カテゴリー「日本語文法」の251件の記事

態文法:態の律仕方を伝える3

2017/09/23(土)

 前回の記事途中にて、言いさして寸止めした「可能態接辞」について態文法に関
わる重要な部分を補足したい。
〇平安期から江戸期にわたり大規模な言語社会実験のように、動詞形態の一部が
 「二段活用から一段活用への変移」した。 これを仔細に述べる能力はないので
 深入りしないが、可能態接辞が果す「態の役割」実態を指摘しておきたい。
★すべての動詞(事象動詞:D[・/r]u、D[・/r]ar[]u、D[・/r]as[]u)には、
 可能態接辞-e-を連結でき、「態の万能継手:ユニバーサル・ジョイント」の役割
 を果すことができる。

 「態の万能継手:ユニバーサル・ジョイント」を例文で示す。
★例:滝に打たれ-させ-られ-る:ut[]ar[]e-[s]as[]e-[r]ar[]e-[r]u.
 (かな解釈に合せて「-記号」を挿入して区切りを示した)
→受動-使役-受動の態動詞が継手:e[r]、e[s]で連結される。
 可能接辞:母音単音だから、e[r]/e[s]のように、[挿入音素]を[r]:自律、
 [s]:律他のどちらにも連結でき、その意味で万能継手だ。
★例:祖父が父に私を大学に行かせ-させ-た:ik[]as[]e-[s]as[]e-[]ta.
→使役-使役、二重使役の構文。
★例:父が祖父に私を大学に行かせ-させ-られ-た:
 ik[]as[]e-[s]as[]e-[r]ar[]e-[]ta. →使役-使役-受動の構文。

〇「え音」は、いわゆる動詞活用表の感覚でいうと、「四段活用の已然形、仮定形」
 であり、「下二段活用、下一段活用の未然・連用形」に相当する。
 少なくとも「動作に取りかかり、動作に目鼻がついた」状態を表現する機能を
 発揮している。(已然形の概念を端的に表す)
→対比のため、「い音」の連用形に代えると、「取りかかったままの動作」が、いく
 つも併存することなって、話し手、聞手のお互いの互律・納得の感じが進まない。
×滝に打たり-さし-らり-る:ut[]ar[i]Ø-[s]as[i]Ø-[r]ar[i]Ø-[r]u.
×大学に行かし-さし-た:ik[]as[i]Ø-[s]as[i]Ø-[]ta.
×大学に行かし-さし-らり-た:ik[]as[i]Ø-[s]as[i]Ø-[r]ar[i]Ø-[]ta.
「い音」連用形も母音単音の挿入音素:[i]と無音接辞:Øとで構成できる万能継手
であるが、自律動作の意思・意向が強く前面に出てしまい、話し手、聞手のお互い
の互律・共感が涌いてこない。

★古語時代から「ある・さす」の受動・使役動詞に対しては四段活用を用いるので
 はなく、「あれ・させ」の二段・一段活用を優先してきたのは、「え音」が持つ已然
 感覚と互律感覚が殊更に有用であったからなのだと思う。
→互律感覚とは、「互に勧奨・誘導し合うような意図的な動作:やろう、しよう」か
 ら始まり、「動作がぶつかり合う使役・受動の動作」や「大事件の不可抗力的な動
 作・被害」を含めた事態・事象に対して、「物の道理」「事の道理」「人の道理」「自然
 の摂理」に則った動作・事象であると感じ取り得心できる感覚のことである。
 「法の道理」は「物・事・人・自然の道理」を調整総合して成立つもので後追いの道
 理であるが、言語のなかでは「文法の道理」も後追いながら同様に論理の整理に
 役立つはずだ。
→冒頭に記したように、すべての動詞が可能態を派生できる。
 一般式で表現すると、D[・/r]e[r]uである。
 (「ら抜き」でなく、受動態から「ar抜き」したと見るのが可能態である)
例:watas[・/r]e[r]u→watas[]e[r]u:渡せる(子音幹動詞→母音幹動詞)
 (渡される:渡すことができると、渡すことをされる意味もある)
 nose[・/r]e[r]u→nose[r]e[r]u:乗せれる(母音幹動詞→母音幹動詞)
 mi[・/r]e[r]u→mi[r]e[r]u:見れる(母音幹動詞→母音幹動詞)
 sagas[・/r]e[r]u→sagas[]e[r]u:探せる(子音幹動詞→母音幹動詞)
 abi[・/r]e[r]u→abi[r]e[r]u:浴びれる(母音幹動詞→母音幹動詞)

例:別の派生形式で子音幹/母音幹の動詞を試す。
〇子音幹動詞の例
 ・連用形:D[i/・]te:渡して、探して(-s[i]te)、
 已然連用:D[・/r]ete:渡せて、探せて(-s[]ete)、
 受動態:D[・/r]ar[]ete:渡されて、探されて(-s[]ar[]ete)、
〇母音幹動詞の例
 ・連用形:D[i/・]te:乗せて、見て、浴びて(-e/i[]te)、
 已然連用:D[・/r]ete:乗せれて、見れて、浴びれて(-e/i[r]ete)
 受動態:D[・/r]ar[]ete:乗せられて、見られて、浴びられて(-e/i[r]ar[]ete)
→この連用形の例で分かることは、子音幹動詞よりも母音幹動詞のほうが一段
 早く已然傾向に染まっている。(当然と言えば当然だが)
・子音幹動詞の已然連用が母音幹動詞の連用形に相当し、子音幹動詞の受動態が
 母音幹動詞の已然連用の形態と似たような印象になる。
 (つまり、母音幹動詞の已然連用は、子音幹動詞の受動態と遜色ないほど可能態
 としての機能を果せる形態である)
〇後追いながらこの「態文法の道理」も役立ときが早く来てほしいと思う。
 (動詞派生を一般式表現することで新しい文法則をいくつか見つけて、投稿を
  しているわけだ)

態文法:態の律仕方を伝える2

2017/09/14(木)

 今回は、律仕方のうち「果律」:結果態、「果互律」:受動態について解説する。
★態動詞の動作の仕方:一般式=動詞語幹:D+[挿入音素]+態接辞
①能動原形態:D[・/r]u→動作:Dを「自律」でする。(自・他動詞ともに)
②可能態:D[・/r]e[r]u→動作:Dを「互律」でする。(主体・客体が互いに)
③結果態:D[・/r]ar[]u→動作:Dの「果律」がある。(結果が主・客に)
④受動態:D[・/r]are[r]u→動作:Dの「果互律」がある。(結果が主・客全体に)
〇文語体でも、④「書かれ」:未然・連用、③「書かる」:終止という下二段活用で使
 われていたから、結果・受動の形態を知っていたはずだが、次への変移:下一段
 化(終止・連体の同形化と連動)して④「書かれる」終止形態:独立単語になるた
 めには大きな言語上の社会実験を経なければならなかった。
〇今でも、ひらがな解釈に留まり続ける口語体の学校文法や国語辞典では、接辞
 形態:-ar-や-are-を音素把握していないし、説明できていない。

→「二段活用から一段活用への変移」については深入りしないが、可能態接辞が
 二次派生する実態を指摘しておこう。
★注目点は一般式:上例①~④、(前回投稿記事の強制系⑤~⑧、使役系⑨~⑫)
 の偶数丸数字の動詞には、必ず可能態接辞が付く。二次派生している。
→③結果態から④受動態への二次派生:-ar[]e[r]uの方法は、①→②と同様に
 ②可能態接辞-e-を汎用的に使用し二次派生の連結をするものである。
→同様に前回記事で⑤強制→⑥使役(強制可能)、⑨使役→⑩使役可能などでも
 ②可能態接辞-e-を汎用的に使用し二次派生の連結をするとを記述した。
★すべての動詞(事象動詞:D[・/r]u、D[・/r]ar[]u、D[・/r]as[]u)には、
  可能態接辞-e-/-e[r]u-を付加して二次派生させることができる。
→可能態接辞-e-を付けると、相・アスペクト的には「動作実行、已然状態」を表
 出できる。

 実際の受動態例文を見ながら、果律、果互律の律仕方を解釈する。
→結果態派生:D[・/r]ar-で一瞬の間をおいてから、可能態接辞:e-を連結して
 受動態:D[・/r]ar[]e-を生成すると思いながら意味を考えてください。
例:受動態の機能は「果互律」であり、「受身」専用の意味ではない。
「昨夜、隣家が泥棒に(入られ)た」:hair[]ar[]e-
「買物メモを(渡され)たが、夕方には買物自体を忘れていた」:watas[]ar[]e-
「熱くてコーヒーが(飲まれ)ない」:nom[]ar[]e-
「ゆっくりして(いられ)ない」:i[r]ar[]e-
「旅行に(行かれ)なくなった」:ik[]ar[]e-
「彼は納豆が(食べられ)る」:tabe[r]ar[]e-
「滝に(打たれ)(させられ)る」:ut[]ar[]e[s]as[]e[r]ar[]e-
「妹が小鳥を猫に(殺され)た」:koros[]ar[]e-
「そこに(立たれ)ると、何も見えない」:tat[]ar[]e-
「橋が新しく(架け替えられ)た」:kake[+]kae[r]ar[]e-
→受動態は、「動作結果のある、在る、有る」ことと、動作主体、客体、対象、事象
 (物の道理、自然の摂理)などとの互律関係を描写する機能がある。
 そのため、動作結果に至る要因や心理を説明する語句があると分かりやすい
 構文になる。
→一方、可能態:D[・/r]e[r]u、は、受動態:D[・/r]ar[]e[r]u、から結果態
 接辞:ar-を取り外して現れる形態と同じになる。(俗称「ら抜き」というが、
 本当は「ar抜き」だ) 可能態:D[・/r]e-は「動作:Dを互律でする」ことを表現
 する、つまり「事象:Dでの即応的な動作互律」を表現対象にしている。
→動作結果を洞察するような配慮を表すのは受動態の機能である。
例:泥棒が(入れ)ないように施錠する:hair[]e-、外出時の即応的な対策。
 (入られない)対策:hair[]ar[]e[]na[k=0]i、には厳重な恒久対策が必要。
 納豆が(食べれ)る:tabe[r]e-、納豆を食べる(動作)ができる。
 関西では納豆が(食べられていない):tabe[r]ar[]e[]te[+]i[]na[k=0]i、
 食べる習慣、実績・結果(=食べる+ある)がないという意味を表す。
〇行ける/行けない、考えれる/考えれない、可能態での可否表現をした場合、
 動作に対して即応的な軽い気持・意思だけの反映と感じる。
 だが、行けた/行けなかった、考えれた/考えれなかった、完了形可能態なら、
 結果を含めた述懐・回想だとの実感が強くなるが、あくまでも出来事の一場面
 での可否の対応行動に限定した述懐、個人体験の述懐だと感じられる。
〇行かれる/行かれない、考えられる/考えられない、受動態での可否表現は
 動作に対して結果状態まで予測・経験した結論的な判断だと感じる。
 受動態の場合には、行かれた/行かれなかった、考えられた/考えられなかっ
 た、と完了形になっても、時制の差を感じるが、出来事の結論的な結果に影響し
 ていないと感じる。熟慮結論型の可否判断、習慣・実績の判断表現である。

態文法:態の律仕方を伝える1

2017/09/07(木)

 江戸期の国学者・本居春庭(「詞八街」、「詞通路」)の「動詞の自他」説明に記述さ
れた独特な考え方に強い魅力を感じたことがある。
態文法を考える上で「受動-能動-使役」が直線状態でなく、平面状態なのだと気
づく手掛りにもなった。
例:「動詞の自他」説明:(文法辞典引用)
①おのずから然る、みずから然(す)る、 ②ものを然(す)る、 ③他に然(す)る、
 ④他に然さする、 ⑤おのずから然せらるる、 ⑥他に然せらるる。
改めて文法辞典での解説文で①~⑥を見ると、不満な点も見えてくる。
→「然る:そうである」そのものが現代人には分かりにくい。
 「然る」自身の派生:然る/然する/然りになる/然りにする/然さす/然りに
 させる/然りにさせらる:などを曖昧に使っていては、意味の曖昧さを克服で
 きない。
〇また、先行研究として『三上章は「能動」「所動」概念の説明』で、次のような動詞
 区分を記述した、と寺村秀夫『日本語のシンタクスと意味(1)』にある。
引用:(三上章が「能動/所動と受身」を自・他動詞の区分(権田直助記述)と対比)
 能動詞→直接、間接受身=他動詞(コワス、作ル)←ものを然する(権田直助) 
 能動詞→×、間接受身のみ=自動詞(死ヌ、泣ク)←みずから然する(権田直助)
 所動詞→×、×受身なし=自動詞(アル、要ル)←おのずから然る(権田直助)
 自動詞のなかには受身にならない所動性の動詞もある。(要約:引用終わり)
→能動/所動の概念は重要なのだが、動詞は自他交替、態派生、相派生の操作に
 より簡単に能動→所動、所動→能動が瞬時に入れ替るのだ。
だから、「おのずから然る/みずから然する/ものを然する」などと悠長に思考し
ていられない。

★「態の双対環」文法では、動詞の動作の仕方を識別する言葉として「律する」を
 選定した。
〇国語辞典:律する:①さだめる、きめる②ある規律にあてはめて処置する。
→解釈②の「ある規律」とは、物の道理、事の道理、人の道理、自然の摂理などを
 引き当てることで、それを行動基準として「律する」のだと理解できる。
★態動詞の動作の仕方:一般式=動詞語幹:D+[挿入音素]+態接辞
①能動原形態:D[・/r]u→動作:Dを「自律」でする。(自・他動詞ともに)
②可能態:D[・/r]e[r]u→動作:Dを「互律」でする。(主体・客体が互いに)
③結果態:D[・/r]ar[]u→動作:Dの「果律」がある。(結果が主・客に)
④受動態:D[・/r]are[r]u→動作:Dの「果互律」がある。(結果が主・客全体に)

⑤強制原形態:D[・/s]as[]u→動作:Dを「律他」する。(他に自律:Dをやらす)
⑥可能態:D[・/s]ase[r]u→動作:Dを「律他互律」する。
 (他に自律:Dをやらせる。互律付きだから、主体が他に介助、手助けするも可)
⑦結果態:D[・/s]as[]ar[]u→動作:Dの「律他果律」がある。
 (他に自律:Dをやらす結果が主・客を律する)
⑧受動態:D[・/s]as[]are[r]u→動作:Dの「律他果互律」がある。
 (他に自律:Dをやらす結果が主・客全体を律する)

⑨使役原形態:D[・/s]ase[r]u→動作:Dを「律他互律」する。
 (他に自律:Dをやらせる。互律付きだから、主体が他に介助、手助けするも可)
⑩可能態:D[・/s]ase[r]e[r]u→動作:Dを「律他互律・互律」する。(使役互律)
 (他に自律:Dを使役させるのが可能:道理に適う)
⑪結果態:D[・/s]ase[r]ar[]u→動作:Dの「律他互・果律」がある。(使役果律)
 (他に自律:Dを使役させる結果が主・客を律する)
⑫受動態:D[・/s]ase[r]are[r]u→動作:Dの「律他互・果互律」がある。
 (使役果互律:→使役受動と呼んで「律他互・果互律」と分析できるだろうか)
 (他に自律:Dを使役させる結果が主・客全体を律する)
→以上の①~④、⑤、⑨、の律仕方が重要な概念を持っている。

★もう一つ、「無律」という概念があります。古語では「ク語法」と呼んだ派生法で
 江戸期でも使用例が少なってしまい、誤解釈もあったようだ。現代の使い道は
 無律接辞-ak-で脱動詞概念名詞(曰く、老いらく、願わくは)などの派生や、
 [挿入音素]に転用して、挿入音素:[k]の形態で動詞(寝かす、笑かす)、形状動
 詞の派生(tanosi[k]ereba、rasi[k]u[+]na[k=0]i)などに活躍している。
→「然る:si[k]ari,si[k]ar[]abaの転用」自体にも人知れずに活躍する。
 ([挿入音素:k]転用の解釈は当ブログ発案の用法だが、有用性の高い仮説だ)
→現代でも「無律」が使われる理由は、「自律」「律他」の識別を意図的に無効化し
 たい場合に役立つし、有用であるからだ。
例:赤児を寝さす:親の「律他:指示動作」で赤児に自律動作をさすのは無理だ。
 つまり、赤児の「自律」動作が心もとない状態を斟酌すべきだから、別表現で
 :赤児を寝せる:「互律」感が効くが、「物を横にする」表現とも解釈できる。
 :赤児を寝かす:(ne[k]as[]u)「無律化」した動作をやる→単純な他動詞化へ
  変換できたから、親の「自律」動作だけで「赤児を寝かす」と表現できる。
 :赤児を寝かせる:(ne[k]ase[r]u)親の「自律・互律」が明確になり心理的にも
  ぴったりの表現。(赤児は自然の摂理に従うだけの互律動作でよい。親が添い
  寝してもよい)
互律の例:ついでに「可能態=互律」を解釈する。
 :彼は英語が話せる:互律で「話す」→彼と英語が互に言語法則に則り「話す」動
 作をする。
 :彼女はピアノが弾ける:互律で「弾く」→彼女とピアノが互に音楽の道理に則
 り「弾く」動作をする。
 :窓ガラスが割れる:互律で「割る」→何かがガラスと物理反応を起こし「割る」
 動作をする。(自然の摂理に従い「割れる」、と考える手もある)

→日本語は動作の律仕方について以上のような細かい心理描写を込めて発話す
 るし、おそらく他のアルタイ諸言語でも同様な派生描写を行うのだろう。
〇律仕方を身につけた後は、能動態(=自律)、可能態(=互律)、結果態(=果律)、
 受動態(=果互律)、強制態(=律他)、使役態(=律他互律)、と態名称を聞いたら
 カッコ内の(律名称)が思い浮ぶようになってくると心強い。
〇律仕方を考えるとき、自動詞/他動詞の区別は不要であり、自律動作か/律他
 動作かの区別をはっきりと表現しようとする意識が大事だ。

態文法:解説6:そこで探査用「双対環」を

2017/08/28(月)

 今回は解説のしめくくりとして、次の2点に触れておきたい。
・強制系、使役系の「態の双対環」2組両方を常に併記するのは何故か?
・能動系にも対になる別組の「双対環」があるのか?
(「態の双対環」考察の背景事象をふりかえり、自問自答する)
★「動詞派生」の順序は、動詞の自他選択、態形態選択、相形態選択、助動詞選択、
 統語選択、接続選択、とつづく。このうち、自他・態・相選択が基本的な機能接辞
 による派生であり、自他交替と相派生の中間にある「態派生」は、言語変化の歴
 史のなかで両者との兼合いで影響を受け合ってきただろう。
〇特に相形態の変化(動詞二段活用から一段化)は、自他の有対・無対動詞の新旧
 交替を加速し、已然・可能態の強力化?・普遍化、相形態の終止・連体同形化など
 の広範囲にわたって影響した。平安期から江戸期にわたる自然発生的な言語社
 会実験だったろう。

 「態の双対環」文法を考え始めたきっかけは、受動態の多義性を解明する方法を
探し求めたことだった。
①「態動詞を幅広く把握する」には、能動-受動の対向区間の中間に、可能態(已
 然相)・結果態(文語受動)を並べるべきだと思いついた。
②通常、能動を中心に「受動-能動-使役」の鏡像模式設定するが、使役にも使役
 受動態があるから、一直線でなく、平面で考えるべきだ。
③「能動-可能-結果-受動」、「強制-可能-結果-受動」、「使役-可能-結果-受動」
 3系で4態が相似的な双対形式(能動-受動の対と可能-結果の対が直交する)
 に見立てる構造図へとたどりついた。(簡略的には一行文字列表記する)
④3系4態が「相似的な双対形式」だということを目に見えるようにする。
 (因数分解の要領で一般式にする)
→能動原動詞語幹:Dとして、一般化:D(原形態-可能態-結果態-受動態)
★一般式:D([・/r]u、[・/r]e[r]u、[・/r]ar[]u、[・/r]ar[]e[r]u)
→強制派生語幹:D[s]as→これを新語幹:Dとして、
 一般式:D([・/r]u、[・/r]e[r]u、[・/r]ar[]u、[・/r]ar[]e[r]u)、または
 派生:D[s]as([・/r]u、[・/r]e[r]u、[・/r]ar[]u、[・/r]ar[]e[r]u)、
→使役派生語幹:D[s]as[]e→これを新語幹:Dとして、
 一般式:D([・/r]u、[・/r]e[r]u、[・/r]ar[]u、[・/r]ar[]e[r]u)、または
 派生:D[s]as[]e([・/r]u、[・/r]e[r]u、[・/r]ar[]u、[・/r]ar[]e[r]u)、
〇このように「原形態」概念を導入すると、一次派生、二次派生の語幹に対しても
 相似形式で「双対環」を操作できる。
★これを標準「双対環」と定義する。
→一般式:D[・/r]u、D[・/r]e[r]u、D[・/r]ar[]u、D[・/r]ar[]e[r]u、
→一般式:D([・/r]u、[・/r]e[r]u、[・/r]ar[]u、[・/r]ar[]e[r]u)←Dが各
 項に掛る形式である。
⑤すべての原動詞:Dに対して、強制態、使役態が例外なしに成立する。
・強制態接辞-as-が強い律他動詞性(他者を動かす)を持ち、D動作をやらす。
・使役態接辞-as[]e-は律他動詞性に併せて、手助けの互律でD動作をやらせる。
 使役態=強制可能態でも十分に動作性が残る動詞である。
〇「態の双対環」文法で「強制(文語使役)」と「使役(強制可能)」の並立を採用する
 理由は、現代口語の中で両系統ともに使われること、また、態動詞を幅広く把握
 できることだ。(教育現場で強制系の除外化をしないでほしい)

 さて、2件目の課題は、・能動系にも対になる別組があるのか? だ。
⑥能動系原動詞には「自動詞に属する」か「他動詞に属する」かの違いがある。
 はじめから自動詞/他動詞と別々(機能接辞を持つ)の動詞であれば、それぞれ
 を「態の双対環」に適用して「3系4態の「双対環」形式に書き出せる。
・つまり、能動系動詞は3組の「双対環」を派生できるのが、普通なのだ。
⑦「対になる別組の「双対環」を派生できるか」とは、一次派生(強制接辞-as-)、
 二次派生(使役接辞-as[]e-)のような機能接辞が他にもあるのか、という意味
 でもある。また、態接辞を重ねて二重可能態(れ足す言葉)や二重使役態(さ入れ
 言葉)などの使い方に関わることか。
〇現代語で新たな態接辞は現れていないし、態の律仕方に追加すべき「律の在り
 方」を新しく提案するものはない。
〇「態接辞の二重化」は正当な使用法である場合と不都合な誤用とがある。
→正当な使用法:立てる、進める、上げる、など他動詞(自律動作)扱いができる
 動詞(主体・対物の互律だが自律優勢で実現する)であれば、
正当例:立てれる、進めれる、上げれる:形態的には互律互律だが、自律互律の感
 覚で意味を理解できる。(二重化後は自律性は弱くなり、性状属性表現になる)
→不都合を招く:行ける、割れる、書ける、など可能動詞(自発動詞も含む)は互律
 動作で主体自律は弱く、事象条件の都合性が優勢である。(二重可能化↓ダメ)
誤用例:行けれる、割れれる、書けれる:形態どおりの互律互律が感じられ、意味
 が不安定で収れんしない。

 以上、「態の双対環」と「態動詞の律仕方」を解説してきた。
標準「双対環」の使い方の実例を付記しておきたい。
実例:古い単語に対して若い世代が意味を理解できない事例
 (実体験)今回の解説連載では、述語を終止形で締めることを試している。
 記事を推敲するうちに、「~操作で正しい語幹が求まる。」と書き下して、ふと考
 えた。動詞「求まる」はパソコン漢字変換で失敗する、若者に通用するのか?と。
 ネット検索してみたら、やはり「求まる」を質疑応答する記事がけっこう並ぶ。
 質問者が自分の疑問をネット質問する前に、自分で探査するための探査用「双
 対環」を使えるとよいと思う。
・標準「双対環」が探査用に使える。
→「求まる」:MOTOM・aruだから、-aru-接辞を捨て、語幹:MOTOMにたどり
 着けば、標準「双対環」:MOTOM[]u-MOTOM[]e[r]u-MOTOM[]ar[]u-
 MOTOM[]ar[]e[r]u-、求む-求める-求まる-求まれる、を書き出せる。
 他動詞:「求める」、自動詞:「求まる」(結果態の感じ)が納得できるだろう。
→古い単語の例をもう一つ、
 「受く」(下二段から下一段化でお蔵入りした原動詞)を漢字変換してみた。
 UK[]u-UK[]e[r]u-UK[]ar[]u-UK[]ar[]e[r]u、
 受く-受ける-受かる-受かれる、のうち、「受ける/受かる」だけが漢字変換で
 きた。(これは有対の他・自動詞の扱いで漢字変換登録済みだからだろう)

★標準「双対環」は態や派生接辞の付け外し操作ができる方にとっては探査用、
 あるいは説明用「双対環」になる。また、機能接辞を見つけ出す操作を正しく
 できるようになれば、昔の原動詞の姿を見れて、江戸期の壮大な言語社会実験
 に対する実感が湧いてくるかもしれない。

解説完了

態文法:解説5:態動詞に律仕方あり

2017/08/26(土)

 膠着語である日本語の動詞(などの用言)は、動詞「語幹」に「機能接尾辞」を順次
「連結していく」ことで新しい意味を「派生」する。
〇「派生一般式」は、動詞語幹+[挿入音素]+機能接辞語幹+、・、・+[挿入音素]+
 統語接辞で表現する。

★態動詞の「動作の律仕方」を解説する。
 主要な態動詞を選択して解説する。前回、律動作の名称を各系で同一化したの
で、主要でなくとも同じ律名称は同じ意味に応用解釈してほしい。
〇「主要態動詞の律仕方」を選ぶ。
・能動系については、全部が大事な律動作。
①原形態:D[・/r]u:★「自律動作」(自他動詞ともに)自己意思で動作する。
②可能態:D[・/r]e[r]u:★「互律動作」自律で対象の動作法則に従い動作する。
③結果態:D[・/r]ar[]u:★「果律動作」動作結果に対する動作叙述。
④受動態:D[・/r]ar[]e[r]u:★「果互律動作」動作結果に応じる動作叙述。
・強制系については、原形態(基本強制動詞)を選び解説する。
⑤原形態:D[・/s]as[]u:★「律他動作」他者にD動作をやらす。(指示、命じる)
・使役系についても、原形態(基本使役動詞)を選び解説する。
⑨原形態:D[・/s]as[]e[r]u:★「使役動作」←「律他互律動作」と同じ。
 (律他互律の互の意味は、被律者と主体律者の間で、律者に戻る動作だから、
  主体が手助けや、介助、心理的な補助動作などをする意味となる)

★「律仕方」の基本視点は、動作の意図、意思の在り場所、方向の見立てにある。
〇「原形態の律仕方」:自律(自・他動詞)/律他(強制)/律他互律(使役)
①「動作・行動」を→自分みずから行う:自律動作。(自・他動詞で区別しない)
⑤「動作・行動」を→他者に自律動作としてやらす:律他動作。(1を命じて10をさ
  す)
⑨「動作・行動」を→他者に自律動作としてやらせる。心配なら手助けする:律他
  ・互律動作。(1~3を命じて10~8をさせる)
〇強制「さす、やらす」と使役「させる、やらせる」は文語体の時点で、下二段活用
 (させ:未然・連用、さす:終止)であったから、下一段化(させる:終止)で態動詞
 :させる、やらせる、に移行しやすかった。
★使役態は強制態に可能態接辞-e[r]u-を付加した形態であり、意味も上乗せ
 するのが文法則である。
(同時に、強制態接辞-as-は、自他交替接辞として単語派生に使われているから
、動詞語彙の財産になっている。文法的にきちんと解釈するのがよいはずだ)

〇「可能態の律仕方」:互律動作(文法的には已然形の概念が深層にある)
②「動作・行動」が→すでに行われる状態である。(態でもあり、相でもある)
 ・「動作・行動」が→自律の対物動作ならば、立つ→立てる:自他交替。
 (他動詞へ交替後の力量配分は客体1、主体9の労力を継続する他動詞となる)
 ・「動作・行動」が→自律の対物動作ならば、割る→割れる:他自交替。(自発)
 (自動詞へ交替後の力量配分は主体1、客体9の物理法則に従う。所動化)
 ・「動作・行動」が→自律の対自解釈ならば、立てる、割れる:自他可能表現。
 (自律で可能を表現する場合、主体5、客体5程度の物理条件が必要か。所動化)
〇互律動作とは、自律主体は意思で実行可能と感じる、対象客体は動作を受けて
 物理法則に従い状態変化する。
★「可能態の意味」の深層は、仮定形:D[・/r]eba:の確定条件に対して肯定的に
 呼応して、D[・/r]e[r]u:と表現する状態なのだろう。
例:書けば→書ける、読めば→読める、見れば→見れる、食べれば→食べれる
 のように解釈するのが一番話しの筋が通る。(動作相は可能状態の表出、動作性
 は失っている)
〇互律動作とは、自律動作で書ける、読める、見れる、食べれる、立てる、割れる
 の行為だけでなく、書く・読む法則・見る・食べる・立つ・割るの物理的法則、条件
 に従った矛盾のない状況との相互律関係にあることが不可欠である。
例:彼は英語が話せる:彼と英語とが言語法則に従った互律動作ができる。
 ・窓のガラスが割れた:ガラス(と自然と)が物理法則に従って互律動作した。
〇使役態の律他互律動作は、他者に律他動作を指示し、あわせて他者の動作法則
 ・力量を見計らって助勢するという互律動作で動作性が残る。
 (いま流行りの忖度と解釈するなかれ。昔ながらの物の道理:物理法則に従った
 互律動作である)

〇「③結果態の律仕方」:果律動作、「④受動態の律仕方」:果互律動作、
 (結果律が基本で果律と簡略化した。動作性は弱く、所動性になる)
③「動作(結果)」が→目の前に「ある」:結果態:D[・/r]ar[]u:
 (文語体の受動態だった)→★自・他動詞の「動作結果」が周囲を律する。
④「動作(結果)」が→目の前に「ある」「あれる」:受動態:D[・/r]ar[]e[r]u:
 (現代口語体の受動態である)→★自・他動詞の「動作結果」が周囲を律する。
〇文語体の結果態は、下二段活用(書かれ:未然・連用、書かる:終止)であったか
 ら、下一段活用(書かれる:終止)で、書かれる:が受動態動詞の形態となって、
 現在の口語体で使われる。
〇受動態は結果態に可能態接辞-e[r]u-を付加した形態となり、意味も上乗せ
 するのが文法則である。(ただし、「ある」は状態動詞だから、動作可能より已然
 概念に重点がある)
(同時に、結果態接辞-ar-は自他交替接辞として単語派生に使われているから
、動詞語彙の財産になっている。文法的にきちんと解釈するのがよいはずだ)
★「受動態の果互律動作」の基本は、「動作の結果が出ている、在る、有る、ある」
 状態で主体、客体がどう関わるかを叙述するものである。
・動作結果が果互律動作源だから、自動詞であれ、他動詞であれ物理法則に従う
 範囲で主・客へ関わりを持つ。
・「動作結果」の捉え方に多様性があり、継続的な「動作実績」「動作習慣」などを
 「動作結果」と見なした使い方もできる。また、「動作を見通し予測した結果」を
 「動作結果」に見立てることもできる。
 (一方、可能態は「動作時点での互律動作」を表現するだけである)
例:(直接受身、間接受身、実績・習慣可能、自発・事象可能、尊敬・他者発話、など
 個別に区分した例文は巷に溢れているので、省略する。もし興味があれば、各例
 文が「ある」、「在る」、「有る」、「受ける」のどれに合うのか試験なさることを勧
 めます)

 次回は解説の最後を目指して、関連項目を自問、に挑みたい。
・強制系、使役系の「態の双対環」2組両方を常に併記するのは何故か?
・能動系にも対になる別組の「双対環」があるのか? 検討を記述する。

態文法:解説4:一般式で「態の双対環」を記述する

2017/08/23(水)

 膠着語である日本語の動詞(などの用言)は、動詞「語幹」に「機能接尾辞」を順次
「連結していく」ことで新しい意味を「派生」する。
〇「派生一般式」は、動詞語幹+[挿入音素]+機能接辞語幹+、・、・+[挿入音素]+
 統語接辞で表現する。

★当ブログ提唱の「態の双対環」全体を一般式で表示する。
 現代の態派生では、1つの動詞語幹:Dから、3系統(能動系、強制系、使役系)、
各4態(原形態、可能態、結果態、受動態)の態動詞を派生させる。

〇能動系 ★「態の形態」と「動作の律仕方」を併記する。
①原形態:D[・/r]u:★「自律動作」(自他動詞ともに)自己意思で動作する。
②可能態:D[・/r]e[r]u:★「互律動作」自律で対象の動作法則に従い動作する。
③結果態:D[・/r]ar[]u:★「果律動作」動作結果に対する動作叙述。
④受動態:D[・/r]ar[]e[r]u:★「果互律動作」動作結果に応じる動作叙述。

〇強制系 ★「態の形態」と「動作の律仕方」を併記する。
⑤原形態:D[・/s]as[]u:★「律他動作」他者にD動作をやらす。(指示、命じる)
⑥可能態:D[・/s]as[]e[r]u:★「律他互律動作」他者にD動作をやらせる。
 (他者のD動作法則が不足のとき「手助け・介助」をする。使役態と同形態)
 (律他互律の互の意味は、被律者と主体律者の間で、律者に戻る動作だから、
主体が手助けや、介助、心理的な補助動作などをする意味となる)
⑦結果態:D[・/s]as[]ar[]u:★「律他果律動作」他者に強制したD動作の結果
 に対する動作叙述。
⑧受動態:D[・/s]as[]ar[]e[r]u:★「律他果互律動作」他者に強制したD動作
 結果に応じる動作叙述。

〇使役系 ★「態の形態」と「動作の律仕方」を併記する。
⑨原形態:D[・/s]as[]e[r]u:★「使役動作」←「律他互律動作」と同じ。
 (他者のD動作法則が不足のとき「手助け・介助」をする。強制可能態と同じ)
 (律他互律の互の意味は、被律者と主体律者の間で、律者に戻る動作だから、
  主体が手助けや、介助、心理的な補助動作などをする意味となる)
⑩可能態:D[・/s]as[]e[r]e[r]u:★「使役互律動作」他者にD動作をやらせて
 問題ない。(個別的な具体案件の可否を判断する)
⑪結果態:D[・/s]as[]e[r]ar[]u:★「使役果律動作」他者に使役したD動作
 の結果に対する動作叙述。
⑫受動態:D[・/s]as・e[r]ar[]e[r]u:★「使役果互律動作」他者に使役した
 D動作結果に応じる動作叙述。
★可能態:「互律動作」/結果態:「果律動作」/受動態:「果互律動作」に揃えた命名
 としたので、覚えやすくなった。

★「動作の律仕方」には、あと2つを追加する。([挿入音素]形態の追加)
⑬前望派生形:D[・/y]oo:★「互律動作」自律動作だが、他に呼び掛けて勧奨、
 誘導する動作(互に自律動作:互自律動作とすべきか)もある。(文脈依存)
⑭無律化派生形:D[・/r]ak[]u:動詞の自律/律他を無効化(属性概念化)する
 接辞-ak-や、[挿入音素:k]として特定の動詞に付いて機能する。
・無律化動詞の例:
 TIR[・/r]ak[]as[]u:散る→ちらく(概念化)→散らかす(単純他動詞化)
 TIR[・/r]ak[]ar[]u:散る→ちらく(概念化)→散らかる(単純自動詞化)
 NE[s]as[]u→NE[k]ase[r]u:寝さす(律他)→寝かせる(単純他動詞互律)
 寝かせる(寝せる:互律、より丁寧)赤児に添寝するような動作をいう。
・形容詞の属性概念化をして形状動詞にする。
 一般式=形容詞語幹:K+[挿入音素:k]+ar系接辞、のように必ず[k]を挿入
 する。(形容詞語幹はすべて母音末なので、挿入音素[k]で示す)
例:TUYO[k=0]i、TUYO[k]ereba、TUYO[k]a(r=0[Q])ta:強い、・・
  NOZOM[]AS[I]Ø[k]u[+]na[k=0]i、:望まし・く・ない、
  NOZOM[]AS[I]Ø[k]ar[]oo、:望まし・かろー、

★「動作の律仕方」の種類をおさらいすると、
 「自律」、「互律」、「果律」、「果互律」の他、「律他」、「使役:律他互律」、「無律」など
 を考え出した。膠着語の派生操作:機能接辞が次々に連結するとは、接辞の意味
 が連結して次第に膨れ上がっていくことなのだ。

 律仕方に対する知識を持つことが態動詞を使いこなす大事な鍵になるから、
次回に「動作の律仕方」の主要項目の意味をくわしく解釈したい。

態文法:解説3:一般式で汎用派生する

2017/08/20(日)

 膠着語である日本語の動詞(などの用言)は、動詞「語幹」に「機能接尾辞」を順次
「連結していく」ことで新しい意味を「派生」する。
〇「派生一般式」は、解説1で示したごとく、動詞語幹+[挿入音素]+機能接辞語幹
 +、、、、+[挿入音素]+統語接辞で表現した。
〇「一般式をさらに汎用式にする」にはどうしたらよいのか。
・「さらに記号化」して脳みそに負担をかけても仕方ないので、
 動詞派生の汎用式=動詞語幹+[挿入音素]+機能接辞語幹+、、、と理解し、
 それぞれの項目を状況にあわせて的確に「一般式組立」ができるように練習し
 ておくことが望ましい。
・そこで練習の目安として「派生一般式の[挿入音素]+接辞の傾向」を覚えておこう。
→自他交替派生、態派生では、挿入音素:[直結・/連結子音]+母音語頭の接辞、
 の連結が多く、原動詞は子音末語幹が多いので直結に適した構成である。
→動詞・助動詞派生の未然形、連用形では、挿入音素:[連結母音/・直結]+子音語
 頭の接辞、の連結が多い。(終止・連体形以降は母音語頭の接辞になる)
 また、助動詞では、[挿入音素]でなく、連用形、連体形での修飾による複合[+]
 連結もある。
★前回の「動詞活用表」を再度、一般式で表すと、(四段活用、一段活用を共通化)
・D[a/・]nai,D[i/・]masu,D[・/r]u,,D[・/r]eba,D[・/r]e/o, または、
・D[・/r]aba,D[i/・]nagara,D[・/r]u,,D[・/r]eba,D[・/r]e/o,と変形す
 ることもできる。
★上記2行の一般式を「動詞派生表」と命名し、「活用表」と区別する。
 未然形は[a/・]nai、[・/r]abaの連結で「あ」音が付加され、連用形と区別しや
 すい利点がある。が、口語文法では、未然形に[・/y]oo枠を併設して五段活用
 表とした。未然相でくくるならば命令形:[・/r]e/oも未然枠に入れる論理が
 成立つ。
〇「動詞派生表」を動作相:アスペクトの表現形式と見なす立場で言えば、未然形
 に繋がる接辞の意味が「未然相」に相当するなら、上例のように[挿入音素]が
 [a/・]、[・/r]、[・/y]、でも認めるべきだろう。
★「動詞派生表で動作相:アスペクトを明示する」一例(能動系)を縦順に示す。
①未然相:(打消、禁止、命令、意思・勧奨):
 D([a/・]nai、 [・/r]una、 [・/r]e/o、 [・/y]oo、)
②実行相:(テ形、希望、連用形):
 D([i/・]te[+]~、 [i/・]tai、 [i/・]Ø、 [i/・]Ø[+]~、)
③事象相:(終止形):D[・/r]u、(←態に見立てれば原形態)
④事象修飾相:(連体形):D[・/r]u[+]~、
⑤既然相:(仮定形、可能態):D[・/r]eba、 D[・/r]e[r]u(←已然概念)
⑥完了相:(終点形、完了形):D([i-音便]ta/da、 [・/r]e[・]ta)
⑦結果相:(結果態、受動態):D([・/r]ar[]u、 [・/r]are[r]u)
〇強制系、使役系の派生表は省略するが、「派生表の作り方」は動詞語幹:Dを、
→強制系動詞語幹=D[・/s]as:強制態接辞付きに直し、これを上記の①~⑦の
 Dへ代入すればよい。
→使役系動詞語幹=D[・/s]ase:使役態接辞付きに直し、これを上記の①~⑦の
 Dへ代入すればよい。
(この派生表は初出の発案であり、各項目の名称がいくぶん奇異に感じられる。
 原初の学校文法の活用表でアスペクト表示に見立てるには不足する概念を補完
 する必要があり、態動詞のアスペクト概念を組込んだ)
★「態の双対環」の概念は、派生表の項目から拾い上げると、
 事象相(原形態)-既然相(可能態)-結果相(結果態)-結果相+既然相(受動態)
 という構成だ。「双対環」の場合は主客の態構文が主眼となり、原形態-受動態
 の対向関係と可能態-結果態の対向関係の2組の対向関係で動作事態を把握す
 る。 (「双対環」の詳細は後述稿で説明予定である)
〇「動詞派生表:全動作相」と「態の双対環:態全網羅」とが重なり合う部分を持つ
 のは当然のことだろう。(現行文法では実行相での複合[+]連結のアスペクト:
 ~書き[+]はじめ、書いて[+]いる、ある、おく、みる、くる、などを重用しすぎ
 ており、可能態、結果態などをアスペクトにも態の範疇にも組入れていない)

〇「イ音便」について解説を再掲する。(タ形のイ音便を一般式で表示)
 実行相(連用形)のテ形派生の際には、文語体:書きて、を口語体:書いて、とな
 じませる。動詞語幹の末尾音との音便法則ができているので、再掲記事を元に
 一般式での表現を加えて一覧する。
例:まず、全用法を書き並べる。(完了形:D[i/・]taの場合)
①母音語幹:→D[i/・]ta→D[・]ta、で音便なし。
  :考えた←考え[・]ta←考え(0*[i])ta←考え[i]ta。
②語末子音(S):→D[i]ta、で音便なし。
  :話した←話(S+[i])ta←話S[i/・]ta。
★①②は通常通りの派生用法です。
③語末子音(K/G):→D(K/G=[I])ta/da
  :書いた←書([i])ta←書(K=[i])ta←書K[i]ta。
  :泳いだ←泳([i])da←およ(G=[i])da←泳G[i]ta。
★これをイ音便という:簡略表記→[I]で示す。(一音素分のイ音)
④特例、一例のみ:行(K)の場合:「行[I]た」ではなく、
  :行った←行([Q])た←行(K=[Q])ta←行K[i]ta。
★これを促音便という:簡略表記→[Q]で示す。(一音素分の詰った声、促音)
⑤語末子音(T/R/W):→D(T/R/W=[Q])ta
  :立った←立([Q])た←立(T=[Q])ta←立T[i]ta。
  :止った←とま([Q])た←とま(R=[Q])ta←とまR[i]ta。
  :言った←言([Q])た←言(W=[Q])た←言W[i]ta。
★これを促音便という:簡略表記→[Q]で示す。(一音素分の詰った声、促音)
⑥語末子音(B/M/N):→D(B/M/N=[N])ta/da
  :結んだ←むす([N])だ←むす(B=[N])da←むすB[i]ta。
  :読んだ←よ([N])だ←よ(M=[N])da←読M[i])ta。
  :死んだ←死([N])だ←死(N=[N])da←死N[i]ta。
★これを撥音便という:簡略表記→[N]で示す。(一音素分のn鼻音、撥音)
〇「イ音便」全体を、D([¥])ta/te、D([¥])da/de、として簡略表記するのも
 勧めたい。(D[¥]ta/teよりも、D([¥])ta/te、のほうが特殊性を示せる)

態文法:解説2:学校文法最大の欠陥点

2017/08/14(月)

 膠着語である日本語の動詞(などの用言)は、動詞「語幹」に「機能接尾辞」を順次
「連結していく」ことで新しい意味を「派生」する。
〇「学校文法最大の欠陥点」は、「ひらがな解析」で動詞派生を不精確に解釈する
 から、その中でも、最大の悪影響が「態の接辞連結」の解釈において発生する。
実例1:受動態一般式:D[・/r]are[r]u、が精確な連結解釈である。
 読まれる:YOM[]are[r]u、見られる:MI[r]are[r]u、両者ともに接辞-are-
 が正しく解釈できる。
実例1:学校文法では、未然形に受動の助動詞を連結する、と解釈して、
 読ま+れる:よま・れる、:-a:未然形にあてる/reru:助動詞で残る。
 見+られる:み・られる、:-rareru:助動詞で残る。
 (当然、助動詞としての原意は不問になるが、受身、可能、自発、尊敬の用法だけ
 を説明する。同一意味の助動詞が2つの形態:異形態となるのは不自然だ)
実例2:使役態一般式:D[・/s]ase[r]u、が精確な連結解釈である。
 読ませる:YOM[]ase[r]u、見させる:MI[s]ase[r]u、両者ともに接辞-ase-
 が正しく解釈できる。
実例2:学校文法では、未然形に使役の助動詞を連結する、と解釈して、
 読ま+せる:よま・せる、:-a:未然形にあてる/seru:助動詞で残る。
 見+させる:み・させる、:-saseru:助動詞で残る。
 (当然、助動詞としての原意は不問になるが、使役の用法だけを説明する。
  同一意味の助動詞が2つの形態:異形態となるのは不自然だ)
実例3:可能態一般式:D[・/r」e[r]u、が精確な連結解釈である。
 読める:YOM[]e[r]u、見れる:MI[r]e[r]u、両者ともに接辞-e-が正しく
 解釈できる。(本来、可能態は子音末/母音末語幹の両動詞で派生可能だ)
実例3:学校文法では、-e-音の助動詞を「未然形に連結と言えない」から、可能
 態として扱えなかった。
 読+める/読め+る:区切りもできず、一括で「読める:可能動詞」と見なした。
 見+れる:区切りが的確にできるのに、なぜか態動詞と見なさなかった。
 (学校文法では-e-、-e[r]u-の接辞を説明できないでいる。文語時代では、
 -e-音を已然形にあてて使いこなしたから、下二段、下一段の動詞派生ができ
 たはずだと推測する)

〇「学校文法の欠陥点」でも、機能接辞の語頭が「子音始まり」であれば、悪影響が
 現れない。
実例4:打消派生の一般式:D[a/・]na[k=0]i、
 読まない:YOM[a]na[k=0]i、見ない:MI[・]na[k=0]i、両者ともに
 接辞-nai-が正しく解釈できる。
実例4:学校文法の「ひらがな解析」は、子音始まり接辞を分断した解釈にならな
 いので、接辞の異形態が生じない。(未然形の付加音[a/・]が暗黙に作用する)
 読ま+ない:よま・ない、見+ない:み・ない、(「ない」同一形態で意味も分かる)
実例5:希望派生の一般式:D[i/・]ta[k=0]i、
 読みたい:YOM[i]ta[k=0]i、見たい:MI[・]ta[k=0]i、両者ともに
 接辞-tai-が正しく解釈できる。
実例5:学校文法の「ひらがな解析」は、子音始まり接辞を分断した解釈にならな
 いので、接辞の異形態が生じない。(連用形の付加音[i/・]が暗黙に作用する)
 読み+たい:よみ・たい、見+たい:み・たい、(「たい」同一形態で意味も分かる)

〇「学校文法の派生法則の功罪」
 学校文法の「ひらがな解析」は不精確であるが、実例4、5のような動詞派生の場
 合では結果的に悪影響を生じない。
実例6:学校文法で用いる「動詞活用表」を詳しく調べる。
 動詞派生を(精確な)一般式で表記する。(未然・連用・終止連体・仮定・命令)
★D[a/・]nai,D[i/・]masu,D[・/r]u,,D[・/r]eba,D[・/r]e/o,
  ↑[挿入音素]+接辞の形式で記述してあるので、子音・母音語幹の両動詞に
 対応した「活用表」である。(つまり、四段活用も一段活用もこれ1行で示せる)
・学校文法では、「あ-い-う、う-え-」の並びに注目させる。本来、注目すべきは
 「[挿入音素]の並び」のほうである。
→[a/・]-[i/・]-[・/r]-[・/r]-[・/r]-[・/r]:子音接辞と母音接辞との連
 結では様相が違うことに気づくべきだった。(「あ・い・う・え並び」は錯覚だ)

〇文語文法では、「住まば都、住めば都」の対句があった。
 未然形前提条件:住まば→SUM[・/r]aba、と今ならば解釈できる。
 已然形確定条件:住めば→SUM[・/r]eba、と今ならば解釈できる。
 当時は、住まば→SU[Ma]ba、住めば→SU[Me]ba、と解釈していたから、
 一段活用動詞には適用できないでいたのだろう。
つまり、未然形でも母音接辞に対しては、[挿入音素]を[・/r]で対応すべきなの
だ。([・/r]のほか、[・/s]、[・/y]、[・/k]、などもある。別稿で記す予定)
〇「態接辞はすべて母音始まり」だから、[挿入音素]は必ず[・/r]、[・/s]、、で
 ある、と法則化するだけで「学校文法の欠陥修復」が直ちにできるだろう。
 もちろん、「ローマ字つづり解析」を基礎に整理しなおすべきなのは自明である。

態文法:解説1:派生一般式

2017/08/13(日)

 膠着語である日本語の動詞(などの用言)は、動詞「語幹」に「機能接尾辞」を順次
「連結していく」ことで新しい意味を「派生」する。
〇「派生」の実態を模式的に表現すると、
 動詞語幹:D+[挿入音素]+機能接辞語幹+[挿入音素]+機能接辞語幹+[挿入
 音素]+文法統語接辞、というように一次派生、二次派生と連続派生することも
 多い。
以下の実例で[挿入音素]と「接辞」が必ず同数で対応していることを示す。
([挿入音素]の解説は後述するが、まず、各語幹の間に[挿入音素]や無音[]挿入
音素が必ず配置されるのを確認してほしい)
実例:「立たされる」→正確に音素把握するため「ローマ字つづり」で表記する。
 TAT[]as[]ar[]e[r]u. :[挿入音素]4つと、機能接辞:as/ar/e/u の4つ
 が、動詞語幹:D→TATに連結した構造だ。
実例:「立たせられる」→TAT[]as[]e[r]ar[]e[r]u :[挿入音素]が5つ、接辞が
 5つ、連結している。
実例:「見させる」→MI[s]as[]e[r]u :[挿入音素]3つ、接辞が3つの連結構造だ。

 もう一つ、別の構文接続として、助動詞との文法的な結合がある。
〇「複合」による連結もある(たとえば連用・連体修飾)。[+]で表記する。
実例:「飲みたくない」→NOM[i]ta[k]u[+]na[k=0]i :[挿入音素]3つ、[+]
 「複合」が1つ、接辞が4つ、 の連結構造だ。
 (飲みたく[+]ない:連用修飾を[+]で表記し、「複合」と命名する。無音で調音
 効力なしだが、文法的結合力の強い連結子とみる)
実例:「飲まないらしかった」→NOM[a]na[k=0]i[+]rasi[k]a(r=0[Q])ta.
 :[挿入音素]4つ、[+]1つ、接辞5つ、の連結構造。
(らしかった:rasi[k]a(r=0[Q])ta←[k]ar[i]taのイ音便表現に相当する。
 イ音便については別途説明する予定)

〇[挿入音素]の役割は、前段語幹の末尾音素と後段接辞の語頭音素が衝突(子音
 +子音や、母音+母音)しないように、子音[挿入音素:母音]子音、母音[挿入音
 素:子音]母音のように補完挿入し発音しやすくする。
・通常、後続の機能接辞の語頭音が母音であるか、子音であるかにより、[挿入音
 素:子音であるか/母音であるか]の必要性が確定する。
・また、前段語幹が子音末であるか、母音末であるかにより、[挿入音素:母音か/
 子音か]が必要の場合と、無音[]形態で直接連結できる場合とが半々でおきる。
〇[挿入音素]の「一般式」表記として、[左:連結母音/右:連結子音]形式を定め
 ておき、[i/・]、[a/・]、[・/r]、[・/s]、のように片方が必ず無音[・]で直結す
 ることを定義しておく。
実例:動詞派生の一般式:動詞語幹:D+[挿入音素]+機能接辞
 強制受動態:D[・/s]as[]ar[]e[r]u←D[・/s]as[・]ar[・]e[r]u.
・TAT[・/s]as[]ar[]e[r]u. :立たされる。[挿入音素:・]
・MI[・/s]as[]ar[]e[r]u. :見さされる。[挿入音素:s]
(学校文法で説く解釈:未然形に「される/さされる」が接続する、は見当違い。
あくまでも、動詞語幹に+[]asareru/+[s]asareru、が接続する構造である)
 助動詞「たい」派生:D[i/・]ta[k=0]i, D[i/・]ta[k]ar[・/y]oo.
・NOM[i/・]ta[k=0]i. :飲みたい。[挿入音素:i]、最後の-i-は統語接辞。
・TABE[i/・]ta[k]ar[・/y]oo. :食べたかろう。[2回とも挿入音素:・]

〇[挿入音素:k]を簡単に説明する。
・動詞に付く例:寝かせる→NE[k]ase[r]u,笑かす→WARA[k]as[]uなど
 相手の自律動作を期待せず(無律化)、主体が自律他動詞として相手に動作を生
 じさせる。(動作の律仕方:自律、律他、互律、果律、無律など別稿で解説予定)
・形容詞に[挿入音素:k]が付いて形状動詞を派生する:
 名詞や動詞由来の形容詞に対して、[挿入音素:k]を接辞に先行前置することで
 (無律化)動作意図を消し去り、性状などの属性表現の派生にあてる。
〇形状動詞の派生一般式:形容詞語幹:K+[挿入音素:k]+ar系接辞。
 形容詞や助動詞:ない、たい、らしい、などの派生にも[挿入音素]を規定すると
 膠着語の派生原則に適うからである。
・助動詞派生一般式:D[i/・]na[k=0]i,D[i/・]ta[k=0]i,[+]rasi[k=0]i.
・形状動詞の基本形派生一般式:K[k=0]i, :接辞-i-で終止形、連体形を表す。
〇一般式の[k=0]iの部分は、助動詞、形状動詞とも同一形態で変化する。
 [k]u:未然連用、[k]ereba:仮定、[k]a(r=0[Q])ta:完了形、[k]ar[]oo:
 前望形。
・形容詞の語幹は、つよ、はや、たか、のぞまし、などすべて母音終わりだから、
 [挿入音素]に[・/k]でなく、[k]を表記するだけでよい。 もし後続の接辞が
 子音始まりなら、[]や[・/k]の表記が必要だが、接辞も母音始まりである。

〇「派生一般式」の利点は、用言の語幹と機能接辞の語幹を連結するために、必ず
 [挿入音素]を前置挿入しなければならない、という法則を目に見える形式で示
 せることだ。また、語幹の末尾や接辞語頭の音素形態を正確に明示できる。
・学校文法での「ひらがな解析」では、語幹区切りや接辞語頭区切りが「不正確」な
 表記だから、接辞の意味解釈にも歯切れが悪く、精彩がない。(正確さもない)
(学校文法が不正確なため、その悪影響が日常の言語生活に支障を来たすとすれ
ば、「ら抜き言葉、さ入れ言葉、れ足す言葉」など態動詞派生での言い間違い、聞き
間違い、解釈間違いの混乱である。態動詞については稿を改めて述べる)

態文法:動作を律する全法則

2017/08/05(土)

 7月の投稿:態文法:動作を律する法則を含めて、動作意図の在り方、律仕方を考察
してきたが、やはり肝心な部分の説明に不足を感じる。
不足項目を箇条書に掲げてから補完説明したい。
①受動態の律仕方を明記すること。
②「動作を律する全法則」の概念は日本語文法の基幹
③動詞に各種接辞を付け替えて意味の違いを吟味する

(1)受動態の律仕方(:結果律、果律)を明記すること
 受動態の動作概念を的確に表現したいと青年時代から思ってきた。
受動態を使うと関係する主体、客体、対象体の誰でもが主格主語になった構文が
可能になる。 この受動態動詞の動作に対する律仕方をどう表現すべきか。
日本語の受動態は、受身表現だけの態ではないから、概念を命名するに工夫が必
要になる。
★受動態の派生一般式=D[r]are[r]u←D[r]ar[]e[r]u:書かれる、食べられる、
 結果態接辞-ar-に可能態接辞-e-が結合した動詞であり、文語体では結果態
 が受動表現を担っていたから、基本的には結果態の働きが意味を形成する。
〇結果態動詞の派生一般式=D[r]ar[]u、:書かる、食べらる。
 これから、結果態の律仕方は、動作結果(事象)が関係する登場人・物:実体を律
 すると見て、結果律(果律)と命名するのが的確だろう。
・果律:動作結果が「ある」:書くある/食べるある、が原初的な派生形態なのだ。
〇受動態動詞は上記★行のように、結果態と可能態の結合で派生するから、
 受動態の律仕方は、結果律+互律(可能態の一側面)、または結果律+已然の意味
 と解釈するのがよいだろう。
★受動態構文で「主語」と「事象・動作結果」との関わり方で意味が決る。
構文例:動作主+受動態=実績・習慣的可能、 客体主語+受動態=(間接)受身、
 対象主語+受動態=直接受身、 事象主語+受動態=自発(主語、動詞は限定的)
 別話者「動作主+受動態」=尊敬表現、 という意味構造である。
〇受動態は「動作結果」に対する各実体の関わり方を表現する役割だから、自・他
 動詞に関係なく、両方の動詞で派生可能なのです。
 ここが西欧語の受身概念と異なる。((英語では動詞を過去分詞とし、動詞の律仕
 方を他動詞・受身限定に絞り込んだ「直接受身律」概念に留まる)

 根源的に自動詞・他動詞の区別なく、律仕方(動作意図)に注目すると、
①能動態動作の律仕方:自律動作(動作主体の自律的動作)をする。
②強制態動作の律仕方:律他動作(主体が他者に自律動作をやらす)をする。
③使役態動作の律仕方:律他・互律動作(主体が他者に自律動作をやらせる)を
 する。(主体が手助け、介助することも含む)
④可能態動作の律仕方:互律動作(主体と対象との相互自律動作)をする。
 (対象が持つ動作規則をうまく働かせて、主体が自律手助けする)
⑤結果態動作の律仕方:果律動作(動作結果に各実体がどう関わるか)を表出する。
⑥受動態動作の律仕方:果律・互律動作(動作結果に各実体がどう関わるか)を
 表出する。(口語では結果態でなく、通常、受動態が使われる)
以上のような律仕方が基本となる。
(強制・可能態は使役態動詞と同形だし、強制・受動態、使役・受動態など二次派生
、三次派生法も日常的に誰もが経験・使用している。)

(2)「動作を律する全法則」の概念は日本語文法の基幹
 残念ながら、現状の日本語文法では、態動詞、動詞全般の動作の律仕方を根源的
な見方で解説する書籍がないようです。
★先に進む前に、律仕方の⑦を載せます。
⑦律変換用の無律化接辞:-ak-、(一般式=D[r]ak[]u→名詞化、無律概念化)
例:笑う(自律)→笑わく(概念化)→笑わかす(自律他動詞)→簡略されて→笑かす。
(笑わす:他者が自律で笑うようにさす。笑かす:他者が思わず笑うようにさす)
 WARAW[・/r]ak[]as[]u→WARA(W[・/r]a)k[]as[]u、
 →WARA[・/k]as[]u:(接辞-ak-のk音が[挿入音素:k]になった)
例:寝る(自律)→寝す(他動:不安定)→寝せる(互律:安定)→寝さす(律他:大人
 安定)→寝かす(無律・他動詞:幼児無律)→寝かせる(互律:幼児安定)
 NE[・/k]as[]u、 NE[・/k]ase[r]u、のように[挿入音素:k]は定着してい
 ると判断する。
★形容詞の動詞化、つまり形状動詞も
⑧無律化[k音]を[挿入音素:k]に使い、動作意図を消して形状属性に特化する。
 形状動詞の派生一般式=形容詞語幹:K+[挿入音素:k]+ar接辞、で構成する。
 (派生には[挿入音素]が必須法則であり、形状動詞も例外ではありません)
例:TAKA[k=0]i/TAKA[k]u[+]na[k=0]i/TAKA[k]a(r=0[Q])ta、
  (高い/高くない/高かった)。
例:YOROKOB[]as[i]Ø[k=0]i/YOROKOB[]as[i]Ø[k]u[+]na[k=0]i、
  /YOROKOB[]as[i]Ø[k]a(r=0[Q])ta、
  (喜ばしい/喜ばしくない/喜ばしかった)。
〇以上、律仕方:①~⑧までが態動詞、自・他動詞、形状動詞(用言)での基本法則
 です。
★動詞派生のように、語幹と接尾辞が連結するとき、両者の間に[挿入音素]を挟
 み込むのが大原則です。 この大原則を忘れて「可能動詞は子音語幹動詞だけ」
 としたことで、「ら抜き言葉」が長い年月にわたり冷遇されています。
例:可能態の派生一般式=D[r]e[r]u、:KAK[]e[r]u/TABE[r]e[r]u、
  書ける/食べれる、と正当な派生と認められるべきです。
〇可能態の動作可能は、動作する際の可能意思・可能意気込みを表現します。
 書けた/食べれた、完了形でも「動作した際の可能」を述懐する表現です。
〇受動態の結果可能は、動作結果(を見通して)の可能であり、「実績や習慣・規則
 としての可能」も表現します。
〇公式の会議では、個人的な「動作した際の可能」よりも、「実績や規則に関わる
 可能」を議論することが多くなるのは当然です。両方の可能を使い分けること
 が必要なだけで、日常の場でも区別しつつ共存できる言葉です。

(3)動詞に各種接辞を付け替えて意味の違いを吟味する
 「態の双対環」で態動詞のすべて(能動系、強制系、使役系の原形態/可能態/結
 果態/受動態)を派生させたり、「双対環」では派生できない動詞が見つかると
 その理由を調べたり、することで「動作の律仕方」を思考実験してきました。
 派生の一般式が成立し、接尾辞の律仕方の意味が納得できるか、などを拠り所
 にまとめています。
例:見える、は、見る/見れる/見らる/見られる、からの派生ではない。
 見る→見す→見せる、と、見さす/見させる、との違いは?
 寝る→寝す→寝せる→寝さす→寝させる→寝かす→寝かせる、の意味の違いは?
 などを思考実験した結果です。

以上。

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