カテゴリー「態文法」の100件の記事

態文法:「つ、たり、かり、なり」の今

2018/11/14(水)

     19.完了相:「つ、たり」の今
-古語時代から時制:テンスに対する日本語表現は、相対的な時間感覚であり、
通常の動詞活用形が「「非完了」の叙述であるから、先行事象を表わすには新たに
「完了の接辞」を連結して既に完了した動作として時間情報を加える。
〇古語時代の完了接辞には「つ、ぬ」が、また存続・持続の接辞に「り、たり」が使わ
 れた。変遷の末、今に引継がれた接辞は「つ→て、てる、たり→た」に一応は収れ
 んした。
-現代口語での完了接辞は「た」であり、持続接辞は「て、てる」が担っている。
 完了相:「た」の活用形態は将然、終止・連体と狭く、不足の部分は「て、てる」、
 「たる」の活用枠組を流用する。
★完了相:時制・テンスに関わる接辞に対して「相」を付けて呼ぶ。
 アスペクトを然相と名付けたのは、動作性の意味が強い「然」と状態性を含んだ
 「相」との混在を想定しているからである。
・それゆえ、活用枠幅が狭い完了相「た」には他の接辞から援用して、持続然:「て
 、てる」、存続然:「たる」との流用・混在がある。以下に練習解説を述べる。
     〇完了接辞「つ」の変化を一般形式で表記する。
・完了相:古語・つ:D[i/・](te、te、tu、tu[r]u、tu[r]e、te+yo):二段活用。
→現代口語・てる:D[i/・](te、te、te[r]u、te[r]u、te[r]e、te[r]o):一段。
 (注:イ音便による転調がある:書いてる、泳いでる、読んでる、渡ってる)
     ・「つ」が「てる」の一段活用に収れんしたことをまず認めておきたい。
      つまり、~ている、~てある、の複合動詞でなく、「~てる」の接辞単独
      で(完了相よりも、)持続然を表現できる。

     〇持続接辞「たり」の変化を一般形式で表記する。
     ・古語時代に二段活用の不便さを大幅に緩和して、逆に一段活用への
      転換を何世紀も遅らせたのが、「~てあり」の簡略形→「~たり」です。
     ・D[i/・]te[i/・]ar[]i→D[i/・]t【e[i/・]】ar[]i→D[i/・]tar[]i
      「たり」と簡略化して平安時代から便利に使われた。
・持続然:古語・たり:D[i/・](tar[a/・]、tar[i/・]、tar[・/r]i、tar[・/r]u、
 tar[・/r]e、tar[・/r]e):ラ変活用:書きたり、書けたり、食べたり、起きたり
 と表現できた。(見れたり、乗れたり、食べれたり、起きれたり、なども本来なら
 一般形式に合致するから、記録例が残ってるだろうか)
→現代口語・た:D[i/・]tar[・/r]u→D[i/・]ta【r[・/r]u】と簡略化した接辞:
 「た」で(持続然よりも)完了相を表現するように変化した。
 (「たり」が四段(五段)活用に変化すると並行して「た」接辞独立したのか、どち
 らかが先行したのか、未確認です)
 (注:イ音便による転調がある:書いた、泳いだ、読んだ、渡った、行った)
     ・現代口語では「た(だ:音便)」が完了の接辞として専用に使われる。
      ただし、「た」の活用枠組は狭く、冒頭に触れたように「てる」「たる」活用
      と混用する実態がある。(完了・持続・存続が混在している)
★現代口語の「た」「てる」「たる」の活用枠組を一般形式で一覧する。
・完了相:た:D[i/・](te、tarou、te、ta、ta、tara、tare):イ音便で転調あり。
・持続然:てる:D[i/・](te、te、te[r]u、tere、tero):イ音便あり。
・存続然:たる:D[i/・](tara、tarou、tari、taru、tare、tare):イ音便あり。

     20.形容然:「く、かり」の今
-古語時代の形状動詞の活用枠組には、「く/しく」活用の他、「かり/しかり」活
 用があった。(語幹解釈を直せば、「く」、「かり」活用に収れんする)
・形容詞語幹:K:(taka[s]i/kanasi[s]i→K[s]i)
・「く」:K(-、[k]u、[s]i/【[s]i同音省略】、[k]i、[k]ere、-)
・「かり」:K[k](ar[a]、ar[i]、-、ar[]u、ar[]e、ar[]e)
-現代口語の形状動詞の活用枠組は、
〇形容然:K[k](u/ar[a]、ar[]ou、u、【k0】i、【k0】i、ere、ar[]e)
 となり、[k]u活用と[k]ar[]u活用が混在する枠組である。
 (注:イ音便があり、K[k0]i、K[k]a(r[i]=Q)ta、などに習熟がいる)
     ★詳細は前回18節の[挿入音素:k]説明、形状動詞の基本活用枠組を
      参照してください。

     21.指定相:「たり、なり」の今
-古語時代の「たり」「なり」には2種類の区別があり、動詞に密に連結するものと
 体言(名詞、名容詞←形容動詞)に緩やかに連結する接辞があった。
・体言に緩やかに連結する:複合接辞が「たり←と(して)あり」、「なり←に(特徴
 )あり」である。体言の様態、様態から受ける感覚表現を指定する意味を持つ。
〇体言単語(M:名詞、My:名容詞)として一般形式で活用枠組を表記すると、
・指定相:たり:M[+]tar([a]、[i]、[i]、[]u、[]e、[]e、)、ラ変活用で、
・指定相:なり:My[+]nar([a]、[i]、[i]、[]u、[]e、[]e、)、と同じラ変だった。
〇現代口語では、「たる」「なる」で基本的には(五段活用か)、連体形のみを使用す
 る。
・指定相:たる:M[+]tar[]u:連体形で、
 例:経営者たる者、堂々たる建物、など文語体と同形なので硬い感じである。
・指定相:なる:My[+]nar[]u:連体形で、また[+]na【r[]u省略】→「な」:助詞的
 な形態で使われ、
 例:盛大なる歓迎式、元気な子、静かな車内、など名容詞の連体接辞で活躍。
      現代口語では活用枠組を意識するほど活用されていないが、「な」だけは
      名容詞(形容動詞)の連体修飾に欠かせない接辞(複合接辞、格助詞的)と
      して使われる。
     比較:元気の子、元気のある子→元気な子、元気なる子、元気にある子、
      元気がある子、元気たる?子、通常の意味では「元気な子」が簡単で的確
      な表現と思える。

〇今回の記述で、接辞の今昔を比べるなかで意識的に「然」形態と「相」形態の区
 別を試してみた。
・接辞の基本活用枠組が全幅(未然~命令)にわたり活用できるものを、「然」とし
 、限定幅でしか成立しない(他の接辞活用を混在させる)ものを、「相」とした。
・この区別概念が有効・有益なものであるか、まだ明確ではない。

態文法:[挿入音素]で古語時代を振り返る

2018/11/08(木)

 日本語の原初時代を想像しつつ現代との結合を辿ってみる。その手掛りに
[挿入音素]を観察対象にしてみよう。

     16.[挿入音素]とは:その2
     〇動詞派生=動詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞語幹、、、
      のように、語幹末と接辞語頭の間に[挿入音素]を挟み込む。
     ・[挿入音素]構造条件:動詞語幹:Dの子音末/母音末に合わせて調音
      挿入の必要性の有無を決めるのは、後続する接辞の語頭音による。
     ①D[連結母音b/無音]子音s語頭のS接辞:Ds[b]sS/Db[]sS
     ②D[無音/連結子音x]母音b語頭のS接辞:Ds[]bS/Db[x]bS
     ★原初時代に[挿入音素]の法則はすでに始まっていたかもしれない。
      開音節の単語が多かった時期には、Db[]sS、Db[x]bSの形態が溢れて
      いたか。しかし、動詞語幹については子音語幹:Dsが大勢を占める状態
      が始まったから、Ds[b]sS、Ds[]bSも必要な法則になったろう。
     〇かな記録が始まる上代では、文法則の成文化文書がないから暗黙知と
      して普及していたのだろう。

     17.動詞派生を一般形式で表記する:その2
     〇[挿入音素]を採用して動詞派生を一般形式で表記する利点は、上代か
      ら現代までに変遷してきた様子を検証できることです。
-動詞活用形の文法則を成文化したのが江戸期であり、上代の暗黙知である文法
 則をおおよそ正確に採録考察できたのだが、未然形の解釈に問題を残したと思
 う。(現代国語文法もそのまま誤解釈を引き継いで問題を見過している)
-まず、未然形の変遷で合理的に移行を果せた例:(未然から将然への変化)
・推量・願望の接辞:muの連結:D[a/・]mu:書かむ、食べむ、の変化を考察。
 D[a/・]m→D[a/・]n→D[a/?]u→D[・/y]au→D[・/y]ou:書こう、食べ
 ようとなり、接辞が子音語頭:muから母音語頭:au→ouへ変化するのに合せ、
 [挿入音素]の形態も[a/・]→[・/y]に変化している。
-江戸期?に失敗した例:(未然形での仮定は消滅)
・未然(仮定)の条件法:D[a/・]ba:書かば、食べば?、不具合なので、試しに、
 D[・/r]a[+]ba:書かば、食べらば?、としても浸透せず、接辞:abaは意味が
 不明確で無理な形態だった。
・一方、已然の確定条件法:D[・/r]e[+]ba:書けば、食べれば、は已然接辞:eが
 しっかりとした意味を持っているから、汎用的に成立する。
-江戸期?以降、大失敗し続ける例:(態接辞は未然形接続ではない)
・国語学、学校文法では、受動態接辞:る/らる(文語)、れる/られる(口語)と
 異形態で示すのが通例であり、使役態接辞:す/さす(文語)、せる/させる
 (口語)でも異形態で示す。(かな分析の方法では異形態を生み出すしかない)
     〇態の派生を一般形式で表記すれば、異形態はなくなり統一される。
     ・結果態:D[・/r]ar[]u:書かる、食べらる:接辞はarで統一。
     ・受動態:D[・/r]ar[]e[r]u:書かれる、食べられる:接辞はareで統一。
     ・強制態:D[・/s]as[]u:書かす、食べさす:接辞はasで統一。
     ・使役態:D[・/s]as[]e[r]u:書かせる、食べさせる:接辞はaseで統一。
     ★態の派生が未然形と無関係であることが明確に判ります。
     ・態接辞は事然:終止形(基本形)に連結とするのがふさわしい。

     18.[挿入音素]の[・/y]と[・/k]の由来
     〇明確な由来を見付けてはいないのだが、古語時代の接辞のなかに痕跡
      がありそうだ。
-上代での造語接辞には、-a始まりの接辞が多かった。未然形と見まがう。
・例:ar受動、as使役、←態接辞で汎用あり。 古語時代での造語用で、af継続、
 ay可能・自発、ak動名詞化(ク語法)などがあった。推測であるが、ay、akが名
 残りとして[挿入音素]の[・/y]と[・/k]の形で生き延びているのか。
     〇将然:意向・勧奨:D[・/y]ou:書こう、食べよう、でしか登場しない。
      (推定:D[・/r]u[・/y]ou?→D[・/r]u[+]youda:こじつけか)
     〇ク語法の接辞:ak、は汎用的ではないが、現代でも健在である。
     ・古語:散らく:tir[・/r]ak[]u:散り敷く状態→散らかる、散らかす:
      tir[・/r]ak[]ar[]u、tir[・/r]ak[]as[]u、を派生。
     ・古語:遊ばかす:asob[・/r]ak[]as[]u:遊ばす(強制・律他)を避けて、
      対他の他動詞化(無律)する接辞として使用した。
     ・古語:わらはかし:warah[・/r]ak[]as[i/・]Ø:笑わす(律他)のうえを
      目指して対他(無律)他動詞化の笑わかす→現代の笑かす:wara[k]as
      []u:のような使い方。(寝かす、だまかす、など 強制・律他を避けて、
      対他(無律)他動詞化を意図して現代でも使われる。 あまやかす、おび
      やかす、やらかす、ずらかる、などにも接辞:akが含まれている)
     ★[挿入音素]の[・/k]は、接辞:akの「k」ではないかと推測する。
     ・形容詞が用言として形状動詞化するために選択する構造は、
      形状動詞の構造=形容詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞、、、
      を想定してみた。 おそらく60~70%以上の確率で形状動詞も[挿入音
      素]を持つと法則化するほうが合理的ではなかろうか。
     〇形容詞語幹:K、で一般形式表示すると、語幹はすべて母音末であり、
     ・形状動詞の派生=K[・/k]i→haya[k]i、tanosi[k]i、samu[k]i、など
      [挿入音素]は連結子音[k]だけが使われる。
     ・現代口語では用言活用でのイ音便があり、早い、楽しい、寒い、なので
      形状動詞の派生=K[k0]i→haya[k0]i、tanosi[k0]i、samu[k0]i、と
      表記する。
     〇形状動詞の活用形を基本枠組みで示す。
・未然:打消:K[k]u[+]na[k0]i、K[k]ar[a/・]zu、
      →早くない、早からず、 (接辞:ない、もイ音便で[k0]i無音)
 将然:意向勧奨:K[k]ar[・/y]ou→早かろう、楽しかろう、寒かろう、
・正然:連用:K[k]u(Ø、[+]te、)→早く、早くて、寒く、寒くて、
・事然:終止・連体:K[k0]i→早い、楽しい、寒い、
(事然:完了:K[k]ar[i/・]ta→K[k]a(r[i]=Q)ta:早かった、楽しかった、
 寒かった:イ音便でrita=促音:Q+taに調音転化する)
・已然:連用:K[k]ar[]e[+]Ø、→早かれ、楽しかれ、寒かれ、:対句で使用。
     仮定:K[k]ere[+]ba→早ければ、楽しければ、寒ければ、
・已然:命令::K[k]ar[]e[+]Ø、)→早かれ、楽しかれ、寒かれ:願望程度?
     〇形容詞型の助動詞も活用形に形状動詞化の[k]を付加する。
     ・打消:ない:na[k0]i、希望:たい:ta[k0]i、推定:らしい:rasi[k0]i。
     〇強制動詞由来の形容詞も[k]を付加(無律化)してから形状動詞化する
      と考えると[挿入音素:k]の役割が理由付けできる。
     ・望ましい:nozom[]as[i/・]Ø[k0]i、
     ・疑わしい:utagaw[]as[i/・]Ø[k0]i、など。

態文法:態動詞の意味の仕組を学ぶ

2018/11/02(金)

 「態の三系四態」の概念を基にすれば、態動詞の全体を見通しやすくなる。
〇三系四態のうち、古語・文語時代の接辞①、②を意図的に組み入れてある。
①強制系:as接辞:文語文法で使役の助動詞だった。
②結果態:ar接辞:文語文法で受動の助動詞だった。
★現代口語文法では、これらに(已然・連用)可能態接辞:e[r]uを付けて、
③使役系:as[]e接辞:を使役(強制可能形態)に充当し、
④受動態:ar[]e接辞:を受動(結果可能形態)に充当している。
⑤可能態:e接辞:を可能(已然・完遂、成就・願望表現)に当て大活躍させて、
 使役・受動を口語的に使えるようになっている。
〇もっとも、文語時代も已然形:ase、areの形態で使用するのが常のはずだろう
 から、①~⑤の接辞を全部揃えて「三系四態」で態全体を示すのは当然のこと。
 と思える時代が早く来ると良いのだが。

     15.態の動作律仕方(律しかた)とは:とても重要な概念です。
     〇能動動詞が12個の「態」動詞に派生展開するのだから、態動詞が果す
      はずの動作の意味をしっかり理解して、識別できるように練習するこ
      とが肝要です。
     ★態の動作律仕方とは:態動詞(の構文主体)が果す動作規律を区分する
      概念である。 第一段階は自己動作での「律仕方:動作を果す規律:自分
      や他者を如何に律するか」と想像して理解してほしい。自己動作が使役
      や受動の場合にも如何に律するのかを想像してほしい。
     〇三系四態の律仕方と言えども、3系+基本4態-原態=6個の律仕方を
      しっかりと理解しておけば、組み合せで12個分の律仕方も推測が十分
      つくはず。
     ・実際の文章では「構文主体」が省略の場合もあり得るから、想像力を働か
      せ、態動詞に対し基本の6個の律仕方を駆使して文意を汲み取れるはず
      だと思う。

     ★態の基本6律(動詞語幹:D:自・他動詞の区別せず)
〇態の三系原形態の基本律:
「自律」 ①能動態:D[・/r]u:主体の「自律」動作と定義する。例:書く、食べる。
「律他」 ②強制態:D[・/s]as[]u:指示命令して他者に自律動作をやらす。
       これを「律他」動作と定義する。
       命令-服従、許可-要請、許容-依願、放任-依存など、主体と他者の
       強制度合は動作内容の軽重による。
       例:書かす、食べさす。:指示だけで、被強制者の動作完遂に関与せず。
「律他  ③使役態:D[・/s]as[]e[r]u:指示命令し他者に自律動作をやらせる
互律」   が、もし、動作完遂に必要なら手助け・配慮をする。
       これを「律他互律」と定義する。ただし、短縮略語で「使役律」も可。
       例:書かせる、食べさせる。:相手の動作完遂に気を配る。 

〇態の四態基本律:(原形態の律は上に掲示済)
「互律」 ④可能態:D[・/r]e[r]u:動作完遂に尽力する律仕方をする。
       主体と対象とが自然・物理法則などに則った相互自律動作をする。
       これを「互律」動作と定義する。(追加説明を後節に記する)
       例:書ける、食べれる。:動作完遂を表出。(尽力の様子を聞きたい感じ
       になる) 已然連用から可能動詞に発展したものと推定する。 
       「ら抜き言葉」と称して排除する概念自体が無用の誤解である。
「果律」 ⑤結果態:D[・/r]ar[]u:動作(の結果・結果物)が「ある」ことを表現。
       結果自体が関与する登場人・物に態応を求めるような律仕方であり、
       これを「果律」と定義する。
「果互律」⑥受動態:D[・/r]ar[]e[r]u:動作成就の結果に各実体が如何に関わ
       るのか、結果との相互自律動作を言う。これを「果互律」と定義する。
       動作結果が誘発する互律動作であるから、自動詞も受動態を持てる。
      ・主体-実績可能、客体-受身、対象体-受身・習慣、対主体へ発話-丁寧
       自然体-自発?回想?互律、など動作結果に対する対応意味を表す。

     ★律仕方の使い方
     〇態動詞の解釈に困ったときに、「基本6律」を思い出して意味を確認する
      ことをお勧めしたい。 態の接辞が一つ一つ意味が違います。なるべく
      違いが際立つような「律仕方の命名」をしてあります。
     〇三系四態の構成ですから、通常は一系四態のどれかの態動詞で表現で
      きるが、二系四態に飛び移る使い方もあります。
     例:「滝に打たれさせられて、、、」:受動・使役受動=果互律・律他互律果互
      律=果互律・使役果互律という構造になる。(あまり例文がない)
     ★なお、「基本6律」のほかに「無律化」接辞:akがあるが、別紹介します。

     ★可能態を「互律」と定義する理由
     〇可能態接辞:e[r]u、または、已然連用接辞:e、を正式に定義した。
     -国語学では「可能動詞」の接辞として認めるものの、正式な態接辞と
      認めていない。 学問の歯車がどこかで止ってるままだ。
     ★接辞:e[r]uの由来例を通時的に辿ってみると、
     ・古語時代人は、已然連用:D[・/r]e:立てて、割れて、見れて、見せて、
      書けて、読めて、などの使い勝手の良さを感じてたと推察する。
     -文語時代での変化:已然連用を已然仮定に重点を移し、連用を独立動詞
      化する道を選択した。 立てる、割れる、見れる、見せる、書ける、読める
      、へ独立化にする際に如何なる文法則を立てたのだろうか。
     ・自他交替:立つ→tat[]e[r]u:他動詞化、割る→war[]e[r]u:自動詞化
      の派生は已然連用が独立化したのだという認識があっただろうか。
     -旧来は、自他交替:e[r]uが自他へ両方向の意味を持つと解釈されて、
      不思議扱いであった。(深層の共通意義を説明できないでいた)
     ★已然連用:D[・/r]e、が「すでに然る」→動作が成就する、完遂する、
      完遂尽力する、完遂を目指すの意味を内包する、と想像力を膨らます。
      それゆえに、「動作ができる」「可能である」=独立動詞化:可能動詞とな
      り得たし、本来、已然連用は一般形式で扱えるから、可能態として汎用
      化できる形態なのだ。 「動作完遂」で自動詞に変化するか、他動詞に変
      化るかは、二の次、三の次で良いのです。

     ★可能態を「互律」と定義する理由は、まさに、「動作完遂」にあり。
     〇動作完遂の状態は主体・客体が同時主役を演じる状態になるから、
     ・可能態に関与する人・物・条件が相互に律し合うという意味を込めた
      命名です。(人も物も条件・法則に適合する動作であるはずの意味)
     例:ガラスを割る→ガラスが割れる:人と物と物理条件の互律です。
     例:ピアノを弾く→ピアノが弾ける:人と物と音楽条件の互律です。
     例:やっとランチが食べれたよ:人と物と周囲条件の互律です。
     例:あの難問がやっと解けました:人と問題と考察条件の互律です。
     〇これらの例文で物が/を動作完遂できると表現しているが、各種条件
      の内容はいろいろなのでしょう。 難問解決ならば是非とも周辺条件を
      聞き出したいのが人情です。 条件に適合しないのに可能態表現しても
      誰も信じてくれないでしょう。
     -国語学、学校文法では、已然形を仮定形(確定条件の提示)と呼ぶばかり
      で、確定条件=動作完遂の状態を想定する、と言う根源の意味を教える
      べきなのに、とっくに忘却しているようです。

態文法:態活用の新概念を練習する

2018/10/28(日)

 動詞や態動詞の派生方法に対する文法用語が従来から不十分なので、独自に定
義します。(理由は例えば、母音交替、接辞付加などの呼称は動詞活用専用の定義
ではなく、他の品詞結合にも当てはまるから、文法上の一般用語である)

     12.態(ヴォイス)とは何か
     ・動詞動作に関連する定義である。
     ①事象:動作の実行で現れる出来事・現象、動作が表す形象が事象。
      事象の裏づけ:動作意図の有/無、有情/無情の区別はしない。
     (事象は自然現象、人為行為、社会的行事、犯罪的事件、すべてを含む)
     ②辞典→事態:動作事象の有り様、成行き。(不都合な事態表現が多い)
     ★独自解釈→事態:動作事象に関与する「登場人・物」が事象から受ける
      態様を描写すること。 動作事象に対する「登場人・物」の立場ごとの
      反応、対応が描写できる。
     ★態:ヴォイスとは:動作による「事象:出来事」と「事態:見え方」の対向
      関係で認識する文法則である。 態派生した動詞形態ならば「登場人・
      物」のどれもが構文の主格に立って、「事態:事象の見え方」を描写する
      文が作成可能である。
     〇日本語が受動態や使役態の構文を自動詞・他動詞の区別なく作成可能
      なのは、この態派生の文法則:事態の見え方は「登場人・物」の立場ごと
      に解釈ができること、による。
      (「事態」内容を良くないこと、迷惑なこと、と予断すべきでない)

     13.態の対向関係とは
     ・動詞動作の「事象-事態」は文法上の狭い範囲での「動作と反応」の対向
      関係と見做すと定義した。
     〇事象は一つでも、事態は関与する人・物の立場で複数になる。
     〇また、動詞自体が動作相を含むから、事象自体にも注目時点でのアス
      ペクト態様が現れる。それも態を含意して事態表現になる。
     ★これらを単純化して「事象-事態」の対向関係と呼ぶ。
     ・「事象-事態」の対向関係を基にすれば、三系の事象があり、各系には
      四態の事態がある、という概念で「態の全体」を把握できる。
     ・つまり、三系四態(3×4=12)の態形態を派生するから、能動動詞には
      12個(原動詞、合同形態を除くと10個)の態派生動詞を生み出せる。
      それだけの有意差のある対向関係が存在するということである。

     14.態の三系四態とは:
     ★態の三系とは:能動系・強制系・使役系を三系と名付ける。
     ・能動系:D[・/r]u:書く、食べる、:自律動作を意味する。
     ・強制系:D[・/s]as[]u:書かす、食べさす、:指示命令して他者に自律
      動作をやらす。(文語文法の使役形態だった)
     ・使役系:D[・/s]as[]e[r]u:書かせる、食べさせる、:指示命令して
      他者に自律動作をやらせる。動作完遂に必要なら手助けをする。
     (注)強制:やらす:指示を出すだけで、被強制者の動作完遂に関与せず。
      使役:やらせる:指示を出し、被強制者の動作完遂に必要な配慮をする。
      やらす→の已然形:やらせ~と同様の意味になる「やらせる」は、已然形
      が持つ「完遂まで力を尽す」の意味を秘めている。

     ★態の四態とは:原形態(事象形)-可能態-結果態-受動態、の四態を
      基本四態と呼び、原形態に三系動詞を付け替えれば、三系四態の全体が
      把握できる。(態派生の一般形式表記を次に示す)
     〇能動系四態:D[・/r](u、e[r]u、ar[]u、ar[]e[r]u):
      →能動系(原形態-可能態-結果態-受動態)と簡略表記。
      例:書く、書ける、書かる、書かれる/食べる、食べれる、食べらる、
       食べられる。
     〇強制系四態:D[・/s]as[](u、e[r]u、ar[]u、ar[]e[r]u):
      →強制系(原形態-可能態-結果態-受動態)と簡略表記。
      例:書かす、書かせる、書かさる、書かされる/食べさす、食べさせる、
      食べささる、食べさされる。
     〇使役系四態:D[・/s]as[]e[r](u、e[r]u、ar[]u、ar[]e[r]u):
      →使役系(原形態-可能態-結果態-受動態)と簡略表記。
      例:書かせる、書かせれる、書かせらる、書かせられる/食べさせる、
       食べさせれる、食べさせられる。
     (注:強制可能態と使役原形は同一形態、同一意義である。能動動詞は
      3×4-2=10個の態動詞を派生できることになる)

     ★「態の双対環」とは:基本四態のこと:二組の対向関係が直交する概念を
      命名したもの。(詳細後述)
     ①原形態-受動態の対向関係:書く-書かれる、食べる-食べられる。
     ②可能態-結果態の対向関係:書ける-書かる、食べれる-食べらる。
     ・この二組の対向関係が直交する図としたのが「態の双対環」である。
     (参考図を付加する)

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態文法:『動詞活用形』の概念を更新

2018/10/22(月)

 前回は最新の動詞活用形を提起したが、基本枠組みには学校文法と同様の
未然・連用・終止・・・の並び順を踏襲している。 古語時代から継続して日本語の
動詞活用の核であると思うからです。(動作相、事象相ともに揃ってる)
〇江戸期に成文化した基本枠組には、「かな単位:音節単位」の解析による限界が
 残り、現代国語学も「かな単位」解釈を続けるので限界を越えられない。
・当態文法では、「ローマ字つづり:音素単位」の解析により、正確な語幹、正確な
 [挿入音素]、正確な接辞語幹を切り出して、古語時代を含めた動詞活用の法則
 を哲学(帰納・演繹、外延・内包、二分・合体)してるところです。

     10.動詞の活用とは:その2
      動詞活用とは、助動詞(接辞)を連結させて意味を派生させること。
     ①動詞派生=動詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞語幹・・・
     ②助動詞派生=(動詞語幹に付属する)[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]
      接辞語幹・・・と連結(最後の接辞は文法的統語接辞や接続助詞が付く)
     〇つまり、動詞も助動詞も同じ派生論理に従う構造だから、意味の連結
      だけに注目すればよい。

★動詞活用形の『基本枠組み』の位置づけについて、江戸期以降の国語学では、
 その枠組から動詞派生のすべてが始まると見做す扱いである。
  (上記、〇つまり、動詞も助動詞も同じ派生論理に従う構造だから、意味の連
   結だけに注目すればよい)
・基本枠組が動作相・事象相を網羅しているから、始点根源とみる視点に異存は
 ないが、然相・動作相・事象相の相互関連に対する考察が不足しており、考察の
 成果も少ない。
〇成果の実例:大野晋『岩波古語辞典』1974年12月第一刷、1990年2月補訂版、
①見出し語:(終止形でなく)連用形とした。:古文例に記録が多く残る形態であ
 り、(已然連用形でも記録に残る)現代の連用形とも共通するから利便性あり。
 (また、二段活用での終止・連体の異形態の影響がない)
②ク語法(辞書凡例):奈良時代の語法で、いわく、おそらく、などの『未然形』に
 『く』接続法を再考して、『連体形』に「あく:~トコロ:名詞」の連結と見立てた。
 (「あ」を「あく」に取り戻す考察はすばらしいが、「あく」を前置し「あく・がる」
 で「あこがれ」の語源と推定するのは無理・錯誤だろう。あくまで動詞に後続し
 ての動名詞化・抽象化する概念接辞だろう)
③残念ながら、態の接辞も『未然形』に接続するのでなく、終止形の事象相に連結
 するのだという気づきには至らなかった。
 (成果も不成果も指摘したが、音素解析に詳しい利発な大学者にも目に届かな
 いトコロがあった)

     11.動詞の活用とは:その2続
      動詞の『活用基本枠組』を日本語教育の場では如何に教えるのか。
     ・日本語母語の生徒と外語の生徒に同時に『未然、連用、終止、、、』を
      教えるわけにいかない、(と自己規制しているかもしれない)
     ・動詞と助動詞の連結構造を説明しないで、『未然、連用、終止、、、』
      を基本文型に埋め込んだ例文で動詞活用を実践的に教える、
     -これでは、基本が抜け落ちるところがあり、母語者:日本人にも、
      外語者:外国語者にとっても非効率な学習法である。
     -『活用語尾』が「あ、い、う、え」並びであることを教えても意味がない。
     〇動詞の活用で描写すべき基本的必須の記述要素は、
     ・動作状態を描写する法則:動作相・アスペクト
     ・動作による出来事・事象を描写する法則:事象相・アスペクト
     ・動作事象に関与する登場人・物が如何に態応するか、つまり事態を
      描写する法則:事態相・ヴォイス、 の3つである。
     〇『活用基本枠組』は、動作相と事象相のアスペクト:然相を並べたもの
      であり、事態相を含まない。 動詞の動作描写と事象描写が基本です。
     (事象に態応するのが事態相なので、態活用では最初に態派生してから
      次に『活用基本枠組』で活用する順序です)
     ★最良の授業法は、音素表記を交えて連用形を多用した形態で、
     ・未然:打消:D[a/・]na[k0]i[+]de:書かないで、食べないで、
     ・将然:意向勧奨:D[・/y]ou[+]to:書こうと、食べようと、
     ・正然:連用:D[i/・]te:書いて、食べて、(イ音便も別に説明)
     ・事然:終止:D[・/r]u:書く、食べる、
     ・事然:連体:D[・/r]u[+]zikan:書く時間、食べる時間、
     ・已然:連用:D[・/r]e[i/・]te:書けて、食べれて、
     ・已然:命令:D[・/r]e【yo】!/【ey】o!:書け!/食べろ!、
     のように膠着語の特徴を明確に仕掛けるのがよいのではないか。
     ★この「基本枠組」なら、日本語母語者も外語者も日本語教師も
      国語学者も新しい視点で動詞活用を見直せる手掛りになる。

 前回の復習に留まってしまったが、古来からの動詞活用枠組を活かすも殺すも
現代人の判断にかかってる。 動詞の役割を理解するうえで、動作相、事象相、事
態相の3つを関連させて応用操作できるようになってほしいと提起します。
次回に事態相である態派生について練習したい。

態文法:新しい動詞活用表の練習要領

2018/10/13(土)

 前回の[挿入音素]の6種類を見て、どのように思われますか。
「小難しいことを言ってるわりに、意外に少ないんだな」と感じられたのでは?
(このうち、当態文法が独自に追加提案する挿入音素が[・/k]です)

 さて、学校文法で習う『動詞活用形』の並びを基本枠組にして練習をはじめます
が、ローマ字つづりを交えた[挿入音素]一般形式の体系で表記します。
動詞語幹:Dで一般化すると、五段活用、一段活用を両方同時に把握できます。
次項は最新提案の動詞活用形であり、すべてを然相:(未然、已然だけでなく)で
考察したものです。

     7.提案:最新の動詞活用形([挿入音素]採用)
・未然:打消、打消意向勧奨:D[a/・](na[・/k0]i、z[]u、mai)
      →書かない、食べない、 (ない:イ音便で[k]無音)
      →書かず、食べず、書かまい、食べまい、
 将然:意向勧奨:D[・/y]ou→書こう、食べよう、
・正然:連用:D[i/・](Ø、te、)→書き、食べ、書いて、食べて(イ音便でk無音)
・事然:終止・連体:D[・/r]u→書く、食べる、(現代口語では、終止連体同形態)
  奈良平安時代の二段活用:終止:D[・]u、連体:D[・]u[r]u←終止[r]u、
  (二段活用動詞の終止形:落つ、投ぐは、直接已然へつなげない→おてば、なげ
  ば、ではダメ。 落つ・る、投ぐ・るとなれば立派に事象然で、已然につながる)
・已然:連用・仮定:D[・/r]e(Ø、[i/・]te、[+]ba、)→書け、書けて、書けば、
     食べれ、食べれて、食べれば、([+]:助詞・ばと複合化でつながる)
・已然:命令:D[・/r]e【yo】→書け【よ】、 (【 】内は発音なし)
     命令:D[・/r]【ey】o→食べ【れよ】ろ、(二段活用の命令は連用:食べよ)
〇江戸期から『動詞活用形』を、未然、已然などの然相(動作相:アスペクト)で捉
 えていますが、部分的で一貫しないものでしたが、それを修正しました。

★当態文法では動詞活用形の全体を然相:動作相で捉えるべきだと上記のように
 提案します。
・「文章の切れ続き」の動詞形態に注目するのではなく、動作状態の未然、進行、事
 象、完遂、を陳述・描写する派生形態を区分するものと規定します。
・国語文法では、『動詞活用形』と『助動詞活用形』を基に動詞活用を説明するが、
 自他交替の造語や態派生の仕組との関連性などを詳細には説明しない。
・当態文法では、活用形の全体を然相の集合体と規定し利点を得ます。

     8.提案の動詞活用形表の然相(動作進捗状況相:アスペクト)とは
      動詞が意味する動作状態を実行するとき、その進行度、実行程度を
      初めから完遂までを言い表す活用形態を定義したもの。
     〇活用形表の前半と後半では然相の意味合いに違いがあります。
     ・前半:未然:いまだ然らず、・将然:これより然る、・正然:今まさに然る。
     ・後半:事然:事象・出来事が/を然る、 ・已然:事象完遂をすでに然る。
      (前半は動作そのものを然る・する、後半は動作事象、出来事を然る)
     ★自他交替の派生は、前半:動作を然る範疇で意味を探る。
      ただし、古語の動詞は子音語幹が多く、母音語頭の接辞に対して[挿入
      音素]の必要も少なかったろう。
     ★態派生は後半:生じた事象に如何に態応するかの表現が「態派生」だか
      ら、事然形態に連結するのが原則である。
     〇つまり、事然:D[・/r]、またはD[・/s]、に態の接辞を連結する。
      国語学の論理:「態接辞は『未然形』につなぐ」は全く筋が通らない。

     9.正然・連用形と已然・連用形の存在復活を目指す
      提案の動詞活用形表で重要な点が、已然の功績復活です。
     ・正然・連用形、事然・連体形、已然・連用形は、3つの連続構文生成形
      態と位置づける。(通常、已然連用形を全く指摘しないことが多い)
     〇正然/已然・連用形は常に並行して派生できるはずです。
      正然連用:D[i/・]te / 已然連用:D[・/r]e[]te、
      書いて/書けて、食べて/食べれて、読んで/読めて、渡して/渡せて
      (自他交替も):開いて/開けて、立って/立てて、割って/割れて、
      砕いて/砕けて、など、動作着手:正然/完遂:已然の対向性で区分。
     〇古語時代には、已然・連用形が大活躍してしまい?二段活用の時代を
      長引かせてしまったのかもしれない。
     ・二段活用の事然・連体形は事然・終止形に[r]uを追加して事象確実化
      した。(この知恵は苦し紛れとして、法則にならなかった?)
     ・もしも、已然・連用:D[・/r]eに直接[r]uを追加して事象化する知恵
      が当時に働いてたら、可能態動詞:D[・/r]e[r]uが平安時代に現れ
      てただろう。(ら抜き言葉は平安時代に勝名のりを受けれた?はず)
     ★現在でも、任して/任せて、果して/果せて、輝かして/輝かせて、
      なびかして/なびかせて、と、正然/已然の連用形態は併存している
      のです。
     ・正然:動作の取っかかり、已然:動作の完遂(成就を目指す、仮定する)
      の動作相を表現する機能だから、併存するのが当り前なのです。
     (已然連用が可能態・使役態の意味を感じさせるのは、どちらも態接辞
      として已然接辞:eを含む派生法だからです)
     ★動詞活用形表の概念は、全体で動作相:アスペクトを表現する構成な
      のだと解釈するほうが言語実態に合致する利点がある。
     ・然相視点で見れば、命令形を已然に含めるのも実態に合致する。
      二段活用では正然連用で「食べよ、見よ」の動作取りかかりを命じた。
      一段活用では已然命令で「食べろ、見ろ」と動作完遂を命じる形態で
      あり、四段活用の命令形と然相が一致したことになる。
 (正然と已然の深層の意味については後述する)

〇追記:2018/11/06(火)
 動詞述語としての活用構造は階層的になっており、大まかに区分すると、
★動詞述語の構造=〔態・ヴォイス〕+〔然相・アスペクト〕+〔時制・テンス〕
 +〔丁寧さ〕+〔言表事態モダリティ〕+〔言表態度モダリティ〕
 のような階層順序で派生する。
〇動詞活用の基本枠組は〔然相・アスペクト〕の基礎的要点を含んでおり、7項に
 最新提案した然相表現が今後の基本枠組にふさわしい。

態文法:態文法を再生する練習要領:はじめ

2018/10/06(土)

 態文法を再生するための練習要領、用語の新定義を順に書き起します。
広く練習体験につながることを願っています。(再生の要領集、定義集録)

 1.「態文法を再生する」とは
  日本語動詞の活用形態をローマ字つづりで書き出して、態接尾辞
  などを正確に切り出すことにより、接辞の文法機能を解き明かし
  て、現状の国語学、学校文法の説明不足を補完すること。

 2.動詞の活用とは:その1
  動詞:用言などは、自立語であり活用する語と定義されてるが、
  動詞語幹そのものは変化しないので、これに助動詞:接尾辞(以下、
  接辞と呼ぶ)が連結して接辞固有の意味を追加するのが動詞活用
  である。(本来は動詞派生と呼ぶのがふさわしい)
 〇動詞語幹に1つ以上の接辞が連結して派生形態を生み出す。

 3.動詞の派生形態とは
 〇動詞派生形態=動詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞語幹
  ・・という繰り返しの派生が多い。
 〇接辞自体も活用:二次派生するので、接辞語幹に[挿入音素]を配
  置して次の接辞と連結する。
 例:読まれてる→yom[]ar[]e[]te[r]u (動詞語幹[]接辞語幹[]接
  辞語幹・・、[挿入音素]:[]無音、[r]単子音、詳細は後述する)
 〇上例を見て分かるように、語幹を正確に切り出し、接辞の語幹を
  正確に把握するには、一度はローマ字つづりで書き出しする練習
  が必要となる。(詳細は後述)

 国語学、学校文法で上例を分析すると、
例:読まれてる→読ま・れ・て(・い)る:と区切ってしまうので、動詞語幹も接辞
 もずたずたにこま切れにされてしまう。(かな分析の宿命とも言える)
・動詞語幹は「よ:yo」で切られる。語幹末尾音と接辞語頭音の結合で「ま:m‐a」
 となり、これを『活用語尾』と呼ぶ。 通常、『動詞語幹相当と活用語尾を連結』
 した形態を『活用形』と称する。 (よま→「読ま」で『未然形』と呼称する)
・読ま・れ、の切り残りの「れ」が受動態の接辞だと言い張るのが学校文法です。
・『活用形』に「切れ残り接辞」をつなぐ、という巧みな方便的手法で活用形態の
 説明を乗り切ります。 方便は真実を現わさない。
 (学校文法の『活用形』には、『 』で囲んで注意喚起の表記にします)

 4.挿入音素とは:その1
  動詞語幹と接辞語幹の密な音素連結でも滑らかに発声できるように
 〇動詞語幹が子音末なら、母音語頭の接辞と[挿入音素:無音]で連結、
  子音語頭の接辞とは[挿入音素:単母音]を介在させて連結する。
 〇動詞語幹が母音末なら、母音語頭の接辞と[挿入音素:単子音]を介
  在させて連結、子音語頭の接辞とは[挿入音素:無音]で連結する。
 ★以上の2つが密な音素結合の全条件を表現してるので、一般形式に
  仕立上げることができます。
 〇[挿入音素:一般形式]表記として、[無音/挿入子音]、[挿入母音/
  無音]を使い分ける。

 5.動詞派生を一般形式で表記する:その1
 〇動詞語幹を一般形式化して、D記号で示す。 (慣れるまでは、
  DにはDs(子音末)とDb(母音末)が含まれるから、Ds/bと想定し
  てもよい)
 〇[挿入音素一般形式]:[無音/挿入子音]、[挿入母音/無音]を
  使い分ける。(後続の接辞語頭音素が母音か/子音かで決る)
 例:読まれてる→yom[]ar[]e[]te[r]u を[挿入音素:一般形式]で
  表記すると、yom[・/r]ar[・/r]e[i/・]te[・/r]u となる。
 ・Ds/b→D[・/r]ar[・/r]e[i/・]te[・/r]u から、動詞:食べるは
  食べられてる→tabe[r]ar[]e[]te[r]u の派生形態で表される。
 〇動詞語幹や接辞の語頭・語末の違いが[挿入音素の有音・無音]で調整
  されている。([挿入音素]の母音、子音の種類については後述する)
 〇読む、食べるの語幹をD表記すると、最初に連結する機能接辞との
  [挿入音素]形式を何にするか、その選択を求められる。
 ・能動系の態派生では、D[・/r]ar[]e[]te、:読まれて、食べられて、
 ・強制系の態派生では、D[・/s]as[]e[]te、:読ませて、食べさせて、
  の挿入音素:[・/r]、[・/s]、を選ぶ。
 ([挿入音素]の母音、子音の種類については後述する)

 日本語は膠着語であるが、語幹と語幹が密結合する際に、子音・子音の連続や
母音の連続する発声方法を避ける傾向も顕著にあり、回避の仕方は結合の間に
[挿入音素]を挟み込む言語体系なのです。
もし、子音連続をいとわない言語だったら、ローマ字つづり方式の言語形式にな
っていただろう。でも、[挿入音素]のお蔭で「かな方式言語」で発展し続けて来ら
れたわけだから、少なくとも文法研究の場では動詞派生を[挿入音素]・ローマ字
つづりで解釈するという「道具の使い方」をするべきなのだと思う。

 6.挿入音素の一般形式は何種類?
  詳細な解説は後回しにして、[挿入音素]の形態だけを示します。
  〇[a/・]、[i/・]、[・/r]、[・/s]、[・/y]、[・/k]、の6種類です。
  これですべてです。

(つづく:再生の要領集、定義集録)

態文法:哲学でする動詞活用7

2018/09/23(日)

 前回、動作の「律仕方」区分に新たに「受律」を定義し追加した。
「受律動作」とは、「イチゴが売っている」のように、対物他動詞の動作を受ける状
態の対象物を文の主格にして描写することを言う。
(「農家の門前でイチゴを売っている」では、自律動作の対象物にイチゴが配役さ
れてる)
→当態文法は、文法再生を目指して独特な視点で態動詞派生を考察しているだけ
 でなく、正確に態動詞を活用するための法則を提起したいと考えている。
・独特な法則の一つが、「動作の律仕方」法則である。
<★当態文法の「動作律仕方」定義を再掲すると、(前回の「受律」を追加した)
・能動系→自律(自他共に:対物、対人に関わる)→自らの動作意図で律する。
・強制系→律他(対人他動詞になる)→対他に指示し対他の自律動作を律する。
・使役系→律他互律(対人他動詞)→律他し、完遂に必要なら手助けする。
・可能態→互律(人・物・事の相互律)→完遂に向け相互尽力する。
 「已然」連用形も互律が適用可能。
・結果態→果律(結果事象が生ずる)→動作結果、結果物が律する。
・受動態→果互律(結果事象が関与する人・物を律する)→動作主:実績、動作習慣
 、客体:受け身、対象物:受け身、自発、習慣、第三者発話:敬語。
が基本定義である。
・使役受動態には律他互律果互律=使役果互律として複合の律形態で解釈する。
★なお、語形態として態構造を作らないが、対物他動詞の正然・連用形による動
 作完了相、進行相の表現は、確かに「簡略的な受動(受け動作)」を想起させる。
・対象物をして構文の主格に配置させて、「イチゴが売っている」、「字が書いてあ
 る」、「付箋が貼ってある」、「看板が立ててある」などの律仕方を「受律動作」と
 定義する。(対物他動詞の対物主格が「受ける連用形完了相に限定した動作」)
(一方、受動態は果互律動作→動作結果が対物に如何に関与・影響するかを述べ
る視点で描写する)
・もしも「イチゴが売れて、」「字が書けて、」「付箋が貼れた」「看板が立てれて、」
 の已然・連用形ならば「互律動作」であり、動作主と対象物の相互関係が濃密に
 顕在する描写心理が働くはずで、動作完遂の顛末を想起し描写を期待する。
★次に、今回は「無律」動作について追記する。(強制態を対人他動詞へ転換)
・「無律」については、すでに当ブログで古語「ク語法」の考察記事などにより20回
 以上の回数で取り上げている。
・「だます」、「だまかす」、「だまくらかす」:「だまくらかす」も3回記事にしており
 、少しづつ考察が深まってる。>

10.「無律動作」とは
 古語辞典では「ク語法」を動作概念の名詞化・抽象化の機能で説明する。
「無律」、「無律動作」に使われるとは明確に説明してない。
・語例:曰く:iw[]ak[]u→言うところ、言わんとすること、
 望まく:nozom[]ak[」u→望むこと、望むらく:nozom[]u[r]ak[]u(誤用?)
 すべからく:subekar[]ak[]u→するべきであること、
など、多くは動作名詞化の意味合いが強い使用法であったが、
・遊ばかす:asob[]ak[]as[]u→「若君を遊ばかし奉り、」のように、意図的に
 「遊ばす:律他動作(若君に指示・命令し、若君の自律で遊ばす)」を使わずに、
 「遊ばかす:対人他動詞・自律動作(若君が何でも遊べるように直接に配慮いた
 しました)」と表現した例が記載されている。
(強制態や使役態が内包する律他性:指示命令と服従自律の二重構造、を回避し
 て、単純な対人他動詞化にしたい、という細やかな配慮意図が古語の時代から
 存在していたのだ)
 
→★当態文法では、ク語法の接辞:ak、を動作概念の名詞化、抽象化する機能と
 見なすが、同時に動作律仕方も「無律化」するものだと見なす。
(この接辞を単に、~すること、~するところ、の意味付けで終らしてはもったいな
い)
・近世には、拡大抽象化や無律化への応用が広がり新造語が増えてきた。
例:散る→散らかる、散らかす、 たぶる→たぶらかす、 ずる→ずらかる、
  やる→やらかす、 あまゆ→あまやかす、 おびゆ→おびやかす、
  (やる:動作目的を理解し合ってる、やらかす:動作内容が勝手なこと、
   甘えさす、怯えさす:程度を相手自律に放任?、甘やかす、脅かす:程度を主体
   側の自律で決める)
  だます→だまかす→だまくらかす、(この派生の列を次項で解説する)

→〇「だまくらかす」を解き明かす。
・だます:damas[]u:四段他・あざむく(damar[]u黙ると同根:真実を黙す)
 世間の解釈として、dam[]as[]u:四段他・真実を隠して対他の自律・誤解釈
 を誘う動作と判じられた。 特にだまされた人は、自律誤解釈が原因で被害を
 受けたと思いたくないから、誤解釈を無律(動作主の自律へ戻す)化しようと、
・だまかす:dam[]ak[]as[]u:四段他・虚偽を並べて惑わす。(自律・対他)
 だまかされたのなら、自分の誤判断ではなかった、うそつきが悪者だ。
・だまくらかす:dam[]ak[]u[r]ak[]as[]u:四段他・虚偽を五万と並べ立てて
 対他の判断を惑わせる。(だまく?る:嘘で塗り固める、だまくらく:うそ八百で
 周囲が見えない状況) 少々大げさな詐欺的主体の自律・対人他動詞。

→★「おれおれ詐欺」の撃退に役立てるには
〇だます、だまかす、だまくらかす、のどれを取っても、「うそ、虚偽、」が八百、五
 万と並べ立てられるはずだから、「虚偽の包囲網」に囲まれないように、何度も
 何度も最初の「うそ、虚偽」に戻って「状況を質問し直す、くり返し問いただす」
 ようにして、あやふやな妥協の納得や、先に進むことをしない、これが大事。

態文法:哲学でする動詞活用6

2018/09/09(日)

9.正然・已然の連用形に絶妙な力
 当態文法では、自動詞と他動詞の活用形に区別を与えず、動作意図を示す「律仕
方」の解釈でも、能動系なら「自律」、強制・使役系なら「律他・律他互律」と定義し
て、自他区別をしない法則である。
しかし、「正然」連用形には隠れた選択力が働いてるので、法則を追加すべきかも
しれない。

→今回の考察で、自他交替と正然・已然の連用形との絶妙な関係を調べる。
〇ネット検索すると国語学の研究分野で議論されている問題のなかには、
(1)「直売所でイチゴが売っている」→正然連用形 (イチゴが売る)は不成立。
(2)「ケーキが六等分に切れた」→已然連用形(ケーキが切ってある)正然連用形。
のように、他動詞でありながら連用形になると擬似的な自動詞用法が現代の会話
文で成立するという。

★当態文法の「動作律仕方」定義を再掲すると、
・能動系→自律(自他共に:対物、対人に関わる)→自らの動作意図で律する。
・強制系→律他(対人他動詞になる)→対他に指示し対他の自律動作を律する。
・使役系→律他互律(対人他動詞)→律他し、完遂に必要なら手助けする。
・可能態→互律(人・物・事の相互律)→完遂に向け相互尽力する。
 「已然」連用形も互律が適用可能。
・結果態→果律(結果事象が生ずる)→動作結果、結果物が律する。
・受動態→果互律(結果事象が関与する人・物を律する)→動作主:実績、動作習慣
 、客体:受け身、対象物:受け身、自発、習慣、第三者発話:敬語。
が基本定義である。
・使役受動態には律他互律果互律=使役果互律として複合の律形態で解釈する。

→「正然」連用形に対しての律仕方は未定義であり、考察をして新提案しよう。
〇動詞派生を一般形式で表記する。
・正然連用形の一般形式:D[i/・]te、このうち、対物他動詞の連用形を考察。
 売って、切って、書いて、読んで、立てて、見て、食べて、壊して、盗んで、叩いて
 、返して、などが対物他動詞の正然連用形に該当する。
・通常、他動詞の対象物を主格に立てる構文では、受動態表現にするはずで、
 受動態連用形の一般形式:D[・/r]ar[]e[i/・]te、で示すと、
 売られて、切られて、書かれて、、、壊されて、盗まれて、叩かれて、返されて、
 などとなる。(受動態:are→果:ar、互律:e)
・上記の受動態連用形から結果接辞:arを外すと、可能態連用形・已然連用形にな
 る。已然連用形の一般形式:D[・/r]e[i/・]te、の形態で、
 売れて、切れて、書けて、読めて、立てれて、見れて、、盗めて、叩けて、返せて、
 などとなる。(可能態・已然:e→互律、完遂尽力)
★已然連用形は動作完遂の経過での主体・対象物の行動を肯定的に考慮する動作
 を表現する。(売れて、切れて、書けて、盗めて、叩けて:人も物も肯定協力的)
・受動態連用形は動作事象の結果に反応・態応する心情、感情を表出する準備表
 現である。(売られて、切られて、書かれて、盗まれて、叩かれて:動作結果が支
 配的である) 普通、結果に由来する喜怒哀楽の描写が後続することが多いが、
 「イチゴが売られ、」「ケーキが切られ、」「物 書かれ、」が単独で語られると、対
 象物に対する日常、必然の習慣行為だと述べているように感じられる。
〇さて、正然連用形は一般形式:D[i/・]te、であり、完了接辞:te(下一段)が付加
 され、売ってる、書いてある、見てる、食べてる、盗んである、叩いてある、置い
 てある、貼ってある、並べてある、干してある、などの形態となる。
・この形態により対象物への動作が完了した状態を表現することになるから、
 已然接辞や受動接辞が付かない「直接の連用形:特段の感情移入がない動作」を
 受けたことになる。
・特段の感情移入がないので、正然連用形:「イチゴが売っている」「字が書いてあ
 る」「朝飯はちゃんと食べてる」「ケーキが六等分に切ってある」「看板が立てて
 ある」などが文法的に違和感が少ない動作完了相と見なされる。
・この正然連用形の律仕方を「受律動作」と新定義したい。
★受律動作:対物他動詞の対象物を主格とする構文での正然連用形の動作意図:
 律仕方を「受律」と名付け、動作を受けた完了状態、進行状態を保持することを
 表現する。 (動作の経緯や結果に対する利害関係を内包しない)
・感情移入がある「財布が盗んで、」「扉が壊して、」などは意味不明となる。
 それには、受動態・受け身表現:つまり→「財布が盗まれて、」「扉が壊されて、」
 という、結果が人・物を律する:果互律動作として表現するのが最適である。
(受律動作は、動作主との関係性が互律よりも希薄で、動作を受けたことだけを
意味する。 つまり、動作主を伏せたまま対象物が動作を受け取ること)

→「受律」は適用範囲が限定的であることを納得しておきたい。
 (対物他動詞の対象物が主格文となり、D[i/・]te[r]u、D[i/・]te[+]i[r]u、
 D[i/・]te[+]ar[]u、などの動作完了相、進行相を表現する場合に限定)
・日本語話者の感覚は、わざわざ動作主を言わなくても、動作主との関係性の強
 弱を動詞の律仕方:「受律」「互律」「果律」「果互律」(「律他」「律他互律」)の使い分
 けで表現してることになる。

態文法:哲学でする動詞活用5

2018/09/02(日)

 現代動詞活用法のなかで用法が揺れている?もう一つの問題を考察しよう。

8.(正然)連用形と(已然)連用形を使い分ける
 国語学者のなかで動詞活用の揺れ問題と捉える方々がある。
〇他動詞を使うか、使役動詞を使うかの用法が揺らいでいる、ということ。
実例:任す:他動詞、任せる:使役動詞、の使い分けについて
 ①その件は彼に任してある。(←清雅な表現ではない:国語学の評価)
 ②その件は彼に任せてある。(←こちらが清雅な表現:国語学の評価)
→当態文法の視点からは、何らの問題でもなく、①任す②任せるの両者の意味の
 違いが表現された文章だと捉える。 清雅であるかないか、ではなく、意味の違
 いをしっかりと講釈してほしい。
 (理由なく「任して」を避けて、「任せて」を優遇するのは筋が通らない)
〇この実例の動詞については、ひとつだけ補足しておく。
・古語:任く:mak[]u→任す:mak[]as[]u→任せる:mak[]as[]e[r]u、とい
 う単語派生の流れが想定できる。
・任す:対人他動詞→強制態動詞とも解釈でき、律仕方は律他動作を表す。
・任せる:使役他動詞→強制+e[r]u(已然接辞、可能態接辞)で、律他互律動作と
 解釈する。
 →すでにこの実例については、態文法:日本語を研究するための道具4のなかに、
 (部分:松下電器創業者・松下幸之助の名言「任せて任さず」)で詳細に説明して
 あるので、省略する。 用法に揺れはない。

 この問題を一般形式で表記すると、
〇強制:D[・/s]as[]uと、使役:D[・/s]as[]e[r]u、の選択問題である。
 特に強制動詞の場合には、e[r]uが付加されて使役動詞に変わっても、意味の
 大部分は能動的な対人他動詞性(律他:他を律する)が残ってる。
〇さらに一般化して、自律・能動動詞:D[・/r]uと、D[・/r]e[r]u、の場合
例:戻る:modor[]u、を検討すると、
・「無事に戻って来れてうれしい」
 →「戻って」:戻るの連用形、「来れて」:可能動詞の連用形とみるのが普通か。
 (来るの已然仮定形は「くれば」で、可能の連用形「これて」と形態が違う)が、
 または、「来れて」:来るの已然形と見るか。
・「無事に戻れてうれしい」
 →「戻れて」:可能動詞の連用形と分析するのが普通か。
 または、戻るの已然・連用形とも考え得る。
→★この例を哲学活用の立場から解釈すると、
・可能動詞、可能態の由来が、動詞活用の已然形:D[・/r]e、にあると見てるので
 、「戻れ・ば:已然・仮定形」「戻れ・て:已然・連用形」、「戻れ・!:已然・命令形」のよ
 うに解釈することが全く自然に思える。
・つまり、「戻る」の活用形のなかに、戻って(正然:まさに然る)、戻れて(已然:
 すでに然る)、の二つの連用形が同列に並んでるように感じられる。
・また、戻るの已然形:戻れ、と、可能動詞:戻れるの連用形:戻れ、は同形、同義で
 あると解釈できる。 だからというか、だけれどと言うべきか、「戻れて」を「戻
 ることができて」と可能流儀で毎回感じる必要はないだろう。
 「戻れて」に対して、「戻るを完遂するため懸命に尽力をして」と已然形で感得す
 る人々が存在することも当然である。
〇「戻って」は自律動作であり、「戻れて」は自律・互律動作である。
 互律動作とは、動作主体が動作を完遂するにあたり対人、対物、対自然、対環境
 の助力や順法適合などの条件を得て成就することを言う。
・「戻れて」には努力の末の成就だという万感の思いが内包される。
 「戻って来れて」も「来れて」があるので、同じく万感の思いを感じるが、
 「戻って来てうれしい」だけでは成就の万感の思いが伝わらない。

→★整理:連用形には、2種類あり、動作相:アスペクトの視点から区別すると、
 ①正然:せいぜん=まさに然る、(通常の連用形)→正然連用形、
 ②已然:いぜん=すでに然る、(通常の已然形)→已然連用形、
 と命名しておこう。(新定義)
〇未然、正然、已然という名称は、動詞活用のアスペクト側面を明確に表現する
 もので、連用形・仮定形は文章構造に関連した用法名称である。
(試しに、動詞活用形の全体を動作相:アスペクトで区分する方式を考察して
みたい。
<実験例はじめ:動詞語幹Dと[挿入音素]で一般形式の表記で示す。
・未然:D[a/・]nai打消形、将然:D[・/y]oo意向、勧奨形、
・正然:D[i/・]Ø中止形、te連用形、
・事然:D[・/r]u終止、u連体形、
 →事然:じぜん=事象が/を然る(事象が出来する)
・已然:D[・/r]e[]te連用、e[]ba仮定、e!【yo略】命令形/【ey略】o!命令形、
〇事然:D[・/r]、D[・/s]からは態各種の態動詞へ派生する。
実験例おわり>)

 最後にもう一つ、正然・已然の連用形を示す。
例:正然連用形と已然連用形の使い分け(動詞活用の揺らぎではない)
〇「さすが、名人の落語は全席をしっかり笑わしますね」:笑わし:律他、正然、
 名人の語り口が律他か自律か判らぬくらい自然に、おのずと客の笑いを引き出
 す様子が目に浮ぶ。
〇「人気の漫才コンビ、全席をしっかり笑わせますね」:笑わせ:律他互律、已然、
 漫才コンビが客を笑わそうと反応や手応えを斟酌しながら、ネタを盛り上げる
 様子が目に浮ぶ。

→国語学では動詞活用の全体像(自他交替、態派生、動作相、切れ続き、構文法)
 を個々の活用として、ばらばらに「かな文字の字面に従った解釈」をしてきたの
 だろう。 だが、実際の日本語は全体像を一貫して、「共通の接辞は共通の深層
 意味を持つ」という透徹した機能接辞、助動詞を駆使して発展して来れたのだ
 と思う。

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