カテゴリー「日本語文法」の227件の記事

態文法:[挿入音素]が語幹・接辞の連結役

2017/04/15(土)

1.派生文法と「態の双対環」文法の見比べ

 前4回にわたり派生文法(清瀬本)の考え方と「態の双対環」文法(当ブログ)とを
見比べてきました。(挿入音素の役目を述べて全体の補足とします)

〇派生文法:動詞語幹+「連結子音/連結母音」+派生接尾辞、を原則におく。
 ・子音語幹+(連結母音)・子音語頭派生接辞、(母音語幹+子音語頭派生接辞)
 ・母音語幹+(連結子音)・母音語頭派生接辞、(子音語幹+母音語頭派生接辞)
 常に(連結音)と子音語幹、母音語幹を並べて考察する必要がある。
〇「態の双対環」文法:動詞語幹+[挿入音素]+機能接辞、を原則におく。
・[挿入音素]=「連結子音/連結母音」と見なせば、考え方は同一です。

 さらに、[挿入音素]概念には大きな利点があります。
★動詞派生一般式:動詞語幹(子音/母音:両方対応可能)→Dと表記:
 =D+[挿入音素:1個の音素]+機能接辞、で派生機能を説明可能となります。
  この一般式:D[挿入音素]機能接辞の形式ですべてを考察できます。
・例:可能動詞の一般式:
 =D[r]e[r]u←動詞語幹:D、挿入音素:[r]、可能接辞語幹:e、挿入音素:[r]、
  終止接辞:u、という派生が簡単に表せます。
・実例:書ける←kak[r=Ø]e[r]u、 食べれる←tabe[r]e[r]u、
 (本来、可能動詞は子音、母音語幹で派生できる:見れる、来れる、変えれる、、)
・挿入音素:kak[r=Ø]e[r]uでは、kak[r:無音化]e[r:有音化]uして発話し
 ます。実例表記では、kak[]e[r]uのように無音化を[]で表せばよい。これで
 語幹の区切りも明示できます。
★派生を一般式で表すことに慣れると、語幹(子音/母音)両方を平等に考察でき
 ます。
・機能接辞が本質的に必要な機能ならば、子音・母音語幹の両動詞に接続して
 「意味を生成させる」べきもので、それに対して「挿入音素」が役目を果します。
・[挿入音素]を度外視するような片側語幹だけの派生考察に対しては、違和感を
 感じるようになります。

・前々回、態文法:形状動詞の派生と挿入音素、で記述したように、
★「態の双対環」文法:形状動詞でも、[挿入音素]が必要なはずと考察して、
 派生一般式=K:形状動詞語幹(母音多し)+[挿入音素]+機能接辞、と徹底。
  =K[k=Ø]i/K[k]a(r=[Q])ta/K[k]ar[]oo、
・実例:高い:taka[k=Ø]i/高かった:taka[k]a(r=[Q])ta
  /高かろう:taka[k]ar[]oo、
・実例:高し:taka[s]i、強し:tuyo[s]i、早し:haya[s]i、など動きや変化を言う
 場合の挿入音素は[s]だろう。が、「高さった、高さろう」などの派生はない。
〇形状動詞の挿入音素:[k]は、動きでなく「状態・様態」に対する意味付けであり、
 「動き・変化」の意味付けの挿入音素:[s]と区別できる。
★挿入音素[k]は、動作動詞でも使用することがあり、[s]、[r]と違い、「動きの
 意図を無にした状態を出現させるために挟み込む」ものです。
・例:寝かす:ne[k]asu←ne[s]asu、笑かす:wara[k]asu←waraw[]asu、
 だまかす:dama[k]asu←damasu、など、相手の「意図を越えた状態」を出現
 させるため、[k]を挿入しているのでしょう。

2.挿入音素の特長:

 六動詞形を一般式で表現すると、通常、未然形[a]、連用形[i]の挿入音素がつく。
★D[a]nai、D[i]masu、D[r]u、D[r]u-、D[r]eba、D[r]e/o
 だが、母音語頭の機能接辞:abaを未然条件で使用する場合、
・D[r]aba→住まば:sum[]aba、見らば:mi[r]aba、出らば:de[r]aba、
 のように、挿入音素[r]もあり得ることです。
・連用形は、挿入音素:[i]-だけでも使用するほど強い動作相ですね。
 (おそらく母音語頭の連用機能接辞がないのでしょう)
〇学校文法で言う動詞五段活用表の「活用語尾:あいううえ」の「あ」「い」は挿入
 音素[a]、[i]であり、「う」「え」は機能接辞の語頭音です。
★「態の双対環」文法として、「六動詞形派生表は基本アスペクト一覧表である」
 と捉えて、
・一般式:D[a]nai、D[i]masu、D[r]u、D[r]u-、D[r]eba、D[r]e/o、に加え
・第2一般式:D[r]aba、D[i]masu、D[r]u、D[r]u-、D[r]eba、D[r]e/o、の
 条件接尾辞の未然形・已然形の揃いを示すと、未然形の挿入音素:[a]音、接尾辞
 の「あ」音の位置付けが明確になり、誤解が避けられるはず。
★態動詞派生の一般式:態の接辞が「as/ar/e[r]/ase[r]/are[r]」と母音
 語頭であるから、母音語幹動詞には挿入音素:[s]、[r]の子音挿入音素を挟み込
 む。
・「態の双対環」は「態の基本アスペクト一覧表」だと見なせます。
〇能動系:動詞語幹:D(子音語幹ならD[]、母音語幹なら[r]を挿入)
 ・原形態:D[r]u→可能態:D[r]e[r]u、(事象→已然)
   ↘結果態:D[r]ar[]u→受動態:D[r]are[r]u。(結果事象→已然)
〇強制系:D[s]as:(まず強制接辞を付加し)これを新たなDで表す。(子音語幹)
 ・原形態:D[]u→可能態:D[]e[r]u、(事象→已然)
   ↘結果態:D[]ar[]u→受動態:D[]are[r]u。(結果事象→已然)
〇使役系:D[s]ase:(まず使役接辞を付加して)新たなDで表す。(母音語幹)
 ・原形態:D[r]u→可能態:D[r]e[r]u、(事象→已然)
   ↘結果態:D[r]ar[]u→受動態:D[r]are[r]u。(結果事象→已然)
★可能態接辞:e[r]u、は、自他交替、他自交替、可能発話など多機能ですが、さら
 に態動詞の已然形としての機能が内包されています。
・作例:
 生きる:事象叙述、→生きれる:体験叙述、→生きれた:体験述懐。
  ↘生きらる:結果事象、→生きられる:経験叙述、→生きられた:実績述懐。

3.[挿入音素]の制約:

 [挿入音素]は、単一音素で挟み込むのが原則です。

・子音語幹動詞には[a]、[i]の挿入音素を説明した。発話に際して、「未然・連用」
 に対する表現の予告標識音になります。
〇[i]te、[i]taの連用形接辞では、イ音便として[I]、[Q]、[N]、[¥]を挿入音素
 表記に定義した。

・母音語幹動詞には[r]、[s]、[y]、[k]を挿入音素として定義した。
 この形態の挿入音素は、動作意図や動作制御に対する明確な意味付けが含まれ
 ている。
 [r]:自律動作(動作主体自身が動作を律する:自動詞、他動詞とも)
 [s]:律他動作(他者が自律的動作をするように仕向ける)
 [y]:自他勧奨(主体、他者も動作推進するように仕向ける)
 [k]:誘導動作、形状叙述(他者意図を斟酌せずに結果へ誘導する。形状表出)
・特に[k]は、子音語幹動詞に対しても語末音を切り落して母音語末化してまで
 も挿入音素[k]を付加する。
 :だます:damas[]u/だまかす:dama[k]as[]u、
 :散らす:tiras[]u/散らかす:tira[k]as[]u/散らかる:tira[k]ar[]u 。
 (そのうち、電話詐欺で「だまかされる」ことを、「だまかる」などというかもしれ
 ない)

以上。

態文法:動詞形(未然/已然)と挿入音素

2017/04/12(水)

1.四動詞形の概念:(清瀬本:派生文法)
 派生文法では膠着語である日本語は動詞が活用するのではなく、接尾辞が連結
して派生するのだと見做す。
->自立語には「動詞/非動詞」の別あり、従属語には「接尾辞/助辞」の別あり。
->動詞には「動作動詞/形状動詞」の別があり、四動詞形「終止形・連体形・連用
  形・命令形」が構文上の形態種別と見做す。
  (学校文法の活用語尾概念は捨て、未然形、仮定形は連用形に包含する。)
->接尾辞には「名詞接尾辞:格接尾辞と繋辞/動詞接尾辞:文法接尾辞と派生接
  尾辞」の別がある。
-?>命令形は、子音語幹に-e-接尾辞が付き、母音語幹に-ro-接尾辞が付き、
  特定の動詞形:結果態の「なさる、いらっしゃる、おっしゃる」などは語尾(r)
  に-i-接尾辞が付いて「なさ(r=Ø)i、いらっしゃい、おっしゃい」となる。
  禁止の命令形は、-(r)una-接尾辞が子音、母音語幹に付く。
-?>前望態の否定を意味する-mai-接尾辞は、-(u)mai-と連結母音(u)を付
  けて、「話すまい:hanas-umai」、「食べまい:tabe-mai」を派生する。
-?>「書くと、すぐ分かった」OK、「書いたと、すぐ分かった」NGであり、
  「見ると、すぐ分かった」OK、「見たと、すぐ分かった」NGである。
  (文法的にNGの理由を十分に説明していない。自分の見聞き動作で分かった
   のか、他人の動作だと分かったのかという意味の違い?)
-?>別例で派生接尾辞と助辞を比べた箇所がある。
 ・「ここに残ろうと:(y)ooto-残るまいと:(u)maito-好きにするがよい」
  (両方とも派生接尾辞とみる)
 ・「泥棒は逃げよう:(y)oo-とした」(この「と」は引用の助辞であり、別構造)
<-
 
〇ここで、-?>の疑問に対する当方の考察を以下に記述する。
★命令形:全国の方言を推測すると、母音語幹でも「見れ、食べれ」形態がある?
 から、最適な[挿入音素:r]を付けた「書け:kak[rØ]e、食べれ:tabe[r]e/
 食べろ:tabe[r]o」が派生できるだろう。
〇つまり命令形一般式=D[r]e/o、を推奨できる。
 禁止命令形一般式=D[r]una、は、そのまま推奨できる。
★否定前望態は、「話さまい/話すまい」、「食べまい/食べるまい」のように、2つ
 以上の形態があるはずです。(浜松の「やらまいか精神」の言葉が思い浮ぶ)
・否定前望態の派生一般式=D[a]mai、の通常派生形態と、
・連体形との連結派生一般式=D[r]u・mai←D[r]u・[a]mai、の連体派生形態の
 二通りの派生方法を採用すべきだろう。
★清瀬本:「書くと:kak(r)uto」の-(r)utoは開放条件の派生接辞と定義あり。
 「書いたと:kak(i)ta・to」の-(i)tato:は何も定義なし。なぜ扱いが異なるのか。
〇「(r)uto」を派生接尾辞に含めるなら、完了態:(i)tato、前望態:(y)ootoも
 当然、派生接尾辞に含めるべきです。
・その反面、「と」を派生接尾辞に限定してしまい、共通形態である「引用の接続助
 辞:と」の機能を切り離すのは不利益が多いだろう。
・やはり、連体形の後続連結(連体形修飾)に対する文法則を働かせるほうが最善
 策でしょう。

 さて、四動詞形に絞り込むことには反論したい。学校文法の動詞活用には大き
な錯誤があるが、よい部分は汲み上げて残したい。

2.六動詞形と挿入音素:(「態の双対環」文法)

->当ブログの態文法では、学校文法にある「六動詞形:未然形・連用形・終止形・
  連体形・仮定形(已然形)・命令形」を一応の基礎にする。
★「六動詞形の並び順」に込められた「動作事象の生起局面の順」を感得できる
 から、並び順自体が大切な法則です。つまり、動詞のアスペクト感が明瞭です。
->江戸期(本居春庭?)に工夫があり、大局的な動作事象のアスペクトを目に見
 えるように企画して、「六動詞形の並び順」を規定したのだと推察する。
・自立的な語形を持たない「未然形、仮定形」だからと言って、連用形の部類に入
 れてしまうのは勿体ないです。

★もしも昔に戻れたら提起したい「未然形/已然形」の条件接辞がある。
 条件接辞に未然形:-aba、已然形:-ebaを 復活させ、
 否定の条件接辞に未然形:-naba、已然形:-nebaを 復活させたい。
・前提条件:D[r]aba→書かば:kak[]aba/食べらば:tabe[r]aba、(未然形)
・確定条件:D[r]eba→書けば:kak[]eba/食べれば:tabe[r]eba、(已然形)
・否定前提:D[a]naba→書かなば:kak[a]naba/食べなば:tabe[]naba、
・否定確定:D[a]neba→書かねば:kak[a]neba/食べねば:tabe[]neba、
〇未然形の挿入音素を[a]だと固定する必要はない。母音語頭の接辞に対して
 挿入音素は[r]になるのが通例です。(使役系接辞には挿入音素:[s]です)
・強制前提条件:D[s]as[]aba→:kak[]as[]aba/:tabe[s]as[]aba
・強制確定条件:D[s]as[]eba→:kak[]as[]eba/:tabe[s]as[]eba
・否定強制前提:D[s]as[a]naba→:kak[]as[a]naba/:tabe[s]as[a]naba
・否定強制確定:D[s]as[a]neba→:kak[]as[a]neba/:tabe[s]as[a]neba
・否定使役前提:D[s]ase[]naba→:kak[]ase[]naba/:tabe[s]ase[]naba
・否定使役確定:D[s]ase[]neba→:kak[]ase[]neba/:tabe[s]ase[]neba

★今、提起するのは、既然・已然形:-e[r]u(可能態)を定着すべしということ。
 已然形→可能態:D[r]e[r]u→書ける:kak[]eru/食べれる:tabe[r]eru 。
(なお、結果態:D[r]ar[]u→書かる:kak[]aru/食べらる:tabe[r]aru、
 の -ar-接辞は「動作結果が:ある、在る、有る」の意味であり、未然ではない)
〇文語文法では、D[r]e[r]]uの一般式:挿入音素の概念が不足していた。

・日本語の動詞は機能接辞を付ければ、派生変身して可能態動詞のように巣立っ
 てしまうのが当り前です。だから、未然形、已然形に自立形態がなくても意味
 機能に未然、已然があれば十分でしょう。
・また逆に、巣立ってしまった可能動詞に已然形・既然形の深層構造を感じとる
 感性も日本人にはまだ残っています。大事な感性です。
 (「a」音に未然、「e」音に已然・既然、の感覚を呼び起すのは、六動詞形の一覧表
  に慣れ親しんできたからなのか、下一段化に「e」音が果した深層構造が利いて
  いるのだろうか)

態文法:形状動詞の派生と挿入音素

2017/04/06(木)

1.形容詞と形状動詞:(清瀬本:派生文法)
 清瀬本では、日本語の形容詞を形状の叙述語・用言として使うので、形状動詞と
呼んでいる。
->文語では、(i)ku、(s)i、(i)ki、(i)kereなどの連結母音、連結子音があった。
  :高く/高し/高き/高けれ、(ク活用)
  :楽しく/楽し/楽しき/楽しけれ(シク活用)
->口語では、語幹がすべて母音語尾なので連結音素なしで接辞がつながる。
  :終止・連体形の形状動詞接尾辞:-i:非完了/-katta:完了/-karoo:前望
  :連用形形成の接尾辞:-ku:非完了順接/-kute:完了順接/-kereba:非
   完了条件/-kattara:完了条件/-ito:開放条件/-kutemo:譲歩、など
->形容詞を動詞化する形状動詞接尾辞は、打消し接辞-(a)na-iの-iや、希望
  接尾辞の-(i)ta-iの-iなどに必ず接尾して動詞化を果す。
<-
〇ここで、疑問に感じることがある。
 文語で、「高し:taka(s)i/高き:taka(k)i」のごとくに、形容詞母音語幹に連結
 子音(s)、(k)を配すると考えるべきだろう。なぜ、母音語尾に母音語頭の-i:接
 辞を配すると考察したのだろうか。派生文法則の通例から外れてしまう。
〇文語で「高し/高き」と記述し、口語で「高い」と(k)が音便化した記述になった
 のであろう。それなら、派生文法の理念に適合する。つまり「連結子音:(k)」を
 想定したほうが法則に合うはずだが。

2.『日本語構造伝達文法』の形容詞(今泉本)
★今泉喜一『日本語のしくみ(1) -日本語構造伝達文法 s-』:揺籃社:2015年
 12月24日発行 によると、
->形容詞の活用表:形容詞語幹例:高い:taka.k-/楽しい:tanosi.k-
  :高い:taka.k-Øi=i/高く:taka.k-u/高ければ:taka.k-ereba
  :楽しい:tanosi.k-Øi=i/楽しく:tanosi.k-u/楽しければ:tanosi.k-ereba
  :高かった:taka.k-a(r=[Q])ta/高かろう:taka.k-ar-ou
  (今泉本の音便記述法はもっと精密で厳格なので、簡略のため「双対環」文法で
   表記)
->形容詞は名詞、動詞からの派生によるところが多く、
  赤:aka.k-、眠い:nemu.k-などと「複合語の語幹表現のように」なっている。
<-

3.「態の双対環」文法の形状動詞と挿入音素
 当ブログの文法では、形状動詞においても挿入音素を用いることを規定する。
確かに形容詞は母音語幹が圧倒的に多いが、動詞化するために、-kiや-ku、
-katta、など、「k」音素付きの接尾辞が使われる。
〇機能接辞はそれ自身で固有の意味を有しているはずだが、「ki」「ku」「katta」
 には、なにかの意味を見出せるのだろうか。
 (文語時代も「k」そのものに意味を与えていたのだろうか)
->形状動詞化のための挿入音素[k]:
  形容詞語幹例:高い→taka-/楽しい→tanosi-
  :高い:taka[k=Øi]i/高かった:taka[k]a(r=[Q])ta
  /高かろう:taka[k]ar[]ou。
  :ない:[a]na[k=Øi]i/なかった:na[k]a(r=[Q])ta
  /なかろう:na[k]ar[]ou。
 もちろん、語幹として:taka.k-、na.k-、を採用しても用法記述に支障は起き
 ないが、統一的な動詞用法の一般式に馴染ますために、
★形状動詞派生一般式=【形状語幹・[挿入音素]】+機能接辞 と定義する。
 形状動詞語幹:Kとすると、
 K[k]u・na[k=Øi]i/K[k]ute/K[k=Øi]i/K[k=Øi]i-/K[k]ereba.
 例1:よ[k]unai/良[k]ute/良[k=Øi]i/良[k]ereba.
 例2:苦し[k=Øi]inara/苦し[k]ar[]oo[]tomo/苦し[k]a(r=[Q])ta.
 が一般式による派生(活用)表記です。
->「態の双対環」文法で、子音の[挿入音素]に採用したものは、
  [r]:自律動作を意味する動作接辞に前置させる。(自他動詞ともに適用)
  [s]:律他動作を意味する動作接辞に前置させる。(強制、使役に適用)
  [y]:自分他人ともに動作を促す接辞に前置させる。(前望、意向に適用)
  [k]:有情他者に対し忖度しない動作表現にするため接辞に前置させる。
  (例:寝[k]as[]u/騙す・騙[k]as[]u/笑わす・笑[k]as[]u/はぐる・はぐら
   す・はぐら[k]as[]u/散らす・散ら[k]as[]u/散ら[k]ar[]u、など結果状
   態のみを求める如きの動作)などがある。
  他に音便表記の[I][Q][N][¥]、母音の[a][i]の[挿入音素]を定義した。
->[y]は、自律[r]と律他[s]の両方を併せ持つような意図を表現できる。
  [k]は、逆に自律[r]、律他[s]ともに斟酌しないで結果状態を表現する。
->まさに形状動詞の[挿入音素]には[k]がぴったり適役だろう。
  [k]:形容詞の状態表現を動詞化する接辞に前置させる。(形状動詞に適用)
  古語、文語での「き、けり、」の意味は過去の事象を表現することだから、結果
  状態に対する表現に当てるには[k]音が適しているのだろう。
<-
 古来からの智恵が[k]音に詰っていると数年来感じていたが、今ようやく仮説を
説明できるようになった。

態文法:動詞派生と挿入音素の働き

2017/04/01(土)

1.動詞派生と「連結子音/連結母音」
 前回に述べたように、清瀬義三郎則府:『日本語文法体系新論―派生文法の原理
と動詞体系の歴史』:ひつじ書房 2013年12月刊行 で提起された派生文法は、
->動詞派生の法則:機能接辞が母音語頭の場合
  =動詞子音語幹+(母音語頭)機能接辞、
  =動詞母音語幹+「連結子音」・(母音語頭)機能接辞、
->動詞派生の法則:機能接辞が子音語頭の場合
  =動詞子音語幹+「連結母音」・(子音語頭)機能接辞、
  =動詞母音語幹+(子音語頭)機能接辞、 という連結組合せを想定する。
(語幹と語頭が子音・子音なら「連結母音」を挟み込み、語幹と語頭が母音・母音な
 ら「連結子音」を挟み込むという文法則を明示した。同時に語幹と語頭が子音・
 母音、または母音・子音なら「連結母音」や「連結子音」を除いて語幹と接辞が連
 結するという文法則を含む)<-
〇上例を要約すると、「連結子音」・(母音語頭)接辞、「連結母音」・(子音語頭)接辞、
 のように、機能接辞の母音・子音に従い「連結子音」・「連結母音」を付加するか、
 直接、子音語幹・母音語幹に接続するかが決まることを示している。

2.動詞派生と[挿入音素]
 一方、当ブログは、村山匡司:『日本語動詞 態文法を再生する』:ブイツーソリュ
ーション:2016/10/21刊行 を基にして、著者自身がさらに思考の進展を記
述するもので、
->動詞派生の法則:3項方程式の形式で一般化表記して、
  =動詞語幹・[挿入音素]+機能接辞、の一形式で把握できます。
->[挿入音素]は語幹と接辞の間にあり、語幹に寄り添い、機能接辞の語頭音素
  との反対調和を図ります。(接辞語頭が母音なら、挿入音素は[子音]、接辞語
  頭が子音なら、挿入音素は[母音]です)
->[挿入音素]は語幹に寄り添い、機能接辞との間で反対調和が不要であれば、
  [挿入音素]は発話されず、表記されず、直接的に語幹と接辞が連結します。
  (つまり、[挿入音素]は反対調和の目的で姿を表して発話・表記されるだけ。
  子音・母音の語幹の差を[挿入音素]で調和して、機能接辞に対応するのです)
<-
〇[挿入音素]は結果的に、派生文法で言う「連結子音」「連結母音」の概念を統合
 して、子音・母音語幹に共通に適用できる概念です。
・子音語幹、母音語幹を共通に:動詞語幹:Dとして表記して、例えば、四段活用、
 一段活用を共通一覧することができる。
〇動詞派生用法の一般式:
 D[a]nai、D[i]masu、D[r]u、D[r]u-、D[r]eba、D[r]e/o.
例:書k[a]ない、書k[i]ます、書k[]u、書k[]u-、書k[]eba、書k[]e。
例:見[]ない、見[]ます、見[r]u、見[r]u-、見[r]eba、見[r]o。
と、子音語幹・母音語幹:Dに対し共通化した記号表記ができる。

 では、前回の復習を兼ねて、音便用法の簡略表記に取り組んでみましょう。
昔の文語体では、「書きたり」、「読みたり」であったが、
現代の口語体では、「書いたり」、「読んだり」のように音便用法が現れる。
て形連用形:「書いて」「読んで」とか、た形連体形・完了形:「書いた」「読んだ」での
音便用法を簡単に表記するには、どうしたらよいだろうか。

例:まず、全用法を書き並べてみよう。(完了形:D[i]taの場合)
①母音語幹:→D[i]ta
  :考えた←考え[]ta←考え(0*[i])ta←考え[i]ta。
②子音語尾(s):→D[i]ta
  :話した←話(s+[i])ta←話s[i]ta。
★①②は通常通りの派生用法です。
③子音語尾(k/g):→D(k/g=[I])ta/da
  :書いた←書([i])ta←書(k=[i])ta←書k[i]ta。
  :泳いだ←泳([i])da←およ(g=[i])da←泳g[i]ta。
★これをイ音便という:簡略表記→[I]で示す。(一音素分のイ音)
④特例、一例のみ:行(k)の場合:「行[I]た」ではなく、
  :行った←行([Q])た←行(k=[Q])ta←行k[i]ta。
★これを促音便という:簡略表記→[Q]で示す。(一音素分の詰った声、促音)
⑤子音語尾(t/r/w):→D(t/r/w=[Q])ta
  :立った←立([Q])た←立(t=[Q])ta←立t[i]ta。
  :止った←とま([Q])た←とま(r=[Q])ta←とまr[i]ta。
  :言った←言([Q])た←言(w=[Q])た←言w[i]ta。
★これを促音便という:簡略表記→[Q]で示す。(一音素分の詰った声、促音)
⑥子音語尾(b/m/n):→D(b/m/n=[N])ta/da
  :結んだ←むす([N])だ←むす(b=[N])da←むすb[i]ta。
  :読んだ←よ([N])だ←よ(m=[N])da←読m[i])ta。
  :死んだ←死([N])だ←死(n=[N])da←死n[i]ta。
★これを撥音便という:簡略表記→[N]で示す。(一音素分のn鼻音、撥音)

 以上の①~⑥が、た/だ形:[i]ta/[i]da、て/で形:[i]te/[i]de、用法での
音便変化形です。
〇一歩進めて、この[i]系音便形態を簡単な共通一般式で表記するなら、
★D[¥]ta/daのように、[¥]一文字の[挿入音素]で表現すると定義しておくと
 便利かもしれない。これで①~⑥形態をすべて代表的に表現できるから。

〇いくぶん我田引水のような考察を述べると、
 動詞派生一般式=【動詞語幹・[挿入音素]】+機能接辞、
 と敢えて「語幹と挿入音素」を寄り添うものと考えるのは、偶然ではない。
・連結に際してこの2つが調和発声するし、相互連声して音便化もある。
 (上例①~⑥に(語尾k/g/t/r/b/m/・・=[I/Q/N])で示したものが、
 語幹と挿入音素の連結・音便化の姿形です)
・機能接辞は「接辞項」として正確に(子音・母音語幹に左右されず)記憶される、
 のが望ましい。
 (もっとも、「語幹+接辞」で派生できるケースが半分あり、接辞が語幹側に調和
 融合してしまう。旧来の文法では接辞を2種類:「接辞」と「連結音素付き接辞」:
 を割り当て続けている)
 (旧来文法の例1:読ませる↘読ま+せる↘読m・a+seru:←接辞の泣き別れ)
 (旧来文法の例2:考えさせる↘考え+させる↘考え+s・aseru:←連結音素が
 混入した接辞)
(本当の使役接辞は、「あせる:as・e[r]u」:一つの形態が意味を担っています。
 本来、D[s]ase[r]uの形式で例1、例2ともに派生されるもの)

態文法:派生文法と「態の双対環」文法

2017/03/18(土)

1.派生文法の進歩
 清瀬義三郎則府:『日本語文法体系新論―派生文法の原理と動詞体系の歴史』:
ひつじ書房 2013年12月刊行 の後半を通読した。
同著者の前書:『日本語文法新論-派生文法序説』:桜楓社:1989年、を昨年11月
ころに通読していますので、今回は『第3編 動詞体系発達史』部分を通読したと
ころです。
---上代古語の特殊仮名遣では甲乙二類の母音使い分けがあり、母音体系が8母
 音(甲音/乙音の違い、i/ï、e/ë、o/öなど)だった。
 母音語幹語尾が乙音:ï、ëの場合には上二段、下二段活用で活用(、甲音語尾では
 、一段活用で)したが、平安時代以降で乙音と甲音の別がなくなり、5母音が定
 着するに応じて徐々に二段活用が一段活用へ収れんしてきた。
 (言文不一致の時代だから一段活用への切り替りが広く記録で残るのが)江戸
 期後半の頃だ。---
<<仮定・已然形の[r]ëba、[r]ëdöも乙音だったという。何かヒントになるかも
しれないと思ったが、>>
---清瀬本では、已然形と可能態を関係づける記述はない。
<<この点では期待外れでした>>
---第3編の最終節、7.文法的「安定化」への中で、いわゆる「ら抜き言葉」が一般
 化しつつあるが、俗語として扱われて規範文法上は許容されていないし、(中略)
 これは、可能を表す派生接尾辞の-e-が子音語幹にのみ膠着するという不安定
 を除去すべく、連結子音(r)を有する-(r)e-に移行し、その結果、母音語幹に
 も膠着してmi-re-ru、oki-re-ru、ne-re-ruのような形を取り始めたとい
 う事なのである。(中略)その趨勢は人為的に抗すべくも無く、遠からず可能の
 派生接尾辞-(r)e-が定着して安定化するに違いない。
 これが文法変化の動向なのである。---
<<明確に可能の派生接尾辞を-[r]e-とする方向性を示す専門家の著作です。
本来、清瀬本が動詞の膠着・派生では、「連結子音」「連結母音」の用法で、子音語幹
、母音語幹どちらにも「共通の派生接尾辞」で連結させられると啓発したのです
からね>>

2.派生文法の発展
 清瀬本のあとがきに
---外国人向けの日本語の入門テキストでは、ローマ字書きで説明するとき、子
 音語幹、母音語幹の動詞に対し受動形を-(r)are-ruの形で教えることがある
 のを知り、大いに意を強くしている。(後略)---
<<派生文法は膠着語の派生法則を少ない規則で抜き出せるので、日本語形態素
解析システムなどの電脳プログラム文法にも適しており、その方面での実績もあ
るし、さらなる発展を期待したい>>

3.「態の双対環」文法の構想
 このブログに提起する態文法は、ここ数年の思考実験から生まれたもので、動
詞の自他交替の機能接辞が新しい動詞を派生し、同時にまた態の接辞としても再
利用されることを発見してきた。
日本語文をローマ字解析すれば、動詞語幹と機能接辞が識別でき、両者を連結調
和させるための「挿入音素」を挟み込んで発話する構文規則がはっきりと解って
きます。
★態文法では、派生文法で言う「連結子音」「連結母音」の概念を統合して、子音・
 母音語幹に共通に適用できる[挿入音素]の概念を採用しました。
 その結果、子音母音共通に動詞語幹:D、形容詞語幹:K、形容名詞語幹:KM、
 名詞語幹:M、などと「語幹の一般化」に対応する表記ができます。
その簡潔化の効果は以下のとおり:用言用法が簡単一覧表示できます。
(学習者には一度丁寧に用法説明をする必要あり。繰り返し学習の際に役立つ)

・動詞用法:四段・一段共通の一般式表記:(書かない、見ない、書けば、食べれば)
 D[a]na[k=Ø]i,D[i]mas[]u,D[r]u,D[r]u・,D[r]eba,D[r]e/o.
・動詞用法:時制の共通一般式表記:音便→[I]い音便、[Q]促音便、[N]撥音便。
 D[i]ta,D(s+[i])ta,D(k/g=[I])ta/da,
 (例外:行った:行(k=[Q])ta, 正/俗:歩いた/歩(k=[Q])ta,)
 D(t/r/w=[Q])ta,D(b/m/n=[N])da.
 D[i]mas[]u,D[i]mas[e]n,D[i]mas[i]ta,D[i]mas[y]ou.

・態動詞の派生:一般式表記:「態の双対環」原形態/可能態/結果態/受動態。
 能動系:(D:子音・母音両語幹に対応する)
  D[r]u/D[r]e[r]u/D[r]ar[]u/D[r]ar[]e[r]u.
 強制系:D[s]as:←これを新たに語幹Dとすると、(変化→子音語幹D)
  D[]u/D[]e[r]u/D[]ar[]u/D[]ar[]e[r]u.
 使役系:D[s]as[]e:←これを新たに語幹Dとすると、(変化→母音語幹D)
  D[r]u/D[r]e[r]u/D[r]ar[]u/D[r]ar[]e[r]u.

・形状動詞用法:形容詞の共通一般式表記:(楽しい、寒ければ、うれしかった)
 K[k=Ø]i,K[k]u,K[k]ereba,
 K[k]a(r=[Q])ta,K[k]ar[]ou.(肯定動詞:あるを付加して時制を表す)
・形状動詞が「ございます」に先行する用法:一般式表記:
 K(a[k]u=ou),K(i[k]u=yuu),K(u[k]u=uu),K(o[k]u=ou).
 (高こうございます、大きゅう、お寒う、遅うございます)
・打消し用法表記:(ない、なかった、ありません、ませんでした)
 na[k=Ø]i,na[k]ute,na[k]a(r=[Q])ta,na[k]ar[]ou.
 ar[i]mas[e]n,(deha=dya)ar[i]mas[e]n・des[i]ta.
・形容名詞用法:形容動詞の共通一般式表記:(きれいで、元気に、愉快な)
 KM[]de,KM[]ni,KM[]na・,
 KM[]de[]na[k=Ø]i,KM[](deha=dya)na[k=Ø]i.
 KM[]da,KM[]da(r=[Q])ta,KM[]dar[]ou.
 KM[]des[]u,KM[]des[i]ta,KM[]des[y]ou.

・名詞断定用法:共通一般式表記:(地震だ、夢だった、嘘じゃなかった)
 M[]da,M[]da(r=[Q])ta,M[]dar[]ou.
 M[]des[]u,M[]des[i]ta,M[]des[y]ou.
 M[]de[]na[k=Ø]i,M[](deha=dya)na[k]a(r=[Q])ta.

・動作事象の断定用法:共通一般式表記:(読むのだ、読んだのだ)
 D[r]u・noda,D([]/s[i]/x[I]/x[Q]/x[N])ta/da・noda,
以上。

態文法:挿入音素[e]から可能態が成立

2017/03/07(火)

 「可能態動詞の成立」の由来を連続して考察しています。
前回に示した「動詞活用表:表1~表5」のうち、表1:文語活用、表2:口語活用に
対しての説明をしながら、今回の主題に迫りましょう。

動詞活用表:表1文語動詞、表2口語動詞
★表1:文語の上二段、下二段活用は、表2:口語では上一段、下一段に収れんして
 いきます。
〇下二段:受く:uk→D[e],D[e],D[]u,D[]uru,D[]ureba,D[e]yo
〇下一段:受け:uke→D[],D[],D[r]u,D[r]u,D[r]eba,D[r]o
・一段化への移行が容易だったのは、終止形と連体形が同一形態へ向うこと、
・同時に、受け:uk・e→D[e],D[e],D[e][r]u,D[e][r]u,D[e][r]eba,
 D[e][r]o、の D[e]を新しい語幹:Dとして
〇下一段:受け:uke→D[],D[],D[r]u,D[r]u,D[r]eba,D[r]o
 という一般式を日本語社会全体が探り当てたからでしょう。
・D[e][r]uの形態から→D[]e[r]u,D[r]e[r]uのように、可能態接辞:e[r]u
 が生まれたのでしょう。
 (推測する理由は実在する自他有対動詞が多数あるからです)
〇挿入音素[e]には本質的に【已然表現の機能】が備わっており、
・立つ/立t・e[r]u、割る/割r・e[r]u、など、e[r]uで動作開始の意味が深まり、
 動作を受ける対他・対物、対自の自他交替機能を果すことになる。
(動作:Dが「なる/なす」状態に変化するのを表現するのが「e[r]u」ですが、下二
 段での[e]も【已然、既然】の概念を含んで使われたものと判断できる)
〇一方、上二段のD[i]の挿入音素[i]は汎用機能を持たないし、
・過ぎる/過ごす、起きる/起こす、など、D[i][r]u、i[r]uの形態は自他交替
 接辞としての機能発揮の場面がないし、汎用的に使われない。

 ここで主張点を整理する。
★下二段の受く:uk→D[e]受け(未然、連用)の挿入音素[e]が、【已然、既然】の
 概念を含んでおり、また、終止形・連体形がD[e][r]u→徐々に(De)[r]uと見な
 されて安定した。(挿入音素[e]が語幹に組み込まれた:下一段化)
・同時に四段活用に対して、D[e]nai、D[e][r]uという新しい可能態動詞を生み
 出した。(可能の機能接辞:e[r]uの誕生です)
★だが、挿入音素[e]に備わる【已然表現の機能】について言及する文法研究が見
 当らない。
(期待する先行業績には、清瀬義三郎則府:『日本語文法体系新論―派生文法の原
理と動詞体系の歴史』:ひつじ書房 2013年12月刊行 が唯一存在すると推測し
てネット注文した)
(今泉喜一:『日本語態構造の研究-日本語構造伝達文法 発展B-』:晃洋書房:2
009年11月20日第一刷発行、も機能接辞:-e-を許容態と命名して詳述するが
【已然、既然】の視点での指摘はない)
★已然形を仮定形と呼ぶようになったのは、D[e]nai、D[e]masu、D[e][r]u、
 (De)[r]uなどと、已然形が溢れかえってきたので、-eba-形態を仮定形に限
 定したのだろう。 溢れかえる半面、皮肉なことに[e]が包含している「已然・既
 然」の語感は、日本語話者の深層意識の深い底に沈んでしまい、辛うじて無意識
 がうまく働くと「姿を現してこれる」程度なのだろう。
〇文語体では、未然形と已然形で明確にアスペクト表現をしていた。
・住まば都:これから住むなら繁華な都を目指すがよい:未然・前提条件。
・住めば都:住み慣れればここが一番住みよいところ:已然・確定条件。
・住めども:住んでいるけれども:動作既然。(住まども:未然では言わない)

 具体的に「仮定形が内包する已然・既然の概念」を思考実験してみよう。
例:子音語幹動詞
・(彼が)行けば、(私も)行きます:ik[]eba,ik[i]masu.(同一動詞活用系)
 【推奨:仮定形の「誘引:(私も)行けます」に抗して、行き/行くと対応する】
・行けば、行ける:ik[]eba,ik[]e[r]u.(可能態へ抜ける:ik・e[r]u)
 【注意:仮定形の接辞「ebaのba」を「ru」に替えたのではない。可能態選択した】
・行ければ、行きます:ike[r]eba,ik[i]masu (語幹:ike→ikの違いに注目)
 【安全:仮定条件に応答する文は源動詞へ戻る言い方が安全確実である】
?行ければ、行け×れる:ike[r]eba,ike[r](×e[r])u.(×れ足しダメ)
 【警告:可能態を二段重ねにしては意味不明となり、ダメ】
?読めれば、読め×れる:yome[r]eba,yome[r](×e[r])u.(×れ足し)
 【警告:可能態を二段重ねにしては意味不明となり、ダメ】
 
例:母音語幹動詞
・(彼が)食べれば、(私も)食べます:tabe[r]eba,tabe[]masu.(同一語幹)
 【推奨・安全:仮定形の「誘引:食べれる」に抗して、食べ/食べるに留まる】
・食べれば、食べれる:tabe[r]eba,tabe[r]e[r]u.(可能態化:tabere[r]u)
 【注意:仮定形の接辞「ebaのba」を「ru」に替えたのではない。可能態選択した】
?食べれれば、食べれ×れる:tabere[r]eba,tabere[r](×e[r])u.(×れ足し)
 【警告:可能態を二段重ねにしては意味不明となり、ダメ】
?見れれば、見れ×れる:mi[r]e[r]eba,mi[r]e[r](×e[r])u.(×れ足し)
 【警告:可能態を二段重ねにしては意味不明となり、ダメ】
 
〇母音語幹の仮定形には、「食べば、見ば」がないので、【推奨・安全】項が一つです
 が、基本的に子音語幹/母音語幹での差異はないわけです。
〇子音・母音語幹動詞の両方で、
・【注意】項に示す「可能態化」動詞は動作意図としての「可能状態」を意味します
 が、可能動作をしてしまう已然・既然の先行概念を包含している。
・【警告】項の可能仮定形が正に「可能動作:e[r]をしてしまった已然・既然:eba」
 状態を先行する確定条件として提示するものです。
→つまり、理屈上での可能仮定形:行けれれば/読めれれば/食べれれば/見れ
 れば、は先行想定の仮定形として成立するのです。
★だが、オウム返しに【二重可能態】で応答すると、【警告】発言になる。
→行けれる/読めれる/食べれれる/見れれる、が意味不明瞭な表現だと感じる
 のです。 自分で動作を再現できない言葉→ 【警告:れ足す言葉】になる。
〇可能仮定形に対する応答には、オウム返しにならないように、原動詞にもどる
 ことが肝心です。
(もっとも、通常は仮定条件と違う別の動作動詞で答えることが多い。)

態文法:動詞活用形はアスペクト並び

2017/02/24(金)

 前回に「可能態動詞の成立条件2」を記述しました。
可能態の成立を促進し、保障するのが「動詞活用の命令形」であるような書き方
でしたが本当に保障され保証できるかというと否で答えるしかないか。
そもそも「命令形」への馴染が幼少時代を過ぎてしまうと、ほとんどなくなる。
そういえば、「命令形、仮定形」の消滅を予測する本がある。
★水谷静夫:『曲り角の日本語』:岩波新書:2011年4月20日第一刷
 読後印象をメモする。・・・>現状の日本語が曲り角にある。・・・
 第4章 日本語未来図: 曲った先の「21世紀末の日本語」を電算機(短文なので
 作例かも)で出してみた文章例・・・(う~~ん。絶句)・・・でも、言葉の自浄作用
 が働くことを期待する道も選べるのです。・・・<・・・要約引用終わり
〇以前に読んだ感想として当ブログでも連続回の反響文(非難文?)を記載した
 ことがある。当時は、水谷本での使役態や可能態、受動態に関する扱い方に著者
 の例文読み違いが気になって、反論を載せていました。
〇「21世紀末の日本語」の条件設定には「ら抜き言葉の容認(善しとして)」、「さ入
 れ言葉の容認(ぬぬ、ダメだ)」や、動詞活用の仕方にも「曲り角の若者言葉での
 設定」がありますから、読んで後味の悪い、なんとも気が抜ける文章です。
★言葉の自浄作用が働いて、もう少し思考の本音が現れる文章になるとよいのに
 と思います。

 「言葉の自浄作用」が働くのを期待して、以下に思考実験を記述したい。
〇水谷本:動詞活用形の未来変化を記述しているが、由来として本居春庭:『詞の
 通路』(?初出は『詞八街』か)での「活用型:未然・連用・終止・連体・已然」を述べ
 ている。当時、命令形の記述は存在しなかった。
・春庭の活用型を適確に解説した水谷本に触発されて、当方も長年胸に秘めてい
 た「動詞活用形が表現する動作局面:アスペクトについて」を図表化(表5)する
 ことにした。
 (直近の記事で可能態成立条件を考えるなかで「動詞活用」を考察したので、数
  種の一覧表を作成しました)
〇動詞活用形の一般式:表1~表2(文語動詞と口語動詞の活用形)文語口語動詞活用表
〇動詞活用形の動作局面としての解釈:表3~表5図示
Katuyouaspect
★ほとんどの動詞は表3:「四段・一段活用の共通表記」で示す活用形です。
・四段活用の挿入音素は、未然[a]・連用[i]に特長があり、終止[]以降で[]となる。
・一段活用の挿入音素は、未然[]・連用[]であり、終止[r]以降で[r]となる。
(一段活用動詞が使役系へ移行するとき、D[s]as[]e[r]uのように、[s]に交替)
★表5:動作局面:アスペクトに見立てた表示:
 動詞派生の3要素を→「【動詞語幹[挿入音素]】+機能接辞」で一般方程式にした
 ことにより、「未然・連用」区間/「終止・連体・仮定已然」区間とで「挿入音素」の
 意味合いが明確に異なることが見えてくる。
〇「未然・連用」区間では「動詞の動作・動き」に焦点があり、「終止以降」区間では
 挿入音素が[][r][s]となり動詞基本形に近づくから、「動詞原意に係る事象・出
 来事の描写」に焦点があると感じる。
〇動詞の動作に注目すれば、「未然」は動作なし/「連用」は動作あり、です。
 「終止・連体・仮定已然」では動作描写よりも「事象に対する成文化への働き」が
 強くなる。
★表4:態動詞の派生もD[r]やD[s]ですから、(未然形でなく)動詞原意での接合
 になります。

★表5で示す「動詞活用形のアスペクト把握」が定着すれば、「言葉の自浄作用」
 が働きやすくなるだろう。(一般式・挿入音素の概念も重要)
〇たとえば、「さ入れ言葉、れ足す言葉」を一般式で表記すると、
?読まさせる→D[r]as[]as[]e[r]uで二重強制:as・as、だと教える、教えれる。
 (二重強制が成立するのは、二段階の強制がある場合だけ)
?行けれる→D[r]e[r]e[r]uで二重可能:er・eru、だから不適当だと教えれる。
 (行く事象を二重に実行可能だという事態は何か? 想像不可能と思う)
〇また、[r]:自律動作、[s]:律他動作の交替の概念を定着させて、
?見らす→D[r]as[]u、?自分[r]に見ることを強制する?(ダメ理由が分かる)
?着らす→D[r]as[]u、?自分[r]に着ることを強制する?(ダメ理由が分かる)
 (見さす:D[s]asu、着さす:D[s]as[]u、他[s]を律して動作させる)
などを具体的に統一的に教えられる文法則となる。
・教えられる:何度でも誰にでも、誰でも教えることが可能だという「多の可能」
 の意味です。(受動態の結果可能表現)
・教えれる:その場の行為として教えることができる。「個別的な可能」の意味。


態文法:可能態動詞の成立条件2

2017/02/16(木)

 前回、後段で「可能態動詞の成立条件」を記述しました。
続編として考察を続けます。
★可能態動詞が成立する条件:(前回の要約、追記)
〇動詞活用の「命令形:D[r]e」が有効な意味を持つならば、それに応答する形態
 として、可能態動詞:D[r]e[r]u、が成立する。
・意味が有効な命令に対して「可能/不可能」を返答するのに可能態動詞が必要に
 なるはずだからです。
例:命令形「これを食べろ、食べれよ」、が成立するから、命令形に[r]uを付けて
  返答は「食べれる/食べれない/食べれます・・」となるのが通例のこと。
  可能態動詞として成立する。
  (「ら抜き:ar抜き言葉」が論理的であり、かつ合理的である理由です)
・(「食べれ」に対して「食べられる/食べられない/食べられます・・」は不適当。
 「食べられる」は結果、習慣、実績、の可能態ですから、即命即答には不適合)
例:命令形一回「行く→行けよ」条件成立、「行ける/行けない・・」可能態成立。
 二重命令?「行ける→?行けれろ」不成立、「?行けれる/?行けれない」不成立。
 (「行けれろ命令動作」とは何? 「れ足す言葉」がダメな理由がこれです)
・(「行けれろ」命令は「行けるように周囲状況が自然に準備立てしてくれ!」と
 いう自発変化を?命ずることに相当する。 返答の「?行けれる」動作は「行ける
 ように自然に変化してくる」という無為の策。不成立とみる)

★可能態動詞が成立する条件:その2(二段から一段活用へ:前回から漸進)
 江戸期までの母音語幹動詞の活用形式は、おおよそ上二段、下二段です。これ
を母音語幹動詞=「子音語根:D+(i/e)」で一般式表記すると、
〇D(i/e)~、D(i/e)~、D[]u、D[]uru~、D[]ureba、D(i/e)yo、
 となります。(「終止/連体/已然」の形態が「子音語幹こだわり」です)
〇ローマ字音素解析が進んでいなかった時代でも、解決策が徐々に広がって行っ
 たのでしょう。解決策はつぎの2つです。
(1)母音語尾を語幹に組み入れ、D(i/e)→新たにD:母音語幹と見做す。
(2)その語幹に「る:[r]u」を付加して終止形にする→D[r]u:。これで「終止/連
  体/仮定/命令」に対する基本要素とした。
★解決結果の一般式は、
 子音・母音語幹を含めたD:四段活用・一段活用を共通表記する一般式は、
〇D[a]~、D[i]~、D[r]u、D[r]u~、D[r]eba、D[r]e/o、
 という形式です。
★ここで注目すべきは、改まった命令形:D[r]e/o、の功績です。
 以前では、四段命令:D[]e、二段命令:D(i/e)[y]o、だった。
・四段命令:D[r]e:書け、探せ、走れ、(命令成立→「る」付加で可能態成立)
 →可能態へ:D[r]e[r]u:書ける、探せる、走れる、:可能態成立する。
・二段命令:D(i/e)yo:受けよ、寄せよ、起きよ、(残念ながら「る」付加しても)
 →?可能態へ:D(i/e)ru:?受ける、?寄せる、?起きる、:?連体形に留まるが。
 (二段終止形:受く、寄す、起く、に、新型連体形:一段化への変化を呼ぶ功績)
・一段命令:D[r]e/o:受けれ、寄せろ、起きろ(命令成立→「る」付加で可能態)
 →可能態へ:D[r]e[r]u:受けれる、寄せれる、起きれる、:可能態成立する。
〇命令形は方言的にも異形態が多く、間投詞的な使い方になるので関心が低い
 のだが、やはり、基本の表記:D[r]e/o、D[r]e[y]o/o[y]o、のように発話
 したいものです。
(母音語幹動詞の命令形では、異形態や連用形の混入が起きるので注意)
★一段活用の命令形:受けろ、寄せれ、起きろ、の[r]音素を外してしまい、
 お上品のつもりで「受けよ、寄せな(さい)、起きてよ」で言い替えすると、
 「連用形」と同形の活用になってしまいます。
・もともと、二段活用では、連用形と命令形の識別ができなかった。
・子音語幹では、「連用形:書きな(さい)」、「命令形:書けよ」と識別可能です。

 つまり、江戸期までは、終止形、連体形、已然形の語幹は「子音語幹」であるべき
だという暗黙の概念が働いていた。
〇D(i/e)~、D(i/e)~、D[]u、D[]uru~、D[]ureba、D(i/e)yo、
 未然、連用、命令形が母音語尾であったのが、二段活用の形式です。
〇D(i/e)~、D(i/e)~、D(i/e)[r]u、D(i/e)[r]u~、D(i/e)[r]eba、
 D(i/e)[r]e/o、一段活用が広がるとき、母音語幹を一貫して使い、同時に
 終止形~命令形まで[r]音素を付加することが定着しはじめた。
〇命令形は、間投詞的なので異形態で置去りにされる傾向が当時から続いたのか
 、一段活用から可能態動詞を派生することに馴染む地方が少なかった。
 それが現在も続いている。あと5年くらいは待たなければならないだろう。

★一段活用化への変遷をいろいろな見方から分析することができるので、この記
 述も諸説のうちの1つである。
〇可能表現の方法も、可能態と受動態で表す二通りがあり、それぞれ意味が違い
 ます。
・可能態の可能:即命即答する上例記載のように、「個の可能動作」を表現する。
・受動態の可能:動作結果の可能を表し、経験・実績・風習など「多の可能動作」を
 表現する。
〇子音語幹・母音語幹どちらの動詞にも「二通りの可能」があります。
 この「二通りの可能」概念も、あと5年くらいは待てば普及するだろうか。

態文法:可能態動詞の成立条件

2017/02/14(火)

 前回、鴨長明:『方丈記』(平安後期、鎌倉初期)の一節を引いて、考察した。
>およそ物の心を知れりしよりこのかた、四十あまりの春秋をおくれる間に、世
 のふしぎを見ることややたびたびになりぬ。<の連体形:「おくれる」が可能態だ。
・「おくる」間に←なら普通の動詞連体形だが、「おくれる」間に、は、下一段活用
 に替わっており、可能の意味では通じない。
〇「おくれる」:已然・既然動作の回顧述懐と解釈すれば語感に合います。
という記述でした。

 今回は、この一節の冒頭、「物の心を知れりしよりこのかた」の「知れり」を取り
上げながら、思考を深めたい。
・知る:他四段→知れり:自下二段→知れる:自下一段と変化してきたはずです。
 知る/知れり/知れる、で四段動詞から下一段へ変化し自他交替を果した。
〇まず、重要な自他交替の構造を考える。
・知れり=知り+あり=知り+(つつ)あり=sir・i+ari=sir(i+a=e)ri、つまり
 =sir・e・ri=知れり、という音韻連結(連声)で「e[r]i」ができる可能性がある。
・知れる=知り+ある=sir(i+a=e)ru=sir・e・ru、で「e[r]u」ができる。
〇動詞の連用形[i]+「ある」が、「える:e[r]u」を生み出した可能性がある。
 四段(子音語幹)動詞の連用形に「ある」が連結して、「える」形態ができた。
 直接の意味:動作をしつつある「進行形」とか、動作による「変化状況」とかを表
 現する機能なのだろうか。已然形、既然形の意味に近いのではないか?
・ちょうど、已然形が仮定形と見なされはじめた時代でもあるから、
 「える:e[r]u」が已然形に、「えば:[r]eba」が仮定形に住み分けしつつあったの
 かもしれない。
〇ただし、「おくれる」「知れる」が、直接「~しつつある」を狙った派生であるかど
 うか強い証拠立てがないであろう。(進行の語感より既然の感覚を引き起す)
・たとえば、「花が咲けり:花が咲き+あり」ならば時間経過にあわせた「進行形」を
 想定しやすい。「未然・連用」よりも当然のこと、「既然・進行」の感じがつよい。
★「える:eru」の意味は広いので、ひとまず動詞活用形の実態から考察しよう。

 江戸時代には母音語幹動詞の活用形式が、二段活用から一段活用へ収れんする
方向に進み、「終止形、連体形の同形化」、「已然形が仮定形へ」と変化した。
★上二段、下二段の動詞活用を一般式で表記すると、D(子音語根)+(i/e)で
〇D(i/e)~、D(i/e)~、D[]u、D[]uru~、D[]ure~、D(i/e)yo、
 となります。
・二段活用が生まれて、動詞表現の幅が広がったが、一般式で見ても終止・連体・
 已然の形態が違いすぎるのが目障りになります。
〇ローマ字音素解析が進んでいなかった時代でも、解決策が徐々に広がって行っ
 たのでしょう。解決策はつぎの2つです。
(1)母音語尾を語幹に組み入れる:D(i/e)→新たにD:母音語幹と見做す。
(2)四段活用の「終止・連体・已然」形式にそろえる。
★解決結果の一般式は、
〇D[]~、D[]~、D[r]u、D[r]u~、D[r]e~、D[r]e/o、で活用表記でき、
 子音・母音語幹を含めたD:四段活用・一段活用を含めた一般式ならば、
★D[a]~、D[i]~、D[r]u、D[r]u~、D[r]e~、D[r]e/o、
 という形式で共通表記することができます。
〇例:知る/知れる、忘る/忘れる、(四段/一段)
・知る:sir[a]ない,sir[i]ます,sir[]u,sir[]u-,sir[]eba,sir[]e,
・知れる:知れ[]ない,知れ[]ます,知れ[r]u,知れ[r]u-,知れ[r]eba,知れ[r]o,
・忘る:wasur[a]ず,wasur[i]て,wasur[]u,wasur[]u-,wasur[]eba,
 wasur[]eyo,(上代用語。四段:意識的に忘る動作)
・忘れる:忘れ[]ない,忘れ[]ます,忘れ[r]u,忘れ[r]u-,忘れ[r]eba,忘れ[r]o,
〇例:投ぐ/投げる、尋ぬ/尋ねる、比ぶ/比べる(二段:語幹変化/一段:不変)
・投ぐ:投げ[]ず,投げ[]たり,nag[]u,nag[]uru,nag[]ureba,nag[]eyo,
 (二段:語幹変化)
・投げる:投げ[]ない,投げ[]ます,投げ[r]u,,投げ[r]u-,投げ[r]eba,投げ[r]o,
 (一段:語幹固定)
・尋ぬ:尋ね[]ず,尋ね[]たり,tadun[]u,tadun[]uru,tadun[]ureba,
 tadun[]eyo,(二段:語幹変化)
・尋ねる:尋ね[]ない,尋ね[]ます,尋ね[r]u,尋ね[r]u-,尋ね[r]eba,尋ね[r]o,
 (一段:語幹固定)
・比ぶ:比べ[]ず,比べ[]て,kurab[]u,kurab[]uru,kurab[]ureba,
 kurab[]eyo,(二段:語幹変化)
・比べる:比べ[]ない,比べ[]ます,比べ[r]u,比べ[r]u-,比べ[r]eba,比べ[r]o,
 (一段:語幹固定)

★江戸時代で「ひらがな解釈」を道具としていても、
(1)動詞の四段活用のように動詞語幹が固定である状態を良いと認識して、二段
  動詞も着々と一段活用化した。(数世紀の間の言語変遷で良い方向へ進んだ)
(2)四段活用の動詞を下一段化すると自他交替機能が働き、効率的に態動詞を
  拡大生産できることを発見していた。
(3)特に、四段活用(子音語幹)動詞に「える:eru」を付加して「可能動詞」を生産
  できることも発見していた。
(4)しかし、下一段(母音語幹)動詞に「える:eru」を付加して「可能動詞」を生産
  するまでに完全に変遷しきれない時期に明治維新がはじまった。

★平成時代の思考実験で、気づいたことを記す。
(1)動詞四段活用の「未然形~命令形」は語幹が一本ですから【直線活用】です。
(2)動詞一段活用の「未然形~命令形」は語幹が一本ですから【直線活用】です。
(3)【四段直線活用】の後尾「命令形:D[r]e」を新しい動詞語幹として、
  可能動詞:D[r]e[r]u:が誕生する。【可能態直線活用=一段直線活用】です。
(4)【四段直線活用】と【可能態直線活用=一段直線活用】は並行する複線活用。
(5)【四段直線活用】と【可能態直線活用=一段直線活用】との連続を考えると、当
  該動詞の全景が見えるのではないか。
(6)さて問題は、【一段活用】をさらに重複して【一段活用:可能態活用】すること
  が成立するかどうかです。
 ・成立する条件は、最初の【一段活用】の命令形が意味をもつこと。それならば、
  つぎの二重化【一段活用:可能態活用】が成立します。
  なぜなら、成立する命令に対して「可能/不可能」を可能態動詞で返答できる
  はずだからです。
例:命令形「これを食べろ、食べれよ」、が成立するから、命令形に[r]uをつけて
  返答「食べれる/食べれない/食べれます・・」となるのが普通です。
  可能態動詞として成立します。
  (「ら抜き:ar抜き言葉」が論理的であり、かつ合理的である理由です)
例:命令形一回「行く→行けよ」条件成立、「行ける/行けない・・」可能態成立。
 二重命令?「行ける→?行けれろ」不成立、「?行けれる/?行けれない」不成立。
 (「行けれろ命令動作」とは何? 「れ足す言葉」がダメな理由がこれです)

(つづく)

態文法:態の鏡像図に写ったものは?

2017/02/04(土)

 「態の双対環」を「態の双対環」鏡像図で図示すると、能動系、強制系、使役系の
3つの「双対環」に配置される態動詞の機能の配列が鮮明に見えてくる。
3つの「双対環」が、やはり相似的な意味合いで態機能の配列関係を主張している
ように思われる。
〇「鏡像図」を文字列表記すると、(能動、強制、使役の順で並べる)
◇能動態:D[r]u------------D[r]e[r]u:可能態
 ↘結果態:D[r]ar[]u--------D[r]ar[]e[r]u:受動態(結果可能)

◇強制態:D[s]as[]u---------D[s]as[]e[r]u:強制可能態=使役態
 ↘強制結果態:D[s]as[]ar[]u---D[s]asar[]e[r]u:強制受動態

◇使役態:D[s]as[]e[r]u-------D[s]ase[r]e[r]u:使役可能態
 ↘使役結果態:D[s]ase[r]ar[]u--D[s]aserar[]e[r]u:使役受動態
のように記述できる。

〇記号「◇」で各「双対環」の原形態を示した。
 それぞれ◇能動系「自律動作の軸」、◇強制系「律他動作の軸」、◇使役系「律他・
 使役動作の軸」を示す。
〇記号「↘」で各系の「結果・受動の軸」を示す。
★つまり、「態の双対環」の3系統「双対環」を「鏡像図」に変換して、態動詞の配置
 を文字列表記したことにより、「動作の軸」と「結果の軸」が把握できた。
 さらに、
・【◇原形態動詞の軸:左端----右端:態の可能態化】の対向関係に気づく。
・【↘結果態動詞の軸:左端----右端:態の可能態化】の対向関係に気づく。
・この発見で次の疑問が現れる。
〇◇動作軸の左端の原形態動詞が→右端の可能態動詞と対向・隣接関係なのか
〇↘結果軸の左端:結果態が→右端の受動態(結果可能態)と隣接関係なのは分か
 りやすい。
〇ともかく、右端が可能態:「e[r]u」接辞付きになる理由は何だろうか?

★自問自答の思考実験で答えを求めてみよう。
〇「双対環」鏡像表記の各軸:左端と右端の動詞態のそれぞれの意味を考える。
★左端の動詞態は、動作主体が行う動作陳述を表出する。
 (主体は両端の動詞態構文の主語になれるが、動作陳述は左端による)
★右端の動詞態は、行われる動作を客観属性として表出する。また、既然動作を
 回想的に陳述する意味にも使う。(可能より、自発の意味に近い場合あり)
 (客体が主語となる構文を作るには右端の動詞態による)
〇もっとも、結果態:「ある:ar[]u」と強制態「あす:as[]u」に対しては、下一段活
 用の推奨?がある(国語辞典の助動詞活用一覧表に明示あり)から、右端の態は
 受動態:「あれる:are[r]u」、使役態「あせる:ase[r]u」となるように動詞活用を
 法則化している。
・ただ、学校文法では、下記の例のように◇能動系の右端、◇使役系の右端の動詞
 に対する法則に一貫性を欠いている。(下一段活用でなく態接辞とすべき)
例:はなす:話す(子音語幹動詞)
◇話す----話せる:→可能動詞扱い。【可能態接辞化(「双対環」も提唱)】
 ↘話さる--話される、
◇話させる---話させれる:?。【可能態接辞化(「双対環」も提唱)】
 ↘話させらる--話させられる、
例:たべる:食べる(母音語幹動詞)
◇食べる----食べれる、:?。【可能態接辞化(「双対環」も提唱)】
 ↘食べらる--食べられる、
◇食べさせる---食べさせれる、:?。【可能態接辞化(「双対環」も提唱)】
 ↘食べさせらる--食べさせられる、
〇上例の右端の態動詞は、可能態接辞「e[r]u」結合と解釈すれば、「態の認識」が
 安定して感得できる利点があります。
★(「双対環」も提唱)と記述したわけは、古く江戸後期から各地で使われ初めて
 いる(話せる、食べれる)ことを追認し、先人を応援するつもりであるからです。

 可能態が動作意思の可能だけでなく、既然(既に行った)動作を回想叙述する
機能について最後に記しておきたい。
〇文法研究でも「表現の揺らぎ」とせずに、「陳述と述懐」の違いで把握できる。
◇軸左端:「責任を果した」「仕事を任した」←主体動作の陳述。
◇軸右端:「責任を果せた」「仕事を任せた」←(主客)既然動作の述懐。
〇SMAP曲「夜空ノムコウ」の主要歌詞:「あれからぼくたちは 何かを信じて
 これたかなぁ」の◇軸左端:「来た」と◇軸右端:「来れた」、また↘軸右端:「来ら
 れた」の比較を整理しておこう。
◇軸左端:「~来たかなぁ」←主体動作の陳述。
◇軸右端:「~来れたかなぁ」←(主客)既然動作の個々を述懐する。
↘軸右端:「~来られたかなぁ」←(主客)動作結果の一括を述懐する。

〇先日、鴨長明:『方丈記』を青空文庫で読みかけて、気づいた。
>およそ物の心を知れりしよりこのかた、四十あまりの春秋をおくれる間に、世の
 ふしぎを見ることややたびたびになりぬ。<の連体形:「おくれる」が可能態だ。
◇軸左端:「おくる」間に←これなら普通に動詞連体形だ。(平安後期、鎌倉初期)
◇軸右端:「おくれる」間に←下一段活用。可能の意味では通じない。既然動作の
 回顧述懐と解釈すればぴったり感覚に合います。
(鎌倉時代にも四段活用と一段活用を一つの動詞に併用する風潮が始まって
いたのでしょうか.)

より以前の記事一覧

最近のトラックバック

無料ブログはココログ