カテゴリー「日本語文法」の239件の記事

態文法:動詞派生の一般法則

2017/07/22(土)

 当ブログで提唱する「動詞派生の一般法則」の概要を解説する。
まず、派生の流れ図→ >態・用言派生流れ図(完成版)、を確認してから、
以下の説明を御覧ください。

1.基本法則
 国語文法、学校文法の「ひらがな解釈」でなく、「ローマ字表記による音素解釈」
を採用して、「動詞語幹や機能接尾辞などの形態素」を正確に識別する方法を用
いる。 膠着語である日本語の構文解析には、連続する文字列から機能ごとの形
態素を切り出すことが第一に重要なことだからだ。
(説明文でのローマ字表記は単語解釈部分に限定する)

2.派生法則と複合(修飾)法則
 従来文法では「動詞活用、助動詞(機能接辞)活用」などと表現するが、膠着語は
活用で変化するのではなく、動詞に機能接辞が密結合することで「意味が派生し
ていく」のが本来の姿である。
★派生法則:動詞語幹+[挿入音素]+機能接辞語幹+[挿入音素]+統語接辞→新
 機能を持った動詞の造語である。(実際に多段の接辞が続く派生操作もある)
〇動詞、形状動詞での造語派生は、例外なしに[挿入音素]を伴って接辞と連結す
 る。(従来文法では、命令形派生、可能態派生、形状動詞派生などに対しては[挿入
 音素]概念が見落されていた。挿入音素が浸透すれば、言語運用が安定する)
★複合法則:派生動詞が統語機能、いわゆる連用形や連体形の機能を持つとき、
 [挿入音素]が不必要な結合、緩やかな結合が認められる。
 その場合の挿入音素を表記するために、[+]、[+no+]、[+nano+]などを用い
 て複合法則の存在を示す。
・特に連用・連体の複合結合は文法的な修飾関係節を構成するので、[挿入音素]
 が[~連用形/連体形+後続語句]と、がっちり前後の連結を果すのだと理解し
 たい。

3.[挿入音素]の表記:一般法則化を目指す
 本来、膠着語形式の言語は、動詞の語幹末が子音/母音の両方に対応できる派
生方法を備えているはずだから、それを新形式の[挿入音素]で表現する。
★[挿入音素]→[子音末への連結音素:母音/母音末への連結音素:子音]の両面
 表現を採用する。
 実際には、接尾辞側の語頭音が母音始まりならば、[無音・/連結子音]であり、
 接尾辞側が子音始まりならば、[連結母音/・無音]で両面表現ができる。
〇動詞派生の一般式表現(動詞語幹の一般表現を「D」とする)
例:可能態動詞の派生:D[・/r]e[r]u。(子音母音両語幹動詞が可能態になる)
 書ける:KAK[・/r]e[r]u→KAK[・]e[r]u、
 食べれる:TABE[・/r]e[r]u→TABE[r]e[r]u。(必然の派生である)
例:命令形の派生:D[・/r]e/o。(両語幹動詞が一般式で命令形を派生する)
 書け:KAK[・/r]e→KAK[・]e、
 食べろ:TABE[・/r]e/o→TABE[r]e、TABE[r]o。
例:強制態動詞の派生:D[・/s]as[・]u。(両語幹動詞が一般式で強制態に派生)
 書かす:KAK[・/s]as[・]u→KAK[・]as[・]u、
 食べさす:TABE[・/s]as[・]u→TABE[s]as[・]u。

4.[挿入音素]の種類と機能接辞の種類
★[挿入音素]:一般式形態で示す。動作の律仕方も付記する。
①[・/r]:自律動作(自・他とも)を意味する態接辞など連結するときに選ぶ。
②[・/s]:律他動作(他に自律動作をやらせる)を意味する態接辞に連結する。
③[・/y]:互律動作(自他に動作を勧奨誘導する)を促す前望形に連結する。
④[・/k]:無律化(動作意図を無効化)する。形容詞に付加し形状動詞化する。
 口語体では、形容詞はすべて母音末語幹なので挿入音素:[k]で表示可能。
★態接辞の種類:-接辞語幹-で示す。接辞の意味も略記する。
①-e-:可能態接辞:動作が既に始まっている(已然概念)、互律動作(主・客が
 動作による変化、状態になる/なす)の意味を併せ持つ。
②-ar-:結果態接辞:動作が完遂した状態、結果を意味する。(文語:受動態)
③-are-:受動態接辞:動作結果が在る、有る状態(已然概念)。
④-as-:強制態接辞:律他指示し他に自律動作をやらす。(文語:使役態)
⑤-ase-:使役態接辞:他に自律動作をやらせる。(互律、已然概念、が加わる)
〇強制系態④、使役系態⑤には、態接辞①~③が連結して強制受動態や使役受動
 態などが派生できる。(二重連結で意味が破綻しないように注意すること)
★動詞文派生の[挿入音素]と助動詞接辞の連結:一般式形態で示す。
①D[a/・]na[k=0]i:動作打消し表現:
 :書かない→KAK[a]na[]i、食べない→TABE[・]na[]i。
②D[i/・]ta[k=0]i:動作願望の表現:
 :書きたい→KAK[i]ta[]i、食べたい→TABE[・]ta[]i。
③D[i/・]Ø、-te/de、:連用形、テ形/デ形:(イ音便規則あり)
 :KAK[i]Ø、KA(K=0[I])te、TABE[・]Ø、TABE[・]te[+]na[]i。
④D[i/・]soo[+]da、D[・/r]u[+]soo[+]da:動作推量、事象伝聞。
 :KAK[i]soo-、KAK[・]u[+]soo-、TABE[・]soo-、TABE[r]u[+]soo-。
⑤D[・/r]ak[]u、D[・/r]ak[・]as[]u、D[・/r]ak[・]ar[]u:無律接辞-ak-
 (古語ク語法の接辞で、動詞を無律名詞化へ派生する、それを無意図の他動詞や
 自動詞に再派生するのに使われる)
例:散る→:TIR[・]ak[・]as-、TIR[・]ak[・]ar-、散らかす、散らかる。
 :笑わすは律他動作。他が無意識で笑うようにする→:WARAW[・]ak[・]as-、
 笑わかす→笑かす:WARA([k]←W[・]ak)[・]as-:WARA[・/k]as-。
 :寝さす→:無意図化して、赤児の自律動作でなく主体の単純他動詞とするため
 寝かす:NE[・/k]as-→NE[k]as-と派生する。さらにNE[k]ase[r]uと互律
 化すれば、発話主体の忖度程度が高くなる。
★形状動詞文派生の[挿入音素]と機能接辞:一般形式で示す。
 口語体での形容詞語幹:Kは、すべて母音末だから、挿入音素:[・/k]を[k]で
 一般化しても支障がない。([k]は無律接辞-ak-を短縮化したk音を挿入音素
 に採用したもので、従来ならば、k音を活用語尾に含めていた)
①K[k=0]i:終止・連体形、K[k]u/K[k]ute:連用形/テ形、K[k]ereba:仮定
例:URESI[k=0]i、URESI[k]u[+]na[k]ereba、
②K[k]a(r=0):九州弁、K[k]a(r=0[Q])ta:完了形、K[k]ar[・/y]oo:前望
例:URESI[k]a、URESI[k]a[Q]ta、URESI[k]ar[・]oo.([Q]促音記号)

 動詞派生、形状動詞派生までの流れ図の詳細説明が済みました。
(動詞での[k]音を不思議に感じていましたが、無律接辞-ak-、挿入音素[k]の
 意味、役割に気づいたのは、今年の春です。動詞・形容詞の両方に機能発揮して
 います。無律の説明部分は前回投稿の記事と重なりました)
残りの名詞文・形容名詞文の派生一般式については説明を割愛します。

以上。

態文法:動作を律する法則

2017/07/14(金)

 (態文法:発見!挿入音素と機能接辞の同源性で記述した肝心点を詳述する)
 動作事象をどのように把握して態動詞を派生するのか、考え方を整理した。
1. 態動詞の派生一般式=動詞語幹:D+[挿入音素]+態接辞(+[r]u)
〇能動系「態の双対環」での律仕方:
①原形態:D[r]u    :挿入音素:[r]:自律動作の意(自・他動詞での自律動作)
②可能態:D[r]e[r]u :可能接辞:-e-:互律動作の意(なる/なす両義、已然)
③結果態:D[r]ar[]u :結果接辞:-ar-自律・受動の両義(動作結果ありの意)
④受動態:D[r]are[r]u:受動接辞:-are-自律・受動・互律の意(已然感あり)
〇強制系「態の双対環」での律仕方:
⑤強制態:D[s]as[]u:挿入音素:[s]:律他動作の意(他動詞:[S]uruに由来)
 →強制接辞:-as-動作を他者にやらすの意(他者の自律動作としてやらす)
・強制可能態:D[s]ase[r]u、強制結果態:D[s]as[]ar[]u、強制受動態:D[s]as
 []are[r]u、:律他動作に互律、受動、の意が連結される。
〇使役系「態の双対環」での律仕方:
⑥使役態:D[s]ase[r]u:使役接辞:-are-律他・互律(自律)の意(他者にやらせ
 、気も使う。介助的互律なら、律他・自律の意となる)
・使役可能態:D[s]ase[r]e[r]u、使役結果態:D[s]ase[r]ar[]u、
 使役受動態:D[s]ase[r]ar[]e[r]u、:律他・互律・受動の意が連結される。

★互律動作の概念を整理する。
〇互律動作(自律動作との連結:複主語構文ができる)
 已然の概念を持つ可能接辞:-e-は、自律動作が進行する状態を呼び起こす
 から、主体の動作進行と同時に事象の進行(客体の進行)の両面を描写すること
 になる。(複主語構文は動作の互律だけでなく、対象の属性、状態の説明のため
 の形式「~は~が~だ構文」として多種類のものがある)
例:彼は英語が話せる。彼は旅行が行けるようになった。
  (互律動作だから、複主語構文が可能になる)
例:彼は納豆が食べれない。(彼は納豆が食べない、とは言えない)
〇互律動作(律他動作との連結:自律動作の付加と見なす)
 律他動作に已然が連結しても他者の已然でなく、主体自身の已然に見立てられる。
例:彼は生徒に英語を話させれる。
 (可能なのは彼であり、生徒にも英語にも態表現を変えるほどの手助けが届か
 ない)

2. その他の態接辞や[挿入音素]から派生する動詞
〇互律動作に近い意味を持つ:
・前望態:D[y]oo :挿入音素:[y]:あえて互律動作に立てる(呼掛け誘導効果)
 →古語可能接辞:-ay-の名残り(行こう、見よう、など相互に自律呼掛けでき
 る。動詞活用枠を拡大して「未然形」と捉える立場もある)

〇無律化するための接辞、挿入音素を導入する動詞
①形状動詞の一般式=形容詞語幹:K+[挿入音素:k]+ar形式接辞で派生する。
・終止形:K[k=0]i:haya[k=0]i/tanosi[k=0]i:無律の性状陳述。
 →挿入音素[k]は当ブログで提起した。律する動作でなく性状・事象の概念化。
・未然、連用形:K[k]u、K[k]ute、:haya[k]u・na[k=0]i(速く・ない)
・仮定形:K[k]ereba:haya[k]ereba、tanosi[k]ereba、
・現在形(九州弁):K[k]a(r=0):早かぁ、楽しかぁ、(共通語:終止形)
・完了形:K[k]a(r=0[Q])ta:早かった、楽しかった、
・前望形:K[k]ar[・/y]oo:早かろう、楽しかろう。
②動詞の無律化名詞の一般式=D[r]ak[]u。(古語から廃れて久しいが、、、)
・曰く:iw[]ak[]u、老いらく:oyu[r]ak[]u、
③動作を無律化したのち再動詞化して律仕方を変化させる。
・無律他動詞化の一般式=D[r]ak[]as[]u(現在でも使われる)
・無律事象動詞化の一般式=D[r]ak[]ar[]u(現在でも使われる)
・散る→ちらく→散らかす:tir[]ak[]as[]u、(無律の他動詞化→自律他動詞)
・→散らかる:tir[]ak[]ar[]u、(無律の出来事陳述化)
・笑う→わらわく→笑わかす:waraw[]ak[]as[]、
・→笑かす:wara(w[]ak[])as[]→wara[k]as[]u、
 (省略が働き、-ak-が[k]に転換した)
・寝さす→寝かす:ne[k]as[]u(赤児には無律他動詞で寝かせるのが妥当だ)。

以上。

態文法:「ずる・ずらく・ずらかる」の派生

2017/07/07(金)

 次の投稿に構想していた『「ある」と「なる」、「する」と「なす」』を考察中に、ふと、
4年前に投稿済みの日本語文法:「する」と「やる」の区別のことを思い出した。
「aru/naru」と、「suru/nasu」と、「suru/yaru」と、ローマ字つづりで見てい
ると、妄想が浮んできた。 [y]aruであれば、互律[y]の意味合いがぴったり適
合するかもしれないと思ってにんまり。しかし、これは無茶な論理ですね。

 まじめな話にもどすと、国語辞典で「する」から「ずる:zuru」に目を移して気が
ついた。「ずらかる」もある。
ずる:(名)ずるいこと、人。
ずるい:(形)おうちゃくだ。こすい。
ずるける:(下一自)なまける。おうちゃくする。(古語辞典:怠ける、ものが腐る)
ずらかる:(五段自)(俗)さぼって、にげ出す。悪者が高飛びする。
(ずらす):(五段他)ずり動かす。すべらす。
・「ずらかる:zur[・/r]ak[]ar[]u」という派生流れがあるのではと感じた。
 ずらく:ずるをすること。ずるの概念。これは辞典に載ってない。
★「ずる」のク語法で「ずらかる」が生まれたのなら、ちゃっかり、ずるして、さぼ
 って、姿を消してしまう、抜け出すの意味にぴったりの造語です。
 
〇古語辞典では、「ずる」自体が載っておらず、
・「す」のク語法として「すらく:su[r]aku:すること、なすこと」で載っている。
 しかし、「ずる、ずらく、ずらかる」はない。

〇国語辞典に「ずる」があると言うことは、
・明治期に俗語として「ずらかる:zur[・]ak[]ar[]u」が造語されて姿を現した
 らしい。そのころまでは「ク語法」も少しは実用の範囲にあったのだろう。
 やはり、無律接辞:-ak-、無律[挿入音素:k]は思わぬところで機能するもの。
・「ずらく:zur[・]ak[]u」の意味は、動作意図からの「ずる」ではなく、ずるの概念
 だけを示すわけです。
・「ずらかる:zur[・]ak[]ar[]u」、ずるの概念・出来事が「ある」「あらす」と言っ
 ておいて、自分は姿を消してしまうとは、なかなか明治人もしゃれている。
 明治の善童、悪童は「ずらく」な行為を見極めていたのかな。
〇現代国語辞典で、こんなふうに「ずらかる」を解明してくれる日がくるとよい
 ですね。

 機能接辞と[挿入音素]の関係については、次回の投稿内容にも関わりますが、
背景説明は態文法:発見!挿入音素と機能接辞の同源性に示したことが
導入になります。

今回はここまでにします。

態文法:已然の-e-と可能の-e[r]u-

2017/07/03(月)

 文語文法で動詞の已然形と呼ばれた形態が、口語文法では仮定形と命名されて
残っている。
平安期~江戸期に日本語の変化がひろがり、動詞活用も大きく変化して、
・下二段から下一段化へ、
・終止形、連体形の一体化、
などが多発連動的に変化が起り、文法の簡略化にもつながるものであった。
 ただ、「已然形」の概念が弱まり、仮定条件の概念も強化にはなっていない?
あえて欲目で仮定条件を整理してみると、
・未然仮定:D[r]aba:書かば/食べらば/帰らば/変えらば、
  打消未然仮定:D[a]na[k]eraba:書かなけらば/食べなけらば
  /帰らなけらば/変えなけらば、
・已然仮定:D[r]eba:書けば/食べれば/帰れば/変えれば、
  打消已然仮定:D[a]na[k]ereba:書かなければ/食べなければ
  /帰らなければ/変えなければ、
  已然打消仮定:D[r]e[]na[k]ereba:書けなければ/食べれなければ
  /帰れなければ/変えれなければ、のようになります。
★しかし、未然の仮定形は文法化されず、現在ではなじみがない。
 さいわい、已然の方は、仮定形の名称・形態で口語文法、学校文法にも残りました。

 せっかく残った「已然の仮定形」ですから、「已然」の概念をじっくり考えてみた
い。 そもそもの始まりは?
〇已然形の特長は-e-音にあります。
・子音語幹動詞から已然形が発生した? 推定で一つの発生源を述べると、
 書き・あり:kak[i]・ari→kak・eri:書けり(書きつつあり:進行形)
 書く→書けり(進行相、すでに書いている:已然)の意味があります。
・こんな言い方は母音語幹:「食べる」ではできません。
 食べ・あり:tabe[?]ari→tabe[r]ari:食べらり?(事象:食べるがあり)。
 無茶な比較です。 kak[i/?]ari/tabe[?/r]ari、こんな[挿入音素]での派生
 比較は、他の機能接辞ではあり得ません。 間違いです。
・しかし、書ける:可能動詞と平衡するのは、食べらる:受動動詞で釣り合うはず
 だと、長い間思われてきました。ところが、本当は別の考察通路があります。
〇実際には、已然形は母音語幹動詞にもあり、もう一つの共通の発生源です。
・已然仮定形では、書けば/食べれば/帰れば/変えれば のように、子音・母音
 ともに共通接辞がつながり、已然形を形成します。
・つまり、仮定接辞:ebaにより、共通一般式:D[r]ebaで派生できます。
★だから、接辞:ebaを已然動詞化接辞:e[r]uに替えれば、共通した已然態動詞
 が誕生します。(D[r]e[r]u:書ける/食べれる/帰れる/変えれる、が誕生)
〇下二段の動詞:受け・受け・受く・受くる・受くれ・受けよ、の未然・連用の-e-音
 は、深層の意味が已然に通じるものだが、下一段化と終止・連体一体化の変化で
 受け・受け・受ける・受ける・受けれ・受けろ、となった。
・已然概念の1本軸が通った「受ける」動詞の誕生で、「受ければ」の-eba-を
 -e[r]u-に替えて「受けれる」と派生させる流れも起きたのだろう。
★書ける/食べれる/帰れる/変えれる、已然概念を持つ態動詞で、一般式は
 :D[r]e[r]uです。つまり、子音/母音語幹に共通で派生できるのです。
・派生の結果は、已然態動詞語幹:D[r]e+[挿入音素:r]+原形接辞:u、なので、
 (D[r]e)は新しい語幹になり(D[r]e)→Dですから、母音語幹系のD[r]uの動
 詞系を生み出します。つまり、
★(書け)る/(食べれ)る/(帰れ)る/(変えれ)る の( )内が新母音語幹動詞の
 扱いとなります。(已然態動詞が誕生しました)

〇なぜ、已然形の態動詞が「可能、できる」を意味するのでしょうか。
 それは、動詞基本形、動詞終止形の語尾:[r]uの力によるものです。
・動詞基本形、動詞終止形は、時制としては「現在、未来」の動作を意味します。
 已然形は「すでにやりかかった動作、進行中の動作」を意味しますから、連結・合
 成すると、「現在・未来に、やりはじめている、または、進行中となる動作である」こと
 を表出する。これが、已然態動詞が可能表現になる必然的な理由です。

 文語文法から口語文法の変化(大衆の言語活用行動がひきおこした歴史的変遷)
です。 動詞活用の方法が大きく変化する中で、可能態が已然形だけから誕生したとい
う説明は独断的な考察になるでしょうが、
・ただ、口語文法にわずかに引き継がれた已然形の概念:仮定形に残る已然概念
 の目に見える小片-e-を考察に活かしたいと思っています。
 学校文法則のなかで、已然の-e-を両語幹共通に示せるのは、仮定形しかない
 のですから。
・また、可能接辞-e[r]u-については、その素性を特定の単語に求める方法もあ
 ります。たとえば、「書き得る」のように可能を「得る」と提起する人もあります
 が、あまりにも「的を射すぎた」接辞となり、応用範囲が狭くなりすぎて同意は
 できません。
・応用範囲の広さ(自他交替接辞として自他両用されたり、受動、使役の後段接辞
 になったり、)が特徴的だが、(可能動詞が動詞活用の変化移行期の試行錯誤か
 ら生まれたがゆえに、)可能態そのものにしぼった検証が遅れたのではないか。
 已然概念で包み込まれた可能態接辞であるから、自・他動詞にも、使役・受動動
 詞にも、どんな動作動詞にも連結して意味を発揮できるのであろう。
・子音語幹の「書ける」には、前述したように、已然誕生の道が2つ(「書き・あり/
 書けば」)あり、残念ながら「書けり」の新道に迷い込み、母音語幹の仮定已然と
 出会えない状態が続いています。(迷い込んだ人は「ら抜き」に憤慨します)
・いまや現代口語文法やローマ字音素解析が進んだ日本語文法で、早く迷路から
 日本語自体を引き上げてほしいですね。

 蛇足を一つ、
・「書ける」は(書け)を母音語幹とする態動詞に派生したものだが、この動詞を
 再度、可能態派生してはいけません。二重可能態となり意味を混乱させます。
 だから、「書ける」、「行ける」、「歩ける」、「読める」、「飲める」などは、再派生に
 向かない所動性(性能、状態だけの描写)の動詞です。一回性の態動詞です。
・通常、どの態動詞も一回性の扱いですが、特に已然仮定形は正しい使い方に
 なっているから、仮定形に乗りすぎて二回可能態にしてしまうことが、誤用に
 おちいりやすい理由です。
・「書ければ」はOKで、「書けれる」は二回可能態へ飛んだことで、ダメ判定です。
・「かけれる」をPCで漢字変換すると、掛けれる、賭けれる、架けれる、駆けれる、
 懸けれる、などが出てきます。
同様に、「食べれれば」はOKですが、「食べれれる」は二重可能態でダメ判定。
・理由を思考実験すると、仮定形は:書け(るとす)れば、:書け(るのであ)れば、
 のように、仮定には隠れた「する」、「ある」が意味を支えていると思う。
・二重可能:「書け(るをするとす)」れば」→「書け(るをするとす)る」=「書けれる」?
 はダメでしょ。 (事象が存在しない) 単純に「書ける」で十分です。
 同様に「書けれた」「行けれた」「飲めれた」「食べれれた」はダメ判定です。
(二段階に強制指示する二段強制、二段使役などは事象としてありえますから、
 事象に即した使い方をしてよいわけです)

態文法:態・用言の派生を流れ図で一覧する

2017/06/22(木)

 日本語の用言:動詞、形状動詞、名詞・形容名詞の活用派生の方法を全体的に
一覧できるように「流れ図」形式で表現してみました。
〇「態の双対環」文法では、動詞語幹+[挿入音素]+機能接辞という基本から、さ
 らに一歩進める考え方で、
・汎用一般式=動詞語幹+[挿入音素]+機能接辞語幹+[挿入音素]+機能接辞
 語幹+・・・を提起するところまで来ました。
〇「流れ図」形式で動詞派生を説明しようと最初に試みたのは、
 国広哲弥:『日本語学を斬る』:研究社:2015年1月30日初版の後尾、あとがき前
 に、ささやかな流れ図:「tabe」一語のみの「動詞語尾の屈折体系」が載っている。

 これに興味を持ち、いつか全体の派生構造が一覧できる「流れ図」を作りたいと
思っていたので、御覧いただきたい。少しばかりくどい表現形式ですから、慣れ
るまでには、時間がかかるかもしれません。

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 日本語学習者にとってこの「流れ図」に親しみながら、動詞の基本4構文:辞書形、
マス形、テ形、ナイ形を覚えていくと理解が早いのではないだろうか。

〇態動詞の派生については、初級でなくて中級程度での教程となるでしょう。
「流れ図」により、原動詞からの派生順序の第一が態派生であると分かります。
それ以降の動詞派生は、原動詞と派生態動詞が併存します。
〇つまり、態接辞の優先順位が高く、動作構造に関与する機能が高いことが「流
れ図」の最初の部分ではっきりと表現されてあります。


態文法:態の全体像を把握する3

2017/06/15(木)

 態の全体像を理解するために必要な考え方は、2つの着眼点で動作を識別する
ことです。
①動作の律仕方:自律動作であるのか/他を律する動作であるのか、の識別、
②動作の発着仕方:能動(発する状態)か/所動(受ける状態)か、の識別、
律仕方や発着仕方をそれぞれ二者択一の識別で把握するのが基本ですが、すでに
「態の双対環」では、基本の自律/律他のほか、互律、無律なども説明しています
から、広がりのある律仕方です。ただし、自動詞、他動詞の区別はしないで律仕方
だけに注目します。
また、発着仕方も基本は能動/所動の区別ですが、所動には受け身表現のほか、
可能態、結果態、自発態、進行状態描写、形状様態描写なども含まれます。
逆に能動の基本は態3系(能動系/強制系/使役系)の原形態だけですから、それ
以外の可能態、結果態、受動態などがすべて所動の性質を示します。
(動作主が主語になる構文でも、可能態、結果態、受動態の構造であれば、動作の
 辿り着く状態を示唆する意味になる。これは所動の状態です)

 動作の律仕方の基本:自律/律他については、次の研究書籍が分かりやすい。
〇今泉喜一:『日本語態構造の研究-日本語構造伝達文法 発展B-』:晃洋書房:
 2009年11月20日第一刷発行
〇今泉喜一:『日本語のしくみ(1)-日本語構造伝達文法 S-』:揺籃社:2015年
 12月24日 (入門書1の形式)
・今泉本の「日本語構造伝達文法」では、実体による動詞動作を「実体の属性」と見
 なす構造を想定する。
★自律動作はまさに実体の属性であり、実体が自律的な動作属性を行う。
★律他動作の構造には主実体と他実体を想定し、主体は他に命ずるだけ、他実体
 が命じられた動作属性を自律的に行う。そういう構造を伝達するのが日本語の
 描写文法だと説明する。(研究書籍の超簡略説明です)
〇清瀬本も今泉本も進歩的な日本語文法を研究した成果ですし、両著者ともに
 膠着語であるモンゴル語を研究テーマとされた経歴があり、ウラル・アルタイ
 諸語のなかの同類として日本語を位置づけることができたのでしょう。
 表音文字を使うモンゴル語の膠着語文法は単語派生の構造が明確で分析しやす
 いのではないでしょうか。
・しかしながら、どちらの研究書も派生連結が「連結子音/連結母音」+機能接辞
 に留まっています。
〇「態の双対環」文法では、動詞語幹+[挿入音素]+機能接辞と一歩進める考え方
 で、汎用一般式=動詞語幹+[挿入音素]+機能接辞語幹+[挿入音素]+機能接辞
 語幹+・・・を提起するところまで来ました。
・[挿入音素]の法則は、機能接辞の語頭音が母音始まりならば、[挿入音素:子音
 単音]であり、先行語幹の語尾音が子音なら[挿入音素:潜在化無発音]とし、語
 尾音が母音なら[挿入音素:顕在発音]する。
・機能接辞の語頭音が子音始まりならば、[挿入音素:母音単音]であり、先行語幹
 の語尾音が子音なら[挿入音素:顕在発音]し、語尾音が母音なら[挿入音素:潜
 在化無発音]とする。
★[挿入音素]の概念を導入することにより、動詞の機能派生を汎用的に一般化
 して把握できるのです。

 論旨が横道へそれますが、いま読書中の図書は『漢字が日本語をほろぼす』田中
克彦:角川SSC新書:2011年5月25日第1刷発行、です。この本の著者も研究経歴
に、モンゴル語があります。
日本語研究にはローマ字つづりによる音素解析が重要であると分りますが、日常
の日本語としても「視覚文字に頼らない/音による伝達」、世界に通じるローマ字
つづりの日本語をもっと自分の生活にも使って、便利さを実感すべきだなと感じ
はじめてきた。
★ローマ字(アルファベット26文字)は世界共通でも、発音に合せた文字組み合
 せ:つづり方は各国で異なります。ヘボン式ローマ字つづりは世界共通になり
 ませんし、日本語の五十音表の並びを乱す原因になります。
 訓令式では、第一表には五十音式つづりを載せて、第二表に少数のヘボン式つ
 づりを補追し慣例上の用法も残せるようになってはいる。一般使用では第二表
 を極力使わないようにすればよいのだろう。
・訓令式だけでは表現範囲がせまいのと、日本語の古典書物のローマ字化などに
 対応することを想定すると、田中舘式(日本式)が一番広範囲な五十音表に拡張、
 順応できるものと思う。
 国際標準規格でも訓令式、日本式の両論併記になっているらしい。
・日本式ローマ字つづりの国際標準規格:ISO-3602(1989年)をベースにして、
 日本語のローマ字つづり書籍を増やしていくことが最善策と思う。
 (日本行政は日本式を積極的には推進していないようだ。例えばパスポート用
 署名にはヘボン式に固執している。また、長母音文字のキー入力にもてこずる
 から、本格普及にはPC側の改善が必要なのだと思う)
・当座の措置としては、母音二重化で長音表示に当てるという99式(梅棹式)を
 部分限定で借用するか、、、

 本論へもどる間もなく余力なしになってしまった。
ここで一区切りします。

態文法:態の全体像を把握する2

2017/06/08(木)

 動詞、形状動詞などの「活用」は、本来の膠着語の文法則に従えば「接辞を追加
膠着させて機能を順次派生させること」に相当する。
・動詞「派生」には、以下のような段階があり、「派生」に「派生」が重なっていく。
①自他交替「派生」:動詞語幹に接辞を付加して自動詞、他動詞を派生する。
②態「派生」:動詞語幹に接辞を付加して動作、被動作の向い先(対向関係)を交替
 する派生をさせる。(①、②の動詞派生は、単語生成の機能です)
③相「派生」:動詞語幹に接辞を付加して動作の進捗描写(構文機能)を派生する。
④助動詞「派生」:動詞語幹もしくは「相派生の特定相」に接辞を付加して動作の進
 捗描写(構文機能)を補強派生する。
〇動詞(用言)は「活用する」のではなく、「機能接辞により派生する」のだ。
 (清瀬義三郎則府:『日本語文法新論-派生文法序説』:桜楓社:1989年、
 『日本語文法体系新論―派生文法の原理と動詞体系の歴史』:ひつじ書房:
 2013年、)
・清瀬本で提起された「文法新論-派生文法」の原理と、「ほぼ等価の派生方式」を
 当ブログの「態の双対環」態文法では提案しています。

〇まずはじめに、「態の双対環」態文法が有利な点をしめします。
・動詞(用言)の派生を汎用式で書き表わせます。[挿入音素]の概念が有利です。
 汎用式=動詞語幹+[挿入音素]+機能接辞語幹+[挿入音素]+機能接辞語幹・・・
・「態の双対環」文法では、上記の①自他交替派生、②態派生に使う機能接辞群を
 単語生成接辞と見なし、汎用式の初段階で使います。
 ③相派生、④助動詞派生に使う機能接辞群を構文機能接辞、助動詞接辞だと見
 なします。(どちらも派生の方法は汎用式に従い③、④の順に連結します)
★「態の双対環」を一般式で表記する。動詞語幹をDでしめす。
〇能動系の場合:D[r]u/D[r]e[r]u/D[r]ar[]u/D[r]ar[]e[r]u、
 動詞例:kak[r=0]u/kak[r=0]e[r]u、(書く/書ける、)
 /kak[r=0]ar[]u/kak[r=0]ar[]e[r]u、(/書かる/書かれる、)
 動詞例:mi[r]u/mi[r]e[r]u、(見る/見れる、)
 /mi[r]ar[]u/mi[r]ar[]e[r]u、(/見らる/見られる、)
〇D=kak:子音語幹/D=mi:母音語幹の両方に対して、共通一般式で概念表記
 できるのです。(書ける、見れる、が共に派生成立するのが公平です)
★機能接辞が真に強い有用性を持つならば、母子両語幹の動詞で区別なく機能を
 派生できることが公平な文法則と言えるのです。
 ([挿入音素]という公平な連結音素を導入したので、母子両語幹に公平になり
 ます)
〇「態の双対環」の強制系、使役系については、挿入音素:[s]をはさむ。
・強制系:
 D[s]as[]u/D[s]as[]e[r]u/D[s]as[]ar[]u/D[s]as[]ar[]e[r]u
・使役系:D[s]as[]e[r]u/D[s]as[]e[r]e[r]u/D[s]as[]e[r]ar[]u
 /D[s]as[]e[r]ar[]e[r]u
 (ここでは説明を割愛)

 つぎに、動詞文用法の派生について概観する。
★相派生:学校文法で動詞活用と呼ぶものを「相派生」だと見なします。
 動詞構文を作るための基本形式が、未然・連用・終止・連体・仮定(已然)・命令で
 しめせる。(動詞単語生成でなく、その動詞を使って動作進捗を描写します)
・一般式:D[a]na[k=0]i/D[i]mas[]u/D[r]u/D[r]u-/D[r]eba/D[r] (e/o)
 動詞例:kak[a]nai/kak[i]masu/kak[r=0]u(書かない/書きます/書く)
 /kak[r=0]eba/kak[r=0]e、(書けば/書け、)
 動詞例:mi[a=0]nai/mi[i=0]masu/mi[r]u(見ない/見ます/見る)
 /mi[r]eba/mi[r]o(見れば/見ろ)
〇命令:D[r]e/o:書け/見ろ、のほか、母子両語幹ともに「書け/見れ」という
 形態がありえます。一般式はそのことにも対応できる。

・相派生の一般式としては、現実的にもう一つの形態があります。
 文語体の時代で「態の双対環」が確立していれば、条件接辞:aba:未然、/eba:
 已然が使われて、未然:D[a]baではなく、未然:D[r]abaとなったはず。
★一般式:未然:D[r]aba/已然:D[r]eba、が現在まで形を残したかもしれない。
 打消し条件では、D[a]na[k=0]iに後付けて、
★D[a]na[k]ar[]aba:書かなからば/見なからば、(打消し未然条件)
★D[a]na[k]ereba:書かなければ/見なければ、(事前打消し已然条件)
 が現在でも理論上は使えるはずです。
また、naiを派生させるのは形状動詞の派生と同じですから、
★形状動詞の条件法一般式:形容詞語幹:Kとして、
 K[k]araba:美しからば、早からば、強からば、寒からば(未然仮定条件)
 K[k]ereba:美しければ、早ければ、強ければ、寒ければ(已然確定条件)
と応用できる。
・形状動詞の相派生を一般式で表すと、
★K[k]ar[y=0]oo/K[k]u・/K[k=0]i/K[k]ereba、
 形状動詞例:早かろう/早く・ない、・ても、/早い、早い・時間/早ければ、
 となる。
 語幹と接辞の間には、必ず挿入音素をはさむという原則を[k]で果します。

 前回の古語ク語法接辞:-ak-:は平安期以降の使用例が少ないようだが、誤用
例も多いらしい。
★当時に[挿入音素]の概念があったならば、
・一般式:D[r]ak[]u、であるから、[挿入音素]の顕在/潜在を正確にすると、
 例:曰く:iw[r=0]ak[]u/老いらく:oyur/oir[r=0]ak[]u
 /願わく:negaw[r=0]ak[]u、など正しい発話操作ができるが、
・古き時代では、「く/らく」を未然、連体などに付加するという法則に留まって
 いたから、
 誤用例:×望むらく:nozom[r]ak[]u→〇望まく:nozom[r=0]ak[]u、
 ×惜しむらく:osim[r]ak[]u→〇惜しまく:osim[r=0]ak[]u、
 ×疑うらく:utagaw[r]ak[]u→〇疑わく:utagaw[r=0]ak[]u、
 など誤用(連体形に[r]ak-付加の誤用)が広がり、逆に〇印の正解用法(子音語
 幹+[r=0]+ak-付加が正解)がなじまなかったのだろう。

 [挿入音素]の概念が現代でも広まっていないのは残念です。
真に必要な機能接辞ならば、母子両語幹に公平に派生するべきで、[挿入音素]は
そのための鍵になります。なんとか早く普及したいものです。
(つづく)

態文法:態の全体像を把握する

2017/06/03(土)

 さて、「態の双対環」文法で提起した「態の全体像」を把握し直してみよう。
->当ブログ既出の[挿入音素]を引用再掲すると、
★態の機能接辞と[挿入音素]との対応関係が同源的に完全一致する。
①結果態接辞:-ar-:  ・・・・  挿入音素:[r]:自律動作(自他動詞ともに適用)
②強制態接辞:-as-:  ・・・・  挿入音素:[s]:律他動作(強制、使役に適用)
③古語可能接辞:-ay-: ・・・  挿入音素:[y]:互律動作(前望、意向に適用)
③現代可能態接辞:-e-:意味的に互律(挿入音素は[r]自律が多い)
④古語ク語法接辞:-ak-: ・・ 挿入音素:[k]:無律概念(形状動詞、無律動詞)
 (形状動詞:[k]ar-、動詞:-ak・as[]u:無律概念+強制で自律他動詞化)
〇他に母音[挿入音素]には[a]、[i]があり、[i]音便表記の[I][Q][N][¥]を定
 義した。
<-引用おわり。

 動作の律しかたを識別することは、態を精確に識別することにも通じるので、
整理しておこう。
★動作主体から見た「能動・律しかた」を①~④で示してある。
 (まず基本として動作主体の能動・律しかたを解説する。受け身側の所動・律し
 かたは後段で述べる)
★子音挿入音素が顕在化するのは、母音語幹の動詞に①~④の機能接辞が連結す
 るときだけです。(挿入音素[r]、[s]は分かりやすいが、[y]、[k]には馴染がな
 いでしょうね。)

・③の[y]は、例:見[y]oo、はじめ[y]oo、届け[y]ooなど自律的な前望、意向と
 同時に、聞き手を含めてお互に自律的同調的な行動呼びかけの動作として使わ
 れることを考慮した「互律」概念を表すものです。
・③現代可能態接辞:-e-:誕生経緯は諸説あるが、書k[i]ari→書k・eri(已然)
 →書k[]e[r]u:(子音語幹動詞)の変遷が理解しやすい。
 母音語幹動詞では、見[r]e[r]u、はじめ[r]e[r]u、届け[r]e[r]uとなるべきと
 当ブログでは新論提起している。
(可能態は必須機能だから挿入音素[r]を挟んで、全動詞と連結すべきです。
 一般式:動詞語幹+[r]+e[r]uにより、書ける、見れる、が派生できます)
・③「互律動作」とは、自律・同調的動作であり、「人と物との互律動作」も含む。
 例:割る(人の自律動作)→割れる(人と物の互律動作)→人:割るをなす状態、
 物:自然に割れる(自発)、割るになる状態を表す。
 (割れる:状態動詞に近づき、所動相とみてよい)

・④無律接辞:-ak-、挿入音素:[k]については、珍しい提起ですから、くわしく
 解説する。(挿入音素:[k]の形式で提起するのは今の所、独自説です)
★古代より、自律、律他の動作識別に対して敏感な感性があったと推測できる。
・自律他動詞:自律動作として対他に動作を加える。(書く、読む:直接行為)
・律他(自他)動詞:対他に自律動作をするように仕向ける。動作内容は他の自律
 動作により左右される。(書かす、読ます:動作内容は相手次第)
★律他自律転換他動詞:動作を無律化したうえで他動詞化する(無律他動詞)方法
 が考案されていたのです。
・対他の自律動作に任せた仕向けでは、動作内容が保証できないので、無律化動
 作として内容概念を固定化してそれを他動詞化すると、明確な動作指示ができ
 る。
例:散る:自律自動詞(花が散る)、散らす:tir[]as[]u:律他他動詞(風が花を散ら
 す)、散らく:tir[]ak[]u:散るという情景概念、散り重なった状態概念。
 ・散らかす:tir[]ak[]as[]u:自律他動詞(部屋を、オモチャを、散らかす)。
 (普通なら散らすでは、「部屋を散らす」と言えない)
 ・散らかる:tir[]ak[]ar[]u:所動・自動詞(部屋が、オモチャが、散らかる)。
例:おびえる:自律自動詞、おびえらす?おびえさす?対他の自律動作でおびえる
 とは、おびえの様態が不鮮明だ。おびやく:obiy[]ak[]u:おびえる概念化。
 ・おびやかす:obiy[]ak[]as[]u:自律他動詞(彼を、経営を、おびやかす)
 (おびやく概念の感じ方を説明しにくいが、おびやかす:他動詞化になると明確
 に感じられる)
〇同類に、あまえる→あまやく→あまやかす、など思いつく。また、変形類似には
 ・寝さす:ne[s]as[]u→寝かす:ne[k]as[]u、
 ・だます:?dam[]as[]u→だまかす:?dam[]ak[]as[]u、?dama[k]as[]u、
 などが実在する。

★④無律接辞は上記のように、強制接辞と連結することで律他性を無効にし、
 (直接行為の)自律の他動詞化する用法が多いようです。
・無律化の用途は限定的なので、特定動詞を生成するだけに利用されてきたのだ
 ろう。生成した動詞も単純に他動詞(または自動詞)として解釈できるから、特
 別な派生系統として区別しなくてよい。
〇従来の研究では「ク語法派生による名詞化」を拾い上げて解釈することが多か
 った。ここでは一歩踏み込んで、名詞化=無律化、状態概念化の仕掛けに態接辞
 を後続させた「動詞化派生」をくわしく説明した。
・また既に、形状動詞の挿入音素:[k]への利用(無律状態の利用)をすでに提起し
 ている。

 (次回へつづく)能動/所動の律仕方一覧を作成したい。

態文法:繋辞、断定辞に[挿入音素]なし

2017/05/29(月)

 さて、「態の双対環」文法で提起した[挿入音素]を全部並べてみよう。
->当ブログ既出の[挿入音素]を引用再掲すると、
★動詞、形状動詞に対応する[挿入音素]が機能接辞と同源的完全一致するのを
 見出せます。
・結果態接辞:-ar-:  ・・・・  挿入音素:[r]:自律動作(自他動詞ともに適用)
・強制態接辞:-as-:  ・・・・  挿入音素:[s]:律他動作(強制、使役に適用)
・古語可能接辞:-ay-: ・・・  挿入音素:[y]:互律動作(前望、意向に適用)
・古語ク語法接辞:-ak-: ・・ 挿入音素:[k]:無律様態(形状動詞、無律動詞)
〇他に母音[挿入音素]には[a]、[i]があり、[i]音便表記の[I][Q][N][¥]を定
 義した。
<-引用おわり。

★形容名詞:KM、名詞:Mは母音語幹であり、[挿入音素]は新たに必要としない。
・(形容)名詞単語に「格助辞+機能接辞(繋辞・断定辞)」が付属する形式で派生し
 て構文化する。両者共にほぼ同様の形態で表される。
・形容名詞用法:KM:(代入例:きれい、元気、愉快)と併行して
・名詞用法:M:(代入例:学校、地震、夢)を共通式で派生させことができる。
〇共通一般式表記:
 KM/M[]d(e=Ø)ar[]ou←きれい/学校・だろう、
 KM/M[]de,ni,d(e=Ø)a(r=[Q])ta←きれい/学校・で、に、だった。
・KM[]n(i=Ø)a(r=Ø),←きれい・な:【形容名詞の連体形】
・M[]no,←学校・の:【名詞の連体形様】、後続に名詞が必要となる。
★KM/M[]nano・da,nano・ga←きれい/学校・なのだ、なのが、(なの=形式
 名詞化する。つまり、「なの」形式では、KM/M共通となる)
(動詞:D、形状動詞:Kも連体形:D[r]u,K[k=Ø]iに直接noda付加して、
 走る・のだ、速い・のだ、と断定文を作れる)
 KM/M[]de・areba,n(i=Ø)areba←きれい/学校・であれば、なれば、
 KM/M[]de・na[k=Ø]i←きれい/学校・でない、
 KM/M[]des[]u,-des[i]ta,-des・[y]ou.←きれい/学校・です、でした、
 でしょう、
〇以上のように、形容名詞と名詞の用法には共通性があり、連体形に差があるの
 みです。

 さて、繋辞・断定辞について整理しておこう。
〇「です・ます調」とか「常体・敬体」とかの名称ではなく、
①断定調詞:~(の)だ、(なの)だ、(の)だった、、、
②説明調詞:~です、(の)です、(なの)です、(なの)でした、、、
③率先調詞:~(し)ます、(~にし)ます、(~にし)ました、、、(動作動詞系)
と少し軽い気持で区別すると、若者の発話意図を誘導できるのでは?
 それで、構文形式:動詞文・形状動詞文・形容名詞文・名詞文のどれにでも、
①~③の調詞を付けて発話することが多いのですから。
〇ついでに将来を遠謀深慮するつもりで、日本語の構文が10年、20年先に
 どんな変化をしているか考えます。
一つ目の予測は、「構文はすべて終止形止めで終るだけ」か、
二つ目の予測は、「構文はすべて①~③のどれかを付加して終る」か、
三つ目の予測は、「構文は、終止形止めか、①~③調詞付けで終るかの混在」か、
(現在は、三つ目の予測と似た状況にいる)
★書く・だ/書く・のです/書き・ます:20年後には広まっているかな。
★早い・だ/早い・です/早く・します:20年後には広まっているかな。
★元気・だ/元気・なのです/元気・にします:現在進行中。
★ウナギ・だ/ウナギ・なのです/ウナギ・にします:現在進行中。

 繋辞は「甲が乙だ」と甲乙を等価な物として表現するわけではない。
関係のある側面を説明するだけで、嘘もあれば、本当もある。繋辞には等価にす
る力もないし、発話の中で甲乙の対向構文を断定・措定するだけなのです。
つまり、繋辞の機能は断定調詞、説明調詞に包含されるものと解釈してよい。
〇「太郎は、明日大阪へ行く予定だ」の意味が、「太郎は(100%)、予定だ」と分析
 する人はいないだろう。太郎を構成する僅か1%が「予定」かもしれない。
 大阪の関係者にとっては「太郎は予定」が70%かもしれない。
 しかし、「太郎が予定そのものである」とは誰も考えない。(だが誤解する言語学
 者も少数は存在する。繋辞が等価能力に満ち溢れている?と見るのか?)
〇普通人には「~予定がある」「~予定にします」「~予定なのだ」などの調詞語彙
 には調子を合せて「断定/説明/率先/有無」を見分ける理解力があります。
 「象は鼻が長い」→「象は長い鼻だ」、「象は鼻だ」、文脈を辿れば皆同じ意味だ。
〇「太郎は予定が明日大阪へ行くだ」、「次、君は名前が何というのかね」、「ぼくは
 ウナギにするよ」、「彼は母親が教師です」、「日本語は会話が意外に簡単です」、
・これらの例で「~は~が」で切って、「~は~だ」とした構文が会話の場では頻繁
 に現れる。「太郎は予定だ」、「君は名前だ」、「ぼくはウナギだ」、「彼は母親だ」、
 「日本語は会話だ」のような簡略構文が現れても、居合せている人には十分理解
 できる。
★「~だ」:断定調詞は、「~は~」を一括りの構文だと「断定する」機能を果す。
 会話の場で既に繰り返し語られる主要部分を省略しても支障がない。
 場の文脈に依存する形式となるが、日本語の構文法はそれを許容します。
・もちろん、会話の場に登場していない部分を抜き落し、いきなり簡略構文を発
 話するのはご法度で、聞き手には何も思い浮ばず、理解できないでしょう。

態文法:「ク語法」を現代的に解釈する

2017/05/20(土)

 さて、「態の双対環」文法で考察した「ク語法」の意味・解釈の方法を詳細に説明
しよう。
->まず前回の肝心部分を再掲する、
★機能接辞と挿入音素との同源的完全一致の姿を発見できたのです。
・結果態接辞:-ar-:  ・・・・  挿入音素:[r]:自律動作(自他動詞ともに適用)
・強制態接辞:-as-:  ・・・・  挿入音素:[s]:律他動作(強制、使役に適用)
・古語可能接辞:-ay-: ・・・  挿入音素:[y]:互律動作(前望、意向に適用)
・古語ク語法接辞:-ak-: ・・ 挿入音素:[k]:無律様態(形状動詞、無律動詞)
〇D[y]oo:書こう、見よう:主体相互に自律動作を呼びかける用途に適する。
〇K[k]a(r=[Q])ta:美しかった、強かった:無律(意思なし)の動詞化。
〇D[r]ak[]u:曰く、すべからく、老いらく:無律無意思での動作様態。
 ・笑わす:他が意識して笑うように仕向ける。に対して無律状態を想定した上
 ・笑かす:wara・k・asu←waraw・ak・asu:無意識の笑いを仕掛ける。
 ・たぶらかす:←tabur・ak・asu←tabur・aku←taburu:たぶるを無律化。
 ・思惑:←omow・aku←omou:思うを無律化。
<-引用おわり。

 今回は、古語ク語法接辞(以下=無律接辞と呼称する):-ak-と挿入音素:[k]
に絞り込んで考察を述べる。
★まず、自律・律他・互律・無律という言葉を聞き分けることができますか。
・「律他」は「他を律する」の意味で造語したもので、精確には「他が自律動作とし
 て指示された動作をする」という意味を表します。
・「互律動作」はお互に自律動作を勧める表現、動作意思を起させる表現の意味で
 造語しました。
・「無律」は、自律・律他・互律などの動作意図から離れた「動作事象・形態性状」を
 「(用言を)体言化した概念」として表現する意味で造語しました。
つまり、動作の意図、意思が自分にあるのか、他にあるのか、何処にもないのかを
表現する概念を、この四種類の「律」で表すものです。
〇当ブログ「態の双対環」文法では、自律(能動)・律他(強制)の概念を基礎にして
 さらに互律(使役、可能)・無律(形状、所動)の概念もその延長線上に並べること
 も考えてきました。

★解りやすく単語例で検討すると、
例:笑う:warau←自、他(自律)
 笑わす:waraw[]as[]u←他(強制:律他):主体は仕向ける、他が自律で笑う。
 (つまり、笑うのは他の自律意識・判断により成否が決る)
 笑わく:waraw[]ak[]u←(体言化:無律):笑いの概念化。
 笑わかす:waraw[]ak[]as[]u←他動詞:対他に(無意識での)笑いを引き出す。
 笑かす:wara・k・as[]u←省略化他動詞:対他に(無意識での)笑いを引き出す。
 (つまり、連結した接辞:-ak・as-は、無律(無制御・無情化)+律他=自律(他動
  詞)に相当することになる)

例:×赤ちゃんを寝さす、と言わず、〇赤ちゃんを寝かすと言う。
 寝る:neru:自(自律)
 寝さす:ne[s]as[]u:←他(強制:律他)主体は仕向ける、他が自律で寝る。
 寝かす:ne[k]as[]u:←他動詞(自律)主体が対他に眠るように行動する。
 (つまり、[k]asuは、無律(無情化・無制御)+律他=自律(他動詞)となる)
・寝さす:赤ちゃんが自律行為で寝るように仕向ける。(主体は仕向けるだけ)
・寝かす:主体が赤ちゃんに寝る行為を与える、誘導する。自律他動詞化。
・寝かせる:ne[k]as[]e[r]u:←無律+律他+已然状態=互律に近い他動詞。
 (可能態接辞:e[r]uは「寝る」から「眠る」に掛る事象進行を内包しますので、
 主体と赤ちゃんが協同動作として寝る状態を為していると解釈します)
脇道に逸れるが、可能表現が「互律」に近い意味合いを含むことを補足する。
・寝させる:ne[s]as[]e[r]u:←寝さす:強制律他の動作に可能態接辞:e[r]u
 が付加すると、その進行状態(已然状態)に主体が関わる意味が加わり、他と
 主体との「互律動作」の意味合いを感じさせます。
 (強制態よりも使役態のほうが柔らかな表現に感じるのは互律的意味合いに
 よるものと思う)

例:「だまされる」と「だまかされる」とで被害者後悔意識が強いのはどっち?
・だます:damas[]u:←他動詞(能動・主体自律):dam[]as[]uが見え隠れ。
 (dam[]asuの意味が涌いて来るので被害者の自律行為が邪推される)
・だまかす:dama・k・as[]u、dama[s→k]as[]u、damas[]ak・as[]u。
 (dam[]ak・as[]uなら被害者の自律性がなく、主体の自律的だまし行為)
被害者が「だまされた」と感じるほうが後悔感や自責の念が強い。
「だまかされた」と感じるとき、後悔感よりも(犯人憎し?)の感じが強い。
〇本来、「だます」は能動他動詞であるから、主体が対他に直接動作する意味
 だが、dam[]asuの-as-が強制態を想起させるので、対他がdam-動作を
 自律的に行うという「誤誘導」があるのだろう。その誤誘導を避ける手立てが
 「だまかす」なのです。この意味合いの違いを「だまかされなければ」免許皆伝
 でしょう。

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