カテゴリー「日本語文法」の259件の記事

態文法:態文法を組み上げる5

2017/12/10(日)

2.自他交替派生と態派生
 動詞を生み出す法則のなかで重要なものは、まず、動作表現の種類を十分に増
やすことだ。動詞を生み出すには、「自他交替派生」と「態派生」という2つの派生
法則がある。

2-1.「自他交替派生」とは:
 一つの原動詞から「有対」になる自動詞/他動詞の対を生み出すために、特定の
 機能接辞を連結して派生する法則をいう。
〇有対動詞の例:休む→休める(自律)/休まる(自発・果律)、動く(自律)→動か
 す(自律・律他)、割る(自律)→割れる(自発・互律)、移る(自律)→移す(自律)、
 見る(自律)→見せる(互律)、
 (日本語では自他交替派生で有対動詞が多く、機能接辞にもなじみが深い)
→有対自動詞/有対他動詞:動詞語幹に特定の機能接辞を連結して対応する自動
 詞もしくは他動詞を派生する。(自動詞化接辞/他動詞化接辞、変化接辞などの
 機能接辞がある)

 なお、動詞のなかで有対でない「無対動詞」や「両用動詞」もある。
〇無対自動詞/無対他動詞:意味の上で対となる他動詞や自動詞が不必要な動詞
 で、「無対動詞」として扱われる。 もし、どうしても必要ならば、使役・受動の態
 動詞を援用して表現する。
例:歩く(自律)→歩かす(強制態・律他)、読む(自律)→読まれる(受動態・果互律)、
 (態の機能接辞も自他交替接辞に由来する)
〇両用動詞:それ自身が自動詞、他動詞どちらにも使われる。
例:ひらく(自律)、とじる(自律)、わらう(自律)、

2-2.「態派生」とは:
 動詞の行為者が自己の意思で自ら行う動作を「自律動作」とすれば、自動詞・他
動詞ともに一括して「自律」動詞と見なせる。
一方、行為者が自己の意思で他者に行わせる動作を「律他動作」と名付けるとし
て、たとえば、「強制的(命令、指示、許可)に相手に動作をやらせる」事態は日常
生活で起りうるし、多くの動詞を「律他:強制・使役」的に造語派生したい。
つまり、行為態度(意図識別:自律/律他など)を明示するための文法則として、
原動詞の語幹に「態」機能接辞を連結して態動詞を派生させる方法を用いる。
→態の接辞には、行為態度(自律/律他)のほか、各種の機能があり、動作可能(互
 律/自発)、動作結果(果律/果互律:受動)などの識別に利用される。

★行為者の視点で動作態度を語るとき、
→「自律動作」には、自ら実行する自動詞と他動詞が含まれる。
 「律他動作」には、他者に実行させる強制動詞と使役動詞が含まれる。
 (行為者が律他の意図を発し、被強制者はそれを受けて「自律」動作をする)
 の3つの態:能動態/強制態/使役態に区別できる。
〇「動く」の他動詞/強制態動詞:「動かす」などは、動作に関与する登場人物の役
 割により「自律/律他」が交差する。
・机を動かす(意図者=行為者:自律・他動詞/対象物:動作受容)、
・担当者を動かす(意図者:律他/担当者:自律・自他動詞)
 (担当者は命じられた事柄を解釈して自律動作をする)
〇もちろん、担当者を動かす:担務替え、配置替えの場合ならば、意図者の自律・
 他動詞の動作であるかもしれない。
→「自律か/律他か」解釈が交錯するのは、被動作者が対象物(無情)なら他動詞
 に解釈されるから問題ない。ところが、上記のように対象が担当者(有情)だと
 他動詞(自律)か、強制態動詞(律他)か、事例ごとに検証が必要になる。
★上代の動詞造語の知恵を顧みるとき、
 「律他」動詞を単純な「対他(有情)他動詞」へ変換させる機能を持った接辞を使
 っている。その機能接辞は「無律接辞:ak-」であり、古語での「ク語法」という用
 法だ。残念ながら現代口語では文法的な説明がほとんどないが、単語としては
 現役ばりばりなのだ。
・「甘えさせる」:amae[s]as[]e[r]u(律他)を推奨せずに、
 「あまゆ」:amayu(自律)→「あまやく」:amay[]ak[]u(甘えるの無律化)→
 「あまやかす」:amayak[]as[]u(無律対他・他動詞化)が意味明瞭である。
・「おびえさせる」:obie[s]as[]e[r]u(律他)を推奨せずに、
 「おびやかす」:obiy[]ak[]as[]u(無律対他・他動詞化)が意味明瞭である。
・「わらわす」:waraw[]as[]u(律他)よりも「強烈・強引な笑い取り」を表現する
 には、「笑わかす」:wara【w[]a】k[]as[]u(次第に【w[]a】が省略されて)→
 「笑かす」:wara[k]as[]u(無律対他・他動詞化)が使われる。
 (対他が自律で笑うのではなく、対他に有無を言わさず笑う動作を行わせる)
・「寝さす」:ne[s]as[]u(律他)は対他の寝る(自律)をさせること。
 「寝かす」:ne[k]as[]u(無律対他・他動詞化)は対他(無情の赤児)・対物を横た
 わらせること。
・「だます」:damas[]u(自律・他動詞)だが、相手は(自律)で自己思案するうちに
 間違った判断へ到達する(ように誘導する)。
 「だまかす」:dama[k]as[]u(無律対他・他動詞化)は、相手に(自律)冷静な判
 断をさせないように大げさに話しを盛って間違わせること。
 「だまくらかす」:dam[]ak[]u[r]ak[]as[]u:余程の複雑なだまし手口だ。
・「散る」自動詞の事象をふくらませて、「散り積む概念=散らく」:tir[]ak[]u→
 「散らかる」:tir[]ak[]ar[]u(結果動詞・果律)、「散らかす」:tir[]ak[]as[]u
 (無律・対物他動詞)が生み出された。
・「ずる、ずるい、ずるける」→「ずらく=ずる行為の概念化」:zur[]ak[]u→
 「ずらかる」:zur[]ak[]ar[]u:サボって逃げ出す、姿を隠す(自律)が現代国語
 辞典に載ってある。(だが当然、紛らわしい「ずらかす」:zur[]ak[]as[]u:は通
 用しない。無律・他動詞(自律)の「ずらかす」が意味するところは、行為者自身が
 「ずらかす」動作を全部やり遂げなければならないからだ。つまり「ずらかる」と
 同じことをやり遂げなければならないからだ。どうしても言いたいなら「ずらかる」
 を「ずらからす」(律他)と言えば通じる)
〇無律接辞:ak-は、汎用的に使い回せる機能接辞ではないので、自ら造語派生
 する機会はないでしょうが、文章、単語の中で見つけ出したらこの解説を思い
 出してください。

つづく

態文法:「やる」と「やらかす」の差は?

2017/12/03(日)

 本屋の立読みでノウハウ新刊本に1冊、目に留り手に取った。
 『「売れる営業」がやっていること。「売れない営業」がやらかしていること』
:松橋良紀:大和書房:2017/6/25第一刷、2017/11/25第五刷。
なかなか内容は役立ちそうだ。目次を走り見した程度であるが、売れる/売れな
いの対比で構成されているようだ。
 たまたま、新書判の棚で『富士そば~(経営者)』の本を立読みした後だったので
営業の話し内容で繰返しになる感じがして、奥付の発行日だけ確認した。短期間
で第5刷まで到達しているから、評判を得ているのですね。

 ここで気に入った言葉の対比:「やる/やらかす」を整理しておこう。
→動詞「やる」と「やらかす」の意味の差については、当ブログでも思考対象にし
 てきたので、今年に入ってようやく説明できる段階にある。
 やらかすには、無律接辞:ak-、が組み込まれて単純他動詞化した動詞です。

まず、順番に動詞派生の状況をみよう。
①やる(律他):yar[]u:行かせる/与える(原則的な動作の構図)
 →主体(律他)が客体(自律)に共有の課題(対象物)を実行するよう仕向ける。
 (あるいは主体が律他・自律の二役をやるという想定も可能だ)
②やらす(強制・律他):yar[]as[]u:主体(律他)が客体(自律)に(課題)をさす。
③やらせる(使役・律他互律):yar[]as[]e[r]u:主体(律他)が客体(自律)に
  (課題)をさせる(互律:主体が補助してもよい)。
④やらかす(律他無律化・単純他動詞化):yar[]ak[]as[]u:主体(自律)が企図し
 た課題を動作・実行する。(やらく:やろうとすることの概念化・名詞化)
→「何をやらかしたのだ?」と詰問するのは、何を意図しどんなやり方で実行した
 のか、を聞き出すためだろう。 ついでに、「仕出かす」自律他動詞:sidekas[]u
 :(ak接辞なし)ならば、「やってしまった結果状態」に描写の重点がある。
→本来、④やらかす:という動詞は、「やらす」と言うべき相手が自律動作をやれ
 ない状態・条件にある場合に「やってやる」という理屈が通る機能でもあるが、
 「宿題や調査を本人に代ってやらかしました」は通用しにくい。「やる:遣る」の
 原意が恣意的な代行や共有性のない意図行為を許さないのだろう。
(無律接辞:ak-の例:D[・/r]ak[]u→曰く、願わく、望まく:nozom[]ak[]u、
 散らかる/散らかす:tir[]ak[]ar[]u/tir[]ak[]as[]u、ずらかる:zur[]ak
 []ar[]u、など。古い上代語に使われたク語法:無律:ak-だが、ずる→ずらかる
 が出現したのは明治期になってかららしい。古語辞典には載っていない)

「やる」が描き出す現場:
①原動詞:yar[]uの語幹:yarに、接辞:as(強制)がついて②yar[]as[]u、さらに
接辞:e(可能)がついて③yar[]as[]e[r]u、となり、強制+可能は現代口語では
使役態として使われている。
〇原動詞:やる、は主体・客体が同一化すると単純他動詞のように課題を実行す
 る意味にも使われることがある。(主体:律他を胸に秘めての)客体自律の動作
 と見なせる。それでも、やる動作に第3者が絡んだ局面では、主体が客体の意図
 を誘導して賛意(自律)を得なければ課題実行を果せない。
つまり、①やる、②やらす、③やらせる、には主体(律他)客体(自律)が共通意図
での動作をするという原則が存在する。
→「売れる営業」がやる:営業職(律他)が顧客職(自律)に企図する販売・購買(課
 題)を納得させる。つまり顧客が自律で購買を判断するように誘導する。
 顧客の自律が優先なので、営業が勝手に命じて待つものではない。
①やると②やらす、は動作の律仕方が主体(律他)客体(自律)で似ている。元来の
 意味が「やる=遣る、遣わす」であり、主客の力関係がはっきりしており、かつ、
 「やり遂げる課題」も明確に共有している前提だ。

「やらかす」が描き出す現場:
④やらかす:(単純な他動詞(自律)として)意図する計画を実行する。
 やらく:やる意図のもの:計画、戦術。(公式でなく、自己発想でのやる気計画)
→「売れない営業」がやらかす:営業職(自律)が自身の企図・計画(課題)を客筋に
 勧誘する。客筋の反応を顧みずに営業戦略に走るだけでは結果が成らない。

以上、新刊書の立読みで見つけた言葉の対比:「やる」と「やらかす」、の視点を解
釈してみました。

態文法:態文法を組み上げる4

2017/11/28(火)

1-3.動詞の「複合:修飾語付加」の法則:
 前節で示した「ブロック活用表」を寺村本でも採用して寺村自身の活用表を公
表している。ブロックも寺村も活用表の中で「用言の派生と複合」の違いを明確
に説明していないが、当ブログでは派生:[挿入音素]、複合:[+]を付加して区別
する。
・派生は先行語と接辞が密結合する。(先行語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]
 接辞、、、)
・複合は先行語と助動詞が疎結合する。(先行語[+]助詞・助動詞、、、)
また、後続助動詞がそれ自身で活用するために派生を起すことがある。
同様に派生した用言が連用形・連体形の修飾機能を果す場合、複合[+]機能が働
いたと想定すると分かりやすい。
 日本語の態動詞の連体修飾と連用修飾の使い分けに関しては、特に工夫が必要
になる。
例:女は殴られた[+]男に復讐した。(連体修飾:男から殴られた)
別例:女は、殴った[+]男に/を復讐した。(連体修飾:男が殴った)
〇構文中に能動/受動の主・客が同居して、相互に修飾表現をすることが日本語
 としては可能なのだが、間違いなく理解するには慣れが必要だ。
工夫例:女は男に殴られて[+]、復讐した。(連用修飾:殴られたのは女)
別例:殴られて[+]、男に復讐した[+]女は、、、(連用修飾+連体修飾)
〇会話では、連用修飾:分詞形で表現することに違和感が少ないが、文章では連
 体修飾の構文構造が好まれるかもしれない。
関係詞を使わない日本語の場合、連体修飾と連用修飾で、表現主体の移動が起き
ることを考慮してなんとか工夫をしたいもの。
〇明確に「殴られた[+]により/から/(の)で、男に復讐した」、「殴った[+]から
 /ので、女に復讐された」というような補完(判定詞)要素が必要なのだろう。

★そこで「寺村の活用表」に加筆追加して投稿する。
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〇「ブロック活用表」では、コプラ・繋辞の活用と規定ありなので、先行単語を名
 詞 ・名容詞と想定して加筆した。やはり、コプラ・繋辞の概念を超えるべきだ。
〇「寺村活用表」では、(繋辞でなく)判定詞:ダの活用だとの規定ありなので、先
 行単語の範囲を広げて、体言・用言・説明詞(形式名詞)が複合機能で連結すると
 想定して加筆した。

→活用表右端の判定詞:ダの[+]連結できる単語を大幅に拡大して体言・用言・説
 明詞(形式名詞など)としたのは当ブログの独断なのだが、寺村一覧表では、動
 詞・形容詞の活用表と判定詞:ダの活用表は別表になっている。
 (さらに残念なのは、寺村の判定詞活用原表には複合するための先行単語につ
 いては記述がない。体言:名詞、名容詞のみを想定しているらしい。他の助動詞
 活用も同様なムード仕分けによる個別的な活用表である)
→判定詞活用を拡大する理由は、「確言ムード」を受けて、連体修飾や連用修飾を
 構成させる場合の「理由付け」「説明付け」を簡単に実現している現行文法の方
 法を活用表に採り入れるべきだからだ。
例:体言に判定詞が複合連結するとき:もう師走[+]だ。と「だ」が直接連結する。
例:用言に連結する場合:書く[+]のだ。食べた[+]のだ。寒い[+]のだ。と「の」が
 間に入る。「の」は形式名詞で先行用言を事象概念化し説明付けの態勢にする。
例:殴った[+]ので、復讐された[+]のだ。 この表現方法が使えての日本語だ。
  殴られた[+]ので、復讐を考えた[+]のだ。 この表現方法が使える。
例:形式名詞を説明付けのために使う。(簡略のために[+]形式名詞を「」で示す)
 太郎は、あす大阪に行く「予定」だ。(太郎の予定を説明付け)
 次郎は、あす東京に行く「の」が予定だ。
 犬が嫌いな「の」に猫は知らんぷり。 犬が嫌う「はず」の猫は知らんぷり。
 今、出かける「ところ」だった。

 判定詞活用になじんでくると、~「の」だ構文を流用すると連体修飾になるのが
わかるはずだ。つまり、関係詞構文のように使うこともできる。
例:殴られた「理由」が今もって納得できない「なぞ」だ。

つづく

態文法:態文法を組み上げる3

2017/11/21(火)

 前回、動詞派生の一般形式を実例2つにより示した。連結した接辞は、
①D[・/r]are[a/・]na[・/k]a(r=0[Q])ta.:受動接辞、打消接辞、完了接辞。
②D[a/・]na[・/k]a(r=0[Q])ta.:打消接辞、完了接辞。
→動詞語幹に接辞(助動詞)が密に連結・派生していくのが動詞活用である。
 動詞は正に助動詞の活用に助けられるから、活用しているように見える。
 助動詞も接辞語幹に派生接辞が密に連結・派生して活用効果を出す。
 動詞も助動詞も派生構造は同じであり、「タマネギ、ラッキョの皮むき」と似て
 いる。剥いても剥いても接辞であり、最後に現れる芯は「変化のない語幹」だけ
 だ。
(このタマネギ構造は単純だが、強い法則性で均質的な派生概念が通用するとい
うことを示すもの)

1-2.動詞活用一覧表を見直す

 動詞語幹だけでは活用一覧表を作れないから、最小限の助動詞(接辞)を組み
合せて、その動詞自体の活用法を表現しなければならない。
〇国語辞典での動詞活用表は、未然、連用、終止、連体、仮定、命令の6形態を選択
 している。(概略、動詞アスペクトを表現した構成と思える)
〇国語辞典で示す「個々の活用形」は、あたかも動詞語幹に「あ、い、う、え、お」が
 標識音として付加され「区別可能な活用形態」になったような錯覚を与える。
 「あ、い、う、え、お」の由来を記述すると、決して合理的と言えない。
 あ=[a/・]から、い=[i/・]から、う=[・/r]u、[・/s]uから、え=[・/r]ebaか
 ら、お=[・/y]ooからの母音拾い出しで活用形の識別にしたものだろう。
〇特に国語辞典で言う「未然形」は打消接辞:[a/・]na(i)につながる形態や、態
 接辞:[・/r]are、[・/s]ase、につながる形態を想定している。しかし、これら
 の助動詞(機能接辞)には有用な特定意義があり、それが連結し派生すると動詞
 語幹の意味合いから外れて別動詞の意味合いになってしまう。
→動詞語幹の意味を保ち、かつ事象描写、相・アスペクト描写ができるための最
 小限の助動詞で派生を表現する「活用一覧表」を作りたい。
★最適な研究例がある。寺村秀夫:『日本語のシンタクスと意味Ⅱ』1984年9月
 20日、くろしお出版:の第4章 活用のなかの記述に詳しい説明を見た。
→特に抜群の研究成果であるのは、バーナード・ブロックの活用表だとして紹介
 してある。当ブログ思考実験でも、「未然形の空疎さ見直し」と「完了形の組み入
 れ」を思案していたので、「ブロック活用表」は形式上の一貫性がよいという点
 に感心した。
(ただし、「活用表」を使う目的が何とも不純であり、譬えで言えば、単語の「活用
の仕方」で動詞か、形容詞か、繋辞か、を振り分ける判定道具にするような構造論
理が基にあるようだ。逆にそれが用言の共通的活用形式を見抜くことにつながっ
たといえるのかもしれない。また、日本人は「派生分析:音素解析が重要」が苦手
でも「複合分析:意味解析が重要」には強みがある。ブロックは逆に「派生分析」に
強かったが「複合分析」には疑問を残す結果だったようだ)
→寺村本を読み直して、「ブロック活用表」を引用([挿入音素]、[複合:+]を付け
 て一般形式に修正して)表示することにした。
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〇表中の「派生」について補足説明する。(繋辞欄の「複合」は次回に説明予定)
①動詞欄のD[¥/・]tar[]ooを正確に記述すると、イ音便の規則に則り、
 D[i/・]tar[・/y]oo:→ka(k=0[i])tar[・]oo→kaitaroo、
 D[i/・]tar[・/y]oo:→tabe[・]tar[・]oo→tabetaroo、
 となる。派生接辞欄でtar[]ooと記したのは、二次派生の接辞構成を示した。
②形容詞欄のK[・/k]a(r=0[Q])ta:もイ音便であり、
 K[k]a(r=0[Q])ta:→samu[k]a[Q]ta→samuka[Q]ta→samukatta、
 となる。(形容詞語幹は常に母音末なので、挿入音素:[・/k]を[k]と略記)

つづく

態文法:態文法を組み上げる2

2017/11/15(水)

1.動詞活用には「派生:接尾辞の付加」と「複合:修飾語付加」の2通りあり

 国語辞典の付録ページにある品詞分類表での定義を確認しておくと、
〇単語→自立する→活用がある(用言)→終止形語尾がウ段:動詞/イ音:形容詞
 /ダ音:形容動詞(別称:名詞に似るので、形容名詞、名容詞などという)。
〇単語→自立する→活用がない→主語になる(体言)→:名詞。
〇単語→付属する→活用がある→:助動詞。  
以上の5つの品詞が文の述語要素になるもの。
 常識的に「終止形」概念が存在して、語尾音がウ段音/イ音/ダ音で分類できる
と仮定する。 念のため付録ページには、動詞・形容詞・形容名詞の「活用一覧表」
と「助動詞の活用一覧表」を載せる辞典が多い。
→用言活用に対する定義は説明不足の部分を「活用一覧表」で補っているが、根
源的な解釈から外れるところがある。(何行何段(かな音節)活用表では語幹把握
や派生法則を正確に記述できない) 
→新しい時代に向けて正確な音素解析(ローマ字表記)で「派生」「複合」を取り上
げる。

1-1.動詞の「派生」の法則は:(必要最小限の範囲で音素(ローマ字)表記する)

→動詞語幹+[挿入音素]+機能接辞語幹(助動詞語幹)+[挿入音素]+機能接辞語
 幹(助動詞語幹)+・・+[挿入音素]+統語接辞。
 の連結構造で示すように、動詞語幹の後に「+[挿入音素]+接辞語幹」を繰返し
 付加し(後段の図参照)、意味を補足して述語を完成させる。
〇例(かな文字区切り):呼ばれなかった→呼ば・れ・な・かった。
〇ローマ字解析の一般形式:呼b[・/r]are[a/・]na[・/k]a(r=0[Q])ta.
 ・動詞語幹:呼b、
 ・[挿入音素]:[・/r]、動詞語幹が子音末なら[・:無音]、母音末なら[r]発音、
 ・受動態接辞:are、(ar[・/r]e→ar[・]e→areと派生したもの)
 ・[挿入音素]:[a/・]、先行語幹が子音末なら[a]発音、母音末なら[・:無音]、
 ・打消接辞:na(i)、
 ・[挿入音素]:[・/k]、簡略化で[k]としてもよい。
 ・ar助動詞[挿入音素]完了接辞:ar[i/・]ta→(ar[i]ta)→a(r=0[Q])ta.
  [Q]促音:あ[っ]た、の詰った音を表す。(イ音便の促音表記)
〇一般形式の特徴は、動詞語幹が子音末、母音末どちらであろうと、Dと表記し
 て「派生」を書き表せることだ。
→例:一般形式で、D[・/r]are[a/・]na[・/k]a(r=0[Q])ta.と書けば、
 ・打たれなかった、切られなかった、着られなかった、飲まれなかった、食べら
 れなかった、疑われなかった、見られなかった、忘れられなかった、渡されなか
 った、止められなかった、、、などを代表する表記となる。
 次例は、動詞語幹に打消接辞が連結する場合、
〇一般形式:呼b[a/・]na[・/k]a(r=0[Q])ta.→呼ばなかった。
→一般形式:D[a/・]na[・/k]a(r=0[Q])ta.と書けば、
 ・打たなかった、切らなかった、着なかった、飲まなかった、食べなかった、疑わ
  なかった、見なかった、忘れなかった、止めなかった、、、などを含む。
★[挿入音素]と機能接辞の関係は:
 ・機能接辞が子音語頭なら[a/・]、[i/・]のように [連結母音/無音]が配置さ
  れる。
 ・機能接辞が母音語頭なら[・/r]、[・/s]、[・/k]、[・/y]のように [無音/
  連結子音]が配置される。
→動詞「派生」の一般形式での表記法を理解するうえで、[挿入音素]の考え方が
 重要なので図を追加しておく。
(次回へつづく)
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態文法:態文法を組み上げる1

2017/11/05(日)

 昨日4日(土)夜、今泉研究会に参加して、持込み演題の動詞派生の一般形式表記
法について説明した。 論点の中心は態派生時の[挿入音素]を一般形式:[連結母
音/無音]、[無音/連結子音]で表記することにより、現状文法の「可能態」、「命
令形」での子音幹/母音幹・動詞での異形態発生(解釈)がなくなり安定派生が見
込めるということ、更に応用して、動詞、形容詞の相派生(未然・連用・終止・・・)に
ついても一般形式[挿入音素]を用いれば統一的に派生が理解できる。・・・
(説明図表は補追して後日投稿する)

 先生からは指摘と質問が山ほどあったが、要点を記しておく。
古語、文語、口語とのつながりで論証できるか?
独自用語をしっかり定義して説明してほしい。
相派生の表中に完了形も含まれているが、時制(テンス)と相(アスペクト)が混
在するのは誤解の元になるが、相を新しくどう定義したのか?
形状動詞はシ活用・シク活用とカリ活用とが文語時代から併存しており、その流
れからすると、挿入音素:[・/k]はなじまないのでは。また、動詞派生での[k]も
特定語に限るものではないと言えるのか?
[挿入音素]の連結子音:[・/r]、[・/s]、[・/y]、[・/k]は意味合いと関係付け
があるというが、連結母音:[a/・]、[i/・]の音に意味があるか?

→これに対する我流の答えは当然に不十分であり、確かに新しい概念に明確な定
 義をなさずに論を進める手抜き状態であることは感じている。
→動詞活用表(未然・・・命令)の6形態のうち、「態の助動詞すべて」を未然に連結
 するのではないと新定義しているので、活用表は純粋に相派生の一覧表になる
 はずだ。 相派生に終止形(未完了形)しか考えないのはおかしいので、完了形態
 が並ぶのが当然であり混在ではない。
 (詳細な相活用は連用形に複合する形式で:~ている、てある、ておく、てくる、
 ~しはじめる、しおわる、などの補助動詞を付加して生成する)
→完了形は、文法的にもテンス・アスペクト・ムードのどれに属するのか議論が分
 れている。 動詞連用形の一般形式で:D[イ音便/・]ta:(書イ・た/食べ・た)と
 表記するように、完了形の出自は連用形からしか生成できない形態である。
→現代文法で未然形の枠に「読もう/食べよう」のD[・/y]ooを組み入れて五段
 活用表にしたのも、未然のアスペクト補強になっている。
 (文語では「読ま・む」が意思の未然形で使われたとの示唆あり。「食べ・む」もあ
 りか:D[a/・]m・uと一般化していたか)
 補強の実を上るため(命令・仮定の次枠に)「完了形」枠も組み入れるべきだろう。

 最後に私から質問した。
→助動詞の使い方に2通りあり、動詞語幹と接辞語幹とが密結合する「派生」のほ
 かに、修飾関係や語並べ的な緩い結合:「複合」がある。区別や識別を設けるべき
 ではなかろうか?
先生は悠然として回答された。
・助動詞の定義はなんですか。そうです、付属語であり・活用する語・辞は、すべて
 助動詞と品詞分類している。

→「そう/よう/らしい」は先行語に対しても後続語に対しても「複合」で連結す
 る。「そう+だ/よう+だ/らしい+のだ」は複合した形態で「緩い断定詞」各種の
 扱いにするのは、どうですか?
・(慣用度が高い形態なら)「~~基」という扱い方ができるでしょう。

 という助言をいただいて、今回1回限りの参加を終えた。
今後、「態文法を組み上げる」の考察を通して、助動詞の使い方を整理した一覧表
を作成したい。

態文法:形状動詞:こわかる?こわがる?

2017/10/08(日)

 態文法:形状動詞にも[挿入音素]が必要か態文法:動詞強制形由来の形容詞語幹
で記述したように、形容詞も形状動詞として扱う。
 落語ネタを短縮して一行で書き出すと、
「源さんは饅頭がこわかったが、こわがった後ではお茶がこわい、と言った」
を材料に考察してみよう。
こわかる?/こわがる?/こわい、の中で形状動詞の範疇に属すのは、
こわい/こわかる?、であり、「こわがる」は動作動詞に属する。
〇形状動詞の派生一般式:形容詞語幹:K+[k]+ar系接辞、
 こわい:kowa[k=0]i、こわかった:kowa[k]a(r=0[Q])ta、
 こわかろう:kowa[k]ar[・/y]oo、
 こわかる?:kowa[k]ar[]u?、←形状動詞の終止形には不採用(動作動詞と紛
 らわしい)
・「こわかる」は無律化したとはいえ、「饅頭」がこわかる動作をしたようにも感じ
 られ、やはり末尾に「る」音が付くと形容詞には向かない?
 だから、「る」音なしの地方言葉で「こわかぁ」と発話があれば共感できる。
 (あくまでも感情感覚の表現であり、こわがる動作の表現ではない)
 一方、動作動詞として考察すると、
★「こわがる」は動作動詞であり、「こわい」という感情が何らかの身体動作に
 よって体外に表出されることを意味している。
→感情の動作動詞として広く使われる接尾語:「+がる」と定義できる。
・名詞+がる:不思議がる/残念がる/気の毒がる/迷惑がる/
 (husigi[+]gar[]u/zannen[+]gar[]u/kinodoku[+]gar[]u/、)
・助動詞+がる(たがる):書きたい→書きたがる:kak[i]ta・gar[]u、
・動詞・形容詞+がる:楽しがる/うれしがる/痛がる/寒がる/
 (tanosi[+]gar[]u/uresi[+]gar[]u/ita[+]gar[]u/、)
〇助動詞:たい/たがる、は、動詞に連結する機能接辞として派生一般式で、
例:D[i/・]ta[k=0]i:形状動詞(状態形容の動詞)
 書きたい:kak[i]ta[k=0]i/食べたい:tabe[]ta[k=0]i、
例:D[i/・]tagar[]u:感情の動きを身体動作で表そうとする動作動詞であり、
 書きたがる:kak[i]tagar[]u/食べたがる:tabe[]tagar[]u、
という「挿入音素:[i/・]の連結」で表記できる。

→古語辞典で調べてみると、「まほし」、「たし」、「たがり」は古代にも記録がある。
 特に注目したのは、「~たい」が発話者の希望感情だけでなく他者の感情記述に
 も適用したし、「~たがる」は動作動詞として発話者、他者ともに適用したらし
 いこと。 また、「ク語法」の無律接辞:-ak-が盛んな時代と重なるのだが、形容
 詞の「シク活用/ク活用」の混在時代でもあり、形状動詞活用表の整理が遅れて
 いて、「こわかる」が「こわがる」生成に寄与・影響したと論じる条件はなかった
 かもしれない。
〇国語辞典で「がる」:接尾語(複合単語)として記載があり、「たい」/「たがる」:
 助動詞(たがる:連結した形態で機能接辞)として記載がある。(助動詞活用表)
〇助動詞たい:ta[k=0]i、は形状動詞の形態で用いられるし、動作動詞と見られ
 る助動詞たがる:ta・gar[]u、も、どちらも機能接辞として差別なく使われる。
→以下、記述の整理のため補足書きする。
 「がる」接尾語を分析するつもりで、kowa[・/g]ar[]uと想定してみた。
 論証するには、husigi[g]ar[]u、nozomasi[g]ar[]uなどを含めて[g]の意義
 を見つけ出す必要がある。しかし、見つからない。
 また、成立する子音挿入音素には対応する機能接辞が存在するはずで、
例:[・/r]:自律:ar[]u/s[]u/sur[]uの動詞統語接辞-u-との連結用。
 :[・/s]:律他:as-/ase-の強制、使役接辞との連結用。
 :[・/y]:互律:ay-(古語可能接辞)、現在のmi[y]oo/tabe[y]oo:勧奨推量
  の接辞との連結用。
 :[・/k]:無律:ak-(古語ク語法)、現在の散らかる:tir[]ak[]ar[]u/寝かす
 :ne[k]as[]uとの連結用。
などのように、現用の[挿入音素]には対応する機能接辞が存在しており、それに
由来する「子音」が[挿入音素:子音]で使われている。
 ところが、[・/g]ar[]uには、ag-とかの接辞が成立せず、何律の動作律仕方に
なるのか思いつかない。だから、派生形式でなく、複合化の個別的な接尾語の位
置付けで使われるのだろう。
〇なお、古語「ク語法」に対する先行研究で大野晋(古語辞典)が記述する内容:
 「あこがれ」の原意は「あく・がる」であり、「ak-」は場所を意味し、「gar-」は離
 れるを意味する。「この場を離れる高い願望を表す」と解説する。
(古語辞典に:「ある、かる、」が「離る」だと解釈するのを確認した。だが、がる?は)
この「ク語法」に関わる「あく」推論には、当方は共感がわかない。
当ブログ文法では、
・「接辞:ak-は動作意図を無律化し動名詞化する機能」と捉える。
・「gar-」については前述のように的確な解釈を示し得ない状態だ。

態文法:態の律仕方を伝える4

2017/09/27(水)

 今回も可能態接辞:e-に関する機能について新論を記述する。
〇文語文法では、「え音」の已然形(すでにそうなっている事態を表す)の概念は
 係り結びの用法で使うのだという印象が強い。 が、単独でも使える。
〇現代の学校文法でも、仮定形(そうなっていると仮定する)に接辞:eba-が使
 われる。「え音」の已然形の概念が潜在するのだが明確な解説はない。
★今回の伝える主題は、動詞活用表の「命令形」に対する律仕方である。
 江戸期の国学者・本居春庭(「詞八街」、「詞通路」)が最初に表した活用表は、
 「未然・連用・終止・連体・已然」の5形態だったので、後継学者が「命令形」を追加
 した。学校文法でも「未然・連用・終止・連体・仮定(已然)・命令」の6形態で継承
 する。

→当ブログ態文法では、6形態「活用表」が、動詞の相(アスペクト)派生の模式表
 なのだと解釈する。その意味で「国文法の工夫の産物」と評価する。
→模式表の価値を高めるためにも次の2点を明確にしたい。
①追加した「命令形」が配置される位置は、6形態の6番目でよいのか?
②配置を決めるためには、「命令形」が意味する「動作の律仕方」を定義する必要
 がある。特に現代口語では子音幹動詞と母音幹動詞の命令形が見かけ上の形態
 が違っているので、注意深く一般化して定義すべきだろう。
→では、「命令形」の配置と律仕方の検証・考察を開始する。
★文語文法の命令形(一般形式):
 D[・/r]e:→D[]e-:(子音幹動詞):書け、読め、走れ、飛べ、(已然手前の概念)
 D[i/・]Ø[・/y]o:(母音幹動詞):見よ、食べよ、乗せよ、走らせよ(連用勧奨的)
〇文語での命令形は、「連用以上で已然手前の概念」を表現するようだ。
★口語文法の命令形(一般式):
 D[・/r]e[・/y]o:(子音幹・母音幹両動詞):書けよ、読めよ、見れよ、乗せれよ
 D[・/r]e【省略[・/y]o】:→D[]e-:書け、読め、走れ、飛べ、(子音幹動詞)
 D[・/r]【省略e[・/y]】o:→D[r]o-:見ろ、食べろ、乗せろ、(母音幹動詞)
〇口語の命令形は、「終止連体以上で已然手前の概念」を表現するようだ。

→以上の考察から、口語体の命令形は、
★動詞相派生の順序として「未然・連用・終止・連体・命令・仮定(已然)」の配置が
 ピタリなのだろう。
★命令形の一般式:D[・/r]e/o:の形態について吟味すると、
 ←D[・/r]e【省略[・/y]o】:子音幹動詞での変遷、
 ←D[・/r]【省略e[・/y]】o:母音幹動詞での変遷、
 が省力化・短縮化の結果であると説明できる。この一般式表示で問題ない。
〇可能接辞:e-(律仕方が互律)、[・/y]oo接尾辞(勧奨の互律動作)に近い呼掛
 け接辞:[・/y]oと見なせば、「互律動作」形態の動詞でも相手に対する指示命
 令の言葉になる。
 つまり、命令一般式:D[・/r]e/o:の形態は、一見すると異形態であり不安定
 に思えるが、実際は共通形態から生まれたものだといえる。
 時代変化で子音幹/母音幹での省略化に違いが生じたが、基本の相派生の位置
 も律仕方の意味も矛盾がないと分かる。

態文法:態の律仕方を伝える3

2017/09/23(土)

 前回の記事途中にて、言いさして寸止めした「可能態接辞」について態文法に関
わる重要な部分を補足したい。
〇平安期から江戸期にわたり大規模な言語社会実験のように、動詞形態の一部が
 「二段活用から一段活用への変移」した。 これを仔細に述べる能力はないので
 深入りしないが、可能態接辞が果す「態の役割」実態を指摘しておきたい。
★すべての動詞(事象動詞:D[・/r]u、D[・/r]ar[]u、D[・/r]as[]u)には、
 可能態接辞-e-を連結でき、「態の万能継手:ユニバーサル・ジョイント」の役割
 を果すことができる。

 「態の万能継手:ユニバーサル・ジョイント」を例文で示す。
★例:滝に打たれ-させ-られ-る:ut[]ar[]e-[s]as[]e-[r]ar[]e-[r]u.
 (かな解釈に合せて「-記号」を挿入して区切りを示した)
→受動-使役-受動の態動詞が継手:e[r]、e[s]で連結される。
 可能接辞:母音単音だから、e[r]/e[s]のように、[挿入音素]を[r]:自律、
 [s]:律他のどちらにも連結でき、その意味で万能継手だ。
★例:祖父が父に私を大学に行かせ-させ-た:ik[]as[]e-[s]as[]e-[]ta.
→使役-使役、二重使役の構文。
★例:父が祖父に私を大学に行かせ-させ-られ-た:
 ik[]as[]e-[s]as[]e-[r]ar[]e-[]ta. →使役-使役-受動の構文。

〇「え音」は、いわゆる動詞活用表の感覚でいうと、「四段活用の已然形、仮定形」
 であり、「下二段活用、下一段活用の未然・連用形」に相当する。
 少なくとも「動作に取りかかり、動作に目鼻がついた」状態を表現する機能を
 発揮している。(已然形の概念を端的に表す)
→対比のため、「い音」の連用形に代えると、「取りかかったままの動作」が、いく
 つも併存することなって、話し手、聞手のお互いの互律・納得の感じが進まない。
×滝に打たり-さし-らり-る:ut[]ar[i]Ø-[s]as[i]Ø-[r]ar[i]Ø-[r]u.
×大学に行かし-さし-た:ik[]as[i]Ø-[s]as[i]Ø-[]ta.
×大学に行かし-さし-らり-た:ik[]as[i]Ø-[s]as[i]Ø-[r]ar[i]Ø-[]ta.
「い音」連用形も母音単音の挿入音素:[i]と無音接辞:Øとで構成できる万能継手
であるが、自律動作の意思・意向が強く前面に出てしまい、話し手、聞手のお互い
の互律・共感が涌いてこない。

★古語時代から「ある・さす」の受動・使役動詞に対しては四段活用を用いるので
 はなく、「あれ・させ」の二段・一段活用を優先してきたのは、「え音」が持つ已然
 感覚と互律感覚が殊更に有用であったからなのだと思う。
→互律感覚とは、「互に勧奨・誘導し合うような意図的な動作:やろう、しよう」か
 ら始まり、「動作がぶつかり合う使役・受動の動作」や「大事件の不可抗力的な動
 作・被害」を含めた事態・事象に対して、「物の道理」「事の道理」「人の道理」「自然
 の摂理」に則った動作・事象であると感じ取り得心できる感覚のことである。
 「法の道理」は「物・事・人・自然の道理」を調整総合して成立つもので後追いの道
 理であるが、言語のなかでは「文法の道理」も後追いながら同様に論理の整理に
 役立つはずだ。
→冒頭に記したように、すべての動詞が可能態を派生できる。
 一般式で表現すると、D[・/r]e[r]uである。
 (「ら抜き」でなく、受動態から「ar抜き」したと見るのが可能態である)
例:watas[・/r]e[r]u→watas[]e[r]u:渡せる(子音幹動詞→母音幹動詞)
 (渡される:渡すことができると、渡すことをされる意味もある)
 nose[・/r]e[r]u→nose[r]e[r]u:乗せれる(母音幹動詞→母音幹動詞)
 mi[・/r]e[r]u→mi[r]e[r]u:見れる(母音幹動詞→母音幹動詞)
 sagas[・/r]e[r]u→sagas[]e[r]u:探せる(子音幹動詞→母音幹動詞)
 abi[・/r]e[r]u→abi[r]e[r]u:浴びれる(母音幹動詞→母音幹動詞)

例:別の派生形式で子音幹/母音幹の動詞を試す。
〇子音幹動詞の例
 ・連用形:D[i/・]te:渡して、探して(-s[i]te)、
 已然連用:D[・/r]ete:渡せて、探せて(-s[]ete)、
 受動態:D[・/r]ar[]ete:渡されて、探されて(-s[]ar[]ete)、
〇母音幹動詞の例
 ・連用形:D[i/・]te:乗せて、見て、浴びて(-e/i[]te)、
 已然連用:D[・/r]ete:乗せれて、見れて、浴びれて(-e/i[r]ete)
 受動態:D[・/r]ar[]ete:乗せられて、見られて、浴びられて(-e/i[r]ar[]ete)
→この連用形の例で分かることは、子音幹動詞よりも母音幹動詞のほうが一段
 早く已然傾向に染まっている。(当然と言えば当然だが)
・子音幹動詞の已然連用が母音幹動詞の連用形に相当し、子音幹動詞の受動態が
 母音幹動詞の已然連用の形態と似たような印象になる。
 (つまり、母音幹動詞の已然連用は、子音幹動詞の受動態と遜色ないほど可能態
 としての機能を果せる形態である)
〇後追いながらこの「態文法の道理」も役立ときが早く来てほしいと思う。
 (動詞派生を一般式表現することで新しい文法則をいくつか見つけて、投稿を
  しているわけだ)

態文法:態の律仕方を伝える2

2017/09/14(木)

 今回は、律仕方のうち「果律」:結果態、「果互律」:受動態について解説する。
★態動詞の動作の仕方:一般式=動詞語幹:D+[挿入音素]+態接辞
①能動原形態:D[・/r]u→動作:Dを「自律」でする。(自・他動詞ともに)
②可能態:D[・/r]e[r]u→動作:Dを「互律」でする。(主体・客体が互いに)
③結果態:D[・/r]ar[]u→動作:Dの「果律」がある。(結果が主・客に)
④受動態:D[・/r]are[r]u→動作:Dの「果互律」がある。(結果が主・客全体に)
〇文語体でも、④「書かれ」:未然・連用、③「書かる」:終止という下二段活用で使
 われていたから、結果・受動の形態を知っていたはずだが、次への変移:下一段
 化(終止・連体の同形化と連動)して④「書かれる」終止形態:独立単語になるた
 めには大きな言語上の社会実験を経なければならなかった。
〇今でも、ひらがな解釈に留まり続ける口語体の学校文法や国語辞典では、接辞
 形態:-ar-や-are-を音素把握していないし、説明できていない。

→「二段活用から一段活用への変移」については深入りしないが、可能態接辞が
 二次派生する実態を指摘しておこう。
★注目点は一般式:上例①~④、(前回投稿記事の強制系⑤~⑧、使役系⑨~⑫)
 の偶数丸数字の動詞には、必ず可能態接辞が付く。二次派生している。
→③結果態から④受動態への二次派生:-ar[]e[r]uの方法は、①→②と同様に
 ②可能態接辞-e-を汎用的に使用し二次派生の連結をするものである。
→同様に前回記事で⑤強制→⑥使役(強制可能)、⑨使役→⑩使役可能などでも
 ②可能態接辞-e-を汎用的に使用し二次派生の連結をするとを記述した。
★すべての動詞(事象動詞:D[・/r]u、D[・/r]ar[]u、D[・/r]as[]u)には、
  可能態接辞-e-/-e[r]u-を付加して二次派生させることができる。
→可能態接辞-e-を付けると、相・アスペクト的には「動作実行、已然状態」を表
 出できる。

 実際の受動態例文を見ながら、果律、果互律の律仕方を解釈する。
→結果態派生:D[・/r]ar-で一瞬の間をおいてから、可能態接辞:e-を連結して
 受動態:D[・/r]ar[]e-を生成すると思いながら意味を考えてください。
例:受動態の機能は「果互律」であり、「受身」専用の意味ではない。
「昨夜、隣家が泥棒に(入られ)た」:hair[]ar[]e-
「買物メモを(渡され)たが、夕方には買物自体を忘れていた」:watas[]ar[]e-
「熱くてコーヒーが(飲まれ)ない」:nom[]ar[]e-
「ゆっくりして(いられ)ない」:i[r]ar[]e-
「旅行に(行かれ)なくなった」:ik[]ar[]e-
「彼は納豆が(食べられ)る」:tabe[r]ar[]e-
「滝に(打たれ)(させられ)る」:ut[]ar[]e[s]as[]e[r]ar[]e-
「妹が小鳥を猫に(殺され)た」:koros[]ar[]e-
「そこに(立たれ)ると、何も見えない」:tat[]ar[]e-
「橋が新しく(架け替えられ)た」:kake[+]kae[r]ar[]e-
→受動態は、「動作結果のある、在る、有る」ことと、動作主体、客体、対象、事象
 (物の道理、自然の摂理)などとの互律関係を描写する機能がある。
 そのため、動作結果に至る要因や心理を説明する語句があると分かりやすい
 構文になる。
→一方、可能態:D[・/r]e[r]u、は、受動態:D[・/r]ar[]e[r]u、から結果態
 接辞:ar-を取り外して現れる形態と同じになる。(俗称「ら抜き」というが、
 本当は「ar抜き」だ) 可能態:D[・/r]e-は「動作:Dを互律でする」ことを表現
 する、つまり「事象:Dでの即応的な動作互律」を表現対象にしている。
→動作結果を洞察するような配慮を表すのは受動態の機能である。
例:泥棒が(入れ)ないように施錠する:hair[]e-、外出時の即応的な対策。
 (入られない)対策:hair[]ar[]e[]na[k=0]i、には厳重な恒久対策が必要。
 納豆が(食べれ)る:tabe[r]e-、納豆を食べる(動作)ができる。
 関西では納豆が(食べられていない):tabe[r]ar[]e[]te[+]i[]na[k=0]i、
 食べる習慣、実績・結果(=食べる+ある)がないという意味を表す。
〇行ける/行けない、考えれる/考えれない、可能態での可否表現をした場合、
 動作に対して即応的な軽い気持・意思だけの反映と感じる。
 だが、行けた/行けなかった、考えれた/考えれなかった、完了形可能態なら、
 結果を含めた述懐・回想だとの実感が強くなるが、あくまでも出来事の一場面
 での可否の対応行動に限定した述懐、個人体験の述懐だと感じられる。
〇行かれる/行かれない、考えられる/考えられない、受動態での可否表現は
 動作に対して結果状態まで予測・経験した結論的な判断だと感じる。
 受動態の場合には、行かれた/行かれなかった、考えられた/考えられなかっ
 た、と完了形になっても、時制の差を感じるが、出来事の結論的な結果に影響し
 ていないと感じる。熟慮結論型の可否判断、習慣・実績の判断表現である。

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