カテゴリー「態文法」の84件の記事

態文法:動詞活用形から巣立つ独立動詞1

2018/06/21(木)

 動詞活用形の概念は、国語文法(学校文法、音節・かな分析)の伝統的な動詞分析
方法であり、簡明な文法法則で動詞構造や意味を説明できる。
だが、動詞構造を「かな単位」でしか分析しない簡易な文法では、動詞語幹の切出
しも便宜的・方便的な工夫により変則的な動詞活用表を編み出すしかなかった。
(問題は便宜的、方便的、変則的な文法に満足するばかりで、不満だと誰も感じ
ない状態に陥ってること)
 正確な音素構造に分解する方法は、動詞活用形を「ローマ字つづり」で書き下せ
ば、最小の「音素単位」で分析できる時代なのだから、それにふさわしい文法則を
工夫して国語文法を補強していくべきだろう。
(問題は「音素分析」による新法則で学校文法の何を補強するのかに懸っている)

<音素分析:当ブログ態文法>
 学校文法に欠落する視点に対して、音素分析で見つけた新法則で補強すべき項
目を列挙する。
①動詞活用形から巣立って独立動詞になる仕組み、機序について説明すべき。
②「活用形は動作相:アスペクトを表す」と正確に説明すべき。
③動詞の態派生について正確で清雅な説明をすべき。
という、抽象的な表現ではあるが、日本語の動詞活用の根幹に関わる法則を提起
したい。
 この3項目については思考実験の形式でブログ記事に投稿してきたが、今後は
きちんと整理した態文法の基本にしたい。古語時代と現代を何度も往復し、文法
を平準化するという感覚で、先行研究の国語文法と音素文法を相互補完させたい
と思う。

1. 動詞活用形から巣立つ独立動詞

_fiquqmy

 動詞活用形について記述する。(動詞活用変遷の図表参照)
動詞の活用には、古代より四段活用、(三段活用、)二段活用、一段活用があって、
〇四段活用:動詞語幹が子音末であり、古代から現代まで安定な形式を保つ。
 かな分析:活用語尾音が「あ、い、う、う、え、え」と母音交替する型式という。
 音素分析:「a、i、」は[挿入音素]、「u、e、」は機能接辞である。安定な形式。
・終止形、連体形を中心に連用形(進行相)と已然形(完遂相)が母音交替で実現。
(三段活用:現在では「来る、する」の不規則動詞2つ程度。ここでは省略)
〇二段活用:語幹は子音末だが、特定の母音交替しか通用せず、語幹に、i音また
 は、e音を付加した音節形態にして活用する。
・連体形は終止形に「る」を付加して独立した動詞形を派生し、已然形にも適用さ
 せる。独特な形態だが、古語時代から始まる法則で、簡略動詞:サボ「る」、けち
 「る」、ググ「る」などの生成原理につながるもの。
・近世に近づき終止形が連体形と同一化し始めると、連用形に「る」付加した独立
 動詞形を終止形にする動きが始まる。

〇一段活用:二段動詞の語幹にi音、e音を組み入れた母音語幹動詞が急速に定着
 して一段活用化が進んだ。
・最下段の規則活用表に四段/一段を共通形式で示す。[挿入音素]で段差を吸収
 するから、已然形、命令形(省略音あり)まで、段差なしの同じ接辞形態になる。
・一段活用では、終止形以後に[r]が挿入されるのは母音語幹に「る」付加で独立
 動詞化するからだ。
 (かな分析:終止形以後「る」を付加する並び形式を接辞添加の型式という)
・また、已然形に「る」付加で独立動詞化するのが「可能動詞」であり、四段/一段
 ともに本質的に正当な可能動詞、可能態である。
 (国語文法は四段動詞の可能態しか認めない。100年の遅れ?)
・已然形は、「すでに然る、つまり完遂努力を(想定)すること」が基本の意義だか
 ら、書け「る」、落ちれ「る」、投げれ「る」の意味は「動作を完遂できる」であり、
 何も異議が出るはずがない。一段活用動詞も可能態、可能動詞になる。
(現代口語では已然形を仮定形と呼ぶが、基本原理は何も変っていない。
 古語時代からの已然概念を見失ってはもったいない)

〇規則活用の已然形:D[・/r]e[r]uの接辞:e=可能態接辞:e-である。
 次の動詞はすべて接辞:e-を含み、深層で「動作を完遂する」という共通の意味
 ・機能を持っている。
例:集める、かぶせる、受ける、立てる、割れる、逃げる、倒れる、通れる、通せる
 、見れる、見せる、着れる、着せる、乗れる、乗せる、任せる、果せる、寝れる、寝
 せる、、、
・「立てる、割れる」など自他交替で自→他/他→自の両反転があり不思議に感じ
 る時期を早く通過してほしい。共通の「動作を完遂する」を経由しての自他交替
 があるだけだと強く感じてほしい。
・可能態動詞の動作律仕方を「互律動作」と命名する理由は、動作を完遂する途上
 で主体と他者、対象との相互間で動作共有の瞬間・兆しが生じるからである。
(原形が古語の、集む、受く、逃ぐ、などもあるから、それを考慮に入れると分か
りやすい。古代から日本人は動作共有の瞬間を共感しながら已然形を使ってきた
はずだ。だから、対人他動詞の可能態:見せる、着せる、乗せる、任せる、寝せる、
などをじっくり吟味すると他者との動作共有の感じを体得できるだろう)

(つづく)

態文法:「なぜ日本は強いと思われますか」

2018/06/15(金)

 <引用:スポーツ報知のネット記事:06/08 01:33>
   ロシアW杯に臨むFIFAランク61位の日本は8日、同6位のスイスと
  同国・ルガノで親善試合を行う。7日は試合会場で前日会見が行われ、
  西野朗監督が出席した。
   地元メディアからは「なぜ日本は強いと①思われますか」と珍質問が
  飛びだし、指揮官は「誰に②思われているんですか。質問された方が
  ③思われているのですか」と戸惑いながらも「日本はW杯に連続して出場
  している現実はある。アジアのサッカーを牽引しているので自信を持っ
  てW杯に出場したい。ただ、これがW杯でチャレンジしてもある程度で
  拒まれている歴史も認めないといけない。W杯の中では十分には実力を
  発揮できず、なかなか認めてもらえない現実もあるのも事実」と冷静に
  答えていた。
 <引用おわり:①②③印は当ブログで付記す>

→(感想)
 珍質問ではなく、「日本は強いと思われる理由はなんでしょうか」という
 生な質問を、日本語らしく「なぜ日本は強いと思われますか」と表現した
 のだろう。日本人でなくてこの表現ができたのだからびっくりします。
 (日本チームが調子を上げていれば、西野監督も戸惑うことなく応答でき
 たはずだ)
→まず、記者会見の受動態:「思われる」の使い方、解釈について、文章上
で考察しておきたい。
①思われ(ますか):通常の会見で質問文形式であれば、受動の尊敬表現の
 「あなたが(思考結果として)思われ・て・るのか」を意味します。
 (思われますか:動作事象・基本相で質問する点も正当手順である)
②誰に「思われ・ている・のか」:受け身の表現と解釈すると、誰に思われ
 るのかを詮索し出すか? (~ている:動作進行相で質問を感じたらしい)
③質問者が「思われ・ている・のか」:質問者に対しての尊敬表現では
 なく、質問者を②誰のうちの一人として想定した言い方で、「質問者に
 思われて」という受け身表現も兼ねたものなのだろう。
戸惑いながらも、受動態の意味するところを冷静に分析しながら、正しい
表現・思考結果を披歴する応答を行った。その点は論理的な判断ができる
人だろう。

 では、当ブログ態文法を活用して、受動態の本質を解明してみよう。
<音素分析:構造>
 当ブログ態文法での、受動態生成の方法を説明する。
〇態の派生原理は、動詞語幹:Dに[挿入音素]をはさんで態接辞を連結する。
 語幹の子音末/母音末の差を[挿入音素:連結母音/連結子音]で調音し
 態接辞の子音語頭/母音語頭に順応する構造である。
〇受動態の一般形式:D[・/r]ar[・/r]e[・/r]u→D[・/r]ar[・]e[r]u。
 子音幹 思う→思われる:omow[・]ar[・]e[r]u→omowareru、
 母音幹 考える→考えられる:kangae[r]ar[・]e[r]u→kangaerareru。
〇受動態接辞:are-の構造は、上に示すように結果態:ar、に可能態接辞:e-
 が連結した二段階の派生である。

<音素分析:意味>
 態の接辞を異形態でなく同一形態で示せるので、意味も統一して明示できる。
〇可能態接辞:e-は、動作完遂への動作相を表し、完遂に必要なら相互に助力し
 合うことを意味する。(動作律仕方を「互律動作」と定義する)
〇結果態接辞:ar-は、古語、文語での受動態を意味する接辞であり、文字通り
 動作の「結果がある」という状態を表す。 「ある」→ある、生る、在る、有る、の
 すべてを内包する意味であり、「過去、現在、未来の動作結果」に対しても有効
 である。(動作結果は主体・客体・対象に対し等距離の関係で態応を律するから
 、律仕方を「果律動作」と定義する)
〇受動態接辞:are-は、古語、文語でも(結果態の)連用形として使い込まれ
 た形態で、意味は動作結果の完遂に必要なら助力することを意味する。
 単純に、動作結果の完遂による誘発事態に振り回されることも意味する。
 (受動態の律仕方は「果互律動作」と定義する)

→態動詞の動作律仕方の定義を記述した。(態には三系四態がある)
 三系四態=12態動詞の深層核心の意味を正確に覚えるために、「律仕方」の
 概念を考えたものです。参考の補完に三系原形態3つを追加しておこう。
①能動系・能動態:一般形式:D[・/r]u、
 自律動作→自己の意図で動作する。(自他動詞ともに)
②強制系・強制態:一般形式:D[・/s]as[・]u、
 律他動作→動作を指示し、他者に服従・自律動作をやらす。
③使役系・使役態:一般形式:D[・/s]as[・]e[r]u、
 律他互律動作→律他動作を指示し、完遂に必要ならば手助けする。
〇この3律仕方と上段の可能/結果/受動の3律仕方を組み合せれば、
 すべての態動詞の律仕方が区別して完全理解できると思われる。

態文法:派生/複合?:継続助動詞:afu

2018/06/05(火)

 古語辞典に継続の助動詞:あふ、afu←合うの原意、が付録一覧表に載る。
(掲載の助動詞形態は:ふ、であり、未然形に連結するとある)
造語例は上代にあり、住まふ、語らふ、戦ふ(叩く+合う)、散らふ、など、継続し
た動作を意味する単語(四段活用)が見つかる。
動詞:あう(合う、会う、逢う、和う、敢う、饗う、の原意)は、自立動詞(四段活用、
下二段活用)でもあるから、通常の機能接辞とは違いがある。
 では、この助動詞をかな分析/音素分析で詳しく調べてみよう。

<かな分析>
四段動詞:住む、語る、たたく、散る、の動作継続を表現するのか、くり返し動作
の事象としての表現なのかで接続様式が異なる。
・動作継続:連用形(住み、語り、たたき、散り、)[+]あふ、の連結(複合の単語)、
 →連用形「住み合う、語り合う、たたき合う、散り合う、」、動作のくり返し。
・事象継続:終止形(住む、語る、たたく、散る、)[・]あふ、の連結(派生、造語)、
 →終止形との連結では語尾:う音と接辞語頭:あ音が母音直結する結果、調合さ
  れ、う音が落ちて、「住まふ、語らふ、戦ふ、散らふ、」という新概念の動詞にな
  る。
(未然形(住ま、語ら、たたか、散ら、)[・]ふ、と解説する辞典も多いが、この説明
は、二段活用(、一段活用)動詞に適用できないし、その造語例もないから不適当
で、発展性もない。この接辞:afuは特定の動詞語幹と連結して継続意味の新造語
を作るのに使われたもので、接辞の役割は済んでいるようだ)

<音素分析>
 古語辞典に継続・繰り返しの助動詞:ふ、とあるから、普通に検証すると、
〇助動詞:ふ、未然形を認めて連結するならば、
・一般形式=動詞語幹[a/・]機能接辞、で表せる。
 子音幹:D[a]fu→住まふ、語らふ、戦ふ、散らふ、
 →子音幹動詞・未然形の条件なら成立する。新造語である。
 母音幹:D[・]fu→?見ふ、?食べふ、?似ふ、
 →母音幹動詞では意味をなさない。 (接辞形態が「ふ」ではダメ)
〇接辞を:afu、あふ、と見直し、母音語頭の接辞に対応すると、
・一般形式=動詞語幹[・/r]afu、で表すのが通例の派生形式だ。
 子音幹:D[・]afu →住まふ、語らふ、戦ふ、散らふ、
 →子音幹で未然形を考慮しなくても新造語が成り立つ。
 母音幹:D[r]afu →?見らふ、?食べらふ、?似らふ、
 →しかし、母音幹動詞で意味が成立しないので、別の考察が必要だ。
〇接辞:afu、あふ、を、自立語:合う、会う、と見なして、
 (子音幹)派生/(母音幹)複合、の変則的な連結様式と考えると自由度が益す。
・一般形式=動詞語幹[・/+]afu、という文法的無音の[挿入音素]を想定する。
 子音幹:D[・]afu →住まふ、語らふ、戦ふ、散らふ、
 →子音幹で新造語が成り立つ。(未然形を考慮しなくてよい)
 母音幹:D[+]afu →見合ふ、食べ合ふ、似合ふ、
 →動作連用の意味合いで、見合い、食べ合う、似合うなどの複合語を生成した。
(古語での造語用例で助動詞扱いであったが、現代口語では接辞として常用は
していない)
〇念のため、連用形で接辞:afu:(自立動詞)との複合を想定し一般化すると、
・一般形式=D[i/・]Ø[+]afu、で考察できるから、
 子音幹:D[i]Ø[+]afu、→住み合う、語り合う、たたき合う、散り合う、
 →動作状態の継続、交互くり返しの描写ができる。
 母音幹:D[・]Ø[+]afu、→見合ふ、食べ合ふ、似合ふ、
 →同様に動作状態の継続、交互くり返しの描写ができる。
(古語での造語用例で助動詞扱いであったが、現代口語では接辞として常用は
していない)

 以上のように、かな分析と音素分析の比較検証を細かく展開すれば、音素分析
の方法が有利だとわかるはず。 特に、動詞派生の場合には、一般形式の表現を採
用することで子音幹・母音幹の両動詞を一度に検証できるから、接辞の汎用性の
有りか、無しかも自分で確実に感じとれる。
また、古語や現代語に対して一貫した音素分析の方法が適用できるから、文法の
効力も実感できる。

態文法:改訂版構想メモへ

2018/05/29(火)

 初版で未解決と感じてた部分も古語文法を現代視点から解釈すれば事の次第が
見えてくると確信できた。そこで改訂版を準備したいと考えて構成を検討し始める。
ホームページに態文法改訂構想、の形で思考メモを載せた。(随時更新する予定)

 この構想メモの「まえがき☆駒」二枚目に記すように、
・日本語は、文字の面からも発音の面からも文法の面からも「二つの面」を並行し
 て持つ、いわゆる「並行世界:パラレルワールド」を体現した言語体系なのだと
 実感した。
(時枝誠記「国語学言論」の「詞/辞=客観/主観」の記述を読んで、一瞬、並行世界
が脳裏に浮んだが、汎用化した具体構図の概念に固定できず悔しい思いが残った)
〇かな/漢字の併存、漢字音読み/訓読みの併存、文語文法/口語文法の併存、
 かな音節分析/ローマ字音素分析の併存などが、ほとんど非協力的に並行併存
 してるのが現状だ。(発展のためには協力的な併存を進めるべきだ)
・たとえば、「かな」は、表音体系だが音節単位の「かな」表現であり、「ローマ字」の
 ような音素単位の「kana」表現へと深めることができない。

〇文法研究では、形態変化する用言の解析に限ってでもよいので、ローマ字音素
 解析をしておくという並行感覚が必要であろう。(望遠鏡:「かな」分析のままで
 、顕微鏡の役目を果そうにも「kana」発見は無理なのだ)
〇宇宙の実体を解き明かすのに、時空の相対論・重力論と極限の量子論が協力的
 に併存(統一)する必要があると言われる。
・日本語の発展のためには、「かな」と「kana」の協力的併存を成し遂げる必要が
 ある。これを目指した改訂版を心がけよう。

態文法:日本語を研究するための道具4

2018/05/03(木)

 日本語の研究道具連載を締めくくるための補足的道具について記述する。
前回、任す/任せる、の意味・機能を対比しての独自の考察を記したので、世間の
用法と合っているのか、違っているか、ネット情報を検索してみた。
 中でもすぐに目に付いたのは、
〇松下電器創業者・松下幸之助の名言「任せて任さず」・・・(独自考察と合致例)
という検索情報が複数件ある。
また、この名言を引用しての個人記事の検索事例も多くあり、
〇検索事例:「任せて任せず」、「任せっぱなしはダメ」、「任して任さず」・・・など、
名言をうろ覚えなのか、任す/任せるの違いが判らないのか、どちらだろう?
〇国語辞典の「任す、任せる」の説明:ほとんど他動詞的な例文が多い。強制、使役
 の意味付けがなく、「相手に任して放任する」のが「任す、任せる」だという印象
 を持ってしまう。(任す=放任ではない。命令服従・任用服務・指示工夫・許可裁量)
→せっかくの名言:「任せて任さず」の深層心理や深い意味を理解するのは、今の
 ところ少数派らしい。

 実際の言語活動で短い一言の深層心理を理解するには、基本の道具①~道具③
を使いこなす「頭の回転力」が必要で、それが補助的道具④だと言えるだろう。
(1)日本語動詞の活用は、古代から現代への変化・変遷があるものの、比較的連続
  性が保たれてる。 「係り結びや、候文、奉る文」は消滅していったが、残った形
  態素に連続性を見出すことが重要だ。 動詞の四段活用などは古代から現代ま
  で基本的に不変である。 (不変の四段活用に対して、二段から一段へ変化を
  した必然性を感じ取れるだろうか)
(2)動詞活用は、動詞語幹に機能接辞(接辞や助動詞)が密結合して派生・造語さ
  れる。造語法則を身につけ、単語内の機能接辞を見つけ出せることを目指す。
(3)見つけ出した機能接辞を意図的に特長を強調して(他と区別して)意味付け
  する。(接辞発見の練習には自他交替接辞、態接辞を抜き出すのが効果あり)
(4)国語辞典では、任す/任せる、の意味の違いを説明するものは少ない。どちら
  かを説明し、他方の見出し語では既出の説明を参照させる印を付す。
  mak[]as[]u/mak[]as[]e[r]u、で接辞:as、e、as‐e、などの形態素に対す
  る意味付けの注意喚起がない。 個人の知識に任してしまう。
(5)要するに、道具①~③までを上手に使う道具④を働かせなさいということ。
  (接辞の連結を見つけ出す道具①~③を使えるように、まず練習が必要だが)
  学校文法や国語辞典には規定概念のしがらみが多いし、専門家には道具④の
  働き方は規定概念に長く浸かってるので、知識の再整理をした後を期待した
  い。

→★松下電器創業者・松下幸之助の格言「任せて任さず」・・・道具④を意識して、
 深層心理を解読しよう。
〇「任せて」は、2通りの発生源がある。
・任す:①任さず、任し、任す、任す、②任せて、任せ、の五段活用已然・仮定形、
・任せる:③任せず、④任せて、任せる、任せる、任せれて、任せろ、の一段連用形
★当然、②任せて(任すの已然)、④任せて(任せるの連用)は形態も意味も同じ。
 また、打消の①任さず、は(任すの打消)が発生源であり、他にない。
 つまり、松下名言は「②④任せて①任さず」という構文である。
〇②mak[]as[]e[]te、④mak[]as‐e[]te、:任せて、には接辞:asと:eの2つが
 連結してるから、「律他互律」の動作である。
〇①mak[]as[a/・]zu:任さず、には接辞:asと:zuの2つが連結してるから、
 「律他・打消」の動作である。
→②④任せて:律他互律:上司が部下に(任務を)指示して、部下は指示に則り
 自律動作(で任務を)する(←律他:as)。 (互律:e→)完遂(成就可能にする)の
 ため必要なら上司は部下を手助け(改善、助言)する。
→①任さず:律他打消:指示して他者に服従自律動作をさす(←律他:as)、ことを
 (打消:zu→)しないでいる。
★名言「②④任せて(律他互律)①任さず(律他打消)」は、律他が打消されて互律
 だけが残る:完遂に向けて互に助け合いなさい、(経営者は部下に任しっぱなし
 ではなく、常々注目して手を抜かないことが大事)ということ。
・因みに、「④任せて(律他互律)③任せず(律他互律打消)」句では、同一の「任せ」
 が打消されて何も残らない無意味な構文だと分る。
 (「任して任さず」無意味な文、「任して任せず」→互律打消が残り最悪な格言)

→★任す/任せるの例:「す」語尾の動詞に対する考察:
・他動詞/使役、強制/使役の関係になる動詞は、接辞:e‐、e[r]uが連結して
 ②D[・/s]as[]e[]te、④D[・/s]as‐e[]te、のような活用が使われる。
 両動詞ともに「互律」:動作完遂をめざす意味を含む能動性を示す。だから、連用
 形として、「任せ・っぱなし、任せ・ながら」の用法が辛うじて成立する。
〇特に強制/使役を派生する動詞は、「任して/任せて」形式で使われることが多
 いので、「揺れのある表現」である。
★任すの連用形で「任し・っぱなし、任し・ながら」というのは正当な用法で清雅
 な表現である。避けたい言い方:「任しっぱなし」なのに、完遂したら「任せてた
 から」と言うのは見苦しい。
・果す/果せるの例:他動詞/他動詞可能態で、動詞自体が完遂動作を意味するの
 だが、「果せ・っぱなし、果せ・ながら」は不自然な表現となり、次に述べる一般
 的な可能動詞と同様の扱いとなる。
〇「行ける、書ける」の可能態(所動性)の接辞:e‐、e[r]uは「互律」の意味を持つ
 が、この連用形:「行け・っぱなし、書け・ながら」の表現には抵抗感がわく。
 (自動詞の自律・連用「行き・っぱなし、書き・ながら」が自然な用法)
〇抵抗感が生じる同様の例:走れ・ながら、歩け・っぱなし、見れ・ながら、食べれ
 ・っぱなし、渡せ・ながら、泳げ・っぱなし:可能態・可能動詞は能動性が減じて、
 動作完遂相の表現に近づくから、進行相(~ながら、~っぱなし)に戻ると抵抗
 感が強くなる。(互律=動作完遂に向かう意欲+相互介助・好条件整備)
〇また、「折れる、割れる」の自発態にも接辞:e‐、e[r]uがつき、「互律」の意味を
 持つが、物理法則との互律だから、連用形で「折れ・っぱなし、割れ・ながら」も
 自然な用法に感じる。(動作相・アスペクト変化も生じてる)
 (折り・っぱなし、割り・ながら、も他動詞の自律・連用で自然である)

 態の接辞の一つ一つを識別し、律仕方を接辞一つ一つに対応させる考え方を
採用したので、接辞が連続した文章を読むときに誰でも動詞の接辞を分解できる
ようになり、接辞が違えば意味解釈に差がつくことを理解しやすくなるだろう、
と期待している。
完遂。

態文法:日本語を研究するための道具3続

2018/04/30(月)

 今回は、道具③の後半部分:
〇日本語研究の道具③:態動詞の派生を[挿入音素]を用いて一般形式表記する。
済:(能動系、強制系、使役系の三系四態動詞を相似的共通形式で見える化する)
後半:(三系四態の態接辞がそれぞれ持つ独自の機能、意味を見える化する)
の道具を記述したい。
→★態接辞の機能と意味を再検証する:態表現とは、動作事象に関わる登場人・
 物が如何に動作を律するのかを示すこと。態接辞がその表現道具である。
_fdoilyx_2

→★態接辞と動作律仕方の双対関係:表裏一体。
_fecabgl

→態表現は、動作事象に態応して登場人・物が如何なる律仕方をするかを叙述す
 るから、文脈の中の登場人物を思い浮べる習慣が必要である。
〇自律動作:主体自らの意思、意図で動作する。(自動詞、他動詞で区別せず)
〇律他動作:主体自らは指示し、他者に服従自律動作をさす。(指示の強弱:強要
 ・許可・容認・放任、服従の強弱:服命・下請け・要請・要望、などは文脈判断)
〇使役動作:律他動作と同時に(可能・互律)完遂のため必要なら手助けする。
★なお、強制態の強制可能態は一般形式:D[・/s]as[・]e[r]uであり、使役態と
 同一形態:D[・/s]as‐e[r]u、になる。両者は機能・意味が同じである。
〇互律動作(状態動詞):主体・客体・自然界が矛盾せずに完遂・成就できる動作で
 あること。(動作完遂を目指すので、当事者の力だけでなく物理法則、自然法則
 、事理・人理に則った行動であることが互律動作の必要条件である)
例:「花子はピアノが弾ける」→花子もピアノも音楽法則の適った動作ができる。
 「これは難しくて読めないね」→読み手と文体との不適合の動作だ。
★なお、「読む:自律/読める:互律」の対応関係は、可能態・可能動詞の文法問題
 に関わることで、上記の「強制可能態=使役態」とも同根の現象だ。
 (考察は後段で行うこととする。「双対環」を見慣れてくると、問題解決も早い
 はずだと感じる)
〇果律動作(状態動詞):動作の結果(状態、成果物)が生じる事象を表す。
〇果互律動作(状態動詞):動作結果が在る(有る、生る、ある)事態が主体・客体
 ・対象・各種法則に関わる様子を表す。(未来洞察で動作結果があるも含める)
模式的な例:動作の律仕方を明示すると、おのずから態動作が判るはず。
 ・主体@果互律=実行実績ありの可能、・第三者発話なら主体への尊敬対話。
 ・客体@果互律=受身(直接、間接)、・対象@果互律=受身、自発、習慣。
 ・主体@律他果互律=指示実績の可能、・第三者発話なら主体への尊敬対話。
 ・客体@律他果互律=服従自律の受け実績あり、・対象@律他果互律=受身。

→★最後に〇使役動作、〇互律動作の説明記述のなかで、文法問題として残した
 事項について考察する。
〇可能態の成立ちと扱い方の認知度、文法解釈が学問的にも分散化してる。
・現状の動詞活用:(未然、命令を除き、)連用・終止・連体・已然仮定を並べる。
 動詞活用:書いて、書く、書く、書けて/食べて、食べる、食べる、食べれて、
 一般形式表記:D[i/・]te、D[・/r]u、D[・/r]u、D[・/r]e[・]te、
→★已然仮定の「書けて、食べれて」から独立動詞化して、可能動詞:「書ける、
 食べれる」が派生したと推測する。 五段(四段)動詞、一段動詞からも同時に
 新しい可能動詞(一段)が生まれる。 可能動詞は所動・状態動詞に変化する。
・連用形「書いて、食べて」は動作進行相を表し、已然形「書けて、食べれて」は動作
 完遂相を表す。
〇一方、律他系の動詞の場合:任す(律他性強い)、渡す(律他性弱い、他動詞)
 動詞活用:任して、任す、任す、任せて/渡して、渡す、渡す、渡せて、
 一般形式表記:D[i/・]te、D[・/r]u、D[・/r]u、D[・/r]e[・]te、
→★任して/任せて、を比較しても可能表現を感じない、律他・律他手助けの意
 味合いがつよい。(所動・状態動詞に変化しない)
 渡して/渡せて、の比較では、「渡せて」に可能の意味合いが十分感じられる。
 「任せる」、「渡せる」と独立動詞化したとき、「任せる」は使役動詞的に活用し、
 「渡せる」は可能動詞的に活用される。
・この差は、原動詞:任す、が表す動作構造が律他的:指示し相手に自律動作を求
 める、であり、一方の原動詞:渡す、が他動詞であり:対象を移動さす、だけで完
 結する動作だからだ。
★文法学の諸説では、可能態を五段活用動詞でしか認めないのが主流だ。本来、
 必須の機能ならば、五段・一段とも並行して派生するのが常道だが、明解な理由
 付けの学説がない。 また、連用と已然の解釈学説も明確でない。 「任して」の
 表現には精雅さがないから、「任せて」表現が望ましい的な感覚論をいう風潮が
 ある。 ほとんど(帰納と演繹の合同演習が収れんしない)論理的な学説がない
 ようだ。
 「任せて」を使う場合には、任しただけでなく、完遂のために手助けをした論拠
 を示せるような語り口であってほしい。
 やはり、なにを以て統一的な判断道具するのかが大きな課題だ。

態文法:日本語を研究するための道具3

2018/04/25(水)

 今回は、道具③:態動詞の派生に対する道具を記述したい。
3つ目の道具を加え、すべて並べると次のようになる。
①日本語研究の道具①:音素分析に「ローマ字解析」を用いる。(音素の見える化)
②日本語研究の道具②:動詞派生を[挿入音素:連結母音/連結子音]を用いて
  一般形式表記する。(四段活用・一段活用を共通形式で見える化する)
③日本語研究の道具③:態動詞の派生を[挿入音素]を用いて一般形式表記する。
  (能動系、強制系、使役系の三系四態動詞を相似的共通形式で見える化する)
  (また、三系四態の態接辞がそれぞれ持つ独自の機能、意味を見える化する)

→★まず、道具③の三系四態の態派生を一般形式で一覧してみよう。
_fsllq0b

→★態派生の道具③:原動詞と受動態の対向関係と、可能態と結果態の対向関係
 を直交させた「態の双対環」構成で三系四態の態動詞を相似表記できる。
<「態の双対環」表記:三系四態の図>
_fwvguzj

〇態派生の一般形式:能動・強制・使役の各系が四態を持つように構成してあるの
 で、系相互間での行って来いの派生連結が少なくなる。 まれではあるが、実際
 に飛び移り例文を見た記憶がある。 例:「滝に打たれ・させられる」では、
〇ut[・]ar‐e:能動受動→→[・/s]as‐e[r]ar‐e[r]u:使役受動へと飛び移って
 でき上がる形態だ。
〇不規則動詞の来る/する、は、古語の終止形:く/す、に直接[r]uを付加して
 連体形:くる/する、の独立動詞化した歴史をそのまま残して、現代の終止形
 になってるのだと再確認した。 ただし、態派生の場合、来る:の語幹=Ko、
 する:の語幹=S、と見なした扱い方が態派生に最適な形態になる。
★態接辞は助動詞の一種であるが、[挿入音素]を挟んで動詞語幹と密結合して
 機能を発揮する。(動詞未然形に連結するのではない)
→★態接辞の基本種別:接辞ごとに特定固有の機能・意味合いがある。
 可能態接辞:‐e‐:「動作の順当な成就、完遂」を表す:自他交替、実行可能、自発。
 結果態接辞:‐ar‐:「動作による結果事象」を表す:文語での結果態、受動態。
 受動態接辞:‐ar‐e‐:「動作による結果事態」を表す:実績、受身、自発、尊敬。
 強制態接辞:‐as‐:「動作を指示し他者にやらす」を表す:強制、許可、放任。
  (文語での使役態、尊敬、などを表す)
 使役態接辞:‐as‐e‐:「動作を他者にやらせ、必要なら介助する」:使役、許容。
〇文語時代での可能接辞:‐e‐:や、結果接辞:‐ar‐:、強制接辞:‐as‐:、は、自他交替
 接辞としても活用された。
例:休む→yasum[]e[r]u、D[]ar[]u、D[]as[]u。
・おわる:ow[]ar[]u、D[]e[r]u、D[]ar[]as[]u、D[]e[s]as[]u。
 (自他交替と態とが交錯するところもあります)
(つづく:接辞ごとの特定固有の機能・意味合いの説明を次回します)

態文法:日本語を研究するための道具2

2018/04/20(金)

 当ブログは2017年、新たに「態文法カテゴリー」を立てて、動詞活用を一般形式
(ローマ字つづり)で表記し始めた。
(実際は、その2、3年前から[挿入音素]形式を試行してるが)
★日本語研究の道具2:「ローマ字解析」による「派生文法:連結音素」の手法。
〇前回の道具①:ローマ字解析、を上手に使いこなすために、
〇道具②:派生文法(動詞語幹+連結母音/連結子音+機能接辞)を取り入れる。
 動詞語幹と接辞を連結する際の音節調整に「単母音/単子音」を挟み込む方法を
 文法規則化するべきだ、と提起する下記の研究書籍に感銘を受けた。
・清瀬義三郎則府が1969年『連結子音と連結母音と~日本語動詞無活用論~』
 (PDF入手可能か)を講演した。米国。
・『日本語文法新論-派生文法序説』:清瀬義三郎則府:桜楓社:1989年
・『日本語文法体系新論―派生文法の原理と動詞体系の歴史』:清瀬義三郎則府
 :ひつじ書房:2013年12月
→★当ブログでは、清瀬原案を汎用化するため「一般形式化」する工夫を採用し
 た。
・一般形式:語幹末尾音+[挿入音素:連結母音/連結子音]+接辞語頭音の連結状
 態を明確に選択しやすく表示し、汎用的に意味のある派生ができる、という法
 則性を感得できるようにした。
★動詞語幹:D(=子音末、母音末)+[挿入音素(=連結母音/連結子音)]+機能接
 辞(=子音頭接辞/母音頭接辞)、が規則動詞の表記に適用できる。
実例:動詞活用の大部分は規則的で、次の①、②の一般形式で表せる。
 四段・一段を共用の一般形式で示す。 (語例:書く、話す、見る、食べる)
①一般形式:(未然、連用、終止・連体、已然仮定、命令)の表示。
 D[a/・]na‐i、D[i/・]mas‐u、D[・/r]u、D[・/r]u、D[・/r]e+ba、
 D[・/r]e【[y]o】(=四段活用)/D[・/r]【e[y]】o(=一段活用)。
また、古語、文語での二段活用の一般形式(上/下共用)を表記すれば、
(語例:落つ:ot-、投ぐ:nag-を思い浮べて一般形式を確認してください)
②(上/下)二段活用:D[(i/e)]z‐u、D[(i/e)]te、D[(・/・)]u、
 D[・/・]u[r/r]u、D[・/・]u[r/r]e+ba、D[(i/e)]+yo、で示せる。

→★態文法:二段活用から一段活用へで一般形式を二段活用表現に適用して
 大きな発見をしたことに触れた。
〇二段活用の「連体形」は、終止形に「る」を付加して再動詞概念化したもの。
 (例:D[・/・]u+[r/r]u→おつ+る/なぐ+る、で口語動詞的になる)
〇二段活用の「連用形」に「る」を付加して動詞概念化すると一段活用へ移行可。
 (例:D[(i/e)]+[r]u→おち+る/なげ+る、など母音語幹動詞になる)
→★つぎに、今回また発見したことは、
〇古語の完了・過去表現の助動詞「つ」は、口語のおち+た/なげ+た、の「た」語源
 で二段活用すると、「て、て、つ、つる、つれ、てよ」と古語辞典に記述がある。
・現代の学習現場では、「た形、て形の活用」と見なした扱いが行われるが、
〇四段・一段でも使える完了接辞:teを一般形式で示すと、(語例:話す、見る)
 D[i/・]te[+]na‐i、 D[i/・]te[+]mas‐u、D[i/・]te[r]u、D[i/・]te[r]u、
 D[i/・]te[r]e+ba、D[i/・]te[r]【e[y]】o、という形式が一部では使われて
 いる。(二段活用から一段活用への変遷の流れに乗ったと推定した)
〇つまり、完了接辞:teの連用形、D[i/・]teに「る」を付加して動詞概念化する
 という文法則を応用することが論理的で、便利であるし、理屈を言える。
★整理して述べると、現代の「て形」助動詞は下一段活用形で使われているはず
 だから、「て、て、てる、てる、てれ、てろ」という形態が存在するだろう。
・「二段活用から一段活用へ移行するのに、2、3世紀遅れてきただけです」
 (話してる、見てる、書いてる、読んでる、話してろ、見てろ、書いてれば、
 読んでれば、など自然な使い心地だし、正当化する理屈も立つ)
 
★前回の道具1で紹介した
『複数の日本語~方言からはじめる言語学~』:工藤真由美、八亀裕美:講談社
選書メチエ:2008年11月10日
のなかで、動作進行形/完了形の区別表現が西日本の方言では可能だが、標準
語ではできない(進行相と結果相が同形)、という記述がある。

→★当ブログは出来立ての論理によって、標準語の結果相を新提案したい。
実例:方言と標準語のアスペクト相の違い:動作進行形と動作完遂結果。
・愛媛宇和島:--完成----進行相-----------結果相-----
 非過去:----する---しよる:s[i](y)oru----しとる:s[i]t【e】oru
  過去:----した---しよった:s[i](y)otta---しとった:s[i]t【e】otta
標準語:関東:-完成----進行相(結果相)-----★結果相(新提案)--
 非過去:---する----している:s[i]te‐iru---★してる:s[i]te‐ru
  過去:----した---していた:s[i]te‐ita----★してた:s[i]te‐ta

→★標準語の「結果相(新提案)」の中身について説明する。
 (無意識に使う言葉で、動作済の状態を表現する)
〇D[i/・]te[r]u:二段活用の連用形に「る」を付加して独立動詞化する手法で、
 話してる、見てる、書いてる、読んでる、閉ってる、立ってる、開いてる、怒って
 る、笑ってる、落ちてる、曲ってる、食べてる、考えてる、などと汎用的に動作完
 遂の状態を表現できる。(動作が完遂して結果状態にあることを表現)
〇四段・一段活用の已然形:D[・/r]e、に「る」を付加して独立動詞化する手法が
 、話せる、見れる、書ける、読める、閉める、立てる、開ける、怒れる、笑える、落
 ちれる、曲れる、食べれる、考えれる、などの可能動詞(自他交替もある)を生み
 出した。(これと同じ論理で完了接辞:[i/・]teを独立動詞化してるわけだ)
★現代の日本語学者は、上記二項の独立動詞化の手法を認めないか、気づいてい
 ないか、反対するか、の反応を示す。残念ながら賛成者はいないようだ。
 (しかし、多くの人は日常的に使うはずだ。「そんなこと俺だって考えてたよ」、
 「心配ないよ、毎日しっかり食べてるから、」、「何話してたんだい?」)
〇古語から現代語への変遷で、二段活用から一段活用へ移行する重要な転換法則
 を忘れずに、あるいは無頓着にならないように常に思い起したい。
・古語二段活用の連体形は、終止形:D[・]uに[r]uを直結して独立動詞化した。
・古語二段活用の連用形:D[(i/e)]に[r]uを直結して独立動詞化して一段活用
 へ向かった。
・現代でも、短縮語の語尾に「る」を直結して独立動詞化する方法が意識的に使わ
 れるのは、この転換法則に由来するかもしれない。
・いずれにしろ一段活用が二段活用に先祖返りすることはないから、一段活用化
 を済ませた独立動詞に対しては十分な存在権、生存権を認めるべきだろう。

態文法:日本語を研究するための道具1

2018/04/15(日)

 最近通読した本:
『重力とは何か~アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る~』:大栗
博司:幻冬舎新書:2012年5月30日第一刷、6月20日第三刷、に感銘を受けた。
宇宙を創り出す巨大時空の法則と素粒子の振舞いを支配する極小時空の法則が
連続一体の統合理論で説明・解釈できるようにするべきだという方向へ世界の
物理学者が先陣争いをしながら研究を進めている状況が、よく分る。
もちろん正確な方程式理論を自分では十分に理解できないが、重力と加速度、質
量とエネルギー、粒子の粒と波、時空の収縮と膨張など、対向性の対概念が統一
理論で説明できる時代がまもなくやってくるような研究の動きを感じられた。
 さて、物理学の世界で考察の道具として用いられるのは、動作原理を数式で表
現する方法だろう。数式の論理で説明すれば、直接、世界的な理解につながる。
当然ながら、動作原理の探求には、観測道具に望遠鏡(光学、電波)、実験道具に巨
大円形素粒子加速器や巨大重力波検出器などの巨大観測装置が建設され、それを
活用して新しい発見、理論の検証に努力してこそ、数式表現の信憑性が保証される。
一方、日本語の研究に対する考察道具は何だろうか。

 最近図書館で拾い読みした本:
・『複数の日本語~方言からはじめる言語学~』:工藤真由美、八亀裕美:講談社
 選書メチエ:2008年11月10日と、
・『しっくりこない日本語』:北原保雄:小学館新書:2017年8月6日初版、で
共通して気になったことがある。
両著書共に、いわゆる「ら抜き」、「れ足す」、「さ入れ」言葉に関する記述を選んで
読んでみたわけだが、日本語考察の道具に「音節解析:かな解析」を基本にしてい
るから、考察の精度が落ちるので曖昧な説明に終始すると感じた。
 日本語も世界の言語の一つであり、言語解析を行うには「音素:ローマ字解析」
が不可欠であり、特に音素数が1、2音の短い接辞(助動詞)を膠着させて動詞活用
(派生)形態にする言語方式なのだから、機能を正しく解釈するには「ローマ字解
析」が必須道具であるはずだ。
→★「ローマ字解析」を考察道具に用いれば、態接辞など音素の短い接辞を確実に
 切り出せる。(一般形式=動詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]統語接辞)
〇文語:受動接辞:ar、使役接辞:as
・書かる:kak[・]ar[・]u、書かす:kak[・]as[・]u (子音末動詞)
・食べらる:tabe[r]ar[・]u、食べさす:tabe[s]as[・]u (母音末動詞)
→結果態一般形式:D[・/r]ar[・]u (口語:結果態と命名する)
→強制態一般形式:D[・/s]as[・]u (口語:強制態と命名する)
〇口語:受動:are、使役:ase
・書かれる:kak[・]ar[・]e[r]u、書かせる:kak[・]as[・]e[r]u (子音末動詞)
・食べられる:tabe[r]ar[・]e[r]u、食べさせる:tabe[s]as[・]e[r]u、(母音末
 動詞)
→受動態一般形式:D[・/r]ar[・]e[r]u (口語:受動態=結果+可能)
→使役態一般形式:D[・/s]as[・]e[r]u (口語:使役態=強制+可能)
〇口語:可能態接辞:e、(可能動詞、自他交替接辞)
・書ける:kak[・]e[r]u、食べれる:tabe[r]e[r]u (子音末、母音末動詞)
→可能態一般形式:D[・/r]e[r]u (口語:可能態と命名する)
★当ブログ提唱の「ローマ字解析法」を用いて、態動詞を派生させれば、態接辞が
 正確に規定できるし、動詞活用表の「未然形」に態接辞を連結させるのではない
 ことが分るはずである。

 一方、「かな解析:音節解析」を考察道具にすると、態接辞のとらえ方が異形態
(五段活用/一段活用の別により)となって正しい接辞を切り出せない。
〇口語:受動:れる/られる、使役:せる/させる (未然形に連結と見なす)
・書か・れる、   書か・せる (子音末動詞)
・食べ・られる、 食べ・させる (母音末動詞)
〇口語:可能:eる/れる([r]eる)、(←★便宜的:已然形に「る」を連結と見なす)
・書け・る(子音末動詞)、食べ・れる(母音末動詞) :(なぜか「れる」を認めない)
→「かな解析」で「ら抜き」と命名したのは、「食べ・ら・れる」から「ら」を抜いたと
 の見立てが由来らしい。 だが、その見立て自体が的外れだろう。
★食べ[r]ar[・]e[r]u、のar[・]を抜いた「ar抜き」と見立てるのが妥当だ。
 「動作+ある」とは、動作結果(状態、成果)があることを端的に表現する。
 つまり「かな解析」では合成する音素を分解表示する性能が低くすぎて、本当の
 姿を切り出せない限界があり、「ar抜き」を感じとれない。
・食べ[r]e[r]u:食べる動作を完遂するという意味で、「動作可能態」である。
・食べ[r]ar[・]e[r]u:食べる「動作の結果」があるという意味で、「実績の行為、
 行為結果物」を意味する。あるいは、未来に「食べれる」動作を想定し、「食べる
 動作の完遂結果を出せる」と予測して「絶対食べられる」ということも可能だ。
・書ける、書かれるの両単語が必要であると同様、本来は、食べれる、食べられる
 の両単語が必要なのだ。

 上記の両書籍には、共通語や方言での「ら抜き、さ入れ、れ足す」言葉を「かな解
析」の立場で専門的な解説をするのだが、学校文法で習う範囲を越える視点がな
い。
・特に文意をこじらせるのは、「文法は守るべき規範ではない」とか、「音節を取り
 出し分析しても意味がない」、「文法は体系的なものであり、文法的な形は他の
 形との関係のなかで存在する」という曖昧な態度記述があることだ。
・また、専門家同志がする対談形式の文法談義で、「読ま・せていただく」を「読ま
 ・さ・せていただく」という「さ入れ」言葉の風潮を取り上げての考察が、
〇「せて」だけでは使役の意味合いが弱いので、へりくだる意味で「させて」にな
 ったのだと思う、と解説する。
→すこぶる情緒的な感覚を元にした考察であり、呆れてしまう。
→★読ませて:yom[・]as[・]e+te、と、読まさせて:yom[・]as[・]as[・]e+te、
 の態構成の違い(二重強制、強制+使役になる)に対する指摘も忠告もなしに、
 単にへりくだりの意味合いだというのには、とても同調できない。
 少なくとも、二重使役の形式で「上司から代読を命じられ、今ここで皆様のお許
 しをいただき、読ま・さ・せていただきます」という二重代読のへりくだりだと
 する解釈説明ならば、なんとか納得できるだろう。
 (ただ、「させていただく」の乱発には少々うんざりします)
→★異形態の態接辞を便宜的な言い方で少しでも改善表記すると、
〇口語:受動:aれる/られる、(便宜的な言い方:未然形に連結)
〇口語:使役:aせる/させる、(便宜的な言い方:未然形に連結)
〇口語:可能:eる/れる([r]eる)、(便宜的な言い方:已然形に「る」を連結)
・五段活用につながる「かな接辞」は、「れる、せる、る」だ。(a/e音が無表示)
・一段活用につながる「かな接辞」は、「られる、させる、れる」であり、この方が
 意味を捉えたり、伝えたりしやすいだろう。だからといって、
〇「られる、させる、れる」の方を重用し、
・「ら入れ重用:ら抜きを嫌う裏返しとして「ら付」を重用する」とか、
・「さ入れ重用」、「れ足す重用」を勧めたり、容認したり、は筋違いだろう。
→★態の一般形式:つぎの3式を基本に据えて考察の道具にしてほしい。
・使役:D[・/s]as[・]e[r]u、
・受動:D[・/r]ar[・]e[r]u、
・可能:D[・/r]e[r]u 。(口語では、3態の語尾は已然動詞化:e[r]uが付く)
★態の語尾を已然動詞化する理由は、一段活用型にする方が意味安定・弱変化に
 できるからだと推測する。

態文法:二段活用から一段活用へ

2018/03/31(土)

 前回、態文法:未然形はあるのか?5をしめくくりとしたが、少し追記したい。
動詞語幹の子音・母音の「う動詞、る動詞」区別についてインターネット検索して
みると、判別法の質問やら、回答やら多数の情報が出てくる。 連用形、已然形の
形態から[r]uを付加して独立した動詞という視点での考察は見当らない。

 前回の「る動詞」を判別する方法を要約再掲すると、
〇動詞語尾音が「~i[r]u」、「~e[r]u」の場合、る動詞である可能性が高い。
★当ブログが推奨する判別法は、(現代口語の日本語話者に適合する方法)
①活用形「連用形-終止・連体形-已然形(仮定)」の語尾音をローマ字表記する。
②語尾音:「i-u-e」ならば、う動詞。(四段・五段活用、子音語幹動詞)
③語尾音:「i-i[r]u-i[r]e」ならば、る動詞。
 (いる動詞:上一段活用、母音幹動詞:[r]を[挿入音素]とみなす)
④語尾音:「e-e[r]u-e[r]e」ならば、る動詞。
 (える動詞:下一段活用、母音幹動詞:[r]を[挿入音素]とみなす)
(いる動詞=連用形「~i」を独立動詞に派生させるため動詞接辞:[r]uを付加)
(える動詞=已然形「~e」を独立動詞に派生させるため動詞接辞:[r]uを付加)
例:原動詞:落つ→いる動詞化=落ちる、原動詞:投ぐ→える動詞化=投げる。

 今回の追加分は、文語文法の二段活用での連体形:「~u[r]u」、「うる」動詞に
ついて考察を記す。(修正:古語連体形:「~u[r]u」表記とする。04/30)
★文語文法での動詞二段活用は、連体形が終止形から離れた形態を用いる。
①動詞の四段活用では語尾音:「i-u-u-e」で、終止と連体は同形だったが、
②二段活用の語尾音:「i-u-u[r]u-u[r]e」で、連体形が独立単語化してしまい
 已然形が連体動詞側での活用になる。(命令形は元の連用形側にもどる)
③二段活用の語尾音:「e-u-u[r]u-u[r]e」で、連体形が独立単語化してしまい
 已然形が連体動詞側での活用になる。(命令形は元の連用形側にもどる)
この状況をみると、原動詞:落つ、投ぐ、の活用しにくさが相当なものだったのだ
ろう。 落つ→落つる、投ぐ→投ぐる、連体動詞として独立させたくなるほど、原
動詞:落つ、投ぐ、は扱いにくい形態だったのだ。
(うる動詞=連体動詞:例:落つる:otu‐[r]u、投ぐる:nagu‐[r]u、を生成すれば
 已然形も「落てば、投げば」でなく、「落つれば、投ぐれば」を生成できる)
・二段活用は、連体:うる動詞が大活躍していき、段々、終止形が連体形に合流し
 、その扱いにくい原動詞が使われなくなりはじめると、連体動詞の存在理由が
 薄れてくる。
・連体動詞の形式が当り前になると、連用側と段差、不釣合いに関心が移り、
 連用:いる動詞、已然:える動詞のほうが、連体動詞(うる動詞)よりも活用全体
 の流れを円滑にできて、一段活用の構成にできる、と気づいたのだろう。
★参照用に変遷表を挿入追記しました。 動詞活用の変遷

→文語時代を、「いる」動詞、「うる」動詞、「える」動詞を通して分析してみた。
 二段活用から一段活用への変遷は長い期間がかかっているが、簡素化と明解さ
 の方向に進んだ。(反面深刻な影響を生み出したのは、連用・已然による母音語
 幹動詞の成立と終止・連体の同形化により動詞活用の相・アスペクト感覚が不
 明瞭になってしまったことだ。それでも、四段活用動詞を含めれば、相感覚は
 全滅でなく半死半生だということを覚えておきたい)
〇連用動詞、已然動詞、連体動詞という言い方は、奇異に感じるかもしれないが、
 動詞活用の列から新しい動詞が生まれたこと(新しい終止形ができる)に注目
 してほしいからです。
★連用:いる動詞、の潜在的な意味を考察すると、
・落ちる、起きる、足りる、過ぎる、など自動詞的で、瞬間的な一過性の動作に適
 合するようだ。「混じる/混ぜる」のように、いる動詞/える動詞で自他交替す
 る場合もある。
★已然:える動詞、の潜在的な意味を考察すると、
・投げる、捨てる、比べる、流れる、寄せる、受ける、届ける、答える、などの他、
 古くは、隠る・恐る・忘る・垂る・分く、など四段活用だった動詞が下一段に変っ
 ていて、已然形の概念自体が「動作の完遂」の意味があるから、どんな動詞にも
 付加できる形態だ。 現代語では、係り結びを回顧しても意味がない。
★連体:うる動詞、の潜在的な意味を考察すると、原動詞形「u」に[r]uが連結し
 たとすると、母音語幹動詞あつかいで「落つ・ます/落つ/落つ・る/落つ・れ」
 、「~ur[]u」の子音語幹でも、「落つ・り/落つ/落つ・る/落つ・れ」となり、
 ほとんど活用しても意味が涌かないが連体形として動作事象の強調にはなる。
 現代語ではほとんど使われない。
★なお、当然ながら、
・「ある」動詞(「ある/あす」動詞、「おる/おす」動詞、など)もあるわけだが、これ
 は、未然動詞に位置づけしないで、態動詞、自他交替動詞を派生する、という範
 疇に入れたい。
以上。

前回の記述で二段活用に関する考察がなかったのでこれを追記しました。

より以前の記事一覧

最近のトラックバック

無料ブログはココログ