カテゴリー「日本語文法」の316件の記事

態文法:新文法の実践検証1

態文法:新文法の実践検証1
2019/05/18(土)
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態文法:動詞派生の共通構造

態文法:動詞派生の共通構造
2019/04/19(金)
 連載の区切りとして、動詞構造の全体像を考察します。
全体像とは、動詞の①自他交替派生、②態派生、③活用形派生を含む動詞形態
の変化構造をなるべく均等に鳥瞰した構造群を意味します。
〇動詞派生の基本的な仕組は、どんな派生でも共通の方式であり、
・動詞派生=動詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞語幹・・・
 と必要な機能接辞が順次付加されて意味が重層化していきます。
〇[挿入音素]とは語幹と語幹の間に挿入して発音可能な音節にするための
 単一音素で、次のような二者択一形式にしてあります。
・[挿入音素]=[挿入母音/無音]または[無音/挿入子音]であり、
 実例は、[a/-],[i/-],[-/r],[-/s],[-/y],[-/k]、の6種類のみです。
〇動詞派生の実例:(派生の仕組は①~③ともに共通方法です)
①自他交替:はじむ hazim[-]u(自他両用)→はじめる hazim[-]e[r]u(他)
 →はじまる hazim[-]ar[-]u(自)
 割る war[-]u(他)→割れる war[-]e[r]u(自、また他・可能でもある)
(接辞確定の2段目以降の[挿入音素]は一択で[-],[r]などと表記可能)
②態派生:はじめさす hazim[-]e[-/s]as[-]u(強制態)
 →はじめさせる hazim[-]e[-/s]as[-]e[r]u(使役態=強制態+可能態)
 →はじめさせられる hazim[-]e[s]as[-]e[r]ar[-]e[r]u(使役受動態)
 おこなう okona(w)[-]u→おこなわる okonaw[-]ar[-]u(結果態)
 →おこなわれる okonaw[-]ar[-]e[r]u(受動態=結果態+可能態)
③動詞活用形:一般形式表記として動詞語幹:Dで示す。
 未然:D[a/-]na[k0]i→書かない/見ない(不動作、打消、動作否定)
 将然:D[-/y]ou→書こう/見よう(意向・勧奨)
 正然連用:D[i/-]te[+]→書いて+/見て+(動作進行+、[i]te:イ音便)
 事然終止:D[-/r]u→書く/見る(動作事象の陳述)
 事然連体:D[-/r]u[+]→書く+/見る+(動作事象+で後続体言を修飾)
 已然連用:D[-/r]e[-]te[+]→書けて+/見れて+(動作完遂+)
 已然仮定:D[-/r]e[+]ba、→書けば、/見れば、(動作完遂想定)
 已然命令:D[-/r]e【yo】/【ey】o→書け/見ろ (動作完遂命令)
     
 「派生」=語幹と語幹の密結合には[挿入音素]をはさむ。
 「複合」=単語と単語の疎結合は[+]記号をはさむことで表記した。
 (複合の例:文法書 bunpou[+]syo、小雨 ko[+s]ame、酒屋 sak[e=a+]ya、
  などの変化形もあるが、自立単語の複合[+]:単純並置的な結合である)
日本語が[挿入音素]に無頓着な膠着語であれば、子音連結や母音連結を残し
たままの造語法を用いただろうが、実際は語幹相互の密結合には[挿入音素]
を挿入する特徴的な調音方法を守ってきた。
日本語の膠着流儀に添うように、[挿入音素]=[連結母音/無音]または、
[無音/連結子音]という形式で子音末・母音末の両語幹に挿入できる表記法
を考案した結果、動詞派生全体を広く見渡すことができるようになりました。
     
 9.動詞派生の全体像から教えられること
 ①自他交替派生で注目すべきことは、接辞:e[r]u の機能が自→他への交替
  と、他→自への交替という両用機能を持つという不思議さ・柔軟さ。
 ②態派生で注目すべきことは、古語時代に強制態で使役を、結果態で受動を
  表現した(実際は終止形より、連用形:[i/-],[e/-] の使用が多かった)
  が、現代では、強制態+接辞:e[r]u →使役態、結果態+接辞:e[r]u →
  受動態に移行している。この不思議さ・柔軟さ。
 ③動詞活用形の派生で注目すべきことは(前段では強調のため、已然の用法
  を連用・仮定・命令に展開して示した)江戸期前後で加速した二段活用が
  一段活用へ収れんする事態を正確に受け止めること。
  (ここでは[挿入音素]採用で活用構造を「五段/一段」共通表記する
   工夫をした)
 →正然連用(二段活用):D[i/-]、D[e/-]、や已然連用:D[-/r]e、に
  [r]uを付加することで一段活用化が進み、奉る文、候文が不要になって、
  待ちに待った母音末動詞の独立化が大量に発生・成立・開放された。
  D(i)[r]u、D(e)[r]u→落ちる、起きる/投げる、受ける、
  (挿入音素を語幹に繰り入れて独立動詞化)が誕生する。
  D[-/r]e[r]u→書ける、読める、起きれる/見れる、投げれる、受けれる
  (動作完遂動詞=可能動詞)が誕生する。
 →これらの誕生は、①自他交替、②態派生とも関連する。
     
 現代国語学が接辞:e[r]u の機能を正しく解釈できないでいる理由は定かで
はないが、この問題を過小評価、もしくは看過していることが原因の第一だろ
う。(当ブログでの問題提起は、前回の「8.敢えて已然形を体験する」に記
したので、ここでは割愛いたします)
     
 先週、図書館で借り出した本を通読して触発されて、前段の派生全体像を書
きました。
『日本語は哲学する言語である』:小浜逸郎:徳間書店:2018年7月31日
走り読みの通読で、本文で引用の文法書や著者の名前が次々に目に入り、懐か
しく思いました。(次々と私も文法書の市販本として読んだ記憶を思い出し
ました)
動詞派生の機序・仕組を哲学したりするために、なにか参考になるだろうかと
思ったのだが、仕組に関しては余り収穫はありませんでした。
     
 以下、簡単な読後感想です。
〇小浜逸郎:第2章の1節、「いる-ある」問題
<小浜本の1節説明:(相当要約)
 ・いる:主に有情物がその場に存在すること。:身近に存在を感じる。
  ~ている:動作進行状態を表現する。転じて形状変化の特徴表現にも
  使う。(曲がっている道、)
 ・ある:主に無情物が存在すること。:離れた存在と感じる。
  ~てある:動作済みであることを表現する。(他動詞に~てあるを使う)
/本の説明終り>
〇反論的感想を記す(相当簡略)
 ・「ある/いる」問題は山口明穂『日本語の論理』に魅力的で詳細な説明が
  あり、有情/無情に関係なく注目の時間幅の中で存在を続けると見做すと
  「ある」と言い、そのうちに存在しなくなると見做すと「いる」と言う、
  と記述あり。これに納得がいく。
 ・漠然と「ある/いる」問答をしていると、動作態(主体が替る)が変化
  することを見逃してしまう。無意識にある:無情、いる:有情、という
  ように態(主体)変化してしまう。
 ・いる:身近、ある:遠方、の感覚差異は、まさに態の違いに惑わされた
  結果だろう。
 ・~てある:多くの文法書では、自動詞では使わないと記述するが、理由の
  説明ができていない。「ある」を無情の遠方のことだと思い込みなのか。
 歩いてある、行ってきてある、走ってある、など自動詞の「てある活用」に
 何の問題もない。(日課的な自動詞の行動を済ませてあることを示す)
→接辞:te(二段活用→一段活用)は、te([-]na[k0]i,[-]te,[r]u,[r]e,[r]o)と
 なったから、本来の形状変化の表現には、~てる:~te[r]u が使える。
 ・曲ってる道、山がそびえてる、看板が立ってる、野菜が並んでる、
  ドアが閉っている、いやもう閉ってる、知ってるよ、見てたから、
  動作進行が完了したあと、その形状が継続する状態を表現するのに最適な
  形態です。
 (世間では「てる/でる」の使用が進んでるが、国語学が追いついてない)

態文法:「動詞活用形の構造」-3

態文法:「動詞活用形の構造」-3
2019/04/05(金)
 7.未然形:D[a/-]は、単独では意味を持たない
  未然形の構造を一般形式表記するとD[a/-]であり、後続する機能接辞には、
  na[k0]i、zu、mai、などの子音語頭接辞が用いられる。
 ・未然(未だ然らず)と同類の将然形(これから然る:意向・勧奨)は、古語
  時代にはD[a/-]mu:書かむ、見む、で、やはり子音始まりの接辞であった。
  (現代語ではD[-/y]ou:書こう、見よう 母音語頭接辞に構造が変化してる)
     
→未然形:D[a/-]は、不動作・未動作を意味する機能接辞と連結する、と限定
  して使用するのがよい。(使役や受動の接辞が連結するのではない)
  もっとも、反語的な表現で「やらまいか!:yar[a/-]mai[+]ka!」と呼びかけ
  ることもあるが、「やらずにおれるか、やろうじゃないか!」に通じる勧奨
  発言であり、不動作の意向を翻意させる発言と考えられる。
 ・未然形中止法:D[a/-]Ø←独立では意味が成立しない。
  旧来、未然形[a/-]の「a」音だけに着目して、未然まがいの造語派生があっ
  た。
 例:住まば都:住むなら都を選べ:?sum[a/-]0[+]ba、?sum[-/r]a[+]ba、
  住めば都:住んで暮せばそこが都:sum[-/r]e[+]ba、
 ・住まば:住むことを前提条件に場所を選ぶなら、都がよい。
 (前提条件の未然形態:[a/-]0[+]baは、子音語幹動詞にしか適用できない。
  見ば、食べば、来ば、が定着していない))
 (事象然の形態:[-/r]a[+]baの例:見らば、食べらば、来らば、が定着すれ
  ば、「a」単音が前提の仮定接辞と言えるのだが、容認度がまだ低いか)
 ・住めば:住まっている(確定条件)なら、そこが都と感じる。
 (已然形:[-/r]e[+]baならば、子音末・母音末語幹ともに一般形式で適用可
  能である)
 〇未然形は不安定で独立し難く、「a」音に頼るだけの構造になる。
 (古語時代に「あ」音始まりの接辞を意図的に用いて、連用・已然の「い」
  音、「え」音と区別する風潮があったかもしれないが、それを「未然形」
  の役割だと捉えていたのかは定かでない。江戸期の解釈上の錯誤かもしれ
  ない)
 〇已然形は動作完遂を意味する安定した機能接辞です。
  それに関連する例をあげます。
 (詳細は既述・態文法:未然形はあるのか?2を参照)
 例:古語の助動詞で「継続」を表す:あふ(四段活用)についての考察です。
 ・合う:au,awu,ahu,afu、の意味に由来する接尾辞と辞典説明がある。
  用例は(子音末動詞の未然形に接続と辞典に説明あるが、語幹連結だろう)
 ・D[]af[]u:tatak[]afu:叩かふ→戦う、katar[]afu:語らふ、
  tir[]afu:散らふ、sum[]afu:住まふ、などの「継続、反復動作」の新造語が
  生み出された。
 ・母音末動詞の未然形?に連結すると(連用中止法と動詞:afuの複合)
  mi[+]afu:見合ふ、tabe[+]afu:食べ合ふ、k[i/-]0[+]afu:来合ふ?などの
  複合語が生み出される。(この接辞は汎用性が高くないようだ) 
 (汎用性が高い接辞ならば、D[-/r]af[]uの形態で、見らう、食べらう、の
  方式の形態もありうるはずだが、定着してない)
〇この接辞:au,awu,ahu,afuの未然形に関わる考察は、ここまでとします。
★この接辞の已然形が重要な意義をもっているので、最後に触れておきます。
     
 8.敢えて已然形を体験する
 (既述・態文法:未然形はあるのか?2に参照事項あり)
  古語辞典に「敢えて」が「合ふ、合へて」と同根との説明を発見したとき
 「敢えて」が已然形の意味を完全に具現化した言葉であると直観したのです。
 ・合ふ:あはない、あひて、あふ、あふ、あへて、あへ:四段活用。
 ・敢ふ:あへない、あへて、あふ、あふる、あふれて、あへよ:二段活用。
  (合へて:四段・已然形、敢へて:二段・連用形)
 〇同根動詞の四段・已然形が分家的独立化して、二段・連用形の異段同形
  構造を創り出す活用方式です。歴史的に二段活用が一段活用へ変移する
  前の長い先駆けの二段活用の構造だったのです。
  もっとも、敢ふは一段動詞に変移しても、活用幅は広がらなかった。
 ・敢える:あえない、あえて、あえる、あえる、あえれて、あえろ:一段。
  となっても、使用範囲が狭く「敢えなく、敢えて、」などの副詞的用法に
  留まるが、それでよいのでしょう。→すべての(動作)動詞の已然形が
  本質的に「合へて、敢へて、合えて、敢えて」の意味を包含してるから
  です。
 〇古語辞典での意味説明を比べてみる。
 ・合へ:①合わせる②(動きに、相手に)合わせる、了承する③和える。
 ・敢へ:事の成行き、相手・対象の動き・要求に合わせる→転じて、ことを
  全うし、堪えきる意。①(事態に対処し)どうにか持ちこたえる②こらえ
  きる③(連用形に続いて)~しきれる、すっかり~する。
 〇現代国語辞典での意味説明は、躍動感がまったく感じられない。
 ・合う:①一つになる②集まる③一致・適合する④釣り合う、調和する。
 ・敢えて:(副詞)①しいて、おしきって、わざわざ、
 ・敢えず:①こらえられない②~しきれない(古語用例として掲載)
→★古語「敢へ」の持っている意味が、動詞の已然形が表す意味と完全に一致
  する。
 ・形態に対して思考実験:連用形+敢えて=已然形、を検証してみる。
 例:D[i/-]0[+]afe[i/-]te=D[-/r]e[i/-]te :一般形式表記。
 ・書き敢えて:kak[i]ae[]te→kak[]ee[]te→kak[]e[]te:書けて、
 ・食べ敢えて:tabe[+]ae[]te→tabe[-/r]ae[]te→tabe[r]e[]te:食べれて、
 どちらも強引な変形を必要とするので、構造上の起源を求めるには無理があ
 る。
→〇ただし、已然形の意味は「敢へ」の意味と共通する。
 ・敢える:動作への向き合い→相手、対象、事態に合わせて(難しい周囲条
  件であっても)、動作開始へ踏み出して(条件を乗り越え、相互に助け合
  い)すっかり完遂・成就させる。
 ・書ける、食べれる:が可能動詞である所以は、「強いて完遂しきる」との
  意味を包含した形態(已然形+[r]uの独立動詞の形態)であるからです。
 ・可能動詞、可能態:D[-/r]e[r]u、使役態:D[-/s]as[]e[r]u、受動態:
  D[-/r]ar[]e[r]u、などe[r]uが付属する派生動詞は、主体・客体・対象・
  自然法則が相互に好循環の動きに合わせて動作を全うする、そう言う状態
  を意味します。
 例:「これを書く、書かす、書かる、食べる、食べさす、食べらる」よりも
  「これを書ける、書かせる、書かれる、食べれる、食べさせる、食べられ
  る」と聴いたほうが、動作内容への関心度が高くなり、周囲状況・相互の
  関与状態(互律)がすごく気になってくるはずです。
 

態文法:「動詞活用形の構造」-2

態文法:「動詞活用形の構造」-2
2019/03/24(日)
 動詞活用形の基本枠組を「動作の採否・進行・事象・完遂の局面を並び順で
示している」と解釈する。素直に「アスペクト概念の並び順」なのだと教育す
るのがよいですね。(教育の場で動作・不動作・完遂・結果の表現方法を学ぶ
ことは、日本人、外国人留学生ともに必要なことです)
     
 5.動作進捗を表現する基本枠組
 ★動詞活用の基本枠組:D(未然、連用、終止、連体、已然、命令)は、
  動詞:Dの動作進行の状況を表現するもので、特に未然、正然連用、已然
  連用は動作表現に直結しています。
①未然形=未だ然らず:まだ動作に至らず=動作の打消・打消推量に限定。
 D[a/・](na[k0]i:否定、zu:打消、mai:打消推量)など、
 ・子音語頭の打消用接辞と連結して「不動作」を表現する。
②正然連用形=正に然る:正に動作中=動作着手中を表現する。
 D[i/・](Ø:中止法、te[]:連用法、D'[]:補助動詞連用法、)など、
 ・読みØ書きØ、読んでから、読み・始める、など動作中を詳細に表現する。
③已然連用形=既に然る:動作の完遂成就を表現する。
 D[・/r]e([+]ba:完遂仮定法、[i/・]te[]:完遂連用法、[r]u:完遂可能法)
 ・已然連用形の深層意義は、「動作完遂して」を表すことです。
 (仮定法専用ではなく、完遂仮定、完遂連用、完遂可能、完遂命令、などの
  根源になる「完遂成就する」という動作概念を持っています。そのため、
  動作対象の人や物に対して「動作完遂、成就に向け」手助けする配慮行動
  も内包しています)
→未然形:D[a/・]、正然連用形:D[i/・]、已然連用形:D[・/r]e、の形態で
 共通項として( )外に括り出しました。この共通形態を「音素解析による
 活用形」と見做してもよいかもしれない。(語幹も[挿入音素]も正確に識
 別できる)
 ・未然、正然連用は[挿入音素]の[a/・]、[i/・]で活用形を形成?しますが
 ・已然連用は[・/r]e、のように機能接辞:eを持ち、汎用的に大活躍します。
     
 ★なお、古語時代の動詞活用を体感するには、二段活用の構造についても調
  べる必要があります。
④二段活用の終止、連体、已然:D([]u、[]u[r]u、[]u[r]e、):一般形式表記。
 この連体形の構造を[]u[r]uと解釈するか、[]ur[]uと解釈するか、定説はあり
 ません。(構造的には「ur」を接辞に見立てたいが、その意味は曖昧です)
  
  当ブログでは、終止形に[r]uが連結する構造と解釈して、
→★上式の共通項を括り出し、D[]u(-、[r]u、[r]e、)と解釈できるので、
 ・共通項:D[]uを「仮語幹に見立てる」ことで、連体、已然を派生させたと
  推測。 また、上下二段活用の前段:未然、正然連用、の構造が似たよう
  な解釈で(仮語幹→上二段=D([i])、下二段=D([e])と見做し)一般形式
  表記できる。
 ・つまり、上下二段活用を重畳した一般形式表記は、
 ★D([i/e])([]、[]、)、D[]u(-、[r]u、[r]e、)と、正に仮語幹が二段階の活用
  形式で表される。
→★歴史的時間経過でD([i/e])が上下それぞれの語幹に組込まれ、全形共通に
 ・D(i/e)([]、[]、[r]u、[r]u、[r]e、)と上下一段活用が収れんしたのです。
     
〇本来、[]u[r]uの形態自体には「動作事象化」を表現する以外、強い機能はな
 かった。 二段形態が江戸期に近づくまで存続できたのは、D(i/e)[]の連用
 形が奉る文、候文と連結して機能したからだろう。(D(i/e)[]奉る、給る、)
 江戸期前後にD(i/e)[r]uの便利さに気づいたから一気に一段化が進んだと
 推測する。(D[]u[r]uは原初発生したのに、D(i/e)[r]uは遅咲き過ぎる!)
・特にD(e)[r]uの構造は、e[r]u:已然完遂、可能完遂にも通じる機能があると
 気づいた人も多かったはずだ。
(江戸期には、わざわざ「読むる:yom[]u[r]u」と書いて、読めるの先駆を試
 行した例文があり、可能動詞を求める時代背景に適合していたはずです)
     
 6.自他交替接辞から学ぶこと:ここでも、e[r]uが重要です。
  古語時代の二段活用動詞が長く続いた理由の一つには、自動詞と他動詞の
  交替派生を順次行っていたからなのでしょう。
 〇それが判った上で、動詞活用させるための接辞(助動詞)を調べよう。
  まず、自他交替動詞を派生する方法を想像してみる。
 →古代、動詞語幹は子音末が多かったから、D[・]母音語頭接辞の構造で密結
  合する派生であった。
 〇自他交替で対峙する接辞形式には12種類あり、簡単に例示する。
  (注:i[r]u、e[r]uは、二段活用の古語時代では[r]uが連結しない連用形
   止りだったことを意識して表記した)
 ①aru/u:つかまる/つかむ、②aru/e[r]u:上がる/上げる、
 ③u/e[r]u:立つ/立てる、④e[r]u/u:取れる/取る、
 ⑤e[r]u/asu:出る/出す、⑥re[r]u/su:倒れる/倒す、
 ⑦u/asu:減る/減らす、⑧i[r]u/asu:伸びる/伸ばす、
 ⑨i[r]u/osu:起きる/起こす、⑩ru/su:起こる/起こす、
 ⑪ru/se[r]u:乗る/乗せる、⑫e[r]u/ayu:見える/見ゆ、、、。
 ・自動詞になる接尾辞:aru-e[r]u-i[r]u-oru-re[r]u-ru-u、(「r」音が多い)
 ・他動詞になる接尾辞:asu-e[r]u-osu-se[r]u-su-u、(「s」音が多い)
 ・中でも自他両用になる接尾辞:e[r]u→国語文法や学校文法では両用する
  理由を説明していないように思う。
 (古語時代人は理由を知っていたはずです)
     
→自他交替接辞の中に、態接辞として汎用的に使用する接辞が含まれる。
 〇結果態接辞:ar[]u、強制態接辞:as[]u、可能態接辞:e[r]、e[s]、の
  3つと、
 〇受動態接辞:ar[]e[r]、ar[]e[s]、使役態接辞:as[]e[r]、as[]e[s]、の
  2つが態派生形として活躍する。(e[s]は後続に強制・使役が付く場合に
  現れる)
→★この可能態:e[r]、e[s]、が自他両用へ交替する理由について、当ブログ
  の態文法カテゴリーの中では詳しい説明を何度か/も試みている。
 〇可能態接辞:e、は、已然形:D[・/r]eの接辞:e、と同じもので、同一
  意義を持つと解釈できます。
 ・他動詞:「取る」の動作が進行し完遂すると「物が/を-取れる」:自動
  詞交替/他動詞・可能動詞になる。(二義的だが、動作完遂の側面では
  合致する動詞)
 ・自動詞:「立つ」を「自分が/物を-立つように」動作完遂すると「自分
  が/物を-立てる」:自動詞・可能動詞/他動詞交替になる。
  (二義的だが、動作完遂の側面では合致する動詞)
 〇つまり、可能態接辞:e=已然形:D[・/r]eの接辞:e、は、
  ①「動作完遂、成就するために尽力する」が根源の意味です。
  ②その尽力は、対自・対人・対物に対し相互好循環に働くように注力され
   る。(もし相対悪循環ならば、完遂成就できないはず)
  ③その尽力は、e[r]uの事象化形態に近づくと「動作可能:可能動詞、可能
   態」の意味が強まってくる。
→二段活用の古語時代は、e[r]uでなく、正然連用[e/・]だけで[r]uはつかず、
  ④使役態連用:D[・/s]as[e/・]teは、命じた動作が完遂するように相手
   と相互好循環となるように助力、助言、尽力する意味です。
  ⑤受動態連用:D[・/r]ar[e/・]teは、動作結果:D[・/r]arを正然連用で
   使うと得られる。つまり、動作結果がある事態になってその動作に関与
   する対自、対他、対物の相互循環反応を描写する。
→このように、正然連用[e/・]を使用する時代が長く続いた反面、[e]音を語幹
  に組み入れて、使役終止:as[]u→ase[r]u、受動終止:ar[]u→are[r]u、と
  言えるようになったのは、室町・江戸期に一段化が進んだ時期からなので
  す。
 ★[挿入音素]の[e/・](正然連用)、D[・/r]e(已然連用)、語幹組入・自他
  交替動詞:D[]e[r]u(已然完遂)、可能態接辞:e(完遂・互律:相互助
  勢・反応)、これらの「e」音はすべて同じ深層意義を持ち、動作を完遂
  ・成就するように尽力する、助力する、配慮する、忖度する、事態反応す
  る、という心情描写に使います。「e」音の解釈はローマ字による音素解
  析で検証しやすくなりますが、音節単位の「かな解析文法」では全体検証
  の見通しが利かないでしょう。
     
 古語時代の二段活用を追体験しながらの検証で、
〇動詞派生の一般形式の法則=動詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]
 接辞語幹・・・だけを頼りに見つめ直しました。
・この法則で十分正確に、現代文法とも整合する解釈ができることを確認でき
 ました。 [挿入音素]:[e/・]は不規則動詞「する」の未然・連用形にしか
 残っていないが、往時は下二段活用の動詞として長い間、広く活躍していた
 のです。
(つづく)

態文法:「動詞活用形の構造」-1

態文法:「動詞活用形の構造」-1
2019/03/12(火)
 4.「動詞活用形の構造」:一般形式表記で新発見
  動詞活用は、動詞派生と同様に機能接辞と密結合することで実現するので、
 〇動詞活用=動詞派生=動詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞語幹・・・
  という構成法により生成されます。
 ・動詞活用・派生の基本概念を述べれば、
  動詞語幹:Dを先頭に、[挿入音素]の連結器を介して第一接辞:自他交替接辞
  、次に[挿入音素]を介して第二接辞:態接辞がつながる。
  次に[挿入音素]を介して第三接辞:アスペクトや時制接辞などが順次つなが
  っていき、詳しい描写が可能になる。
 →活用の構成要素としては、
 ①動詞語幹:D、(自他交替接辞を組み込んだ状態の動詞語幹を含める)
 ②[挿入音素]:6種類=[a/・]、[・/y]、[i/・]、[・/r]、[・/s]、[・/k]。
  なお、不規則動詞「する」では、連結母音に[a/・]、[i/・]ほかに、[e/・]も
  継続してる。(古語時代は多用されたが、現代は限定的な使用にとどまる)
 (注:「~してる」と併せて[e/・]について後段に補足説明する)
 ③機能接辞語幹:S、(使役・受動、打消、意向・推量、完了、希望、推定・断定、伝聞
  、丁寧などの固有機能を有する助動詞が揃っている) 以上の3要素がある。
 →「かな文法」の最大の欠陥は、派生後の動詞形態から①動詞語幹や、②[挿入音
  素]、③接辞語幹の各要素を正しく区分できず識別できないことです。
  例:使役、受動の接辞は、母音語頭の「あす:as、あせ:as[]e」と「ある:ar、あれ
  :ar[]e」が本来の形態です。ところが、現状の「かな解析文法」では、接辞語頭
  の「a」を挿入音素:[a/・]に繰り込んでしまい、未然形接続だと取り違えた。
  江戸期からの間違いが時を止めたように今も続いています。
 ★使役はD[・/s]as[]e[r]u、受動はD[・/r]ar[]e[r]u、で区分するのが、当
  態文法ブログが推奨する一般形式表記です。
     
  音素解析の効果を活かした視点から、態文法:「動詞活用形」の概念を更新により
 『動詞活用基本枠組』を既に提起しました。
 →要約引用しながら、現代の規則動詞(四段・一段)活用と古語時代の二段活用
  を比較しながら、活用の変遷を追体験してみよう。
 〇現代の四段・一段活用の一般形式表記:動詞語幹:Dを()外に括り出す。
 ・D([a/・]na[k0]i、[・/y]ou、[i/・]te、[・/r]u、[・/r]u、[・/r]e、
  [・/r]e【yo】/【ey】o)、この式一つで、規則動詞すべてを表現できる。
     ★現代語の「動詞活用形:未然、連用、~」は、動詞の動作進行局面を表現
      するための派生並びなのだと理解することが大切です。
      だから、未然・将然はまだ動作に取りかかる前の局面を意味し、
      正然・連用は動作進行中を意味し、
      事然・終止、連体は動作事象を出来事として描写し、
      已然・連用は動作事象の完遂成就を意味している。
      已然・命令は動作事象の完遂成就を目指して命令する。
 〇古語・二段活用の一般形式表記:(なお古語・四段活用は現代に継承される)
 例:古語「落つ:ot[]u」、の場合、
  ・二段:ot([i/・]zu、[i/・]te、[]u、[]u[r]u、[]u[r]e、[i/・]yo、)
 例:古語「投ぐ:nag[]u」、の場合、
  ・二段:nag([e/・]zu、[e/・]te、[]u、[]u[r]u、[]u[r]e、[e/・]yo、)
 →便宜的ながら、「落つ/投ぐ」を重畳して一般形式化してみよう。
 例:ot/nag([i/e]zu、[i/e]te、[]u、[]u[r]u、[]u[r]e、[i/e]yo、)
     ★古語時代の「二段活用形」を追体験して判ることは、
     ①二段動詞が動き出す局面を表現できる[挿入音素]は、[i/・]、[e/・]の
      2つだけ。
      (現代語では、この[i]、[e]を動詞語幹に取り込んで、母音幹動詞の一段
      活用になって収れんした。何世紀も二段活用が続いたが)
     ②動詞語幹から直接已然形(ot[]e、nag[]eは不適)を派生できないので
      新たに終止形態に[r]uを付加して、連体形(D[]u[r]u)を生み出した。
      続けて絶対に必須の已然形(D[]u[r]e)を派生した。
      (終止形を温存する代りに大胆にも[r]uを直付け:事象化した)
     ③命令形は正然・連用を流用する→動作に取りかかることを命じる。
      (現代語の命令形は已然・連用の流れにあり→動作完遂を命じる)
     ④二段から一段活用に変移するには、ot/nag[i/e]*[r]u、のような
      大胆な独立化の大波が起きる必要があった。(鎌倉~江戸期)
     ・[i/・]、[e/・]は正然・連用形に付き、独立動詞化する際には、
      oti[r]u、nage[r]u、のように母音末語幹の動詞に変化した。
     ★四段活用を見ると判るように、[i]音は正然・連用形の[挿入音素]であ
      るが、「e」音は已然連用形の機能接辞である。 母音末語幹に組み入れ
      られても当然のこと、「i」音:正然/「e」音:已然、という意味感覚の差を
      感じてほしい。(正然:正に動作中、已然:既に完遂成就、というように
      意味の差を強調して覚えておくとよい)
     ・「e」音語幹末の動詞は、已然:完遂成就の意味を内包するから、動作完遂
      できる意味で使える。つまり可能動詞、可能態の出現です。
      (見れる、来れる、食べれる、覚えれる、なども立派な可能動詞である)
 〇古語・二段活用の完了助動詞「つ:tu」の一段化「てる:te[r]u」と、不規則動詞
  「す:s[]u」の独立化:「せる:se[r]u」が一段活用化した状態を検証してみる。
 例:D[i/・]te([a/・]na[k0]i、[i/・]te、[・/r]u、[・/r]e、[・/r]o、)
   書いて/食べて(ない、て、る、れ、ろ、)、これは既に通用している。
 例:称[+]se([a/・]na[k0]i、[i/・]te、[・/r]u、[・/r]e、[・/r]o、)
   称せ(ない、て、る、れ、ろ、)→相性がよい漢語動詞もあるが、
  ・満足[+]se([a/・]na[k0]i、[i/・]te、[・/r]u、[・/r]e、[・/r]o、)
   満足せ(ない、て、る、れ、ろ、)→満足でき(ない、て、る、れ、ろ、)、を意味
   するのだが、「せ」が有する完遂成就の根源的意味合いが感じにくいし、不規
   則性が強すぎる。(文語でも定着しているのは「せず、せる」だけか)
  ・「称せ→×称でき」、「満足せ→〇満足でき」、「証明せ→〇証明でき」の差は、
   すでに「称す」、「称せる:可能態」が独立動詞になっており、「称[+]せ」でな
   いからだと推測できる。
   「せる:やり遂げることができる」の意味が強固に浸透・確立しないと汎用の
   可能動詞にはなれないのだろう。
     
★『動詞活用基本枠組』での活用形並び順を「アスペクト並び」だと解釈する利点
 は大きく、まだ語り尽せていない。 次回に未然の[a/・]音を検証する。
     

態文法:「態派生の構造」再発見

態文法:「態派生の構造」再発見
2019/03/01(金)
 3.「態派生の構造」:一般形式表記で新発見
  前回、形容詞の語幹はすべて母音末であると記したが、古語時代の動詞語幹は
 逆に子音末の単語が多かった。
 〇子音語幹の動詞は通常、四段活用となるものが多いが、古語時代には動詞自
  体の自動詞/他動詞の分立化や態派生の確立化が試行錯誤の段階であった。
  子音語幹動詞でも自他分立が未然連用で起きても、終止形にまで及ばず「二段
  活用」にとどまる状態が何百年も続いたことになる。(二段活用が斯くも長引
  いた理由は、連用+奉り文・給る文・候文・たり/なり文の工夫と、終止+[r]u
  =連体、終止+[r]e=已然、の工夫による終止形の温存だったと思う)
 ・動詞派生で接辞を並べる順序は、自他区別の接辞、態の区別接辞をまず配置し
  て登場人・物の動きに見合う動作表現に近づける。完了動作か未完了動作かの
  「時制表現の接辞」はそのあとに連結する。 国語辞典付録解説の「助動詞活用
  一覧表」で最初の枠には、「使役、受動」接辞を配置することが多い理由はこの
  ためです。
 〇「態派生の構造」:一般形式表記・・・「態の双対環」表現
 ★態派生の順序1=態の三系から一つ選択:
 →①能動系:D[・/r]、・・・自他動詞の区別不問。終止原形(統語接辞:uは後続)
 →②強制系:D[・/s]as[]、・・・強制態接辞:as[]連結。
 →③使役系:D[・/s]as[]e[r]、・・・使役態接辞:as[]e[r]連結。
 ★態派生の順序2=態の四態から一つを選択:
 →④系原形:-のままか、
 →⑤系に可能態:e[r]を付加するか、
 →⑥系に結果態:ar[]を付加するか、
 →⑦系に受動態:ar[]e[r]を付加するか、どれかを選択する。
 ★順序3=組み上げ:「態の双対環」(三系四態)一般形式表記
  ①能動系:D[・/r](④-、⑤er[]、⑥ar[]、⑦ar[]e[r])u、
  ②強制系:D[・/s]as[](④-、⑤er[]、⑥ar[]、⑦ar[]e[r])u、
  ③使役系:D[・/s]as[]e[r](④-、⑤er[]、⑥ar[]、⑦ar[]e[r])u、
(態派生:三系四態は、すべての態動詞の構造を明示できること、未然形に接続
 するのではないこと、「かな解析の異形態接辞」が「音素解析:ローマ字つづり」
 の明解な一般形式表記化により同一形態接辞の構造へと解き明かせること、を
 示しています)
     
 〇「態の双対環」三系四態により日本語のすべての動作動詞のすべての態表現
  を派生させることができます。(子音末・母音末、自動詞・他動詞、規則動詞・
  不規則動詞を含めて、すべてに適用できます。当然、見れる、来れる、食べれる
  など「ら抜き」も正規の態として認める新文法です)
 →不規則動詞も基本的に態派生は規則動詞と同一構造です。
 ・例:不規則動詞:来る・する、の三系四態を示します。 不規則動詞なので、態派
  生の語幹は、来る→ko、する→s、とします。
  ①能動系:ko[・/r](④-、⑤er[]、⑥ar[]、⑦ar[]e[r])u:
   → 原形×こる、来れる、来らる、来られる。
  ①能動系:s[・/r](④-、⑤er[]、⑥ar[]、⑦ar[]e[r])u:
   → 原形×す、せる、さる、される。
  ②強制系:ko[・/s]as[](④-、⑤er[]、⑥ar[]、⑦ar[]e[r])u:
   → 来さす、来させる、来ささる、来さされる。
  ②強制系:s[・/s]as[](④-、⑤er[]、⑥ar[]、⑦ar[]e[r])u:
   → さす、させる、ささる、さされる。
  ③使役系:ko[・/s]as[]e[r](④-、⑤er[]、⑥ar[]、⑦ar[]e[r])u:
   → 来させる、来させれる、来させらる、来させられる。
  ③使役系:s[・/s]as[]e[r](④-、⑤er[]、⑥ar[]、⑦ar[]e[r])u:
   → させる、させれる、させらる、させられる。
(態派生の構造は規則的に一般形式での表記ができます。 何度も言いますが、
すべての動作動詞に対して「態の三系四態」の一般形式表記が可能であり、通用
する態動詞を派生することができます)
     
 態派生を一般形式で検証していると、新発見することがあります。
少し横道へ入ります。
 古語の助動詞:しむ:使役の一種で古い形を考察した。
『岩波古語辞典補訂版』:大野晋・佐竹昭広・前田金五郎:1990年2月8日補訂版
によると、「す」「さす」よりも前に成立した助動詞で奈良時代に「~させる」の使
役表現に用いられた。また、「しめ給ふ」「しめ奉る」の形で動作尊称の意を表すに
も用いられ、中世以後は文章語の書簡などで長く使われた、と解説がある。
〇動詞の未然形に接続すると解説にあるが、態接辞が未然形に連結するはずが
 ないと思っていた。
・古語「~む」は、書かむ/見む:D[a/・]muの形態で推量・意向・勧奨を表現した
 もので、D[a/・]n→→D[・/y]au→D[・/y]ou:書こう/見よう:に現代では
 変化してきた。「ましじ、まじ、まほし」などの「m」音はこの推量の「m」に由来す
 るのだろう。
〇古語「~しむ」は、「知らしむ、申さしめ給へ」と使われており、新文法の一般形
 式で表記すれば、D[・/s]as[i/・]m[]u、:使役の一種と解しても通用する。
・D[a/・]m[]u:書かむ/見む、は発話者の意向・勧奨を表すが、使役場面では、
 D[・/s]as[a/・]m[]u:書かさむ/見ささむ、の形態のままだと、発令者の意
 向か、受命者への勧奨、動作者への尊敬表現か、曖昧であるから、相手へ働きか
 けがはっきりする:D[・/s]as[i/・]m[]u、書かしむ/見さしむの形態を選ん
 だのであろう。 と考えると、奈良時代から使役接辞の用法を正しく試行してい
 たのだと感心する。
     
・ただし残念ながら、漢語動詞への応用が一般形式構造から外れてしまう。
 不規則動詞の「す」に「しむ」を連結すると、使役態構造が弱まる。
例:「せしむ、感化せしむ、充足せしめん、興隆せしむる、退散せしめん、」などの
 S[e/・]s[i/・]m[]u、の形態は、「す」の未然「せず」である:S[e/・]z[]uの
 S[e/・]を使用したものであり、不規則動詞の本領発揮です。
〇不規則動詞の慣用として「せず」だけは活かすとしても、使役態になりきれな
 い「せしむ」は、現代語でぴたりの言葉:「させる」を使うのが最適です。
 ・「させる」と「される」は裏表の関係、鏡像関係にあり、「される」が慣用されるの
 だから、「せしむ」にこだわらずに「させる」で良いだろう。
 規則派生に該当する「書かしむ、見さしむ、」自体が使われない現代なのに、変則
 を自覚もせずに「せしむ」だけを残す必要性は低い。
〇「感化させる、充足させよう、興隆させる、退散させよう、」が現代風です。
・「講ぜしむ、信ぜしむ、」などは「講ざせる、信ざせる、」よりも「講じ[+]させる、
 信じ[+]させる、」と連用形で複合[+]構造にするほうが分かりやすい。
〇これで態派生の構造に例外なしと公言もできますからね。
 (意味もなく「可能態」を忌避する人の何と多いことか。奈良時代から続く試行
 錯誤も理に適う方向だった。 態派生の構造に例外なしの心意気を示そうでは
 ないか。)
     
(次回は「動詞活用形の構造」を再発見します)

 

態文法:[挿入音素]の構造

態文法:[挿入音素]の構造
2019/02/24(日)
 2.[挿入音素]の構造:一般形式表記を目指して
  日本語の単語は密結合する場合、子音連続や母音連続を避ける特徴があり、
 特に動詞派生では、動詞語幹[挿入音素]接辞語幹のように語幹の間に[挿入
 音素]が挟まる構成で、発声しやすい音節化を実現させている。
 ・[挿入音素]の構造は、連結時の子音や母音の同種音連続を避けるために、「単
  音素の挿入」が必要であると同時に、異種音連結の場合には直接連結でよいの
  で、「無音挿入」でなければならない。
 ①[挿入音素]の構造1=[連結母音/無音]→子音語頭の接辞と連結するため。
  (現在は①[a/・]、②[i/・]、の2種類を使う)
 ②[挿入音素]の構造2=[無音/連結子音]→母音語頭の接辞と連結するため。
  (現在は③[・/r]、④[・/s]、⑤[・/y]、⑥[・/k]、4種類を使う)
     
〇このように[挿入音素]を規定するのは、動詞語幹の末尾音が子音の場合と母
 音の場合の両方に対応した一般形式表記にしたいからである。
 (簡略的に動詞活用形、受動態、使役態の派生を一般形式表記する)
 例:D[a/・]na[k0]i→書k[a]ない/食べ[]ない、
    :子音語頭の接辞:na[k0]i(打消)。
  :D[・/y]ou→書k[]おう/食べ[y]おう、
    :母音語頭の接辞:ou(意向、勧奨)。
  :D[i/・]mas[]u→書k[i]ます/食べ[]ます、
    :子音語頭の接辞:mas[]u(動作敬体)。
  :D[・/r]u→書k[]う/食べ[r]う、
    :母音語頭の接辞:u(動詞標識接辞)。
  :D[・/r]e[i/・]tara→書k[]e[]たら/食べ[r]e[]たら、
    :母音接辞:e(已然連用、完遂可能の意味)、
    :子音語頭の接辞:tara(完了想定の接辞)。
  :D[・/r]ar[・/r]e[・/r]u→書k[]ar[]e[r]u/食べ[r]ar[]e[r]u、
    :母音語頭の接辞:ar(動作結果があるの意味)、e(已然連用、完遂可能
     の意味)。
  :D[・/s]as[・/r]e[・/r]u→書k[]as[]e[r]u/食べ[s]as[]e[r]u、
    :母音語頭の接辞:as(動作をやらすの意味)、e(已然連用、完遂可能の
     意味)。
  (注:後段2例のar、e、are、as、ase、は態の接辞であり、詳しくは「態の構造」
  で解説する)
     
 6種類の[挿入音素]の使用例を掲載したが、動詞語幹が子音末/母音末の両方
に対応した[挿入音素]構造になっていることに注目してほしい。
その構造により、連結する各機能接辞が動詞語幹末の子音/母音に関係なく、
同一形態で表記できる利点を確認してほしい。
     
 なお、[挿入音素]の⑥[・/k]の例について追加説明します。(当文法の独創)
 例:形容詞派生のための[挿入音素]として規定する。(動詞派生も別途説明)
  :楽しい→tanosi[・/k0]i→tanosi[k0]i、
  :早い→haya[・/k0]i→haya[k0]i、
  :ない→na[・/k0]i→na[k0]i、らしい→rasi[・/k0]i→rasi[k0]i
  :望ましい→nozomasi[・/k0]i→nozomasi[k0]i、
 〇形容詞語幹:K=常に母音末語幹であり、上例のように終止形の一般形式は
  K[k0]i、の一本式で表記できる。(現代はイ音便により[k=0]i、kが無音化)
  もっとも、形容詞の活用形式が「し・く活用」と「かり活用」の二本立てで、
 例:「し・く活用」:語幹=Kで一般形式表記。(形容詞・副詞的運用である)
  :K(-、[k]u、[s0]i、[k0]i、[k]ere[+]ba、-):連用、終止、連体、仮定。
  ・早(-、く、い、い、ければ、-):古語では[s]i、[k]i、現代ではs、k発音せず。
 例:「かり活用」:語幹=Kで一般形式表記。(形状動詞的運用である)
  :K([k]ar[a]、[k]ar[]ou、[k]ar[i]、-、[k]ar[]u、[k]ar[]e、[k]ar
   []e):打消、意向推量、連用、連体、已然、命令。
  ・早(から、かろう、かり、-、かる、かれ、かれ):補完的に連用、終止、仮定は
   「く活用」から借用する使い方になっている。
  (注:[s0]i、[k0]i、の形容詞標識接辞:「i」音と、[k]ar[i]、の[挿入音素の「i」
   音]の扱い方では解釈に違いがある。それでよいと思ってる)
 〇形容詞派生の「く活用」では、K[k]u単独で副詞的な連用修飾が使いやすい、
  :楽しく:tanosi[k]u、早く:haya[k]u、~[+]らしく:rasi[k]u、など。
  :楽しくて:tanosi[k]u[i/・]te、と解釈するよりも、:tanosi[k]u[+]te、と
  解釈するほうが応用が広いように思う。楽しくなる、楽しくない:K[k]u[+]
  nar[]u、K[k]u[+]na[k0]i、などと連用修飾の規則を援用できる。
 〇また、「かり活用」の由来も、楽しく[+]あり:K[k]u[+]ar[i]の母音縮約に
  よって、K[k]ar[i]に転換して「かり活用」が併立したと解釈しうる。
 〇文語時代の早し:K[s]iの[s]には、動詞的意味合いがありそうだが、一般形式
  になれなかった。楽しし、悲しし:~si[s]iの終止形を頑張り通せずに、[s]iを
  放棄して、楽し、悲しの形態で終止形としたのです。
     
 以上、[挿入音素]の[・/k]について形容詞派生での用法を説明しました。
この[・/k]は動詞派生でも特定の場面で使われますが、詳しくは[挿入音素]全
体の意味の解説で触れたいので、ここでは割愛します。
〇形容詞派生=形容詞語幹[挿入音素]接辞語幹・・・の密結合の法則に従った
 派生構造であることを提起しました。
     
(次回は「態の構造」を再発見します)

態文法:「動詞の構造」再発見

態文法:「動詞の構造」再発見
2019/02/20(水)
 日本語の動詞の構造を「ローマ字分析:音素分析」によって見直すと、活用・派生
がどんな規則で発生しているのか明確に発見できます。
現状の学校文法が「かな分析:音節分析」で動詞活用を説明するのは、方便的な解
釈にとどまります。正確な説明を可能にするには、「kana分析:音素分析」が必要
です。なぜなら、日本語は単語・接辞を順次つなげて、意味をつなぐことで文章を
構成する膠着語ですが、子音と子音の連結や、母音と母音の連結を避ける目的で
連結用に「単音素:k,a,n,a,表記が必須」を挟み込む特徴的な法則があるのです。
この法則により、「かな表記」が可能になっているのです。
 古語時代から現代に至るまで日本語の叡智として、「連結音素の法則」を作り上
げてきたはずですが、忘却したかのように「かな表記」にもっぱら依拠した文法
論が流通しています。
日常の文章表記には「かな漢字」を使うとしても、文法説明(特に動詞語幹の密な
連結構造の説明)には、「連結音素の法則」を援用すべきだと思います。
     
 では、ローマ字つづりによる「kana分析:音素分析」で、動詞構造の再発見へ進
みましょう。
 1. 単語の膠着方法:疎結合と密結合
 ①緩やかな疎結合=[複合]:[+]→名詞の連結など:小学校[+]前、バス[+]停
  、小[+]雨=ko[+s]ame、酒[+]屋=sak[e→a+]ya、など(発声容易化のた
 め)の音素挿入や母音交替が起きる場合もあるが、それぞれ自立する単語どう
 しが緩やかに結合して意味を重ね合わせること。
     
 ②語幹と語幹の密結合=[派生]→[挿入音素]を介在させ、密な結合として意味
 を重ね合わせること。 まず、動詞[派生]の概念を一般形式で表記する。
 ・動詞派生=動詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞
 語幹・・・のように、接辞(助動詞)を密に連結させて意味を深めていく。
 ・[挿入音素]=[連結母音/無音]、または[無音/連結子音]の構成で、6種あり
  ①[a/・]②[i/・]③[・/r]④[・/s]⑤[・/y]⑥[・/k]が使われる。
 (古語時代の上下二段活用では②[i/・]②’[e/・]が使われたが、江戸期までに
  語幹に組み入れられ一段活用動詞になっている)
 〇派生の概念化をさらに進めるため、単語品詞を略号で表記する。
  動詞語幹=D、接辞語幹=S、形容詞語幹=K、名詞=M、名容詞=My:形容動詞
  で表記すると、
 ・動詞派生=D[挿入音素]S1[挿入音素]S2[挿入音素]S3・・・一般形式、
 例:立たせられる、立たされる、の違いは?:→tat[・/s]as[・/r]e[・/r]ar[・
 /r]e[・/r]u、tat[・/s]as[・/r]ar[・/r]e[・/r]u、→tat[]as[]e[r]ar[]
 e[r]u、tat[]as[]ar[]e[r]u、→tat[]ase[r]are[r]u、tat[]as[]are[r]u、
 (立たせるは誘導して立たす、立たすは口頭指示だけのように感じる)
 例:食べさせられる、食べさされる、の違いは?:→tabe[・/s]as[・/r]e
 [・/r]ar[・/r]e[・/r]u、tabe[・/s]as[・/r]ar[・/r]e[・/r]u、→tabe
 [s]as[]e[r]ar[]e[r]u、tabe[s]as[]ar[]e[r]u、→tabe[s]ase[r]are[r]
 u、tabe[s]as[]are[r]u、(食べさせるは食べれるように手助けする、食べさす
 は口頭指示だけ)
 ★2例を一般形式で示すと、
   D[・/s]as(e[r])are[r]u、の一本で表記できる。
     
 ・動詞派生(連用形)=D1[挿入音素]S1[+]D2[挿入音素]S2・・・補助動詞D2と
 [+]疎結合する。
 例:落していなければ:→otos[i/・]te[+]i[a/・]na[k]ere[+]ba、→otos
 [i]te[+]i[]na[k]ere[+]ba、
 例:おぼえておかなければ:→oboe[i/・]te[+]ok[a/・]na[k]ere[+]ba→
 oboe[]te[+]ok[a]na[k]ere[+]ba、
 ★2例を一般形式で示すと、
   D1[i/・]te[+]D2[a/・]na[k]ere[+]ba、の一本で表記できる。
     
 ・動詞派生(連体形)=D1[挿入音素]S1[+]M[+]S2・・・M、S2は助詞、助動詞な
 どと疎結合する。
 例:壊した玩具に恨まれて:→kowas[i/・]ta[+]omotya[+]ni[+]
 uram[・/r]ar[・/r]e[i/・]te→kowas[i]ta[+]omotya[+]ni[+]
 uram[]ar[]e[]te、
 例:助けた亀に連れられて:→tasuke[i/・]ta[+]kame[+]ni[+]
 ture[・/r]ar[・/r]e[i/・]te→tasuke[]ta[+]kame[+]ni[+]
 ture[r]ar[]e[]te、
 ★2例を一般形式で示すと、
   D1[i/・]ta[+]M[+]ni[+]D2[・/r]ar[]e[]te、の一本で表記できる。
     
以上のように、膠着語の連結の仕方には、疎結合の複合と密結合の派生の2つが
あり、動詞活用と言えども派生の仕組みに従い、動詞語幹[挿入音素]接辞語幹
[挿入音素]接辞語幹・・・と、まるで煉瓦を一つ一つ並べて敷き詰めていき、文章
の意味を組み上げるのです。
     
(次回は[挿入音素]を詳しく解説します)

態文法:薬は飲む、花火は打ち上がる

態文法:薬は飲む、花火は打ち上がる
2019/01/25(金)
 前回、態動詞の動作律仕方を3×3マトリクス図に整理して解説しました。
〇無律と受律については別途に残したが、ネット上に見つけた記事に触発され
 て、「受律」概念を広げて考察してみようと考えた。
     
①例文:「この薬は食後に飲みます・のgoogle翻訳」:aurinkokunta101のホー
 ムページ(吉川武時氏のHP)
②例文:「花火がドーンと・・・? 打ち上がる/打ち上げられる」:毎日新聞 校閲
 センターのツイッター(ことばアンケート:結果まとめ:1/21)
の2つの例題文を読んで「受律概念」を思い起す。
     
 2例文で共通する着眼点は、文の主格が人間以外の対象物であり、他動詞を使う
ならば受動態で表現するほうが文法的?、という指摘を想定したのだろう。
吉川武時氏は言語学者であり、日本語教育に深く携わられて『日本語文法入門』
:アルク:1989年6月20日の著書を出されている。 多言語に目を向けられてい
て、①例文を中国語と比較してgoogle翻訳アプリで英語、独語、イタリア語、フ
ィンランド語、インドネシア語、タイ語、トルコ語、韓国語などに変換して、文章
構造の違いを比較した考察を記事に掲載された。(翻訳結果:私が薬を食後に飲
む、薬が食後に飲まれる。 HP記事では各国語の翻訳の文型を比較してるが、強
い結論を提示していない。西欧語とアジア語?の異同に着眼がある)
(吉川氏の文法と当態文法とでは視点が異なるのだが、時々HPをのぞき見して
参考にしている)
②例文には、ツイッター内に閲覧者回答の集計結果が示された。
 「花火が打ち上げられる:72.7%」の支持があり、
 「花火が打ち上がる:27.3%」は1/4強の支持にとどまる。
(残念ながら、校閲センターの選択は多数派に傾いたようです)
     
→当態文法では、態動詞には動作律仕方が備わっていると定義している。
③飲む、打ち上げる、打ち上がる、他動詞・自動詞ともに能動系原形態ならば、
 「自律動作」を意味する。(主体が「自律」で、対象物が「受律」動作である)
④あげる:古語:あぐ-あげる(他動詞)-あがる(自動詞)-あがれる(受動態)
 ・現代語:あげる(他動詞:自律)-あげれる(可能態:互律)-あげらる(結果態:
 果律)-あげられる(受動態:果互律)
 ・現代語:あがる(自動詞:自律)-あがれる(可能態:互律)-あがらる(結果態:
 果律)-あがられる(受動態:果互律)
⑤あげる:ag[]e[r]u、可能態接辞が附属し完遂互律の意味を含むが、完遂の
 相棒は重力法則だから目一杯頑張って折り合いを付けるしかない。
⑥あがる:ag[]ar[]u、結果態接辞が附属するので、果律:関与実体と動作結果
 との結びつき、応対を表現する。(つまり、あがるは結果を含む自動詞なのだ)
⑦「日本語に主語はいらない」から、「飲む:【わたしが、きみが、ひとが】飲む」と
 いう意味を含んでいる。命令形は「【きみが】飲め」であり各国語でも主語なし
 で使うのが普通です。日本語は命令形でなくても文脈に沿っていれば、主語な
 しを容認する言語です。(【 】内は省略・発音せずの記号)
     
→①「この薬は食後に【ひとが】飲みます」と簡単に表現できるのはよいですね。
 「わたしが、(あなたが、みんなが)この薬は食後に飲みます」などと毎回言いた
 くない。
→②「花火がドーンと【花火が】打ち上がる」と、夜空に打ち上った花火の輝きを
 見上げて歓声を上げたいですね。
 「花火がドーンと【花火師によって】打ち上げられる」と、遠くの発射場を目で
 探しながら、チラッと花火を見るなんてことは好まない。
〇連体修飾形式を想定してみよう。(被修飾語が無情の対象物である場合)
①「食後に飲む薬は4錠ある」→飲まれる薬と言わない。
②「今度打ち上がる花火がUFO型なんだ」「打ち上げる花火のスポンサーは?」
 「打ち上げた花火/打ち上がった花火は、ほんの一瞬だったね」→が普通です。
 「打ち上げられた花火」は分析的ではあるが、普通は言わない。
★③に記したように、「自律動作」をするのは人間だが、対象物は「受律動作」を
 するだけ:動作を受けるだけ、の状態を「薬は飲む、飲む薬」と言う。
     
〇一方、有情の人と人との動作に関しての連体修飾形式には注意が必要です。
・女は殴られた男に復讐した→殴られた女が殴った男に復讐した。
・女は殴った男に復讐された→殴った女が殴られた男に復讐された。
・女は殴られて男に復讐した→連用修飾なら誤解しない。
・助けた亀に連れられて浦島太郎は竜宮城に幾年か→亀と人間で動作律が違う。
・犬が嫌いな猫が来て逃げていった→?犬を嫌う猫が逃げた/犬が嫌って猫から
 逃げた、:少し曖昧さを無くす工夫が必要となる。
     
★日本語が主語を持たない構文で動作意味を構成できるのは、
・主体の「自律動作」に並行して、対象物も「受律動作」で対応することを同じ動詞
 形態で表現できるからです。
(日本人の暗黙知が支えているようだ。早く文法則で支える時代が来てほしい)
・また、動作結果(物)が関与者に対等な形態:「結果態:果律動作」や、「受動態:果
 互律動作」を提供して関与者の反応表現を誘うことができるからです。
・可能態は、まさに主体の「自律」と対象物の「受律」が合体した形態:「可能態:互
 律」であり、「花子はピアノが弾ける」のように主体と対象物がそろって複主語
 になり、同じ動詞形態に連結できるわけです。
〇「受律動作」の表現は誰でも日常的に使っています。
・イチゴは直売所で売ります/売っています:動詞連用形でも受律が成立する。
・イチゴがよく売れました:已然連用・可能態で強固な互律が成立します。
・朝食は毎日食べるのがよい:これも普通に成立します。
・コンニャクは【食べても】太らない:文脈依存で省略がきついが、通用する。
・報告書は毎日書くこと:(報告書を毎日書くの言い方では、すべての業務を列記
 しておかないと安心できない。 仕事もする、ひる休憩をする、考える、相談す
 る、連絡電話する、などの一つとして報告書を書きなさいと言うことになる)
     
〇日本語の態については、動作の律仕方も文法化して継承すべきだと思います。
・能動態:自律:主体/受律:対象。(主体・客体・対象それぞれの動作対応を表現)
・可能態:完遂動作で、互律:主体・対象の相互助勢。
・結果態:動作結果で、果律:主体・客体・対象の結果事態。
・受動態:動作結果に反応で、果互律:主体・客体・対象の態応、反応。
・強制態:律他:主体指示/自律:客体服従。
・使役態:律他互律:主体指示助勢/自律完遂:客体服従。
(無律:強制態を他動詞能動態化へ転向させるなどの機能、ここでは割愛する)
     

態文法:3×3マトリクスで整理する2

態文法:3×3マトリクスで整理する2
2019/01/10(木)
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  ↑態の基本枠組を「態の双対環」と名付ける。
  ②可能態:e[r]と③結果態:arの対向関係を「態の対向」に加えるのが当態文法
   の特徴です。 (文語文法の使役:as(強制)、受動:ar(結果)とともに、近世の
   已然:e[r](可能)も基本枠組に加えている)
  〇接辞:e[r]は、自他交替の解釈において、「動作完遂して到達する状態」を想
   定すれば、自動詞が他動詞へ交替し、他動詞が自動詞へ交替する両方向機能
   に見えるのです。だから、深層の意味:「動作完遂」機能を表すと解釈する。
  ・また、‐reru:自発的(物理法則に破綻しない)、‐seru:介助的(見せる、着せる
   、乗せる:互律動作)などの意味が完遂動作の途中で付随する。
  〇可能態:e[r]は、動作完遂・合理・互律を一つに丸め込んだ概念なのである。

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