1[挿入音素]S1[+]M[+]S2・・・M、S2は助詞、助動詞な
 どと疎結合する。
 例:壊した玩具に恨まれて:→kowas[i/・]ta[+]omotya[+]ni[+]
 uram[・/r]ar[・/r]e[i/・]te→kowas[i]ta[+]omotya[+]ni[+]
 uram[]ar[]e[]te、
 例:助けた亀に連れられて:→tasuke[i/・]ta[+]kame[+]ni[+]
 ture[・/r]ar[・/r]e[i/・]te→tasuke[]ta[+]kame[+]ni[+]
 ture[r]ar[]e[]te、
 ★2例を一般形式で示すと、
   D1[i/・]ta[+]M[+]ni[+]D2[・/r]ar[]e[]te、の一本で表記できる。
     
以上のように、膠着語の連結の仕方には、疎結合の複合と密結合の派生の2つが
あり、動詞活用と言えども派生の仕組みに従い、動詞語幹[挿入音素]接辞語幹
[挿入音素]接辞語幹・・・と、まるで煉瓦を一つ一つ並べて敷き詰めていき、文章
の意味を組み上げるのです。
     
(次回は[挿入音素]を詳しく解説します)

態文法:薬は飲む、花火は打ち上がる

態文法:薬は飲む、花火は打ち上がる
2019/01/25(金)
 前回、態動詞の動作律仕方を3×3マトリクス図に整理して解説しました。
〇無律と受律については別途に残したが、ネット上に見つけた記事に触発され
 て、「受律」概念を広げて考察してみようと考えた。
     
①例文:「この薬は食後に飲みます・のgoogle翻訳」:aurinkokunta101のホー
 ムページ(吉川武時氏のHP)
②例文:「花火がドーンと・・・? 打ち上がる/打ち上げられる」:毎日新聞 校閲
 センターのツイッター(ことばアンケート:結果まとめ:1/21)
の2つの例題文を読んで「受律概念」を思い起す。
     
 2例文で共通する着眼点は、文の主格が人間以外の対象物であり、他動詞を使う
ならば受動態で表現するほうが文法的?、という指摘を想定したのだろう。
吉川武時氏は言語学者であり、日本語教育に深く携わられて『日本語文法入門』
:アルク:1989年6月20日の著書を出されている。 多言語に目を向けられてい
て、①例文を中国語と比較してgoogle翻訳アプリで英語、独語、イタリア語、フ
ィンランド語、インドネシア語、タイ語、トルコ語、韓国語などに変換して、文章
構造の違いを比較した考察を記事に掲載された。(翻訳結果:私が薬を食後に飲
む、薬が食後に飲まれる。 HP記事では各国語の翻訳の文型を比較してるが、強
い結論を提示していない。西欧語とアジア語?の異同に着眼がある)
(吉川氏の文法と当態文法とでは視点が異なるのだが、時々HPをのぞき見して
参考にしている)
②例文には、ツイッター内に閲覧者回答の集計結果が示された。
 「花火が打ち上げられる:72.7%」の支持があり、
 「花火が打ち上がる:27.3%」は1/4強の支持にとどまる。
(残念ながら、校閲センターの選択は多数派に傾いたようです)
     
→当態文法では、態動詞には動作律仕方が備わっていると定義している。
③飲む、打ち上げる、打ち上がる、他動詞・自動詞ともに能動系原形態ならば、
 「自律動作」を意味する。(主体が「自律」で、対象物が「受律」動作である)
④あげる:古語:あぐ-あげる(他動詞)-あがる(自動詞)-あがれる(受動態)
 ・現代語:あげる(他動詞:自律)-あげれる(可能態:互律)-あげらる(結果態:
 果律)-あげられる(受動態:果互律)
 ・現代語:あがる(自動詞:自律)-あがれる(可能態:互律)-あがらる(結果態:
 果律)-あがられる(受動態:果互律)
⑤あげる:ag[]e[r]u、可能態接辞が附属し完遂互律の意味を含むが、完遂の
 相棒は重力法則だから目一杯頑張って折り合いを付けるしかない。
⑥あがる:ag[]ar[]u、結果態接辞が附属するので、果律:関与実体と動作結果
 との結びつき、応対を表現する。(つまり、あがるは結果を含む自動詞なのだ)
⑦「日本語に主語はいらない」から、「飲む:【わたしが、きみが、ひとが】飲む」と
 いう意味を含んでいる。命令形は「【きみが】飲め」であり各国語でも主語なし
 で使うのが普通です。日本語は命令形でなくても文脈に沿っていれば、主語な
 しを容認する言語です。(【 】内は省略・発音せずの記号)
     
→①「この薬は食後に【ひとが】飲みます」と簡単に表現できるのはよいですね。
 「わたしが、(あなたが、みんなが)この薬は食後に飲みます」などと毎回言いた
 くない。
→②「花火がドーンと【花火が】打ち上がる」と、夜空に打ち上った花火の輝きを
 見上げて歓声を上げたいですね。
 「花火がドーンと【花火師によって】打ち上げられる」と、遠くの発射場を目で
 探しながら、チラッと花火を見るなんてことは好まない。
〇連体修飾形式を想定してみよう。(被修飾語が無情の対象物である場合)
①「食後に飲む薬は4錠ある」→飲まれる薬と言わない。
②「今度打ち上がる花火がUFO型なんだ」「打ち上げる花火のスポンサーは?」
 「打ち上げた花火/打ち上がった花火は、ほんの一瞬だったね」→が普通です。
 「打ち上げられた花火」は分析的ではあるが、普通は言わない。
★③に記したように、「自律動作」をするのは人間だが、対象物は「受律動作」を
 するだけ:動作を受けるだけ、の状態を「薬は飲む、飲む薬」と言う。
     
〇一方、有情の人と人との動作に関しての連体修飾形式には注意が必要です。
・女は殴られた男に復讐した→殴られた女が殴った男に復讐した。
・女は殴った男に復讐された→殴った女が殴られた男に復讐された。
・女は殴られて男に復讐した→連用修飾なら誤解しない。
・助けた亀に連れられて浦島太郎は竜宮城に幾年か→亀と人間で動作律が違う。
・犬が嫌いな猫が来て逃げていった→?犬を嫌う猫が逃げた/犬が嫌って猫から
 逃げた、:少し曖昧さを無くす工夫が必要となる。
     
★日本語が主語を持たない構文で動作意味を構成できるのは、
・主体の「自律動作」に並行して、対象物も「受律動作」で対応することを同じ動詞
 形態で表現できるからです。
(日本人の暗黙知が支えているようだ。早く文法則で支える時代が来てほしい)
・また、動作結果(物)が関与者に対等な形態:「結果態:果律動作」や、「受動態:果
 互律動作」を提供して関与者の反応表現を誘うことができるからです。
・可能態は、まさに主体の「自律」と対象物の「受律」が合体した形態:「可能態:互
 律」であり、「花子はピアノが弾ける」のように主体と対象物がそろって複主語
 になり、同じ動詞形態に連結できるわけです。
〇「受律動作」の表現は誰でも日常的に使っています。
・イチゴは直売所で売ります/売っています:動詞連用形でも受律が成立する。
・イチゴがよく売れました:已然連用・可能態で強固な互律が成立します。
・朝食は毎日食べるのがよい:これも普通に成立します。
・コンニャクは【食べても】太らない:文脈依存で省略がきついが、通用する。
・報告書は毎日書くこと:(報告書を毎日書くの言い方では、すべての業務を列記
 しておかないと安心できない。 仕事もする、ひる休憩をする、考える、相談す
 る、連絡電話する、などの一つとして報告書を書きなさいと言うことになる)
     
〇日本語の態については、動作の律仕方も文法化して継承すべきだと思います。
・能動態:自律:主体/受律:対象。(主体・客体・対象それぞれの動作対応を表現)
・可能態:完遂動作で、互律:主体・対象の相互助勢。
・結果態:動作結果で、果律:主体・客体・対象の結果事態。
・受動態:動作結果に反応で、果互律:主体・客体・対象の態応、反応。
・強制態:律他:主体指示/自律:客体服従。
・使役態:律他互律:主体指示助勢/自律完遂:客体服従。
(無律:強制態を他動詞能動態化へ転向させるなどの機能、ここでは割愛する)
     

態文法:3×3マトリクスで整理する2

態文法:3×3マトリクスで整理する2
2019/01/10(木)
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  ↑態の基本枠組を「態の双対環」と名付ける。
  ②可能態:e[r]と③結果態:arの対向関係を「態の対向」に加えるのが当態文法
   の特徴です。 (文語文法の使役:as(強制)、受動:ar(結果)とともに、近世の
   已然:e[r](可能)も基本枠組に加えている)
  〇接辞:e[r]は、自他交替の解釈において、「動作完遂して到達する状態」を想
   定すれば、自動詞が他動詞へ交替し、他動詞が自動詞へ交替する両方向機能
   に見えるのです。だから、深層の意味:「動作完遂」機能を表すと解釈する。
  ・また、‐reru:自発的(物理法則に破綻しない)、‐seru:介助的(見せる、着せる
   、乗せる:互律動作)などの意味が完遂動作の途中で付随する。
  〇可能態:e[r]は、動作完遂・合理・互律を一つに丸め込んだ概念なのである。

態文法:3×3マトリクスで整理する1

態文法:3×3マトリクスで整理する1
2019/01/09(水)
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   ↑一般形式:D[挿入音素]の区切であれば、いわゆる語幹・活用語尾が音素
 表示できるし、後続の助動詞接辞も異形態にせず同一形態で示せる。
 つまり、D[挿入音素]の形式で、未然形・連用形・終止形・已然形などと呼称する
 ことが可能であり、「何行何段活用」の方便的な呼称と切り離せるのです。
(つづく)


態文法:動詞活用の歴史に真価を活かす5

態文法:動詞活用の歴史に真価を活かす5
2018/12/20(木)
     
-「ら抜き」言葉の検証は既に何度も取り上げているが、「れ足す」言葉に陥らない
 ように峻別すれば、可能動詞としてどんどん使うべきです。 国語学や学校文法
 、国語辞典などの「ら抜き言葉」禁止には十分な説明がないように思う。
 (表向きの説明は、「ら抜き」は間違いだとせず、ふさわしくないと言うのみ)
〇「ら抜き」言葉がふさわしい時・場所・状況を明示すればいいのです。
 (本来、可能動詞の誕生が「ら抜き」に由来するわけではなく、可能として独自の
  由来で派生したのです)
     
     37.「ら抜き」言葉を「音素戻し法」で検証
-国語学関連で「ら抜き」の用例としてあげる動詞は、受動態が「られる」の動詞が
 「ら抜き」して「れる:可能動詞」となったと錯誤の解釈をしたものです。
〇便宜的に受動態から可能態へ変化する形式で音素戻し検証してみよう。
例:書かれる:書‐ka‐re‐ru→書k‐【ar】‐er‐u→書k‐er‐u:書ける←可能動詞。
  (受動態から結果接辞:【ar】を抜くと可能態動詞となる)
 :食べられる:食べ‐ra‐re‐ru→食べr‐【ar】‐er‐u→食べr‐er‐u:食べれる←可能
  動詞。(受動態から結果接辞:【ar】を抜くと可能態動詞となる)
〇一般形式:D[・/r]ar[]e[r]u→D[・/r]【ar[]】e[r]u→D[・/r]e[r]u:
 のように、受動態から結果接辞:【ar】を抜くと可能態動詞となる。
 例外はありません。 「ら抜き」でなく【ar抜き】であり、母音語幹、子音語幹の両
 方で可能態が成立しますから、「ら抜き」概念自体に大きな錯誤があります。
     
     ★可能態、受動態を使い分けるにふさわしい時・場所・状況を一般論とし
      て明示する。それぞれの可能状態の意味の違いを基準にしてある。
     〇可能態:D[・/r]e[r]u→例:立てる、割れる、書ける、見れる、食べれる
      、渡せる、見せる、浴びせる、などの接辞:e[r]uが共通に果す機能は、
     ・意味:已然形を内包純化→「動作完遂する」が原意。自他交替や動作完遂
      、尽力可能を意味する。(銘記:完遂・互律)
     ・律仕方:動作完遂の条件には、主体・客体・対象・道理の「相互律し合い=
      互律」が必要です。(特に対人他動詞の完遂条件には、互律、手助け、介助
      などが必須になります)
     ・陳述:動作の完遂事態(自他交替)、完遂意思、完遂回想などを表現する。
      完遂可能の周囲条件を揃えた陳述が期待される。
     〇受動態:D[・/r]ar[]e[r]u→例:立たれる、立たせられる、立てられる
      、割られる、?割れられる、書かれる、見られる、食べられる、渡される、
      ?渡せられる、見せられる、浴びせられる、などの接辞:ar[]e[r]uが共
      通に果す機能は、結果:ar[]と可能:e[r]uの合成であり、
     ・意味:「動作結果が生る、有る、在る、ある事態」を表現するのが原意で、
      その事態に登場・関与する人・物が各個の視点で相互関係を陳述する。
      (動作結果の事態は自他動詞にも、強制、使役にも発生するから、受動態
      はすべての動作動詞に派生できます)
     ・律仕方:結果事態(果律)に関与する主体・客体・対象・道理の「相互律し合
      い=互律」をなし、各個の立場で対応する。(銘記:結果・互律)
     ・陳述:結果事態に立場の違う各個が同じ受動態を使って、「結果事態は、
      自分の実体験だ」と表現・陳述する場面が想像できるでしょうか。
      一見して、?割れられる、?渡せられるが想像しにくい使い方でしょう。
      受動態が「受身」専用ではなく、既に成立した結果に対する「果互律」表現
      であるところが、可能態「互律」との相違です。
     
     38.「ら抜き」操作で可能動詞が誕生したのではない
      便宜的に文字通りの「ら抜き」を模擬再現して受動態から「ar抜き」して
      可能態を誘導したが、実際の歴史上の可能態発生は「ら抜き」で誕生した
      わけではない。
→可能態の発達が江戸期以降までに遅れた理由を推測すると、
 ①古語時代から、二段活用動詞の連体形が終止形:D[]uをさらに事象独立化
  する形態:D[]u・[r]u(落つ→落つ[r]u、投ぐ→投ぐ[r]u)で使われた。
 ②独立動詞化を必要とした要因は、已然形が「落て・ば」「投げ・ば」では具合が
  悪く、「落つれ・ば」「投ぐれ・ば」で派生したかったのだろう。
 ③四段活用、二段活用ともに正然連用形、已然連用形の後続接辞には、奉り文や
  たまう・たまわる文、候文、たり・なり文などを付加することが通例だった。
  この奉る文が一段活用化を遅らせた?(現代のやり・もらい授受文に相当)
 ④連用形が事象独立化し、Db[r]u:落ち[r]u、投げ[r]uの形態になるのが、室
  町、江戸期になってしまった。
  (一段活用化移行の大変化と併行して奉る文、賜る文、候文が減少した)
 ⑤已然連用形が事象独立化し、D[・/r]e[r]u:書け[r]u、読め[r]u、見れ[r]u
  来れ[r]u、となるのが江戸後期・明治期のようだ。
 (江戸期には、例:読む[r]u、知る[r]uの形態(終止形+[r]u)で可能表現を試み
 た記録があり、四段活用動詞の終止形を[r]u追加してまでも、可能動詞を探っ
 ていたことになる)
     〇終止形に[r]uを躊躇なく追加したのに比べて、連用形に[r]uを追加す
      るのには何世紀もの時代をかけた躊躇があったし、未だに国語学者のな
      かには可能の成立ちに疑問(ら抜き指摘)を述べる方もいる。
      (本心から信じているのかな、可能動詞は受動態の「ら」を抜き取ってで
      きる動詞派生なのだと?)
     
     39.已然仮定形でなく、「たら・なら」仮定法も使える
     〇前回の「れ足す」言葉で、可能動詞で仮定形を使うときの注意として、
     ・行ければ:D[・/r]e[r]【e[+]ba】→×行けれる:D[・/r]e[r]【e[r]u】
      仮定形【e[+]ba】から事象化【e[r]u】は「れ足す:二重可能でダメ」だか
      ら、【e[+]ba】→【u】と、元の可能動詞に戻すべきだと説明しました。
      (已然接辞:eを残すと完遂の完遂と二重動作となるからです)
     ★そこで古語時代の「たり、なり」文の知恵を見直しました。
     例:正然、已然の連用形に「たら」仮定法(:tar[a/・]Ø[+]ba)
     ・行ったら:行・[Q]tar[a/・]Ø、 行けたら:行k[]e・tar[a/・]Ø、
     ・食べたら:食べ・tar[a/・]Ø、 食べれたら:食べ[r]e・tar[a/・]Ø、
     例:終止・連体形に「なら」仮定法(:[+]nar[a/・]Ø[+]ba)
     ・行くなら:行く[+]nar[a/・]Ø、食べるなら:食べる[+]nar[a/・]Ø、
     例:名詞、名容詞(形容動詞)にも「なら」仮定法([+]nar[a/・]Ø[+]ba)
      が使える。 ・図書館なら、心配なら、元気なら、新聞のことなら、、、
     →「たら」は機能接辞:~te+ari→~tari→~tar[a/・]Ø、開放未然形で
      あるが、動詞語幹に密結合する。
     ・行‐k[i/・]tar[a/・]Ø:→イ音便の特例で「行いたら→行ったら」となり
      :行ったら:行‐[ki=Q]tar[a/・]Ø→行‐[Q]tar[a]Ø:となる。
     ・「たら」、「たらば」ともに意味開放の未然形なので仮定専用の接辞ではな
      いが、「~てある」の原意から動作成立を示唆してはいる。(時制の過去
      を表すのではなく、動作完了状態を意味します)
      (「たら」を使っていたら、「れ足す」二重可能の心配はいりませんね)
     

態文法:動詞活用の歴史に真価を活かす4

態文法:動詞活用の歴史に真価を活かす4
2018/12/17(月)
     
-「れ足す」言葉をネット検索すると、「ら抜き」言葉との対比で取り上げられる
 ことも多いようです。やはり可能表現、可能態に関することで共通しますが、
 接辞が「可能接辞:e[r]」の「e[r]足す」と「結果接辞:ar」の「ar抜き」で、それぞ
 れの根本原意は違うので、違いを正確に識別する検証が必要です。
     
     34.「れ足す」言葉を「音素戻し法」で検証
-「れ足す」言葉の例を一般形式で表記すると:D[・/r]e[r]【e[r]】uのように、
 余分にe[r]を継ぎ足す言い方です。まずは「音素戻し法」検証を使いましょう。
例:書‐け‐れ‐る:書‐ke‐re‐ru(音素戻し→)書k‐er‐【er】‐u、二重可能表現です。
 食‐べ‐れ‐れ‐る:食べ‐re‐re‐ru(音素戻し→)食べr‐er‐【er】‐u、二重可能で不可
・やはり、「れ足す」言葉も正確には「e[r]足す」言葉と捉えるべきでしょう。
     
〇本来、書ける、食べれると「er」一段で言えば、動作可能が表現できます。
     ★なぜ、「れ足す」言葉が起きてしまうのか。
     〇手掛りは動詞活用の已然形、仮定形にあり、説明が少し理屈っぽくなり
      ますが、「れ足す」言葉を完全回避できる方法を次に示します。
    →〇動作動詞での仮定形は:D[・/r]e[+]baで表現する。
     例:書‐け・ば:書‐ke・ba(音素戻し→)書k‐e・ba、完遂するの仮定。
     ★完遂仮定の実現事象は→書k‐e・【ba→[r]u】→書k‐e・[r]u→書ける:
      可能態(完遂尽力する意味の独立動詞となる。一段可能態)
     例:食べ‐れ・ば:食べ‐re・ba(音素戻し→)食べr‐e・ba完遂するの仮定。
     ★完遂仮定の実現事象は→食べr‐e・【ba→[r]u】→食べr‐e・[r]u→
      食べれる:可能態(完遂尽力する意味の独立動詞となる。一段可能態)
     (動作動詞が可能態動詞に転換する仕方の一方法を示した)
     
    →〇可能態動詞での仮定形は:D[・/r]e[r]e[+]ba、で表現する。
     例:書‐け‐れ・ば:書‐ke‐re・ba(音素戻し→)書k‐er‐e・ba、完遂が実現す
      ればの意味で成立する。
     ★完遂の実現仮定の実現は「完遂」と同じ言葉で表現する:書ければ→
      書k‐er‐e・ba→書k‐er‐【e・ba→u】→書k‐er‐u、書ける:可能態。
      (完遂事象の実現想定は完遂力が不要なので、「e・ba=u」:独立化だけに
      とどめる:重要・二重可能を回避)
     例:食べ‐れ‐れ・ば:食べ‐re‐re・ba(音素戻し→)食べr‐er‐e・ba、完遂が
      実現すればの意味で成立する。
     ★完遂の実現仮定の実現は「完遂」と同じ言葉で表現する:食べれれば→
      食べr‐er‐e・ba→食べr‐er‐【e・ba→u】→食べr‐er‐u食べれる:可能態。
      (完遂事象の実現想定は完遂力が不要なので、「e・ba=u」:独立化だけに
      とどめる:重要・二重可能を回避)
     ・一段目の可能動詞(可能を表現する動詞)が活用中の不注意で二重可能
      態にならないように留意したい。
〇本来なら「動作完遂の結果」を表現するのは、結果態、受動態であるから、
     ★結果態:D[・/r]ar[]【e[+]ba】:書かれば、食べられば、
     ★受動態:D[・/r]ar[]e[r]【e[+]ba】:書かれれば、食べられれば、
      のように結果仮定する使い方が明確でよい。
     →もちろん、どちらも独立事象化は【e[+]ba→u】と終止形へ戻る。
      (結果態の已然形が独立して、可能付加された受動態形態になったとも
      言えます)
     ★詳細は次回「ら抜き」言葉の検証で考察したい。
     
-国語学、学校文法では、動詞活用の已然形を正確に実用的に運用できるように
 教えてないから、「完遂の仮定」、「完遂の実現仮定」、「完遂の実現仮定の実現」
 「完遂の実現仮定の実現=完遂」と並べてもまったく判りにくいでしょうね。
〇理解の手掛りは「仮定形は已然・仮定形だから、完遂力がある」と感得し、「完遂
 する仮定」、「完遂を想定する仮定」、「完遂を想定する仮定が実現するとは、結
 局のところ動作完遂があるということ」と論理が働いたのだと、納得していた
 だければ、以下の説明が判りやすくなると期待します。
     
     35.可能動詞が生まれる理由
     〇動詞の基本活用枠組みのなかで既述したように、
      已然形には三種類の機能構成があり、
      ①已然連用形:D[・/r]e[i/・]te:書‐け・て、食べ‐れ・て、
      ②已然仮定形:D[・/r]e[+]ba:書‐け・ば、食べ‐れ・ば、
      ③已然命令形:D[・/r]e【・yo】/【e・y】o:書け!/食べろ!
      (命令形の方言には、食べれ!もあり、已然であると思う)
     ★可能動詞の生まれる由来:
     →共通部分:D[・/r]e、は既に動作完遂に向けて取りかかっていること
      を意味する。
     〇この動作を独立事象化すると:D[・/r]e[r]u→書ける、食べれる、と
      完遂可能の表現になります。すべての動作動詞が可能動詞になります。
      (こんなに単純明解な由来で可能動詞が生まれるのです)
      (国語学、学校文法は半分の認知で済ませ、理由を明確にしていない)
     ★二重可能が発生する由来:
     →逆に、単純明解のつもりで可能動詞にさらに可能化を上乗せすると、
      「れ足す」言葉が生じてしまいます。これが要因です。
     〇通常は、可能動詞に再度の可能接辞を付加して二重可能にすることは
      ないでしょうが、念を入れたい人は、書‐け‐れ‐る、行‐け‐れ‐る、渡‐せ‐れ
      ‐る、など二重可能を許容し、発話するのが問題です。
     ★②已然仮定形:D[・/r]e・ba:の、Dには書k/書け、食べ/食べれ、も
      代入できるので、書‐け‐れ・ば、食べ‐れ‐れ・ば、のように、動作完遂に到
      達することを仮定・想定する論理は論理として成立する。
      ①已然連用:書‐け‐れ・て、行‐け‐れ・て、も辛うじて成立するでしょう。
      ①已然連用:?食べ‐れ‐れ・て、?見‐れ‐れ・て、成立可否は割れそうです。
      ③已然命令形:D[・/r]e【・yo】/【e・y】o:?書けれ!、?書けろ!、?食べ
       れれ!、?食べれろ!、のように到達状態を動作命令するのは不可です。
      (書けろ!、食べれろ!に違和感を強く感じるのに、書けれ!、食べれれ!に
       弱くしか違和感が湧かないのは、已然「e音」の動作性が命令形に反応
       するからだと思います。違和感が弱くても命令意味が判らない。
       動作完遂のさらに完遂を命令されても動けないでしょう)
     
     36.可能動詞に命令形はありません
     →以上を要約すると、「れ足す」・多重可能を防ぐ方法はあります。
     ★可能動詞の已然形:D[・/r]e[r]e~:書けれ、食べれれ、行けれ、来れ
      れ、読めれ、見れれ、渡せれ、などは「可能動作の達成状態」を想定した
      描写や仮定表現に使えるが、動作命令形としては意味不可解となる。
     →・可能動詞に命令形はない、と定義する。(重要です)
     →・可能動詞の已然形を独立動詞化する際に、已然接辞:e、を残さないで
      :D[・/r]e[r]【e・[r]u】ダメ→D[・/r]e[r]【e→】u、のように、終止形
      へ戻ること(元の可能動詞に戻る)が最良の選択です。
      (已然形の動作完遂力を残したまま独立動詞化すると際限なく多重可能
      動詞が生成できてしまうから、ここは厳しく峻別すべきです)
     →・可能動詞の已然仮定形:D[・/r]e[r]e[+]ba:書ければ、読めれば、
      行ければ、来れれば、見れれば、食べれれば、と使い勝手よく発話します
      が、これを独立化する際に、已然接辞:e、を残さないで、
     :D[・/r]e[r]【e・[+]ba=e・[r]u】ダメ→D[・/r]e[r]【e・[+]ba→u】
      のように、終止形へ戻る(元の可能動詞に戻る)のが最良の選択です。
      (已然形の動作完遂力を残したまま独立動詞化すると際限なく多重可能
      動詞が生成できてしまうから、ここは厳しく峻別すべきです)
(つづく)

態文法:動詞活用の歴史に真価を活かす3

態文法:動詞活用の歴史に真価を活かす3
2018/12/14(金)

-日常の言語活動の中で、態派生に関して「ら抜き」言葉や、「さ入れ」、「れ足す」
 言葉などが問題になって久しいようです。
〇これら態派生の問題ですから、「音素戻し検証法」で接辞構成を調べれば、解決
 するはずです。 それでも長い間にわたり完全解決していないのは「かな解釈」
 に頼り、「音素解釈」の役割りを研究して来なかったからだと思う。
★3つの「言葉問題」に関連する共通の態接辞は可能態:e[r]u、です。
・可能態:e[r]uは已然連用形の意味も含めて、「完遂・互律」動作を意味します。
 完全解決しないのは、国語学、学校文法での可能態解釈(完遂・互律)が確立しな
 いということが根本的な原因で、負の連鎖が続いています。
     
     32.「さ入れ」言葉を「音素戻し法」で検証
-例:「さ入れ」:聴衆の前で代読するとき:①「読‐ま‐さ‐せ・て・いただきます」と言
 う例や、①形式を②「読‐ま・さ‐せ・て」形式で解釈するらしい国語学者もあり、
 (「読‐ま」?を「させて」の意味合い?)それが一層丁寧な表現だ、と学者が対談で
 語る市販本がある。(①、②とも変則的な二段階強制の表現だとの示唆もない)
〇代読程度の代行申告なら一段階使役の③「読‐ま‐せ・て・いただきます」が判り
 やすい。(読ませて:と已然連用の形態にするのが判りやすさの要因です)
     
     ・国語学、学校文法は代読状況を斟酌したうえ、直接①、②、③を比較・議
      論することは少ないから、基本説明である③形式が解釈の基礎となる。
     -②解釈は、まったくの論理破綻だが、検討を進めるために順に「音素戻
      し検証」をしておこう。
     ①「読‐ま‐さ‐せ・て・」→読m‐as‐【as】‐e・te・→強制+強制可能の態形態で
      二段階強制、強制+使役の形態であることが判ります。
      ★やはり「さ入れ言葉」も「さ」入れではなく、「as」入れ言葉なのです。
     (★「ら抜き言葉」が実際は「ar」抜き言葉であるのと同根の錯誤名称)
     (★ついでに「れ足す言葉」も実際は「e[r]足す」の錯誤名称でしょう)
     ②「読‐ま・さ‐せ・て」→読m‐a・sas‐e・te・→「よま?」を「させて」とは、何を
      させてほしいのか? 不完全な表現です。
      (未然形:読ま→yom[a/・]は、nai、mai、zu、など打消接辞に密結合
      する形態であり、意味が自立しない「読ま」に疎結合で[+]させる、を並
      べても不完全です)
     ③「読‐ま‐せ・て・」→読m‐as‐e・te・→強制已然・可能=使役態と同一形態
      です。 代読でも自作読みでも「読ませ・て・いただく」でほぼ通用するで
      しょう。「読ませ」:強制已然連用形=使役連用形が律他互律の意味を持
      つので、読ます主体と読まされる客体との相互律動作の表現と把握でき
      、「読ませ」・て・「いただく」なら客体立場からの表現だと確定します。
     ④念のため、正確な二段階の使役形態を調べておこう。
      「読‐ま‐せ‐さ‐せ・て」→読m‐as‐es‐as‐e・te・→yom[・/s]as[]e[・/s]
      as[]e[i/・]te、と「音素戻し」で順当に態接辞が切り出せるし、発言の
      意図が判りやすい表現だと言えるでしょう。
     ・つまり、「読ませ」は発令者と受命者の互律の立場を表し、「させ・て」が
      聴衆に向けた「読む」ことの許容を要請する発言に相当するからです。
     〇以上のように「音素戻し法」を用いることで、態の接辞が正確に復元
      できることと、「かな書きの錯誤名称」が起きる理由も「かな書き」の
      宿命なのだと判っていただけたでしょうか。
     
     〇集約すると、已然(完遂・互律)概念を込めての表現を進めて、
     ③「読‐ま‐せ・て・」→読m‐as‐e・te・が、日常の広い場面で適応すると想定
      します。 ②「読ま?させて」は論外、丁寧さが云々どころではない。
     ・①「読‐ま‐さ‐せ・て」は、二段階強制(強制+使役)の表現が必須な場面で
      許容限ぎりぎりでしょう。その場合、登場する発令者・受命者・要請者・
      対象者・許可者の役割・位置づけが明確に判断できるように補語を立て
      て説明するのが望ましい。(もちろん④「読ませさせて」が最適ですが)
     ・二段階強制を表現したい生活場面に、「子供が高熱なので、今日、学校を
      (子を)休まさせてください」と母親が学校へ連絡する、などがある。
      母親が子を休ますことを学校へ許可するように要請してるのだから、二
      段強制の表現として聞手に誤解は起きないだろう。
     ★今後は、③、④「読ませ(させ)て」、「休ませ(させ)て」のような、已然連
      用形の活用を徹底させること、(二段階の)使役の互律概念がしっかりと
      生活場面で安定して広がる方向にしたいですね。
     
     33.再度、已然連用形、可能態の真価を見る
     ③「読‐ま‐せ・て・」、「休‐ま‐せ・て・」「書‐か‐せ・て・」「食べ‐さ‐せ・て・」は
      強制態の已然連用形ですが、同時に使役態の連用形とも解釈できます。
     ・態派生の一般形式:D[・/s]as[]e[r]u→D[・/s]as[]e[i/・]te、で
      已然形式:D[・/s]as[]eは律他(対他を含めた)完遂・互律の意味です。
     ★已然:既に然るの原意から、動作の成就・完遂に尽力する事態に進ん
      でいる表現であり、また、動作事象の完遂と同時に対他・対物・周囲との
      順調な相互事態の進行(互律動作と定義)を意味しています。
     ・能動系動詞の已然形:D[・/r]e[r]u:、D[・/r]e[i/・]te:なら、自律動
      作での完遂・互律の含意がある。
     例:文字が/を書ける、納豆が/を食べれる、手紙が/を渡せて、20kmが
      /を歩けて、など互律動作を表す已然形だから、「が/を」主格・対格両立
      ができるのです。
     (受動態も果互律動作:納豆が/を食べられる、20kmが/を歩かれる)
     ・強制系已然=使役系動詞なら律他動作:主体は発令指示し、受命者に自
      律動作を行わせる。動作意図が主→客へ方向性が強いので、已然形でも
      客体主格の文は独立せずに、「読ませて・いただく」のやり・もらい授受
      表現が必要となります。(が、已然「読ませて」は客体動作も含意する)
     〇強制・使役の発令者が、させる:s[]as[]e[r]u、受命者が、させられる:
      s[]as[]e[r]ar[]e[r]u(受身)だけでなく、指示に適合する自律動作:
      なされる:n[]as[]【ar[]】e[r]u(結果以前努力中→)なせる:n[]as[]e
      [r]u、という2つの動作(させる・なせる)が同時進行するとの観察が必
      要です。
     〇強制の已然形以外:「さす、さして」の意味合いは律他動作に留まるから
      指示しただけで終ってしまい、客体に対し「なさす、なす、なせる」まで
      到達しない感覚になる。
     〇松下電器松下幸之助の経営者語録に:「任せて任すな」あり、題意に共感
      します。「任せて続けよ、しかし任しっぱなしではダメ」と解釈する。
      「任せる」は完遂を目指した互律動作だから、適宜の状況確認や相互助言
      、介助を行うべきだ、という動詞活用の核心を見抜いた表題だと思う。
      (已然・可能の:e、e[r]uは、動作完遂を表す意味が根源にあります)
(つづく)

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